説明

バイエル工程における赤泥凝集を向上させるためのケイ素含有重合体の使用

バイエル工程流れをケイ素含有重合体に接触させることで前記流れの中に懸濁している固体の含有量を低くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイエル(Bayer)アルミナ工程流れをSi含有重合体に接触させることでそれに懸濁している固体を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
ボーキサイトはほとんど全部の製造されたアルミナ化合物の基礎原料である。アルミニウム化合物製造工程では、大部分のボーキサイトがバイエル工程で精製され、それによって水酸化アルミニウムが生じる。このバイエル工程は、ボーキサイトにNaOH溶液による熱浸出を加圧容器内で受けさせて過飽和のアルミン酸ナトリウム溶液を得た後にそれに種晶を添加してAl(OH)を沈澱させることを伴う。バイエル工程の精製所は下記の共通した6工程段階を有する:ボーキサイト採鉱;原料調製;ボーキサイト分解;不溶ボーキサイト残渣の分離、洗浄、処分;水酸化アルミニウム(三水化物)沈澱;および無水アルミナを生じさせるカ焼(calcination)。ボーキサイト残渣固体を過飽和グリーンリカーからそれの沸点近くの温度で分離する工程は「浄化(clarification)」として知られる。
【0003】
その浄化段階では一般に「サンドトラップ」サイクロンを用いて粗い固体状粒子を除去することが行われる。より微細な固体状粒子を前記リカーから分離しようとする時、通常は、そのスラリーを泥沈澱槽の中心ウエルの中に送り込んで、それを凝集剤組成物で処理することが行われるが、そのような凝集剤組成物はいろいろな凝集剤が基になっている可能性があり、それらには、澱粉、小麦粉、ポリアクリル酸塩重合体、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、および/またはペンダント型のヒドロキサム酸もしくは塩である基を含有する水溶性重合体が含まれる。前記泥が沈澱するにつれて、浄化されたアルミン酸ナトリウム溶液(グリーンリカーと呼ばれる)が前記泥沈澱槽の上部に位置する堰の上をあふれて出て、次の工程段階に送られる。一般的には、前記アルミン酸ナトリウム溶液の過飽和状態を高める目的で冷却が行われた後、種晶、例えば先行するサイクルから得られた微細なギブサイト種晶などを添加することで所望最終生成物であるAl(OH)の沈澱を開始させる。
【0004】
そのような凝集手順で沈澱させた固体(赤泥として知られる)を前記泥沈澱槽の底から取り出した後、向流洗浄回路に通すことでアルミン酸ナトリウムとソーダを回収する。前記沈澱槽からあふれ出たアルミン酸塩リカーはまだ懸濁している固体を有意な量で含有している可能性がある。一般的には、そのリカーを濾過してさらなる浄化を行うことで懸濁している固体の含有量が非常に低い濾液を得る。当該ボーキサイトに入っているケイ酸塩の濃度に応じて、そのような赤泥および/またはアルミン酸塩リカーはアルミノケイ酸ナトリウムを含有する可能性がある。溶解しているアルミノケイ酸ナトリウムが沈澱を起こしてスケールを形成する可能性がある。不溶なアルミノケイ酸ナトリウム[また脱ケイ酸生成物(DSP)としても知られる]は前記赤泥および/またはアルミン酸塩リカーの中に懸濁したままであり得る。
【0005】
前記濾液からアルミナが三水化アルミナ結晶として比較的高い純度の形態で沈澱してくる。残りの液相を初期の分解段階に戻し、そして追加的苛性で再構成させた後、追加的鉱石の分解剤として用いる。
【0006】
そのバイエル工程の効率が全体として良好ならば、その懸濁している固体を分離する速度は好適に比較的速い。バイエル工程流れに懸濁している固体を効率良く除去することが
長年に渡って重要な難題であった。工程流れに懸濁している固体を分離する速度を速める方法ばかりでなくその成分をより奇麗に分離する方法は、とりわけ、特許文献1に開示されている方法(ポリアクリレートを凝集剤として用いている)および特許文献2に開示されている方法(ポリアクリレートと澱粉の組み合わせをバイエルアルミナ回収回路で用いている)である。ポリアクリルアミドを泥沈澱槽内で用いることが特許文献3に開示されている。バイエルアルミナ回収回路の中のいろいろな段階をいろいろな凝集剤組成物で有利に処理することが特許文献4に教示されている。バイエル工程流れをヒドロキサム化重合体と接触させて混合することでバイエルアルミナ工程流れに懸濁している固体を除去する方法が特許文献5に記述されている。そのヒドロキサム化重合体はアニオン性ポリアクリレートと一緒に使用可能である。特許文献6および7では、バイエルアルミナ工程流れに懸濁している固体を除去する目的でヒドロキサム化重合体エマルジョンとポリアクリレートエマルジョンの混合物を用いている。バイエル工程における赤泥を処理する目的で開示された他の重合体には、ホスホン酸含有重合体(特許文献8)、水連続アクリル酸メチル乳化重合体(特許文献9)およびサリチル酸含有重合体(特許文献10)が含まれる。
【0007】
ケイ素含有重合体が水浄化の目的で開示された。例えば、特許文献11では、水に懸濁している固体を凝集させる目的でケイ素含有アミノメチルホスホネートを用いている。ハロゲン化ジアリルジメチルアンモニウムとビニルトリアルコキシシランの共重合体が油状廃水の抗乳化(特許文献12)、鉱物スラリーの脱水(特許文献13)および廃水の浄化(特許文献14)で用いられる凝固剤として開示されている。非イオン性、カチオン性およびアニオン性の水溶性重合体の構造に修飾を受けさせる目的でビニルトリアルコキシシランを架橋剤として用いることおよびそのような構造的に修飾を受けさせた重合体を凝集剤として用いることが特許文献15に開示されている。上述したケイ素含有重合体に関する特許のいずれもバイエル工程流れに懸濁している固体の処理には関係しない。
【0008】
アルミノケイ酸塩スケールを制御する目的でケイ素含有重合体を用いることは開示されている(特許文献16、17、18および19を参照)。そのような刊行物には、溶解しているアルミノケイ酸塩(例えばアルミノケイ酸ナトリウム)が表面に沈着してスケールを形成することがないようにする目的でケイ素含有重合体を用いる方法が記述されてはいるが、しかしながら、DSPを凝集させる方法は記述されていない。
【0009】
ここに、ケイ素含有重合体を単独でか、或は通常の凝集剤と混合した後にか、混合する前にか或はそれと一緒にバイエル工程流れに添加して効率良く混合するとバイエル工程流れに懸濁している固体、特にDSPの凝集度合の多大な向上を得ることができることを見いだした。そのような処理は特にケイ酸塩およびアルミノケイ酸ナトリウムの含有量が高いボーキサイト残渣固体を処理しようとする時に最新技術の方法(上述した特許に例示されている如き)に比べて有効である。そのように懸濁している固体の量を減少させることができれば濾過の必要性が有意に低下し得る。その懸濁している固体は好ましくない不純物を含有している可能性があることから、懸濁している固体の減少を本発明の実施で達成することができればまた結果としてもたらされるアルミナ生成物の純度も向上し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,390,959号
【特許文献2】米国特許第3,681,012号
【特許文献3】米国特許第4,083,925号
【特許文献4】米国特許第4,678,585号
【特許文献5】米国特許第4,767,540号
【特許文献6】米国特許第5,516,435号
【特許文献7】米国特許第5,539,046号
【特許文献8】米国特許第5,534,235号
【特許文献9】米国特許第6,036,869号
【特許文献10】米国特許第6,527,959号
【特許文献11】米国特許第3,779,912号
【特許文献12】米国特許第5,560,832号
【特許文献13】米国特許第5,597,475号
【特許文献14】米国特許第5,679,261号
【特許文献15】米国特許第6,605,674号
【特許文献16】米国特許第6,814,873号
【特許文献17】米国特許公開番号2004/0162406 Al
【特許文献18】米国特許公開番号2005/0010008 A2
【特許文献19】米国特許公開番号2005/0274926 A2
【発明の概要】
【0011】
要約
本発明は、ケイ素含有重合体、凝集剤組成物およびバイエルアルミナ工程の工程流れに懸濁している固体を減少させるための方法を提供するものである。本方法は、バイエル工程流れをそのようなケイ素含有重合体および/または凝集剤組成物と接触させることでバイエル工程流れに懸濁している固体を凝集させることを伴う。好適な態様において、本明細書に記述するケイ素含有重合体および凝集剤組成物は特にバイエル工程流れに懸濁しているDSPを凝集させるに有効である。本発明に従うケイ素含有重合体および/または凝集剤組成物と有利に接触させることができるバイエル工程流れは、供給材料のいずれかの部分、例えば沈澱槽供給材料、沈澱槽からあふれ出る流れ、噴出排出液(blow−off discharge)またはアルミナ沈澱(即ち回収)回路に由来する部分などであってもよい。また、本重合体と接触させるバイエル工程流れを洗浄槽列の中の泥洗浄槽に供給することも可能である。
【0012】
1つの態様では、DSP用ケイ素含有重合体凝集剤およびバイエル工程赤泥用アニオン性重合体凝集剤を含有して成る凝集剤組成物を提供する。前記凝集剤組成物中の前記ケイ素含有重合体凝集剤の量と前記アニオン性重合体凝集剤の量の重量比を約100:1から約1:10の範囲内、例えば約10:1から約1:2の範囲内、例えば約1:1にしても
よい。別の態様では凝集方法を提供し、この方法は、前記凝集剤組成物をバイエル工程流れにこれの中に懸濁している固体(この懸濁している固体は赤泥、DSPおよびこれらの混合物から成る群より選択される)の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る。
【0013】
別の態様では、凝集剤であるケイ素含有重合体をバイエル工程流れにこれの中に懸濁しているDSPの少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合しそしてそのようにして生じさせた凝集したDSPの少なくとも一部を分離することを含んで成る凝集方法を提供する。
【0014】
別の態様では、重合体と結合しているケイ素含有基を含有して成る水溶性もしくは水分散性のケイ素含有重合体を提供し、このケイ素含有重合体の形態は、ケイ素含有重合体が懸濁DSPを凝集させる能力が前記ケイ素含有基によって向上するような形態である。1つの態様におけるケイ素含有基は−Si(OR)[ここで、RはNa、KまたはNHである]である。別の態様では、前記ケイ素含有重合体中のケイ素含有基の量を少なくとも約5重量%にする。別の態様では、前記ケイ素含有重合体をバイエル工程流れにこれの中に懸濁している固体(この懸濁している固体は赤泥、DSPおよびこれらの混合物から成る群より選択される)の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る凝集方法を提供する。
【0015】
別の態様では、重合体と結合しているケイ素含有基を含有して成る水溶性もしくは水分散性のヒドロキサム化ケイ素含有重合体を提供する。別の態様では、前記ヒドロキサム化ケイ素含有重合体をバイエル工程流れにこれの中に懸濁している固体(この懸濁している固体は赤泥、DSPおよびこれらの混合物から成る群より選択される)の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る凝集方法を提供する。
【0016】
前記および他の態様を以下により詳細に記述する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下の説明および実施例に本発明の好適な態様を詳細に例示する。当業者は、本発明の範囲内に包含される本発明の変形および修飾形が数多く存在することを認識するであろう。従って、好適な態様の説明は本発明の範囲を限定するものでないと見なされるべきである。
【0018】
ここに、バイエル工程の懸濁している固体、特に懸濁しているDSPを含有する固体を凝集させる凝集剤としていろいろなケイ素含有重合体が有用であることを見いだした。本明細書に記述する凝集方法で用いるに有用な(例えばDSP用凝集剤として用いるに有用な)ケイ素含有重合体の例には、米国特許第6,814,873号および米国特許公開番号2004/0162406 Al、2005/0010008 A2および2005/0274926 A2(これらは全部引用することによって全体が特に凝集剤であるケイ素含有重合体およびそれらの製造方法を記述する目的で本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。DSP用凝集剤であるケイ素含有重合体の他の例を本明細書に記述する。当業者は、本明細書に示す指針を考慮した常規実験を用いることで、本明細書に記述する方法で用いるに有用、例えばDSP用凝集剤として用いるに有用な凝集剤である他のケイ素含有重合体を同定することができるであろう。
【0019】
1つの態様では、重合体と結合しているケイ素含有基を含有して成る水溶性もしくは水分散性のケイ素含有重合体を提供し、このケイ素含有重合体の形態は、ケイ素含有重合体が懸濁DSPを凝集させる能力が前記ケイ素含有基によって向上するような形態である。
【0020】
1つの態様では、水溶性もしくは水分散性のケイ素含有重合体、例えばペンダント型のケイ素含有基1種または2種以上、例えばシランなどを含有する重合体を提供する。1つの態様におけるケイ素含有重合体はDSP用凝集剤であり、それの形態は、例えばケイ素含有重合体が懸濁DSPを凝集させる能力が前記ケイ素含有基1種または2種以上によって向上するような形態である。そのようなケイ素含有重合体を凝集剤組成物に含有させてもよい。1つの態様では、そのような凝集剤組成物にアニオン性重合体、例えばバイエル工程赤泥用の凝集剤であるアニオン性重合体などを含有させる。いろいろなケイ素含有重合体、重合体組成物およびそれらの使用方法を以下に記述する。
【0021】
ケイ素含有重合体の例には、ペンダント型シラン基を有する重合体、例えば式(I):
−Si(OR) (I)
[式中、各Rは独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンまたはNR’であり、かつ各R’は独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルであり、そしてRおよびR’は各々独立して置換されていないか、ヒドロキシで置換されているか或はベータ位がヒドロキシで置換されている]
で表されるペンダント型ケイ素含有基が結合している重合体が含まれる。R基の例には、低級アルキル、例えばC1−6アルキル基およびC1−3アルキル基、フェニル、ベンジル、Na、KおよびNHが含まれる。前記ケイ素含有重合体中のケイ素含有基の量は比較的幅広い範囲に渡って多様であり得、そのような重合体の形態は固体の凝集度が向上するような形態であり得る。
【0022】
本明細書に示す指針を情報として利用して行う常規実験を用いることで、個々の用途に有効なケイ素含有重合体を選択することができ、例えば重合体のポリマーバックボーン、分子量、ケイ素含有基およびこれがDSPを凝集させるに有効な重合体を構成する量を選択することなどでそのようなケイ素含有重合体を選択することができる。例えば、本明細書に示す指針を情報として利用して行う常規実験を用いることで、ケイ素含有重合体が懸濁DSPを凝集させる能力が前記ケイ素含有基1種または2種以上によって向上するような重合体を構築することができる。前記ケイ素含有重合体中のケイ素含有基の適切な量は、当該重合体の種類および用途に応じて多様であり得る。例えば、1つの態様におけるケイ素含有重合体が含有する−Si(OR)基の量は少なくとも約1重量%、例えば−Si(OR)基の量は少なくとも約5重量%である。本明細書に示す指針を情報として利用して行う常規実験を用いることで、適切な分子量を有する重合体を選択することができる。例えば、そのようなケイ素含有重合体の分子量は幅広い範囲に渡って多様であり得、例えば約1,000から約1500万であり得、しばしば約10,000以上、または約100,000以上、例えば約10,000から約1000万の範囲、例えば約100,000から約500万である。本明細書に記述する如き分子量は、特に明記しない限り、高圧サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(光散乱検出)で測定した如き重量平均である。
【0023】
いくつかの態様における−Si(OR)基は、トリメトキシシラン基(R=メチル)またはトリエトキシシラン基(R=エチル)である。また、他のアルキル基も式(I)のペンダント型基中のRとして有利に使用可能である。本明細書で用いる如き用語「アルキル」は幅広い用語であり、これを通常の意味で用い、それに、これらに限定するものでないが、炭素原子数が1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の直鎖もしくは分枝の非環式もしくは環式不飽和もしくは飽和脂肪族炭化水素を指すことを包含させる一方、用語「低級アルキル」はアルキルと同じ意味を有するが、含有する炭素原子の数は1、2、3、4、5または6である。代表的な直鎖飽和アルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが含まれる。飽和分枝アルキル基の例には、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、イソペンチルなど含まれる。代表的な飽和環式アルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHシクロプロピル、−CHシクロブチル、−CHシクロペンチル、−CHシクロヘキシルなどが含まれる。代表的な不飽和環式アルキル基には、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが含まれる。環式アルキル基はまた「同素環式環」とも呼ばれ、それには二および多同素環式環、例えばデカリンおよびアダマンタンなどが含まれ得る。不飽和アルキル基は、隣接して位置する炭素原子の間に二重もしくは三重結合を少なくとも1個含有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖および分枝アルケニル基には、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが含まれる。代表的な直鎖および分枝アルキニル基にはアセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが含まれる。置換されていないアルキル基が一般に好適ではあるが、また置換されているアルキル基も有利に使用可能である。
【0024】
特定態様におけるRはアリール基であってもよいか或はアリール基を含有していてもよい。本明細書で用いる如き用語「アリール」は幅広い用語であり、これを通常の意味で用い、それに、これらに限定するものでないが、芳香炭素環式部分、例えばフェニルまたはナフチルなどばかりでなくアリールアルキルおよびアルキルアリール部分なども指すことを包含させる。本明細書で用いる如き用語「アリールアルキル」は幅広い用語であり、これを通常の意味で用い、それに、これらに限定するものでないが、アルキルの少なくとも1個の水素原子がアリール部分、例えばベンジル、−CH(1もしくは2−ナフチル)、−(CHフェニル、−(CHフェニル、−CH(フェニル)などに置き換わっているアルキルを指すことを包含させる。本明細書で用いる如き用語「アルキルアリール」は幅広い用語であり、これを通常の意味で用い、それに、これらに限定するものでないが、アリールの少なくとも1個の水素原子がアルキル部分に置き換わっているアルキルを指すことを包含させる。特に好適なアリール基には、C6−12アリールおよびC7−20アラルキル基が含まれる。
【0025】
一般的には、置換されていないアルキルまたはアリール基が好適ではあるが、特定の態様では、置換されているアルキルまたはアリール基を有利に用いることができる。本明細書で用いる如き用語「置換されている」は幅広い用語であり、これを通常の意味で用い、それに、これらに限定するものでないが、少なくとも1個の水素原子が置換基に置き換わっている前記基(例えばアルキル、アリール)のいずれかを指すことを包含させる。ケト置換基(「−C(=O)−」)の場合には2個の水素原子が置き換わっている。置換されている時、好適な態様の文脈の範囲内の「置換基」には、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボキシル、エーテル、カルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルなどが含まれる。別法として、R基の炭素原子の中の1個以上がヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄などに置き換わっていてもよい。
【0026】
いくつかの態様におけるケイ素含有基は、1個以上のヒドロキシ基、例えばベータ位のヒドロキシ基などを置換基として含有する。例えば、いくつかの態様におけるケイ素含有重合体はヒドロキサメート(−CONH(OH))基を1個以上含有する。本明細書に記述するケイ素含有重合体のいずれもヒドロキサム化されていてもよい。例えば、1つの態様では、重合体と結合しているケイ素含有基を含有して成る水溶性もしくは水分散性のヒドロキサム化ケイ素含有重合体を提供する。
【0027】
ペンダント型のケイ素含有基1種または2種以上は当該ケイ素含有重合体のバックボーンの中の原子(例えば炭素原子)と直接結合していてもよいか或は適切な連結基を通して重合体のバックボーンに結合していてもよい。連結基の例には、完全飽和直鎖C1−6アルキル鎖ばかりでなくエーテル連結を有するアルキル鎖(例えばアルコキシまたはポリ(アルコキシ)連結基)が含まれる。他の連結基には、アミド連結を有するアルキル鎖およびヒドロキシ置換基を有するアルキル鎖、例えば
−C(=O)(NH)CHCHCH
−NHCHCHOHCHOCHCHCH
−NHC(=O)NHCHCHCH
などが含まれる。
【0028】
1つの態様では、ペンダント型のケイ素含有基を重合体バックボーンおよび/または重合体の適切な部分のいずれか(例えば末端基として、グラフト化部分もしくは側鎖上、等々)に含有させるか或は結合させる。特定態様では、そのようなペンダント型のケイ素含有基に加えて他のペンダント型基も含有させる方が好ましい可能性がある。他のペンダント型基の例には、カルボキシレート基、例えば−C(=O)Oまたは−C(=O)OHなど、アミド基、例えば−C(=O)NHなど、ヒドロキサム化基、例えば−C(=O)NHOなど、およびアミン基、例えば−NHなどが含まれる。当業者が理解するであろうように、また他のペンダント型基を用いることも可能である。
【0029】
いくつかの態様における重合体バックボーンは、置換されているエチレン繰り返し単位、例えば−[CHC(R)H]−[ここで、Rは、本明細書の他のどこかに記述する如き連結基を伴うか或は伴わないシラン基を含んで成る]または別のペンダント型置換基を含有して成る。1種類の連結基を用いてもよいか或は連結基の組み合わせを用いてもよい。特定の態様では、エチレン繰り返し単位の追加的水素原子がペンダント型のシラン基または他のある種のペンダント型基に置き換わっていてもよい。
【0030】
本明細書に記述するケイ素含有重合体はいろいろな方法で製造可能である。例えば米国特許第6,814,873号および米国特許公開番号2004/0162406、2005/0010008および2005/0274926(これらは全部引用することによって特にケイ素含有重合体およびそれらの製造方法を記述する目的で本明細書に組み入れられる)を参照のこと。例えば、いくつかの態様では、それらの製造を式(I)で表される基−Si(OR)を含有する単量体を重合させるか或は前記単量体と1種以上の共重合用単量体を共重合させることで実施することができる。適切なシラン単量体には、これらに限定するものでないが、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニル−トリエトキシシラン、γ−N−アクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、p−トリエトキシシリルスチレン、2−(メチル−トリメトキシシリル)アクリル酸、2−(メチルトリメトキシシリル)−1,4−ブタジエン、N−トリエトキシシリルプロピル−マレイミド、および無水マレイン酸と他の不飽和無水物と−Si(OR)基含有アミノ化合物の他の反応生成物が含まれる。そのような単量体または結果としてもたらされる繰り返し単位に塩基水溶液を用いた加水分解を重合前または重合後に受けさせてもよい。適切な共重合用単量体には、これらに限定するものでないが、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸およびこれのエステル、アクリルアミドおよび置換アクリルアミド、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などが含まれる。共重合体はまたグラフト共重合体、例えばポリアクリル酸−g−ポリ(ビニルトリエトキシシラン)またはポリ(酢酸ビニル−コ−クロトン酸)−g−ポリ(ビニルトリエトキシシラン)などであってもよい。そのような重合体の製造はいろいろな溶媒、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなど中で実施可能である。ある場合には、そのような重合体が反応溶媒に可溶であることから、それの回収を便利に溶媒を留出させることで行ってもよいか、或は当該重合体が反応溶媒に不溶な場合には、生
成物の回収を便利に濾過で行ってもよいが、しかしながら、適切な如何なる回収方法も使用可能である。適切な開始剤には、2,2’アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドなどが含まれる。
【0031】
いくつかの態様では、本明細書に記述するケイ素含有重合体の製造を−Si(OR)基含有化合物ばかりでなく現存重合体が有するペンダント型基もしくはバックボーン原子のいずれかと反応し得る反応性基を反応させることで実施することができる。ポリアミンを−Si(OR)基を1個以上含有するいろいろな化合物と反応させることで重合体を生じさせることができ、そのような重合体を好適な態様で用いることができる。そのような反応性基はハロゲン化アルキル基、例えばクロロプロピル、ブロモエチル、クロロメチル、ブロモウンデシルまたは他の適切な基などであり得る。−Si(OR)基を1個以上含有する化合物はエポキシ官能基、例えばグリシドキシプロピル、1,2−エポキシアミル、1,2−エポキシデシルまたは3,4−エポキシシクロ−ヘキシルエチルなどを含有していてもよい。そのような反応性基はまたヒドロキシル基とハライドの組み合わせ、例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルなどであってもよい。そのような反応性部分はまたイソシアネート基、例えばイソシアナトプロピルまたはイソシアナトメチルなども含有していてもよく、それらは反応して尿素結合を形成する。加うるに、無水物基含有シラン、例えば無水トリエトキシシリルプロピルこはく酸などを用いることも可能である。そのような反応は混ぜ物なしまたは適切な溶媒中で実施可能である。加うるに、当該重合体が有する他のアミノ基または窒素原子をハロゲン化アルキル、エポキシドまたはイソシアネートと反応させることで他の官能基、例えばアルキル基などを付加させることも可能である。そのようなポリアミンの製造はいろいろな方法を用いて実施可能である。例えば、アジリジンまたは同様な化合物を開環重合させることなどでそれらの製造を行うことができる。それらの製造をまたアミン、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミンなどと反応性化合物、例えば1,2−ジクロロエタン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンまたは同様な化合物などの縮合反応で実施することも可能である。
【0032】
無水物基を含有する重合体をいろいろなケイ素含有化合物(例えば−Si(OR)基を1個以上含有する)と反応させることで本明細書に記述する態様のケイ素含有重合体を生じさせることができる。適切な出発重合体には、無水マレイン酸のホモ重合体および無水マレイン酸と単量体、例えばスチレン、エチレン、メチルビニルエーテルなどの共重合体が含まれる。そのような出発重合体はまたグラフト共重合体、例えばポリ(1,4−ブタジエン)−g−無水マレイン酸またはポリエチレン−g−無水マレイン酸などであってもよい。他の適切な無水物単量体には、無水イタコン酸および無水シトラコン酸が含まれる。適切な反応性シラン化合物には、これらに限定するものでないが、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシプロピル)−トリメトキシシラン、γ−アミノブチルトリエトキシシランなどが含まれる。当該重合体をアミン、アルコールおよび他の化合物と反応させることで他の官能器をそれに付加させることも可能である。
【0033】
ヒドロキシル基を含有する重合体をエポキシ官能基、例えばグリシドキシプロピルトリメトキシシランなどと反応させることも可能である。ヒドロキシル基を含有する重合体の例には、多糖、例えば澱粉およびヒドロキシエチルセルロースなどが含まれる。
【0034】
1つの態様では、そのようなケイ素含有重合体をケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖(例
えばケイ素含有澱粉またはケイ素含有セルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース)、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体(例えばケイ素含有無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体)およびこれらの混合物から成る群より選択する。
【0035】
1つの態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHCHCHCHCHSi(Oである。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位の量を当該重合体中の繰り返す単位の総数を基準にした数で表して少なくとも約90%、例えば少なくとも約96%にする。
【0036】
1つの態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(Oであり、Rは−NHである。1つの態様では、そのようなケイ素含有重合体が含有する前記1番目の繰り返し単位の量を数で表して約50%以下にし、前記2番目の繰り返し単位の量を数で表して約90%以下にし、前記3番目の繰り返し単位の量を数で表して約1%から約60%にし、前記4番目の繰り返し単位の量を数で表して約1%から約30%にしかつ前記5番目の繰り返し単位の量を数で表して約1%から約30%にする。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約80%から約85%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約5%から約15%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成するようにする。
【0037】
1つの態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHC(=O)NHCHCHCHSi(Oであり、Rは−NHである。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約65%から約70%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約20から約30%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成するようにする。
【0038】
1つの態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(Oであり、Rは−NHである。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約80%から約85%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約5%から約15%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成するようにする。
【0039】
本明細書に記述する凝集剤組成物およびそれらの使用方法に、適切な凝集剤もしくは凝集剤組み合わせのいずれを含めてもよい。例えば、1つの態様では、本明細書に記述する如き凝集剤であるケイ素含有重合体(例えばDSP用凝集剤であるケイ素含有重合体)およびバイエル工程赤泥用凝集剤である重合体を含有して成る凝集剤組成物を提供する。1つの態様におけるバイエル工程赤泥用凝集剤である重合体はアニオン性重合体である凝集剤であってもよい。1つの態様では、そのような凝集剤組成物中の凝集剤であるケイ素含有重合体の量と凝集剤であるアニオン性重合体の量の重量比を約100:1から約1:10の範囲内、例えば約10:1から約1:2の範囲内、例えば約1:1などにする。
【0040】
バイエル工程で用いるに有用な重合体である凝集剤には、バイエル工程赤泥用凝集剤である重合体として用いるに有用であることが当業者に公知のアニオン性重合体が含まれる。有用な凝集剤であるアニオン性重合体の例には、アクリル酸もしくはアクリレートのホモ重合体;アクリル酸もしくはアクリレート単量体の共重合体;メタアクリル酸もしくはメタアクリレートのホモ共重合体;メタアクリル酸もしくはメタアクリレート単量体の共重合体;前記酸のポリアクリルアミド、アルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはアンモニウム塩;ヒドロキサム酸もしくは塩である基を含有する重合体;または前記いずれかの組み合わせが含まれる。1つの態様における凝集剤であるアニオン性重合体は、ヒドロキサム化重合体、例えばヒドロキサム化ポリアクリルアミドなどである。そのようなアニオン性重合体中のアニオン性繰り返し単位の量は幅広い範囲に渡って多様であり得る。例えば、1つの態様における凝集剤であるアニオン性重合体が含有するアニオン性繰り返し単位の量は少なくとも約50%である。凝集剤であるアニオン性重合体の重量平均分子量は典型的に約1,000以上、例えば約10,000以上、約100,000以上、約1,000,000以上または約5,000,000以上である。いくつかの態様における分子量は30,000,000以下である。当業者は、前記は示した値の各々の間の範囲を記述するものであることを理解し、このように、凝集剤であるアニオン性重合体の重量平均分子量は例えば約5,000,000から約30,000,000などであり得ることを理解するであろう。
【0041】
そのようなバイエル工程で一般に用いられている他の種類の凝集剤には、非イオン性凝集剤、例えば澱粉(例えばトウモロコシまたはジャガイモから得て前以てゼラチン状にしておいた澱粉)、多糖、アルギン酸塩、デキストランまたは小麦粉など含まれる。バイエル工程では特にアニオン性の凝集剤が使用に好適であるが、当業者が理解するであろうように、また選択したカチオン性、非イオン性または両性凝集剤も適切な量で有利に使用可能である。
【0042】
凝集剤組成物[本明細書に記述する如き凝集剤であるケイ素含有重合体(例えばDSP用の凝集剤であるケイ素含有重合体)および/またはバイエル工程赤泥用の凝集剤である重合体を含有する凝集剤組成物を包含]は濃縮もしくは希釈(例えば水で)された状態であってもよく、かつそれらに追加的材料を含有させることも可能である。バイエル工程現場はしばしば凝集剤製造所から離れた場所に位置することで輸送費用が最小限になるように凝集剤組成物を比較的濃縮された形態でバイエル工程現場に輸送するのがしばしば好ましいことを当業者は理解するであろう。その後、その濃凝集剤組成物を便利には現場で使用する時点またはほぼ使用時点で水性媒体で希釈することで希凝集剤組成物を生じさせてもよい。その濃凝集剤組成物を希釈する時に用いる水性媒体は比較的高純度の形態の水、いろいろな給源から再利用した水またはバイエル工程の水性流れであってもよい。
【0043】
前記を鑑み、当業者は、凝集剤組成物[本明細書に記述する如き凝集剤であるケイ素含有重合体(例えばDSP用の凝集剤であるケイ素含有重合体)および/またはバイエル工程赤泥用の凝集剤である重合体を含有する凝集剤組成物を包含]を生じさせる時期は製造中(例えば比較的濃縮された形態)および/または使用前(例えば現場で水性媒体と混合することなどで)であってもよくかつそれに追加的成分を含有させてもよいことを理解するであろう。追加的成分の例には、水、塩、安定剤およびpH調整剤ばかりでなくDSPおよびバイエル工程赤泥などの如き材料が含まれる。DSPは例えばアルミノケイ酸ナトリウムなどを含んで成り得る。1つの態様では、DSPの少なくとも一部を当該凝集剤組成物に入れて懸濁させる。凝集剤組成物に入れる個々の凝集剤である重合体の濃度はいずれも幅広い範囲に渡って多様であり得、例えば約0.1ppm(part per million)から約100%(例えば水がほとんどか或は全く入っていない高濃縮形態)などであり得る。希釈度が比較的高い凝集剤組成物の場合、そのような凝集剤組成物に入れる凝集剤であるアニオン性重合体の適切な濃度の例には、約0.1ppmから約1,000ppmの範囲内の量が含まれ、そしてそのような凝集剤組成物に入れる凝集剤であるケイ素含有重合体の適切な濃度の例には、約1ppmから約500ppmの範囲内の量が含まれる。凝集剤成分である重合体を複数含有する凝集剤組成物[本明細書に記述する如き凝集剤であるケイ素含有重合体(例えばDSP用の凝集剤であるケイ素含有重合体)およびバイエル工程赤泥用の凝集剤である重合体を含有する凝集剤組成物を包含]の場合、それらの成分を製造および/または輸送時もしくは近くの時点で一緒にしてもよいか或は使用時もしくは近くの時点で例えばバイエル工程流れの近くの場所などで一緒にしてもよいことは理解されるであろう。
【0044】
本明細書に記述する凝集剤である重合体および凝集剤組成物は凝集剤として用いるに有用である。例えば、1つの態様では、本明細書に記述する如き凝集剤であるケイ素含有重合体および/または凝集剤組成物をバイエル工程流れにこれの中に懸濁している固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る凝集方法を提供する。1つの態様における懸濁している固体には、赤泥および/またはDSPの中の1つ以上が含まれる。別の態様では、凝集剤であるケイ素含有重合体をバイエル工程流れにこれの中に懸濁している脱ケイ酸生成物の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合しそしてそのようにして生じさせた凝集した脱ケイ酸生成物の少なくとも一部を分離することを含んで成る凝集方法を提供する。
【0045】
1つの態様では、−Si(OR)(ここで、RはH、アルキル基、Na、KまたはNHである)を含有するペンダント型基もしくは末端基を有する重合体を単独で通常の凝集剤を添加した後にか、前にか或はそれと一緒に添加することで懸濁している固体を工程流れから便利に分離することができるほど有効に凝集させることでバイエル工程流れの中に懸濁している固体の濃度を低くする方法を提供する。その懸濁している固体の含有量の低下度合は測定可能であり、それを対照(一般に最新技術のアルミナ工程のサンプルを包含)と比較してもよい。個々のバイエル工程流れに入っている個々の種類の固体を凝集させるに有効な重合体である凝集剤1種または2種以上の量の決定は本明細書に示す指針による情報を基にした常規実験を行うことで実施可能である。そのような凝集剤の量はしばしば固体1トン当たりの凝集剤が約0.01ポンドから約40ポンド(無水ベース)の範囲内、例えば約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9ポンドから約15、20、25、30または35ポンドなどのいろいろな範囲内である。当業者は、前記は示した値の各々の間の範囲を記述するものであることを理解し、このように、凝集剤である重合体の使用量は例えば固体1トン当たりの凝集剤が約1ポンドから約10ポンド(無水ベース)の範囲内などであり得ることを理解するであろう。
【0046】
1つの態様におけるバイエル工程流れには懸濁しているDSPが入っており、例えば懸
濁しているDSPが1リットル当たり約0.02グラムから1リットル当たり約200グラム入っている。以下の実施例に例示するように、いくつかの態様では、本明細書に記述する凝集剤である重合体および凝集剤組成物は特にバイエル工程流れの中に懸濁しているDSPを凝集させる目的で用いるに有用である。
【0047】
商業的プラント操業に関しては、凝集剤である重合体および/または凝集剤組成物を沈澱槽供給口に上述した如きアニオン性凝集剤と同様に添加してもよい。別法として、当該重合体を一次沈澱槽からあふれ出る流れに添加してもよいか或は分解装置から出る噴出液に添加してもよい。そのような重合体をまた泥洗浄回路の中の泥沈澱で用いることも可能である。そのような重合体を有利に単独または他の工程用化学品と組み合わせて商業的プラント操業における他の地点に添加することも同様に可能である。
【実施例】
【0048】
試験手順
256gのアルミン酸ナトリウム、66gの水酸化ナトリウムおよび40gの炭酸ナトリウムを全体として1000mlになる量の水に加えて100℃に加熱することで合成のバイエル液を作成する。
【0049】
カオリンを水酸化ナトリウム溶液に入れて150℃に加熱した後、濾過し、洗浄しそして乾燥させて無水DSPを回収することでDSPを作成する。稼働中のバイエルプラントで典型的に廃液に放出される泥スラリーから赤泥固体を得る。その泥を洗浄することでそれに付随する希アルミン酸ナトリウム溶液を除去し、乾燥させた後、粉砕する。
【0050】
沈澱試験では、DSP単独またはDSPと赤泥固体の混合物のいずれかを前記液に入れて分散させることで、一般的には懸濁している固体の含有量が約40g/lのスラリーを得る。穴開きプランジャーを用いて、メスシリンダーに入れておいたスラリーに希試薬を入れて混合し、そして決めておいた距離まで沈澱する時間を測定することで、凝集する固体の沈澱速度を計算することができる。また、5分後に上澄み液のサンプルを採取して濾過した後、そのフィルター上に集まった固体を洗浄しそして乾燥させることで、上澄み液の透明度の尺度も得る。
【0051】
実施例1−試薬A
81.4gの無水ポリエチレンイミンを18.6gのグリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合した後、その混合物を60℃に16時間加熱する。その結果として得た脆いゲル(50g)を5gのNaOHおよび全体として250gになる量の水と混合して90℃に加熱することで20%の溶液を生じさせる。試薬Aを市販の凝集剤と組み合わせて用いた時にそれが凝集度を向上させる効果を試験する。試験を受けさせる市販凝集剤にSuperfloc HX−400(ポリアクリルアミドを基にして作られたヒドロキサメートが基になった凝集剤)およびSuperfloc 1227(ポリアクリル酸アンモニウムである凝集剤)[両方ともCytec Industries Inc.(West Paterson、ニュージャージー州、米国)から入手可能]を含めた。未処理のポリエチレンイミンを対照として用いる。表1に示すデータによって明らかなように、試験Aを凝集剤と組み合わせると凝集剤単独と比較しても凝集剤をポリエチレンイミン対照と組み合わせた時と比較してもDSP/赤泥が30/70および40/60両方の混合物が示す沈澱速度が有意に向上した。また、試薬Aと凝集剤を組み合わせると透明度が有意に向上することも観察される。試薬Aはまた市販凝集剤を添加しない場合にもDSPの凝集に有効である。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例2−試薬B
32gのアクリルアミドと82.8gの水と11.1gの50%NaOHを混合する。8gのビニルトリエトキシシランと0.4gのAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を12mlのエタノールに入れて加えた後、その混合物を80℃に16時間加熱する。その反応混合物(20g)を5.4gの50%NaOHおよび4.6gの水と混合して90℃に加熱することで20%の溶液を生じさせる。この生成物が試薬Bである。試薬Bを200ppmの用量で用いると懸濁してDSPが凝集することが分かる。
【0054】
実施例3−試薬C
パールスターチ(Pearl starch)[National Starch and Chemical Co.(Bridgewater、ニュージャージー州、米国)]が9g入っているスラリーを2gのグリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合して室温で16時間撹拌する。その反応生成物を50℃である程度乾燥させた後、20g/lのNaOH水溶液に入れて95℃に加熱することで3%の溶液を生じさせる。この生成物が試薬Cである。表2に示すデータによって明らかなように、試薬Cは未官能化パールスターチに比較して懸濁しているDSPまたは赤泥の沈澱速度の有意な向上を示し、このことは、試薬C自体が有効な凝集剤であることを示している。試薬Cが懸濁DSP/赤泥混合物(10/70、20/80および40/60)を凝集させる効力の方が更により高い。また、赤泥およびDSP/赤泥混合物を試薬Cで処理すると透明度が良好になることも観察される。
【0055】
【表2】

【0056】
表3に示すデータによって明らかなように、試薬CをSuperfloc HX−400と組み合わせて用いると赤泥の沈澱速度が有意に向上しかつ透明度が実質的に改善される。
【0057】
【表3】

【0058】
表4に示すデータによって明らかなように、試薬CをSuperfloc 1227と組み合わせて用いるとDSP/赤泥混合物(10/70、20/80および40/60)の凝集が向上する。試薬CをSuperfloc 1227と組み合わせて用いるとまた透明度も実質的に向上する。
【0059】
【表4】

【0060】
実施例4−試薬D
8gの乾燥させたヒドロキシエチルセルロースを2gのグリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合して100℃に16時間加熱する。その反応生成物(2g)を100g/lのNaOH水溶液(40ml)と混合して95℃に加熱することで5%の溶液を生じさせる。この生成物が試薬Dである。
【0061】
試薬Dを500ppmの用量で用いると懸濁しているDSPが凝集することが観察される。出発材料として用いたヒドロキシエチルセルロース(比較実施例)は同じ用量である500ppmの量で用いても懸濁しているDSPの凝集をもたらさない。
【0062】
実施例5a−試薬E
実施例3の方法と同様な方法を用いて試薬を作成する。パールスターチが0.080モル(12.96g)とグリシドキシプロピルトリメトキシシランが0.015モル(3.55g)とエポキシブタンが0.005モル(0.36g)のスラリーを室温で16時間混合する。その反応生成物をある程度乾燥させた後、20g/lのNaOH水溶液に入れて95℃に加熱することで3%の溶液を生じさせる。この生成物が試薬Eである。
【0063】
実施例5b−試薬F
エポキシブタンの代わりにエポキシドデカンを0.005モル(0.92g)用いる以外は実施例5aの方法と同様な方法を用いて試薬を作成する。この生成物が試薬Fである。
【0064】
実施例5c−試薬G
エポキシブタンの代わりにスチレンオキサイドを0.005モル(0.60g)用いる以外は実施例5aの方法と同様な方法を用いて試薬を作成する。この生成物が試薬Gである。
【0065】
実施例5d−試薬H
エポキシブタンの代わりにグリシジルヘキサ−デシルエーテルを0.005モル(1.49g)用いる以外は実施例5aの方法と同様な方法を用いて試薬を作成する。この生成物が試薬Hである。
【0066】
実施例5e−試薬I
エポキシブタンの代わりにグリシジルフェニル−エーテルを0.005モル(0.75g)用いる以外は実施例5aの方法と同様な方法を用いて試薬を作成する。この生成物が試薬Iである。
【0067】
試薬EからIが凝集剤の添加なしにDSP/赤泥が40/60の混合物中で示す効果を試験した結果、表5に示すデータによって明らかなように、それらは用量を200ppmにした時に満足される沈澱速度および透明度を示す。
【0068】
【表5】

【0069】
試薬Eおよび試薬Iは、これらをSuperfloc HX−400と組み合わせて用いると、表6に示すデータによって明らかなように、DSP/赤泥混合物が示す沈澱速度および透明度を向上させる。
【0070】
【表6】

【0071】
実施例6−試薬J
塩化アクリロイルとアミノプロピルトリエトキシシランを2−ブタノンに入れてトリエチルアミンの存在下で反応させることでN−トリエトキシシリルプロピルアクリルアミドが25%の溶液を作成する。その結果として生じた塩化アミンを濾過で除去した後、その
単量体溶液をさらなる精製を全く行うことなく用いる。その単量体溶液(46.4グラム)を57.0gのアクリル酸および140mlの2−ブタノンと一緒にする。60mgのVazo(商標)65Bフリーラジカル開始剤[E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、Delaware、米国)の]を50mlの2−ブタノンに入れて加える。その混合物を50−60℃に3時間加熱する。37.5gの水酸化ナトリウムを水溶液として加えた後、その混合物を80℃に加熱することで2−ブタノンを留出させる。その生成物は重合体含有量が11.5%の水溶液であり、これを試薬Jと呼ぶ。
【0072】
試薬Jを100ppmの用量で用いると懸濁しているDSPが入っている懸濁液の凝集が起こることが分かる。
【0073】
実施例7−試薬K
実施例6と同様な様式でアクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体を作成する。この重合体を試薬Kと呼ぶ。
【0074】
実施例8−試薬LおよびM
10.0gのGantrez AN 169[International Specialty Products Inc.(Wayne、ニュージャージー州、米国)が製造しているメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体]を150mlのアセトンに溶解させる。1.42gのアミノプロピルトリエトキシシランを50mlのアセトンに入れて加える。その混合物はゲル化した。10.8gの50%NaOHを250mlの水で希釈して80℃に加熱する。このNaOH溶液に前記ゲルを加えた後、沸騰させてアセトンを除去すると重合体含有量が7.0%の水溶液が残存し、それを試薬Lと呼ぶ。アセトンの代わりにジオキサンを用いて同様な生成物を作成する。その重合体を試薬Mと呼ぶ。
【0075】
表7に示すデータによって明らかなように、試薬LおよびMは両方ともGantrez対照に比較して懸濁しているDSPの沈澱速度の有意な向上を示す。試薬MをSuperfloc HX−400と組み合わせて用いるとDSP/赤泥が40/60の混合物が示す沈澱が有意に改善されかつSuperfloc 1227と組み合わせて用いるとDSP/赤泥が30/70の混合物が示すそれが有意に改善される。
【0076】
【表7】

【0077】
実施例9−試薬N
10.0gのScripset 520[Hercules Inc.(Wilmington、Delaware、米国)が製造しているスチレン−無水マレイン酸共重合体]をジオキサンが40gでトルエンが80gの混合物に入れて懸濁させる。2.19gのアミノプロピル−トリエトキシシランを10gのトルエンに入れて加える。その混合物を2時間還流させた後、周囲温度に冷却する。固体状の重合体を濾過で取り出し、ヘキサンで洗浄した後、60℃で乾燥させることで試薬Nを得る。
【0078】
表8に示すデータによって明らかなように、試薬NはこれをSuperfloc HX−400と組み合わせてDSP/赤泥が40/60の混合物で用いた時に沈澱速度の有意な向上を示す。また、透明度も有意に向上する。
【0079】
【表8】

【0080】
実施例10−試薬O
10.0gのGantrez AN 169をメタノールが0.20gでテトラヒドロフランが4.0gでジオキサンが96.0gの混合物に入れて懸濁させる。2.84gのアミノプロピルトリエトキシシランを10gのジオキサンに入れることで生じさせた溶液を加える。その混合物を2時間還流させた後、周囲温度に冷却する。0.90gの塩酸ヒドロキシルアミンを10mlのメタノールに入れることで生じさせた溶液を0.75gの95%ナトリウムメトキサイドを20mlのメタノールに入れることで生じさせた溶液と混合する。生じた固体を沈澱させた後、その上澄み液を前記重合体混合物に加えて周囲温度で1時間撹拌する。放置すると前記混合物が脆いゲルを形成し、それをヘキサンと一緒にしてスラリー状にした後、濾過する。固体状の重合体をヘキサンで洗浄した後、60℃で乾燥させることで試薬Oを得る。
【0081】
実施例11−試薬P
10.0gのGantrez AN 169をメタノールが0.20gでテトラヒドロフランが4.0gでジオキサンが96.0gの混合物に入れて懸濁させる。2.84gのアミノプロピルトリエトキシシランを10gのジオキサンに入れることで生じさせた溶液を加える。その混合物を2時間還流させた後、周囲温度に冷却する。メタノールを10g加えた後の混合物を1時間撹拌する。ヘキサンを100ml加えた後、固体状の重合体を濾過で取り出し、ヘキサンで洗浄した後、60℃で乾燥させることで試薬Pを得る。
【0082】
表9に示すデータによって明らかなように、試薬OおよびPは両方ともこれらをSuperfloc HX−400と組み合わせてDSP/赤泥が40/60の混合物で用いた時に沈澱速度の有意な向上を示す。また、透明度も有意に向上する。
【0083】
【表9】

【0084】
実施例12−試薬Q
シラン単量体であるN−(3−トリエトキシシリル)プロピルアクリルアミドの調製を下記のようにして実施する。197.4gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランと89.9gのトリエチルアミンを330gのTHFに溶解させ、窒素でパージ洗浄した後、0℃に冷却する。混合を行いながら83.9gの塩化アクリロイルを滴下する。滴下後の混合物を40℃に2時間加熱する。その混合物を室温に冷却した後、塩を濾過で除去する。溶媒であるTHFを使用前にロータリーエバポレーターで除去する。
【0085】
50mlのアンプルに脱イオン水を11.5gおよび50%の水酸化ナトリウム溶液を10.8g加える。そのアンプルに6.45gのアクリル酸をゆっくり添加する。このアクリル酸を添加している間の温度を氷浴で35℃未満に維持する。その溶液をアクリル酸が全部溶解するまで充分に混合する。次に、シラン単量体であるN−(3−トリエトキシシリル)プロピルアクリルアミドを2.82g加える。その溶液をシラン単量体が全部溶解するまで充分に混合する。アゾビス(4−シアノ吉草酸)[Wako Chemicals USA,Inc.(Richmond、バージニア州、米国)から入手可能なWako V−501]が16.75%入っている水溶液を0.2g加える。その単量体溶液に窒素を用いたスパージを30分間受けさせた後、凍結−排気−解凍サイクルを3回受けさせ、そしてそれを真空下で密封する。その溶液を解凍させた後のアンプルを65℃の浴に入れて、重合を16時間起こさせることで試薬Qを得る。その重合体を排出させ、苛性(水酸化ナトリウムが2%の)溶液に溶解させた後、性能試験を実施する。
【0086】
【化1】

【0087】
表10に示すデータによって明らかなように、試薬QはこれをSuperfloc HX−400と組み合わせてDSP/赤泥が40/60の混合物で用いた時に沈澱速度および透明度の有意な向上を示す。
【0088】
【表10】

【0089】
実施例13−試薬R
反応槽に45%の水酸化カリウム溶液を29.7gおよび脱イオン水を2.49g加える。次に、その反応槽に撹拌を行いながら15.68gのアクリル酸をゆっくり添加する。このアクリル酸を添加している間の温度を氷浴で35℃未満に維持する。次に、実施例12で調製したシラン単量体であるN−(3−トリエトキシシリル)プロピルアクリルアミドを2.55g加える。その溶液をシラン単量体が全部溶解するまで充分に混合する。その単量体溶液に窒素を用いたスパージを30分間受けさせた後、それを0℃に冷却する。Wako V−501が1%入っている水溶液を0.99g加えた後、窒素によるパージ洗浄を15分間継続する。過硫酸アンモニウムが0.5%入っている水溶液を0.08g仕込んだ後、ヒドロキシメタンスルホン酸(モノナトリウム塩の二水化物)を0.5%入れることで生じさせた水溶液を0.08g仕込み、そしてその溶液を充分に混合する。30分後に反応槽を75℃の浴の中に置いて重合を75℃で5時間実施することで試薬R
を得る。この生成物を苛性(水酸化ナトリウムが2%の)溶液に溶解させた後、性能試験を実施する。
【0090】
【化2】

【0091】
表11に示すデータによって明らかなように、試薬RはこれをSuperfloc HX−400と組み合わせてDSP/赤泥が30/70の混合物で用いた時に沈澱速度および透明度の有意な向上を示す。
【0092】
【表11】

【0093】
実施例14
試薬Rにさらなる試験を受けさせることで表12に示すデータを得る。試薬Rを50ppmの用量で用いた時にそれが示す沈澱速度はSuperfloc HX−400を10ppmの用量で用いた時のそれと同様であるが、優れた透明度を示す。試薬Rを15ppmの用量で用量が10ppmのSuperfloc HX−400と組み合わせてDSP/赤泥が30/70の混合物で用いるとSuperfloc HX−400を単独で用いた時に比べて沈澱速度および透明度が有意に向上する。
【0094】
【表12】

【0095】
実施例15−試薬S
重合体バックボーンであるポリ(アクリルアミド−コ−N−ビニルホルムアミド−コ−
アクリル酸)の合成を以下に記述する如き逆相乳化重合方法で実施する。油相に脱芳香(dearomatized)炭化水素流体[Exxon Mobil Chemical
Company(ヒューストン、テキサス州、米国)から入手可能なExxsol D−80油]を188.91g、ソルビタンモノオレエート[Ruger Chemical Co.(Linden、ニュージャージー州、米国)から入手可能なArlacel
80AC]を24gおよびC12−14アルコールのエトキシレートである非イオン性界面活性剤[Huntsman Petrochemical Corporation(ヒューストン、テキサス州、米国)から入手可能なSURFONIC L24−7]を9.17g含有させた。水相を428.88gの54.2%アクリルアミド水溶液、19.87gのN−ビニルホルムアミド、7.86gのアクリル酸、112.33gの脱イオン水、6.57gの28%水酸化アンモニウム、0.26gのイソプロピルアルコールおよび0.94gの40%ジエチレントリアミンペンタ酢酸五ナトリウム[The Dow
Chemical Company(Midland、ミシガン州、米国)から入手可能なVersenex−80]で構成させた。その水溶液を前記油相の中に入れて混合した後、その混合物を均一にすることで逆相乳液を生じさせる。その乳液を窒素でパージ洗浄しながらこの乳液に2%のt−ブチルヒドロパーオキサイド70%(t−BHP−70)を1.22g加える。窒素によるパージ洗浄を45分間実施した後、二酸化硫黄ガス(窒素中0.2%)を窒素ラインに通して仕込むことで重合を開始させる。重合を40から45℃で4時間実施する。その乳化生成物は重合体を32.5%含有する。
【0096】
前記乳液に仕込むべきヒドロキシルアミン溶液の調製を以下に記述するようにして実施する。容器に硫酸ヒドロキシルアミンを12.68gおよび脱イオン水を71.5g仕込んだ後、撹拌を硫酸塩が全部溶解するまで実施する。無水チオ硫酸ナトリウムを9.78g加えた後、再び、その溶液の撹拌をチオ硫酸塩が全部溶解するまで実施する。次に、撹拌下で50%の水酸化ナトリウム溶液を48.34g滴下することでヒドロキシルアミン溶液を生じさせる。前記水酸化ナトリウムを滴下している間の溶液温度を30℃未満に維持する。
【0097】
反応槽にこの上で調製したバックボーン乳液を96.86g仕込む。撹拌および窒素ブランケット下でExxsol D−80を53.3g加えた後、Lumulse PE02[Lambent Technologies(Gurnee、イリノイ州、米国)から商業的に入手可能なオレイルアミン/エチレンオキサイド反応生成物]を3.4g加える。次に、その乳液を少なくとも15分間撹拌した後、この上で調製したヒドロキシルアミン溶液を5分かけて仕込む。その乳液を室温で24時間撹拌し、温度を45℃に上昇させた後、45℃に1時間維持する。次に、温度を35℃に下げた後、8.0gの(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを2分間かけて加える。その反応物を35℃に4時間維持し、室温に冷却した後、排出させる。その白色乳液をノニルフェノールエトキシレートである非イオン界面活性剤[Huntsman Petrochemical Corporation(ヒューストン、テキサス州、米国)から入手可能なSURFONIC N−95]が入っている2%の水酸化ナトリウム溶液に入れて壊して生成物が入っている水溶液を生じさせることで試薬Sを得る。
【0098】
【化3】

【0099】
実施例16−試薬I
重合体バックボーンであるポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)の乳液の調製をN−ビニルホルムアミドを水相に入れない以外は実施例15に記述した方法と同様な方法を用いて実施する。その乳化生成物は実際の重合体を32%含有する。
【0100】
前記乳液に仕込むべきヒドロキシルアミン溶液の調製を以下に示すようにして実施する。容器に硫酸ヒドロキシルアミンを9.17gおよび脱イオン水を35g仕込んだ後、撹拌を硫酸塩が全部溶解するまで実施する。無水チオ硫酸ナトリウムを0.88g加えた後、再び、その溶液の撹拌をチオ硫酸塩が全部溶解するまで実施する。次に、撹拌下で50%の水酸化ナトリウム溶液を17.25g滴下することでヒドロキシルアミン溶液を生じさせる。前記水酸化ナトリウムを滴下している間の溶液温度を30℃未満に維持する。
【0101】
反応槽に前記重合体バックボーン乳液を98.26g仕込む。撹拌および窒素ブランケット下でExxsol D−80を51.89g加えた後、Lumulse PE02を3.4g加える。次に、その乳液を0℃に冷却する。その乳液を500rpmで撹拌しながら50%の水酸化ナトリウムを10.62g加えた後、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素が11.5%)溶液を20.48g加える。撹拌速度を遅くして5分後に300rpmにした後の乳液を1時間撹拌する。次に、撹拌速度を速くして500rpmにし、50%の水酸化ナトリウムを2.12g仕込んだ後、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素が11.5%)を4.1g仕込む。2時間後に3−アミノプロピルトリエトキシシランを7.42g加える。反応を0℃で4時間、室温で10時間そして40℃で4時間実施する。その反応混合物を室温に冷却した時点で前記ヒドロキシルアミン溶液を5分かけて仕込む。その乳液を室温で1時間撹拌した後、生成物を排出させる。その白色乳液をSURFONIC
N−95が入っている2%の水酸化ナトリウム溶液に入れて壊して生成物が入っている水溶液を生じさせることで試薬Tを得る。
【0102】
【化4】

【0103】
表13に示すデータによって明らかなように、試薬Q、SおよびTの各々をSuperfloc HXと組み合わせてDSP/赤泥が40/60の混合物で用いると沈澱速度および透明度が有意に向上する。
【0104】
【表13】

【0105】
実施例17−試薬U
この実施例では実施例15で合成した重合体バックボーンであるポリ(アクリルアミド−コ−N−ビニルホルムアミド−コ−アクリル酸)の乳液を用いる。前記乳液に仕込むべきヒドロキシルアミン溶液は以下に記述する如くである。容器に硫酸ヒドロキシルアミンを10.77gおよび脱イオン水を85.0g仕込んだ後、撹拌を硫酸塩が全部溶解するまで実施する。次に、撹拌下で50%の水酸化ナトリウム溶液を57.47g滴下することでヒドロキシルアミン溶液を生じさせる。前記水酸化ナトリウムを滴下している間の溶液温度を30℃未満に維持する。この実施例では、そのヒドロキシルアミン溶液にチオ硫酸ナトリウムを入れなかった。
【0106】
反応槽に前記バックボーン乳液を115.16g仕込む。撹拌および窒素ブランケット下でExxsol D−80を63.37g加えた後、Lumulse PE02を4.04g加える。その乳液を少なくとも15分間撹拌する。次に、前記ヒドロキシルアミン溶液を5分かけて加える。その乳液を室温で16時間に続いて55℃で2時間撹拌する。次に、温度を下げて12℃にした後、9.51gの(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを2分間かけて加える。その反応物を40℃に1時間維持した後、室温に冷却する。無水チオ硫酸ナトリウムを8.31g加えた後の乳液を1時間撹拌した後、排出させる。その白色乳液をSURFONIC N−95が入っている2%の水酸化ナトリウム溶液に入れて壊して生成物が入っている水溶液を生じさせることで試薬Uを得る。
【0107】
【化5】

【0108】
表14に示すデータによって明らかなように、試薬UはこれをDSP/赤泥が40/60の混合物で用いた時に良好な沈澱速度および透明度を示す。
【0109】
【表14】

【0110】
本明細書に引用した文献は全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。引用することによって組み入れた出版物および特許もしくは特許出願が本明細書に含めた開示と相反する度合で本明細書はそのような相反する資料のいずれかに取って代わりそして/または優先するものであることを意図する。
【0111】
本明細書で用いる如き用語「含んで成る(含有して成る)」は「包含する」、「含有する」または「で特徴づけられる」と同義語であり、包括的または無制約であり、列挙しなかった追加的要素も方法段階も排除するものでない。
【0112】
本明細書および請求項で用いる材料の量、反応条件などを表すあらゆる数値は全部が用語「約」による修飾を受けていると理解されるべきである。従って、反すると示さない限り、本明細書および添付請求項に示す数値的パラメーターは近似値であり、本発明で得ることを探求する所望特性に応じて変わる可能性がある。最低限でも、本請求項の範囲に対する相当物の原理を適用することを制限する試みとしてではなく、各数値的パラメーターは、有効桁の数および通常の四捨五入手段を考慮して解釈されるべきである。
【0113】
この上で行った説明は本発明のいくつかの方法および材料を開示するものである。本発明はそのような方法および材料の点で修飾を受け易いばかりでなく製造方法および装置の点でも変更を受け易い。そのような修飾は本開示または本明細書に開示する本発明の実施を考慮することで当業者に明らかになるであろう。従って、本発明を本明細書に開示する具体的な態様に限定することを意図するものでなく、本発明は添付請求項に具体的に示す如き本発明の真の範囲および精神の範囲内に入る修飾形および変形の全部を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤組成物であって、脱ケイ酸生成物用凝集剤であるケイ素含有重合体およびバイエル工程赤泥用凝集剤であるアニオン性重合体を、前記凝集剤であるケイ素含有重合体の量と前記凝集剤であるアニオン性重合体の量の重量比が約100:1から約1:10の範囲内であるように含有して成る凝集剤組成物。
【請求項2】
前記重量比が約10:1から約1:2の範囲内である請求項1記載の凝集剤組成物。
【請求項3】
前記重量比が約1:1である請求項1記載の凝集剤組成物。
【請求項4】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体が−Si(OR)基[ここで、Rは独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンおよびNR’から成る群より選択され、かつR’は独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルから成る群より選択され、そしてRおよびR’は独立して置換されていないか、ヒドロキシで置換されているか或はベータ位がヒドロキシで置換されている]を複数含有して成る請求項1から3のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項5】
RがNa、KおよびNHから成る群より選択される請求項4記載の凝集剤組成物。
【請求項6】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体がケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項1から5のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項7】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体がヒドロキサム化されている請求項1から6のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項8】
前記凝集剤であるアニオン性重合体の重量平均分子量が約100,000以上である請求項1から7のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項9】
前記凝集剤であるアニオン性重合体の重量平均分子量が約1,000,000以上である請求項1から7のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項10】
前記凝集剤であるアニオン性重合体の重量平均分子量が約5,000,000から約30,000,000である請求項1から7のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項11】
前記凝集剤であるアニオン性重合体がヒドロキサム化重合体である請求項1から10のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項12】
前記凝集剤であるアニオン性重合体がヒドロキサム化ポリアクリルアミドである請求項11記載の凝集剤組成物。
【請求項13】
前記凝集剤であるアニオン性重合体がポリアクリレート、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリレート)およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項1から11のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項14】
前記凝集剤であるアニオン性重合体がアニオン性繰り返し単位を少なくとも約50%含有して成る請求項1から13のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項15】
更に脱ケイ酸生成物、バイエル工程赤泥およびこれらの組み合わせから成る群より選択される成分も含有して成る請求項1から14のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項16】
前記凝集剤であるアニオン性重合体が約0.1ppmから約1,000ppmの量で存在する請求項1から15のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項17】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体が約1ppmから約500ppmの量で存在する請求項15または請求項16記載の凝集剤組成物。
【請求項18】
前記脱ケイ酸生成物がアルミノケイ酸ナトリウムを含んで成る請求項15から17のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項19】
前記脱ケイ酸生成物の少なくとも一部が中に懸濁している請求項15から18のいずれか1項記載の凝集剤組成物。
【請求項20】
凝集方法であって、請求項1から19のいずれか1項記載の凝集剤組成物をバイエル工程流れに、これの中に懸濁している赤泥、脱ケイ酸生成物およびこれらの混合物から成る群より選択される固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る方法。
【請求項21】
凝集方法であって、
凝集剤であるケイ素含有重合体をバイエル工程流れに、これの中に懸濁している脱ケイ酸生成物の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合し、そして
そのようにして生じさせた凝集した脱ケイ酸生成物の少なくとも一部を分離する、
ことを含んで成る方法。
【請求項22】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体が−Si(OR)基[ここで、Rは独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンおよびNR’から成る群より選択され、かつR’は独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルから成る群より選択され、そしてRおよびR’は独立して置換されていないか、ヒドロキシで置換されているか或はベータ位がヒドロキシで置換されている]を複数含有して成る請求項21記載の凝集方法。
【請求項23】
RをNa、KおよびNHから成る群より選択する請求項22記載の凝集方法。
【請求項24】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体をケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択する請求項21から23のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項25】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体がヒドロキサム化されている請求項21から24のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項26】
前記凝集剤であるケイ素含有重合体と前記バイエル工程流れの混合の少なくとも一部を洗浄槽および沈澱槽の中の少なくとも一方の中で実施する請求項20から25のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項27】
更に前記凝集剤であるケイ素含有重合体を前記バイエル工程流れに約0.1ppmから約500ppmの範囲内の量で添加することも含んで成る請求項21から26のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項28】
前記バイエル工程流れに更に懸濁している赤泥も入っている請求項21から27のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項29】
更に前記凝集剤であるケイ素含有重合体とは異なるアニオン性重合体を前記バイエル工程流れに混合することも含んで成る請求項21から25のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項30】
前記アニオン性重合体をヒドロキサム化ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリレート)およびこれらの混合物から成る群より選択する請求項29記載の凝集方法。
【請求項31】
更に前記懸濁している赤泥の少なくとも一部を凝集させることも含んで成る請求項28から30のいずれか1項記載の凝集方法。
【請求項32】
−Si(OR)基を少なくとも約5重量%含有して成る水溶性もしくは水分散性のケイ素含有重合体であって、ケイ素含有重合体が懸濁している脱ケイ酸生成物を凝集させる能力が前記−Si(OR)基によって向上するような形態を有し、かつRがNa、KおよびNHから成る群より選択される水溶性もしくは水分散性のケイ素含有重合体。
【請求項33】
ケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項32記載のケイ素含有重合体。
【請求項34】
ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体である請求項33記載のケイ素含有重合体。
【請求項35】
ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体である請求項33記載のケイ素含有重合体。
【請求項36】
前記ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体がケイ素含有無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体である請求項35記載のケイ素含有重合体。
【請求項37】
ケイ素含有多糖である請求項33記載のケイ素含有重合体。
【請求項38】
前記ケイ素含有多糖がケイ素含有澱粉またはケイ素含有セルロースである請求項37記載のケイ素含有重合体。
【請求項39】
前記ケイ素含有セルロースがケイ素含有ヒドロキシエチルセルロースである請求項38記載のケイ素含有重合体。
【請求項40】
前記ケイ素含有セルロースがケイ素含有パールスターチである請求項38記載のケイ素
含有重合体。
【請求項41】
ヒドロキサム化重合体である請求項32から40のいずれか1項記載のケイ素含有重合体。
【請求項42】
構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)(NH)CHCHCHCHSi(Oである請求項32記載のケイ素含有重合体。
【請求項43】
前記1番目の繰り返し単位を数で表して少なくとも約90%含有して成る請求項42記載のケイ素含有重合体。
【請求項44】
前記1番目の繰り返し単位を数で表して約96%および前記2番目の繰り返し単位を数で表して約4%含有して成る請求項42記載のケイ素含有重合体。
【請求項45】
構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(Oであり、Rは−NHである請求項32記載のケイ素含有重合体。
【請求項46】
前記1番目の繰り返し単位の含有量が数で表して約50%以下であり、前記2番目の繰り返し単位の含有量が数で表して約90%以下であり、前記3番目の繰り返し単位の含有量が数で表して約1%から約60%であり、前記4番目の繰り返し単位の含有量が数で表して約1%から約30%でありかつ前記5番目の繰り返し単位の含有量が数で表して約1%から約30%である請求項45記載のケイ素含有重合体。
【請求項47】
前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約80%から約85%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約5%から約15%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成している請求項45記載のケイ素含有重合体。
【請求項48】
前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約82%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約10%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成している請求項45記載のケイ素含有重合体。
【請求項49】
構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHC(=O)NHCHCHCHSi(Oであり、Rは−NHである請求項32記載のケイ素含有重合体。
【請求項50】
前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約65%から約70%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約20から約30%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成している請求項49記載のケイ素含有重合体。
【請求項51】
構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(Oであり、Rは−NHである請求項32記載のケイ素含有重合体。
【請求項52】
前記1番目の繰り返し単位と前記2番目の繰り返し単位が一緒に数で表して前記繰り返し単位の約80%から約85%を構成し、前記3番目の繰り返し単位が数で表して前記繰り返し単位の約5%から約15%を構成しかつ前記4番目と5番目の繰り返し単位が一緒に前記繰り返し単位の残りを構成している請求項51記載のケイ素含有重合体。
【請求項53】
凝集方法であって、請求項32から52のいずれか1項記載のケイ素含有重合体をバイエル工程流れに、これの中に懸濁している赤泥、脱ケイ酸生成物およびこれらの混合物から成る群より選択される固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る方法。
【請求項54】
前記ケイ素含有重合体以外の凝集剤を実質的に存在させないで実施する請求項53記載の凝集方法。
【請求項55】
更に前記ヒドロキサム化ケイ素含有重合体とは異なる凝集剤であるアニオン性重合体を前記バイエル工程流れに混合することも含んで成る請求項53または請求項54記載の凝集方法。
【請求項56】
前記凝集剤であるアニオン性重合体がヒドロキサム化されている請求項55記載の凝集方法。
【請求項57】
重合体と結合しているケイ素含有基を含有して成る水溶性もしくは水分散性のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項58】
前記ケイ素含有重合体が−Si(OR)基[ここで、Rは独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンおよびNR’から成る群より選択され、かつR’は独立して水素、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルから成る群より選択され、そしてRおよびR’は独立して置換されていないか、ヒドロキシで置換されているか或はベータ位がヒドロキシで置換されている]を少なくとも1個含有して成る請求項57記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項59】
RがNa、KおよびNHから成る群より選択される請求項58記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項60】
前記ケイ素含有重合体が−Si(OR)基を少なくとも約5重量%含有する請求項58または請求項59記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項61】
ヒドロキサム化ケイ素含有ポリエチレンイミン、ヒドロキサム化ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドのヒドロキサム化共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランのヒドロキサム化共重合体、ヒドロキサム化ケイ素含有多糖、ヒドロキサム化ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ヒドロキサム化ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項57から60のいずれか1項記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項62】
ヒドロキサム化ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体である請求項61記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項63】
前記ヒドロキサム化ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体がヒドロキサム化ケイ素含有無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体である請求項62記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項64】
ヒドロキサム化ケイ素含有多糖である請求項61記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項65】
前記ヒドロキサム化ケイ素含有多糖がヒドロキサム化ケイ素含有澱粉またはヒドロキサム化ケイ素含有セルロースである請求項64記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項66】
前記ヒドロキサム化ケイ素含有セルロースがヒドロキサム化ケイ素含有ヒドロキシエチルセルロースである請求項65記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体。
【請求項67】
凝集方法であって、請求項57から66のいずれか1項記載のヒドロキサム化ケイ素含有重合体をバイエル工程流れに、これの中に懸濁している赤泥、脱ケイ酸生成物およびこれらの混合物から成る群より選択される固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合することを含んで成る方法。
【請求項68】
前記ヒドロキサム化ケイ素含有重合体以外の凝集剤を実質的に存在させないで実施する請求項67記載の凝集方法。

【公表番号】特表2010−524664(P2010−524664A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504138(P2010−504138)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057676
【国際公開番号】WO2008/130766
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(594060532)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (36)
【Fターム(参考)】