説明

バイオガス回収方法及びバイオガス回収装置

【課題】バイオガスの回収効率が高く、埋立地の地盤を早期に安定化することができるバイオガス回収方法及びバイオガス回収装置を提供する。
【解決手段】有機性廃棄物を含む廃棄物2を、閉鎖型の埋立処分場1に搬入し、前記埋立処分場1と別途に設けられた循環装置3を使用して、前記廃棄物2に含まれる前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水を循環させ、前記埋立処分場1内に搬入された前記有機性廃棄物から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記埋立処分場1から直接回収し、および、前記循環装置3を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記循環装置3から回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物を含む廃棄物からバイオガスを回収する、バイオガス回収方法及びバイオガス回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本では、生ごみなどの有機性廃棄物を含む廃棄物は、かつては、埋立てられていたが、近年は、その大半を焼却し、焼却灰を埋め立てる(ないしは、一部の灰を溶解、固化させる)ケースが多くなっている。一方で、日本以外の他の外国では、近年でも、生ごみ単独、ないしは、他のごみと一緒にした一般ごみとして、無管理に埋め立てるケースがほとんどとなっている。
【0003】
昨今においては、地球温暖化ガス、特にCO2ガスの排出削減が叫ばれ、3R(Reduce:減量、Reuse:再利用、Recycle:リサイクル)ないしはRecover(再生)を加えた4Rが志向されている。そのため、ごみの分別をより完全に行い、ごみを資源として有効利用していくことが重要視されている。
【0004】
そういう状況の中で、生ごみを中心とする有機性廃棄物を埋め立て、埋立処分場から発生するメタンなどのバイオガス(LFG:Land Fill Gas)を回収し、回収したバイオガスを発電や熱源、またはそれらの両方の利用への試みが増えている。
【0005】
すなわち、発生するメタンガスをそのまま大気中に放出せずに発電や熱源として利用すれば、そのメタンガスを他の化石燃料の代替することができ、代替した分に相当する二酸化炭素の発生がなくなる。また、メタンガスは、二酸化炭素に比べて23倍地球温暖化効果が高いので、メタンガスを大気中に放出せずに、発電や熱源として利用すれば、地球温暖化を防ぐことができるので意義がある。
【0006】
ここで、埋立処分場からのバイオガス回収プラントは全世界で約1000ヶ所あり、プラントの設置数で見ればアメリカ合衆国がその約1/3、ドイツ、イギリス、スウェーデン等のヨーロッパ諸国がその約2/3を占めている。
【0007】
アメリカにおける埋立処分場から得られるバイオガスのエネルギーの利用は、その70%あまりが発電としての利用、約20%が直接の熱源、そして、残りの4%が都市ガスへの利用となっている。
【0008】
一方で、アジアにおいてはバイオガスが有効利用されているケースは極めて少ないが、その利用については、京都議定書の枠組におけるCDM(Clean Development Mechanizm:クリーン開発メカニズム)事業として注目されている。ここで、家庭ごみから得られるメタンガスの発生量を50Nm3(ノルマル・リューベ)/乾物tとして見積もると、全世界の埋め立て量が15億tであることから、750億Nm3のメタンガスが得られる計算となる。しかしながら、この見積りのうち、実際に有効利用されているのは、その10%に過ぎない。
【0009】
アジアにおける日本では、1990年代に入ると、生ごみの直接埋め立ては減少し、生ごみをその焼却灰、焼却灰の一部、及び、他の一般ごみと共に埋め立てている。ここで、焼却灰には、未燃焼の有機性物質が混入していることもあり、かつ食品等有機物で汚染されたプラスチック、ビニール袋などが、同時に埋立てられるため、埋立処分場から発生する浸出水に対する有機物処理対策(回転円板、接触酸化、活性汚泥法、生物学的脱窒等)が重金属対策とともに実施されている。
【0010】
また、日本では、埋立処分場からの環境負荷(BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)負荷、窒素負荷、有害重金属負荷等)を低減すると共に、埋立処分場の土壌の早期安定化を目的として、空気を埋立処分場に供給することにより埋立層の嫌気化を防ぐ準好気埋め立てが中心となっている。一方で、アジア諸国をはじめとするアメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国においては、過去に日本においても一般的であった嫌気埋め立てがほとんどとなっている。
【0011】
ここで、日本で中心に行われている準好気埋め立ては、好気性化を目的としているので、有機物の好気的分解が進行し、発生するバイオガス中には、炭酸ガスの割合が多く、メタンガスの割合が少ない。しかし、埋め立て層の嫌気性が十分保たれるならば、埋立処分場から、組成がCH455vol%、CO245vol%、H2S約200mg/m3のバイオガスを得ることができ、バイオガス中に多量に含まれるメタンガスを有効にエネルギー利用できるようになる。
【0012】
【非特許文献1】李 南勲、楠田 哲也、島岡 隆行、松藤 康司、花嶋 正考 「埋立廃棄物層における汚濁物質の質変換現象に関する実験的研究」 廃棄物学会論文誌 Vol.4, No.2, pp55-63, 1993
【非特許文献2】立藤 綾子、松藤 康司、花嶋 正考、宮野 和子「焼却残渣主体の埋立地における変異原物質の生成機構に関する研究」 廃棄物学会論文誌 Vol.12, No.5, pp191-199, 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
生ごみなどの有機性廃棄物から得られるバイオガス生成のポテンシャルは、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)によれば、
Ge=1.868×Co×(0.014×d+0.28) …(1)
Gt=Ge×(1−e-kt) …(2)
(Co:有機性廃棄物中の有機炭素〔kg/t〕、Ge:ガス生成ポテンシャルm3/t、Gt:時刻t(年)までに生成されたガス量、k:半減期から導出される分解定数(通常0.05〜0.15)、t:時間〔年〕、d:温度〔℃〕)
となっている。
【0014】
例として、生ごみの水分を80%、乾物中の有機炭素を47%、温度を40℃とすると、バイオガス生成のポテンシャルは147.5m3/生ごみ量tとなり、一方、生ごみをメタン発酵処理施設で嫌気性処理をしたときの生成バイオガス量は100〜160m3/生ごみ量tである。
【0015】
次に、上記式を基にして、バイオガスの単位面積当たりの生成量の経年変化を図9に示した。図9はバイオガス発生開始点をO、バイオガスの発生量が最大化する点をXとする横軸を時間にとり、バイオガス生成量を縦軸にとっている。ここで、図9において、バイオガスの発生量が最大化するX点以降は、バイオガス発生がエクスポネンシャルカーブを描いて減少していく。すなわち、X点以降のカーブは、上記バイオガス発生量の累積を示す式(2)Gt=Ge×(1−e-kt)を時間微分したカーブ、すなわち単位時間当たりのバイオガス発生カーブGe×ke-ktを示している。
【0016】
すなわち、O点から埋め立てを開始し、埋め立てが進行するにつれて、バイオガスを発生する有機物の単位面積当たりの蓄積量が増加するため、X点に向かって徐々に増加していき、あるところでバイオガス発生量が最大値を示すX点に達する。なお、X点の到来と埋立の進行との関係は、分解に関与する微生物の増殖速度、気候、埋め立て方法、埋め立て深さ、埋め立て速度、廃棄物の種類、性状などの関係で一概には規定することはできない。
そして、X点では、バイオガス発生量が最も多く、X点から時間が経過するにつれて、その量が減っていく。そして、上記式(2)を時間微分したものに示されるように、その傾向は温度が高いほど、上記式の分解係数k値が大きくなるため顕著となる。そのため、高温な地域では、分解しやすい有機物は短時間に分解が進むので、初期のバイオガスの発生量が多く、環境と埋め立て方法にも左右されるが、埋め立てが完了後5〜10年経過すると、分解されるべき有機物が少なくなる。
【0017】
したがって、東南アジアなどの高温多湿な地帯では、3〜5年の期間をかけて、開放型の埋立処分場で嫌気的な環境下で埋め立てを行うので、埋め立て進行中から生成したバイオガスが大気中に放散し、ガス回収やエネルギー回収を有効に行うことができない。また、生成したバイオガスに含まれるメタンや二酸化炭素は、地球温暖化ガスであるので、これらが大気中に放出拡散すると地球温暖化の原因になるという問題がある。
【0018】
なお、閉鎖型の埋立処分場を利用して、発生したバイオガスを有効に回収しようとしても、図9に示したようにバイオガスの発生量が最大化するX点から、その発生量が回収する上で不経済になるほど減少する、すなわち、バイオガス発生量が少なすぎて回収効率が低下する時間に到達するまで、相当な時間がかかる(スパンは約10年)。そのため、単位期間あたりのバイオガスの発生量が少なく、かつ、バイオガス発生期間が長期にわたるので、バイオガスの回収効率が悪く、採算が取れない場合が多く見られる。また、バイオガスの発生が終了するまで、埋立地の地盤が安定化しないので、その間埋立地の地盤沈下が絶えず発生する。そのため、埋立地を早期に造成地などとして有効活用できるようになるまで、時間がかかるという問題がある。
【0019】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、バイオガスの回収効率が高く、埋立地の地盤を早期に安定化することができるバイオガス回収方法及びバイオガス回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るバイオガス回収方法は、有機性廃棄物を含む廃棄物を、閉鎖型の埋立処分場に搬入し、前記埋立処分場と別途に設けられた循環装置を使用して、前記廃棄物に含まれる前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水を循環させ、前記埋立処分場内に搬入された前記有機性廃棄物から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記埋立処分場から直接回収し、および、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記循環装置から回収する。
【0021】
好適には、前記循環装置は、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む前記所定の割合の水を蓄えるメタン発酵処理槽を有し、前記メタン発酵処理槽からバイオガスを回収する。
【0022】
より好適には、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む所定の割合の水の量を、前記埋立処分場から直接回収するバイオガスと前記循環装置から回収するバイオガスとの合量が常時一定となるように変更制御する。
【0023】
さらに好適には、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水に、前記循環水中に溶解している有機性廃棄物から産生される浸出水が含まれる。
【0024】
さらに好適には、前記嫌気発酵作用は、グラニュールによる菌体集積法を利用する。
【0025】
また、前記埋立処分場は、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域に区分されており、前記所定の厚さの各区域への廃棄物の搬入は下層の区域から順に所定の期間内に行う、ことが望ましい。
【0026】
さらに、前記埋立処分場は、埋立面が所定の面積の複数の区画に区分されており、前記所定の面積の複数の区画への廃棄物の搬入は、現に廃棄物の搬入をしている区画のみ解放し他の区画は閉鎖して当該閉鎖された区画からバイオガスを回収しながら、各区画ずつ順次行い、前記各区画への廃棄物の搬入が全て終了後、前記各区画を全て閉鎖して、バイオガスの回収を行う、ことが望ましい。
【0027】
さらに、前記埋立処分場へ廃棄物を搬入の際に、前記廃棄物を搬入中の前記区域または区画における前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水の循環量を少なくする、ことが望ましい。
【0028】
より一層好適には、バイオガスの回収を終了する際は、前記閉鎖型の埋立処分場内を好気または準好気の状態とする、ことが望ましく、前記閉鎖型の埋立処分場内に空気を送ることにより、前記閉鎖型の埋立処分場内を好気または準好気の状態とする、ことが望ましい。
【0029】
また本発明に係るバイオガス回収装置は、有機性廃棄物を含む廃棄物が搬入される閉鎖型の埋立処分場と、前記埋立処分場と別途に設けられ、前記廃棄物に含まれる前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水を循環させる循環装置と、前記埋立処分場に接続し、前記埋立処分場内に搬入された前記有機性廃棄物から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記埋立処分場から直接回収する第1のバイオガス回収手段と、前記循環装置に接続し、前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記循環装置から回収する第2のバイオガス回収手段とを有する。
【0030】
好適には、前記循環装置は、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む前記所定の割合の水を蓄え、蓄えた水に嫌気発酵を行わせるメタン発酵処理槽を有する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、バイオガスの回収効率が高く、埋立地の地盤を早期に安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に関連付けて説明する。
【0033】
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係るバイオガス回収方法を実施するために使用する、バイオガス回収装置100の構成例を示す図である。
バイオガス回収装置100の基本構成は、閉鎖型の埋立処分場1(ただし、埋立処分場1の埋め立て中はその一部または全部が解放状態となる)と、埋立処分場1に埋立てられた有機性廃棄物を含む廃棄物2と、埋立処分場1内に含まれる有機性廃棄物の溶解成分を含む水を主として図中の経路Aで循環させるための、図中の点線枠で囲まれた循環装置3となっている。ここで、有機性廃棄物の溶解成分を含む水を主として図中の経路Aで循環させるための手段として、たとえば、経路A中に配置されたポンプ7が使用される。
【0034】
埋立処分場1は、廃棄物2の搬入が行われている最中は、埋立てられた廃棄物2の一部が大気に接触することになるが、搬入完了後、バイオガス回収装置100が稼動開始する際に、埋立面の全面を遮水シートなどで覆う。それによって、埋立処分場1は外気との接触が遮断される閉鎖型となり、その内部が完全に嫌気性の状態となる。なお、嫌気性の状態で発生バイオガスを完全に回収するためには、バイオガス回収装置100の稼動中は、埋立処分場1内部を若干の陰圧の状態とする。
【0035】
そして、埋立処分場1には、搬入された有機性廃棄物から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを埋立処分場1から直接回収するために、第1のバイオガス回収手段4が接続されている。第1のバイオガス回収手段4は、例えば、バイオガス埋立処分場1に有孔配管を埋め込み(配管周囲を砕石等で覆い、廃棄物の有孔配管への侵入を防止する)、その配管からバイオガスを吸引するためのブロアを設けることにより構成することができる。ブロアでバイオガスを吸引する場合は、埋立処分場1内の圧力を監視し、その監視した圧力に応じた吸引圧でブロアを制御させる信号をブロアに出力する、PICR(Pressure Indicator Controller)を使用することができる。また、図示されていないが、バイオガス回収手段4において、埋立処分場1とブロアとの間に圧力緩衝タンクを設け、埋立処分場1内の陰圧を安定化させる等の手段を設けることもできる。
【0036】
また、図中の点線枠で囲まれた構成からなる循環装置3には、循環装置3内を循環する有機性廃棄物の溶解成分を含む水から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを循環装置3から回収するために、第2のバイオガス回収手段5が接続されている。
【0037】
さらに、循環装置3中において、主として経路Aを循環する有機性廃棄物の溶解成分を含む水の一部が、経路Bで供給されて蓄えるためのメタン発酵処理槽6が設けられている。ここで、メタン発酵処理槽6内を嫌気状態に保つことで、メタン発酵処理槽6に蓄えられた有機性廃棄物の溶解成分を含む水から、嫌気発酵作用によりバイオガスを発生させることができる。さらに、メタン発酵処理槽6内に攪拌機を設ければ、バイオガス発生効率を更に高くすることができる。これらの状態が維持されるメタン発酵処理槽6において、循環装置3に接続する上記第2のバイオガス回収手段5をさらにメタン発酵処理槽6に接続することで、メタン発酵処理槽6から発生したバイオガスを回収することができる。
【0038】
また、以下で詳しく説明するが、循環装置3を循環する有機性廃棄物の溶解成分を含む所定の割合の水の量を、第1のバイオガス回収手段4を利用して埋立処分場1から直接回収するバイオガスと第2のバイオガス回収手段5を利用して循環装置3から回収するバイオガスとの合量が常時一定となるように変更制御する。
【0039】
なお、メタン発酵処理槽6内に蓄えられた有機性廃棄物の溶解成分を含む水は、メタン発酵処理槽6で嫌気処理され、大部分がバイオガスに分解され、3〜8%のごく一部が微生物形成に利用される。そして、嫌気性処理の続行により、溶解成分濃度が薄くなった微生物を含む水の一部をメタン発酵処理槽6に接続されたオーバーフロー管8を通じて経路Cで再度埋立処分場1へ適宜戻すこともできる。これにより、埋立処分場1内の微生物濃度を増加せしめて、埋立処分場1内での加水分解、メタン発酵を促進させることができる。
【0040】
以上のように、図1は、上記のような構成を有するバイオガス回収装置100を説明する図である。そして、図2は、図1に示したような構成を有するバイオガス回収装置100の埋立処分場1の平面図の一例(バイオガス回収手段4が平面的配置例)を示している。
【0041】
図2に示した埋立処分場1は、廃棄物2の埋立面が遮水シートなどで覆われた埋立処分場1内に埋め込まれ、バイオガスを埋立処分場1から直接回収する複数本の配管9が埋立処分場1から突き出ている。そして、複数の配管9のそれぞれは、パイプライン10によって、接続され、第1のバイオガス回収手段4となるブロアへ最終的に接続する。
【0042】
図1に示した、バイオガス回収装置100を使用してバイオガス回収を行う方法について、図面とフローチャートを参照しながら説明する。
【0043】
まず、図3に示すチャートを参照しながら、有機性廃棄物を含む廃棄物からメタン発酵(嫌気性発酵)作用によりメタンガスが発生するメカニズムについて説明する。
図3に示したように、メタン生成のメカニズムは発酵作用を利用しており、第1段階の有機性廃棄物からの有機酸や水素ガス及び少量の二酸化炭素を生成する酸生成工程と、第2段階のメタン生成工程から成り立っている。
【0044】
第1段階(酸生成工程)
生ごみなどの有機性廃棄物には、たんぱく質、炭化水素、脂肪などの有機物が含まれている。たんぱく質、炭化水素、脂肪などの有機物は加水分解工程で、有機性廃棄物中の発酵菌により加水分解されることで、より分子量の小さいアミノ酸、糖、脂肪酸に分解される。
【0045】
分解されたアミノ酸は、有機性廃棄物中の発酵菌によって、有機酸、アルコールに分解されるか(酸生成工程)、もしくは、有機性廃棄物中の酢酸生成菌によって直接酢酸に分解される(酢酸生成工程)。なお、発酵菌によって生成された、有機酸、アルコールは、有機性廃棄物中の酢酸生成菌によって、酢酸に分解される。なお、アミノ酸には炭素、水素、酸素以外に窒素が含まれているので、以上の分解過程において、アンモニア、二酸化炭素、水素が生成される。
【0046】
分解された糖は、有機性廃棄物中の発酵菌によって、有機酸、アルコールに分解されるか(酸生成工程)、もしくは、有機性廃棄物中の酢酸生成菌によって直接酢酸に分解される(酢酸生成工程)。なお、発酵菌によって生成された、有機酸、アルコールは、酢酸生成菌によって、酢酸に分解される。なお、糖には炭素、水素、酸素が含まれているので、以上の分解過程において、二酸化炭素、水素も生成される。
【0047】
分解された脂肪酸は、有機性廃棄物中の発酵菌によって、有機酸、アルコールに分解されるか(酸生成工程)、もしくは、有機性廃棄物中の酢酸生成菌によって直接酢酸に分解される(酢酸生成工程)。なお、発酵菌によって生成された、有機酸、アルコールは、酢酸生成菌によって、酢酸に分解される。なお、脂肪酸には炭素、水素、酸素が含まれているので、以上の分解過程において、二酸化炭素、水素も生成される。
【0048】
第2段階(メタン生成工程)
上記第1段階の酸生成工程において、生成された酢酸あるいは、二酸化炭素、水素から、嫌気状態のメタン生成工程において、有機性廃棄物中に含まれるメタン生成菌の作用でメタンと二酸化炭素(水)が生成される。メタン生成の反応式を以下に示す。
CH3COOH→CH4+CO2
CO2+4H2 →CH4+H2
以上の第1段階の酸生成工程、第2段階のメタン生成工程により、生ごみなどの有機性廃棄物から、バイオガスとして組成比がおおむね5.5:4.5のメタンと二酸化炭素が得られる。なお、有機性廃棄物にたんぱく質が含まれる場合は、バイオガスとして若干のアンモニアガスや硫化水素も含まれることになる。
【0049】
以上の通り、図3を参照して、有機性廃棄物を含む廃棄物からメタン発酵(嫌気性発酵)作用によりメタンガスが発生するメカニズムについて説明した。次に、このメカニズムを利用した本発明のバイオガス回収装置100の機能と、バイオガス回収方法について、バイオガス回収装置100の構成を示す図1と、バイオガス回収の工程を示すフローチャートが描かれた図4を参照しながら説明する。
なお、図4のバイオガス回収の工程を示すフローチャートには、本発明の実施形態に係るバイオガス回収方法を実施するために主要な工程のみが示されている。
【0050】
まず、有機性廃棄物を含む廃棄物を、埋立処分場1を大気に解放した状態で埋立処分場1に搬入する(ST1)。なお、以下で説明する第2実施形態、第3実施形態のように、埋立処分場1を所定の区画または区域によって区分する場合において、廃棄物が搬入されている区画または区域以外の閉鎖状態の区画または区域からはバイオガス回収を行っている。その場合の廃棄物が搬入されている区画または区域以外の区画または区域については、以下のST2〜ST6の工程が行われる。
有機物の搬入が終了後、例えば、解放された埋立処分場1の埋立表面を遮水シートなどで覆い、埋立処分場1を閉鎖状態とする。そして、閉鎖状態となった埋立処分場1内から発生するバイオガスを完全に回収するため、埋立処分場1内を若干の陰圧状態とする。この状態は、例えば、図示しないブロアーを埋立処分場1へ接続して、吸引を行うことにより実現することができる。
【0051】
次に、埋立処分場1への搬入が終了した廃棄物2自身に含まれる水分により、もしくは、その水分量が足りない場合は、外部から水を注入して、埋立処分場1の底部に水がたまるようにする。そして、循環装置3のポンプ7を稼動させて、図1の経路Aで、埋立処分場1の底部にたまった水を循環させる(ST2)。
【0052】
ここで、埋立処分場1の底部にたまった水を経路Aで循環を続けて行くと、循環水と固形有機性廃棄物との接触により、廃棄物2中の有機物が循環水中に溶け出し、すなわち可溶化して、循環水中の有機物の濃度が徐々に高まっていく。
【0053】
また、それとともに、生物化学的、物理化学的可溶化、酸生成、高分子の低分子化が進行していく。そして、埋立処分場1内の菌体濃度も増加していく。
これらの作用によって、循環水からバイオガスを発生させるのに十分な有機物濃度が得られるので、上記酸生成工程が開始し、その工程に引き続いて上記メタン発生工程が開始される。
【0054】
こうして、メタン発生工程が開始されると、埋立処分場1内には、メタンガスと二酸化炭素を主成分とするバイオガスが充満してくる。そこで、充満したバイオガスを、図1に示した埋立処分場1に直接接続された第1のバイオガス回収手段4を利用して、埋立処分場1からバイオガスを直接取り出す(ST3)。
【0055】
このとき、循環水中に十分な濃度の有機物が溶解しているので、その循環水も、バイオガスを産生するのに適した状態となっている。そこで、経路Aで循環している所定の割合の循環水を、経路Bを経て、循環装置3内のメタン発酵処理槽6へ蓄える。ここで、メタン処理発酵槽6は閉鎖された空間であり、嫌気状態であるので、メタン発酵処理槽6に循環水を蓄えると、蓄えられた循環水からバイオガスが発生する。そして、メタン発酵処理槽6に接続された第2のバイオガス回収手段5によって、バイオガスを回収する(ST4)。メタン発酵処理槽6に接続された第2のバイオガス回収手段5によってバイオガスを回収中は、所定の量の循環水を経路Bを経て連続的ないしは間欠的にメタン発酵処理槽6に入れ、メタン発酵処理槽6に入れた循環水の量に相当する量の水を消化液として経路Cまたは経路Dを経て連続的ないしは間欠的に抜いていく。
【0056】
経路Aで循環している循環水のうち、どのくらいの割合の循環水を経路Bを経てメタン発酵処理槽6へ蓄えさせるのかについては、ST3において第1のバイオガス回収手段4を利用して埋立処分場1から直接回収するバイオガスと、ST4において第2のバイオガス回収手段5を利用して循環装置3(メタン発酵処理槽6)から回収するバイオガスとの合量が一定となることを基準にする。
【0057】
その基準の算定方法を以下に説明する。
まず、第1のバイオガス回収手段4を利用して埋立処分場1から直接回収するバイオガスと、第2のバイオガス回収手段5を利用してメタン発酵処理槽6から回収するバイオガスの合量の1日あたりの目標値Mt〔Nm3/日〕を決定する。この目標値Mtは、上記(2)式におけるガス生成ポテンシャルGe(m3/t)と、埋立処分場1内の廃棄物埋立量(t)との積(=バイオガス回収装置100から回収することのできるバイオガスの総量)を、目標とするバイオガス回収期間(年×356(日/年))で除することにより計算される値である。ここで、目標とするバイオガス回収期間は、例えば、熱帯などの高温地帯では4〜5年である。
【0058】
ここで、図1における、経路A,経路B,経路C,経路Dで流れる水の量と、可溶化、酸生成速度、バイオガス生成速度との関連性は以下の通りとなっている。
経路Aで流れる水の量が増加すると、埋立処分場1内に埋め立てられた有機性廃棄物の可溶化が促進され、埋立処分場1全体から発生するバイオガスの量が増加する。
経路Bで流れる水の量が増加すると、メタン発酵処理槽6から得られるバイオガスの量が増加する。
経路Cで流れる水の量が増加すると、経路Cで流れる水の中にはメタン生成菌が大量に含まれているので、埋立処分場1全体から発生するメタン発酵が促進される。
なお、経路Dで流れる水の量は、経路Bで流れる水の量と経路Cで流れる水量の差で決定される。この経路Dで流れる水は、最終的に外部の自然水域等に放流されるが、放流の際は、環境に与える影響を考慮し、放流基準に合った処理がされている必要がある。
【0059】
上記の関連性を考慮して、バイオガス回収装置100から目標値Mtのバイオガスを回収する際は、まず、経路Bでメタン発酵処理槽6に流入させる1日分の循環水の量を決定する。すなわち、経路Bでメタン発酵処理槽6に流入した循環水中の有機物の殆どが分解し、バイオガスに転換する。そのため、メタン発酵処理槽6に流入する1日分の循環水量と循環水中の有機物濃度の積により、メタン発酵処理槽6から発生するバイオガスの1日あたりの量を正確に計算することができ、そこから発生するバイオガスの量を見積もる。
【0060】
計算されたメタン発酵処理槽6から発生するバイオガスの1日あたりの量が目標値Mt〔Nm3/日〕に満たなければ、残りのバイオガスを第1のバイオガス回収手段4から回収できるように、例えば、経路Aで流れる水の量を増加させて、埋立処分場1全体から発生するバイオガスの量を増加させる。また、経路Cで流れる水の量を増加させて埋立処分場1全体から発生するバイオガスの量を増加させる。そのようにすることで、バイオガスの増分を第1のバイオガス回収手段4を利用して埋立処分場1から直接回収することができる。ここで、バイオガスの回収の合量を計測して、目標値Mtに近づくように経路Aで流す水の量を調整することにより、目標値Mtに到達させることができる。
【0061】
計算されたメタン発酵処理槽6から発生するバイオガスの1日あたりの量が目標値Mt〔Nm3/日〕を超えてしまう場合は、例えば、経路Bで流れる水の量を減らして、メタン発酵処理槽6から得られるバイオガスの量を減少させるようにする。また、経路Dで流れる水の量を増加させて、増加しすぎたメタン生成菌を外部に放出し、バイオガス回収装置100から回収できるバイオガス量を減少させる。こうして、計算されたメタン発酵処理槽6から発生するバイオガスの1日あたりの量が目標値Mtを越えることが予測されても、回収するバイオガス量を減少させることができる。
そのため、従来の埋立処分場では回収できるバイオガス量の調整が困難であるため、回収バイオガス量が余剰な場合は燃焼させるなどして無駄になっていたが、本発明のバイオガス回収装置100ではそのような無駄を省くことができる、
以上のようにして、経路Aで循環している循環水のうち、どのくらいの割合の循環水を経路Bを経てメタン発酵処理槽6へ蓄えさせるのかについて決定することができる。
【0062】
なお、経路Bを経てメタン発酵処理6へ流れてきた循環水がメタン発酵処理槽6に蓄えられている間も、経路Aで循環する循環水は循環させておく。そうすることで、循環水との接触作用により、経路Aで循環する循環水の有機物濃度を常に高く維持することができる。
【0063】
ここで、第1のバイオガス回収手段4を利用して、埋立処分場1からバイオガスを直接回収する工程(ST4)を続行していくと、循環水中の有機物濃度が低くなる。さらに次段落で説明する浸出水によっても、循環水中の有機物濃度が低くなる。その場合は、バイオガス回収効率が低下することもある。
【0064】
しかし、循環装置3によって、循環水が絶えず経路Aで循環しているので、循環水中に溶解している有機物濃度が一時的に低くなったとしても、循環水との接触作用によって、廃棄物2の有機物が速やかに循環水に溶解し、循環水中の有機物濃度を再び高くすることができる。さらに、メタン生成の反応式において、メタン生成の際には浸出水として水が発生するので、循環水の有機物濃度を低くする原因となる。しかし、このような浸出水は廃棄物2の有機物を溶解するための水として使用できる。
【0065】
こうして、循環水中の有機物の濃度を再び高くなることにより、第1のバイオガス回収手段4によって回収されるバイオガス量を増やすことができる。このように、埋立処分場1内に循環水が流れていくことにより、従来の循環水を循環させない埋立処分場と比較して、回収できるバイオガス量、バイオガス発生速度を増加させることができる。
【0066】
また、同様にして、第2のバイオガス回収手段5を利用して、メタン発酵処理槽6に蓄えられた循環水からバイオガスを回収する工程(ST4)を続行していくと、メタン発酵処理槽6内の循環水中の有機物濃度が低くなることもある。その場合は同様にして、バイオガス回収効率が低下することもある。
【0067】
メタン発酵処理槽6に蓄えられ有機物濃度が低くなった循環水(消化液)を経路Cを経て(オーバーフロー管8を使用する)埋立処分場1へ戻す(ST5)。そうすると、埋立処分場1へ戻された循環水はバイオガス発生に必要な微生物(例.メタン生成細菌)の埋立処分場1内への供給作用に加え、埋立処分場1内の廃棄物2中に含まれる有機物を溶解するための水としても再度使用することができる。
【0068】
また、循環装置3によって、循環水が絶えず経路Aで循環しているので、経路Aを循環する循環水中に溶解している有機物濃度が一時的に低下したとしても、廃棄物2中の有機物が循環水との接触作用によって、溶解していく。これにより、循環水中の有機物の濃度を再び高くすることができ、第1のバイオガス回収手段4によって回収されるバイオガス量が減少する影響を防ぐことができる。
【0069】
さらに、このようにして有機物濃度が高くなった経路Aで循環する循環水の一部を再び経路Bを経て、循環装置3内のメタン発酵処理槽6へ蓄えさせる。そうすると、メタン発酵処理槽6に蓄えられた循環水から発生するバイオガス量を再度増加させることができる。増加したバイオガスを第2のバイオガス回収手段5によって回収することができる。
【0070】
本実施形態のバイオガス回収装置100では、第1のバイオガス回収手段4と、第2のバイオガス回収手段5、の2系統の回収手段でバイオガスを絶えず大量に合量として大量回収しているので、埋立処分場1内の廃棄物2中に含まれる有機物は速やかに減少する。そのため、循環装置3内に循環する循環水の濃度は、従来の埋立処分場の1/3程度の期間内に、バイオガスを効率的に回収できないほど低くなる。しかし、その状態でも、埋立処分場1内の廃棄物2内には、若干の有機物が依然として含まれた状態となっている。
【0071】
そこで、そのような状態になった場合は、第1のバイオガス回収手段4と、第2のバイオガス回収手段5によるバイオガスの回収を終了する(ST6)。その後、埋立処分場1内に空気を送り込み、閉鎖状態の埋立処分場1内を好気化、または準好気化する(ST7)。ここで、閉鎖状態の埋立処分場1内を好気化、または準好気化する方法として、例えば、循環経路Aにおいて吐出側のバルブを閉じ、同経路に吐出側のバルブより前方に連結した送風機により、当該経路の吸引側から空気を吐出したり、特開2006−334521号公報に記載された方法を採用することができる。
そうすると、廃棄物2内に若干含まれている有機物を速やかに水と二酸化炭素に完全分解することができる。廃棄物2内の有機物が完全分解されると埋立処分場1内に残った浸出水が浄化されると共に、その後は、埋立処分場1に地盤沈下などが生ずることがなく、埋立処分場1の地盤を安定化させることができる。
なお、閉鎖状態の埋立処分場1内を好気化、または準好気化すると、埋立処分場1内の廃棄物2中の有機物に残留するたんぱく質が含まれている場合は、Nの原子価が変動する過程でN2Oが発生することもある。しかし、この状態では既に、埋立処分場1内の廃棄物中の有機物濃度は十分低いので、発生するN2Oはごく少ない。
【0072】
埋立処分場1内を(準)好気化して、廃棄物2内の有機物の完全分解が完了すると、すべてのフローは終了する。なお、埋立処分場1内を(準)好気化する期間は、上記バイオガスを回収する工程(ST3,ST4)と比較して圧倒的に短いので、廃棄物2中に含まれる有機物が嫌気状態で分解される期間の割合を非常に多く取ることができ、バイオガス回収量を多くできる。
【0073】
以上の通り、バイオガス回収装置100からのバイオガスの回収は、埋立処分場1から直接バイオガスを回収する第1のバイオガス回収手段4と、循環装置3を循環する循環水からバイオガスを回収する第2のバイオガス回収手段5、の2系統の回収手段を利用している。
【0074】
そのため、通常は、埋立処分場に接続された1系統のバイオガス回収手段しか有さない従来のバイオガス回収装置と比較して、本実施形態のバイオガス回収装置100では、回収できるバイオガスの絶対量を多くする(バイオガスの回収効率を高くする)ことができ、かつ短期間にバイオガスを発生させることができる。さらに、バイオガス回収装置100内は閉鎖系となっているので、発生したバイオガス(地球温暖化ガス)が大気中に放散することによる地球温暖化の防止に寄与することもできる。
【0075】
なお、本実施形態のバイオガス回収装置100では、バイオガスの発生源として循環水を利用している。そのため、上記のように2系統の回収手段からのバイオガスの回収量が多いとしても、上記のように、循環水中の有機物濃度を絶えず高くすることができるので、バイオガス回収量が多い状態を維持することができる。そして、循環水中の有機物濃度は絶えず高いので廃棄物2から溶解する有機物は常に多い状態となる。そのため、従来のバイオガス回収装置と比較して、埋立処分場1内の廃棄物中に含まれる有機物をさらに速やかに分解することができる。
【0076】
そのため、埋立処分場1の地盤を早期に安定化させることができ、また、埋立処分場1の地盤沈下を早期沈静化させることもできるので、埋立処分場1を早期に造成地などとして有効活用させることができるようになる。
【0077】
さらに、本実施形態のバイオガス回収装置100では、バイオガス回収の全工程を嫌気下で行っているので、埋立処分場1内の廃棄物2内の有機物にたんぱく質が含まれていたとしても、たんぱく質の硝化、脱窒素の過程で発生し、地球温暖化の原因となるN2Oが発生することはない。
【0078】
すなわち、一般的な好気性の埋め立て処分場の場合では、廃棄物内の有機物にたんぱく質が含まれていると、それにより発生したアンモニア性窒素がアンモニア酸化細菌による硝化反応、脱窒菌による硝酸化反応、および、硝酸塩の化学的反応、脱窒素反応を経て、その一部がN2O,NO2に変化する。しかし、本実施形態のバイオガス回収装置100では、バイオガス回収の全工程が嫌気下で行われているので、廃棄物中にたんぱく質が含まれていたとしても、発生した窒素が、N2O,NO2に変化することはない。埋立処分場1からN2O,NO2が発生しないため、窒素酸化物生成過程に由来する変異原物質生成を抑止することができる。
【0079】
図5は、1系統の回収手段を利用する従来の埋立処分場から発生するバイオガス量の経時変化と、本発明の実施形態の埋立処分場1から発生するバイオガス量の経時変化を示すグラフである。
【0080】
図5に示したように、従来の埋立処分場の場合では、発生するバイオガスの量が回収する上で不経済になるほど減少する時間に到達するまで、比較的時間がかかっている。しかし、本発明の実施形態の埋立処分場1の場合では、2系統の回収手段を利用しているので、発生するバイオガスの絶対量は従来の埋立処分場と比較して多い。しかも、埋立処分場1内の廃棄物中に含まれる有機物の分解が非常に速いので、バイオガス回収が終了するまでの期間が短い。たとえば、廃棄物2中の有機物の特性や、バイオガス回収装置100の運転状況にもよるが、1〜3年でバイオガス回収を完了させることができる。
【0081】
図5に示したように、従来の埋立処分場から発生するバイオガス量の経時変化と、本発明の実施形態の埋立処分場1から発生するバイオガス量の経時変化に大差が現れた理由を考察する。
ガス生成ポテンシャルGe(m3/t)と、埋立処分場1内の廃棄物埋立量(t)との積により得られる、回収可能なバイオガスの総量は、従来の埋立処分場も、本発明の実施形態の埋立処分場1もほぼ同一である。すなわち、従来の埋立処分場から回収可能なバイオガスの総量は、図5において、(A)の面積と(B)の面積の和で表される。また、本発明の実施形態の埋立処分場1から回収可能なバイオガスの総量は、(C)の面積で表され、その面積(C)は、(C)≒(A)+(B)の関係を有している。
【0082】
ここで、図5における縦軸で示される発生バイオガス量は、上記のメタン生成の反応式の反応速度に比例する。
反応速度vは、v=−k〔有機物濃度〕で表されるが、従来の埋立処分場では、埋立処分完了後、埋立処分場から自然にメタンガスが発生する現象を利用しているので、メタン生成の反応が進行するにつれて、埋立処分場内の有機物濃度が徐々に減少し、反応速度vも減少していく。すなわち、従来の埋立処分場では、X点以降の発生バイオガス量は、上記(2)式を時間微分した、単位時間当たりのバイオガス発生カーブGe×ke-ktに依存する。
【0083】
一方で、本発明の実施形態の埋立処分場1では、循環装置3を使用して、廃棄物に含まれる有機性廃棄物の溶解成分を含む水を循環させているので、循環水中の有機物濃度が増大し、反応速度vが高くなる。そして、循環水中の有機物濃度が常に高い状態を維持することができるので、メタン生成の反応が進行しても反応速度vが低下することは無い。すなわち、図5に示したように、本発明の実施形態の埋立処分場1からの発生バイオガス量の曲線は、回収期間中は常にフラットな状態となる。
これにより、本発明の実施形態の埋立処分場1では、バイオガスを大量かつ急速に回収することが可能となる。
【0084】
本実施形態のバイオガス回収装置100におけるバイオガスの生成には、酸生成工程、メタン生成工程を利用している。ここで、これらの生成工程では発酵熱が発生する。そこで、発生した熱が埋立処分場1及びメタン発酵処理槽6から逃げないように、断熱材などを利用して断熱を行うと、埋立処分場1及びメタン発酵処理槽6内の温度を、発酵に適した温度帯(35〜37℃)に保つことができる。
【0085】
また、循環装置3を制御して、循環水の流速を制御することにより、同様にして、発酵に適した温度を保つことができる。すなわち、発酵熱が多量に発生して温度が埋立処分場1内部の温度が高くなりすぎた場合は、循環水の流速を早くすることで、内部温度を下げ、逆に、温度が低くなりすぎた場合には、循環水の流速を遅くして、内部に発酵熱がこもる様にして内部温度を上げる。これにより、2系統の回収手段から回収されるバイオガスの回収効率を向上させることができる。なお、循環水を太陽熱などにより加温する場合は、上記とは逆の手法となることもある。
【0086】
また、上記生成工程において、グラニュールによる菌体集積方法を利用することによっても、生成工程におけるバイオガスの発生量を増加させることもできる。すなわち、生成工程におけるバイオガスの発生量は、循環水中に含まれる有機物の濃度と嫌気性処理工程にかかわる微生物量の積に比例する。そのため、微生物濃度の高いグラニュールを利用することにより、バイオガスの発生量を一層増加させることができる。グラニュールによる菌体集積方法は、例えば、メタン発酵処理槽6内でグラニュールを生成(形成)させる。菌体集積方法として、例えば、UASB法(Upflow Anerobic Sludge Blanket:上向流嫌気性スラッジブランケット法)を採用することができる。さらに、グラニュールを集積してメタン発酵処理槽6を運転することにより、より低い有機物濃度で効率よく処理を行うことができる。
【0087】
<第2実施形態>
ここで、図1に示したバイオガス回収装置100において、2系統のバイオガス回収手段4,5からバイオガスの回収を本格的かつ定常的に開始できる時期は、埋立処分場1へのすべての廃棄物2の搬入が完了した後である。そのため、埋立処分場1への廃棄物2すべての搬入が完了するまでは、2系統のバイオガス回収手段4,5からバイオガスの回収ができない場合もある。
【0088】
そこで、図6に示した埋立処分場1のように、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域11に区分する。すなわち、図6(a)に示した埋立処分場1aでは、最下層の区域〔1〕として、最上層の区域〔8〕まで、深さ方向において、8箇所の区域11によって区分されている。また、図6(b)に示した埋立処分場1bでは、最下層の区域〔1〕として、最上層の区域〔11〕まで、深さ方向において、11箇所の区域11によって区分されている。
【0089】
図6(a)に示した埋立処分場1aは、既に掘削開口されている、または、谷状の地形となっている原地盤に廃棄物2を搬入する埋立処分場であり、図6(b)に示した埋立処分場1bは、平坦な原地盤を掘削開口し、掘削された土等を開口の周囲の盛土として盛っている埋立処分場である。
【0090】
図6に示した埋立処分場1a,1bへ廃棄物2の搬入を行う際は、最下層の区域11から最上層の区域11へ順番に行っていく。ここで、各階層の区域11への廃棄物2の搬入が完了し次第、大気に接して表面が解放状態となっている当該区域11の埋立面の全面を遮水シートなどで覆い、当該区域11を外気との接触が遮断された閉鎖状態とする。
【0091】
そして、上記区域11が閉鎖状態となると、埋立処分場1内部が嫌気性の状態となるので、図1に示したような、2系統のバイオガス回収手段4,5からバイオガスの回収を開始することができる。
【0092】
もしくは、上記区域11よりも下層の区域11から、既にバイオガスの回収を開始している場合は、上記区域11についての閉鎖が終了次第、バイオガスの回収をいったん終了し、その区域11内に、図1に示したようなバイオガス回収手段4,5の増設を行う。
【0093】
すなわち、各階層における区域11への廃棄物2の搬入中は、その区域11内にバイオガス回収手段4,5の増設に必要な配管などの部材の設置ができない場合がある。そこで、当該区域11への廃棄物2の搬入完了後、その区域11内に配管などの部材の設置を行い、設置が完了次第、2系統のバイオガス回収手段4,5からバイオガスの回収を再開させる。
【0094】
このように、図6に示した埋立処分場1では、深さ方向において、良質土壌によって互いに隔離された所定の厚さの複数の区域11に区画させている。そのため、すべての階層の区域11への廃棄物2の搬入の完了を待たないで、所定の階層の区域11への廃棄物2の搬入が完了しさえすれば、図1に示したような2系統のバイオガス回収手段4,5を使用してバイオガスの回収ができる。これにより、図6に示した埋立処分場1a,1bから早期に図1に示したような2系統のバイオガス回収手段4,5を使用してバイオガス回収を効率的に行うことができる。
【0095】
特に、埋立処分場1内の廃棄物2の全層厚が2m以上の場合には、埋立処分場1を深さ方向において複数の区域11に区画させることは効果的である。すなわち、現に廃棄物2を搬入中で表面が大気に接している最上層の区域11の容量を、既に廃棄物2の搬入が完了した当該区域より下層の複数区域11の容量に対して小さくすることができることができるためである。
【0096】
そのようにすると、搬入が完了した廃棄物2が崩落することにより形成される法面が生じにくくなる。また、複数の区域11のそれぞれが、外気との接触が遮断された閉鎖状態にあるので、各区域11から上記メタン生成工程から得られる理論量に近いバイオガスを回収することができる。
【0097】
なお、図6に示した埋立処分場1において、各区域11への廃棄物2の搬入は所定の期間内、たとえば、半年以内に行うことが望ましい。すなわち、各区域11への廃棄物2の搬入中は当該区域が、大気と接する解放状態であるので、当該各区域11への廃棄物2の搬入期間が長すぎると、その間に廃棄物2内の有機物が分解し、回収できるバイオガスが減少する場合もあるためである。
【0098】
<第3実施形態>
なお、図6に示した埋立処分場1a,1bのように、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域11に区分させるのと併せて、または、単独で、図7(a)に示した埋立処分場1cのように、埋立面12を(1),(2),(3),(4)で示される所定の面積の複数の区画13に区分することも望ましい。すなわち、図7(a)は、埋立面12が所定の区画13によって区分された埋立処分場1cの平面図を示しており、図7(b)はその断面図(b)を示している。
【0099】
図7に示した埋立処分場1cにおいて、深さ方向において区分されている各区域11への廃棄物2への搬入を行う際は、図7(a)に示したように、当該区域11を更に(1),(2),(3),(4)で区分している複数の区画13ごと順次行う。たとえば、深さ方向において区分されている所定の階層の区域11への廃棄物2への搬入を行う際は、図7(a)に示したように、(1),(2),(3),(4)で示される所定の面積の区画13について、(1)→(2)→(3)→(4)の順番で廃棄物2の搬入を行う。
【0100】
そして、(1),(2),(3),(4)で示される各区画13において現に埋め立てを行っている一つの区画以外の区画を閉鎖し、閉鎖された区画からバイオガスの回収を開始、ないしは再開する。この作業を深さ方向において区分されている区域11の各階層について順次行い、これを繰り返して、埋立処分場1cへのすべての廃棄物2の搬入を完了させる。
【0101】
すなわち、図7(b)に示したように、深さ方向において区分されている区域11において、最下層の区域11について、その区域11が〔1〕と〔2〕で示される区画13ごとに廃棄物2の搬入を行う。そして、最下層の区域11へ廃棄物2の搬入が完了後、最下層から2番目の層の区域について、その区域11が〔3〕と〔4〕で示される区画13ごとに廃棄物2の搬入を行う。
【0102】
さらに、最下層の2番目の層の区域11へ廃棄物2の搬入が完了後、最下層から3番目の層の区域について、その区域11が〔5〕と〔6〕で示される区画13ごとに廃棄物2の搬入を行う。これを繰り返し、最終的に最上層の区域11について、その区域11が〔9〕と〔10〕で示される区画13ごとに廃棄物2の搬入を行って、廃棄物2の搬入を完了させる。
【0103】
このように、図7に示した埋立処分場1cのように、埋立面12を所定の面積の複数の区画13に区分することにより、バイオガス回収中にバイオガス突出によって埋立地形が急変することがなく、埋立処分場1cで発生する事故が減少する。すなわち、所定面積の埋立面12が、いくつかの区画13によってさらに小さな面積に区分されているので、いずれかの区画13の埋立地形が急変したとしても、他の区画13にはその影響が及びにくいためである。
【0104】
<その他>
なお、図1,6,7に示された第1〜第3の実施形態に係る埋立処分場1,1a,1b,1cにおいて、埋立処分場1内全体へ、または、埋立処分場1内において区分された区域11,区画13へ、廃棄物2を搬入している際は、循環装置3を循環する水の割合を少なくすることが望ましい。
【0105】
すなわち、廃棄物2を搬入中の区域11,区画13は、解放状態であり、(準)好気状態となっているので、循環装置3を循環する水の割合を少なくすることで、搬入中の廃棄物2から有機物が循環水に溶解しにくくなる。これにより、廃棄物2の搬入中に、循環水中の有機物濃度が高くなって、廃棄物2中の有機物が不必要に水と二酸化炭素に分解されるのを防ぐことができる。そのため、廃棄物2搬入後に廃棄物2中に多量の有機物が残留し、当該廃棄物中の有機物をメタンガス発生に有効に利用することができる。
【0106】
さらに、埋立処分場1内全体へ、または、埋立処分場1内において区分された区域11,13へ、廃棄物2を搬入している際は、バイオガスの回収を原則として行わないので、搬入作業を優先させることもできる。また、廃棄物2搬入中は、埋立処分場1内に設置される第1のバイオガス回収手段4または第2のバイオガス回収手段5の一部を構成するための配管を設置することができない場合もあるためである。
【0107】
なお、図1,6,7に示された埋立処分場1,1a,1b,1cにおいて、バイオガスを直接回収するための配管9は、図8(a)のような埋立てられた廃棄物2内に垂直方向に埋設された配管9であっても、図8(b)のような水平方向に埋設された配管9であってもよい。
【0108】
図8(a)に示したような、垂直方向に配管9を埋設する方式は、埋立処分場1への廃棄物2の最上部までの埋立が完了後、配管9を設置する方式である。そのため、この方式は、図1に示したような、埋立処分場1内において区域11,区画13を設けない廃棄物処分場1へ好適に適用できる。
【0109】
図8(b)に示したような、水平方向に配管9を埋設する方式は、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域に区分された埋立処分場1において、各区域11の埋立完了後、配管9を設置する方式である。そのため、図6,7に示したような、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域11を有する埋立処分場1a,1b,1cへ好適に適用できる。
【0110】
なお、図8(a)に示したような、垂直方向に配管9を埋設する方式は、図6,7に示したような、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域11を有する埋立処分場1a,1b,1cへの適用も可能である。すなわち、このような埋立処分場1a,1b,1cの場合は、各区域11の埋立完了後、垂直方向の配管9を増設すれば上記方式を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態に係るバイオガス回収装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るバイオガス回収装置の埋立処分場の平面図である。
【図3】有機性廃棄物を含む廃棄物からメタン発酵作用によりメタンガスが発生するメカニズムを示す図である。
【図4】バイオガス回収の工程を示すフローチャートである。
【図5】従来の埋立処分場から発生するバイオガス量の経時変化と、本発明の実施形態の埋立処分場から発生するバイオガス量の経時変化を示すグラフである。
【図6】深さ方向において、複数の区域に区画されたバイオガス回収装置の埋立処分場の断面図である。
【図7】埋立面が所定の区画によって区分されたバイオガス回収装置の埋立処分場の平面図(a)及び断面図(b)である。
【図8】バイオガス回収装置の埋立処分場内における配管の埋設方法を示す断面図である。
【図9】従来の埋立処分場から発生するバイオガス量の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0112】
100…バイオガス回収装置、1…埋立処分場、 2…廃棄物、 3…循環装置、4…第1のバイオガス回収手段、5…第2のバイオガス回収手段、6…メタン発酵処理槽、7…ポンプ、 8…オーバーフロー管、 9…配管、 10…パイプライン、 11…区域、 12…埋立面、 13…区画

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を含む廃棄物を、閉鎖型の埋立処分場に搬入し、
前記埋立処分場と別途に設けられた循環装置を使用して、前記廃棄物に含まれる前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水を循環させ、
前記埋立処分場内に搬入された前記有機性廃棄物から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記埋立処分場から直接回収し、および、
前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記循環装置から回収する、
バイオガス回収方法。
【請求項2】
前記循環装置は、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む所定の割合の水を蓄えるメタン発酵処理槽を有し、前記メタン発酵処理槽からバイオガスを回収する
請求項1に記載のバイオガス回収方法。
【請求項3】
前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む所定の割合の水の量を、前記埋立処分場から直接回収するバイオガスと前記循環装置から回収するバイオガスとの合量が常時一定となるように変更制御する
請求項1または請求項2に記載のバイオガス回収方法。
【請求項4】
前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水に、前記循環水中に溶解している有機性廃棄物から産生される浸出水が含まれる
請求項1から3いずれか1項に記載のバイオガス回収方法。
【請求項5】
前記嫌気発酵作用は、グラニュールによる菌体集積法を利用する
請求項1から4いずれか1項に記載のバイオガス回収方法。
【請求項6】
前記埋立処分場は、深さ方向において、互いに隔離された所定の厚さの複数の区域に区分されており、前記所定の厚さの各区域への廃棄物の搬入は下層の区域から順に所定の期間内に行う
請求項1から5いずれか1項に記載のバイオガス回収方法。
【請求項7】
前記埋立処分場は、埋立面が所定の面積の複数の区画に区分されており、前記所定の面積の複数の区画への廃棄物の搬入は、現に廃棄物の搬入をしている区画のみ解放し他の区画は閉鎖して当該閉鎖された区画からバイオガスを回収しながら、各区画ずつ順次行い、前記各区画への廃棄物の搬入が全て終了後、前記各区画を全て閉鎖して、バイオガスの回収を行う
請求項6に記載のバイオガス回収方法。
【請求項8】
前記埋立処分場へ廃棄物を搬入の際に、前記廃棄物を搬入中の前記区域または区画における前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水の循環量を少なくする
請求項6または7に記載のバイオガス回収方法。
【請求項9】
バイオガスの回収を終了する際は、前記閉鎖型の埋立処分場内を好気または準好気の状態とする
請求項1から8いずれか1項に記載のバイオガス回収方法。
【請求項10】
前記閉鎖型の埋立処分場内に空気を送ることにより、前記閉鎖型の埋立処分場内を好気または準好気の状態とする
請求項9に記載のバイオガス回収方法。
【請求項11】
有機性廃棄物を含む廃棄物が搬入される閉鎖型の埋立処分場と、
前記埋立処分場と別途に設けられ、前記廃棄物に含まれる前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水を循環させる循環装置と、
前記埋立処分場に接続し、前記埋立処分場内に搬入された前記有機性廃棄物から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記埋立処分場から直接回収する第1のバイオガス回収手段と、
前記循環装置に接続し、前記有機性廃棄物の溶解成分を含む水から嫌気発酵作用により発生するバイオガスを前記循環装置から回収する第2のバイオガス回収手段と
を有するバイオガス回収装置。
【請求項12】
前記循環装置は、前記循環装置を循環する前記有機性廃棄物の溶解成分を含む前記所定の割合の水を蓄え、蓄えた水に嫌気発酵を行わせるメタン発酵処理槽を有する
請求項11に記載のバイオガス回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−22971(P2010−22971A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189115(P2008−189115)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(598123138)学校法人 創価大学 (49)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】