説明

ハンマー粉砕装置

【課題】ハンマーを用いた粉砕装置に用いられるスクリーンの交換作業の時間ロスの低減を図り、併せて、粉砕装置を狭小場所へ設置して運転させることを可能にした粉砕装置を提供する。
【解決手段】ケーシング6に着脱自在に取り付けられるスクリーン支持具31と、ケーシング下方の周壁11に形成された保守開口14と、保守開口14と粉砕室2の下方とをつなぐガイドレール15とを備え、スクリーン支持具31は、粉砕室2の周壁面にスクリーンプレート30を取付けるフランジ、格子状に組み合わされてスクリーンプレートを支えるリブ及び摺動脚部を有する複数のスクリーンホルダー24、34とこれらのスクリーンホルダーを相互に屈曲自在に連結するヒンジ54とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマーを用いて、種々の廃材や廃棄物を細かい粒度の粉粒体に粉砕する粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄プラスチック、稲藁等の廃材や廃棄物、コンクリート塊等の産業廃棄物(以下では、これら機械的に粉砕される対象物を総称して粉砕対象物ともいう)或いは、これらの廃棄物が混合された廃棄物を所定の大きさに細かく粉砕する粉砕機乃至は細かな粒状の粉砕片に粉砕する粉砕装置(本発明では、特に区別の必要がない場合は、これら総ての粉砕機、粉砕装置、その他の粉砕装置を総称して単に粉砕装置ともいう)は、多くの種類の装置が提供されている。
【0003】
この粉砕装置の中には、ハンマーミルやハンマークラッシャー等と称して、回転するローターに取付けられたハンマーを粉砕対象物に当接させ、ハンマーの慣性力を利用した打撃力で粉砕対象物を粉砕、或いは細粒状の破砕片に粉砕(以下では、これらの粉砕や破砕をまとめて単に粉砕ともいう)する機構を有した粉砕装置(以下では、ハンマー粉砕装置という)もある(例えば、文献1参照)。
【0004】
ハンマー粉砕装置は、粉砕運転中は、粉砕室に存在する多くの粉砕対象物が、回転軸によって駆動されるハンマーの回転によって、粉砕室の中を回転する力を与えられ、粉砕対象物はハンマーの公転回転軸を中心とした渦流のようになって粉砕室内を周回する。一方、回転軸によって駆動され、粉砕室内を公転周回するハンマーは、このような粉砕対象物の渦流を粉砕室内に発生させつつ、渦流よりも早い速度で粉砕対象物の中を通過するので、ハンマーが進行する方向に面したハンマーの端面が粉砕対象物に当り、ハンマーの衝撃力で粉砕対象物を粉砕するように作用させている。
【0005】
粉砕室内で粉砕された粉砕片は、粉砕室の周壁の下方に形成されたスクリーン、スリット又はロストル等(以下これらをまとめてスクリーンともいう)によって篩い分けされ、粉砕片の中で所定の大きさ以下に粉砕された粉砕片はスクリーンを経て粉砕室の下方に落下する(所定の大きさ以下に粉砕された粉砕片を粉粒体ともいう)。
【0006】
一方、粉砕が所定の大きさに至っていない粉砕片は、再び、粉砕対象物の渦流に乗って粉砕室内を周回しながらハンマーの衝撃を受けて更に粉砕が続けられる。
【0007】
このような粉砕対象物の粉砕は、回転するハンマーの衝撃力によるのみならず、粉砕室の周壁に反発体等あれば、反発体と粉砕対象物との衝突によっても粉砕が行なわれる。また、粉砕対象物が反発体によって周回速度を低減させられるときは、速度が低下した分、粉砕対象物がハンマーから受ける衝撃力も大きくなり、粉砕の作用が増大する。
【0008】
また、粉砕室の周壁の周面に連続して取り付けられているスクリーンは、粉砕室を周回する粉砕片の中から所定の大きさ以下に粉砕された粉砕片を篩い分けするため、粉砕対象物や粉砕片に対しては反発体と類似した作用、即ち、粉砕片の周回移動の抵抗作用をして粉砕を助長する一方、スクリーン自身は、粉砕運転中、周回する粉砕対象物や粉砕片にさらされて激しく磨耗したり摩損したりするので、スクリーンの補修や交換を余儀なくされる。
【0009】
このため、従来の此の種の粉砕装置は、装置のケーシングの上蓋を開けて、スクリーンを粉砕装置の上方へ引き出す装置(文献1参照)、又は、ケーシング内に横架してハンマーを具えた回転体の下部を包囲するロストルを具えたハンマークラッシャーにおいて、ロストルを回転体の軸芯の略真下位置で、該軸芯に沿う方向に分割できるようにすると共に、ケーシングの軸芯に沿う方向に延びる前後の壁板には、夫々分割したロストルの分割体を挿脱可能な開口を設けた装置が提案されている。(文献2参照)。
【0010】
しかし、ケーシングを開けて、スクリーンを粉砕装置の上方へ引き出す作業に関してはスクリーンを上に引き上げる大かかりの装置や作業空間の環境を確保する必要がある。また、ロストルを回転軸の軸芯に沿う方向に分割して左右にスクリーンを引出す方式では、粉砕装置の設置場所として、スクリーン引き出しの為のスペースを粉砕装置の回転軸方向と交又する方向の両側へ確保する必要がある。
【0011】
この為に従来の粉砕装置では、スクリーンの保守、交換作業に危険が多く、交換作業に多くの時間が掛かり、粉砕装置による生産時間の損失も増して装置の稼働率が低下する上に、粉砕装置の設置時には、その周辺にスクリーン引出しのための余計なスペースを必要とし粉砕の作業性が悪くなるおそれが高かった。
【0012】
また、ハンマー粉砕装置では、スクリーンの交換、保守が頻繁に行なわれるにも拘わらず、従来の粉砕装置は、保守・補修に適した構造でないために、ハンマー粉砕装置を狭い場所、スクリーン引き出しの為の充分なスペースを装置の左右に確保できない場所には、ハンマー粉砕装置を設置して稼動させることが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−230295号公報 (第2−第5頁、図1-図5)
【特許文献2】特開2007−44599号公報 (第2−第5頁、図1-図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ハンマー粉砕装置に用いられるスクリーンの交換をするときの交換作業の危険性及び作業時間ロスの低減を図り、併せて、ハンマー粉砕装置を狭小場所へ設置し稼動させることを可能にした粉砕装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような課題を解決するためになされた本発明のハンマー粉砕装置は、粉砕対象物を投入する投入口を有したケーシングと、該ケーシング内に横方向に設けられた円筒状の粉砕室と、該粉砕室内に回動自在に支持されたローターと、該ローターに揺動自在に取付けられた複数のハンマーと、ローターを介して前記ハンマーを粉砕室内で回転させる回転軸と、粉砕室内で粉砕された粉砕片を選別して粉砕室の外へ排出するスクリーンと、該スクリーンを構成するスクリーンプレートを粉砕室の下方に支持するスクリーン支持具とを備えた粉砕装置において、
該粉砕装置は、前記スクリーンプレートを取付け、かつ、ケーシングに着脱自在に取り付けられるスクリーン支持具と、ケーシング下方の対向する周壁のそれぞれに形成された二つの保守開口と、それぞれの保守開口と粉砕室の下方とをつなぐガイドレールとを備え、前記スクリーン支持具は、粉砕室の周壁面に連続する曲面にスクリーンプレートを取付けるフランジ、前記スクリーンプレートで粉砕室の周壁に沿う曲面を形成するように格子状に組み合わされてスクリーンプレートを支えるリブ及びスクリーン支持具をレール上に摺動自在に支える摺動脚部を有する複数のスクリーンホルダーとこれら複数のスクリーンホルダーを相互に屈曲自在に連結するヒンジとを有したハンマー粉砕装置である。
【発明の効果】
【0016】
スクリーンは、粉砕装置の側面側から引出及び/又は挿入し、スクリーン支持具に取り付けられたスクリーンの交換や補修の作業をすることができるので、スクリーンの交換時間、補修作業時間の大幅な短縮と作業の安全性が確保される。また、このスクリーンの交換、補修作業は、粉砕装置のいずれか一方の側面に作業空間が存在すれば、その側の周壁に保守開口を介してスクリーン挿脱の作業をおこなえるので、従来のように、粉砕装置の両側に作業空間を必要とすることもなく、狭い作業空間にも粉砕装置を設置し、粉砕対象物の粉砕作業を可能にする粉砕装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るハンマー粉砕装置を示す平面図である。
【図2】本発明のハンマー粉砕装置の要部を破断した側面図である。
【図3】図1に示すハンマー粉砕装置のIII-III断面図である。
【図4】本発明のハンマー粉砕装置に使用するスクリーン支持具の構造の一実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明のハンマー粉砕装置に使用するスクリーンホルダーとスクリーンプレートとの組立構成の一実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明のハンマー粉砕装置のスクリーン支持具によるスクリーンの挿脱関係の一実施形態を模式的に示す説明図であり、a)は、粉砕室にスクリーンを取付けた状態、b)は、粉砕室からスクリーンを取外し、スクリーンホルダーと共にガイドレール上を移動させる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るハンマー粉砕装置の実施形態を図面に基づき説明する。
【0019】
本発明のハンマー粉砕装置は、一実施形態として図1乃至図3に示すように、機枠1に横方向に取付けられた略円筒型の粉砕室2と、該粉砕室に粉砕対象物を取り込むために上方に向かって開口した投入口3と、粉砕室2に投入された粉砕対象物を粉砕するハンマー4と、該ハンマーに粉砕力を与える原動機5と、これらの機器を支持・収納するケーシング6とから構成されている。
【0020】
ケーシング6は、機枠1及び周壁7、8、9、10並びにこれらを支える基台11から構成され、機枠1は、粉砕室2、該粉砕室の下方のスクリーン12、原動機5及び後述する回転軸の軸受13、13などの機器部品を定まった位置に支えている。
【0021】
ケーシング6の下方には、後述する回転軸の軸方向に延びるケーシング側壁10に、スクリーン12の保守、交換やケーシング内部の機器の補修用の保守開口14が設けられ、保守開口14とスクリーン12の下方との間には、保守開口14と粉砕室の下方とをつなぐガイドレール15が回転軸方向とは直角な方向に取付けられ、スクリーン12の下方には篩い分けされた粉粒体を粉砕装置の外に取出す取出口(図示省略)が設けられている。
【0022】
16は、保守開口14を開閉する蓋であり、この蓋16は、随時、取付け取り外しをして、保守開口14を開閉できるように、ボルト17、17によって下方周壁10に取付けられている。
【0023】
粉砕室2は、ハンマー4の先端に取付けられたヘッド18の回転軌跡によって形成される円筒形とほぼ同じ形状になるように、半円筒の周壁7、周壁8、周壁9とスクリーン12及び端壁19とを組合わせて形成され、機枠1に支持された周壁8、周壁9によって粉砕室2の中心軸が略水平となる横方向に設置されている。周壁7は、周壁8とケーシングの頂壁20との間に取付けられて粉砕室2の上壁を形成し、該周壁7は、頂壁20に固着しているボルト21を緩めることにより、周壁8に設けられた周壁用ヒンジ22を軸に開放され、粉砕室2の中の機器部品の点検・補修ができるようになっている。
【0024】
ハンマー4は、ハンマーアーム23の先端にハンマーヘッド18を有し、ハンマーアーム23は、揺動ピン25を介して回転軸26に連結され、回転軸26を介して得た原動機5の回転力を、衝撃力及び剪断力として粉砕対象物に、作用させ粉砕対象物を粉砕する機能を有している。
【0025】
ハンマー4を駆動する回転軸26は、軸受13,13でケーシング側に支持され、粉砕室2の略中心に水平方向に取付けられている。該回転軸26には、ローター48が固定され、該ローター48、48間に取り付けられた揺動ピン25を介して揺動自在に取付けられたハンマー4に、原動機5の回転力を伝えハンマー4を揺動させながら粉砕室内を回転させている。
【0026】
ハンマー4には、種々の形状のヘッド18が使用でき、例えば、粉砕対象物と衝突する端面が矩形の直方体形状のヘッド18を前後対称となるようにしてアーム23の先端にT字型になるように取付けたヘッド18を有するハンマー(以下ではこの形状のハンマーを打撃粉砕型ハンマーともいう)、或いは、ハンマーアーム23の先端に直方体形状のハンマーヘッド18をT字型になるように取付け、かつ、該ハンマーヘッドのアーム側の角肉部を減じてハンマーの回転方向側を先細形状にした左右対称にしたハンマー(以下では先細形状型ハンマーともいう)等がある。
【0027】
ハンマー粉砕装置は、ハンマーの選択・組合わせによって、例えば、打撃粉砕型ハンマーのヘッドのみを用いた粉砕装置、先細形状型ハンマーのヘッドのみを用いた粉砕装置、一本のアーム23に打撃粉砕型ハンマーのヘッド、先細形状型ハンマーのヘッドとを混在させて取付けた装置等、粉砕装置の用途、目的、或いは、粉砕対象物の性状に適したハンマーを組込んで、多様な粉砕装置を提供することができる。
【0028】
27は、このように揺動しながら粉砕室内を回転するハンマー4と協働し(ハンマーとの相互作用を与え)て、粉砕対象物に衝撃粉砕力、切断力及び/又は剪断力を作用させる反発バー乃至は反発体(以下これらを総称して反発体ともいう)である。
【0029】
反発体27は、ハンマー4と対向し、かつ、粉砕室2の周壁7乃至9の内面の全幅L(回転軸方向の粉砕室の長さ)にわたって取付けられ、或いは、補修などのときは随時、粉砕室2から取外しができるように粉砕室2の周壁7、周壁8、周壁9にボルト28で着脱自在に取付けられている。
【0030】
原動機5は、主に電動機が用いられ、軸受13,13でケーシング側に支持された回転軸26とカプリング29を介して、その回転駆動力をハンマー4に供給する。原動機5は、制御装置(図示省略)に接続されて、その回転速度及び/又は回転方向が制御される。この制御は、例えば、粉砕対象物の種類は性状、粉砕室における粉砕対象物の粉砕の進行状況をセンサで感知して、各状況に適した回転速度と回転方向を設定して原動機を制御する。このことにより粉砕効率を上げたり或いは、ハンマーの摩損状況、例えば、粉砕対象物に当接して衝撃力を与える側のハンマーの端面及び/又は刃先が磨耗したり損傷したときは、回転軸を逆転させて粉砕装置を停止することなく連続的に粉砕運転を継続させ粉砕装置の稼働率を上げることもできる。
【0031】
スクリーン12は、図2及び図3で示すように、粉砕された粉砕片の中から所定の大きさ以下に粉砕された粉粒体を篩い分けするスクリーンプレート30と該スクリーンプレート30を機枠側に取付けるスクリーン支持具31から構成されている。
【0032】
スクリーンプレート30は、図5に示すように、対磨耗性のある薄板に、粉砕片を所定の大きさに篩い分けする篩い穴32を多数穿孔したプレートであり、スクリーンプレート30には、該スクリーンプレートを後述するスクリーンホルダー24、34に取り付けるためのフランジ35及び該フランジにあけられたバカ穴36、並びにスクリーンプレート30の周辺に直接に設けられたネジ穴37を有している。
【0033】
スクリーンプレート30の種類は、このような篩い穴32のあるプレートのほかに、粉砕片を所定の大きさに篩い分けする細いスリットを形成したプレート(図示省略)、或いは、粉砕片を所定の大きさに篩い分けするスリットまたは小穴を鋳造品で形成した薄板状のロストル(図示省略)等が使用できるが、以下の説明では、これを区別する必要のない限り、総括してスクリーン12と称して説明する。
【0034】
スクリーン支持具31は、図4a)、b)に示すように、複数のスクリーンホルダー24、34及びその関連部品から構成されている。a)は、スクリーンホルダー24、34の平面図、b)はスクリーンホルダー24、34の側面を示している。スクリーンホルダー24、34は、それぞれ、上フランジ38、下フランジ39、側フランジ40で形成された枠41に、回転軸方向取付けられる縦リブ42と、該縦リブと交叉する横リブ43とを格子状に組合わせて形成され、スクリーンプレート30のバカ穴36、ネジ穴37を使って、上フランジ38、下フランジ39、側フランジ40にスクリーンプレート30をネジ止めすることにより、スクリーンを形成している。(図5参照)
【0035】
軸方向に延びる縦リブ42およびこれに直交する横リブ43は、スクリーンプレート30を通過し、篩い分けされる粉砕片の通過の妨げを少なくすると同時に、粉砕室の周壁8,周壁9に連続して粉砕室2の下方の周壁面を形成するスクリーンプレート30が、粉砕室内を周回する粉砕対象物及び/又は粉砕片の擦過力に耐えて粉砕片の篩い分けをする強度を保てるように保持している。
【0036】
このため、スクリーンホルダー24、34の上面を形成するリブ42、43の中、スクリーンプレート30と直接に接する横リブ43のスクリーンプレート30との接触面49は、スクリーン支持具31が粉砕室2の下方に取付けられたときに、スクリーンプレート30が、粉砕室2の下方の周壁を形成するような形の曲面形状を有している(図4参照)。これによって、スクリーンプレート30が、スクリーン支持具31によって粉砕室2の下方に取付けられた時、スクリーンプレート30は、粉砕室2の略全幅Lにわたって粉砕室2の下方を周壁8から周壁9に至る連続した周面に形成(図2及び図3参照)することができる。
【0037】
スクリーンホルダー24、34の上フランジ38、38は、ケーシングの機枠1にスクリーン支持具31を取付けるためのフランジであり、このフランジ38に設けられたタップ穴50を用いて、ケーシング6の機枠1に固定用ネジ51で固定することによりスクリーン12を粉砕室2の所定の位置に装着できる。スクリーンホルダー24、34の下フランジ39は、側フランジ40及び横リブ43によって上フランジ38に強固に組付けられている。
【0038】
スクリーンホルダー24、34の側フランジ40は、スクリーンプレート30のネジ穴37がネジ留めできる穴(図示省略)を有してスクリーンプレート30が取付けできる上面を形成する一方、回転軸方向に延在する縦リブ42によって相互に強固に組付けられている。
【0039】
このようにして、スクリーンホルダー24、34は、横リブ43と該横方向リブと格子状に組合わされる回転軸方向の縦リブ42と、上フランジ38、側フランジ40、下フランジ39とを組合わせ、スクリーンプレート30を粉砕室2の下方に保持するスクリーン支持具31に形成される。
【0040】
下フランジ39と側フランジ40との交叉部分の下方には、二つのスクリーンホルダー24、34を相互に屈曲自在に連結するヒンジ54を形成するヒンジ板55、59が取り付けられ、それぞれのスクリーンホルダーのヒンジ板55、59をピン56で接続する(図6参照)ことにより、スクリーンホルダー24、スクリーンホルダー34からなるスクリーン支持具31は、屈曲自在に連結され、その形状を変化させることのできるスクリーン支持具31、即ち、粉砕室2に取付けられたときは、スクリーンプレート30を粉砕室の周壁8、周壁9に強固に取り付ける支持具として、粉砕室2から取外されるときは、スクリーンプレート30を自由に粉砕装置の外に移動させることができるスクリーン支持具としての機能を有するように構成されている。
【0041】
側フランジ40の下方、即ち、側フランジ40がスクリーンプレート30と当接する面と対峙する下縁には、摺動脚部53が形成されている。摺動脚部53は、スクリーン支持具を支えるために側フランジ40に形成された機能部であり、その位置及び形状は、スクリーンホルダー24、34をヒンジ54を中心にして図6b)に示す如く水平に開いた状態に該摺動脚部53の下面を基準線Pとしたスクリーンホルダー24、34及び該スクリーンホルダーで構成されるスクリーン支持具31の最も上方位置となる部分の高さHがケーシングの下方周壁10に設けた保守開口14の高さh以下になるような位置においてスクリーン支持具31を支え、上記ガイドレール15の上を摺動自在に移動可能にする部分としてスクリーンホルダー24、34に形成されている。これにより、スクリーン支持具31は、図6b)の状態でガイドレール15に沿ってケーシングの外へ移動(図6b)矢印R方向参照)可能となる。
【0042】
なお、図3に示す57は、ガイドレール15の端部に着脱自在にとりつけられるスクリーンホルダー用ストッパーである。このストッパー57は、保守開口14からガイドレール15上をスクリーンプレートと共に移動してきたスクリーン支持具31を粉砕室2に装着するときの位置決めをする補助具であり、保守開口14の開閉の都合によって、ガイドレール15の端部の任意の位置に取り付けられるようになっている。
【0043】
例えば、図3のストッパー57は、図3に示した粉砕装置の右側の蓋16を外し、スクリーン支持具31を図3の右方向に引出してスクリーンプレート30の交換、補修を行った後にスクリーン支持具31を再び粉砕室の下方空間に挿入するときのストッパーである。
【0044】
このガイドレール15とストッパー57とにより、図3の右側の保守開口14から挿入され、レール15に沿って移動し、ストッパー57に当ったスクリーン支持具31を、この場所から該支持具の上フランジ38を持ち上げるようにして粉砕室2の下方に移動すると、上フランジ38は位置決めをされて、機枠1の下方(図3参照)に当接されるので、固定用ネジ51を用いて、機枠1と上フランジ38、38とを固定すると、二つのスクリーンホルダー24、34は、機枠1の下方の設定された位置に固着され、スクリーン支持具31によって、スクリーン12は、粉砕室2の下方の定位置に固定される。
【0045】
このような本発明の粉砕装置について、その働きを説明する。
図2及び図3において、投入口3から投入された粉砕対象物は、粉砕室1において、回転するハンマー4に衝突され、逐次、ハンマーの回転による慣性力が持つ衝撃力を受け、これが粉砕応力となって、ハンマーの当接面から直ちに粉砕或いは粉砕が開始される。
【0046】
粉砕室には、図2でみられるように、粉砕室の全幅にわたってハンマーヘッド18が相互に僅かな間隔をあけて並設され、かつ、各ハンマーは、回転軸を中心に放射状に配設されているので、投入口3のどこから入った粉砕対象物も、ハンマー4から衝撃力と回転方向の力を受けて粉砕が継続的に行われつつ、粉砕室内を周回する。
【0047】
粉砕された粉砕対象物及び種々のサイズの粉砕片は、粉砕室2の中を周回する間に、粉砕室2の下部に至り、所定の大きさに粉砕された粉粒体は、スクリーン12によって篩い分けされて粉砕装置の外に落下する。
【0048】
一方、スクリーン12によって篩い分けられなかった粉砕対象物及び粉砕片は、ハンマー4から更に回転力を受けて加速され、次第に遠心力を増して、粉砕室の周壁19,20に沿って移動する。粉砕室の外周部に多く存在する粉砕片及び粉砕対象物は、ハンマー4から継続的な直接の衝撃による粉砕応力を受けると同時に、周壁19,20に取り付けられた反発体27とハンマー4との協働作用による衝撃、剪断、切断の作用を集中的に受けて粉砕が促進される。
【0049】
このような粉砕装置における粉砕運転において、粉砕室2の下方のスクリーンは、粉砕対象物から所定の大きさ以下に粉砕された粉粒体を篩い分けするのみならず、粉砕室2の下部の周壁の機能、即ち、ハンマー4による衝撃を受けて粉砕されるときの応力に抗しながら粉砕対象物の粉砕室内の周回を支える機能も有している。このため、スクリーンプレート30は、粉砕運転中は粉砕対象物が粉砕応力を受けつつ周回するときの擦過力と、粉砕対象物が粉砕されるときの衝撃力を強く受けて、損傷や磨耗が激しくなるので、適宜、スクリーンプレートの交換と補修を繰り返しつつ、粉砕装置の運転を続けている。
【0050】
このような粉砕装置において、本発明は、上述の実施形態のように、スクリーンの目合い(篩い穴径)の変更や、スクリーンプレート30が磨耗臨界となって、スクリーンプレート30を交換する際は、作業空間が大きく取れる側の粉砕装置の保守開口側から、スクリーン12を取り付けているスクリーン支持具を引き出してスクリーンプレートの交換をするようにしている。
【0051】
このために、まず、作業空間が大きく取れる側(例えば、図3の右側)の粉砕装置の保守開口の蓋16を取外し、スクリーン支持具の上フランジ38を粉砕装置の機枠1に固定するネジ51を外し、スクリーンプレート30を取り付けた状態のスクリーン支持具31をガイドレール15の上に降ろす。このとき、スクリーン支持具を構成している二つのスクリーンホルダー24,34はヒンジ54によって一体に接続されているスクリーン支持具31はヒンジ54のピン56を軸にして開かれ、スクリーンプレート30は2分割された状態になるが、スクリーン支持具31は、一つの支持具の状態、即ち、スクリーンホルダー24、スクリーンホルダー34は、相互にヒンジ54で連結され、スクリーンホルダーの摺動脚部によってレールの上に乗せられた一つの支持具の状態(図6b)参照)にあるので、スクリーン支持具31は、一体のものとして、上記の作業空間が確保された図3の右側の保守開口14側へ引き出すことができる(図6b)矢印R方向参照)。
【0052】
スクリーンプレート30を交換、補修する作業は、このようにして、保守開口14を介して取り出されたスクリーンホルダー24,34にスクリーンプレートを固定しているネジ58をはずせば良いので、スクリーンの目合いの変更や、スクリーンプレートの交換作業は、粉砕装置の直近で行うことができる。
【0053】
交換、保守作業を終了したスクリーンプレート30が、ネジ58で取付けられたスクリーンホルダー24,34は、ヒンジ54で連結されたまま、スクリーン支持具31として、保守開口14から挿入され、レール上をストッパー57に当たるまで滑らせ、スクリーン支持具の先端がストッパー57に当った時点で、スクリーン脱着ハンドル等の作業治具等を用いて機枠1まで持ち上げ、スクリーンホルダーの上フランジ38と機枠1との位置きめをしつつ固定用ネジ51で締め付けると、脱着・交換、補修作業を終わったスクリーンプレート30はスクリーン支持具31によって粉砕装置のケーシングに装着することができる。
【0054】
なお、これら、スクリーンプレートの交換、補修の作業スペースは、粉砕装置の回転軸方向と直交する装置の幅方向の寸法より若干長目のスペースを粉砕装置の横に確保されれば充分である。また、上記ストッパー(レールに付属)は左右任意の方向に取り付けられるようになっているので、作業スペースが粉砕装置の反対の側面のとき、或いは、粉砕装置の設置場所の都合で、保守開口14が上述した側面と反対の側面になるときは、ストッパー57の取付け位置も上記とは反対方向(図3に示すレールの右端)に取付けると、上記とは、反対側(図3の左側の保守開口14)から、上記と全く同様にして、スクリーンホルダー24、34に支えられたスクリーンプレート30をガイドレール15に沿って取出し(図6b)矢印S方向参照)、スクリーンの補修や交換をして再度、上記と同様にしてスクリーンホルダー24、34からなるスクリーン支持具31を粉砕室2の下方に挿入し、その後に粉砕室2の下部にスクリーン支持具31を取り付けてスクリーンの交換作業を終了することができる。
【0055】
このように本発明のハンマー粉砕装置においては、スクリーンプレートの交換、補修作業は、粉砕装置のいずれか一方の側面に作業空間が存在すれば、その側の周壁に設けた保守開口を介してスクリーン挿脱の作業をおこなえるので、従来のように、粉砕装置の両側に作業空間を必要とすることもなくなり、従来は設置が難しかったような狭い場所にも粉砕装置を設置し、その設置場所で、粉砕対象物の粉砕作業及び装置で使用されるスクリーンプレートの交換、補修作業を可能にした粉砕装置を提供することができる。
【0056】
また、本発明は、磨耗、損傷が激しく、頻繁に補修、交換が必要となるハンマー粉砕装置におけるスクリーンを、粉砕装置の任意の一方側から引き出し、かつ、大掛かりな道具をつかうことなく、粉砕装置の直ぐ近くでこれらの補修や交換を行う事ができるので、スクリーンの交換時間、補修作業時間の大幅な短縮と作業の安全性が確保され、作業経費の節約を実現するとともに、粉砕作業運転の稼働率を上げた粉砕装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 機枠
2 粉砕室
3 投入口
4 ハンマー
5 原動機
6 ケーシング
7 周壁
8 周壁
9 周壁
10 周壁
11 基台
12 スクリーン
13 軸受
14 保守開口
15 ガイドレール
16 蓋
17 ボルト
18 ヘッド
19 端壁
20 頂壁
21 ボルト
22 ヒンジ
23 アーム
24 スクリーンホルダー
25 揺動ピン
26 回転軸
27 反発体
28 ボルト
29 カプリング
30 スクリーンプレート
31 スクリーン支持具
32 篩い穴
34 スクリーンホルダー
35 フランジ
36 バカ穴
37 ネジ穴
38 上フランジ
39 下フランジ
40 側フランジ
41 枠
42 縦リブ
43 横リブ
44 接触面
45 バカ穴
46 ボルト
47 軸受
48 ローター
49 接触面
50 タップ穴
51 スクリーン支持具固定用ネジ
52 下縁
53 摺動脚部
54 ヒンジ
55 ヒンジ板
56 ヒンジのピン
57 ストッパー
58 スクリーンプレート取付けネジ
59 ヒンジ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕対象物を投入する投入口を有したケーシングと、該ケーシング内に横方向に設けられた円筒状の粉砕室と、該粉砕室内に回動自在に支持されたローターと、該ローターに揺動自在に取付けられた複数のハンマーと、ローターを介して前記ハンマーを粉砕室内で回転させる回転軸と、粉砕室内で粉砕された粉砕片を選別して粉砕室の外へ排出するスクリーンと、該スクリーンを構成するスクリーンプレートを粉砕室の下方に支持するスクリーン支持具とを備えた粉砕装置において、
前記ケーシングは、ケーシングの下方の保守開口と粉砕室の下方との間にガイドレールを備え、かつ、前記スクリーン支持具は、複数の支持部(スクリーンホルダー)と各支持部(スクリーンホルダー)に取付けられたスクリーンプレートから成り、該複数の支持部(スクリーンホルダー)は、隣同志が組み合わされていて、第一の状態では、スクリーン支持具は、ケーシングに固定されてスクリーンプレートが隣り合って粉砕室の周壁面を形成し、第二の状態では、スクリーン支持具はケーシングから離脱され、かつ、展開してガイドレールに沿って移動可能となることを特徴とするハンマー粉砕装置。
【請求項2】
前記スクリーン支持具を構成するスクリーンホルダーは、粉砕室の周壁が形成する曲面に連続する曲面を形成するようにスクリーンプレートを支える支持曲面を有した横方向リブと該横方向リブと格子状に組合わされた回転軸の軸方向の縦リブと、スクリーンプレートを着脱自在に支持するフランジを有している請求項1に記載のハンマー粉砕装置。
【請求項3】
前記スクリーンホルダーに設けられた摺動脚部は、該摺動脚部を基準線としたスクリーン支持具の高さがケーシングの側壁に設けた保守開口の高さ以下になるような位置において形成されている請求項1または2のいずれか一項に記載のハンマー粉砕装置。
【請求項4】
前記スクリーン支持具を構成する複数のスクリーンホルダーは、それぞれのスクリーンホルダーでスクリーンを保持し、かつ、スクリーンホルダーが相互にヒンジで連結されてスクリーンホルダーの摺動脚部によってガイドレールに支持された状態では、スクリーンホルダーがスクリーンと共に、前記保守開口を介して、粉砕装置本体から、挿入、引出可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハンマー粉砕装置。
【請求項5】
前記保守開口は、ケーシング下方の周壁の互いに対向する少なくとも2つの側面に設けられ、それぞれの保守開口は、粉砕室の下方との間にスクリーンホルダーを摺動自在に支えるガイドレールを有し、かつ、保守開口は、複数のスクリーンホルダーがそれぞれスクリーンを保持してヒンジで接続された状態で粉砕室の下方へ挿入及び/又は粉砕室の下方から引出しできる大きさの開口であることを特徴とする請求項1または4のいずれか一項に記載のハンマー粉砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−251216(P2011−251216A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125017(P2010−125017)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000121327)遠藤工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】