説明

バイオガス発電装置

【課題】水封弁内の水がガス通路内に流入した場合であっても、ガスエンジン発電機の連続運転を行えるバイオガス発電装置を提供する。
【解決手段】メタン発酵槽11と、ガス貯蔵装置15と、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63と、メタン発酵槽11と第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63とを繋ぐガス通路19と、ガス通路19内のバイオガスの圧力を検出する圧力検出装置13と、ガス通路19内のバイオガスの圧力が一定値以上になった場合にバイオガスを排出する水封弁25とを備え、ガス通路19に水封弁25から逆流する水を貯溜するための逆流防止用水槽26を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガス発電装置の技術に関し、より詳細には、有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを燃焼させて発電するバイオガス発電装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥、有機性廃水、厨芥類などの食品残渣及び糞尿等の廃棄されていた有機性廃棄物を、嫌気性細菌を利用してメタン発酵することでメタンガス(気体状態のメタン)を主成分とした混合気体であるバイオガスを発生させ、該バイオガスを炭化水素系化石燃料ガスの代わりに使用して、発電等に利用するバイオガス発電装置が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。また、前記バイオガス発電装置の一例として、該バイオガスを炭化水素系化石燃料ガスの代わりに使用して、ガスエンジン発電機を駆動させ、発電するバイオガス発電装置は公知となっている(例えば、特許文献2または特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272160号公報
【特許文献2】特開2004−293465号公報
【特許文献3】特開2000−152799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタン発酵することで発生するバイオガスは、発生量が一定ではない。そこで、バイオガス発電装置には、ガス配管内においてバイオガスの圧力が規定値を越えた場合に、バイオガスを外部へ排出するための水封弁が設けられている。
前記水封弁は、所定の高さまで水が張られた水槽と、水槽上方から下向きに延設され、その排出孔が水中に設けられたバイオガス排出管とを有する。バイオガス排出管内のバイオガスの圧力が水圧よりも高くなった場合には、水中にバイオガスが排出されて水槽外部へと排出される。
このような構成の水封弁において、バイオガス発電装置内のバイオガスの供給量が低下し、バイオガス排出管内の圧力が低下した場合には、水封弁の水槽内の水圧及び大気圧によって水槽内の水がバイオガス排出管内へ流入することがある。そのため、バイオガスがガス配管内を流れなくなり、バイオガス発電装置が停止するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、水封弁内の水がガス通路内に流入した場合であっても、ガスエンジン発電機の連続運転を行えるバイオガス発電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させるメタン発酵槽と、前記メタン発酵槽から発生したバイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置と、前記ガス貯蔵装置から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、ガスエンジンを駆動して発電機を駆動させる複数のガスエンジン発電機と、前記メタン発酵槽と前記ガスエンジン発電機とを繋ぐガス通路と、前記ガス通路内のバイオガスの圧力を検出する圧力検出装置と、前記ガス通路内のバイオガスの圧力が一定値以上になった場合にバイオガスを排出する水封弁とを備え、前記ガス通路に前記水封弁から逆流する水を貯溜するための逆流防止用水槽を設けたものである。
【0008】
請求項2においては、前記逆流防止用水槽は、前記ガス通路の最も低い位置に配置され、その容量は流入する可能性のある水量以上とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、ガスエンジン発電機の駆動時に発生するガス吸引力により、ガス通路内において急激な圧力変化があり、水封弁内の水がガス通路内に流入した場合であっても、ガスエンジン発電機は連続運転ができる。
【0011】
請求項2においては、ガスエンジン発電機の駆動時に発生するガス吸引力により、ガス通路内において急激な圧力変化があり、水封弁内の水が大量にガス通路内に流入した場合であっても、ガスエンジン発電機は連続運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係るバイオガス発電装置の全体的な構成を示したブロック図。
【図2】制御装置のブロック図。
【図3】水封弁及び逆流防止用水槽を示した一部断面図。
【図4】水封弁及び逆流防止用水槽を示した一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0014】
まず、本発明の一実施形態にかかるバイオガス発電装置1について説明する。
図1に示すように、バイオガス発電装置1は、有機廃棄物よりメタンガスを主成分とする混合気体であるバイオガスを発生させるメタン発酵槽11と、メタン発酵槽11で発生したバイオガスから有害な気体を分離して除去する精製装置12と、バイオガスの圧力を検出する圧力検出装置13と、有害な気体及び酸素の濃度を連続的に確認するために有害な気体及び酸素の濃度の計測を行う連続モニタリング装置14と、バイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置15と、バイオガスの流量を検出する流量計16と、ガス貯蔵装置15から供給されるバイオガスに含まれるメタンガスを燃焼して、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42及び第三ガスエンジン43を駆動して第一発電機51、第二発電機52及び第三発電機53を駆動させる複数のガスエンジン発電機である第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63と、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63駆動時に必要とする以上のバイオガスが供給された場合には、そのバイオガス中のメタンガスを燃焼させる余剰ガス燃焼装置17と、圧力検出装置13の検出値、及び連続モニタリング装置14の計測値を入力して第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63及び余剰ガス燃焼装置17の始動及び停止を制御する制御装置18とを具備する。
メタン発酵槽11、精製装置12、ガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63はガス通路19を介して連結している。ガス通路19は、メタン発酵槽11と精製装置12との間を連通する配管21と、精製装置12、ガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の間を連通する配管22とを有する。
【0015】
<メタン発酵槽>
メタン発酵槽11は、食品工場廃水等の有機性廃棄物を投入し、メタン発酵を行いバイオガスを発生させるものである。メタン発酵槽11の一例として、沈降速度の大きい粒子化(グラニュール化)したメタン発酵菌を高濃度に保持し、廃水を高効率にメタン発酵処理するという特徴を持つ菌体グラニュールを使用した廃水処理方法、例えばUASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)法を使用した発酵槽がある。メタン発酵槽11より発生したメタンガスを含む混合気体であるバイオガスは配管21を通って精製装置12へと送られる。
配管21には、手動弁23が設けられており、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63及び余剰ガス燃焼装置17が全て停止している際には、手動弁23を閉じることによりメタン発酵槽11からのバイオガスの供給を停止させることが可能となっている。
【0016】
<精製装置>
精製装置12において、触媒や吸着等の作用によってバイオガスから硫化水素が除去され、シロキサン(ケイ素化合物)が除去される。前記バイオガスから硫化水素とシロキサンが除去されることにより、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42及び第三ガスエンジン43内部で硫化水素による腐食やシロキサンが固化するのを防止することができる。
【0017】
<ガス貯蔵装置>
精製装置12と連結する配管22には蓄圧手段となるガス貯蔵装置15が連結されている。ガス貯蔵装置15は、例えば、前記バイオガスの圧力が高くなると大きく膨らみ、バイオガスの圧力が低下すると小さく萎むガス不透過物で構成されている。ガス貯蔵装置15は球状や円筒状に構成されて、二重構造となっており外側の袋と内側の袋との間に一定の圧力で圧力調整気体を充填しておくことにより、前記圧力調整気体の圧力よりもバイオガスの圧力が大きい場合にはガス貯蔵装置15は膨らみバイオガスが貯蔵され、一方、第一ガスエンジン発電機61の駆動等により、前記圧力調整気体の圧力よりもバイオガスの圧力が小さくなった場合にはガス貯蔵装置15は萎んで、ガス貯蔵装置15から配管22へと貯蔵されていたバイオガスが供給されることとなる。但し、この構成は限定するものではなく、必要とするガス量を収容できる容器内を弾性体膜で仕切る構成としたりすることもできる。
【0018】
<ガスエンジン発電機>
精製装置12に複数のガスエンジン発電機が配管22を介して連通されている。ここで本実施例ではガスエンジン発電機は三台設けており、バイオガス中のメタンガスが増えるにつれて始動する順に第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63とする。
なお、ガスエンジン発電機の数は三台に限定するものではなく、前記バイオガス発電装置1は四台以上のガスエンジン発電機を具備する構成とすることも可能である。
配管22には、ガス貯蔵装置15と第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63との間にそれぞれ第一電磁弁71、第二電磁弁72及び第三電磁弁73が介装され、図2に示すように、第一電磁弁71、第二電磁弁72及び第三電磁弁73にそれぞれ設けた第一ソレノイド71a、第二ソレノイド72a及び第三ソレノイド73aは制御装置18と接続されている。
【0019】
次に第一ガスエンジン発電機61の構成について説明する。
第一ガスエンジン発電機61は、第一ガスエンジン41、第一発電機51、及び第一始動・停止装置81とを具備している。第一ガスエンジン41と第一発電機51は直結して配設されており、第一ガスエンジン41の出力軸の回転により第一発電機51の磁石またはコイルが回転されることによって発電が可能となる。第一ガスエンジン41には第一始動・停止装置81が設けられて、制御装置18と接続されている。制御装置18は圧力検出装置13による検出値が第一エンジン始動圧力V1以上であると第一ソレノイド71aに信号を送り第一電磁弁71を開き、第一始動・停止装置81により第一ガスエンジン41を始動する。第一エンジン駆動最低圧力V2以下となると第一電磁弁71を閉じて第一ガスエンジン41も停止させる。
また、第二ガスエンジン発電機62は、第二ガスエンジン42、第二発電機52、第二始動・停止装置82とを具備しており、それぞれの構成は第一ガスエンジン発電機61と同様の構成であるので説明を省略する。
また、第三ガスエンジン発電機63は、第三ガスエンジン43、第三発電機53、第三始動・停止装置83とを具備しており、それぞれの構成は第一ガスエンジン発電機61と同様の構成であるので説明を省略する。
【0020】
<余剰ガス燃焼装置>
また、精製装置12に余剰ガス燃焼装置17が配管22を介して連通されている。配管22には精製装置12と余剰ガス燃焼装置17との間に燃焼装置用電磁弁75が介装され、燃焼装置用電磁弁75の燃焼装置用ソレノイド75aは制御装置18と接続されている。余剰ガス燃焼装置17は、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42、及び第三ガスエンジン43を駆動した時に必要とする以上の余剰バイオガスに含まれるメタンガスを燃焼させることにより二酸化炭素及び水を生成して、環境に負荷を与えず、バイオガスを排出するための装置である。
【0021】
余剰ガス燃焼装置17には、点火装置91が設けられており、制御装置18と接続されている。点火装置91は、圧力検出装置13による検出値がエンジン駆動最大圧力V7以上であると燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を開き、点火装置91を作動させ、余剰ガスを燃焼させる。また、エンジン駆動最大圧力V7以下になると、燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を閉じて余剰ガス燃焼装置17を停止させる構成となっている。
【0022】
また、精製装置12とガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17とを連通する配管22の中途部には、配管22内のバイオガスの圧力Vを計測する圧力検出装置13が設けられている。圧力検出装置13は検出した圧力Vを制御装置18へと入力する。
【0023】
また、精製装置12とガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17と連通する配管22の中途部には、連続モニタリング装置14が設けられている。連続モニタリング装置14は精製装置12によって精製されたバイオガスを連続モニタリングし、有害物質である硫化水素H2Sの濃度を計測するものである。また、連続モニタリング装置14はバイオガスに含まれる酸素O2の濃度を計測するものである。連続モニタリング装置14は検出した硫化水素の濃度及び酸素の濃度を制御装置18へと入力する。硫化水素の濃度及び酸素の濃度が設定値以上となると、制御装置18は第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63を停止させ、設定値以下となると駆動させる。
【0024】
また、精製装置12とガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17とを連通する配管22の中途部には、流量計16が設けられている。流量計16はバイオガスの単位時間あたりの体積である流量を計測して流量を制御装置18へと入力する。
【0025】
<制御装置>
次に制御装置18について説明する。
図2に示すように制御装置18は入力側に圧力検出装置13、連続モニタリング装置14、及び流量計16が接続されており、出力側には第一始動・停止装置81、第二始動・停止装置82、第三始動・停止装置83、点火装置91、第一ソレノイド71a、第二ソレノイド72a、第三ソレノイド73a、及び燃焼装置用ソレノイド75aが接続されている。
【0026】
<水封弁>
また、配管22には配管22内のバイオガスの圧力が一定値以上になった場合にバイオガスを排出する水封弁25が連結されている。
水封弁25は、図3に示すように、所定の高さまで水が張られた水槽55と、水槽55上方から下向きに延設され、その排出孔56aが水中に設けられたバイオガス排出管56とを有する。
【0027】
水槽55は、配管22よりも高い位置に載置されている。水槽55の上面は蓋55bで覆われており、蓋55bには排気孔55aが設けられている。また、蓋55bにはバイオガス排出管56を貫入させるための孔が設けられており、水槽55の上方からバイオガス排出管56が下向きに延設され、固定具によってバイオガス排出管56が水槽55に固定されている。
【0028】
バイオガス排出管56は、配管22から分岐した管であり、排出孔56aは水槽55内において下向きに開口している。なお、バイオガス排出管56の中途部の形状は、図3に示す構成に限定するものではない。
【0029】
平常時には、水槽55には少なくとも排出孔56aの位置よりも高い位置まで水が貯められており、排出孔56aは水中に配置される。バイオガス排出管56内のバイオガスの圧力が水圧よりも高くなった場合には、水中にバイオガスが排出されて、排気孔55aから水槽55外部へと排出される。バイオガス排出管56内のバイオガスの圧力が水圧よりも高くなる場合とは、メタン発酵槽11に大量の有機廃棄物が投入され、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17での燃焼量以上のバイオガスが発生し、更にガス貯蔵装置15の貯蔵可能な量を超えて発生した場合や、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17の全てもしくはいずれか一つ以上が故障したために、余剰ガスが配管22内に貯まり、ガス貯蔵装置15の貯蔵可能な量を超えて貯まった場合などである。
【0030】
<逆流防止用水槽>
逆流防止用水槽26について説明する。
逆流防止用水槽26は、配管22内に水封弁25から逆流する水を貯溜するための水槽である。
逆流防止用水槽26は、図3に示すように、配管22の中途部であってガス貯蔵装置15よりも下流側で、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17よりも上流側に設けられている。逆流防止用水槽26は、配管22の最も低い位置に配置される。図3においては、配管22は地面とほぼ平行に設けられているので、配管22の位置による高低差は無く、配管22の中途部であってガス貯蔵装置15よりも下流側で、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17よりも上流側であれば、任意の位置に逆流防止用水槽26を配置することができる。このように構成することにより、水封弁25から逆流する水は、配管22の下面に沿って流れ、逆流防止用水槽26に貯まる。
【0031】
また、図4に示すように、逆流防止用水槽26が位置する部分の配管22が最も低くなるように傾斜させて構成することもできる。つまり、配管22の下部を開口し、配管22の開口した部分に逆流防止用水槽26を設けており、逆流防止用水槽26より上流側の配管22及び逆流防止用水槽26より下流側の配管22は、ともに逆流防止用水槽26側が下方に位置するように傾斜角度θで傾斜している。このように構成することにより、逆流防止用水槽26は、配管22の最も低い位置に配置され、水封弁25から逆流する水は、逆流防止用水槽26に貯まる。
【0032】
また、逆流防止用水槽26の容量は流入する可能性のある水量以上とするものである。すなわち、逆流防止用水槽26の容積は、少なくとも、(水槽55の底面積S)×(バイオガス排出管56の下端の排出孔56aから水面までの高さh)の容積以上であり、余裕を持たせて、平常時において、水封弁25の水槽55に貯められている水の容積よりも大きく構成している。更に余裕を持たせると、逆流防止用水槽26の容積は、水封弁25の水槽55の容積よりも大きく構成する。
【0033】
また、逆流防止用水槽26の下部側面には排水孔26aが設けられており、排水孔26aは、オートドレン57に接続されている。オートドレン57は、図示せぬ弁を有し、逆流防止用水槽26内の水量が一定量を越えた場合のみ弁を開状態にして水を排出する。
【0034】
逆流防止用水槽26は、水封弁25の水圧及び大気圧によって水槽55内の水がバイオガス排出管56から配管22内へ流入した場合に水を貯溜する。ここで、水封弁25の水圧及び大気圧によって水槽55内の水がバイオガス排出管56から配管22内へ流入した場合とは、例えば、メタン発酵槽11の運転を停止し、バイオガスが発生していないときに、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63及び余剰ガス燃焼装置17の少なくとも一つ以上若しくは全てが運転した場合などである。
このような場合には、配管22内の圧力が負圧になり水封弁25の水槽55から水が配管22内へ逆流するが、逆流防止用水槽26内に水が貯まることにより、配管22内が満水状態となり、バイオガスが流れなくなることを防止する。なお、逆流した場合に、その減少した量の水を水槽55内に補給するためのリザーバタンクを水槽55に付設することも可能である。
【0035】
以上のように、バイオガス発電装置1は、有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させるメタン発酵槽11と、メタン発酵槽11から発生したバイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置15と、ガス貯蔵装置15から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42、第三ガスエンジン44を駆動して第一発電機51、第二発電機52、第三発電機53を駆動させる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63と、メタン発酵槽11と第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63とを繋ぐガス通路19と、ガス通路19内のバイオガスの圧力を検出する圧力検出装置13と、ガス通路19内のバイオガスの圧力が一定値以上になった場合にバイオガスを排出する水封弁25と、を備え、ガス通路19に水封弁25から逆流する水を貯溜するための逆流防止用水槽26を設けたものである。
このように構成することにより、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63の駆動時に発生するガス吸引力により、ガス通路10内において急激な圧力変化があり、水封弁25内の水がガス通路19内に流入した場合であっても、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63は連続運転ができる。
【0036】
また、逆流防止用水槽26は、ガス通路19の最も低い位置に配置され、その容量は流入する可能性のある水量以上とするものである。
このように構成することにより、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63の駆動時に発生するガス吸引力により、ガス通路19内において急激な圧力変化があり、水封弁25内の水が大量にガス通路19内に流入した場合であっても、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63は連続運転ができる。
【符号の説明】
【0037】
1 バイオガス発電装置
11 メタン発酵槽
12 精製装置
13 圧力検出装置
14 連続モニタリング装置
15 ガス貯蔵装置
16 流量計
17 余剰ガス燃焼装置
18 制御装置
19 ガス通路
25 水封弁
26 逆流防止用水槽
41 第一ガスエンジン
42 第二ガスエンジン
43 第三ガスエンジン
51 第一発電機
52 第二発電機
53 第三発電機
61 第一ガスエンジン発電機
62 第二ガスエンジン発電機
63 第三ガスエンジン発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させるメタン発酵槽と、
前記メタン発酵槽から発生したバイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置と、
前記ガス貯蔵装置から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、ガスエンジンを駆動して発電機を駆動させる複数のガスエンジン発電機と、
前記メタン発酵槽と前記ガスエンジン発電機とを繋ぐガス通路と、
前記ガス通路内のバイオガスの圧力を検出する圧力検出装置と、
前記ガス通路内のバイオガスの圧力が一定値以上になった場合にバイオガスを排出する水封弁とを備え、
前記ガス通路に前記水封弁から逆流する水を貯溜するための逆流防止用水槽を設けた、
バイオガス発電装置。
【請求項2】
前記逆流防止用水槽は、前記ガス通路の最も低い位置に配置され、その容量は流入する可能性のある水量以上とする、
請求項1に記載のバイオガス発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−170836(P2012−170836A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32327(P2011−32327)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】