説明

バイパス弁

装置(1,7)の2つの地域(3,5;73,75)に向かうガスの流れを規制するバイパス弁は、入口パイプ(13)を通じて入口ガスを受け入れる内室(11)を備える、前記装置(1,7)に結合される本体(9)と、前記地域(3,5;73,75)に向けられ且つ内室(11)へのアクセス開口(23)を備える平坦面(21)を有する2つの出口パイプ(15,17;85,87)とを含み、平坦板(33)が内室を通じて挿入され、閉塞部材(35)及びその活性化手段(39,41,43)が平坦板の上に組み立てられ、閉塞部材(35)は出口パイプ(15,17;85,87)を閉塞するよう適切に位置付けられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイパス弁に言及し、より具体的には、内燃機関の排気ガス再循環装置(EGR)用の熱交換器のためのバイパス弁に言及する。
【背景技術】
【0002】
現在の最新技術においては、EGR装置と呼ばれる、内燃機関(エンジン)における異なる排気ガス再循環装置が既知である。
【0003】
これらの装置は、NOx発生量を低減する目的のために、排気ガスを冷却プロセスに晒した後、それらをエンジンの排気マニフォルドから吸気マニフォルドに再循環する。
【0004】
排気ガスの冷却はエンジンの特定の動作条件において適切でないため、バイパスパイプの使用が当該技術分野において提案されており、事前設定条件に従って、熱交換器に向かって或いは前記バイパスパイプに向かって流路付けする弁の制御の下で、熱交換器を通過せずに排気ガスの再循環を可能にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欧州特許EP0971427B1、並びに、国際出願WO03/085252A2、国際出願WO03/062625A1、欧州出願EP1291509A2、及び、欧州出願EP1355058A2に開示されているような、バイパスパイプを備える熱交換器のための入口弁のための異なる提案も既知であるが、それらは本発明が解決することを目標とする幾つかの欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入口ガスが冷却モジュールを通じて或いはバイパスパイプを通じて流れなければならない一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換器のような、或いは、入口ガスが冷却モジュールを通じて或いはエンジンの吸気マニフォルドに向かう排気パイプを通じて流れなければならい2通路EGR装置熱交換器のような、2つのガス流地域を備える装置に向かうガスの通路を規制するバイパス弁を提案している。
【0007】
装置に結合される弁の本体は、入口パイプを通じて入口ガスを受け入れる内室と、2つのガス通路地域に向かって方向付けられる2つの出口パイプと、内室へのアクセス開口を備える平坦面とを有する。
【0008】
弁の移動部材、即ち、回転ピンの上に組み立てられる出口パイプの閉塞部材、及び、それらの対応する駆動手段は、例えば、ネジを用いて、平坦板を弁の本体の平坦面に固定することによって、それらが弁の本体内に組立体として「挿入され」得るよう、平坦板の上に組み立てられる。
【0009】
本発明の弁物体の第一の特徴は、それが弁の本体の並びにその移動部材の組立体の独立した製造の可能性を可能にすることである。
【0010】
この独立性は、意図される装置とは無関係に、弁の移動部材組立体の標準化を可能にし、その場合には、弁の本体が移動部材組立体を備える板の「挿入」を可能にするよう構成されなければならないことを考慮することが必要であるだけである。
【0011】
本発明の弁物体の第二の特徴は、それが異なる種類のEGR装置熱交換器における、具体的には、単一ガス通路又は二重ガス通路冷却モジュールを備える交換器におけるその使用を可能にすることである。
【0012】
本発明の弁物体の第三の特徴は、それが各出口パイプの閉塞位置の間の回転の角度を減少することを可能にすることである。
【0013】
本発明の弁物体の第四の特徴は、それが鋳造も複雑な機械加工部分をも必要とせず、少数の構成部品を用いた単純な製造プロセスを可能にすることである。
【0014】
本発明の弁物体の第五の特徴は、それがEGR装置熱交換機に適用可能であるのみならず、他のガス配管装置、具体的には、エンジン排気ガス熱回復装置においても使用され得ることである。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面と関連する例示的な且つ非制限的なその物体の実施態様の以下の詳細な記載から理解され得るであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至7を参照して先ず記載されるべき本発明の実施態様において、本発明に従った弁7は、冷却されるべきガスを循環する一組の相互接続パイプによって形成される冷却モジュール3と、冷却されるべきでない排気ガスが循環するバイパスパイプとを内部的に収容する、EGR装置の排気ガスのための熱交換器に結合されている。
【0017】
一方では、弁7は、入口パイプ13を通じて入口ガスを受け入れる内室11を備える本体9と、熱交換器の冷却モジュール3とバイパスパイプ5とに向けられた2つの出口パイプ15,17とを含む。本体9は、その内室11へのアクセス開口23を備える平坦面21を有する。
【0018】
他方、弁は、平坦板33上に組み立てられた弁の可動部材と、ピン37上に組み立てられた出口パイプ15,17の閉塞部材35と、ピン37を回転させるためのコネクティングロッド−クランク装置39,41と、空圧的或いは電気的であり得るアクチュエータ43とを含む。
【0019】
組立体31は、ネジ51を用いて本体9に固定されており、閉塞部材35は出口パイプ15,17を閉塞するよう適切に位置付けられている。
【0020】
この実施態様において、弁の本体9は、熱交換機1の一部としてステンレス鋼で製造され得る。
【0021】
第二に、図8乃至11を参照した本発明の実施態様が記載され、そこでは、本発明に従った弁7は、冷却されるべき入口ガスを冷却モジュールに向かって、或いは、もしそれが冷却されるべきでないならば、エンジンの入口マニフォルドに向かって直接的に排気パイプ75に向かって方向付けるための2通路EGR装置の排気ガスのための熱交換機71に結合されている。
【0022】
第一の場合には、ガスは図10中の矢印f1によって表示される経路に従い、第二の場合には、図11中の矢印f2によって表示される経路に従う。
【0023】
一方では、弁7は、入口パイプ13を通じて入口ガスを受け入れる内室11を備える本体9と、吸気マニフォルドに向かって冷却モジュール73と排気パイプ75とにそれぞれ向けられる2つの出口パイプ85,87とを含む。本体9は、その内室11へのアクセス開口23を備える平坦面21を有する。
【0024】
他方、弁の可動部材の組立体31は、前に記載された実施態様の可動部材と類似しており、ネジ51を用いて本体9に固定され、閉塞部材35が出口パイプ85,87を閉塞するよう適切に位置付けられている。
【0025】
この実施態様において、弁の本体9は、熱交換機とは無関係にアルミニウム鋳造部分上に製造されることができ、両方の部分は中間フランジ91を用いて共に結合されている。
【0026】
図面中に示されるものである、2つの実施態様の好適な変形において、閉塞部材35は、その基部に回転ピン37を備える三角形プリズムのような形状の二重ブレード55,57によって形成されている。
【0027】
幾つかの製造プロセスがこのために使用され得る。即ち、それらが側で他方で結合されるよう、それらの側の一方で回転ピン37へ溶接すること、V形状に形成された単一の金属板を製造すること、ピン、ブレード55,57組立体を単一部分として製造すること、単一のピン37及びブレード55,57部材を得るよう、機械加工を伴って鋳造部分を製造することである。
【0028】
回転ピン37に固定される二重ブレードの(或いは代替的な実施態様において閉塞部材35として使用される単一ブレードの)ブレード55,57のサイズは、十分に小さなサイズとされ、エンジン中で発生する圧力脈動に対して良好に作動するよう、回転ピン37に極めて近接した圧力の中心を備え得る(ブレードを幅広であるよりも高くする)。これらの圧力脈動は回転ピン37にトルクを導入し、トルクはエンジン動作中に閉塞部材を開放しがちである。記述の構造を使用するならば、この開放は、閉塞部材の地域がより大きい或いは圧力の中心が回転ピン37からより遠いバルブのために必要であるよりも小さいサイズのアクチュエータを使用することで防止される。
【0029】
弁の本体9は、出口パイプ15,17;85,87の開始が閉塞部材35の機械的ストップとして作用する平坦地域61,63;95,97を用いて構成されるように構成され、その運転の完全な制御をもたらし、各場合において閉塞されるべきパイプを通じたガス漏れを阻止する完全な閉塞を保証する。
【0030】
閉塞部材35は、理論的には、閉塞部材35が平坦地域61,63;95,97と接触するようになるときに出口パイプの開口が閉塞されるよう、出口パイプ15,17;85,87よりも大きなサイズを有さなければならない。
【0031】
弁がアクセスをもたらす2つの回路の間の高シール定格(high seal rating)並びに適切なサイジング(sizing)の閉塞部材35を備えるエンジンの圧力脈動に対する良好な性能は、エンジンの圧力脈動に耐える小さな閉塞部材を有せず或いは冷却モジュールにガスを運ぶ回路とバイパスパイプにガスを運ぶ回路との間の高シール定格を有さない他の種類のバイパス弁において必要なサイズよりも小さなサイズの空圧アクチュエータの使用を可能にする。
【0032】
本発明に従った弁は、ガスが冷却モジュールに向かって循環する作動位置からガスがパイプ5,75に向かって循環する作動位置まで動くために閉塞部材35が動かなければならない平坦地域61,63;95,97の間に境界を定められる回転の角度を減少することを可能にし、それはコネクティングロッドークランク装置のトルク損失が極めて小さいという利点を有し、それによって、45°未満の角度を備える弁が得られ得る。
【0033】
本発明の弁物体は、もしそれが閉塞部材35を出口パイプ15,17;85,87を閉塞するための平坦地域61,63;95,97の任意の中間場所に配置することを可能にするアクチュエータを備えるならば、冷却モジュール3,73に向かう或いはパイプ5,75に向かうガスの通路の均衡のとれた制御も可能にする。
【0034】
記載の実施態様において閉塞部材35として使用される二重ブレード55,57は、幾つかの利点を有する。
− 入口パイプ13から2つの出口パイプ15,17;85,87のいずれかに向かうガスの流れを助け、よって、弁によって装置内に導入される圧力降下レベルを向上する。
− それは回転ピン37の周りの地域に存する排気ガスの蓄積を防止することに寄与する。何故ならば、その形状の故に、それは弁内に存在する流れ条件の故に排気ガス残存物が堆積され得る空間を排除するからである。
− それはブレード35の回転の角度を減少するのに寄与する。
− それは、特に、2通路熱交換機を備える実施態様において、断熱体として機能する。
− ガス流は、各場合に適用可能ないずれかで、平坦地域61,63又は95,97を覆うブレード35の閉塞を助ける。
【0035】
本発明の記載された実施態様に関して、以下の請求項によって定められる範囲内に含まれる変更が導入され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換機を示す斜視図であり、本発明に従ったバイパス弁を異なる位置に備える。
【図2】一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換器を示す斜視図であり、本発明に従ったバイパス弁を異なる位置に備える。
【図3】一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換器を示す斜視図であり、本発明に従ったバイパス弁を異なる位置に備える。
【図4】一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換器を示す斜視図であり、バイパス弁の本体を備え、弁の移動部分が挿入される開口を示している。
【図5】弁の本体に挿入され且つ固定される弁の移動部分組立体を示す異なる斜視図である。
【図6】一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換器を示す断面図であり、本発明に従ったバイパス弁を備える。
【図7】本発明に従ったバイパス弁の内部を示す斜視図である。
【図8】本発明に従ったバイパス弁を備える2通路EGR装置熱交換器を異なる位置から示す斜視図である。
【図9】本発明に従ったバイパス弁を備える2通路EGR装置熱交換器を異なる位置から示す斜視図である。
【図10】本発明に従ったバイパス弁を備える2通路EGR装置熱交換器を示す断面図である。
【図11】本発明に従ったバイパス弁を備える2通路EGR装置熱交換器を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の2つの地域に向かうガスの流れを規制するバイパス弁であり、
入口パイプを通じて入口ガスを受け入れる内室を備える、前記装置に結合される本体と、
前記地域に向けられる2つの出口パイプと、
回転ピンの上に組み立てられる前記出口パイプの閉塞部材と、
該閉塞部材の活性化手段とを含むバイパス弁であって、
前記本体は、その内室へのアクセス開口を備える平坦面を有し、
前記閉塞部材及びその活性化手段を備える前記回転ピンは、前記本体の前記平坦面に固定される平坦板の上に組み立てられ、前記閉塞部材は、前記パイプの開始部分に構成される平坦地域と接触するようになるときに、前記出口パイプを閉塞するよう適切に位置付けられる、
バイパス弁。
【請求項2】
前記本体は、前記出口パイプが45°未満の動作角度で作用する前記閉塞部材によって閉塞され得るように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のバイパス弁。
【請求項3】
前記閉塞部材は、1つの側で前記回転ピンに固定され且つ反対側で相互に結合される三角形プリズム形状を備える2つのブレードを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバイパス弁。
【請求項4】
前記閉塞部材の活性化手段は、前記出口パイプの間の任意の中間位置に前記閉塞部材を配置することを可能にする特別な手段を含み、それらの各1つに向かって方向付けられるガスの均衡した制御を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載のバイパス弁。
【請求項5】
当該バイパス弁が結合される前記装置は、一体化されたバイパスパイプを備えるEGR装置熱交換器であり、前記2つの地域は、冷却モジュール及びバイパスパイプであることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のバイパス弁。
【請求項6】
当該バイパス弁が結合される前記装置は、2通路EGR熱交換器であり、前記2つの地域は、前記エンジンの吸気マニフォルドに通じる冷却モジュール及び排気パイプであることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のバイパス弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−530451(P2008−530451A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553624(P2007−553624)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050780
【国際公開番号】WO2006/084867
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507267012)
【Fターム(参考)】