説明

ハードコート層形成用樹脂組成物

【課題】帯電防止性、表面剥離性を付与しうるハードコート層形成用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(C) (A)4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体およびこれと共重合可能な(メタ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマー、 (B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、 (C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマーを含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート層形成用樹脂組成物に関し、更に詳細には、帯電防止性や表面剥離性も優れたハードコート層を形成するために利用できるハードコート層形成用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)をはじめとする画像表示装置の普及率は著しく拡大している。これらのディスプレイの画面表示部あるいは表示体では、そのガラス面を保護するために、ハードコート処理したフィルムが使用されている。
【0003】
一般にガラス面を保護するために使用されるフィルムとしては、機械特性、耐熱性、透明性などに優れた特性を有することから、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムあるいはシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等が使用されている。しかしながら、PETをはじめプラスチックは、通常、電気絶縁性であるためフィルム表面が帯電し、ゴミなどが付着しやすく、その取り扱いにおいては、クリーンな雰囲気の設定など、注意が必要とされている。
【0004】
一方、前記したハードコート処理は、単独ではB以下の鉛筆硬度(JIS K6894)しか有しないアクリルなどの樹脂材料に、EB(電子ビーム)や、UV(紫外線)の照射、あるいは加熱などを行ってこれらを硬化させ、その硬度を鉛筆硬度2H以上に向上させることにより行われている。しかしながら、前記したようにガラス面保護用フィルムは静電気を帯びやすく、それに伴う汚れ付着によって画面情報が認識し難くなるという問題があった。
【0005】
従来、このようなハードコート層形成用樹脂としては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または放射線硬化型樹脂、導電性ポリマーおよび(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する相溶化剤からなる塗料組成物が知られている(特許文献1)。しかしこのものを利用して得られる被膜は、帯電防止性が悪く、また、硬度も鉛筆硬度でH程度と高いものではなかった。
【0006】
同様、4級アンモニウム塩を有する単量体、架橋性オリゴマー、多官能の(メタ)アクリル酸エステルおよび光重合開始剤からなる紫外線硬化型樹脂組成物も知られているが(特許文献2)、この組成物を用いた硬化物被膜も、帯電防止性が悪く、また、硬度も鉛筆硬度でHB程度と低かった。
【0007】
従って、実用上満足しうる帯電防止性や硬度、あるいはこれを利用した表面保護フィルムを除去する際の表面剥離性が優れたハードコート層を形成しうる手段の提供が求められていた。
【0008】
【特許文献1】WO 03/055950A1
【特許文献2】特開平5−98049号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、ハードコート処理で得られる被膜は、使用中の擦りキズ防御などの面からは、鉛筆硬度2〜3Hでは不十分であり、それ以上の硬さになることが求められている。
【0010】
従って本発明の課題は、鉛筆硬度が4H以上という十分な硬度のハードコート層を形成することができると共に、優れた帯電防止性を有し、更にこれを用いたフィルムに優れた表面剥離性を付与しうるハードコート層形成用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体と、これと共重合可能な(メタ)アクリル系単量体を使用して調製される(メタ)アクリル系コポリマーに、3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマーおよび2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマーを加えて得られた樹脂組成物は、十分な硬度のハードコート層を形成することができるものであり、しかも優れた帯電防止性等の物性を有することを見出した。更に、上記(メタ)アクリル系コポリマーにポリジメチルシロキサン基やフッ素化アルキル基を導入することで、より優れた表面剥離性を有するハードコート層形成用樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C)
(A)4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体およびこれと共重合可能な(メ
タ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマー、
(B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、
(C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマー
を含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
また本発明は、次の成分(A')〜(C)
(A')4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体、ポリジメチルシロキサン基
もしくはフッ素化アルキル基を有するビニル基含有単量体およびこれらと共重合
可能な(メタ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポ
リマー、
(B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、
(C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマー
を含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物を提供するものである。
【0014】
更に本発明は、次の成分(A)〜(D)
(A)4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体およびこれと共重合可能な(メ
タ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマー、
(B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、
(C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマー、
(D)上記(A)〜(C)と相溶可能なシリコーンポリマー
を含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハードコート層形成用樹脂組成物は、これを塗布後重合させることにより、十分な硬度を有し、しかも実用上満足しうる帯電防止性や優れた表面剥離性を有するハードコート層を形成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明において、成分(A)として用いられる(メタ)アクリル系コポリマーは、4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体およびこれと共重合可能な(メタ)アクリル系単量体を共重合して得られるものである。
【0017】
この(メタ)アクリル系単量体を製造するには、4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体(以下、「モノマー(a)」ということがある)およびモノマー(a)と共重合可能な(メタ)アクリル系単量体(以下、「モノマー(b)」ということがある)を常法に従って共重合させることにより製造することができる。
【0018】
これらモノマーのうち、モノマー(a)は、トリアルキルアンモニウム基等の4級アンモニウム基と、ビニル基を有するものであり、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類等の(メタ)アクリル系モノマーを、塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等で4級化した4級塩として得られるものである。
【0019】
モノマー(a)の具体例としては、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルトリエチルアンモニウムブロマイド、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルトリブチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルメチルエチルブチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルジメチルフェニルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルジメチルシクロヘキシルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
なかでも、2−ヒドロキシ−3−メタアクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチレンによる4級塩が好ましい。
【0021】
更に、モノマー(b)としては、上記モノマー(a)以外の、(メタ)アクリル系モノマーであり、その具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ヒドロキシブチル等のアクリル酸エステル系単量体、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等を挙げることができる。このうち、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル等が好ましい。
【0022】
上記成分(A)である(メタ)アクリル系コポリマーの製造は、具体的には、0.5ないし80質量%(以下単に「%」で示す)、好ましくは、20ないし60%のモノマー(a)、20ないし99.5%、好ましくは、40ないし80%のモノマー(b)を、必要により、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルセロソロブ等の適当な溶媒や、反応開始剤と共に反応容器に取り、これを50ないし90℃程度、好ましくは、60ないし80℃程度の温度で、2ないし8時間、好ましくは、4ないし6時間程度反応させればよい。また、この反応は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等、周知な方法で行うことができるが、反応性および相溶性の点から、溶液重合で行うことが好ましい。
【0023】
かくして得られる成分(A)は、その重量平均分子量が、10,000ないし150,000程度、好ましくは、50,000ないし100,000程度のものであり、モノマー(a)に起因する4級アンモニウム基を有するものであるため、優れた帯電防止性能を有するものである。
【0024】
また、本発明において成分(A')として使用される(メタ)アクリル系コポリマーは、前記したモノマー(a)、モノマー(b)の他、ポリジメチルシロキサン基有するビニル基含有単量体((メタ)アクリロイル基含有オルガノポリシロキサン;以下、「モノマー(c)」ということがある)もしくはフッ素化アルキル基を有するビニル基含有単量体(以下、「モノマー(d)」ということがある)を常法に従って共重合させることにより製造されるものである。
【0025】
上記モノマー(c)の例としては、例えば、下式(1)のような構造を有するものが挙げられる。
【化1】

(但し、R〜Rはアルキル基またはアリール基、RはC〜C10のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは10〜200の整数である)
【0026】
上記式(I)において、R〜Rはすべてメチル基であるのが好ましく、Rはプロピレン基であることが好ましい。
【0027】
本発明のモノマー(c)としては、具体的にはメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン、アクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシブチルポリジメチルシロキサン、アクリロキシブチルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピルポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
【0028】
一方、モノマー(d)は、水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、例えばパーフルオロオクチルエチルアクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート、N−メチルパーフルオロオクチルスルフォンアミドエチルアクリレート、N−メチルパーフルオロオクチルスルフォンアミドエチルメタクリレート、N−メチルパーフルオロヘキシルスルフォンアミドエチルアクリレート、N−メチルパーフルオロヘキシルスルフォンアミドエチルメタクリレート、N−プロピルパーフルオロヘキシルスルフォンアミドエチルアクリレート、N−プロピルパーフルオロオクチルスルフォンアミドエチルアクリレート、パーフルオロヘプチルカーボンアミドエチルアクリレート等が挙げられる。中でも好ましくはアルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロオクチルエチルメタクリレートが使用される。
【0029】
また、成分(A')の製造方法は、成分(A)の製造方法とほぼ同じであるが、製造に当たってのモノマーの量は、モノマー(a)が0.5ないし80%、好ましくは、20ないし60%であり、モノマー(b)が20ないし99.5%、好ましくは、40ないし80%であり、モノマー(c)が0.5ないし20%、好ましくは、2ないし10%であり、モノマー(d)が0.5ないし30%、好ましくは、2ないし15%である。更に、上記モノマーとの相溶性の良い溶媒の選択にも注意を要する。
【0030】
一方、本発明の成分(B)である3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマーとしては、例えば、式(2)で示されるポリイソシアネートと少なくとも1個の水酸基を有する単官能若しくは多官能(メタ)アクリレートモノマーと反応させて得られるポリウレタンオリゴマーが挙げられる。
【0031】
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基または置換フェニレン基を示す)
【0032】
上記の成分(B)としては、3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマーは、市販品を用いることができる。市販されている商品としては、例えば、新中村化学工業(株)製 商品名:NKオリゴU−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等を挙げることができる。
【0033】
この成分(B)は、次に説明する成分(C)と相俟って十分な硬さを与える作用を有するものである。
【0034】
更に本発明の成分(C)である2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性シジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性シジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、並びにこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。特にジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
【0035】
本発明のハードコート層形成用樹脂組成物の一つの態様は、上記成分(A)または(A')と、成分(B)および成分(C)を配合し、必要によりこれに重合開始剤を添加したものである。
【0036】
この態様のハードコート層形成用樹脂組成物は、0.5ないし50%、好ましくは10ないし30%の成分(A)または成分(A')、0.5ないし50%、好ましくは10ないし50%の成分(B)、0.05ないし90%、好ましくは30ないし60%の成分(C)および0.05ないし10%の重合開始剤(但し、各成分の総量は、100%を超えない)を、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソロブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等あるいはこれらの混合溶媒等の適当な溶剤に懸濁、分散させ、必要により他の任意成分を含有させることにより製造することができる。
【0037】
また、本発明のハードコート層形成用樹脂組成物の第二の態様として、上記成分(A)、成分(B)および成分(C)の他に成分(D)としてこれら成分(A)〜(C)と反応可能なシリコーンポリマーを配合し、必要によりこれに重合開始剤を添加したものを挙げることができる。
【0038】
この態様で使用される成分(A)〜(C)と相溶可能なシリコーンポリマー(成分(D))としては、式(1)で示したモノマーとその他共重合可能なアクリルモノマーとを共重合して得られたポリマーの他に、シロキサン単位(RSiO―)を有する(メタ)アクリルモノマーが重合してなるオルガノポリシロキサン等が挙げられ、このうち、反応性および他のポリマーとの相溶性の点から式(1)で示したモノマーを重合して得られたホモポリマーが好ましい。また、本発明で用いるシリコーンポリマーとしては、市販品を用いることができる。シリコーンポリマーとして市販されている商品としては、カネカ(株)製 商品名:MSポリマー S−203H、綜研化学(株)製 商品名:アクトフローC−GBF等が挙げられる。
【0039】
上記第二の態様のハードコート層形成用樹脂組成物の製造方法は、前記した態様のハードコート層形成用樹脂組成物とほぼ同一であるが、各成分の配合量は、成分(A)が0.5ないし90%、好ましくは10ないし50%、成分(B)が0.5ないし90%、好ましくは10ないし50%、成分(C)が0.05ないし90%、好ましくは30ないし60%、成分(D)が0.5ないし30%、好ましくは5ないし20%、重合開始剤が、 0.05ないし10%である(但し、各成分の総量は、100%を超えない)。
【0040】
かくして得られる本発明のハードコート層形成用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ということがある)は、次のように使用することができる。すなわち、まず、樹脂組成物を、ガラス面を保護するために使用されるフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等の上に塗工し樹脂組成物層を形成する。次いで、この樹脂組成物層に、光、紫外線、電子線、熱等の重合開始手段を作用させ、当該樹脂組成物層を硬化させることにより、フィルム上にハードコート層を形成させることができる。
【0041】
なお、樹脂組成物の塗工は、塗液をローラーから流下して基材へと直接塗布等公知の手段で行うことができ、その塗工厚は、一般には、0.1ないし15μm、好ましくは、0.5ないし5μmである。
【0042】
また、本発明に使用される光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するモノであれば特に限定することはない。例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−4'−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロシキシクロへキシルフェニルケトン等が利用できる。中でも、2−ヒドロキシ−4'−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノンおよび1−ヒドロシキシクロへキシルフェニルケトンが好ましい。
【0043】
更に、光を重合開始手段として使用する場合のその強度は、100ないし1,500mJ/cm程度であり、紫外線を重合開始手段とする場合は、150ないし450nm程度の波長の紫外線を、100ないし1,500mJ/cm程度の強度で使用すれば良い。紫外線照射前、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることも出来る。また、電子線を重合開始手段として使用する場合は、光重合開始剤を使用しなくても硬化することが出来る。
【0044】
以上説明した本発明のハードコート層形成用樹脂組成物を利用することにより、十分な硬度を有し、しかも実用上満足しうる帯電防止性や優れた表面剥離性を有するハードコート層を形成することができる理由は、次のように考えられている。
【0045】
まず、カチオン性基である4級アンモニウム基を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物を使用することにより、優れた帯電防止性能が得られるが、ハードコート層形成用樹脂組成物として十分な硬さを得るためにはこれでは不十分であり、2〜6官能基を有するアクリルモノマーと3官能基以上のビニル基を有するウレタンオリゴマーを樹脂組成物に添加することで、十分な硬さが得られることになる。
【0046】
さらに、ポリジメチルシロキサン基若しくはフッ素化アルキル基をベースとなるポリマーに含有させたり、組成物中に更にシリコーンポリマーを配合することにより、透明性を更に向上させると共に、剥離性などの性能を向上させることが可能となったのである。
【実施例】
【0047】
次に実施例、製造例、比較例および試験例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
【0048】
製 造 例 1
(メタ)アクリルアミドから誘導される4級アミン性官能基を有する樹脂
の製造:
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹込み口を備えた4つ口フラスコに、ブチルメタクリレート45g(0.32mol)、ジメチルアミノエチルメタクリレート36g(0.23mol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5g(0.04mol)およびメタノール85gを仕込み、65℃で6時間反応させた。次いでこの反応物に、4級塩化剤であるジメチル硫酸
29g(0.23mol)を約1時間半かけて滴下し、滴下終了後そのまま反応を継続し、4時間かけて冷却した。生成物は、固形分濃度50%であり、得られたポリマーは、4級アミン性官能基を有する(メタ)アクリルコポリマーであった(以下、「樹脂A−1」という)。
【0049】
製 造 例 2
4級アミン性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂の製造:
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹込み口を備えた4つ口フラスコに、ブチルメタクリレート55g(0.39mol)、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩化物30g(0.14mol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5g(0.04mol)およびメタノール100gを仕込み、65℃で6時間反応させた。この反応物を冷却し、4級アミン性官能基を有する(メタ)アクリルコポリマーを得た(以下、「樹脂A−2」という)。
【0050】
製 造 例 3
ポリジメチルシロキサン基を含有する(メタ)アクリル樹脂の製造:
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹込み口を備えた4つ口フラスコに、下記式(3)で示されるα−ブチルーω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製、「FM−0711」)を100g(0.1mol)、メチルメタクリレート33g(0.33mol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.5g(0.06mol)、チオグリセロール6g(0.055mol)および酢酸エチル60gを仕込み、80℃で6時間反応させた。この反応物を冷却し、ポリジメチルシロキサン基を含有する(メタ)アクリルコポリマーを得た(以下、「樹脂A−3」という)を得た。
【0051】
【化3】

【0052】
製 造 例 4
4級アミン性官能基およびフッ素化アルキル基を含有する(メタ)アクリル樹脂
の製造:
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹込み口を備えた4つ口フラスコに、ブチルメタクリレート37g(0.26mol)、ジメチルアミノエチルメタクリレート5g(0.03mol)、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩化物22g(0.10mol)、一般式(4)で示されるパーフルオロオクチルエチルメタクリレート(日本メクトロン(株)製、「CHEMINOXFAMAC−8」)35g(0.1mol)およびメタノール100gを仕込み、65℃で6時間反応させた。この反応物を冷却し、4級アミン性官能基およびフッ素化アルキル基を含有する(メタ)アクリルコポリマーを得た(以下、「樹脂A−4」という;固形分濃度50%)。
【0053】
【化4】

【0054】
製 造 例 5
4級アミン性官能基、ポリシロキサン基およびフッ素化アルキル基を含有する
(メタ)アクリル樹脂の製造:
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹込み口を備えた4つ口フラスコに、ブチルメタクリレート43g(0.3mol)、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩化物50g(0.23mol)、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート(日本メクトロン(株)製、「CHEMINOXFAMAC−8」)を0.5g、α―ブチルーω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製、「FM−0711」)を0.5gおよびメタノール100gを仕込み、65℃で6時間反応させた。この反応物を冷却し、4級アミン性官能基、ポリシロキサン基およびフッ素化アルキル基を含有する(メタ)アクリルコポリマーを得た(以下、「樹脂A−5」という)。
【0055】
実 施 例 1
ハードコート用樹脂組成物の製造(1):
製造例1で得られた樹脂A−1と、1分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有するウレタンオリゴマーであるU−15HA(新中村化学(株)製)と1分子中にエチレン性不飽和基を2〜6個を有する(メタ)アクリルモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製)を、固形分換算で、15:20:65となるように混合した。この混合物100重量部に、1.2重量部の光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184」)を加えて混合し、次いで100重量部のメチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)にて希釈し、ハードコート用樹脂組成物(E−1)を得た。このものをTACフィルム基材上に塗布した後、UV照射して得られたハードコートフィルムは、帯電防止性と表面剥離性とを有するものであった。
【0056】
実 施 例 2
ハードコート用樹脂組成物の製造(2):
製造例2で得られた樹脂A―2と、実施例1で使用したのと同じウレタンオリゴマーおよび(メタ)アクリルモノマーを、固形分換算で15:20:65となるよう混合した。この混合物100重量部に、実施例1と同じ光開始剤を1.2重量部加え、更に100重量部のメチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)にて希釈し、ハードコート用樹脂組成物(E−2)を得た。このものをTACフィルム基材上に塗布した後、UV照射して得られたハードコートフィルムは、帯電防止性と表面剥離性とを有するものであった。
【0057】
実 施 例 3
ハードコート用樹脂組成物の製造(3):
製造例2で得た樹脂A―2と、製造例3で得た樹脂A−3に、実施例1で使用したのと同じウレタンオリゴマーおよび(メタ)アクリルモノマーを、それらの固形分換算で15:2:20:63となるよう混合した。この混合物100重量部に、実施例1と同じ光開始剤を1.2重量部加え、更に100重量部のメチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)にて希釈し、ハードコート用樹脂組成物(E−3)を得た。このものをTACフィルム基材上に塗布した後、UV照射して得られたハードコートフィルムは、帯電防止性と表面剥離性とを有するものであった。
【0058】
実 施 例 4
ハードコート用樹脂組成物の製造(4):
製造例4で得られた樹脂A―4と、実施例1で使用したのと同じウレタンオリゴマーおよび(メタ)アクリルモノマーを、固形分換算で20:10:70となるよう混合した。この混合物100重量部に、実施例1と同じ光開始剤を6重量部加え、更に100重量部のメチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)にて希釈し、ハードコート用樹脂組成物(E−4)を得た。このものをTACフィルム基材上に塗布した後、UV照射して得られたハードコートフィルムは、帯電防止性と表面剥離性とを有するものであった。
【0059】
実 施 例 5
ハードコート用樹脂組成物の製造(4):
製造例5で得られた樹脂A―5と、実施例1で使用したのと同じウレタンオリゴマーおよび(メタ)アクリルモノマーを、固形分換算で15:20:65となるよう混合した。この混合物100重量部に、実施例1と同じ光開始剤を1.2重量部加え、更に100重量部のメチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)にて希釈し、ハードコート用樹脂組成物(E−5)を得た。このものをTACフィルム基材上に塗布した後、UV照射して得られたハードコートフィルムは、帯電防止性と表面剥離性とを有するものであった。
【0060】
比 較 例 1
比較ハードコート用樹脂組成物の製造(1):
製造例1で得られた樹脂A−1 100重量部を、メチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)100重量部にて希釈し、比較ハードコート用樹脂組成物(C−1)を得た。
【0061】
比 較 例 2
比較ハードコート用樹脂組成物の製造(2):
樹脂A−1を製造例4で得た樹脂A−4に代える以外は比較例1と同様にして比較ハードコート用樹脂組成物(C−2)を得た。
【0062】
比 較 例 3
比較ハードコート用樹脂組成物の製造(3):
樹脂A−1を製造例5で得た樹脂A−5に代える以外は比較例1と同様にして比較ハードコート用樹脂組成物(C−3)を得た。
【0063】
比 較 例 4
比較ハードコート用樹脂組成物の製造(4):
実施例1で使用したのと同じウレタンオリゴマーおよび(メタ)アクリルモノマーを、重量換算で20:80となるよう混合した。この混合物100重量部に、実施例1と同じ光開始剤を1.2重量部加え、更に100重量部のメチルセロソロブとメタノールの混合溶剤(80:20)にて希釈し、ハードコート用樹脂組成物(C−4)を得た。
【0064】
試 験 例 1
性能評価試験(1):
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られたハードコート用樹脂組成物(溶液)を、厚さ80μmのTACフィルムの上に、バーコーターNo.14を用いて、乾燥硬化後の膜厚が10μmとなるように塗工し、80℃で5分間乾燥した。次いで、積算照射量300mJ/cmの強度で紫外線照射を行い、硬化塗膜を形成させ、塗膜の性能について評価を行った。この結果を表1に示す。
【0065】
< 試験項目 >
塗膜硬度:
硬化塗膜について、JIS K 5600−5−4に準じて鉛筆硬度を測定した。
【0066】
帯電防止性/表面電気抵抗値測定:
テラOHMメーター(Tera OHM Meter;model VE−30;川口電機製作所製)を用いて、恒温恒湿条件下で、塗膜の表面電気抵抗測定を行った。
【0067】
< 結 果 >
【表1】

【0068】
試 験 例 2
性能評価試験(2):
試験例1で得た硬化塗膜のいくつかについて、下記方法で表面剥離性およびプラスチック密着性を試験した。この結果を表2に示す。
【0069】
< 試験項目 >
表面剥離性:
硬化塗膜の表面に市販セロハンテープを密着させて、手でテープを外し、外す時の所要剥離力を感覚で塗膜の表面剥離性を以下の基準で評価した。
評 価 剥 離 感 覚
○ : テープが軽く剥がれる
△ : テープを剥がす時に抵抗を感じる
× : テープを剥がす時に強い抵抗を感じる
【0070】
プラスチック密着性:
JIS K 5600−5−6に準じて、硬化塗膜に1mmの基盤目を100ヶ所作り、粘着テープにより密着試験を行い、基盤目の剥離状態を観察し、残存したマス目の数で評価した。
【0071】
< 結 果 >
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のハードコート層形成用樹脂組成物は、これを塗布後重合させることにより、十分な硬度を有し、しかも実用上満足しうる帯電防止性や優れた表面剥離性を有するハードコート層を形成することができるものである。
【0073】
従って、この樹脂組成物は、LCDやPDP等の画像表示装置のガラス面を保護するために、保護フィルムに使用できるものである。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)
(A)4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体およびこれと共重合可能な(メ
タ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマー、
(B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、
(C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマー
を含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項2】
成分(A)の配合量が、0.5〜50質量%、成分(B)の配合量が、0.5〜90質量%、成分(C)の配合量が0.05〜90質量%(但し、成分(A)、(B)および(C)の総量は100質量%を超えない)である請求項1記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項3】
成分(A)の(メタ)アクリル系コポリマーが、1〜80質量%の4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体および20〜99質量%のこれらと共重合可能な(メタ)アクリル系単量体を共重合させることにより得られたものである請求項1または2記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項4】
成分(A)の(メタ)アクリル系コポリマーの分子量が、10,000〜150,000である請求項1ないし3の何れかの項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項5】
成分(A)の調製に使用される4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体が、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート四級塩化物およびポリジアルキルアミノエチルメタクリレート四級塩化物の水和物からなる群より選ばれたものである請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項6】
成分(C)の2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマーが、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群より選ばれたものである請求項第1項ないし第5項の何れかの項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項7】
重合開始剤として、熱重合開始剤、光重合開始剤、紫外線重合開始剤または放射線重合開始剤を含有する請求項第1項ないし第6項の何れかの項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項8】
次の成分(A')〜(C)
(A')4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体、ポリジメチルシロキサン基
もしくはフッ素化アルキル基を有するビニル基含有単量体およびこれらと共重合可
能な(メタ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマ
ー、
(B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、
(C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマー
を含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項9】
成分(A')の配合量が、0.5〜50質量%、成分(B)の配合量が、0.5〜90質量%、成分(C)の配合量が0.05〜90質量%(但し、成分(A')、(B)および(C)の総量は100質量%を超えない)である請求項8記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項10】
成分(A')の(メタ)アクリル系コポリマーが、1〜80質量%の4級アンモニウム基を有するビニル基含有重合体、0.5〜40質量%のポリジメチルシロキサン基もしくはフッ素化アルキル基を有するビニル基含有単量体および1〜98質量%のこれらと共重合可能な(メタ)アクリル系単量体を共重合させることにより得られたものである請求項8記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項11】
成分(A')の調製に使用されるポリジメチルシロキサン基を有するビニル基含有単量体が、メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン、アクリロキシプロピルポリジメチルシロキサンおよびメタクリロキシブチルポリジメチルシロキサンからなる群より選ばれたものである請求項第8項または第10項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項12】
成分(A')の調製に使用されるフッ素化アルキル基を有するビニル基含有単量体が、パーフルオロオクチルエチルアクリレートおよびパーフルオロオクチルエチルメタクリレートからなる群より選ばれたものである請求項第8項または第10項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項13】
重合開始剤として、熱重合開始剤、光重合開始剤、紫外線重合開始剤または放射線重合開始剤を含有する請求項第8項ないし第12項の何れかの項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項14】
次の成分(A)〜(D)
(A)4級アンモニウム基を有するビニル基含有単量体およびこれと共重合可能な(メ
タ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマー、
(B)3官能以上のビニル基を有するポリウレタンオリゴマー、
(C)2〜6官能のビニル基を有するアクリル系モノマー、
(D)上記(A)〜(C)と相溶可能なシリコーンポリマー
を含有してなるハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項15】
成分(A)の配合量が、0.5〜50質量%、成分(B)の配合量が、0.5〜90質量%、成分(C)の配合量が0.05〜90質量%、成分(D)の配合量が0.5〜30質量%(但し、成分(A)、(B)、(C)および(D)の総量は100質量%を超えない)である請求項14記載のハードコート層形成用樹脂組成物。
【請求項16】
重合開始剤として、熱重合開始剤、光重合開始剤、紫外線重合開始剤または放射線重合開始剤を含有する請求項第14項または第15項記載のハードコート層形成用樹脂組成物。


【公開番号】特開2008−56872(P2008−56872A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238676(P2006−238676)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】