説明

バイアルと他の医療用容器の移送セット

【課題】バイアル等の従来の容器と共に利用され、容器の密封し、医薬品、移送セット、あるいはクリーンルームを汚染するおそれのある微粒子等が無い清浄度を達成し、医療従事者を鋭利なエッジに曝さない、移送セットを提供する。
【解決手段】第1の容器22のネック部30へと永久変形させられ、移送セットを保持する第1の管状カラー部と、バイアル開放端と同軸に整列される径方向部分と一体の第2の管状部50と、ストッパ32と密に係合する第1の端部と反対側の自由端とを有する第3の管状部52と、流体を移送するチャネル78を有し、第3の管状部内の穿刺部材と、栓を含む流体移送セットと、を備え、第3の管状部は、第2の管状部の端部から軸方向に離間された中間径方向ウェブ54により第2の管状部に一体に接続され、栓44を取り外すと共にストッパを穿刺すべく穿刺部材を移動させた際に、第1の容器と第2の容器の間で流体が移送される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、バイアルまたは他の容器とシリンジなどの第2の容器との間で滅菌状態のもとで流体を移送するためのエラストマストッパまたは他の栓を備えた一般的なバイアルに取り付けられ得る、バイアルと他の医療用容器の改良された移送セットに関する。好ましくは、移送セットのカラー部は、径方向に永久変形して移送セットを容器に固定することができ、しかも変形後に形状を保持するのに十分な剛性および耐クリープ性を有する重合体により形成されるものである。
【0002】
(発明の背景)
薬物などの医薬品を後の使用のために密封されたバイアルまたはその他の容器に保管することは通常行われることである。薬物の品質保証期間を延ばし、在庫スペースを縮小するために、このような医薬品は、乾燥状態または粉末状にされ得る。このような乾燥状態または粉末状の薬物は、概ね、密封されたバイアルに保管され、患者への投与のために希釈液または溶媒を加えることによって液状に戻される。代わりに、薬物は、液状にされてもよく、気体状にされていてもよい。医薬品を保管する従来のバイアルは、概ね、開放端、この開放端を囲む径方向リム部、および、リム部に近接する縮径ネック部を含む。従来のバイアルは、該バイアルのネックに挿入される概ね管状の部分または環状リブおよびバイアルリムに覆い被される概ね平坦なリム部を含むエラストマストッパまたは栓により密封される。ストッパは、通常、アルミニウムなどの薄い可鍛性金属製のキャップによりバイアルに固定される。アルミニウム製キャップは、ストッパとバイアルのリム部とを囲む管状部、ストッパのリム部に覆い被さる内側に突き出た環状リム、および、バイアルリム部の下方でバイアルネック内にカシメられるか、あるいは、径方向に変形させられる末端を含む。アルミニウムは可鍛性を有するため、カラーは、ストッパおよびバイアルリムの寸法の許容誤差の増加を吸収する。標準的なバイアルおよびストッパの寸法および許容誤差は、国際標準化機構(ISO)によって定められている。
【0003】
ストッパリム部に覆い被さるアルミニウム製キャップの径方向部分は閉じることができ、この場合、バイアルからアルミニウム製キャップを「剥がす」ことにより、アルミニウム製キャップが取り外される。中間領域に配置されている予めスリットが入れられたタブがバイアルリムに覆い被されるように用意されており、使用前にキャップが頂部から裂かれてバイアルから剥がされることを可能にしている。このアルミニウム製キャップの実施形態は、いくつかの不具合を有する。第一に、金属製キャップを裂くと、鋭利なエッジがつくり出され、滅菌された手袋を切ったり損傷させたりし、また薬物を投与する人を切り、医療従事者や患者を疾病や薬物の汚染に曝してしまう。第二に、アルミニウム製キャップを裂くと、金属微粒子が生じて、それが薬物を汚染するおそれもある。アルミニウム製キャップの引き裂きに関連する危険性は、「フリップオフ」式プラスチック製キャップを加えることによりある程度解決されている。このような実施態様の一つでは、アルミニウム製カラーは中央開口部を含み、浅いプラスチック製カップ状キャップが、アルミニウム製カラーの中央開口部内に受けられて固定される中央の突き出たリベット部を有するアルミニウム製カラー上に受けられる。その後、フリップオフキャップ(flip−off cap)を強制的にアルミニウム製キャップから引き離すことでプラスチック製キャップを取り外すが、これにより、中央開口部を囲む環状のギザギザ部分が裂かれ、カラー内の開口部が露出して、皮下注射針などを受け入れられるようになる。この実施態様では、医療従事者の滅菌された手袋を裂いてしまう可能性が完全になくなるわけではないが、減じられはする。ただし、より重要なことは、アルミニウムダストが依然として発生し、医薬品を汚染するおそれがあるということである。また、アルミニウムダストがアルミニウム製カラーの形成、カラーのカシメ、および、フリップオフプラスチック製キャップの取り外しにおいて生じることから、金属ダストは、単に、アルミニウム製カラーを形成してバイアルに取り付けることによっても発生することに留意しておくことは重要である。
【0004】
さらに、アルミニウム製カラーは、流体移送セットを医薬品バイアルに固定するためにも使用されている。例えば、移送セットは、シリンジからバイアルへ流体を移送し、希釈液や溶媒を加えて乾燥状態または粉末状の薬物をバイアル内で元に戻すのに利用され得る。元に戻された薬物は、その後、シリンジによりバイアルから回収され得る。移送セットの内面は、薬物流体経路の一部となり、アルミニウム製カラーまたはリングは、薬物をバイアルに加える無菌室内や薬物流体経路内にアルミニウム微粒子をもたらして薬物を汚染させる可能性を有している。アルミニウム製キャップまたはカラーにコーティングを施すことによって、このような問題を緩和しようとする試みがなされている。最終的に、先行技術では、さらに、バイアルのリム部にパチンと嵌められる径方向かつ内側に突き出た端部を有するスナップオン式のカップ状プラスチックキャップまたはカラーを含んでいる。しかしながら、スナップオン式プラスチックカラーは、バイアルの密封状態を十分に確保し得ず、必要とされる標準のバイアルおよびストッパの許容誤差に完全には対応できていない。
【0005】
さらに、先行技術は、プラスチック製の医薬品バイアル移送セットを開示している。しかしながら、このようなプラスチック製の移送セットは比較的高価であり、いくつかの相互接続部品を有し、使用するのが難しい。従って、医薬品バイアルまたはカートリッジなどの従来の容器と共に利用され得て、容器の密封を確実なものとし、しかも、医薬品、移送セット、あるいはクリーンルームを汚染するおそれのある微粒子やダストが無い十分なレベルの清浄度を達成し、医療従事者を鋭利な金属エッジに曝さない、バイアルと他の医療用容器の移送セットに対するニーズが依然として存在している。さらに、バイアルまたは他の医療用容器に容易に固定され得て、比較的安価で、構造が単純であり、使い易い移送セットに対するニーズもなお存在している。
【0006】
(発明の概要)
上述のように、本発明の改良された移送セットアセンブリは、医療用容器とシリンジなどの第2の容器との間で流体を移送するために、一般的な医薬品バイアルおよび他の医療用容器と共に使用され得る。本発明の移送セットアセンブリは、可鍛性を有する金属またはアルミニウム製カラーに関連する問題を解消し、しかも、容器のリム部およびエラストマストッパの許容誤差の増加を吸収する。本発明の移送セットアセンブリは、構造が比較的単純であり、変形後にその形状を保持するのに十分な剛性を有すると共に、耐クリープ性を有する可鍛性重合体により形成され得る。
【0007】
本発明の移送セットアセンブリの好ましい実施形態は、開放端、開放端を囲むリム部、および、リム部に近接する縮径ネック部を有する一般的な医薬品バイアルに取り付けるように適合されており、バイアルの開放端が一般的なエラストマストッパにより密封される。本発明の移送セットアセンブリの開示される実施形態は、さらに、一般的なシリンジとバイアルとの間で流体を移送するように適合されており、それゆえに、シリンジによって希釈液または溶媒をバイアルに加えることによってバイアルに保管されている乾燥状態または粉末状の薬物を元に戻すのに利用され得る。ただし、理解されるであろうが、本発明の改良された流体移送セットは、さらに、他の種類の容器、特に医薬品容器との間で流体を移送するのに使用可能であり、従って、その用途または応用が制限されることはない。
【0008】
本発明の移送セットアセンブリは、一体型の好ましくは重合体製の外側管状部を含む移送アセンブリを含み、好ましくは外側管状部が、バイアルまたは他の容器に接続されるように適合された径方向端部と、反対側の自由端とを有し、円柱状の内側管状部が、外側管状部から内側へ径方向に間隔をおいて、概ねそれと同軸に整列され、好ましくはそれに一体に結合され、容器の開放端と概ね同軸となるように整列されて容器に取り付けられると共に自由端を有する容器に密に係合するように適合された第1の端部を有している。このアセンブリは、さらに穿刺部材を含み、この穿刺部材は、内側管状部に伸縮するように受け入れられ、容器の開放端を密封する栓を突き刺すように適合されている穿刺端および反対側の自由端を有する。本発明の移送セットの最も好ましい実施形態では、穿刺部材は、それを通して受け入れられる流体を濾過するためのフィルタを受容する拡大中間チャンバを含む軸方向通路を含んでいる。他の開示されている実施形態では、穿刺部材は、ストッパまたは栓を通して流体の連通をもたらす外側の開口した概ね縦方向のチャネルを含む。ここで用いられる際、概ね縦方向は、通路またはチャネルが流体を縦方向に送ることを意味し、それゆえに、例えば、螺旋チャネルをも含み得る。
【0009】
最後に、本発明の改良された移送セットアセンブリは、後の使用のために容器を密封する移送アセンブリの内側および外側管状部の反対側の自由端を密封する取り外し可能な栓を含む。この栓の最も好ましい実施形態は、良好な密封状態を提供すると共に栓の容易な取り外しを可能にする脆いコネクタをリム部に有するカップ形状の栓である。カップ形状の栓のリムは、上部および下部を備え、上側部分と下側部分とは、2つの部分を分ける境界に沿って周囲に離間された脆い部分により相互接続され、下部は、脆い部分が分離するまで上部と蓋とを移送セットに保持する。脆い部分は、蓋の軸の周りに角度を付けて配置され、角度方向と半径方向の強度を有するが、容易に圧縮され得る。開示されている実施形態では、脆い部分は、ピラミッド形で壊れやすく、その結果、蓋を傾け、または、ひねることにより、上部を破砕するか破るかして移送セットから取り外すことができる。さらに、上部と下部とを最初に分離したことに応じて脆い部分が分離しているということは、医療用容器およびその内部の医薬品に異物が混入したことの完全で明白な形跡を示すことになる。さらに、上部および下部は、好ましくは脆い部分と交互に並ぶ対になっている複数のスペーサブロックを含む。これらのスペーサブロックの対は、台形状であり、軸方向で互いに向けてテーパ付けられている。これらのブロックは、部分的に、上部および下部の離間された軸方向エッジ間に形成されるギャップを部分的に埋めるものであり、互いに接触するか、あるいは、軸方向に非常に近接する外端を有する。栓は、突出部が僅かに撓んで移送セットにパチンと嵌るまで、単に軸方向に押すことによって、移送セットの頂部に取り付けられる。このような装着の際に、ブロックは、著しい力が脆い部分を通して伝えられないように軸方向に耐え、その結果、組立時に脆い部分の破壊が防止される。
【0010】
エラストマストッパを有する一般的なバイアルと第2の容器との間で流体を移送するように適合されている移送セットアセンブリの好ましい実施形態では、内側管状部の自由端が、組立時にエラストマストッパを変形させる鋭利なエッジを有し、エラストマストッパに形成された開口部と内側管状部を通る通路との間にシールを提供する。さらに、内側管状部の自由端は、シリンジのネジが形成された受入部のための外側ルーアーロック(Luer lock)を含む。穿刺部材は、穿刺部がエラストマストッパの平坦部に近接するか、または、部分的に貫通するように、内側管状部を通る通路内に解放可能に保持される。穿刺部材の自由端は、シリンジが穿刺部材の自由端と係合すると共に穿刺部をエラストマストッパの平坦部に通すように概ね球状であるのが好ましい。上述のように、穿刺部材の好ましい実施形態は、軸方向通路を含み、好ましくはフィルタを含む。穿刺部材の穿刺端がエラストマストッパの平坦部に通されると、穿刺部材と移送アセンブリの内側管状部とを通した連通がもたらされる。代わりに、穿刺部材が概ね縦方向の外側通路を含む場合、移送アセンブリの内側管状部は、流体移送のための流体の連通をもたらす。
【0011】
上述のように、本発明の移送セットの移送アセンブリは、径方向の変形を可能にするのに十分な可鍛性を有しながら、変形後に形状を維持するのに十分な剛性と耐クリープ性を有する重合体により形成されるのが好ましい。本発明の移送セットアセンブリの好ましい実施形態では、一体型重合体移送アセンブリが、容器の縮径ネック部へと内側かつ径方向に変形される自由端を有し、エラストマストッパの平坦部およびバイアルまたはその他の医薬品容器のリムを囲み、移送セットを容器に固定する管状カラー部を含む。自由端は、該自由端に隣接した内面に保持され、容器の管状カラー部の回転を防止する弾性環状リングを含んでいてもよい。
【0012】
本発明の移送セットアセンブリの最も好ましい実施形態では、一体型移送アセンブリは、比較的頑丈で柔軟な可鍛性共重合体と比較的剛性の高い重合体とを含むポリマーアロイまたはメルトブレンド(melt blend)を含んだコンポストポリマーにより形成される。複合重合体は、比較的柔らかい可鍛性共重合体および比較的剛性の高い重合体のポリマーアロイであるのが最も好ましい。比較的剛性の高い重合体の好適なものは、ポリアミドまたはポリカーボネートであり、比較的柔らかい共重合体の好適なものは、ポリエステルまたはポリオレフィンから選択され得る。結果として生じるポリマーアロイまたは複合材料は、曲げ弾性率1900MPaで、降伏時の伸びが5%から10%であり、破断時の伸びは100%を超える。
【0013】
上述のように、本発明の移送セットアセンブリは、一般的なエラストマストッパを備える一般的な医薬品バイアルまたは他の医療用容器と共に使用され得る。本発明の移送セットの好ましい実施形態では、カラー部が同軸管状移送アセンブリと一体化されており、それゆえに、アルミニウムなどの可鍛性金属カラーまたはキャップの必要がない。本発明の移送セットアセンブリは、特に保護金属コーティングを有するアルミニウム製カラーをもった移送セットと比べて、比較的安価であり、製造も簡単である。本発明の移送セットは、容器の優れた密封を確保すると共に、必要であれば、クリーンな環境において射出成形され、洗浄され得る。最後に、本発明の移送セットアセンブリは、バイアルの許容誤差、特に、一般的なバイアルおよびエラストマストッパの組合せにおける許容誤差の変動の増加を吸収可能である。本発明のその他の効果および利点を有する特徴は、以下の好ましい実施形態の説明、添付の特許請求の範囲および図面とその簡単な説明をから、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的な医療用バイアル上に組み立てられた本発明の移送セットアセンブリの好ましい実施形態の側面図である。
【図2】使用できる状態にある図1に示された移送セットアセンブリおよびバイアルの部分的側部断面図である。
【図3】栓が取り外され、穿刺部材をエラストマストッパの平面部に通した後の状態を示す図2と同様の部分的側部断面図である。
【図4】一般的なバイアル上に組み立てられた本発明の移送セットアセンブリの他の実施形態の部分的側部断面図である。
【図5】栓の他の実施形態を表す図4の移送セットの部分的上部透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1から図3は、一般的な医療用バイアル22上に組み立てられた本発明の好ましい実施形態である移送セットアセンブリ20を示している。上述のように、本発明の移送セットアセンブリは、各種容器間において無菌状態のもとで、さまざまな流体を移送するために使用され得る。ただし、移送セットアセンブリ20の開示されている実施形態は、それに限られるものではないが、特に、開示されている一般的な形式の医療用バイアルとシリンジとの間で流体を移送するように適合されている。バイアルの開示されている実施形態は、例えば、乾燥状態または粉末状の医薬品を収容することができる内部24、円筒状開口部26、および、開口部26を囲む径方向のリム部28を含む。バイアルの開示されている実施形態は、さらに、リムに隣接する縮径ネック部30を含む。この形式の医薬品バイアルは、ガラスまたは滅菌可能なプラスチック製であるのが一般的である。バイアルの開口部26は、通常、概ね管状の本体部34およびバイアルのリム28に覆い被さる平坦なリム部36を備えるエラストマストッパにより閉じられる。ストッパ32は、一般に、合成ゴムまたは天然ゴムなどの弾性を有するエラストマ材料により形成される。平坦なリム部36の中央部38は、例えば、皮下注射針により穿刺され、バイアルから流体が取り出され、バイアル内の医薬品が乾燥状態または粉末状の薬物の場合、バイアル内に溶媒または希釈液が加えられる。ストッパの概ね管状の部分34は、密な嵌合、または、締まり嵌めを提供するように、バイアルの円筒状開口部26の内径よりも僅かに大きい外径を有する。
【0016】
本発明の移送セットアセンブリ20は、一体型の好ましくは重合体製の移送アセンブリ40、移送アセンブリに伸縮するように支持されている穿刺部材42、および、キャップすなわち栓44を含む。一体型の移送アセンブリ40は、管状カラー部すなわち第1の管状部46、一体型の径方向部分48、第2の管状部すなわち外側管状部50、および、第3の管状部すなわち内側管状部52を含む。開示されている実施形態では、外側管状部50は、中間径方向ウェブ54により内側管状部52に一体に接続されている。以下で詳述するが、一体型の移送アセンブリ40または管状カラー部46は、別々の物品として作成されている場合、径方向の変形またはカシメを可能にするのに十分な可鍛性を有しながら、変形後にその形状を維持するのに十分な剛性をもった重合体により形成されるのが好ましい。カラー部46はエラストマストッパ32の平坦なリム部36を囲むと共に、さらにバイアルのリム28を密に囲み、カラー部は、移送セットアセンブリ20をバイアルにしっかりと固定するように、リム28の周りでバイアルの縮径ネック部30へと径方向に変形させられるか、あるいは、カシメられる自由端56を含んでいる。好ましい実施形態では、移送アセンブリの径方向部分48は、バイアルに移送セットアセンブリを組み立てる間、エラストマストッパの平坦なリム部36へと圧縮されて、密封状態を高めると共に無菌バリアを提供し、厳密な耐性を確保する環状突起(環状バーブ)58を含む。内側管状部52の自由端57は比較的鋭利であって、エラストマストッパの平坦部36に押し込まれ、内側管状部52を通る内部通路60を主に密封する。開示されている実施形態の内側管状部52は、さらに、好ましくは一般的なシリンジまたは他の医薬品送達システムの管状部を受け入れるためのネジ62を自由端64に隣接して含む外部ルーアーロックコネクタ61を含んでいる。開示されている実施形態の外側管状部50は、縮径部66を含み、自由端68は、図2および3に示されているように、径方向部分48に隣接する管状部よりも半径が大きい。自由端部68は、図示され、また後述されるように、複数の間隔をおいて配置された管状リブ70を含む。
【0017】
穿刺部材42は、移送アセンブリの内側管状部52の内部通路60内に伸縮可能に受け入れられる。穿刺部材は、本体部72を備え、縮径穿刺部74は本実施形態において比較的鋭利な穿刺端76を有し、エラストマストッパの中央部38を刺し通すように適合されている。穿刺部材の開示されている実施形態は、軸方向の縦方向流体通路すなわちチャネル78と、通路78を通して移送される流体を濾過するフィルタ82を含んだ中間チャンバ80とを含む。フィルタ82は、円盤状であるのが好ましく、多孔性の半透性重合体製フィルタといった何れかの一般的なフィルタであってもよい。穿刺部材42は、内側管状部52上のリブ84および穿刺部材上の凹んだ環状フィレット86によって内側管状部材52の内部通路60内に解放可能なように保持される(図3参照)。
【0018】
栓すなわちキャップ44の好ましい実施形態は、移送セットのための無菌シールを提供し、簡単に取り外せると共に、異物混入の明確な形成を提供する。キャップすなわち栓44の好ましい実施形態は、図1および2に最も明瞭に示されている。栓は、端部すなわち蓋部88、図2に示されるように外側管状部50の自由端部68を密に受け入れる内側管状部90、および、脆い外側管状部92を含む。内側管状部90は、カラー部46の環状突起58が行うような生物学的なバリアを提供する。脆い外側管状部92は、栓の軸の周りに角度を付けて配置されている脆い一体型コネクタ部98により相互接続されている上部94および下部96を備える。脆い部分98はピラミッド形で壊れやすく、上部94を蓋部88および内側管状部90と共に移送セットから取り外すように上部94を傾けるか、ひねることにより、上部94が破砕また破られ得る。さらに、上部94と下部96とを最初に分離することに応じて脆い部分が分離しているということは、医療用容器およびその内部の医薬品に異物が混入したことの完全で明白な形跡を示すことになる。
【0019】
栓の上部94および下部96は、さらに、周方向に対をなして対向し合っている複数のスペーサブロック100および102をそれぞれ備え、これらは、開示された実施形態では、台形であり、互いに向けて軸方向に先細にされている。スペーサブロック100および102は、上部および下部の離間された軸方向エッジ間に形成されるギャップを部分的に埋めるものであり、互いに接触するか、あるいは、軸方向に非常に近接する外端を有する。栓は、突出部が上側リブ70を受け入れるように僅かに撓んで所定位置にパチンと嵌るまで、単に軸方向に押すことによって、内側管状部50および外側管状部52の自由端の頂部に嵌め込まれる。このような装着の際に、スペーサブロック100および102は、著しい力が脆いコネクタ98を通して伝わらず、それにより、組立時に脆い部分の破壊を防止するように、共に軸方向に耐える。外側管状部50の管状自由端68への栓44の組み立てに続いて、バイアルに移送セットを組み立てると、移送セットは使用できる状態になる。バイアルおよび移送セットは密封されているため、アセンブリはバイアル内に納められている医薬品に許容されているように保管され得る。
【0020】
図3は、栓が取り外され、穿刺部材42が移動されてストッパの中央部38を刺し通し、バイアルの内部24とシリンジ(図示せず)などの第2の容器との間に連通がもたらされた移送セットアセンブリを示している。脆い一体型コネクタ部98を破壊することにより栓の上部94を取り外した後、下部96は、図示されるように、リブ70の間に捕捉されたように残される。希釈液または溶媒がバイアル22内の乾燥状態または粉末状の医薬品に加えられ、元に戻された薬物が取り出される代表的な用例では、シリンジの管状胴部が内側管状部52の自由端64に受容され、ネジ山62にねじ込まれる。ねじ込みの際、シリンジの胴部は、穿刺部材42の本体部72に対して移動され、図3に示されるように、縮径された穿刺部材74の鋭利な端部76はエラストマストッパ32の中央部38に通される。そして、シリンジのプランジャは、フィルタ82を介して、穿刺部材の軸方向の縦方向通路78を通して溶媒または希釈液をバイアルの内部24に入れる。元に戻された薬物は、その後、シリンジプランジャを引き出すことにより、バイアルから抜き取られ得る。当業者であれば理解するであろうが、一般的なシリンジ(図示せず)は、管状胴部と、医療従事者により加えられる圧力のもとで往復するプランジャを含み、バイアルから流体を取り出すプランジャを引くことにより取り出すことができる。
【0021】
一体型の移送アセンブリ40に選択される好適な重合体は、その物理的特性によって最もよく説明され得る。重合体は、径方向の変形またはカシメを可能にするのに十分な可鍛性が有しながら、変形後に形状を保持するのに十分な剛性を有している必要がある。重合体は、さらに、径方向の変形後、一体となっている移送アセンブリと容器との間の密封を維持するのに十分な耐クリープ性を有している必要がある。降伏時の伸びが5%から10%であり、破断時の伸びが100%を超える重合体は、1,900MPaを超える曲げ弾性率と組み合わさって、優れた性能を発揮することが判明している。本発明による一体型の移送アセンブリ40が医薬品を含んでいるバイアルを密封するために使用される場合、重合体はさらに滅菌可能であるべきであり、本発明のバイアル移送セットアセンブリのような特定用例では、重合体は、比較的透明であり、変形またはカシメの応力のもとで透明度を維持するものであることが好ましい。メルトブレンドまたはアロイを含むある種のポリマーアロイまたは複合重合体と異なる可鍛性および剛性を有する重合体とを含む共重合体は、このような用途に好ましいものであることが判明している。すなわち、本発明のプラスチック製の一体型る移送アセンブリ40は、比較的剛性の高い重合体と頑丈で比較的柔らかい可鍛性をもった共重合体とを含むポリマーアロイ、複合重合体、または共重合体により形成されるのが好ましい。最も好ましい重合体は、本発明に望ましい強度およびクリープへの耐性を提供する剛性のある重合体としてのポリアミドまたはポリカーボネートを含むポリマーアロイまたはメルトブレンドである。比較的柔らかい可鍛性のある共重合体は、ポリエステルおよびポリオレフィンを含むさまざまな重合体から選択することができるが、ポリカーボネートまたはポリアミドおよびポリエステルを含むポリマーアロイが本発明に特に適していることが判明している。
【0022】
理解されるであろうが、さまざまな重合体メルトブレンド、アロイ、複合材料および共重合体は、非常に早いペースで開発が進められており、それゆえに、重合体が上述の望ましい物理的特性を有するのであれば、本発明のプラスチック製カラーは特定の重合体に限定されない。本発明のプラスチックカラーに適当な重合体には、メルトブレンドおよびアロイポリマーであるEASTAR(登録商標) MB重合体や、テネシー州キングスポートのEastman Chemical Companyおよびスイス、ツークのEastman Chemical AGが「DA003」、「DN003」、「DN004」という商標のもとで販売しているニートポリマー(neat polymers)であるEASTAR(登録商標)熱可塑性重合体が含まれる。これらの材料は、ポリカーボネートまたはポリアミドおよびポリエステルの重合体メルトブレンド、アロイ、および共重合体である。ここで用いられる際、メルトブレンドおよびアロイという用語は、ポリカーボネートまたはポリアミドおよびポリエステルを含む上述のEastman Chemical CompanyのEASTAR(登録商標)重合体などのような、異なる物理的属性または特性をもった2つまたはそれ以上の重合体を有する重合体組成を示す。選択される重合体は、さらに、より正確には合成物として説明されるフィラーおよび他の成分を含んでいてもよいが、重合体は、なお重合体メルトブレンドまたはアロイであってよい。ここで用いられる際、複合という用語は、アロイまたはメルトブレンド、合成物、および共重合体を含む広い意味で使用される。理解されるであろうが、原材料の製造業者または供給元は、通常、顧客の仕様に基づいて重合体をブレンドする。重合体は、重合体メルトブレンド、アロイまたは合成物を形成するように共に注入されるか、あるいは、他の適切な方法により形成され得る。ただし、説明された物理特性をもつ他の重合体も、本発明のプラスチックカラーまたはキャップにおいて使用され得ることは理解されよう。特定の用途では、図2および3に示されるカラー部46の少なくとも内側表面を熱可塑性エラストマによりコーティングするのが望ましく、カラー全体が熱可塑性エラストマの薄い層を有していてもよい。熱可塑性エラストマコーティングは、膜として施されてもよく、一体型の移送アセンブリ40を形成する重合体と共に射出することによっても施され得る。移送アセンブリ40および栓44は、一般的な射出成形プロセスにより形成可能である。
【0023】
図4および図5は、本発明の他の実施形態である移送セットアセンブリ120を示している。構成要素のいくつかは、図1から図3に示される移送セットアセンブリ20の構成要素と同様であることから、そのような構成要素には説明の重複をとどめるために同様の順序で参照符号が付されている。移送セットアセンブリ120は、上述のような一般的なバイアル22上に組み立てられる。本実施形態では、エラストマストッパ132は、一般的なものでもあり、後述のように、概ね管状の部分134、概ね平坦なリム部136、および、穿刺部材142により穿刺される縮径中央部138を含む。開示されている一体型の重合体製移送アセンブリ140は、上述の移送アセンブリ40に非常に類似しており、第1の管状カラー部146、径方向部分148、内側管状部152、および、外側管状部150をそれぞれ含む。外側管状部および内側管状部は、径方向ウェブ154により一体に相互接続されている。ただし、この実施形態では、外側管状部150の自由端156は、後述の栓を受ける径方向フランジ170を含む。上述のように、管状カラー部146の自由端156は、バイアルの縮径ネック部へと径方向かつ内側に変形させられるか、または、カシメられる。ただし、本実施形態では、カラー部の自由端156の内面の凹んだ環状溝内に配置されたエラストマ製Oリング157により、バイアル上での移送セットの回転が防止される。更なる回転防止手段は、上述のように、移送セットをバイアル上に組み立てた際にエラストマストッパのリム部136内に圧入される径方向突起(径方向バーブ)158により提供される。
【0024】
図4に示される穿刺部材の実施形態は、本体部172、縮径穿刺部174、および、穿刺端176を含む。穿刺部材は、上述のように、内側管状部の内面にある環状リブ184によって内側管状部152内の内部通路160内に取り外し可能に保持される。この穿刺部材の実施形態では、穿刺部材は、上述のような縦方向チャネル78ではなく、穿刺端176の近くから本体部172の一部を通って延びるV字状外部チャネル178を含む。穿刺部材の穿刺部174が、エラストマストッパの中央部138に通されると、V字状チャネル178は、ストッパを通して内側管状部152の内部通路への連通をもたらす。従って、例えば雌型ルーアーロックコネクタを有する一般的なシリンジ(図示せず)が、ネジ162にねじ込まれ、穿刺部がエラストマストッパの中央部138に通されると、V字状チャネル178を通してシリンジの胴部とバイアルの内部24との間に流体の連通がもたらされる。外部チャネル178は、穿刺部材174がストッパの中央部138に通される際にバイアルの内部24と内部通路160との間に流体の連通をもたらすことについて上述の軸縦方向通路78に勝る利点をいくつか提供する。重要な利点は、バイアル内に存在する医薬品をも完全に吸引できるということである。理解されるであろうが、外部チャネル178は、図示されるように、連続的に縦方向に延びるか、螺旋状または不連続に延在する。他の手法では、穿刺部材142が、上述の穿刺部材42と同様の機能を果たす。
【0025】
図4および図5に示される栓144は、移送セットの内部構成要素を密封する剥ぎ取り式のシールであり、簡単に取り外せると共に、異物混入の表示を供する。開示されている栓の実施形態は、外側管状部の環状フランジ部170の形状に順応し、径方向フランジ部170に接着剤により接合されており、紙、プラスチック、アルミニウム、またはフォイルにより形成され得る円形の密封蓋部186を含んでいる。本実施形態は、外側管状部の自由端に溶接または接着剤180により接着固定されている中央部188を有する一体型タブ184を含んでいる。中央部188を移送セットに固定することで、シールを不注意に取り外すことが防止され、取り外されると異物混入の形跡が示されることになる。タブの自由端192は、移送セットからシール144を剥ぎ取るために、容易に掴むことができる。このように、剥ぎ取り式シール144によって移送セットが無菌密封され、しかも容易に取り外すことができ、取り外されると異物混入の形跡が示されることになる。
【0026】
移送セット20に関して上述されたように、図4および図5に示されている移送セット120は、移送アセンブリの径方向部分148を弾性ストッパに押し付け、バイアルの縮径ネック部30に向けてカラー部146の自由端156をカシメるか、径方向に変形させることによりバイアル22およびエラストマストッパ132上に組み立てられる。穿刺部材142は、内側管状部内に穿刺部材を解放可能に保持すべく、端部156から内側管状部の通路160内に予め組み立てられる。径方向部分148を弾性エラストマストッパに押し付けることで、ストッパは、図1から図3の実施形態に関連して説明されたものと同様に変形させられる。この組立は、そこで医薬品がバイアルの内部24に加えられ、薬品の完全性が保証されることになる例えば製薬会社において、無菌状態で実行され得る。図4および図5の剥ぎ取り式シール144および図1から図3の栓44は、異物混入の形跡を示し、使用前の移送セットの無菌状態を保証する。その後、上述のように、医療従事者が剥ぎ取り式シール144を除去し、バイアルと一般的なシリンジなどの第2の容器との間で流体を移送するために、その移送セット120が利用される。
【0027】
当業者であれば理解するであろうが、添付の特許請求の範囲内で、本発明の移送セットアセンブリの実施形態にさまざまな変更を加えることが可能である。例えば、ここで開示されている栓の他に、さまざまな栓を利用することができる。さらに、移送アセンブリの内側管状部および外側管状部は、カラー部46および146から分離されてもよく、例えば、カラーは、外側管状部50、150の径方向部分の上に重ねられる径方向部分を備えていてもよい。さらに、移送セットの最終的な用途に応じて、ルーアーロック61,161を第2の容器に適したコネクタに置き換えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封容器と移送セットのアセンブリであって、
開放端、前記開放端を囲むリム部、および、前記リム部に隣接する縮径ネック部を有する第1の容器と、
前記第1の容器の開放端に配置されるストッパと、
前記第1の容器の開放端に装着され、前記第1の容器と第2の容器との間で流体を移送する流体移送セットであって、自由端を有し、前記第1の容器の縮径ネック部へと径方向に永久変形させられ、前記移送セットを前記第1の容器上に保持する第1の管状カラー部と、前記第1の容器のリム部に重なる前記第1の管状カラー部と一体になった径方向部分と、自由端を有し、前記バイアル開放端と概ね同軸になるように整列される前記径方向部分と一体になった第2の管状部と、前記ストッパと密に係合する第1の端部と反対側の自由端とを有し、前記第2の管状部から径方向内側に間隔をおいて配置されると共に前記第2の管状部と概ね同軸になるように整列される第3の管状部と、前記ストッパに近接する穿刺端、反対側の端部および前記バイアルと容器との間で流体を移送するチャネルを有し、前記第3の管状部内に入れ子状に受け入れられる穿刺部材と、前記第2の管状部の前記自由端および前記第3の管状部の前記反対側の自由端を閉じる取り外し可能な栓を含む流体移送セットと、を備え、
前記第3の管状部の第1の端部は、前記第2の管状部の端部から軸方向に離間された中間径方向ウェブにより前記第2の管状部に一体に接続され、
前記栓を取り外すと共に前記ストッパを穿刺すべく前記穿刺部材を入れ子状に移動させた際に、前記第1の容器と前記第2の容器の間で流体が移送され得ることを特徴とする密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項2】
前記第3の管状部は、前記第2の管状部に一体に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項3】
前記第1、第2および第3の管状部は、前記第1の管状部の前記自由端の径方向における変形を可能とするのに十分な可鍛性を有しながら、変形後にその形状を維持するのに十分な剛性および前記移送セットと前記第1の容器との間の密封を維持するのに十分な耐クリープ性を有する重合体により一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項4】
前記重合体は、比較的透明で、変形の応力のもとでその透明性を維持することを特徴とする請求項1に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項5】
前記第1、第2、および第3の管状部は、比較的柔らかい可鍛性重合体および比較的剛性の高い重合体を含む複合重合体により一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項6】
前記栓は、プラスチックにより形成されると共に、前記第2の管状部の前記自由端および前記第3の管状部の前記反対側の自由端に重なる部分と、前記第2の管状部の前記自由端を囲む一体型管状栓部とを備え、前記一体型管状栓部が、縦方向の一体型の脆い部分によって一体に接続されている第1および第2の部分を備えており、前記縦方向に延びる一体型の脆い部分を破壊することにより前記栓の取り外しを可能としていることを特徴とする請求項1に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項7】
前記栓は、前記第2の管状部の前記自由端内に延在している第2の一体型管状栓部を含むことを特徴とする請求項6に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項8】
前記穿刺部材は、前記穿刺端を通って延びる軸方向通路を含むことを特徴とする請求項1に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項9】
前記穿刺部材の軸方向通路は、フィルタを有する中間径方向チャンバを含み、前記第1の容器と前記第2の容器との間で前記軸方向通路を移送される流体を濾過することを特徴とする請求項8に記載の密封容器と移送セットのアセンブリ。
【請求項10】
無菌状態のもとで第1の容器の開放端と第2の容器の開放端との間で流体を移送するための移送セットアセンブリであって、
前記第1の容器に接続されるように適合されている径方向端部と反対側の自由端とを有する外側管状部と、前記外側管状部から径方向内側に間隔をおいて配置されると共に前記外側管状部と概ね同軸となるように整列され、前記外側管状部と一体に結合されている円筒状の内側管状部とを含む一体型重合体製移送アセンブリであって、前記内側管状部が、前記第1の容器の前記開放端と概ね同軸になるように整列されると共に前記第1の容器と密に係合するように適合されている第1の端部と反対側の自由端とを有している一体型重合体製移送アセンブリと、
前記移送アセンブリの前記内側管状部に入れ子状に受け入れられ、前記第1の容器の前記開放端を密封するストッパを刺し通すように適合されている穿刺端と反対側の自由端とを有する穿刺部材と、
前記移送アセンブリの前記内側管状部および外側管状部の前記反対側の自由端に被さって密封する取り外し可能な栓と、を備え、
前記円筒状の内側管状部の第1の端部は、前記外側管状部の端部から軸方向に離間された中間径方向ウェブにより前記外側管状部に一体に接続されることを特徴とする移送セットアセンブリ。
【請求項11】
前記移送アセンブリの外側管状部の前記径方向端部は、前記移送アセンブリを前記第1の容器に固定するように径方向内側に変形させられるように適合されている自由端をもった一体型管状カラー部を含むことを特徴とする請求項10に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項12】
前記一体型重合体製移送アセンブリは、前記一体型管状コネクタ部の前記自由端の径方向における変形を可能にするのに十分な可鍛性を有しながら、変形後にその形状を保持するのに十分な剛性および前記一体型重合体製移送アセンブリと前記第1の容器との間の密封を維持するのに十分な耐クリープ性を有する重合体により形成されていることを特徴とする請求項11に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項13】
前記一体型重合体移送アセンブリは、比較的柔らかい可鍛性重合体および比較的剛性の高い重合体を含む複合重合体により形成されていることを特徴とする請求項12に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項14】
前記穿刺部材は、該穿刺部材を介した流体の連通をもたらす外側の開口した概ね縦方向のチャネルを含むことを特徴とする請求項10に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項15】
前記穿刺部材は、該穿刺部材を介した流体の連通をもたらすそれを通る縦方向の軸方向チャネルを含むことを特徴とする請求項10に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項16】
前記縦方向の軸方向チャネルは、前記穿刺部材を通して移送される流体を濾過するフィルタをもった中間径方向チャンバを含むことを特徴とする請求項15に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項17】
前記栓は、プラスチックにより形成されると共に、前記移送アセンブリの前記内側および外側管状部の前記自由端に重なる部分と、前記外側管状部の前記自由端を囲む一体型管状栓部とを備え、前記管状栓部が、縦方向に延びる一体型の脆い部分によって一体に接続されている第1および第2の部分を備えており、前記一体型の脆い部分を破壊することにより前記外側の管状部からの前記栓の取り外しを可能にしていることを特徴とする請求項10に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項18】
前記栓は、前記移送アセンブリの前記外側管状部の前記自由端内に延びる第2の一体型管状栓部を含むことを特徴とする請求項17に記載の移送セットアセンブリ。
【請求項19】
前記移送アセンブリの前記外側管状部は、外部ルーアーロックコネクタを含み、前記穿刺部材は、前記穿刺端の反対側に概ね球状の端部を有することを特徴とする請求項10に記載の移送セットアセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−152592(P2012−152592A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92217(P2012−92217)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2001−531085(P2001−531085)の分割
【原出願日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】