説明

バイオポリマーの製造方法及び装置

単独重合又は共重合により粘性のある反応生成物であるバイオポリマーを製造する方法であって、2−5個の攪拌容器が連なったカスケード型混合器を備えた長さ/直径の比が0.5−3.5の混練反応器(1)にモノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を投入する工程、既に反応した生成物と逆混合する工程、生成物を混練反応器(1)より取り出す工程及び混練反応器(1)内の生成物を最適な加工温度又は沸点又は昇華点まで加熱する工程を含み、反応熱及び摩擦熱の吸収により生成物の一部が気化されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を、長さ/直径の比が0.5〜3.5の混練反応器に投入して加熱し、既に反応した生成物と逆混合して、反応生成物としての単独重合又は共重合されたバイオポリマーを製造する方法及び装置に関する。また、本発明は、重合工程と後続の脱気/モノマー除去/揮発成分の除去工程とを組み合わせた2段方式にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、PLA(乳酸重合物)、PHB(オキシ酪酸重合物)、PHA(ヒドロキシアルカン重合物)、デキストロース重合物、バイオ−PET、澱粉、セルロース、キチン及びタンパクの単一重合及び共重合は、一つ又は多段に連結されて逆混合する垂直の攪拌反応槽、いわゆる連続攪拌反応槽(CSTR)において、「スラリー又は溶液反応」として商業的に行なわれることが多い。
【0003】
この攪拌反応槽では、溶媒/希釈剤中のモノマー、触媒及び重合開始剤の温度及び圧力などの操作条件を正確に規定し、所望の分子量を有する均一な品質が得られように、できるだけ均質に分散させる必要があり、更に、反応が反応熱に影響されるとの問題がある。見掛けの粘度又は溶融粘度の低い場合にのみ、攪拌反応槽が操作できることが問題である。
【0004】
溶媒/希釈剤中の重合物の濃度が増大すると、見掛けの粘度が増大するので、攪拌槽では十分な対流が得られなくなる。そのため、モノマーは均一には分散されなくなり、塊の形成、不均一な分子量、沈殿物、局所的過熱並びに制御不可能な反応まで引き起こす。
【0005】
更に、単一の製品では、泡又は大きな膨らみが生成され、反応攪拌層の頂部の排出口が詰まり閉鎖されるとの問題もある。
【0006】
上述の問題点のため、反応攪拌槽に、約90%過剰な溶媒/希釈剤を加えるか、又は高粘度のため時には50%以下の収率となる塊状重合とする必要がある。そのため、希釈剤又は溶媒/モノマーの分離工程を付け加えるか、或いは(収率を上げるための)後続反応が必要となる。
【0007】
後続反応は、排水スクリュー、脱水及び乾燥設備並びに熟成槽において行なわれることが多い。このため、投資、エネルギー及び運転経費が高くなる。「脱水工程」を必要としない新しい重合物もある。
【0008】
塊状重合又は共重合は、単一軸或いは多軸 (例えば、Werner Pfleider 社、Buss 社、Welding Engineers社などの)押出機によって連続的に実行される。これらの装置は、粘性相において、高い収率を得るように企図されたものである。装置は、連続的なピストン流れ反応機として構成され、装置の長さ/直径の比が5〜40である。
【0009】
これらの押出機には、以下のような問題点がある。
a)反応時間が5分を超える緩やかな重合反応では、原料は液状の状態が長いので、ピストン流れが保持されない。モノマーと重合物の流動性が極めて異なっているので、生成物を均一に搬送できずに、品質にばらつきが生じる。
b)時には、重合並びに混練による発熱を気化熱として除去することも必要となる。その際、気化したモノマー又は溶媒/希釈剤の一部を外部の凝縮器で凝縮させ、反応器に戻す必要がある。L/D比が大きいこと及び構造上スクリューの断面が大きいため、気化物を排出するに極めて限られた断面しか利用できない。そのため、ドーム状排気部、排気用配管及び又は逆流凝縮器中に重合物が連れ込まれ、詰り又は閉塞の原因となる。
c)複数の異なったモノマーから(共)重合物を製造する際に、主として低沸点のモノマーの気化熱による冷却では、反応器内、特に逆流凝縮器への流入口付近のモノマー濃度が変動するが、好ましいことではない。
d)スクリューは、構造上その製品容量は1.5mまでに制限されているので、5分を超える反応では収量が低い。そのため、複数の製造ラインが必要となり投資及びコストが増大する。
【0010】
特許文献1には、高収率の塊状重合の実施の可能性について記載されている。ここでは、モノマーを粘性相の中で重合物と共に逆混合して重合するための同一又は逆方向に回転する噛合わない一対のスクリューを備えた混練スクリュー押出機が記載されている。この装置は、高収率の重合を目指すと共に、ピストン流れ押出機における上記の問題点a)(ピストン流れの破綻)及びc)(逆流による濃度の変動)を解決することにある。しかし、問題点b)(断面の減少)及び問題点d)(装置の大きさ)は解決されない。
【0011】
上記の方法は、製品を混練しつつ入口から出口まで搬送すると同時に接触による熱交換を行ういわゆる混練機によっても実行できる。このような混練機は、例えば特許文献2〜4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5372418号明細書
【特許文献2】独国特許発明第2349106号明細書
【特許文献3】欧州出願特許公開第0517068号明細書
【特許文献4】独国出願特許公開第19536944号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題に鑑み、最適化された高濃度、高粘性相において上記の方法を実行することにあり、特に工程を加速し且つ品質を高めるか多彩な製品を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、反応原料の発熱及び粘性の高い反応原料の混練エネルギーが効率良く原料に吸収されてその一部が気化するように、制御された圧力(加圧、大気圧又は減圧)下において、混練反応器内の原料を所定の温度まで加熱する。出来るだけエネルギーが均一になるようにして、反応に必要な滞留時間が一義的に決まるように、操作条件(加熱温度、圧力、混練反応器の充填度、混練軸の回転数など)が選ばれる。気化した原料は凝縮され、反応原料へ戻される(逆流凝縮)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乳酸から重合物を製造する方法を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
加湿された原料表面は混練反応器の接触面積よりも大きいので、膜状の凝縮器の全表面に原料が広がり、効率的且つ均一な冷却効果がもたらされる。混練反応器の全長に広がっている空間で気化したモノマーは、逆流凝縮器により原料投入部及び/又は反応している領域へ戻されることが好ましい。
【0017】
操作温度は、混練反応器内の圧力に適合するように、原料に応じて調整される。
【0018】
上記の方法に関連して有効な以下の実施例はでは、原料が所定の粘度に達するまで、逆混合する必要があり、その粘度はモノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を加えてもその粘度に保持される。
【0019】
粘度が低いことは、さらさらした低粘度モノマーのみか又はモノマーが主であることを示している。反応が進むに連れ、粘度が増大する。予め設定した粘度に達すると、原料の所定の割合が重合物に変換されたことを意味する。すなわち、重合物の収率又は重合度が一定なるように、混練反応器が連続的に操作されていることを意味する。このことは、混練反応器の充填度が一定の場合に、粘度の関数である混練反応器の回転トルクに基づき且つ/又は混練反応器内の温度曲線に基づいて決められる。
【0020】
(例1)
PLA(乳酸重合物)は、例えば、混練反応器内において、175〜190℃の温度、やや加圧又は40−100ミリバールに減圧された不活性な窒素の雰囲気下において、乳酸モノマー及び触媒を加えていわゆる開環重合により製造される。
【0021】
この最適温度以下では、生成された乳酸重合物の粘度が極めて高いので、混練軸のトルクが大幅に上昇し、混練熱が原料中に放出される。最適温度以上では、温度が高く且つ滞留時間が増大するに伴い製品の熱的損傷及び/又は解重合の危険が増大する。
【0022】
窒素で軽微に加圧して運転すると、有害な空気中の酸素及び湿気が反応系に入り込む恐れが無くなるとの利点がある。減圧下での運転はで気化が促進され冷却効率が高まる。
【0023】
ラクチド(及びそれに含まれ混合されている少量の触媒)は、115℃以上では溶融状態を保ち、連続的に混練反応器に供給される。触媒を伴うラクチドの溶融物は、混練反応器に供給され直前に静的なミキサー又は二重菅式(tube in tube)ミキサーにより混合される。この混合は、最適な反応及び均質な製品を得ること並びに安定した工程とするためである。温度175−180℃においては、少量の添加は、一部反応して粘度が増大した原料中に即座に混入される。従って、140℃以上に保たれた混練反応器へ最初から添加すると、即座に反応が開始され乳酸重合物への変化が可能となる。
【0024】
重合反応の発熱並びに混練による摩擦熱により添加物が加熱される。過剰な熱は、(乳酸モノマーの気化及び逆流凝縮の)気化熱に消費され、熱収支が保たれる。製品/原料と加熱媒体との温度差は僅かであるので、175−190℃のオイル又は蒸気により加熱された混練反応器の接触面からの製品へ熱の伝達は無視できる。低粘度のため混練による摩擦熱が十分でない反応開始時期にのみ、この熱伝達が重要となる。
【0025】
混練反応器内の製品の温度は、圧力、混練軸の回転数、充填度及び(モノマー及び触媒溶液の)製品量のような任意に選択できる条件に応じて、原料投入時には175−180℃、製品取出し時には180−190℃に設定する。製品温度が上昇すると、混練反応器内の粘度及び乳酸重合物の収量が増大することがある。このことから、混練反応器では、逆流混合のみならず攪拌容器が3−5連なったカスケード型混合装置も重要なことが明らかである。
【0026】
分子量分布が狭い(多分散度が約2)の場合、乳酸重合物への転化率は90−96%に達する。分子量及び触媒溶液の濃度に応じて、混練反応器内の滞留時間は20−50分に設定される。
【0027】
(例2)
条件を適合させれば同一の装置及び工程により、乳酸モノマーを重合させることにより、乳酸重合物が得られる。
【0028】
本発明の方法により、高粘度でも効率よく作業できるとの利点があり、そのため、一段階且つ単一の混練反応器において高転化率の重合反応が達成できる。粘性の物体を処理する場合に、混練反応器において、頻繁に境界面が入れ替わるので、多量の泡及び/又は膨張などの生成が抑えられる。
【0029】
混練反応器において、重合反応と共に溶媒の蒸発が効率よく行なわれる。大量に溶媒を蒸発させるのに必要なエネルギーは、接触熱及び(せん断による)混練熱を組合わせることにより最大化される。溶媒又はモノマーの蒸発により、製品温度を一定に保つか上昇が可能ならば、生成する混練熱を、混練反応器の回転数(せん断勾配)及び充填度に応じて自由に調節できる。
【0030】
排気又はモノマー/蒸発物を除去するために、第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶などを備えることが好ましい。第二の混練反応器又は押出機では、製品はピストン流れとなる。この場合、時には物質の移動を制限する残留気体が、溶媒及び/又はモノマーに滞留するので、第二の押出機を用いることが好ましい。蒸発缶は、製品に対応したもので、排気又はモノマー/蒸発物を迅速に除去するが、後続の結晶化へ配送するのに十分な流動性を有している。
【0031】
ピストン流れを有する混練反応器では、液体が表面から蒸発するので、製品の表面/境界面をできるだけ速く更新することが重要である。物体の内部において蒸発するので、混練によって製品の表面を常に更新する必要がある。更に、正確に製品の温度制御をする必要がある。
【0032】
製品と気体間の境界面の形成に関しては、第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶に入る前に製品を分散又は細分化させることを考慮すべきである。例えば、多孔板又は多数の孔を有するノズルにより、この分散又は細分化が実行される。第一の混練反応器からの製品は、第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶において、ギアポンプにより多孔板に押圧されロープ状(スパゲティ状)になる。混練反応器、押出機又は蒸発缶を減圧にして最大温度に保つことが好ましい。
【0033】
高粘性の重合物は、混練反応器に組み込まれた横型又は縦型の二軸スクリューにより強制的に配送される。この重合物は、混練反応器内の充填度及び滞留時間を一定に保つように回転数を制御された後続のギアポンプへと供給される。ギアポンプへの供給は、二軸スクリューの回転数を制御して定圧に保って行なわれる。
【0034】
ギアポンプの回転を制御するパラメータとして、混練軸の回転トルクを用いる。
【0035】
(その他の例)
混練反応器内に生成された乳酸重合物内に残留する4−10%の乳酸モノマーを除去するために、反応生成物はギアポンプにより多孔板及び/又はノズルを通して、50−10ミリバール以下、好ましくは10−0.5ミリバール以下に減圧された第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶へと配送される。この場合、許容される製品の温度の最大値は、190−210℃である。製品の損傷及び/又は乳酸モノマーの再結合を防ぐために、滞留時間をできるだけ短くする。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の利点、特徴及び詳細について、図面を用いて説明する。
【0037】
加熱外套6で囲まれた、逆混合する攪拌軸を有する一部反応した製品が含まれる一軸又は二軸の混練反応器1内に、供給装置2を介してモノマー、触媒、反応開始剤及び少量の溶媒を連続的に供給され、反応室において逆混合される。反応室は破線10で示される。混練反応器1では、逆混合のみならず、攪拌容器が2−5、好ましくは3−4個連なったカスケード型混合装置による反応も行なわれる。この反応は、軸12に装着された円板、円板状素子又は円板状部材13により形成された室の数又は区分に適合する。一軸の混練反応器では、固定された混練対抗部材11は、動的な円板、円板状素子又は円板状部材13と互いに入り組んで、高粘性の素材を強く混合且つ混練する。ここでは、「室」とは閉鎖された空間ではなく、互いに連通した解放された空間を意味する。
【0038】
混練反応器1内の反応原料の粘度は、反応系、触媒濃度、処理量、温度、圧力などにより決まるので、後続の第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶4内の生成物から排気又はモノマー/蒸発物を迅速に除去するか又は未反応のモノマーを、例えば熟成タンクなど後続の装置において、硬化させてもよい。
【0039】
摩擦熱が生成される粘度で且つ/又は過剰のモノマー又は溶媒が沸点域にあるように、混練反応器内の温度及び圧力を調整することが好ましい。調整するべき温度域は重合物に依存する。
【0040】
上述の方法を用いて、溶媒/モノマーの蒸発により反応熱及び混練熱を除去することが可能である。この蒸発物は混練反応器1の直上に備えられた逆流凝縮器5により凝縮されて原料へと戻される。多くの凝縮器は混練反応器1の全長に渉って広がっている。特に、凝縮器を室ごとに配置することを考慮してもよい。凝縮は外部でも行なわれ、その凝縮物は所定の位置、好ましくは混練反応器の入口及び中間位置からそれぞれノズルを通して反応原料に戻される。L/D(長さ/径)比の大きな従来の逆混合押し出し成形では大きな問題があったが、混練反応器1のL/Dの比を0.5〜3.5と小さくすることにより、逆流した凝縮物は回収されることなく、反応器内において均一に逆混合される。
【0041】
逆混合混練反応器1は、減圧、常圧又は加圧下で運転してもよい。重合反応を減圧下で行う場合には、真空ポンプに連結している配管24の弁23を開放する。このようにして、漏洩する気体及びブランケットガスとしての不活性ガスを吸引すると、モノマーは即座に逆流凝縮器5内に完全に凝縮し、混練反応器1内の反応原料に戻される。常圧下で運転される重合系では、弁23が開放され配管24が常圧となる。
【0042】
周囲よりも高圧の加圧下で運転される重合系では、弁14より不活性ガス(例えば窒素ガス)を導入して系の圧力を調整することが好ましい。この場合、弁23は閉鎖される。
【0043】
(操作実施例)
乳酸重合物乳酸モノマーの蒸発速度では、重合反応温度は175−190℃に設定し、充填度が70%の場合に、所望する分子量及び混練反応器内の温度分布に応じて、混練軸の比回転トルクを20−45Nm/l(反応空間当り)とする。
【0044】
この場合、圧力は自由に設定し、摩擦熱が大きいか小さいかに応じて乳酸モノマーの蒸発速度が決まる。
【0045】
逆流凝縮器は、乳酸蒸気が熱交換面において凝縮する温度であるが、凝固点(又融点)以上である110−140℃に熱媒体を用いて加熱することが好ましい。この加熱により逆流の流動性が保たれる。
【0046】
反応生成物(粘性のある物体)は、混練反応器1の搬送端に垂直又は水平に組み込まれた二軸式搬送装置3により排出される。混練反応器内の充填度、すなわち生成物の滞留時間を一定に保つように、搬送装置から反応生成物を直接にギアポンプ17に供給してその回転数を制御してもよい。工程を安定に保って均質な反応生成物が得られるように、計量機構により所定の処理量を設定すると共に、混練反応器の充填度を一定に保つことが必要不可欠である。ギアポンプの回転数の制御するために、例えば、混練軸の回転トルク、内容物(ホールドアップ)を含んだ混練反応器の重量、放射線などにより充填度を測定する測定装置8が備えられている。反応生成物は、二軸式搬送装置の回転数を制御して供給圧を一定に保ってギアポンプへ供給される。
【0047】
搬送装置3からのスパゲティ状の搬送生成物は、ギアポンプ17を介して多孔板又はノズル板として形成された生成物の細分化装置18により第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶4に投入される。ギアポンプ17と細分化装置18の間の矢印20は、気体又は液体の脱気を補助する水、窒素ガスなどの分離剤或いは、例えば反応停止剤、安定剤などの添加剤を添加することを示している。分離剤により、第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶に投入された反応生成物の表面が開裂されて物質が移動し易くなる。
【0048】
第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶4には、攪拌/混練部材22を有する攪拌軸21を駆動するモータMが備えられている。攪拌軸の長さは、短い滞留時間域(互いに連結された10−16個の攪拌容器に相当)を有するピストン流れ、又はある程度は際立った逆混合(2−5個の攪拌容器に相当)となるように形成される。更に、混練反応器又は押出機4は、モノマー、溶媒、分離剤などを排出する1つ又は複数の排気ドーム19で覆われている。
【0049】
混練反応器又は押出機4には、十分に加圧して粒状の最終製品を得るように、押出機1に類似した搬出スクリュー25及びギアポンプ26が連結されている。
【符号の説明】
【0050】
1 (第一の)混練反応器
2 供給装置
3 二軸式搬送装置
4 第二の混練反応器、押出機又は蒸発缶
5 逆流凝縮器
6 加熱外套
8 測定装置
10 反応室
11 混練対抗部材
12 軸
13 円板状部材(素子)
14 弁
17 ギアポンプ
18 細分化装置
19 排気ドーム
20 矢印(助剤の添加)
21 攪拌軸
22 攪拌/混練部材
23 弁
24 配管
25 スクリュー
26 ギアポンプ
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独重合又は共重合により粘性のある反応生成物であるバイオポリマーを製造する方法であって、
2−5個の攪拌容器が連なったカスケード型混合器を備えた長さ/直径の比が0.5−3.5の混練反応器(1)にモノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を投入する工程、既に反応した生成物と逆混合する工程、生成物を混練反応器(1)より取り出す工程及び混練反応器(1)内の生成物を最適な加工温度又は沸点又は昇華点まで加熱する工程を含み、
反応熱及び摩擦熱の吸収により生成物の一部が気化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記生成物は乳酸重合物、オキシ酪酸重合物又はヒドロキシアルカン重合物であり、気化された生成物の全て又は一部が凝縮され、生成物を冷却するように凝縮物が混練反応器(1)に戻されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凝縮物は、混練反応器(1)内の気化が行われる位置に戻されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
混練反応器(1)内の圧力を変化させて加工温度、沸点点又は昇華点が調整されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
減圧により混練反応器(1)内から気化物を取り出すことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
単独重合又は共重合により粘性のある反応生成物である乳酸重合物、オキシ酪酸重合物、ヒドロキシアルカン重合物を含むバイオポリマーを製造する方法であって、
長さ/直径の比が0.5−3.5の混練反応器(1)にモノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を投入する工程、既に反応した生成物と逆混合する工程及び生成物を混練反応器(1)より取り出す工程を含み、
生成物が所定の粘度に達するまで逆混合を行い、モノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を連続的に追加することにより所定の粘度に保つことを特徴とする方法。
【請求項7】
混練及び/又は混練熱交換面との接触による熱移動による熱によって生成物は蒸発速度の崩壊点以上に気化され、濃縮された粘性のある残留生成物は連続的に低粘度の溶液と混合されるので、蒸発速度は崩壊点以上に保たれることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
混練反応器(1)の回転数及び/又は充填度を変えることにより、混練熱が変化することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
混練反応器(1)内の生成物は連続的に逆混練されることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
生成物は混練反応器(1)より連続的に搬出されて第二の混練反応器又は押出機又は蒸発缶に投入されることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
混練反応器(1)から搬出された生成物は、第二の混練反応器又は押出機又は蒸発缶に投入される前に加熱されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
混練反応器(1)から搬出された生成物は、第二の混練反応器又は押出機又は蒸発缶において、ピストン流れとされるか又は逆混合されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第二の混練反応器又は押出機内の生成物は、表面が常に更新され且つ正確に温度制御されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
単独重合又は共重合により粘性のある反応生成物であるバイオポリマーを製造する装置であって、
モノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を投入して既に反応した生成物と逆混練される長さ/直径の比が0.5−3.5の混練反応器(1)及び反応した生成物を搬出する搬出装置(3)を備え、
混練反応器(1)は、逆混練が行なわれる2〜5、好ましくは3〜4の室に分割されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
単独重合又は共重合により粘性のある反応生成物であるバイオポリマーを製造する装置であって、
モノマー及び/又は触媒及び/又は重合開始剤を投入して既に反応した生成物と逆混練される長さ/直径の比が0.5−3.5の混練反応器(1)及び反応した生成物を搬出する搬出装置(3)を備え、
搬出装置(3)には、更に混練反応器又は押出機又は蒸発缶(4)が連結され、搬出装置(3)と混練反応器又は押出機又は蒸発缶(4)との間に生成物の細分化装置(18)が挿入されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記細分化装置(18)は、多孔板であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
細分化装置(18)の上流にギアポンプ(17)が備えられていることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の装置。
【請求項18】
ギアポンプ(17)の上流に、混練反応器(1)内の充填度を常に一体に制御するように測定装置が備えられていることを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
ギアポンプ(17)は第一の混練反応器(1)の充填度を測定する測定装置(8)と連結されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
ギアポンプ(17)と細分化装置(18)の間に分離剤又は添加剤を添加する機構が備えられていることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記分離剤は、水又は窒素ガスであることを特徴とすること請求項20に記載の装置。

【公表番号】特表2011−521058(P2011−521058A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509892(P2011−509892)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003608
【国際公開番号】WO2009/141139
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(508291766)リスト ホールディング アーゲー (7)
【Fターム(参考)】