説明

バイオマス等を利用した空気冷却システム

【課題】水素吸蔵合金容器のような高価かつ大掛かりな手段を設けなくても、冷熱を効率的に得ることをできる、空気を作動媒体とするコジェネレーションシステムの提供。
【解決手段】コンプレッサからの第一空気を少なくとも二つに分配し、一方の圧縮空気を燃焼させてタービンを駆動させることにより電気エネルギを得ると共に、他方の圧縮空気を熱交換後に膨張させることにより冷却空気を得ることを特徴とする、空気冷却システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス(例えば廃材)等を利用して冷却(空気調和・冷凍・冷蔵)を行うと共に発電も可能な、空気を作動媒体として用いた環境性に優れたコジェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロガスタービン発電装置は、天然ガスやバイオマス(バイオガス)を燃料とし、これを圧縮空気と共に燃焼させ小型のガスタービンを駆動させることにより電力を発生させる装置である。ここで、当該装置は、電力の発生に加え、廃熱を利用して冷凍・冷房用の冷熱を発生させるコジェネレーションシステムとしても注目されている。例えば、特許文献1に係るコジェネレーションシステムは、マイクロガスタービンと、高温側の水素吸蔵合金容器を有し該容器と前記マイクロガスタービンからの廃熱ガス及び冷却用熱媒との直接又は間接的な熱交換により稼働して水素を吸放出する駆動部と、低温側の水素吸蔵合金収容容器を有し前記駆動部の稼働に従って該容器で水素を吸放出して冷熱を発生し、該冷熱を冷熱用熱媒に伝えて外部に供給する冷熱出力部とを備えている。
【特許文献1】特開2001−349638
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記の従来技術においては、廃熱を利用して冷熱を発生させるために水素吸蔵合金容器を設置する必要があると共に、発生した冷熱を更に冷熱用熱媒に伝えるというプロセスが要求される。
【0004】
そこで、本発明は、水素吸蔵合金容器のような高価かつ大掛かりな手段を設けなくても、冷熱を効率的に得ることができる、空気を作動媒体とする環境性に優れたコジェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を踏まえ、鋭意研究の結果、本発明者は、以下の発明(1)〜(12)を完成させた。
【0006】
本発明(1)は、第一空気を導入すると共に、当該第一空気を圧縮するためのコンプレッサ(101、201)と、
前記コンプレッサ(101、201)からの第一空気を少なくとも二つに分配する分配手段(分岐)と、
前記分配手段(分岐)により分配された一方の第一空気を導入すると共に、当該第一空気を燃焼ガスと混合して燃焼させるための燃焼器(115、215)と、
前記燃焼器(115、215)からの第一空気を導入すると共に、当該第一空気を膨張させて機械的エネルギを得る第一タービン(103、203)と、
前記第一タービン(103、203)により発生した機械的エネルギを電気エネルギに変換するための第一発電機(104、204){ここで、好適には、当該第一発電機(104、204)と前記コンプレッサ(101、201)と前記第一タービン(103、203)とは、単一の第一シャフト(107、207)を介して連結している}と、
前記分配手段により分配された他方の第一空気を冷却するだめの第一熱交換器(105、205)と、
前記第一熱交換器(105、205)からの第一空気を導入すると共に、当該第一空気を膨張させて当該第一空気を冷却する第二タービン(106、206)と
を有する、前記第二タービン(106、206)からの冷却された第一空気が冷却対象空間(100、200)に導入されるように構成された空気冷却・発電システムである。ここで、第二タービンからの冷却された第二空気は、(1)そのまま冷却対象空間に導入される、(2)他の空気と混合する等して温度が調整された形で冷却対象空間に導入される、(3)除湿された後に冷却対象空間に導入される、(4)前記(2)と前記(3)との組み合わせ、のいずれの形態であってもよい。
【0007】
本発明(2)は、前記燃焼器(115、215)より上流に配置されていると共に、前記分配手段(分岐)により分配された一方の第一空気を、前記第一タービン(103、203)からの第一空気と熱交換させるための第二熱交換器(102、202)を更に有する、前記発明(1)のシステムである。
【0008】
本発明(3)は、バイオマスを燃料ガス化するガス化手段(116、216)を更に有する、前記発明(1)又は(2)のシステムである。
【0009】
本発明(4)は、前記第二タービン(106)は、第一シャフト(107)を介して、前記コンプレッサ(101)と前記第一タービン(103)と前記第一発電機(104)と連結している、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つのシステムである。
【0010】
本発明(5)は、前記第二タービン(206)は、前記コンプレッサ(101)と前記第一タービン(103)と前記第一発電機(104)とが接続している第一シャフト(207)とは異なる第二シャフト(221)を介して、前記第一発電機(204)とは異なる第二発電機(220)と連結している、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つのシステムである。
【0011】
本発明(6)は、前記第一発電機(104、204)は、前記コンプレッサ(101、201)を駆動する機能を有するモータ発電機である、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つのシステムである。
【0012】
本発明(7)は、前記第一熱交換器(105、205)は、第一空気を冷却するために、第一空気と熱交換させるための第二空気(B)を導入する、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つのシステムである。
【0013】
本発明(8)は、前記第二空気は、冷却対象空間(100、200)内の空気である、前記発明(7)のシステムである。
【0014】
本発明(9)は、前記コンプレッサ(101、201)に導入される前記第一空気として、冷却対象空間内の空気又は冷却対象空間外の空気に切替え可能な第一空気源変更手段(113、213)を更に備えている、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つのシステムである。
【0015】
本発明(10)は、前記第二タービン(106、206)からの第一空気内の水分を除去するための除湿手段(112、212)を更に備えている、前記発明(1)〜(9)のいずれか一つのシステムである。尚、当該除湿手段は、コンプレッサに導入される空気や冷却対象空間に導入される空気の温度・湿度等を考慮した際、除湿しなくとも露や雪が発生しない場合や発生したとしてもそれ程問題とならない場合や他の方法で解決可能である場合等には、必ずしも設置しなくともよい。また、当該除湿手段の設置箇所は、第二タービンからの空気が除湿される限り特に限定されず、例えば、図1や図2に示したような第二タービンの下流をはじめ、コンプレッサの上流、第一熱交換器の上流又は下流、冷気温度調整手段の下流を挙げることができる。更には、除湿手段は、複数存在してもよく、特により多くの水分を除去する必要がある場合{例えば、冷却対象空間に超低温(例えばマイナス数十度の空気)を導入させる場合}には、(1)コンプレッサの上流、第一熱交換器の上流又は下流に、第一の除湿手段(例えば除湿ローター)を設け、(2)第二タービンの下流又は冷気温度調整手段の下流に、第二の除湿手段(例えば、空気が0℃以上の場合は除湿ローターを用い、0℃未満の場合は、発生した雪を蓄積可能である除湿機)を設けることが好適である。尚、この際、この(これら)除湿手段に蓄積した水分又は雪は、例えば第一タービンからの排熱、第二熱交換器からの排熱、第一熱交換器からの排熱のいずれか又は組み合わせたものを用いて除去することが好適である。
【0016】
本発明(11)は、前記第二タービン(106、206)又は前記除湿手段(112、212)からの第一空気と、当該第一空気を加温するための第三空気とを混合する、冷気温度調整手段(109、209)を更に備えている、前記発明(1)〜(10)のいずれか一つのシステムである。
【0017】
本発明(12)は、前記冷気温度調整手段(109、209)は、連続的又は段階的に、前記第一空気と前記第三空気との混合比を変更可能である、前記発明(11)のシステムである。
【0018】
本発明(13)は、前記分配手段は、前記第一空気の分配比を変更可能な分配比変更手段を更に有する、前記発明(1)〜(12)のいずれか一つのシステムである。
【0019】
ここで、本特許請求の範囲及び本明細書における各用語の定義を説明する。「バイオマス」とは、生物量の総称であり、FAO(国連食糧農業機関)の定義と同一である。即ち、本発明で用いるバイオマスは、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ゴミ、RDF(ゴミ固形化燃料;Refuse
Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等のいずれであってもよい。「システム」とは、各構成要素が物理的に一体化していても分離していてもよく、装置も含む概念である。「燃料ガス」とは、それ自体が燃焼して熱を発生するガスであれば特に限定されない(例えば、バイオマスを分解することにより得られたガス、天然ガス、都市ガス、プロパンガス、水素ガス等)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、水素吸蔵合金容器のような高価かつ大掛かりな手段を設けなくても、冷熱を効率的に得ることをできるという効果を奏する。更には、前記水素吸蔵合金を利用した場合と比較すると、遥かに低温の冷却空気(例えばマイナス50℃)を得ることが可能となるという効果も奏する。加えて、作動媒体が空気であるため、作動媒体それ自体を冷気として冷却対象空間に放出することができるので、前記水素吸蔵合金を利用した場合のような、発生した冷熱を更に冷熱用熱媒に伝えるというプロセスが不要になるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本最良形態として冷却対象空間(例えばビル)の冷房用を例にとり説明する。まず、図面を参照しながら、本発明の第一最良形態(単軸方式)に係るコジェネレーションシステムを説明する。まず、図1に示すように、本発明に係るコジェネレーションシステムは、コンプレッサ101、第二熱交換器102、燃焼器115、第一タービン103及び第一モータ発電機104とからなるガスタービン発電システムを備えていると共に、本発明の特徴部分である、第一熱交換器105と第二タービン106とを更に備えている。以下、まず、当該ガスタービン発電システムを詳述する。
【0022】
本最良形態に係るガスタービン発電システムは、コンプレッサ101、第二熱交換器102、燃焼器115、第一タービン103及び第一モータ発電機104とから構成されている。以下、各要素を説明する。
【0023】
まず、コンプレッサ101は、空気を入口から導入すると共に、当該空気を圧縮し、圧縮空気を出口から排出する。ここで、コンプレッサ101は、後述するように、単一の第一シャフト107を介して、第一タービン103及び第二タービン106と連結している。したがって、コンプレッサ101の駆動源は、まずは、当該第一シャフト107を介して第一タービン103及び第二タービン106から伝達される機械エネルギである。更には、これも後述するように、電気エネルギで第一モータ発電機104を駆動することによっても、コンプレッサ101は駆動可能である。特に、始動時におけるコンプレッサ101の駆動は、第一モータ発電機104の駆動により行われる。
【0024】
ここで、コンプレッサ101へ導入される空気は、外部空気のみであっても、冷却対象空間内の空気のみであっても、外部空気と冷却対象空間内の空気との混合空気であってもよい。例えば、図1に示すように、これらを切り替えるための第一空気源変更手段113を設置してもよい。当該手段を備えることにより、例えば、より早く冷却対象空間内を冷却したい場合には、コンプレッサ101へ導入される空気を冷却対象空間からの空気のみとし、当該空間を換気したい場合には、コンプレッサ101へ導入される空気を外部空気のみとすることが可能となる。尚、当該手段を備えず、外部空気のみ又は冷却対象空間からの空気のみをコンプレッサ101に導入するよう構成してもよい。
【0025】
次に、コンプレッサ101からの第一空気は、コンプレッサの出口付近に設けられた二つの孔(分配手段)から下流に移動する。ここで、一方の孔から噴出した圧縮空気は、後述する第二熱交換器102に導かれ、他方の孔から噴出した圧縮空気は、後述する第一熱交換器105に導かれる。ここで、分配比は、例えば、二つの孔の径を変更することにより変えることができる。尚、分配比に関しては後述する。
【0026】
次に、第二熱交換器102は、コンプレッサ101からの一方の圧縮空気を導入すると共に、第一タービン103からの第一空気を導入し、内部で前記圧縮空気と前記第一空気とで熱交換を行う結果、高温の圧縮空気を出口から排出する。
【0027】
次に、燃焼器115は、前記第二熱交換器102からの加熱された圧縮空気を導入すると共に、ガス供給手段116から燃焼ガスを導入し、これら圧縮空気との混合気体を燃焼させることにより、前記圧縮空気を更に高温にする。ここで、当該ガスは、燃焼して熱を発生するガスであれば特に限定されず、例えば一般に使用されるガス(都市ガス等)を挙げることができる。ここで、本最良形態では、バイオマスをガス化したものを当該燃焼ガスとして使用する例を説明する。この場合、ガス供給手段116は、バイオマスを燃焼(燃料)ガス化するためのガス化手段として機能する。ここで、バイオマスを燃焼ガス化する手法は、公知であり、例えば、特開2006−26474、特開2006−8872に記載されており、また、ガス中のタールを除去する手法は、例えば、特開2006−16479に記載されている。
【0028】
次に、第一タービン103は、燃焼器115からの出口空気(高温の圧縮空気)を導入すると共に、当該空気の熱エネルギを機械エネルギに変換した後、当該空気を第二熱交換器102に向けて排出する。
【0029】
次に、第一モータ発電機104は、コンプレッサ101、第一タービン103及び第二タービン106により発生された、第一シャフト107を介して伝達される機械的エネルギを電気エネルギに変換可能であると共に、第一シャフト107を介して第一タービン103及び第二タービン106を駆動可能なものであれば特に限定されない。また、その位置も図示する態様には限定されず、例えばコンプレッサの外側であってもよい。ここで、当該第一モータ発電機104で生じた電気は、例えば、AC/DCコンバータ111を介し、蓄電池108に蓄えられる。そして、当該電気が使用される際には、AC/DCコンバータ111を介して各要素(当該第一モータ発電機104も含む)に送られる。ここで、前記のように、始動時におけるコンプレッサ101の駆動は、第一モータ発電機104の駆動により行われる。尚、本最良形態では、モータ発電機を用いたが、モータと発電機が別体であってもよい。
【0030】
以上でタービン発電システムの概要を説明したので、以下では、本発明の特徴部分である各要素(第一熱交換器105、第二タービン106等)を詳述することとする。
【0031】
まず、第一熱交換器105は、コンプレッサ101の出口付近に設けられた他方の孔から噴出した圧縮空気を導入すると共に、別ルートから当該圧縮空気を冷却するための空気(図中のB)を導入し、内部で前記圧縮空気と前記空気とで熱交換を行う結果、より温度が低下した圧縮空気を出口から排出する。ここで、第二熱交換器102への圧縮空気と第一熱交換器105への圧縮空気の分配比は、十分な電力を確保するという観点からは、第二熱交換器102への圧縮空気を多くすることが好適である。より好適には、当該分配比(第二熱交換器への圧縮空気/全圧縮空気)は60%以上である。但し、燃焼器115からの圧縮空気がより高温である場合には、当該分配比を低減させてもよい(例えば50%以下)。尚、コンプレッサ101からの出口空気の分配比(第二熱交換器102に誘導される出口空気と第一熱交換器105に誘導される出口空気の量比)を変更するための分配比変更手段(例えば、両方の孔の大きさが可変する手段)を、当該分岐箇所に備えていてもよい。当該手段を備えることにより、ニーズに応じ、発電優先としたり冷気発生優先とすることが可能となる。更には、当該分配比変更手段は、燃焼器115からの圧縮空気の温度や、燃焼器115に送り込まれるガス量等に基づき、自動的に当該分配比を変更するように構成してよい(例えば、ガス量が多い場合には、第一熱交換器に誘導される出口空気の量比を上げ、他方、ガス量が少ない場合には、第二熱交換機に誘導される出口空気の量比を上げる)。
【0032】
ここで、圧縮空気を冷却するための空気Bとしては、例えば、冷却対象空間の空気や外部の空気を挙げることができる。より圧縮空気を冷却するという観点からは、温度の低い冷却対象空間の空気を用いることが好適である。
【0033】
次に、第二タービン106は、第一熱交換器105からの出口空気(温度が低下した圧縮空気)を導入すると共に、当該空気の熱エネルギを機械エネルギに変換した後、常圧の超低温空気を出口から排出する。ここで、第一最良形態においては、第二タービン106は、前記第一シャフト107(第一タービン103とコンプレッサ101とを連結したシャフト)に連結しており、第二タービン106で発生した機械エネルギは、前記第一シャフト107を介して、前記コンプレッサ101に伝達される。
【0034】
次に、第二タービン106から放出された低温空気の水分(例えば、雪、氷)を除去するために、図1に示すように、第二タービン106の下流に、除湿手段112を備えていてもよい。ここで、当該除湿手段112は、フィルタ上で雪や氷を取るタイプのものが好適である。尚、当該除湿手段112上に付着した雪や氷は、例えば、定期的(例えば、1分間に数回)に加温(例えば、第一タービン103からの高温空気、第一熱交換器105で熱交換された高温空気B等を、一時的に切替えたり部分的に誘導する等して吹き付ける)することにより除去可能である。尚、当該除湿手段112は、第二タービン106からの空気が氷点下に達しない場合には、例えば除湿ロータを用いる。また、水分が発生しないとかそれ程問題にならない等の場合には、除湿手段は必ずしも用いなくてもよい。
【0035】
更に、第二タービン106から放出された超低温空気の温度を上昇させるために、図1に示すように、第二タービン106又は除湿器112の下流に、冷気温度調整手段109を更に備えていてもよい。ここで、冷気温度調整手段109は、第二タービン106からの出口空気(常圧の超低温空気)を導入すると共に外部空気(図中のC)を取り込み、これら超低温空気と外部空気を混合することにより、冷房として使用可能な温度に調整し、当該適度な温度の冷気を出口より排出する。この際、冷気温度調整手段109は、連続的又は段階的に、前記出口空気と外部空気との混合比を変更可能であることが好適である。このような構成をとることにより、単に混合比を変更するだけで、容易に温度調節が可能となる。具体的には、例えば、夏季の炎天下に冷却対象空間(例えばビル)に入る際、当該空間内の空気が冷たくなるのに相当の時間を要していたが、本最良形態によると、例えば、当初は第二タービンからの超低温空気の量を多くして急速に当該空間を冷却し、ある程度温度が低下した段階で、超低温空気に対する外部空気の混合量を増加させ、通常温度の冷気を放出させる構成を採ることが可能である。このように、従来のように消費電力を変更する手段を講じなくても、超低温空気と外部空気との混合比を変更するという極めて簡単な構成を採るだけで、環境に即した温度調整が可能となる。尚、例えば、第二タービン106からの超低温空気を直接利用する場合(例えば、冷凍車の冷凍用空気)や、第二タービン106からの空気の温度が直接冷却対象空間内に導入しても差し支えない温度である場合等には、当該冷気温度調整手段109は必ずしも用いなくてもよい。
【0036】
このように、第一最良形態の最大の特徴は、コンプレッサ101からの出口空気(圧縮空気)の一部を冷却用として用いた点にある。即ち、第一最良形態では、コンプレッサ101からの出口空気(圧縮空気)のすべてをタービンの発電用として利用するのではなく、当該出口空気の一部を、熱交換を行うことにより冷却した後、前記タービンの系におけるタービンとは異なるタービンを利用することにより、超低温の空気を得ることができる。このように、タービンで発電してから当該電気エネルギを利用して冷媒(例えばフロン)を冷却するよりも、圧縮空気の一部を利用して熱サイクルの原理に基づき当該空気の温度を直接低下させる方が、遥かに高いエネルギ効率を達成することができる。更には、フロンを全く使用しなくて済むので、環境適合性にも優れている。尚、第一最良形態の付加的特徴としては、第二タービン106が、第一タービン103・コンプレッサ101・第一モータ発電機104と同じ単一の第一シャフト107に接続されている点である。これにより、第二タービン106で発生した機械エネルギをコンプレッサ101に伝達させることができると共に、当該機械エネルギを第一モータ発電機104で電気エネルギに変換させることが可能となる。
【0037】
次に、図2を参照しながら、第二最良形態(二軸方式)に係るコジェネレーションシステムを説明する。尚、大部分が第一最良形態と同一であるので、以下では相違点のみ詳述する。
【0038】
まず、本最良形態に係る第二タービン206は、第一最良形態とは異なり、第一タービン203・コンプレッサ201・第一モータ発電機204と同じ単一の第一シャフト207に接続されてはおらず、その代わりに、第二モータ発電機220と同じ単一の第二シャフト221と接続している。そして、第二モータ発電機220は、第一モータ発電機204と同様に、例えば、AC/DCコンバータ222を介し、蓄電池224に蓄えられる。このような構成を採ることにより、それぞれのタービンの最適回転数を容易に実現することが可能になる結果、効率向上を達成することができる。また、第二タービン206の回転数(圧力比)を変更可能なように構成してもよく、この場合には、第二タービン206からの空気の温度も変更可能である(この場合には、外気と混合させなくても済む)。
【0039】
尚、第一最良形態及び第二最良形態において、第一タービンからの出口空気やコンプレッサからの圧縮空気といった高温空気を暖房に利用してもよい(例えば、これらの空気を部分的に用いたり、或いは、切替式にする)。この場合、そのままでは温度が高すぎるときには、外気等と混合することにより冷却し、当該混合空気を対象空間に導入するように構成してもよい。
【0040】
ここで、図3は、第一最良形態に係るコジェネレーションシステムにおける、各構成要素における各種パラメータ値の一例を示したものである。まず、コンプレッサ101からの出口空気(105℃の圧縮空気)の50%を第二熱交換器102に導入する一方、50%を第一熱交換器105に導入する。そして、第一熱交換器105において、105℃の高温圧縮空気が、25℃の室内空気で冷却される。そして、当該圧縮空気(40℃)は第二タービン106に導入され、第二タービン106でエネルギを奪われる結果、当該タービン106の出口から冷却空気(−10℃)が排出される。そして、冷気温度調整手段109で当該冷却空気が外気と混合される結果、15℃の空気を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、第一最良形態(単軸方式)に係るコジェネレーションシステムの概要図である。
【図2】図2は、第二最良形態(二軸方式)に係るコジェネレーションシステムの概要図である。
【図3】図3は、第一最良形態(二軸方式)に係るコジェネレーションシステムを利用した場合の、各構成要素における各種パラメータ値の一例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一空気を導入すると共に、当該第一空気を圧縮するためのコンプレッサと、
前記コンプレッサからの第一空気を少なくとも二つに分配する分配手段と、
前記分配手段により分配された一方の第一空気を導入すると共に、当該第一空気を燃料ガスと混合して燃焼させるための燃焼器と、
前記燃焼器からの第一空気を導入すると共に、当該第一空気を膨張させて機械的エネルギを得る第一タービンと、
前記第一タービンにより発生した機械的エネルギを電気エネルギに変換するための第一発電機と、
前記分配手段により分配された他方の第一空気を冷却するための第一熱交換器と、
前記第一熱交換器からの第一空気を導入すると共に、当該第一空気を膨張させて当該第一空気を冷却する第二タービンと
を有する、空気冷却・発電システム。
【請求項2】
前記燃焼器より上流に配置されていると共に、前記分配手段により分配された一方の第一空気を、前記第一タービンからの第一空気と熱交換させるための第二熱交換器を更に有する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
バイオマスを燃料ガス化するガス化手段を更に有する、請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記第二タービンは、第一シャフトを介して、前記コンプレッサと前記第一タービンと前記第一発電機と連結している、請求項1〜3のいずれか一項記載のシステム。
【請求項5】
前記第二タービンは、前記コンプレッサと前記第一タービンと前記第一発電機とが接続している第一シャフトとは異なる第二シャフトを介して、前記第一発電機とは異なる第二発電機と連結している、請求項1〜3のいずれか一項記載のシステム。
【請求項6】
前記第一発電機は、前記コンプレッサを駆動する機能を有するモータ発電機である、請求項1〜5のいずれか一項記載のシステム。
【請求項7】
前記第一熱交換器は、第一空気を冷却するために、第一空気と熱交換させるための第二空気を導入する、請求項1〜6のいずれか一項記載のシステム。
【請求項8】
前記第二空気は、冷却対象空間内の空気である、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記コンプレッサに導入される前記第一空気として、冷却対象空間内の空気又は冷却対象空間外の空気に切替可能な第一空気源変更手段を更に備えている、請求項1〜8のいずれか一項記載のシステム。
【請求項10】
前記第二タービンからの第一空気内の水分を除去するための除湿手段を更に備えている、請求項1〜9のいずれか一項記載のシステム。
【請求項11】
前記第二タービン又は前記除湿手段からの第一空気と、当該第一空気を加温するための第三空気とを混合する、冷気温度調整手段を更に備えている、請求項1〜10のいずれか一項記載のシステム。
【請求項12】
前記冷気温度調整手段は、連続的又は段階的に、前記第一空気と前記第三空気との混合比を変更可能である、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記分配手段は、前記第一空気の分配比を変更可能な分配比変更手段を更に有する、請求項1〜12のいずれか一項記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−63945(P2008−63945A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239365(P2006−239365)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(503452937)株式会社アースシップ (8)