説明

バイオマス糖化用微生物含有組成物

【課題】バイオマスから無公害の燃料を得るため、バイオマスの前処理である糖化技術として、従来の「力ずく」で分解乃至酵素的分解が有する欠点を解消し、複雑な装置を要することなく効率的に、また、多種類のバイオマスに適用でき、次のエタノール発酵を容易に実施し得る、バイオマスの有効利用に寄与するバイオマス糖化用微生物含有組成物、その製造方法及びその使用方法を提供する。
【解決手段】 バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Strptococcus)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属及びピキア(Pichia)属に属する微生物を、パーム油残渣、米糠、珪藻土を含有する発酵基質に添加し、発酵することにより得られるバイオマス糖化用微生物含有組成物、その製造方法及びその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス糖化用に用いる微生物含有組成物の製造方法等に関し、より詳しくは、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス属(Lactobacillus)等に属する複数の微生物をパーム油残渣等の発酵基質に添加し発酵するバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法、その製造方法により得られるバイオマス糖化用微生物含有組成物、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油の使用等による車からの排ガスは地球温暖化等に関与し、厳しい環境規制が強いられているのが現状である。京都議定書では、温暖化につながる温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)の排出量削減に関連し、先進国等に対し、温室効果ガスを1990年比で、2008年から5年間で一定数値(日本の場合は6%)の割合で削減することを義務付けているなど、二酸化炭素、メタン等の減少化に地球規模で努力がなされている。例えば、悪影響を及ぼす車からの排気ガスを減少させ、よりクリーンな排出ガスとするなどの、様々な新しい代替エネルギーが開発されている。その中で、バイオマス(Bio Mass)から製造されるエタノール(以下、「バイオエタノール」ともいう)は、二酸化炭素の排出削減に直結するガソリン添加剤として極めて重要な低級アルコールとして認められており、その製造についてのより有効な技術開発が求められている。バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシ等の澱粉アミロース系バイオマスのエタノール発酵により得られているのが主流であり、これらはヒトの食糧源であるから大量に使用することには問題がある。一方、農業廃棄物(籾殻、稲わら)、林業廃棄物(間伐材)などの一次廃棄物や建設廃木材等の二次廃棄物は安価に入手できるものの、これらを原料としてエタノールを製造する技術については未だ十分開発されていない現状である。これらのバイオエタノールを生産するには、バイオマスを糖化した後、発酵させてエチルアルコールを製造するのが基本技術であるが、先ず、原料である大量のバイオマスを経済的、且つ品質に優れた糖化物を得るための糖化技術が望まれている。
【0003】
従来、バイオエタノールを製造するために、藻類及び木材等のバイオマスを熱エネルギーの供給により加水分解或いは蒸煮して糖質原料とする糖化工程後、発酵してアルコールを製造する方法において、前記糖化工程における熱エネルギーとして産業廃熱を利用する技術(例えば、特許文献1参照)や、バイオマスからの燃料の製造方法であって、バイオマスを収集し、粉砕し、水を加えてスラリー化した後、当該スラリーを水の亜臨界状態乃至超臨界状態に保って当該バイオマスに含まれている多糖類を分解、糖化し、しかる後に発酵を行い燃料を製造する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
また、バイオマス原料に対して高温高圧の飽和水蒸気で高温湿熱処理を施す第1ステップと、上記高温湿熱処理を施したバイオマス原料に対して、発酵酵母、発酵菌類、キノコ菌類、酵素、および酵母 などの少なくとも一種、具体的にはセルラーゼを加える第2ステップと、を含むバイオマス原料の処理方法(例えば、特許文献3参照)や、セルロース系バイオマスとして雑草を使用し、前記雑草を緩衝液に浸漬し、次いで当該緩衝液に電圧を印加することにより雑草の通電処理物を得る通電処理工程と、前記通電処理物を酵素により糖化物とする糖化工程と、前記糖化物を原料として発酵を行う発酵工程と、からなるセルロース系バイオマスの処理方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0005】
さらに、原料物質である古紙、段ボール等のセルロース系材料を糖化するための微粉化する前処理工程と糖化する工程と発酵する工程により得られるバイオマスエタノール生成物の製造方法であって、糖化する工程が微粉化された古紙、段ボール等のセルロース系材料の適切な濃度(80重量%以下)の微粉体と適切な濃度(0.1〜20重量%)のセルラーゼ酵素を水素イオン濃度pH5.0前後及び温度50℃前後に保たれた糖化槽内で反応させることにより、セルロース系材料からエタノール発酵原料のグルコースを効率良く得る方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−169188号公報
【特許文献2】特開2001−262162号公報
【特許文献3】特開2005−103415号公報
【特許文献4】特開2005−58055号公報
【特許文献5】特開2006−88136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のとおり、従来行われてきたバイオエタノールを製造するには、先ず原料であるバイオマスを糖化する必要があるが、その糖化技術として、藻類や木材等においては、加水分解或いは蒸煮が行われ、この操作ではかなりの熱エネルギーを要しそのために特別の装置を設置しなければならず、また、バイオマスをスラリー化した後、これを亜臨界状態乃至超臨界状態に保って、分解、糖化する技術や、バイオマスを高温高圧の飽和水蒸気で高温湿熱する糖化技術では、亜臨界状態乃至超臨界状態とするための装置、高温高圧の飽和水蒸気とするための装置が必要で、且つ操作も高度の技術を要する。さらに、セルロース系バイオマスとして雑草を用いる糖化技術では、緩衝液の使用や通電処理など特殊の装置を用い、制御が複雑であり、古紙、ダンボール等のセルロース系材料を糖化する技術では、微粉化とセルラーゼ酵素を併用するが適切な微粉濃度や適切なpH、温度とするためのデリケートな調整、及びそのための装置が必要であるなどの欠点を有する。
【0008】
本発明の課題は、バイオマスから無公害の燃料を得るため、バイオマスの前処理である糖化技術として、従来の「力ずく」で分解乃至酵素的分解が有する欠点を解消し、複雑な装置を要することなく効率的に、また、多種類のバイオマスに適用でき、次のエタノール発酵を容易に実施し得る、バイオマスの有効利用に寄与するバイオマス糖化用微生物含有組成物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、特定の微生物を複数種組合せた微生物を、特定の発酵基質に添加し、発酵させて得られる微生物製剤を種々の用途に応用する研究を続けてきたが、最近の石油の高騰や、その不安定な価格、そして、車の排ガスによる悪影響に鑑み、これらの微生物を、バイオマスを原料とする、石油の代替物であるバイオエタノールの効率的な製造方法に利用できるか否か鋭意検討した。現時点でバイオマスを糖化する技術は収率が非常に低く、例えば、3〜4トンのトウモロコシから1トンのエタノ−ルを、10〜12トンのトウモロコシのくきから1トンのエタノールを生成している現況である。その原因は、各原料に含まれる糖分の種類が相違し、また、含まれる糖分である炭素(C)を独立に処理していることが問題である。例えば、木質系では、45%のセルロースや、30%のヘミセルロースを含み、澱粉系では、C6(炭素数6)、高粱くきでは、C4、わらではC3、とうもろこしの外皮は、C5とC4が、廃材系では、C5、C3、C4の混合体を含んでいる。このような非効率的な従来の糖化技術を、バイオマスの種類を問わず、効率的にバイオマスをまず糖化し得ることが大きな課題であり、得られた糖化物からのエタノール等が環境に何ら影響を及ぼさずに車の燃料、或いは燃料の一部として採用が可能である。そこで、特定の微生物群をバイオマスの糖化技術に応用するべく、特定の複数種の微生物を発酵基質に添加し、発酵することにより得られるバイオマス糖化用微生物含有組成物が、バイオエタノールを製造する上で、バイオマスを糖化する糖化工程において用いると顕著な効果を奏することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(1)バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Strptococcus)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属及びピキア(Pichia)属に属する微生物を、パーム油残渣、米糠、珪藻土を含有する発酵基質に添加し、発酵することを特徴とするバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(2)微生物として、さらに耐塩性酵母菌、耐塩性乳酸菌、硝化細菌、硫黄細菌、メタン酸化細菌、硫黄還元細菌、及び光合成細菌からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることを特徴とする(1)記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(3)バチルス属(Bacillus)に属する菌が、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ナットウ(Bacillus natto)、バチルス・メガテリウム(Bacilus megaterium)のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(4)ラクトバチルス属(Lactobacillus)属に属する菌が、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophillus)、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(5)ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する菌が、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophillus)の群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(6)サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母が、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(7)キャンディダ(Candida)属に属する酵母が、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(8)ピキア属に属する酵母が、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefacience)であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、(9)発酵基質が、さらにカルシウム塩、澱粉及びミネラルを含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法や、(10)発酵基質が、米糠20〜50重量%、パーム油残渣20〜50重量%、珪藻土10〜20重量%、澱粉質2〜5重量%、カルシウムやミネラル含有物20〜50重量%であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法に関する。
【0012】
さらに本発明は、(11)(1)〜(10)記載の製造方法により得られたバイオマス糖化用微生物含有組成物や、(12)(11)記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物をバイオマスに1〜5重量%添加し、堆積発酵することを特徴とするバイオマスの糖化方法や、(13)バイオマスが、パーム油残渣、サトウキビ残渣、穀物収穫後の残渣、廃材、家畜の糞、果物の残渣、繊維類及び穀物の1種又は2種以上であることを特徴とする(12)記載のバイオマスの糖化方法や、(14)バイオマスへのバイオマス糖化用微生物含有組成物の添加時期が、バイオマス製造時又は保存中であることを特徴とする(12)又は(13)記載のバイオマスの糖化方法や、(15)糖化されたバイオマスを発酵して、燃料用エチルアルコールを製造する方法に用いることを特徴とする(11)記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の使用方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、従来用いられているセルラーゼ等の酵素や、加水分解物のための化学薬剤を用いず、さらに複雑な装置を要することなく、効率的に多種類のバイオマスに適用することができ、次の工程であるエタノール発酵を容易に進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法としては、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Strptococcus)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属及びピキア(Pichia)属に属する微生物をパーム油残渣、米糠、珪藻土を含有する発酵基質に添加し、発酵する方法であれば、特に制限されるものではなく、さらに微生物として、耐塩性酵母菌、耐塩性乳酸菌、硝化細菌、硫黄細菌、メタン酸化細菌、硫黄還元細菌、及び光合成細菌からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
バチルス属(Bacillus)に属する菌としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ナットウ(Bacillus natto)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)のいずれか1種又は2種以上挙げることができ、これらのうちバチルス・メガテリウム(Bacillus natto)であることが好ましい。
【0016】
ラクトバチルス属(Lactobacillus)属に属する菌としては、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophillus)、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)のいずれか1種又は2種以上を挙げることができ、これらの菌のうち、特にラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)が好ましい。かかるラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)としてIFO15883菌株を、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)としてIFO14712菌株やIFO14713菌株を用いることができる。
【0017】
ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する菌としては、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophillus)を挙げることができ、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus .thermophilus)であることが好ましく、ストレプトコッカス・サーモフィルスIFO13957菌株を具体的に例示することができる。
【0018】
サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母としては、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)であることが好ましい。
【0019】
キャンディダ(Candida)属に属する酵母としては、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)、キャンディダ・アルビカンス(Candida.albicans)、キャンディダ・リポリチカ(Candida.lipolytica)、キャンディダ・トロピカリス(Candida.tropicalis)のいずれか1種又は2種以上を挙げることができ、特にキャンディダ・ユティリス(Candida utilis)が好ましい。
【0020】
ピキア(Pichia)属に属する菌としては、ピキア・ファリノサ(Pichia farinosa)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefacience)、ピキア・ファーメンタンス(Pichia fermentans)、ピキア・ピナス(Pichia pinus)、ピキア・サブペリクロサ(Pichia subpelliculosa)のいずれか1種又は2種以上を挙げることができ、これらのうちピキア・ファリノサ(Pichia farinosa)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefacience)であることが好ましい。
【0021】
耐塩性酵母として、サッカロミセス・ロキシイ(Saccharomyces rouxii)を挙げることができ、耐塩性乳酸菌としてペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)を挙げることができる。
【0022】
また、硝化細菌として、ニトロバクター(Nitrobacter)属、ニトロソモナス(Ntrosomonas)属を挙げることができ、たとえば、ニトロバクター・ウィノグラドスキ(Nitrobacter winogradskyi)、ニトロバクター・アギル(Nitrobacter agile)、ニトロソモナス・ユーロピー(Nitrosomonas europaea)、ニトロソモナス・モノセラ(Nitrosomonas・ monocella)を挙げることができる。
【0023】
硫黄細菌として、チオバチルス(Thiobacillus)属、チオバクテリウム(Thiobacterium)属、マクロモナス(Macromonas)属、チオブルム(Thiovulum)属、チオスピラ(Thiospira)属に属する菌を挙げることができる。また、メタン酸化細菌として、メチロコッカス(Methylococcus)属、メチロモナス(Methylomonas)属に属する菌を挙げることができ、メチルコッカス・カプサルタス(Methylcoccus capsulatus)を例示することができる。さらに、硫黄還元細菌として、ディスルフォビブリオ(Desulfovibrio)属に属する菌を挙げることができ、光合成細菌としては、いわゆるフィトシンセティックバクテリア(photosynthetic bacteria)に属する菌を挙げることができる。
【0024】
本発明で用いる微生物の組合せとしては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ナットウ(Bacillus natto)のいずれかと、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophillus)、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)のいずれかと、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)と、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)とピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefacience)が好ましい。
【0025】
前記微生物の組合せに、さらに耐塩性酵母、耐塩性乳酸菌、硝化細菌、硫黄細菌、メタン酸化細菌、硫黄還元細菌、及び光合成細菌からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、バイオマス成分によって適宜選択して使用するのがよい。
【0026】
本発明における発酵基質としては、米糠、パーム油残渣及び珪藻土を用いることが重要であり、米糠は、玄米を搗精して白米にするときに採れる果皮、種皮及び糊粉層の粉砕物であり、パーム油残渣は、アブラヤシからパーム油やパーム核油を採る際に排出する粕や、伐採後の枝等を意味し、例えば、パーム核油を採取した後のパーム核粕(Palm Kernel Cake:PKCともいう)、パーム油採取後の空果房(Empty Fruit Bunch:EFBともいう)、伐採後の枝葉、廃液(Palm Oil Mill Effluent:POMEともいう)の1種又は2種以上を挙げることができる。珪藻土は、珪藻という単細胞の藻類が海底や湖底に長年にわたって沈積し、体内の原形質が分解し、珪酸を主体とした遺骸が集積して地層を形成した1種の化石である。珪藻土は、通常80%以上の珪酸分を含み、天然珪藻土を粉砕したものを用いることができ、吸着性、保水性、通気性に優れている。珪藻土は、無機物であって、有機物である米糠やパーム残渣と共に微生物の発酵基質として優れた機能を発揮する。
【0027】
また、発酵基質に用いる他の材料としては、澱粉、カルシウム含有物及びその他のミネラル類を用いることができ、これらは、微生物の増殖には、好ましい成分である。前記澱粉類としては、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカやサゴ澱粉、各種化工澱粉の1種又は2種以上を挙げることができる。前記カルシウム含有物としては、卵殻、牡蠣貝殻、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等を1種又は2種以上を挙げることができる。カルシウム以外のミネラル類として、リン、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、フッ素、珪素、亜鉛、マンガン、銅、セレン、ヨウ素、モリブデン、クロム、コバルトの1種又は2種以上を挙げることができる。さらに、必要に応じて、小麦フスマ、大豆粕、大豆胚芽、醤油粕、ポテトパルプ、こんにゃくトビ粉等の農産業よりの副産物の1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明の発酵基質に用いる発酵原料の配合割合は、例えば、米糠20〜50重量%、パーム油残渣20〜50重量%、珪藻土10〜20重量%、澱粉質2〜5重量%、カルシウムやミネラル含有物20〜50重量%を示すことができる
【0029】
本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物の対象であるバイオマスとしては、パーム油残渣、サトウキビ残渣、穀物残渣、廃材、家畜の糞、果物及び果物残渣、農産物の葉や木の葉っぱ、その他の繊維物、穀物及び穀物澱粉の1種又は2種以上を挙げることができる。具体的に、パーム油残渣としては、前述のとおりの、PKC、EFB、枝葉、POMEの1種又は2種以上を挙げることができ、サトウキビ残渣としては、汁の絞り粕、汁の土(泥)、サトウキビの頭部の1種又は2種以上挙げることでき、穀物残渣としては、トウモロコシの枝、頭部、芯、くき(出穂節の上、中、下)、麦の枝(わら)、高粱の枝、頭部、くき、水稲のわらの1種又は2種以上挙げることができ、廃材としては、全ての種類の木材の廃材を用いることができ、家畜の糞としては、鶏糞、牛糞、豚糞を挙げることができる。さらに、果物及び果物残渣として、パイナップルの皮など含み、農産物の葉や木の葉っぱとしては、落花生やサツマイモの収穫後の葉など、穀物及び穀物澱粉としては、トウモロコシ、大豆、高粱、イモ類に1種又は2種以上を挙げることができる。その他すべての繊維物を挙げることができる。
【0030】
本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物の使用法としては、(1)発酵原料体(バイオマス)に、1〜5重量%添加し、堆積発酵する方法、(2)各バイオマス原料と混合保存し、保存期間を問わず原料の処理中にさらに混合して糖化材料とする方法、(3)バイオマス製造工程中に添加発酵し、糖化する方法等がある。上記(1)の方法において、本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物を発酵原料に対する添加量を1〜5重量%する理由は、1%重量未満では、発酵に時間がかかり、生産性に乏しく、また5重量%を超える場合は、濃度の関係で適切な発酵が進行しない。また、(2)の方法では、1種類のバイオマスに限らず、複数のバイオマスを混合保存しておくことができ、保存期間を異にしてもバイオマス処理中にさらに混合して糖化発酵することができる。さらに、(3)の方法では、バイオマス糖化用微生物含有組成物によるバイオマス処理中にさらにバイオマス糖化用微生物含有組成物を添加し糖化発酵させることができ、バイオマス糖化用微生物含有組成物の添加方法が必要に応じて添加することができる。
【0031】
また、本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物の糖化進行する態様には、(1)発酵体の加水加熱発酵法と(2)発酵体の常温発酵法があり、(1)の方法は、バイオマスに本発明の糖化用微生物含有組成物を添加し、加水し、温風により加熱発酵する方法である。また、(2)の方法は、バイオマスを乾燥のまま(水約10〜15%)常温で静置堆積し、イオン交換反応が行われる発酵法であり、これらの発酵法は、バイオマスの状態により適宜選択して採用することができる。
【0032】
本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物は、上記のとおりのバイオマスに適用することでき、次のとおりの作用がある。
(1)バイオマスである各原料の含有糖分を分離させる。
(2)バイオマスである各原料の繊維を分解することにより糖分が製造される。(繊維分解→糖に転換)(糖を生成する)
(3)微生物含有組成物自体の菌体の大量増殖により(発酵による)、菌体自体よりブドウ糖が製造される。
以上、(1)、(2)、(3)の作用により、本発明の方法はバイオマス及び菌自体から糖分を生成することから、糖化するバイオマス原料に含有される糖分より高い糖分(全糖)が得られ、(後の発酵により)より高い数値のエタノール量を生成することができる。本発明の糖化用微生物を用いてバイオマスを糖化し、生成された糖化物を通常の発酵手段によりエチルアルコールを製造することができる。本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物を用いてバイオマスを糖化し、通常のエタノール発酵に供し、発酵後バイオマスエタノール生成後の発酵体の残渣は家畜の飼料(菌体タンパクSCP:Single Cell Protain)及び土壌の肥料に使用することができる。
【0033】
前記発酵基質に用いる各原料は、原料検査をして、重金属、残留農薬等が国で定められている基準以下であることを確認し、黴毒などで汚染されていないかをチェックし、さらに、殺菌して用いる。該殺菌は通常の殺菌方法、すなわち加圧水蒸気殺菌等の加熱殺菌方法を採用することができる。
【0034】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
微生物の発酵に使用する発酵基質として、米糠(東邦物産社より入手)、パーム核粕(PKC:マレーシアAsia Green社から入手)、珪藻土、澱粉、乳酸カルシウム及びミネラル類(以上の珪藻土等は農具販売店から入手)を先ず用意する。次に、米糠、パーム核粕(PKC)及び珪藻土を予め残留農薬、重金属、カビ毒の有無について原料検査し、残留農薬、重金属については国で定められた基準値を超えないことを確認した後、120℃で蒸気滅菌し、80〜100℃で乾燥し、粉砕した。この米糠30.0重量部、PKC30重量部及び珪藻土8.5重量部を混合した。一方、純粋に分離保存されている、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefacience)の各菌体を、30℃〜37℃で12時間〜24時間培養し、それぞれ各種培養物を得た。各種培養物をさらに適合する培地で培養し、その後、遠心分離機にかけ、上清液を取り除き、供試菌体を得た。各供試菌の菌数を調整し、同数ずつとなるように混合し、微生物混合物を得た。該微生物混合物30重量部と上記発酵基質68.5重量部と水500重量部とを混合し、40℃、13日間発酵させた。発酵途中で、乳酸カルシウム・ミネラル混合物30重量部とコーンスターチ3重量部を添加した。発酵終了後60℃以下で水分値が10重量%以下となるまで乾燥して、バイオマス糖化用微生物含有組成物を得た。該組成物は、雑菌や病原菌は検出されず、水分含量1.0%以下を示すものであった。該組成物製剤を密封容器に入れ、完全防水の状態で保存期間1年とした。
【実施例2】
【0036】
実施例1においてバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)の代わりにバチルス・ナットウ(Bacillus natto)を用い、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)の代わりにラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophillus)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、バイオマス糖化用微生物含有組成物を得た。品質検査後密封容器に入れ、完全防水にして保存期間を1年とした。
【実施例3】
【0037】
実施例1において使用した微生物に、さらに耐塩性酵母のサッカロミセス・ロキシイ(Saccharomyces rouxii)、硝化細菌のニトロバクタ・アギル(Nitrobacter agile)、メタン酸化細菌のメチロコッカス・カプサルタス(Methylcoccus capsulatus)をそれぞれ同数ずつとなるように混合し、微生物混合物を得た。該微生物混合物30重量部と実施例1と同じ発酵基質68.5重量部と水500重量部とを混合し、40℃、15日間発酵させた。発酵途中で、乳酸カルシウム・ミネラル混合物30重量部とポテトスターチ3重量部を添加した。その後は、実施例1と同様の方法でバイオマス糖化用微生物含有組成物を得た。
【実施例4】
【0038】
実施例1の方法により得られたバイオマス糖化用微生物含有組成物250gとPKC2.5kg(粗繊維11.5重量%)の粉砕混合物とを混合し、40℃で、3週間糖化発酵した。第1日目に、水分、pH,糖度を測定した。測定の結果、水分(%):9.4、pH:5.3、糖度(%):0.8を示した。発酵開始後第21日目に、糖化発酵後の菌の検査を行うため、生理食塩水で希釈し、ストマッカーにてホモジナイズを行い、均質後、細菌検査(乳酸菌はMRS寒天培地を、枯草菌はPCA−CHX標準寒天培地シラロヘキッミトを用いた)を行った。その結果、乳酸菌数3.25×10(CFU/g)、枯草菌類数1.30×10(CFU/g)を示した。また、発酵開始後第21日目に全糖、抽出物の過酸化物価、BHC、DDT等の農薬系物質、ヒ素等の重金属、大腸菌等の有害菌の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示すように、糖度においては、第1日目0.8重量%であったものが、21日目では、69.8重量%となり、糖類は約87倍に増え、本発明の微生物含有組成物の糖化作用は顕著なものであることが分った。また、糖化物の抽出油についての過酸物価は、表1に示すように、1.0meq/kgを示しており、この値は、酸化の度合いが極めて低い値である。通常パーム核粕等をそのまま放置すると非常に酸化しやすく、1ヶ月放置すると、Acid Value(酸価)は、45.4(mg KOH/g)と非常に高い値を示すが、本発明の微生物含有組成物をPKCに添加し、糖化発酵することにより、PKC含有物の糖化物は殆ど酸化しておらず、本発明微生物含有組成物はバイオマスの保存作用をも有することが分かった。
【実施例5】
【0041】
(トウモロコシ部位別糖化測定)
バイオマス原料として、トウモロコシの茎を用いた。その部位別、及び開花後日数別の糖度を測定した。開花後25日目、40日目のトウモロコシ植物の上位部分である着穂節上位2〜3節(「a」という)、中位部分である着穂節上位(「b」という)、下位部分である着穂節下位4〜5節(「c」という)をAグループ、Bグループに分けそれぞれ各5個体ずつ測定し、その平均値をとり、表2に示すとおりの糖度を示した。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、トウモロコシ原料は、25日目では、部位により、糖度が異なり、下位部分より上位部分が糖度が高いことを示した。40日目では、25日目より糖度が高いことが分った。
【0044】
前記トウモロコシ開花後25日目の部位別原料各5kgずつと実施例1により得られたバイオマス糖化用微生物含有組成物500gを添加混合し、40℃で、3週間糖化発酵した。糖濃度測定に際し、加水分解を行うが、加水分解条件は、72%硫酸、20℃、4時間放置後、8%硫酸、沸騰浴中、2時間で行った。全糖をフェノール硫酸法により測定し、ブドウ糖換算で表3の結果が得られた。
【0045】
【表3】

【0046】
表3に示すように、糖化後トウモロコシ上位部分(Aグループ)は、その原料に比べて、2.6倍の糖濃度を示し、糖化後トウモロコシ上位部分(Bグループ)は、その原料に比べて2.7倍の糖濃度を示し、糖化後トウモロコシ下位部分では、10.5倍の糖濃度を示し、各部位をあわせたものでは、1.9倍の糖濃度を示した。このように、トウモロコシの茎について各部位を原料として本発明の微生物含有組成物を添加発酵すると高い糖化作用を示すことがわかった。
【0047】
この実施例による糖化後のトウモロコシ各部位を撮影した写真を図1(トウモロコシ上位部分:Aグループ)、図2(トウモロコシ上位部分:Bグループ)、図3(トウモロコシ下位部分)、図4(トウモロコシ上位部分、中位部分、及び下位部分の混合物)で示す。図5は、トウモロコシ伐採後の上位部分を撮影した写真を示す。このように、発酵3週間後の糖化トウモロコシの各部分は、伐採後のトウモロコシに比べると、色が黒ずんで糖化状態が進んでいることがわかった。
【0048】
本発明の製造方法により得られたバイオマス糖化用微生物含有組成物を、種々のバイオマスに適用し、糖化すると、バイオマスの糖化と菌自体の糖化も生起し、極めて高い収率で糖化物を得ることができる。したがって、該糖化物から通常のアルコール発酵に供するとエチルアルコールを高い収率で生産することができる。このようにして得られたエチルアルコールを車等の燃料の一部に使用すると、無公害であるという利点の他、バイオマスという原料が安価なことから経済的、かつ実用性に富み、優れた燃料とすることができるのである。さらに、本発明のバイオマス糖化用微生物含有組成物を用いたバイオマス処理中では、バイオマスの腐敗、酸化などが殆ど起こらず、臭いの発生が殆どないという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の、糖化後のトウモロコシ上部部分(Aグループ)を撮影した写真を示す。
【図2】本発明の、糖化後のトウモロコシ上部部分(Bグループ)を撮影した写真を示す。
【図3】本発明の、糖化後のトウモロコシ下位部分を撮影した写真を示す。
【図4】本発明の、糖化後のトウモロコシ上位部分、中位部分、及び下位部分の混合物を撮影した写真を示す。
【図5】トウモロコシ伐採後糖化前の上位部分を撮影した写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Strptococcus)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属及びピキア(Pichia)属に属する微生物を、パーム油残渣、米糠、珪藻土を含有する発酵基質に添加し、発酵することを特徴とするバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項2】
微生物として、さらに耐塩性酵母菌、耐塩性乳酸菌、硝化細菌、硫黄細菌、メタン酸化細菌、硫黄還元細菌、及び光合成細菌からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項1記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項3】
バチルス属(Bacillus)に属する菌が、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ナットウ(Bacillus natto)、バチルス・メガテリウム(Bacilus megaterium)のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項4】
ラクトバチルス属(Lactobacillus)属に属する菌が、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophillus)、ラクトバチルス・プランタリム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項5】
ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する菌が、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophillus)の群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項6】
サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母が、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項7】
キャンディダ(Candida)属に属する酵母が、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項8】
ピキア属に属する酵母が、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefacience)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項9】
発酵基質が、さらにカルシウム塩、澱粉及びミネラルを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項10】
発酵基質が、米糠20〜50重量%、パーム油残渣20〜50重量%、珪藻土10〜20重量%、澱粉質2〜5重量%、カルシウムやミネラル含有物20〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10記載の製造方法により得られたバイオマス糖化用微生物含有組成物。
【請求項12】
請求項11記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物をバイオマスに1〜5重量%添加し、堆積発酵することを特徴とするバイオマスの糖化方法。
【請求項13】
バイオマスが、パーム油残渣、サトウキビ残渣、穀物収穫後の残渣、廃材、家畜の糞、果物の残渣、繊維類及び穀物の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項12記載のバイオマスの糖化方法。
【請求項14】
バイオマスへのバイオマス糖化用微生物含有組成物の添加時期が、バイオマス製造時又は保存中であることを特徴とする請求項12又は13記載のバイオマスの糖化方法。
【請求項15】
糖化されたバイオマスを発酵して、燃料用エチルアルコールを製造する方法に用いることを特徴とする請求項11記載のバイオマス糖化用微生物含有組成物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−57363(P2010−57363A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348662(P2006−348662)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(505287335)
【Fターム(参考)】