説明

ハードディスクドライブ

【課題】 電流を上げずに,磁気回路のワイヤの巻き数を増加させることにより,スピンドルモータのトルクを確保することの可能なハードディスクドライブを提供する。
【解決手段】 本発明にかかるハードディスクドライブ100は,ディスク120を回転させるスピンドルモータ110と,スピンドルモータ110を支持するベース板130と,ヘッド145を回転移動させるアクチュエータ140とを備える。スピンドルモータ110は,スピンドル軸を中心として周方向に沿って配設され,軸芯の外周にコイルが巻回される複数の磁気回路を備える。磁気回路は,アクチュエータ140の稼動領域内Rに配設され,磁気回路の軸芯方向に延長された第1の形状を有する第1の磁気回路160aと,アクチュエータ140の稼動領域外に配設され,磁気回路の軸芯方向に対して垂直方向に拡張された第2の形状を有する第2の磁気回路160bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ハードディスクドライブに関し,より詳細には,小型および薄型のハードディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,ハードディスクドライブは,例えば,携帯電話端末や音楽プレーヤーなどの電子機器にデータ記憶媒体として備えられている。このような機器は,携帯性を向上させる目的から小型化される傾向にあることから,1インチ以下の小型ハードディスクドライブの需要が増加している。
【0003】
ハードディスクドライブを小型化,特に薄型化するために,ハードディスクドライブ内部の利用されていない空間を極力無くしたり,有効に利用されるように検討されている。このため,目的に合わせて,ハードディスクドライブを構成する各構成要素の形状が変更される。例えば,ハードディスクドライブのディスク回転軸方向における高さ(以下,「ハードディスクドライブの高さ」という。)を低くするため,電気素子が搭載された回路基板には,ディスクを回転させるスピンドルモータを収容する略円形の貫通孔が形成されている(例えば,特許文献1など)。このように,構成要素の重なりを少なくすることによって,小型ハードディスクドライブが実現させている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−76826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,このハードディスクドライブの高さを低くすると,スピンドルモータを回転させる磁気回路のワイヤの巻き数を多くしたり,ステータの径を大きくすることが物理的にできなくなる。このため,ディスクを回転させるスピンドルモータのトルク不足が生じてしまう。したがって,スピンドルモータを回転させる十分なトルクを確保するために,過大な電流が必要となっていた。
【0006】
電流を上げずにスピンドルモータのトルクをあげる方法としては,例えば,磁気回路のラミネーション(軸芯)を厚くする,磁気回路の軸芯にコイル状に巻回されるワイヤの巻き数を増加させる,ステータの径を大きくする等により,磁気回路によって生じる磁場の強さを強くすることが考えられる。
【0007】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,スピンドルモータに印加する電流を増大させることなく,磁気回路のワイヤの巻き数を増加させることにより,スピンドルモータのトルクを確保することの可能な,新規かつ改良されたハードディスクドライブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,ディスクと,ディスクを回転させるスピンドルモータと,スピンドルモータを支持するベース板と,ディスクにデータを記録および/または再生するヘッドを回転移動させるアクチュエータとを備えるハードディスクドライブが提供される。ここで,スピンドルモータは,スピンドル軸を中心として周方向に沿って配設され,軸芯の外周にコイルが巻回される複数の磁気回路を備え,磁気回路は,アクチュエータの稼動領域内に配設された第1の磁気回路と,アクチュエータの稼動領域外に配設された第2の磁気回路とを備える。そして,第1の磁気回路は,軸芯方向に延長された第1の形状を有し,第2の磁気回路は,軸芯方向に対して垂直方向に拡張された第2の形状を有することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば,磁気回路の軸芯の外周にコイル状に巻回させるワイヤの巻き数を増加させるために,アクチュエータの稼動領域内外で異なる形状の磁気回路が配設される。アクチュエータの稼動領域内では,従来,アクチュエータが稼動する空間を確保するため,軸芯方向に対して垂直方向における空間は制限されていた。しかし,アクチュエータ稼動領域内における回路基板には,回路が搭載されていないことから,軸芯方向に従来よりも大きい空間を確保することが可能である。かかる理由より,本発明における第1の磁気回路は,従来よりも軸芯方向に長い形状を有することができ,ワイヤの巻き数を増加させることができる。
【0010】
一方,アクチュエータの稼動領域外では,従来,アクチュエータの稼動領域に合わせて,略同一形状の磁気回路が配設されていた。このため,アクチュエータの稼動領域外では,ディスクと磁気回路との間に,アクチュエータの稼動空間の分だけ隙間が存在していた。そこで,本発明における第2の磁気回路は,軸芯方向に対して垂直方向にワイヤを多重に巻回させることにより,従来よりも軸芯方向に対して垂直方向に拡張された形状を有することができる。
【0011】
これにより,ハードディスクドライブの高さを大きくすることなく磁気回路のワイヤの巻き数が増加され,磁気回路に流れる電流を大きくさせずとも,ディスクを回転させるのに十分な大きさのスピンドルモータのトルクを確保することができる。このとき,第1の磁気回路と第2の磁気回路とは,それぞれの磁気回路により発生する磁場の強さを略同一とするために,略同一巻き数のワイヤを巻回させることができる。また,第1の磁気回路は,第2の磁気回路に対して軸芯方向に長く形成され,一方,第2の磁気回路は,第1の磁気回路に対して,軸芯方向に対して垂直方向に拡張されて形成させることができる。
【0012】
また,ベース板には,第1の形状を有する第1の磁気回路が配設される第1の配設孔と,第2の形状を有する第2の磁気回路が配設される第2の配設孔とを形成することができる。各配設孔には,形状の異なる磁気回路がそれぞれ配設されるため,各配設孔の大きさは,磁気回路の大きさに合わせて形成される。
【0013】
さらに,本発明にかかるハードディスクドライブは,ベース板の背面側に配置され,少なくともハードディスクドライブを制御する制御回路が搭載された回路基板を備える。ここで,回路基板には,スピンドルモータが挿通される略円形の貫通孔が形成され,貫通孔の縁部には,1または2以上の第1の磁気回路に応じた位置に,第1の磁気回路が配設される切欠部が形成されることを特徴とする。これにより,ハードディスクドライブの高さ方向の接触を防ぎ,ハードディスクドライブの高さを低くすることができる。
【0014】
また,第1の磁気回路の設置数および第2の磁気回路の設置数は,例えば,スピンドルモータの相数に応じて決定することができる。これにより,ハードディスクドライブを形成する磁気回路の形状が均一でなくとも,スピンドルモータを安定して回転させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば,電流を上げずに,磁気回路のワイヤの巻き数を増加させて,スピンドルモータのトルクを確保することの可能なハードディスクドライブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
まず,図1に基づいて,本発明の一実施形態にかかるハードディスクドライブの構成について説明する。ここで,図1は,本実施形態にかかるハードディスクドライブの構成を示す概略図である。
【0018】
本実施形態にかかるハードディスクドライブ100は,図1に示すように,データ記憶媒体であるディスク120と,ディスク120を回転させるスピンドルモータ110と,スピンドルモータ110を支持するベース板130と,ディスク120にデータを記録および/または再生するヘッド145を備えたアクチュエータ140と,例えば,スピンドルモータ110やアクチュエータ140などを制御する制御回路を備えた回路基板とを有して構成される。
【0019】
スピンドルモータ110は,ディスク120を回転させるモータであり,後述する磁気回路とマグネットとの作用によってスピンドル軸111が回転される。ディスク120は,スピンドルモータ110のハブ117とトップクランプ115とによって固定される。本実施形態にかかるスピンドルモータ110は,例えば,3相スピンドルモータを使用することができる。
【0020】
ベース板130は,スピンドルモータ110を支持する他に,例えば,後述するアクチュエータ140や,アクチュエータ140を支持するピボット143などが組み付けられる。
【0021】
アクチュエータ140は,ディスク120にデータを記録および/または再生するヘッド145と,一端が回転軸(ピボット)143に取り付けられ,他端にヘッド145を備えるヘッドサスペンションアセンブリ(HSA)147とを有して構成される。かかるアクチュエータ140は,例えば,1つのディスク120に対して一対のヘッドサスペンションアセンブリ147を備えている。一対のヘッドサスペンションアセンブリ147は,所定の隙間を有して積層されており,この隙間にディスク120を挟むように配設されている。ディスク120にデータを記録および/または再生する場合,かかるヘッドサスペンションアセンブリ147を回転させて,ヘッド145をディスク120の所定の位置に移動させる。なお,アクチュエータ140は,例えば,ボイスコイルモータ(VCM;Voice Coil Motor,図示せず。)により駆動させることができる。
【0022】
このようなハードディスクドライブ100において,ディスク120がスピンドルモータ110により,例えば図1の矢印A方向に回転されるとする。そして,データの記録および/または再生を行う場合,アクチュエータ140が駆動されて,ディスク120の所定の位置にヘッド145が位置するように移動される。
【0023】
ここで,アクチュエータ140は,図2に示すように,ヘッド145がディスク120の外周側に退避するときの位置Pから,ヘッド145がディスク120の内周に退避するときの位置Qまでの間,すなわち領域Rの範囲で可動である。本実施形態にかかるハードディスクドライブ100は,スピンドルモータ110を構成する磁気回路の巻き数を増加させるために,アクチュエータ140の稼動領域内Rと,アクチュエータ140の稼動領域外とにおいて磁気回路の形状が変更される。
【0024】
そこで,以下,図3〜図9に基づいて,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100の特徴について,従来のハードディスクドライブの構成と比較しながら説明する。ここで,図3は,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100の部分断面図であって,図3(a)は第1の磁気回路160aの部分拡大斜視図,図3(b)は第2の磁気回路160bの部分拡大斜視図である。また,図4は,本実施形態にかかるベース板130を示す平面図である。さらに,図5は,本実施形態にかかる回路基板150を示す平面図である。そして,図6は,本実施形態にかかるベース板130と回路基板150とを示す分解斜視図である。一方,図7は,従来のハードディスクドライブの部分断面図であり,図7(a)は従来の磁気回路160aの部分拡大斜視図である。また,図8は,従来のベース板130を示す平面図である。さらに,図9は,従来の回路基板150を示す平面図である。
【0025】
まず,図3および図7に基づいて,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100を,従来のハードディスクドライブと比較しながら説明する。
【0026】
従来のハードディスクドライブは,図7に示すように,スピンドルモータ10と,ディスク20と,ベース板30と,アクチュエータ40と,回路基板50とを有して構成される。上述したように,スピンドルモータ10は,ディスク20を回転させる駆動手段であり,例えば,ディスク20を上面から支持するトップクランプ15と,ディスク20を下面から支持するハブ17と,トップクランプ15をスピンドル軸11に固定する固定部材13とを有して構成される。また,ハブ17のベース板30との対向する側には,マグネット65が備えられ,マグネット65と対向するように,複数の磁気回路60が配設されている。
【0027】
各磁気回路60の内部には,ホール素子(図示せず。)が配設されている。また,マグネット65は,例えばリング状に形成されて,ハブ17の周に沿って配設されている。スピンドルモータ10は,磁気回路60に電流が流れることにより発生する磁場とマグネット65との引き合い動作を繰り返すことによって回転する。
【0028】
一端にヘッド45を備えるアクチュエータ40は,その他端が回転軸43に対して回転可能に取り付けられている。また,ディスク20の下側(図7のZ軸負方向)には,スピンドルモータ10を支持するベース板30と,回路基板50とが配設されている。
【0029】
ここで,従来のハードディスクドライブでは,図7に示すように,アクチュエータ40の稼動範囲内に配設された磁気回路60と,アクチュエータ40の稼動範囲外に配設された磁気回路60とは,図7(a)に示すように,略均一の大きさに形成されていた。このため,アクチュエータ40の稼動領域外におけるディスク20の下側には,アクチュエータ40の稼動領域内と比較して広い空間が存在していた。また,アクチュエータ40の稼動領域内における回路基板50には,アクチュエータ40の動作の妨げとならないように,制御回路が搭載されていなかった。
【0030】
そこで,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100では,かかる点に着目し,磁気回路のワイヤの巻き数を増加させる。これにより,ハードディスクドライブ100の高さを高くせず,スピンドルモータ110の磁気回路に過大な電流を流すことなくディスク120を回転させるためのトルクを確保することが可能となる。
【0031】
本実施形態にかかるハードディスクドライブ100は,図3に示すように,スピンドルモータ110と,ディスク120と,ベース板130と,アクチュエータ140と,回路基板150とを有して構成される。ここで,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100は,磁気回路,ベース板130,および回路基板150の形状が従来のハードディスクドライブと相違する。そこで,以下,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100の磁気回路,ベース板130,および回路基板150について説明する。
【0032】
本実施形態にかかるスピンドルモータ110を構成する磁気回路は,アクチュエータ140の稼動領域内に配置される第1の磁気回路160aとアクチュエータ140の稼動領域外に配置される第2の磁気回路160bとを有して構成される。第1の磁気回路160aは,図3(a)に示すように,軸芯161aにワイヤ163aが巻回されて構成されている。一方,第2の磁気回路160bは,図3(b)に示すように,軸芯161bにワイヤ163bが巻回されて構成されている。
【0033】
第1の磁気回路160aは,従来の磁気回路60および第2の磁気回路160bと比較して,軸芯方向に延長された形状を有している。これは,従来,アクチュエータ140の稼動領域内の回路基板150には,例えば制御回路等が搭載されていなかったためである。そこで,後述するように,アクチュエータ140の稼動領域内に配設された第1の磁気回路160aに応じた位置に,かかる磁気回路160aを配設するための切欠部155を形成することが可能である。これにより,第1の磁気回路160aには,従来よりもワイヤ163aの巻き数を増加させることが可能となる。
【0034】
また,第2の磁気回路160bは,従来の磁気回路60および第1の磁気回路160aと比較して,軸芯方向(図3のZ軸方向)に対して垂直方向に拡張された形状を有している。これは,前述したように,アクチュエータ140の稼動領域外におけるディスク120と磁気回路160bとの間に,アクチュエータ140の稼動領域内と比較して,大きい隙間を有することによる。これにより,図3(b)に示すように,軸芯161bに対してワイヤ163bを,例えば2重に巻回することが可能となり,従来よりもワイヤ163bの巻き数を増加させることが可能となる。
【0035】
このように,第1の磁気回路160aのワイヤ163aの巻き数および第2の磁気回路160bのワイヤ163bの巻き数を,それぞれ従来の磁気回路60と比べて増加させることができる。これにより,従来と同じ電流で,磁気回路160a,160bにより強い磁場を磁気回路160a,160bに発生させることができ,スピンドルモータ110のトルクを増大させることができる。例えば,従来のハードディスクドライブと比較して,各磁気回路160a,160bに巻回されるワイヤ163a,163bの巻き数を約2倍としたとき,従来と略同一のトルクを発生させるために必要な電流の大きさを約60%低減させることができる。ここで,各磁気回路160a,160bで発生する磁場の強さを略同一とするため,第1の磁気回路160aのワイヤ163aの巻き数および第2の磁気回路160bのワイヤ163bの巻き数は,略同一とするのがよい。
【0036】
ここで,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100は,異なる2つの磁気回路160a,160bの形状に応じて,ベース板130と回路基板150との形状を従来の形状から変更することにより,ハードディスクドライブ100の高さをより低くすることができる。
【0037】
まず,ベース板130の形状について説明する。従来のベース板30は,図8に示すように,スピンドルモータ10が挿通される位置に貫通孔31が形成され,さらに,スピンドルモータ10のスピンドル軸11を中心とする周方向に沿って,複数の磁気回路63が配設される複数の配設孔33が形成されている。配設孔33の形状は,従来の磁気回路63の形状に合わせて,すべて略同一の大きさに形成されている。
【0038】
一方,本実施形態にかかるベース板130は,図4に示すように,磁気回路160a,160bを除くスピンドルモータ110が挿通される位置に,モータ取付孔である貫通孔131が形成され,さらに,スピンドルモータ110のスピンドル軸111を中心とする周方向に沿って,複数の磁気回路160a,160bが配設される複数の配設孔133,135が形成されている。配設孔133,135の形状は,第1の磁気回路160aおよび第2の磁気回路160bの形状に応じて形成されているため,第1の配設孔133は,従来の磁気回路60および第2の配設孔135と比較して,軸芯方向に延長された形状を有している。これにより,磁気回路160a,160bが配設孔133,135内に配置されるため,磁気回路160a,160bとベース板130との接触が防止され,ハードディスクドライブ100の高さを低くすることができる。
【0039】
次に,回路基板150の形状について説明する。従来の回路基板50は,図9に示すように,スピンドルモータ10が挿通される位置に略円形の貫通孔53が形成されている。一方,本実施形態にかかる回路基板150は,図5に示すように,スピンドルモータ110が挿通される位置に略円形の貫通孔153が形成され,さらに,貫通孔153の縁部には,切欠部155が,第1の磁気回路160aの形状に応じた位置に形成されている。これにより,磁気回路160a,160bと回路基板150との接触が防止され,ハードディスクドライブ100の高さを低くすることができる。
【0040】
このように形成された回路基板150は,図6に示すように,ベース板130の背面側(図6の紙面下方向)に配設される。すなわち,回路基板150上にベース板130が載置された状態で配設される。
【0041】
なお,例えば図4に示すベース板130に形成された配設孔133,135の形状からもわかるように,本実施形態にかかるハードディスクドライブ100に配置される磁気回路は,3つの第1の磁気回路と6つの第2の磁気回路とからなる。これは,3相スピンドルモータを使用した実施形態を示しており,U相,V相,W相の3相をひとつの組として同一形状に形成させることにより,スピンドルモータ110を安定して回転させることができるためである。したがって,スピンドルモータ110の相数とアクチュエータ140の稼動領域とに応じて,磁気回路の形状およびその設置数を決定することができる。
【0042】
以上,本発明の一実施形態にかかるハードディスクドライブ100について説明した。かかる構成により,従来のハードディスクドライブと比較して,ハードディスクドライブ100の高さを大きくすることなく,磁気回路160a,160bの軸芯161a,161bに巻回されるワイヤ163a,163bの巻き数を増加させることが可能となる。これにより,磁気回路160a,160bのワイヤ163a,163bに流れる電流の大きさを大きくせずに,ディスク120を回転させるのに十分なスピンドルモータ110のトルクを確保することができる。
【0043】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
例えば,上記実施形態において,ディスク120は1枚であったが,本発明はかかる例に限定されず,2枚以上のディスクを備えるハードディスクドライブであってもよい。
【0045】
また,上記実施形態において,第2の磁気回路160bは,軸芯161bにワイヤ163bが2重に巻回されていたが,本発明はかかる例に限定されず,空間的に巻回可能であれば,例えば多重に巻回させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は,ハードディスクドライブに適用可能であり,特に,小型および薄型のハードディスクドライブに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハードディスクドライブの構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態にかかるハードディスクドライブのアクチュエータの稼動領域を示す説明図である。
【図3】同実施形態にかかるハードディスクドライブの一部断面図であって,(a)は第1の磁気回路を示す拡大斜視図であり,(b)は第2の磁気回路を示す拡大斜視図である。
【図4】同実施形態にかかるベース板を示す平面図である。
【図5】同実施形態にかかる回路基板を示す平面図である。
【図6】同実施形態にかかるベース板と回路基板とを示す分解斜視図である。
【図7】従来のハードディスクドライブの一部断面図であって,(a)は磁気回路の拡大斜視図である。
【図8】従来のベース板を示す平面図である。
【図9】従来の回路基板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
100 ハードディスクドライブ
110 スピンドルモータ
111 スピンドル軸
120 ディスク
130 ベース板
131 貫通孔
133 第1の配設孔
135 第2の配設孔
140 アクチュエータ
145 ヘッド
150 回路基板
153 貫通孔
155 切欠部
160a 第1の磁気回路
160b 第2の磁気回路
161a,161b 軸芯
163a,163b ワイヤ
165 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクと,前記ディスクを回転させるスピンドルモータと,前記スピンドルモータを支持するベース板と,前記ディスクにデータを記録および/または再生するヘッドを回転移動させるアクチュエータとを備えるハードディスクドライブであって:
前記スピンドルモータは,スピンドル軸を中心として周方向に沿って配設され,軸芯の外周にコイルが巻回される複数の磁気回路を備え,
前記磁気回路は,前記アクチュエータの稼動領域内に配設された第1の磁気回路と,前記アクチュエータの稼動領域外に配設された第2の磁気回路とを備え,
前記第1の磁気回路は,軸芯方向に延長された第1の形状を有し,
前記第2の磁気回路は,軸芯方向に対して垂直方向に拡張された第2の形状を有することを特徴とする,ハードディスクドライブ。
【請求項2】
前記ベース板には,
前記第1の形状を有する前記第1の磁気回路が配設される第1の配設孔と,
前記第2の形状を有する前記第2の磁気回路が配設される第2の配設孔とが形成されることを特徴とする,請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項3】
前記ベース板の背面側に配置され,少なくとも前記ハードディスクドライブを制御する制御回路が搭載された回路基板を備え,
前記回路基板は,前記スピンドルモータが挿通される略円形の貫通孔が形成され,
前記貫通孔の縁部には,前記1または2以上の第1の磁気回路に応じた位置に,前記第1の磁気回路が配設される切欠部が形成されることを特徴とする,請求項1または2のいずれかに記載のハードディスクドライブ。
【請求項4】
前記第1の磁気回路の設置数および前記第2の磁気回路の設置数は,前記スピンドルモータの相数に応じて決定されることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載のハードディスクドライブ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−87465(P2007−87465A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272819(P2005−272819)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】