説明

ハーネス用プロテクタ

【課題】湾曲したワイヤハーネスをよりコンパクトに配索することを可能とするハーネス用プロテクタを提供する。
【解決手段】ハーネス用プロテクタ1は底壁15と底壁15から立設した一対の側壁16及び仕切り壁22とを有しかつ端部に湾曲した湾曲部19が設けられているとともにワイヤハーネス2を収容するプロテクタ本体11と側壁16及び仕切り壁22の少なくとも互いに相対する内面に設けられかつワイヤハーネス2をプロテクタ本体11に位置決めする位置決め部12とを備えている。位置決め部12が湾曲部19に連なりかつ当該湾曲部19よりもプロテクタ本体11の中央寄りに設けられた直線部18に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに配索されるワイヤハーネスを保護するハーネス用プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、一般に、ヘッドランプ及びテールランプなどのランプ類、スタータモータ及びエアコンディショナ用のモータ等のモータ類、などの多種多様な電子機器が搭載されている。
【0003】
前述した多種多様な電子機器に電力を供給するために、前記自動車は、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、当該電線の端末に設けられるコネクタとを備えている。また、ワイヤハーネスには、前記電線を収容して当該電線を保護するハーネス用プロテクタ(例えば、特許文献1参照)が取り付けられている。
【0004】
特許文献1などに示された従来のハーネス用プロテクタは、底壁と当該底壁の両縁から立設した一対の側壁とを備えて断面樋状に形成されたプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の一対の側壁間を塞いだ状態で当該プロテクタ本体に取り付けられる蓋体とを備えている。ハーネス用プロテクタは、プロテクタ本体内に前述した複数の電線を収容して、当該複数の電線を保護する。また、ハーネス用プロテクタは、プロテクタ本体に前述した電線を固定するために、当該プロテクタ本体や蓋体の内面から凸でかつ前記プロテクタ本体の長手方向に対して直交する方向に延在した位置決め突起を備えている。
【0005】
前述した従来のハーネス用プロテクタは、電線がコルゲートチューブ内に通されている場合には、前記位置決め突起がプロテクタ本体の長手方向に沿って互いに間隔をあけて複数設けられており、当該位置決め突起がコルゲートチューブの凹条溝内に侵入することで、コルゲートチューブを介して前述した電線をプロテクタ本体に位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−119109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献1などに示された従来のハーネス用プロテクタは、収容する電線が湾曲された状態で前述した自動車に配索される際には、勿論、プロテクタ本体や蓋体が湾曲した状態に形成されている。この場合、コルゲートチューブの凹条溝内に侵入する位置決め突起間の間隔を当該コルゲートチューブの凸条部の幅とする必要が生じるが、当該凸条部の幅がワイヤハーネス即ちコルゲートチューブの湾曲により変化するために、ハーネス用プロテクタの湾曲する部分に設ける場合には、位置決め突起間の間隔を定めることが困難であった。よって、ハーネス用プロテクタの湾曲する部分に前述した位置決め突起を設けることは困難となり、当該位置決め突起をプロテクタ本体や蓋体の直線状に延在した部分に設ける必要がある。
【0008】
このように、ハーネス用プロテクタ内で電線を湾曲させても、プロテクタ本体や蓋体の端部に直線状に延在した部分を設け、当該直線状に延在した部分に前述した位置決め突起を設けなければならなかった。このため、自動車などに前述したワイヤハーネスを湾曲させた状態で配索する際に、当該ワイヤハーネスの曲率半径が大きくなる傾向があって、ワイヤハーネスをよりコンパクトに配索することが困難となる傾向であった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、湾曲したワイヤハーネスをよりコンパクトに配索することを可能とするハーネス用プロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のハーネス用プロテクタは、底壁と底壁から立設した複数の立設壁とを有し、かつ端部に湾曲した湾曲部が設けられているとともに、ワイヤハーネスを収容するプロテクタ本体と、前記立設壁の少なくとも互いに相対する内面に設けられかつ前記ワイヤハーネスを前記プロテクタ本体に位置決めする位置決め部と、を備えたハーネス用プロテクタにおいて、前記位置決め部が、前記湾曲部に連なりかつ当該湾曲部よりも前記プロテクタ本体の中央寄りに設けられた直線部に設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明のハーネス用プロテクタは、請求項1に記載のハーネス用プロテクタにおいて、前記位置決め部は、少なくとも前記立設壁の互いに相対する内面から凸で、かつ前記直線部の長手方向に互いに間隔をあけて設けられているとともに、前記直線部の長手方向に対して直交する方向に直線状に延在した位置決め突起を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明のハーネス用プロテクタは、請求項1又は請求項2に記載のハーネス用プロテクタにおいて、前記プロテクタ本体に取り付けられて前記プロテクタ本体の前記立設壁間を塞ぐ蓋体と、前記蓋体の前記位置決め部に相対する表面に設けられかつ前記ワイヤハーネスを前記プロテクタ本体に位置決めする補助位置決め部と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の本発明のハーネス用プロテクタは、請求項3に記載のハーネス用プロテクタにおいて、補助位置決め部は、前記蓋体の前記位置決め部に相対する表面から凸で、かつ前記蓋体の長手方向に互いに間隔をあけて設けられているとともに、前記蓋体の長手方向に対して直交する方向に直線状に延在した補助位置決め突起を備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明のハーネス用プロテクタによれば、ワイヤハーネスをプロテクタ本体に位置決めする位置決め部を設けた直線部を、湾曲部よりもプロテクタ本体の中央寄りに配置しているので、プロテクタ本体の湾曲部で湾曲したままのワイヤハーネスを当該プロテクタ本体外に導き出すことができる。
【0015】
請求項2に記載した本発明のハーネス用プロテクタによれば、位置決め部がプロテクタ本体の内面から凸で、かつ長手方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、幅方向に直線状に延在した位置決め突起を備えているので、位置決め部間にワイヤハーネスのコルゲートチューブの凸条部を挟み込むことで、プロテクタ本体にワイヤハーネスを固定することができる。
【0016】
請求項3に記載した本発明のハーネス用プロテクタによれば、蓋体の位置決め部に相対する表面に補助位置決め部を設けているので、当該補助位置決め部を蓋体の直線状に延在した部分に設けることができる。このために、補助位置決め部を蓋体に確実に設けることができる。
【0017】
請求項4に記載した本発明のハーネス用プロテクタによれば、補助位置決め部が蓋体の表面から凸で、かつ長手方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、幅方向に直線状に延在した補助位置決め突起を備えているので、補助位置決め部間にワイヤハーネスのコルゲートチューブの凸条部を挟み込むことで、蓋体即ちプロテクタ本体にワイヤハーネスを固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、プロテクタ本体の湾曲部で湾曲したままのワイヤハーネスを当該プロテクタ本体外に導き出すことができる。したがって、ワイヤハーネスを湾曲した状態に配索する際に、ハーネス用プロテクタから導出されたワイヤハーネスを直ぐに湾曲させることができる。したがって、当該ワイヤハーネスの曲率半径を小さくすることができ、このワイヤハーネスをよりコンパクトに配索することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の本発明は、位置決め部間にワイヤハーネスのコルゲートチューブの凸条部を挟み込むことで、プロテクタ本体にワイヤハーネスを固定することができる。よって、プロテクタ本体即ちハーネス用プロテクタにワイヤハーネスを確実に固定することができる。
【0020】
請求項3に記載の本発明は、補助位置決め部を蓋体に確実に設けることができるので、位置決め部とともに当該補助位置決め部により、ワイヤハーネスをプロテクタ本体などに確実に固定することができる。
【0021】
請求項4に記載の本発明は、補助位置決め部間にワイヤハーネスのコルゲートチューブの凸条部を挟み込むことで、蓋体即ちプロテクタ本体にワイヤハーネスを固定することができる。よって、プロテクタ本体即ちハーネス用プロテクタにワイヤハーネスをより一層確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハーネス用プロテクタをワイヤハーネスに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたハーネス用プロテクタをワイヤハーネスに取り付けた状態を示す他の斜視図である。
【図3】図1に示されたハーネス用プロテクタの分解斜視図である。
【図4】図3に示されたハーネス用プロテクタのプロテクタ本体の平面図である。
【図5】図3に示されたハーネス用プロテクタの蓋体の斜視図である。
【図6】図4に示されたプロテクタ本体内にワイヤハーネスを収容した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態にかかるハーネス用プロテクタ1(以下、単にプロテクタと呼ぶ)を、図1乃至図6を参照して説明する。
【0024】
本発明の一実施形態にかかるプロテクタ1は、移動体としての自動車などのパネルに取り付けられて、自動車などに配索されるワイヤハーネス2を保護するとともに、該ワイヤハーネス2をパネル即ち車体に位置決めする。
【0025】
ワイヤハーネス2は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車などのモータの駆動力により走行可能な自動車に配索される。モータには、インバータを介して電源装置としてのバッテリからの電力が供給される。
【0026】
本実施形態のワイヤハーネス2は、モータとインバータとを互いに電気的に接続して、インバータからモータへ又はモータからインバータへと電力を供給する。前述したモータ、及びインバータは、自動車を走行する際に必要とされる電力が供給されたり、供給する電源装置をなしている。こうして、本実施形態のワイヤハーネス2は、電源装置同士を電気的に接続している。
【0027】
ワイヤハーネス2は、図1及び図2に示すように、少なくとも一本の電線3(図示例では、三本)と、これら三本の電線3を収容した大径コルゲートチューブ4(図1のみに示す)と、それぞれ一本の電線3を収容した複数(図示例では、三本)のコルゲートチューブとしての小径コルゲートチューブ5と、それぞれの電線3の端末に取り付けられた端子金具6とを備えている。
【0028】
電線3は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えている。芯線は、複数の導電性の素線が撚られて形成されている。芯線を構成する素線は、銅又は銅合金などの導電性の金属で構成されている。また、芯線は、一本の素線で構成されてもよい。被覆部は、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂で構成されている。被覆部は、芯線を被覆している。
【0029】
大径コルゲートチューブ4は、絶縁性の合成樹脂としての熱可塑性樹脂で構成されている。大径コルゲートチューブ4は、断面円形の筒状に形成されている。また、大径コルゲートチューブ4は、図6に示すように、周方向に延在した凹条溝7と周方向に延在した凸条部7とが長手方向に交互に配列されて、外表面が蛇腹状に形成されているとともに、全体が均一の肉厚に形成されている。勿論、凹条溝7の内外径が、凸条部8の内外径よりも小さく形成されている。
【0030】
大径コルゲートチューブ4は、前述した三本の電線3の長手方向の中央部を収容している。当該三本の電線3と固定されている。
【0031】
小径コルゲートチューブ5は、絶縁性の合成樹脂としての熱可塑性樹脂で構成されている。小径コルゲートチューブ5は、断面円形の筒状に形成されている。また、小径コルゲートチューブ5は、その内外径が大径コルゲートチューブ4の内外径よりも十分に小さく形成されている。さらに、小径コルゲートチューブ5は、大径コルゲートチューブ4と同様に、図6に示すように、周方向に延在した凹条溝9と周方向に延在した凸条部10とが長手方向に交互に配列されて、外表面が蛇腹状に形成されているとともに、全体が均一の肉厚に形成されている。勿論、凹条溝9の内外径が、凸条部10の内外径よりも小さく形成されている。小径コルゲートチューブ5は、それそれ、大径コルゲートチューブ4外に露出した一本の電線3の端末を収容して、当該一本の電線3と固定されている。
【0032】
端子金具6は、導電性の厚手の板金で構成され、電線3の端末に取り付けられている。端子金具6は、芯線即ち電線3と電気的に接続して、前述したモータやインバータに設けられた端子台などに接続する。
【0033】
プロテクタ1は、図3に示すように、プロテクタ本体11と、位置決め部12と、蓋体13と、補助位置決め部14(図5に示す)とを備えている。プロテクタ本体11は、絶縁性の合成樹脂で構成され、底壁15と、当該底壁15の両縁から立設した一対の立設壁としての側壁16とを備えて、樋状に形成されている。また、プロテクタ本体11は、図4に示すように、前述した底壁15と一対の側壁16とでそれぞれが構成された大径直線部17と、直線部としての小径直線部18と、湾曲部19とが互いに直列に連なって構成されている。即ち、湾曲部19は、プロテクタ本体11の端部に設けられている。
【0034】
大径直線部17は、直線状に延在している。大径直線部17には、大径位置決め部20が設けられている。大径位置決め部20は、一対の大径位置決め突起21を複数対(図示例では、三対)備えている。大径位置決め突起21は、それぞれ、互いに相対する側壁16の内面及び底壁15の表面から凸に形成されているとともに、大径直線部17の長手方向に対して直交する方向に沿って直線状に延在している。一対の大径位置決め突起21は、大径直線部17の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0035】
また、一対の大径位置決め突起21間の間隔は、それぞれ、大径コルゲートチューブ4の凸条部8の当該大径コルゲートチューブ4の長手方向の幅と等しく形成されている。大径位置決め突起21は、前述した側壁16の内面及び底壁15の表面から突出して、半円環状に形成されている。また、大径位置決め突起21の内径は、大径コルゲートチューブ4の凹条溝7の外径と略等しく形成されている。三対の大径位置決め突起21は、大径直線部17の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0036】
小径直線部18は、図4に示すように、大径直線部17の端に連なりかつ直線状に延在している。小径直線部18の長手方向と大径直線部17の長手方向とは、互いに交差している。なお、図示例では、小径直線部18の長手方向と大径直線部17の長手方向とのなす角度は、非常に小さい角度となっている。また、小径直線部18の湾曲部19寄りの端部には、底壁15の長手方向の中央から立設壁としての仕切り壁22が立設している。
【0037】
小径直線部18の各側壁16と仕切り壁22との間には、それぞれ、前記位置決め部12が設けられている。即ち、位置決め部12は、二つ設けられ、かつこれら二つの位置決め部12は、小径直線部18の幅方向に並べられている。位置決め部12は、それぞれ、一対の位置決め突起23を複数対(図示例では、三対)備えている。位置決め突起23は、それぞれ、互いに相対する側壁16と仕切り壁22の内面及び底壁15の表面から凸に形成されているとともに、小径直線部18の長手方向に対して直交する方向に沿って直線状に延在している。一対の位置決め突起23は、小径直線部18の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0038】
また、一対の位置決め突起23間の間隔は、それぞれ、小径コルゲートチューブ5の凸条部10の当該小径コルゲートチューブ5の長手方向の幅と等しく形成されている。さらに、位置決め突起23は、前述した側壁16及び仕切り壁22の内面及び底壁15の表面から突出して、半円環状に形成されている。また、位置決め突起23の内径は、小径コルゲートチューブ5の凹条溝9の外径と略等しく形成されている。三対の位置決め突起23は、大径直線部17の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0039】
湾曲部19は、図4に示すように、大径直線部17の端に連なり、かつ底壁15が平坦となりかつ一対の側壁16が互いに平行になるように湾曲している。湾曲部19では、一対の側壁16のうちの外周側の一方の側壁16と底壁15の一部を切り欠いた切欠き部24が設けられている。切欠き部24は、当該一方の側壁16の小径直線部18から離れた側の端部以外の部分を切り欠いている。また、切欠き部24は、底壁15の小径直線部18から離れた側の端部以外の外周側半分を切り欠いている。さらに、湾曲部19の小径直線部18から離れた側の端部の底壁15には、図3に示すように、幅方向の中央に前述した電線3を一本収容できる凹み30が設けられている。
【0040】
また、プロテクタ本体11には、複数の固定用フランジ25が設けられている。固定用フランジ25は、プロテクタ本体11の外表面から突出した平板状に形成されている。固定用フランジ25には、前述したパネルに設けられたウェルドナットなどに螺合するボルトを通す通し孔26が設けられている。
【0041】
前述した構成のプロテクタ本体11は、図6に示すように、大径コルゲートチューブ4の端部を大径直線部17内に収容し、小径コルゲートチューブ5を小径直線部18及び湾曲部19内に通して、プロテクタ本体11外に導く。このとき、大径コルゲートチューブ4の端部の凸条部8を大径位置決め突起21間に挿入して、当該大径コルゲートチューブ4をプロテクタ本体11に位置決めする。また、三本の小径コルゲートチューブ5即ち三本の電線3のうちの二本を仕切り壁22よりも内側に通し、残りの一本を仕切り壁22よりも外側に通す。そして、仕切り壁22よりも内側に通された二本の電線3のうちの一本の電線3を凹み30内に通す。さらに、小径コルゲートチューブ5の端部の凸条部10を位置決め突起23間に挿入して、当該小径コルゲートチューブ5をプロテクタ本体11に位置決めする。こうして、プロテクタ本体11内にワイヤハーネス2を収容する。
【0042】
蓋体13は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ平面形状がプロテクタ本体11の底壁15の平面形状と等しい平板状に形成されている。蓋体13は、プロテクタ本体11の一対の側壁16間を塞いだ格好で、当該プロテクタ本体11に取り付けられる。蓋体13のプロテクタ本体11に設けられた位置決め部12に相対する表面13aには、図5に示すように、大径補助位置決め部27と、前記補助位置決め部14が設けられている。
【0043】
大径補助位置決め部27は、蓋体13の表面13aのプロテクタ本体11の大径位置決め部20に相対する位置に設けられている。即ち、大径補助位置決め部27は、プロテクタ本体11の直線状に延在した部分に設けられている。大径補助位置決め部27は、一対の大径補助位置決め突起28を複数対(図示例では、三対)備えている。大径補助位置決め突起28は、それぞれ、蓋体13の表面13aから凸に形成されているとともに、蓋体13の長手方向に対して直交する方向に沿って直線状に延在している。一対の大径補助位置決め突起28は、蓋体13の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0044】
また、一対の大径補助位置決め突起28間の間隔は、それぞれ、大径コルゲートチューブ4の凸条部8の当該大径コルゲートチューブ4の長手方向の幅と等しく形成されている。大径補助位置決め突起28は、前述した蓋体13の表面13aから突出して、円弧状に形成されている。また、大径補助位置決め突起28の曲率半径は、大径コルゲートチューブ4の凹条溝7の外径と略等しく形成されている。三対の大径補助位置決め突起28は、蓋体13の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0045】
補助位置決め部14は、蓋体13の表面13aのプロテクタ本体11の位置決め部12に相対する位置に設けられている。即ち、補助位置決め部14は、プロテクタ本体11の直線状に延在した部分に設けられている。補助位置決め部14は、二つ設けられ、かつこれら二つの補助位置決め部14は、蓋体13の幅方向に並べられている。補助位置決め部14は、それぞれ、一対の補助位置決め突起29を複数対(図示例では、三対)備えている。補助位置決め突起29は、それぞれ、蓋体13の表面13aから凸に形成されているとともに、蓋体13の長手方向に対して直交する方向に沿って直線状に延在している。一対の補助位置決め突起29は、蓋体13の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0046】
また、一対の補助位置決め突起29間の間隔は、それぞれ、小径コルゲートチューブ5の凸条部10の当該小径コルゲートチューブ5の長手方向の幅と等しく形成されている。さらに、補助位置決め突起29は、蓋体13表面13aから突出して、円弧状に形成されている。また、補助位置決め突起29の曲率半径は、小径コルゲートチューブ5の凹条溝9の外径と略等しく形成されている。三対の位置決め突起23は、蓋体13の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0047】
前述した蓋体13は、一対の側壁16間を塞いだ格好で、プロテクタ本体11に取り付けられる。このとき、大径コルゲートチューブ4の端部の凸条部8を大径補助位置決め突起28間に挿入して、当該大径コルゲートチューブ4を位置決めする。小径コルゲートチューブ5の端部の凸条部10を補助位置決め突起29間に挿入して、当該小径コルゲートチューブ5を位置決めする。さらに、蓋体13は、大径補助位置決め部27が大径位置決め部20との間に大径コルゲートチューブ4を挟み込み、補助位置決め部14が位置決め部12との間に小径コルゲートチューブ5を挟み込む。
【0048】
本実施形態によれば、ワイヤハーネス2をプロテクタ本体11に位置決めする位置決め部12を設けた小径直線部18を、湾曲部19よりもプロテクタ本体11の中央寄りに配置しているので、プロテクタ本体11の湾曲部19で湾曲したままのワイヤハーネス2を当該プロテクタ本体11外に導き出すことができる。
【0049】
このために、ワイヤハーネス2を湾曲した状態に配索する際に、プロテクタ1から導出されたワイヤハーネス2を直ぐに湾曲させることができる。したがって、ワイヤハーネス2の曲率半径を小さくすることができ、このワイヤハーネス2をよりコンパクトに配索することが可能となる。
【0050】
また、位置決め部12がプロテクタ本体11の側壁16及び仕切り壁22の内面から凸で、かつ長手方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、幅方向に直線状に延在した位置決め突起23を備えているので、位置決め部12間にワイヤハーネス2の小径コルゲートチューブ5の凸条部10を挟み込むことで、プロテクタ本体11にワイヤハーネス2を固定することができる。よって、プロテクタ本体11即ちプロテクタ1にワイヤハーネス2を確実に固定することができる。
【0051】
蓋体13の位置決め部12に相対する表面13aに補助位置決め部14を設けているので、当該補助位置決め部14を蓋体13の直線状に延在した部分に設けることができる。このために、補助位置決め部14を蓋体に確実に設けることができる。位置決め部12とともに当該補助位置決め部14により、ワイヤハーネス2をプロテクタ本体11などに確実に固定することができる。
【0052】
補助位置決め部14が、蓋体13の表面13aから凸でかつ長手方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、幅方向に直線状に延在した補助位置決め突起29を備えているので、補助位置決め部14間にワイヤハーネス2の小径コルゲートチューブ5の凸条部10を挟み込むことで、蓋体13即ちプロテクタ本体11にワイヤハーネス2を固定することができる。よって、プロテクタ本体11即ちハーネス用プロテクタ1にワイヤハーネス2をより一層確実に固定することができる。
【0053】
さらに、プロテクタ本体11の湾曲部19の外周側に位置する側壁16などに切欠き部24を設けている。このために、小径コルゲートチューブ5の長さが多少長い場合であっても、切欠き部24を通して当該小径コルゲートチューブ5をプロテクタ本体11の外周側に膨らまして、当該プロテクタ本体に取り付けることができる。したがって、小径コルゲートチューブ5の長さに誤差がある場合であっても、当該小径コルゲートチューブ5をプロテクタ1に取り付けることができる。
【0054】
前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、前述した実施形態では、電源装置に接続した電線3をプロテクタ本体11内に収容したが、本発明は、これに限らず、電子機器に接続した信号を伝送する電線をプロテクタ本体11内に収容するようにしても良い。また、本発明では、側壁16及び仕切り壁22に位置決め突起23を設けて、位置決め突起23を底壁15に設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ハーネス用プロテクタ
2 ワイヤハーネス
11 プロテクタ本体
12 位置決め部
13 蓋体
13a 表面
14 補助位置決め部
15 底壁
16 側壁(立設壁)
18 小径直線部(直線部)
19 湾曲部
22 仕切り壁(立設壁)
23 位置決め突起
29 補助位置決め突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と底壁から立設した複数の立設壁とを有し、かつ端部に湾曲した湾曲部が設けられているとともに、ワイヤハーネスを収容するプロテクタ本体と、
前記立設壁の少なくとも互いに相対する内面に設けられかつ前記ワイヤハーネスを前記プロテクタ本体に位置決めする位置決め部と、を備えたハーネス用プロテクタにおいて、
前記位置決め部が、前記湾曲部に連なりかつ当該湾曲部よりも前記プロテクタ本体の中央寄りに設けられた直線部に設けられていることを特徴とするハーネス用プロテクタ。
【請求項2】
前記位置決め部は、少なくとも前記立設壁の互いに相対する内面から凸で、かつ前記直線部の長手方向に互いに間隔をあけて設けられているとともに、前記直線部の長手方向に対して直交する方向に直線状に延在した位置決め突起を備えていることを特徴とする請求項1記載のハーネス用プロテクタ。
【請求項3】
前記プロテクタ本体に取り付けられて前記プロテクタ本体の前記立設壁間を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体の前記位置決め部に相対する表面に設けられかつ前記ワイヤハーネスを前記プロテクタ本体に位置決めする補助位置決め部と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハーネス用プロテクタ。
【請求項4】
補助位置決め部は、前記蓋体の前記位置決め部に相対する表面から凸で、かつ前記蓋体の長手方向に互いに間隔をあけて設けられているとともに、前記蓋体の長手方向に対して直交する方向に直線状に延在した補助位置決め突起を備えていることを特徴とする請求項3記載のハーネス用プロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−143027(P2012−143027A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292012(P2010−292012)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】