説明

ハンディ型ヒートシーラー、およびハンディ型ヒートシーラーを用いたシール方法

【課題】包装対象の汎用性が広く、作業の自由度が高く、かつ一度の作業で溶着および溶断を可能とするハンディ型ヒートシーラー、およびハンディ型ヒートシーラーを用いたシール方法を提供する。
【解決手段】本発明は、一方の面にハンドルが設けられた長方体の基台2と、長手方向に溶着用電熱線11aが配線された溶着線用耐熱樹脂12aと、長手方向に溶着用電熱線11aと略並行に、溶着用電熱線より細い溶断用電熱線11bが配線された溶断線用耐熱樹脂12bとを有する。そして、溶着線用耐熱樹脂12aと基台2との間には溶着線用クッション材14aが、また溶断線用耐熱樹脂12bと基台2との間には溶断線用クッション材14bがそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装品を収納した樹脂製包装の開口された挿入口を溶着および溶断するハンディ型ヒートシーラー、およびハンディ型ヒートシーラーを用いたシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装品を収納した樹脂製包装の開口された挿入口を溶着する装置としては、片手操作型のヒートシーラーが知られている(例えば特許文献1参照。)。この特許文献1に開示された装置は、ステープラーの構造に似た回動可能な上部レバーと、シール受け台を有する片手操作型のヒートシーラーとで構成されるものであり、本体下側のシール受け台に1本の加熱線を有し、樹脂製包装を一時的に固定するための粘着テープが加熱線とほぼ平行に貼着された構成となっている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−105838号公報(第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来のハンディ型のヒートシーラーは、ステープラーの構造に似た片手操作型のヒートシーラーが用いられていた。しかしながら、この片手操作型のヒートシーラーは据え置き型であり、包装品を収納した状態の樹脂製包装をシール受台の上に乗せる必要があるため、包装品の種類に制限が生じてしまう。また、包装品が大きくなった場合には、粘着テープから包装品を剥離してから動かす必要があり、作業性が著しく低下する。また、シール受台上に包装品を移送する際に包装品が樹脂製包装から滑り出すという問題を抱えていた。
【0005】
また、ハンディ型ヒートシーラーにおいては、作業員による手作業のため、電熱線を樹脂製包装に均一に接触させることが難しいという問題があった。
【0006】
従って、本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、包装対象の汎用性が広く、作業の自由度が高く、かつ一度の作業で溶着および溶断を可能とするハンディ型ヒートシーラー、およびハンディ型ヒートシーラーを用いたシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明のハンディ型ヒートシーラーは、
一方の面にハンドルが設けられた長方体の基台と、
長手方向に溶着用電熱線が配線された溶着線用耐熱樹脂と、
前記溶着用電熱線と略平行に配置され、前記溶着用電熱線より細い溶断用電熱線が長手方向に配線された溶断線用耐熱樹脂と、
一方の面が前記溶着線用耐熱樹脂と接着し、他方の面が前記基台と接着して、前記溶着線用耐熱樹脂と前記基台との間に弾性力を与える溶着線用クッション材と、
一方の面が前記溶断線用耐熱樹脂と接着し、他方の面が前記基台と接着して、前記溶断線用耐熱樹脂と前記基台との間に弾性力を与える溶断線用クッション材と、
を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、据え置き型ではなく、自由にシール部を動かすことが可能であり、溶着用と溶断用のシール部を有するハンディ型ヒートシーラーであるので、包装対象の汎用性が広く、作業の自由度が高く、かつ一度の作業で溶着および溶断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るハンディ型ヒートシーラーの概観図である。図2は、ハンディ型ヒートシーラーを横方向から見た構成を示す図である。図3は、ハンディ型ヒートシーラーを制御する制御部21の構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、ハンディ型ヒートシーラー1は、基台となる中空アルミ材2、ハンドル3、ハンドル支持材4、スイッチ5、信号線6、溶着用電熱線11a、溶断用電熱線11b、溶着線用耐熱樹脂12a、溶断線用耐熱樹脂12b、溶着用電熱線11aの溶着線用固定ネジ13a、溶断用電熱線11bの溶断線用固定ネジ13b、溶着線用クッション材14a、溶断線用クッション材14b、溶着線用電気コード15a、溶断線用電気コード15b等を備えて構成される。
【0011】
ハンディ型ヒートシーラー1の一方の面の長方体の基台は、樹脂製包装を密閉する幅よりも長辺である中空アルミ材2によって構成され、そこにはハンドル支持材4を介してハンドル3とスイッチ5が取り付けられている。中空アルミ材2のハンドル3の反対側に設けられる溶着線用耐熱樹脂12aと溶断線用耐熱樹脂12bには、それぞれ長手方向に溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bが配線されており、溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bは左右の溶着線用固定ネジ13a、溶断線用固定ネジ13bによって取り付けられ固定されている。この溶着線用耐熱樹脂12aと溶断線用耐熱樹脂12bが略並列に配置された大きさが、中空アルミ材2の縦/横の長さと略同一となり、ハンディ型ヒートシーラー1の外側を形成する。
【0012】
溶着用電熱線11aは、例えば幅2.5mm、厚み0.5mmである。また、溶断用電熱線11bは、例えば直径0.8mmの丸い電熱線である。したがって、溶着用電熱線11aより溶断用電熱線11bの方が太さが細い。このように、2本の電熱線厚みが異なるため、樹脂製包装に対して同じ圧力で接することができない。
【0013】
このため、それぞれの電熱線に独立したクッション材として、溶着用電熱線11aが取り付けられている溶着線用耐熱樹脂12aの下地には、溶着線用クッション材14aが中空アルミ材2に接着されている。また、溶断用電熱線11bが取り付けられている溶断線用耐熱樹脂12bの下地には、溶断線用クッション材14bが中空アルミ材2に接着されている。溶着線用クッション材14aは、一方の面が溶着線用耐熱樹脂11aと接着し、他方の面が中空アルミ材2と接着して、溶着線用耐熱樹脂11aと中空アルミ材2との間に弾性力を与えることができる。また、溶断線用クッション材14bは、一方の面が溶断線用耐熱樹脂11bと接着し、他方の面が中空アルミ材2と接着して、溶断線用耐熱樹脂11bと中空アルミ材2との間に弾性力を与えることができる。これによって、溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bが独立して樹脂製包装に接することで樹脂製包装に対して同じ圧力で均一に接することが可能となる。
【0014】
図2に示すように、溶着用電熱線11aには溶着線用固定ネジ13a、溶着線用電気コード15aを介して、後述する制御部からの電源が供給されている。同様に、溶断用電熱線11bには溶断線用固定ネジ13bと、溶断線用電気コード15bを介して制御部から電源が供給されている。また、後述する溶断・溶着時に電源の供給のON/OFFは、ハンドル3のスイッチ5によって操作される。また、図2に示すように、中空アルミ材2に溶着線用クッション材14aと溶断線用クッション材14bが接着され、さらに溶着線用クッション材14aに溶着用電熱線11aが配線された溶着線用耐熱樹脂11aが接着し、溶断線用クッション材14bに溶断用電熱線11bが配線された溶断線用耐熱樹脂11bが接着した形状で長方体のハンディ型ヒートシーラー1が形成される。
【0015】
ハンディ型ヒートシーラー1には、図3に示す制御部21が外付けされている。
制御部21には、溶着線用電気コード15aを接続する溶着線用接続端子22a、溶断線用電気コード15bを接続する溶断線用接続端子22b、スイッチ5の信号線6を接続する信号線端子23、溶着線用タイマー24a、溶断線用タイマー24b、キースイッチ部25、ディスプレイ26等を備えて構成される。
【0016】
そして、キースイッチ部25を用いて溶着線用タイマー24aおよび溶断線用タイマー24bに溶着時間および溶断時間が設定される。例えば、樹脂製包装の厚みや材質に応じて、図3の下側に示したタイマー設定が行われる。即ち、樹脂製包装の厚みがt1である場合、溶着線用タイマー24aの設定時間T1には時間a1が設定され、溶断線用タイマー24bの設定時間T2には時間b1が設定される。同様に樹脂製包装の厚みがt2である場合、設定時間T1には時間a2が設定され、設定時間T2には時間b2が設定され、樹脂製包装の厚みがt3である場合、設定時間T1には時間a3が設定され、設定時間T2には時間b3が設定される。ディスプレイ26には、溶着線用タイマー24aおよび溶断線用タイマー24bの設定状況等が表示される。
【0017】
このように設定された制御部21は、溶着線用電気コード15a、溶断線用電気コード15b、信号線6を介してハンディ型ヒートシーラー1に接続され、制御部21に設定された条件によってハンディ型ヒートシーラー1が電気制御される。
【0018】
即ち、スイッチ5が押されると、その信号が信号線6を経由して制御部21に出力される。制御部21は、スイッチ信号の入力を受信すると、溶着線用タイマー24aに予め設定された時間T1に応じて溶着用電熱線11aに電気を通電し、樹脂製包装を溶着する。その後、溶断線用タイマー24bに予め設定された時間T2に応じて溶断用電熱線11bに電気を通電し、樹脂製包装を溶断する。
【0019】
もし、予め設定された時間T1およびT2で、樹脂製包装を溶着または、溶断ができなかった場合には、スイッチ5を適切な時間延長して押し続けることで、樹脂製包装を溶着および溶断することが可能である。
【0020】
次に、ハンディ型ヒートシーラー1を用いたシール工程について説明する。
通常、シール工程を行う作業台、樹脂製包装および電熱線など、使用している構成要素は一般的な工業製品であり、作業台の凹凸、製品の厚みばらつきなどを持っている。また、ハンディ型ヒートシーラー1を作業者が取り扱うため、作業台に対して常に垂直方向に押し当て、作業台上で樹脂製包装と電熱線を均一に接触させることが難しい。
【0021】
さらに対象とする、樹脂製包装が大きい場合には、作業台も大きくなるため、厚みのばらつきが大きくなるため、より一層、均一に接触されることが困難となる。
【0022】
本実施形態のハンディ型ヒートシーラー1では、各種ばらつきや、力のかかる方向などによる接触性の不均一を溶着線用クッション層14aおよび溶断線用クッション層14bがそれぞれ独立して吸収し、均一化することによって、接触性の問題を解決することができるため、厚み(太さ)の異なる溶着用電熱線11aおよび溶断用電熱線11bの2本の電熱線を用いることができる。
【0023】
樹脂製包装31の大きさに対して、包装品32が小さく、包装品32が樹脂製包装31内で動くような場合、図4(a)に示すように、シール工程1にて樹脂製包装31の開口部33に対して90度方向に溶着および溶断することによって、樹脂製包装31の幅方向を小さくした後に、シール工程2にて包装品32のサイズに合わせて樹脂製包装31の開口部33に平行に溶着および溶断する。これにより、樹脂製包装31の大きさを包装品32に合わせて密閉することができる。
【0024】
また、図4(b)に示すように、包装品32が丸い場合など直線でないものに対しては、それぞれ前記90度方向に溶着および溶断した後に、シール工程3にて隅部を斜め45度方向での溶着および溶断した後に、最後に開口部33に合わせて密閉する。
【0025】
実施形態に係るハンディ型ヒートシーラーによれば、このように独立したクッション構造を有する溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bによって樹脂製包装と各電熱線を均一に接触し、加熱により、溶着および溶断することが1度の作業で可能とする。
【0026】
ハンディ型でも樹脂製包装との接触性を改善することによって、ハンディ型である点を生かし包装品、および樹脂製包装の大きさに関して汎用性が広くなった。また、樹脂製包装とシール部との位置関係にも制約が少なくなり、樹脂製包装に対してシール部を自由な方向に溶着および溶断することが可能となった。
【0027】
なお、本発明は上記して実施形態に限定される、本発明の要旨に逸脱しない範囲において設計変更可能なことは言うまでもない。
【0028】
例えば、ハンドル支持材4を図5に示すように、パンタグラフ式の多点支持構造としてもよい。この構造にすることによって、ハンドル3に掛ける力を基台2に対して多点に均一分散して掛けることが可能となり、溶着用電熱線11aおよび溶断用電熱線11bを樹脂製包装31に対して均一に接することが可能となる。特に溶着溶断する長さが長いハンディ型ヒートシーラーにおいて有効である。
【0029】
また、溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bの熱を、樹脂製包装31に伝熱することが可能かつ、各電熱線の熱によって、特性の変化を生じない、耐熱性フッ素樹脂シートで覆っても良い。例えば、図6に示すように、厚みが0.5mm以下の耐熱性フッ素樹脂シート40を用いて、溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bを覆うことにより、溶着や溶断時に溶けた樹脂製包装31が溶着用電熱線11aと溶断用電熱線11bに付着することを防ぐことができる点において有効である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るハンディ型ヒートシーラーの概観図である。
【図2】本発明の実施形態に係るハンディ型ヒートシーラーを横方向から見た構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るハンディ型ヒートシーラーを制御する制御部の構成を示す図である。
【図4】シール工程におけるハンディ型ヒートシーラーと樹脂製包装の位置関係を示す例である。
【図5】ハンディ型ヒートシーラーにおけるパンタグラフ式ハンドル支持材の概観図である。
【図6】ハンディ型ヒートシーラーにおける耐熱性フッ素樹脂シートの被覆例の概観図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ハンディ型ヒートシーラー
2 基台
3 ハンドル
4 ハンドル支持材
5 スイッチ
6 スイッチ線
11a 溶着用電熱線
11b 溶断用電熱線
12a 溶着線用耐熱樹脂
12b 溶断線用耐熱樹脂
13a 溶着線用固定ネジ
13b 溶断線用固定ネジ
14a 溶着線用クッション層
14b 溶断線用クッション層
15a 溶着線用電気コード
15b 溶断線用電気コード
21 制御部
22 溶着線用接続端子
22 溶断線用接続端子
23 信号線端子
24 溶着線用タイマー
24 溶断線用タイマー
25 キースイッチ部
26 ディスプレイ
31 樹脂製包装
32 包装品
33 開口部
40 耐熱性フッ素樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にハンドルが設けられた長方体の基台と、
長手方向に溶着用電熱線が配線された溶着線用耐熱樹脂と、
前記溶着用電熱線と略平行に配置され、前記溶着用電熱線より細い溶断用電熱線が長手方向に配線された溶断線用耐熱樹脂と、
一方の面が前記溶着線用耐熱樹脂と接着し、他方の面が前記基台と接着して、前記溶着線用耐熱樹脂と前記基台との間に弾性力を与える溶着線用クッション材と、
一方の面が前記溶断線用耐熱樹脂と接着し、他方の面が前記基台と接着して、前記溶断線用耐熱樹脂と前記基台との間に弾性力を与える溶断線用クッション材と、
を有することを特徴とするハンディ型ヒートシーラー。
【請求項2】
前記溶着用電熱線および前記溶断用電熱線に所定の電源を供給する制御部が外付けされ、
前記ハンドルには前記電源の供給のON/OFFを切り替えるスイッチが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のハンディ型ヒートシーラー。
【請求項3】
前記制御部には、前記溶着用電熱線の通電時間が設定される溶着用タイマー、および前記溶断用電熱線の通電時間が設定される溶断用タイマーが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のハンディ型ヒートシーラー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のハンディ型ヒートシーラーを用いて、樹脂製包装の幅方向を小さくするように溶着および溶断した後に、包装品のサイズに合わせて樹脂製包装の開口部を溶着および溶断すること特徴とするハンディ型ヒートシーラーを用いたシール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−70207(P2010−70207A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238592(P2008−238592)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000116127)ニッタ・ハース株式会社 (150)
【Fターム(参考)】