バイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管
【課題】制流体が十分なシール性能を得ることができるバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管を提供すること。
【解決手段】管継手2に接続されるバイパス管12を介し流体管1の不断流状態を維持するバイパス装置であって、流体管1の流路を遮断する制流体11を挿入するための挿入孔1bを流体管1の外周面1aに穿設する穿孔手段50を少なくとも備え、穿孔手段50は、流体管1とバイパス管12とを連通させる連通孔1cを、挿入孔1bとは独立して流体管1の外周面1aに穿設する。
【解決手段】管継手2に接続されるバイパス管12を介し流体管1の不断流状態を維持するバイパス装置であって、流体管1の流路を遮断する制流体11を挿入するための挿入孔1bを流体管1の外周面1aに穿設する穿孔手段50を少なくとも備え、穿孔手段50は、流体管1とバイパス管12とを連通させる連通孔1cを、挿入孔1bとは独立して流体管1の外周面1aに穿設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に接続されるバイパス管を介し流体管の不断流状態を維持するバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の仕切り用弁装置(バイパス装置)は、管(流体管)の貫通孔(挿入孔)が形成されている部分の管外周面を密閉状に囲繞する密閉ケース(管継手)と、この密閉ケース内に収容されている仕切り用弁体(制流体)と、を備えており、仕切り用弁体は、貫通孔を介して管内に挿入配置されることで管の流路を遮断するとともに、流体は、流体管の上流側にて仕切り用弁体と貫通孔との間に形成された間隙を介することで、密閉ケースに接続された分岐配管(バイパス管)に向けて流路を変更しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3570742号公報(第5頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバイパス装置にあっては、仕切り用弁体(制流体)により管(流体管)の流路を仕切る際に貫通孔(挿入孔)と仕切り用弁体との間に流体が分岐配管(バイパス管)に向けて流れるよう間隙を形成するように仕切り用弁体の形状が形成されているため、仕切り用弁体の向きを流体管に対して確実に位置決めしなければ、仕切り用弁体が管の流路を遮断するための十分なシール性能を得ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、制流体が十分なシール性能を得ることができるバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のバイパス装置は、
管継手に接続されるバイパス管を介し流体管の不断流状態を維持するバイパス装置であって、
前記流体管の流路を遮断する制流体を挿入するための挿入孔を前記流体管の外周面に穿設する穿孔手段を少なくとも備え、前記穿孔手段は、前記流体管と前記バイパス管とを連通させる連通孔を、前記挿入孔とは独立して前記流体管の外周面に穿設することを特徴としている。
この特徴によれば、流体管の流路の遮断時に、挿入孔が連通孔と別個独立しているため、制流体は、バイパス管のための連通孔に干渉されることが無いので、流体管の流路を遮断できるのであればよく、汎用の遮断弁を使用することができ、流路の遮断時における制流体のシール性能の向上を図ることができる。また、連通孔の大きさや形状を任意に設定することができる。
【0007】
本発明のバイパス装置は、
前記穿孔手段は、前記流体管の外周面における同一側に前記挿入孔と前記連通孔とを穿設することを特徴としている。
この特徴によれば、挿入孔と連通孔の穿設を穿孔手段の向きを変える事無く同一方向から行うことができるので、挿入孔と連通孔の穿設を容易に行うことができる。
【0008】
本発明のバイパス装置は、
前記穿孔手段は、前記挿入孔を穿設する第1カッタ部材と、前記連通孔を穿設する第2カッタ部材と、を一体に構成していることを特徴としている。
この特徴によれば、第1カッタ部材と第2カッタ部材との位置関係を保ったまま一括して挿入孔及び連通孔をより正確に穿設することができる。
【0009】
本発明のバイパス装置は、
前記挿入孔は略円形に形成されており、前記連通孔は前記挿入孔に連通することを特徴としている。
この特徴によれば、挿入孔が略円形に形成されているので、制流体が挿入孔の内周面に確実に密着することができ、また、連通孔が挿入孔に対して離れた位置に穿設される場合でも、第1カッタ部材と第2カッタ部材とをする連結部を、連通孔と挿入孔とを連通する部分を利用して通過させることにより、第1カッタ部材と第2カッタ部材とを流体管内に深く進入させて挿入孔と連通孔とを穿設することができる。
【0010】
本発明のバイパス装置は、
前記第1カッタ部材及び前記第2カッタ部材は、流体管の外周面を同時に穿孔することを特徴としている。
この特徴によれば、第1カッタ部材と第2カッタ部材に力を均一に加えることができるので、正確に流体管に対して挿入孔と連通孔とを穿設することができる。
【0011】
本発明の流体管は、
請求項1ないし5のいずれかに記載のバイパス装置が管軸方向の所定箇所にそれぞれ一対に取り付けられ、該一対のバイパス装置のバイパス管同士が連通状態で接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、流体管の所定箇所にバイパス装置を一対に取り付けることで、これらバイパス装置間の流体管の管路を制流体によって遮断しながら、バイパス管を介して流体の不断流状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における管継手を流体管に配設した状態を示す断面図である。
【図2】管継手を流体管に配設した状態を示す側断面図である。
【図3】流体管に挿入孔及び連通孔が穿設された状態を示す断面図である。
【図4】流体管に挿入孔及び連通孔が穿設された状態を示す側断面図である。
【図5】分岐口への制流体を収納した弁蓋の取り付けを示す断面図である。
【図6】分岐口に弁蓋が取り付けられた状態を示す断面図である。
【図7】分岐口に弁蓋が取り付けられた状態を示す側断面図である
【図8】流体管に取り付けた2つの管継手を利用して両管継手に亘ってバイパス管を取り付けた状態を示す平面図である。
【図9】(a)は、変形例における第1カッタ部材及び第2カッタ部材を示す一部破断側面図であり、(b)は、第1カッタ部材及び第2カッタ部材を示す底面図である。
【図10】実施例2における流体管に挿入孔及び連通孔が穿設された状態を示す側断面図である。
【図11】分岐口に弁蓋が取り付けられた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係るバイパス装置につき、図1から図9を参照して説明する。図1に示すように、本実施例1の流体管1は、断面視略円形状に形成された高密度ポリエチレン等の樹脂製管から成り、内部には流体としての上水が流れている。この流体管1から、例えば、故障等の不具合を生じた既設弁を交換するために、図8に示すように、該既設弁よりも上流側及び下流側に管継手2を取り付け、これら管継手2に取り付けられる制流体11によって流体管1の管路を遮断することで流体管1の前記既設弁の取り付けられている箇所を一時的に断水し、前記既設弁の交換を行い易くするようになっている。
【0015】
尚、流体管1の材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂或いは所定の樹脂から成る熱融着可能なものでもよい。更に尚、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管1の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や下水等であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0016】
本実施例におけるバイパス装置は、前述した管継手2及び制流体11と、後述するバイパス管12及び穿孔装置50を備える。このうち、流体管1の外周面1aに固定に取り付けられる管継手2は、流体管1における前記既設弁の上流側と下流側とに取り付けられる(図8参照)、いわゆる割T字管である。これら管継手2は、図1及び図2に示すように、流体管1に対して上方から配設され、流体管1の外周の上側を被覆する分岐部3と、流体管1に対して下方から配設され、流体管1の外周の下側を被覆するカバー体4と、から構成されている。これら分岐部3及びカバー体4は、高密度ポリエチレン等の熱融着可能な樹脂材により構成されている。
【0017】
分岐部3は、流体管1の上部における外周面1aに当接する当接部3aを備えている。流体管1の上部における外周面1aに当接する当接部3a内部には、電流が流れることで発熱する電熱線3bが、後述する流体管1に穿設される挿入孔1bの周囲を囲うように、当接部3a略全面に亘り連続して延設されている。電熱線3bの各端部は、外部電源と電気的に接続可能に分岐部3の外面に設けた接続部6に接続されている。
【0018】
また、分岐部3には、当接部3aに連続して流体管1の外径方向に向けてフランジ3c,3cが突出形成されている。これらフランジ3cの流体管1における管軸方向の幅寸法は、分岐部3の流体管1における管軸方向の幅寸法と略同一寸法に形成されている。これらフランジ3cの内部には、フランジ3c,3cの流体管1における管軸方向の略全長に亘って電熱線3dが延設されている。電熱線3dの各端部は、外部電源と電気的に接続可能にフランジ3c,3cの外面に設けた接続部7に接続されている。
【0019】
分岐部3の上部には、流体管1の管軸と略直交するように、流体管1における管軸方向に沿って上方に向けて分岐口3gが形成されている。分岐口3g内は、上下方向に向けて貫通形成されており、分岐口3gの上端部には、上フランジ3iが形成されている。また、分岐部3における流体管1の上端部と上フランジ3iとの間には、流体管1の側方に向けて接続孔3eが貫通形成されている。この接続孔3eには、バイパス管12の一端が接続されている。尚、本実施例におけるバイパス管12は、ゴム材やポリエチレンなど軟質樹脂等で構成されている。
【0020】
一方、カバー体4は、図1及び図2に示すように、分岐部3と略同一の流体管1における管軸方向の幅寸法を有し、流体管1の下部における外周面1aに当接する当接部4aを備えている。流体管1の下部における外周面1aに当接する当接部4a内部には、電流が流れることで発熱する電熱線4bが、当接部4a略全面に亘り連続して延設されている。電熱線4bの各端部は、外部電源と電気的に接続可能にカバー体4の外面に設けた接続部8に接続されている。
【0021】
また、カバー体4には、当接部4aに連続して流体管1の外径方向に向けてフランジ4c,4cが突出形成されている。これらフランジ4cの流体管1における管軸方向の幅寸法は、カバー体4の流体管1における管軸方向の幅寸法と略同一寸法に形成されている。
【0022】
これらフランジ4cは、カバー体4が流体管1に対して下方から配設されることで、分岐部3に形成されたフランジ3cに対して対向配置される。このように構成された管継手2を流体管1に対して取り付けるには、先ず、図1に示すように、分岐部3を流体管1に対して上方から配設するとともに、カバー体4を流体管1に対して下方から配設する。このとき、流体管1の挿入孔1b及び連通孔1cの穿設予定箇所(本実施例では流体管1の上部)に分岐口3gが連通するように分岐部3を配設する。
【0023】
次に、両フランジ3c,4cを図示しないボルト・ナットにより緊締し、フランジ3cとフランジ4cとを密着させる。尚、本実施例における当接部3a,4aには、図示しない係止爪が設けられている。このため、図示しないボルト・ナットを緊締してフランジ3cとフランジ4cとを密着させることで、当接部3a,4aの流体管1に向けての弾性変形がなされ、前記係止爪が流体管1の外周面1aに食い込む。これら前記係止爪が流体管1の外周面1aに食い込むことで、管継手2が流体管1に対して移動不能に仮固定される。
【0024】
次に、図示しない外部電源に接続されている電源ケーブルを分岐部3に形成された各接続部6,7及びカバー体4に形成された接続部8に接続し、前記外部電源から所定時間電源を供給する。電源供給された電熱線3b,3d,4bが高温に発熱することで、樹脂からなる当接部3a、4a及び当接部3a、4aに接触している流体管1の外周面1aと、フランジ3c,4c間と、を加熱し次第に溶融する。
【0025】
溶融された当接部3a、4a及び流体管1の外周面1aと、フランジ3c,4c間とは、互いに混ぜ合わされ、電熱線3b,3d,4bによる発熱を停止し常温に下がることで一体化して凝固する。このようにして、管継手2は、熱融着によって流体管1に対して水密に取り付けられる。
【0026】
そして、図8に示すように、同様の手順によりもう一方の管継手2を流体管1に対して水密に取り付け、流体管1における前記既設弁の上流側と下流側とに管継手2,2を、互いの分岐口3g,3g同士を対向させて配置する。次いで、流体管1の上流側に取り付けられた管継手2の接続孔4dにバイパス管12の一端を接続するとともに、流体管1の下流側に取り付けられた管継手2の接続孔4dにバイパス管12の他端を接続する。
【0027】
これらの管継手2と流体管1とを熱融着によって水密に取り付けることができ、また、流体管1を遮断する制流体11として汎用の遮断弁を使用してシール性能を向上させることができるので、不断流状態を維持するためのバイパス装置の構造を簡素にでき、且つその製造も容易にすることができる。
【0028】
次に、このように流体管1に対して取り付けられた各管継手2に対しての制流体11の取り付けについて説明する。尚、各管継手2及び制流体11は同一構成につき、一方の管継手2及び制流体11についてのみ説明する。
【0029】
先ず、図3及び図4に示すように、分岐口3gの上フランジ3iに、内部に作業弁36及び本発明における穿孔手段としての穿孔装置50を配設した上部ケース35を水密に接続する。穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐口3g内を流体管1に向け軸方向に伸出する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1の上部に分岐口3gを介して略円形の挿入孔1bを穿設する鋭利な穿孔刃52aを備えた環状の第1カッタ部材52と、第1カッタ部材52よりも流体管1の上流側に配置され、流体管1の上部に分岐口3gを介して略円形の連通孔1cを穿設する鋭利な穿孔刃53aを備えた第2カッタ部材53と、から主として構成されている。尚、第2カッタ部材53は、第1カッタ部材52よりも小径に形成されている。
【0030】
これら第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とは、互いの上端部を連結部54によって連結することで一体に構成されている。また、第1カッタ部材52の先端部である穿孔刃52aと第2カッタ部材53の先端部である穿孔刃53aとは、上下位置が同一となるように流体管1の径方向である下方に向けて延設されている。次に、これら第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53が構成された穿孔装置50による流体管1の穿孔について説明する。
【0031】
第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53は、前述したように一体に構成されているため、軸部材51の軸方向に伸出されることで、流体管1の上部における外周面1aに穿孔刃52a,53aを同時に当接させる。
【0032】
そして、継続して第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とが軸部材51の軸方向に伸出されることで、第1カッタ部材52は、流体管1の上部における外周面1aに押圧され、流体管1の管壁に挿入孔1bを穿設する。同時に、第2カッタ部材53は、流体管1における挿入孔1bよりも上流側にて、流体管1の上部における外周面1aに押圧され、流体管1の管壁に挿入孔1bよりも小径の連通孔1cを穿設する。
【0033】
尚、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53が流体管1の上部に挿入孔1b及び連通孔1cを穿設したことで生じた切片は、それぞれ第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53内に保持されるようになっている。
【0034】
穿孔装置50による挿入孔1b及び連通孔1cの穿設後は、図5に示すように、穿孔装置50を上方に引き上げて上部ケース35内に配置させた後、作業弁36を操作して分岐口3gの止水を行う。そして、穿孔装置50を上部ケース35の上端部から取り外すとともに、図5に示すように、上部ケース35の上端部に外カバー70を水密に接続する。この外カバー70は、側方に向けて一対の開口71,71を備えており、これら開口71,71は、蓋体72,72及びボルト・ナット73によって水密に閉塞されている。
【0035】
外カバー70の図示しない上端部からは、図示しないアームが上下動可能に取り付けられている。尚、該アームの下端部には、予め挿入孔1bを介して流体管1の管路を遮断若しくは開放するための制流体11が内部に配設された弁蓋60が中間部材75を介して接続されており、前記アームを外カバー70の前記上端部に取り付ける際に弁蓋60が外カバー70内に配置される。尚、前記アームと外カバー70の前記上端部との間は、図示しないゴム体によって水密に保持されている。更に尚、中間部材75は筒状に形成されており、内部に後述する回転操作部63aが挿通配置されている(図6参照)。
【0036】
外カバー70を上部ケース35の上端部に水密に接続した後は、分岐口3gと外カバー70とを開閉弁を有する図示しないホースやバイパス管等の連通部材によって接続する。そして、外カバー70の上端部に設けられた図示しない空気弁を開放するとともに、作業弁36を操作して分岐口3gを開放することで、外カバー70内及び分岐口3g内を流体管1内を流れていた上水で満たす。
【0037】
外カバー70内及び分岐口3g内が上水で満たされた後は、前記空気弁を閉塞し、前記開閉弁を開放して分岐口3gと外カバー70とを連通させることで、外カバー70内の水圧と分岐口3g内の水圧とを常時一定に保つとともに、弁蓋60を外カバー70に予め取り付けた押圧手段(図示略)により不断水状態で押圧することで、分岐口3gの上フランジ3iに弁蓋60を密封状に組み付ける。
【0038】
このとき、分岐口3g内と外カバー70内とは、流体管1内を流れる上水で満たされて同一の水圧となるので、弁蓋60を上フランジ3iに組み付ける際に流体管1内を流れる上水から弁蓋60が受ける抗力を小さく抑えることができる。弁蓋60を上フランジ3iに組み付けた後は、蓋体72,72を取り外し、開口71,71を介して弁蓋60から中間部材75を分離する。
【0039】
図5及び図6に示すように、弁蓋60は、分岐口3gの内径より小径の外径を有しており、弁蓋60の下部の外周に沿って設けられたOリング61により、分岐口3gの内周面に沿って水密に嵌挿されている。また弁蓋60を定置させるように分岐口3gの外方から固定ボルト62を螺挿することで弁蓋60の位置固定を行う。固定ボルト62は、弁蓋60に対して螺挿されることで、弁蓋60を上下方向に規制している。
【0040】
図6に示すように、回転ネジ63は、弁蓋60の頂部に穿設された挿通孔64に回転自在に貫通して、上端部を弁蓋60の外部に突出して取り付けられている。押え板65は、弁蓋60の上端面にボルト66で固定され、回転ネジ63の抜出しを阻止する。上記構成により、回転ネジ63は弁蓋60に対し正逆両方向に回転自在であるが上下動はしない。63bは、回転ネジ63の上端部を除いて略全長に亘ってその周面が螺設されたネジ部である。
【0041】
図5及び図6に示すように、ネジこま67は、制流体11の上端部に形成されたガイド溝69に嵌合するとともに、ネジ部63bに螺合しており、回転ネジ63の上端部に形成された回転操作部63aの回転に応じネジ部63bが回転することで、ネジ部63bに沿って螺挿するネジこま67に追随して制流体11が上下動可能となる。
【0042】
図7に示すように、制流体11には、回転ネジ63のネジ部63bを挿入する挿入孔68が形成されている。また、制流体11における上下流側の外面に、上下方向に沿った張出部11a,11aが、弁蓋60若しくは分岐口3gの内面に設けられた溝部60aに沿って摺接可能に上下方向に延設されている。このように構成された張出部11a,11aが溝部60aに当接することで、回転ネジ63の回転に伴う制流体11の回転を規制されるため、制流体11に曲げや捻れが生じることを防止できるようになっている。
【0043】
このように制流体11が取り付けられた弁蓋60を、作業弁36が開放された後に前記外カバーに予め取り付けた前記押圧手段により分岐口3gに向けて不断水状態で押圧することで、流体管1内を流れる上水から弁蓋60が受ける抗力を小さく抑えながら弁蓋60を分岐口3gの上フランジ3iに密封状に組付け、固定ボルト62を弁蓋60に螺挿する。
【0044】
更に、前記連通部材の開閉弁を閉塞するとともに、上フランジ3i上から上部ケース35及び外カバー70を取り外す。最後に、リング状のフランジ56を弁蓋60に挿入し、ボルト・ナット57でフランジ56と分岐口3gとを締結する。
【0045】
以後、制流体11は、図6及び図7に示すように、図示しないハンドルによる回転操作部63aの回転によって下方に移動することで流体管1の内周面及び挿入孔1bの内周面の全周に亘って弾性変形しながら水密に当接して流体管1の管路を遮断するとともに、前記ハンドルによる回転操作部63aの回転によって上方に移動することで流体管1の管路を開放可能となる。
【0046】
そして、図8に示すように、もう一方の管継手2においても穿孔装置50を用いて挿入孔1b及び連通孔1cを穿設し、両管継手2,2間を、バイパス管12を介して連通させるとともに、分岐口3gの上フランジ3iに制流体11が内部に配設された弁蓋60を組み付け、制流体11により流体管1の管路を開閉可能とする。
【0047】
一方、接続孔3eに接続されているバイパス管12は、上記した制流体11による流体管1の管路の開閉に拘らず、制流体11が挿入される挿入孔1bとは個別に流体管1に穿設された連通孔1cを介して、常に流体管1内から上水が流入する。尚、本実施例におけるバイパス管12の所定箇所には、バイパス管12の管壁を径方向に挟圧することでバイパス管12内を流れる上水の量を制限するためのスクイズ工具13が取り付けられている。このため、流体管1の管路の開放時には、このスクイズ工具13によりバイパス管12内を挟圧することで、バイパス管12を介すること無く上水を流体管1のみで給水することが可能となっている。
【0048】
更に尚、本実施例では、バイパス管12をゴム材やポリエチレンなど軟質樹脂等で構成し、バイパス管12の所定箇所をスクイズ工具13にて挟圧することでバイパス管12内を流れる上水の流量を調整しているが、バイパス管を金属や硬質樹脂等で構成するとともに、バイパス管12の所定箇所にバイパス管の流路を開閉可能なバルブを取り付けることでバイパス管内を流れる上水の流量を調整するようにしてもよい。
【0049】
このようにすることで、流体管1における両管継手2間にて前記既設弁の交換作業等を行う場合には、両制流体11,11間の流路を閉止することが可能となる。そして、流体管1内を流れる上水は、両制流体11,11間をバイパス管12を介して迂回することができるので、流体管1の接続先である一般家庭等では、断水すること無く上水を使用することができる。
【0050】
尚、本実施例では、前述したように、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とを近接配置させ、両上端部を連結する連結部54を介して第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とを一体に構成したが、本実施例の変形例として、図9(a)及び図9(b)に示すように、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53との間に介在している連結部54から、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53の穿孔刃52a,53aと上下高さ位置が同一となるように直線状の穿孔刃55aを形成した第3カッタ部材55を延設するようにしてもよい。
【0051】
この場合には、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53が挿入孔1b及び連通孔1cを流体管1の管壁に穿設すると同時に、第3カッタ部材55が流体管1の管壁に、挿入孔1bと連通孔1cとを連通させる図示しないスリット状のスリット孔を穿設する。このため、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53は、連結部54を前記スリット孔に通過させることで、流体管1内に深く進入しながら挿入孔1b及び連通孔1cを穿設することができる。尚、前述した変形例に替えて、例えば第1カッタ部材と第2カッタ部材とを、互いの穿孔刃が接するように近接配置することで、挿入孔と連通孔とを連通させてもよいし、あるいは、穿孔刃が略円環状に形成された第1カッタ部材に対し、穿孔刃が一部切り欠かれた切欠部を有する略円弧状に形成された第2カッタ部材が、前記切欠部を第1カッタ部材の穿孔刃に向けて近接配置することで、挿入孔と連通孔とを連通させても構わない。
【0052】
以上、本実施例におけるバイパス装置にあっては、流体管1の流路を遮断する制流体11を挿入するための挿入孔1bを流体管1の外周面1aに穿設する穿孔装置50を少なくとも備え、穿孔装置50は流体管1とバイパス管12とを連通させる連通孔1cを、挿入孔1bとは独立して流体管1の外周面1aに穿設するので、流体管1の流路の遮断時に、挿入孔1bが連通孔1cと別個独立しているため、制流体11は、挿入孔1bに合わせて制流体11を用いることで、バイパス管12のための連通孔1cに干渉されることが無いので、流体管1の流路を遮断できるのであればよく、汎用の遮断弁を使用することができ、流路の遮断時における制流体11のシール性能の向上を図ることができる。また、連通孔1cの大きさや形状を任意に設定することができる。
【0053】
また、穿孔装置50は、流体管1の外周面1aにおける同一側に挿入孔1bと連通孔1cとを穿設するので、挿入孔1bと連通孔1cの穿設を穿孔装置50の向きを変える事無く同一方向から行うことができるので、挿入孔1bと連通孔1cの穿設を容易に行うことができる。
【0054】
また、穿孔装置50は、挿入孔1bを穿設する第1カッタ部材52と、連通孔1cを穿設する第2カッタ部材53と、を一体に構成しているので、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53との位置関係を保ったまま一括して挿入孔1b及び連通孔1cをより正確に穿設することができる。
【0055】
また、挿入孔1bは略円形に形成されており、変形例で示したように連通孔1cは挿入孔1bに連通することで、制流体11が挿入孔1bの内周面に確実に密着することができ、また、連通孔1cが挿入孔1bに対して離れた位置に穿設される場合でも、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とをする連結部54を、連通孔53と挿入孔52とを連通する部分を利用して通過させることにより、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とを流体管1内に深く進入させて挿入孔1bと連通孔1cとを穿設することができる。
【0056】
また、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53は、流体管1の外周面1aを同時に穿孔するので、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53に力を均一に加えることができるので、正確に流体管1に対して挿入孔1bと連通孔1cとを穿設することができる。
【0057】
また、バイパス装置は、流体管1における管軸方向の所定箇所にそれぞれ一対に取り付けられ、一対のバイパス装置のバイパス管12同士が連通状態で接続されているので、流体管1の所定箇所にバイパス装置を一対に取り付けることで、これらバイパス装置間の流体管1の管路を制流体11によって遮断しながら、バイパス管12を介して流体の不断流状態を維持することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、実施例2に係るバイパス装置につき、図10から図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。図10及び図11に示すように、分岐部3の上部には、流体管1の管軸と略直交するように、流体管1における管軸方向に沿って上方に向けて第1分岐口3jが形成されている。この第1分岐口3jよりも分岐部3の流体管1における上流側には、第1分岐口3jと略同一構成をなす第2分岐口3kが形成されている。
【0059】
これら第1分岐口3j及び第2分岐口3kは、上端部に共通の上フランジ3iを有している。また、第2分岐口3kにおける流体管1の上端部と上フランジ3iとの間には、流体管1の径方向に向けて接続孔3mが貫通形成されている。更に、本実施例における第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’は、略同一寸法の径を有している。これら第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’は、軸部材51の先端に固設された二股のアタッチメント58を介してそれぞれ軸部材51に接続されている。
【0060】
このように第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’が軸部材51に取り付けられた状態で、第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’を軸部材51の軸方向に伸出させることで、第1カッタ部材52’を第1分岐口3j内に挿入させていき、穿孔刃52a’により流体管1の管壁に挿入孔1bを穿設する。同時に、第2カッタ部材53’を第2分岐口3k内に挿入させていき、穿孔刃53a’により流体管1の管壁に挿入孔1bと略同一径の連通孔1c’を穿設する。
【0061】
流体管1に挿入孔1b及び連通孔1c’の穿設後は、穿孔装置50を引き上げた後、第1分岐口3jに対して制流体11が内部に配設された弁蓋60’を取り付ける。尚、本実施例の弁蓋60’は、流体管1の上流側に第2分岐口3kを密封状に閉塞するための蓋体60bが併設されている。このため、弁蓋60’は、第1分岐口3jに取り付けられた後、ボルト・ナット57でリング状のフランジ56と第1分岐口3j及び第2分岐口3kとを締結されることで、第1分岐口3j及び第2分岐口3kを閉塞する。
【0062】
以後、制流体11は、図11に示すように、図示しないハンドルによる回転操作部63aの回転によって下方に移動することで流体管1の内周面に弾性変形しながら水密に当接して流体管1の管路を遮断するとともに、前記ハンドルによる回転操作部63aの回転によって上方に移動することで流体管1の管路を開放可能となる。
【0063】
また、連通孔1c’は、挿入孔1bと略同一の径で流体管1に穿設されるため、流体管1の所定箇所に取り付けられる両管継手2,2間でのバイパス管12の上水の流量を、流路が開放されている状態での流体管1の上水の流量に近づけることができる。
【0064】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0065】
例えば、前記実施例では、分岐部3とカバー体4とを熱融着することで、管継手2の流体管1に対しての取り付けを行ったが、例えば、フランジ3c,4cを緊締したことで当接部3a,4aと流体管1の外周面1aに生じる摩擦力によって管継手2の流体管1に対しての取り付けを行うようにしてもよい。
【0066】
また、前記実施例では、管継手2を分岐部3とカバー体4とで構成したが、挿入孔1b及び連通孔1cの周囲を密封しつつ流体管1に対して固着可能であれば、管継手2を分岐部3のみで構成してもよい。
【0067】
また、前記実施例では、管継手2を構成する分岐部3及びカバー体4を高密度ポリエチレン等の熱融着可能な樹脂材により構成したが、例えば、これら分岐部若しくはカバー体の一部又は全部を金属で構成することで、管継手の強度を向上させるようにしてもよい。
【0068】
また、前記実施例では、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53の穿孔刃52a,53aを流体管1の外周面1aに押圧することで挿入孔1b及び連通孔1cを穿設したが、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53をそれぞれ個別に駆動モータ等の動力によって回転駆動させることで流体管1の管壁を切断し、挿入孔1b及び連通孔1cを穿設するようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施例では、流体管1は、断面視略円形状に形成された高密度ポリエチレン等の樹脂製管であるが、本発明に係るバイパス装置が取り付けられる対象となる流体管の材質は、前記実施例に限られず、例えば塩化ビニール等の他の素材からなる樹脂製管であってもよく、樹脂製以外の金属製管であってもよい。尚、流体管が金属製管である場合には、前述した駆動モータ等の動力によって第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53を回転駆動させて流体管の管壁を切断する。
【0070】
また、前記実施例では、流体管1に対して挿入孔1b及び連通孔1cを円形に穿設したが、挿入孔1b及び連通孔1cの形状は円形に限らず、四角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 流体管
1a 外周面
1b 挿入孔
1c,1c’ 連通孔
2 管継手
11 制流体
12 バイパス管
50 穿孔装置(穿孔手段)
52,52’ 第1カッタ部材
53,53’ 第2カッタ部材
54 連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に接続されるバイパス管を介し流体管の不断流状態を維持するバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の仕切り用弁装置(バイパス装置)は、管(流体管)の貫通孔(挿入孔)が形成されている部分の管外周面を密閉状に囲繞する密閉ケース(管継手)と、この密閉ケース内に収容されている仕切り用弁体(制流体)と、を備えており、仕切り用弁体は、貫通孔を介して管内に挿入配置されることで管の流路を遮断するとともに、流体は、流体管の上流側にて仕切り用弁体と貫通孔との間に形成された間隙を介することで、密閉ケースに接続された分岐配管(バイパス管)に向けて流路を変更しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3570742号公報(第5頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバイパス装置にあっては、仕切り用弁体(制流体)により管(流体管)の流路を仕切る際に貫通孔(挿入孔)と仕切り用弁体との間に流体が分岐配管(バイパス管)に向けて流れるよう間隙を形成するように仕切り用弁体の形状が形成されているため、仕切り用弁体の向きを流体管に対して確実に位置決めしなければ、仕切り用弁体が管の流路を遮断するための十分なシール性能を得ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、制流体が十分なシール性能を得ることができるバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のバイパス装置は、
管継手に接続されるバイパス管を介し流体管の不断流状態を維持するバイパス装置であって、
前記流体管の流路を遮断する制流体を挿入するための挿入孔を前記流体管の外周面に穿設する穿孔手段を少なくとも備え、前記穿孔手段は、前記流体管と前記バイパス管とを連通させる連通孔を、前記挿入孔とは独立して前記流体管の外周面に穿設することを特徴としている。
この特徴によれば、流体管の流路の遮断時に、挿入孔が連通孔と別個独立しているため、制流体は、バイパス管のための連通孔に干渉されることが無いので、流体管の流路を遮断できるのであればよく、汎用の遮断弁を使用することができ、流路の遮断時における制流体のシール性能の向上を図ることができる。また、連通孔の大きさや形状を任意に設定することができる。
【0007】
本発明のバイパス装置は、
前記穿孔手段は、前記流体管の外周面における同一側に前記挿入孔と前記連通孔とを穿設することを特徴としている。
この特徴によれば、挿入孔と連通孔の穿設を穿孔手段の向きを変える事無く同一方向から行うことができるので、挿入孔と連通孔の穿設を容易に行うことができる。
【0008】
本発明のバイパス装置は、
前記穿孔手段は、前記挿入孔を穿設する第1カッタ部材と、前記連通孔を穿設する第2カッタ部材と、を一体に構成していることを特徴としている。
この特徴によれば、第1カッタ部材と第2カッタ部材との位置関係を保ったまま一括して挿入孔及び連通孔をより正確に穿設することができる。
【0009】
本発明のバイパス装置は、
前記挿入孔は略円形に形成されており、前記連通孔は前記挿入孔に連通することを特徴としている。
この特徴によれば、挿入孔が略円形に形成されているので、制流体が挿入孔の内周面に確実に密着することができ、また、連通孔が挿入孔に対して離れた位置に穿設される場合でも、第1カッタ部材と第2カッタ部材とをする連結部を、連通孔と挿入孔とを連通する部分を利用して通過させることにより、第1カッタ部材と第2カッタ部材とを流体管内に深く進入させて挿入孔と連通孔とを穿設することができる。
【0010】
本発明のバイパス装置は、
前記第1カッタ部材及び前記第2カッタ部材は、流体管の外周面を同時に穿孔することを特徴としている。
この特徴によれば、第1カッタ部材と第2カッタ部材に力を均一に加えることができるので、正確に流体管に対して挿入孔と連通孔とを穿設することができる。
【0011】
本発明の流体管は、
請求項1ないし5のいずれかに記載のバイパス装置が管軸方向の所定箇所にそれぞれ一対に取り付けられ、該一対のバイパス装置のバイパス管同士が連通状態で接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、流体管の所定箇所にバイパス装置を一対に取り付けることで、これらバイパス装置間の流体管の管路を制流体によって遮断しながら、バイパス管を介して流体の不断流状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における管継手を流体管に配設した状態を示す断面図である。
【図2】管継手を流体管に配設した状態を示す側断面図である。
【図3】流体管に挿入孔及び連通孔が穿設された状態を示す断面図である。
【図4】流体管に挿入孔及び連通孔が穿設された状態を示す側断面図である。
【図5】分岐口への制流体を収納した弁蓋の取り付けを示す断面図である。
【図6】分岐口に弁蓋が取り付けられた状態を示す断面図である。
【図7】分岐口に弁蓋が取り付けられた状態を示す側断面図である
【図8】流体管に取り付けた2つの管継手を利用して両管継手に亘ってバイパス管を取り付けた状態を示す平面図である。
【図9】(a)は、変形例における第1カッタ部材及び第2カッタ部材を示す一部破断側面図であり、(b)は、第1カッタ部材及び第2カッタ部材を示す底面図である。
【図10】実施例2における流体管に挿入孔及び連通孔が穿設された状態を示す側断面図である。
【図11】分岐口に弁蓋が取り付けられた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るバイパス装置及びバイパス装置を備えた流体管を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係るバイパス装置につき、図1から図9を参照して説明する。図1に示すように、本実施例1の流体管1は、断面視略円形状に形成された高密度ポリエチレン等の樹脂製管から成り、内部には流体としての上水が流れている。この流体管1から、例えば、故障等の不具合を生じた既設弁を交換するために、図8に示すように、該既設弁よりも上流側及び下流側に管継手2を取り付け、これら管継手2に取り付けられる制流体11によって流体管1の管路を遮断することで流体管1の前記既設弁の取り付けられている箇所を一時的に断水し、前記既設弁の交換を行い易くするようになっている。
【0015】
尚、流体管1の材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂或いは所定の樹脂から成る熱融着可能なものでもよい。更に尚、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管1の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や下水等であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0016】
本実施例におけるバイパス装置は、前述した管継手2及び制流体11と、後述するバイパス管12及び穿孔装置50を備える。このうち、流体管1の外周面1aに固定に取り付けられる管継手2は、流体管1における前記既設弁の上流側と下流側とに取り付けられる(図8参照)、いわゆる割T字管である。これら管継手2は、図1及び図2に示すように、流体管1に対して上方から配設され、流体管1の外周の上側を被覆する分岐部3と、流体管1に対して下方から配設され、流体管1の外周の下側を被覆するカバー体4と、から構成されている。これら分岐部3及びカバー体4は、高密度ポリエチレン等の熱融着可能な樹脂材により構成されている。
【0017】
分岐部3は、流体管1の上部における外周面1aに当接する当接部3aを備えている。流体管1の上部における外周面1aに当接する当接部3a内部には、電流が流れることで発熱する電熱線3bが、後述する流体管1に穿設される挿入孔1bの周囲を囲うように、当接部3a略全面に亘り連続して延設されている。電熱線3bの各端部は、外部電源と電気的に接続可能に分岐部3の外面に設けた接続部6に接続されている。
【0018】
また、分岐部3には、当接部3aに連続して流体管1の外径方向に向けてフランジ3c,3cが突出形成されている。これらフランジ3cの流体管1における管軸方向の幅寸法は、分岐部3の流体管1における管軸方向の幅寸法と略同一寸法に形成されている。これらフランジ3cの内部には、フランジ3c,3cの流体管1における管軸方向の略全長に亘って電熱線3dが延設されている。電熱線3dの各端部は、外部電源と電気的に接続可能にフランジ3c,3cの外面に設けた接続部7に接続されている。
【0019】
分岐部3の上部には、流体管1の管軸と略直交するように、流体管1における管軸方向に沿って上方に向けて分岐口3gが形成されている。分岐口3g内は、上下方向に向けて貫通形成されており、分岐口3gの上端部には、上フランジ3iが形成されている。また、分岐部3における流体管1の上端部と上フランジ3iとの間には、流体管1の側方に向けて接続孔3eが貫通形成されている。この接続孔3eには、バイパス管12の一端が接続されている。尚、本実施例におけるバイパス管12は、ゴム材やポリエチレンなど軟質樹脂等で構成されている。
【0020】
一方、カバー体4は、図1及び図2に示すように、分岐部3と略同一の流体管1における管軸方向の幅寸法を有し、流体管1の下部における外周面1aに当接する当接部4aを備えている。流体管1の下部における外周面1aに当接する当接部4a内部には、電流が流れることで発熱する電熱線4bが、当接部4a略全面に亘り連続して延設されている。電熱線4bの各端部は、外部電源と電気的に接続可能にカバー体4の外面に設けた接続部8に接続されている。
【0021】
また、カバー体4には、当接部4aに連続して流体管1の外径方向に向けてフランジ4c,4cが突出形成されている。これらフランジ4cの流体管1における管軸方向の幅寸法は、カバー体4の流体管1における管軸方向の幅寸法と略同一寸法に形成されている。
【0022】
これらフランジ4cは、カバー体4が流体管1に対して下方から配設されることで、分岐部3に形成されたフランジ3cに対して対向配置される。このように構成された管継手2を流体管1に対して取り付けるには、先ず、図1に示すように、分岐部3を流体管1に対して上方から配設するとともに、カバー体4を流体管1に対して下方から配設する。このとき、流体管1の挿入孔1b及び連通孔1cの穿設予定箇所(本実施例では流体管1の上部)に分岐口3gが連通するように分岐部3を配設する。
【0023】
次に、両フランジ3c,4cを図示しないボルト・ナットにより緊締し、フランジ3cとフランジ4cとを密着させる。尚、本実施例における当接部3a,4aには、図示しない係止爪が設けられている。このため、図示しないボルト・ナットを緊締してフランジ3cとフランジ4cとを密着させることで、当接部3a,4aの流体管1に向けての弾性変形がなされ、前記係止爪が流体管1の外周面1aに食い込む。これら前記係止爪が流体管1の外周面1aに食い込むことで、管継手2が流体管1に対して移動不能に仮固定される。
【0024】
次に、図示しない外部電源に接続されている電源ケーブルを分岐部3に形成された各接続部6,7及びカバー体4に形成された接続部8に接続し、前記外部電源から所定時間電源を供給する。電源供給された電熱線3b,3d,4bが高温に発熱することで、樹脂からなる当接部3a、4a及び当接部3a、4aに接触している流体管1の外周面1aと、フランジ3c,4c間と、を加熱し次第に溶融する。
【0025】
溶融された当接部3a、4a及び流体管1の外周面1aと、フランジ3c,4c間とは、互いに混ぜ合わされ、電熱線3b,3d,4bによる発熱を停止し常温に下がることで一体化して凝固する。このようにして、管継手2は、熱融着によって流体管1に対して水密に取り付けられる。
【0026】
そして、図8に示すように、同様の手順によりもう一方の管継手2を流体管1に対して水密に取り付け、流体管1における前記既設弁の上流側と下流側とに管継手2,2を、互いの分岐口3g,3g同士を対向させて配置する。次いで、流体管1の上流側に取り付けられた管継手2の接続孔4dにバイパス管12の一端を接続するとともに、流体管1の下流側に取り付けられた管継手2の接続孔4dにバイパス管12の他端を接続する。
【0027】
これらの管継手2と流体管1とを熱融着によって水密に取り付けることができ、また、流体管1を遮断する制流体11として汎用の遮断弁を使用してシール性能を向上させることができるので、不断流状態を維持するためのバイパス装置の構造を簡素にでき、且つその製造も容易にすることができる。
【0028】
次に、このように流体管1に対して取り付けられた各管継手2に対しての制流体11の取り付けについて説明する。尚、各管継手2及び制流体11は同一構成につき、一方の管継手2及び制流体11についてのみ説明する。
【0029】
先ず、図3及び図4に示すように、分岐口3gの上フランジ3iに、内部に作業弁36及び本発明における穿孔手段としての穿孔装置50を配設した上部ケース35を水密に接続する。穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐口3g内を流体管1に向け軸方向に伸出する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1の上部に分岐口3gを介して略円形の挿入孔1bを穿設する鋭利な穿孔刃52aを備えた環状の第1カッタ部材52と、第1カッタ部材52よりも流体管1の上流側に配置され、流体管1の上部に分岐口3gを介して略円形の連通孔1cを穿設する鋭利な穿孔刃53aを備えた第2カッタ部材53と、から主として構成されている。尚、第2カッタ部材53は、第1カッタ部材52よりも小径に形成されている。
【0030】
これら第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とは、互いの上端部を連結部54によって連結することで一体に構成されている。また、第1カッタ部材52の先端部である穿孔刃52aと第2カッタ部材53の先端部である穿孔刃53aとは、上下位置が同一となるように流体管1の径方向である下方に向けて延設されている。次に、これら第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53が構成された穿孔装置50による流体管1の穿孔について説明する。
【0031】
第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53は、前述したように一体に構成されているため、軸部材51の軸方向に伸出されることで、流体管1の上部における外周面1aに穿孔刃52a,53aを同時に当接させる。
【0032】
そして、継続して第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とが軸部材51の軸方向に伸出されることで、第1カッタ部材52は、流体管1の上部における外周面1aに押圧され、流体管1の管壁に挿入孔1bを穿設する。同時に、第2カッタ部材53は、流体管1における挿入孔1bよりも上流側にて、流体管1の上部における外周面1aに押圧され、流体管1の管壁に挿入孔1bよりも小径の連通孔1cを穿設する。
【0033】
尚、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53が流体管1の上部に挿入孔1b及び連通孔1cを穿設したことで生じた切片は、それぞれ第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53内に保持されるようになっている。
【0034】
穿孔装置50による挿入孔1b及び連通孔1cの穿設後は、図5に示すように、穿孔装置50を上方に引き上げて上部ケース35内に配置させた後、作業弁36を操作して分岐口3gの止水を行う。そして、穿孔装置50を上部ケース35の上端部から取り外すとともに、図5に示すように、上部ケース35の上端部に外カバー70を水密に接続する。この外カバー70は、側方に向けて一対の開口71,71を備えており、これら開口71,71は、蓋体72,72及びボルト・ナット73によって水密に閉塞されている。
【0035】
外カバー70の図示しない上端部からは、図示しないアームが上下動可能に取り付けられている。尚、該アームの下端部には、予め挿入孔1bを介して流体管1の管路を遮断若しくは開放するための制流体11が内部に配設された弁蓋60が中間部材75を介して接続されており、前記アームを外カバー70の前記上端部に取り付ける際に弁蓋60が外カバー70内に配置される。尚、前記アームと外カバー70の前記上端部との間は、図示しないゴム体によって水密に保持されている。更に尚、中間部材75は筒状に形成されており、内部に後述する回転操作部63aが挿通配置されている(図6参照)。
【0036】
外カバー70を上部ケース35の上端部に水密に接続した後は、分岐口3gと外カバー70とを開閉弁を有する図示しないホースやバイパス管等の連通部材によって接続する。そして、外カバー70の上端部に設けられた図示しない空気弁を開放するとともに、作業弁36を操作して分岐口3gを開放することで、外カバー70内及び分岐口3g内を流体管1内を流れていた上水で満たす。
【0037】
外カバー70内及び分岐口3g内が上水で満たされた後は、前記空気弁を閉塞し、前記開閉弁を開放して分岐口3gと外カバー70とを連通させることで、外カバー70内の水圧と分岐口3g内の水圧とを常時一定に保つとともに、弁蓋60を外カバー70に予め取り付けた押圧手段(図示略)により不断水状態で押圧することで、分岐口3gの上フランジ3iに弁蓋60を密封状に組み付ける。
【0038】
このとき、分岐口3g内と外カバー70内とは、流体管1内を流れる上水で満たされて同一の水圧となるので、弁蓋60を上フランジ3iに組み付ける際に流体管1内を流れる上水から弁蓋60が受ける抗力を小さく抑えることができる。弁蓋60を上フランジ3iに組み付けた後は、蓋体72,72を取り外し、開口71,71を介して弁蓋60から中間部材75を分離する。
【0039】
図5及び図6に示すように、弁蓋60は、分岐口3gの内径より小径の外径を有しており、弁蓋60の下部の外周に沿って設けられたOリング61により、分岐口3gの内周面に沿って水密に嵌挿されている。また弁蓋60を定置させるように分岐口3gの外方から固定ボルト62を螺挿することで弁蓋60の位置固定を行う。固定ボルト62は、弁蓋60に対して螺挿されることで、弁蓋60を上下方向に規制している。
【0040】
図6に示すように、回転ネジ63は、弁蓋60の頂部に穿設された挿通孔64に回転自在に貫通して、上端部を弁蓋60の外部に突出して取り付けられている。押え板65は、弁蓋60の上端面にボルト66で固定され、回転ネジ63の抜出しを阻止する。上記構成により、回転ネジ63は弁蓋60に対し正逆両方向に回転自在であるが上下動はしない。63bは、回転ネジ63の上端部を除いて略全長に亘ってその周面が螺設されたネジ部である。
【0041】
図5及び図6に示すように、ネジこま67は、制流体11の上端部に形成されたガイド溝69に嵌合するとともに、ネジ部63bに螺合しており、回転ネジ63の上端部に形成された回転操作部63aの回転に応じネジ部63bが回転することで、ネジ部63bに沿って螺挿するネジこま67に追随して制流体11が上下動可能となる。
【0042】
図7に示すように、制流体11には、回転ネジ63のネジ部63bを挿入する挿入孔68が形成されている。また、制流体11における上下流側の外面に、上下方向に沿った張出部11a,11aが、弁蓋60若しくは分岐口3gの内面に設けられた溝部60aに沿って摺接可能に上下方向に延設されている。このように構成された張出部11a,11aが溝部60aに当接することで、回転ネジ63の回転に伴う制流体11の回転を規制されるため、制流体11に曲げや捻れが生じることを防止できるようになっている。
【0043】
このように制流体11が取り付けられた弁蓋60を、作業弁36が開放された後に前記外カバーに予め取り付けた前記押圧手段により分岐口3gに向けて不断水状態で押圧することで、流体管1内を流れる上水から弁蓋60が受ける抗力を小さく抑えながら弁蓋60を分岐口3gの上フランジ3iに密封状に組付け、固定ボルト62を弁蓋60に螺挿する。
【0044】
更に、前記連通部材の開閉弁を閉塞するとともに、上フランジ3i上から上部ケース35及び外カバー70を取り外す。最後に、リング状のフランジ56を弁蓋60に挿入し、ボルト・ナット57でフランジ56と分岐口3gとを締結する。
【0045】
以後、制流体11は、図6及び図7に示すように、図示しないハンドルによる回転操作部63aの回転によって下方に移動することで流体管1の内周面及び挿入孔1bの内周面の全周に亘って弾性変形しながら水密に当接して流体管1の管路を遮断するとともに、前記ハンドルによる回転操作部63aの回転によって上方に移動することで流体管1の管路を開放可能となる。
【0046】
そして、図8に示すように、もう一方の管継手2においても穿孔装置50を用いて挿入孔1b及び連通孔1cを穿設し、両管継手2,2間を、バイパス管12を介して連通させるとともに、分岐口3gの上フランジ3iに制流体11が内部に配設された弁蓋60を組み付け、制流体11により流体管1の管路を開閉可能とする。
【0047】
一方、接続孔3eに接続されているバイパス管12は、上記した制流体11による流体管1の管路の開閉に拘らず、制流体11が挿入される挿入孔1bとは個別に流体管1に穿設された連通孔1cを介して、常に流体管1内から上水が流入する。尚、本実施例におけるバイパス管12の所定箇所には、バイパス管12の管壁を径方向に挟圧することでバイパス管12内を流れる上水の量を制限するためのスクイズ工具13が取り付けられている。このため、流体管1の管路の開放時には、このスクイズ工具13によりバイパス管12内を挟圧することで、バイパス管12を介すること無く上水を流体管1のみで給水することが可能となっている。
【0048】
更に尚、本実施例では、バイパス管12をゴム材やポリエチレンなど軟質樹脂等で構成し、バイパス管12の所定箇所をスクイズ工具13にて挟圧することでバイパス管12内を流れる上水の流量を調整しているが、バイパス管を金属や硬質樹脂等で構成するとともに、バイパス管12の所定箇所にバイパス管の流路を開閉可能なバルブを取り付けることでバイパス管内を流れる上水の流量を調整するようにしてもよい。
【0049】
このようにすることで、流体管1における両管継手2間にて前記既設弁の交換作業等を行う場合には、両制流体11,11間の流路を閉止することが可能となる。そして、流体管1内を流れる上水は、両制流体11,11間をバイパス管12を介して迂回することができるので、流体管1の接続先である一般家庭等では、断水すること無く上水を使用することができる。
【0050】
尚、本実施例では、前述したように、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とを近接配置させ、両上端部を連結する連結部54を介して第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とを一体に構成したが、本実施例の変形例として、図9(a)及び図9(b)に示すように、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53との間に介在している連結部54から、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53の穿孔刃52a,53aと上下高さ位置が同一となるように直線状の穿孔刃55aを形成した第3カッタ部材55を延設するようにしてもよい。
【0051】
この場合には、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53が挿入孔1b及び連通孔1cを流体管1の管壁に穿設すると同時に、第3カッタ部材55が流体管1の管壁に、挿入孔1bと連通孔1cとを連通させる図示しないスリット状のスリット孔を穿設する。このため、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53は、連結部54を前記スリット孔に通過させることで、流体管1内に深く進入しながら挿入孔1b及び連通孔1cを穿設することができる。尚、前述した変形例に替えて、例えば第1カッタ部材と第2カッタ部材とを、互いの穿孔刃が接するように近接配置することで、挿入孔と連通孔とを連通させてもよいし、あるいは、穿孔刃が略円環状に形成された第1カッタ部材に対し、穿孔刃が一部切り欠かれた切欠部を有する略円弧状に形成された第2カッタ部材が、前記切欠部を第1カッタ部材の穿孔刃に向けて近接配置することで、挿入孔と連通孔とを連通させても構わない。
【0052】
以上、本実施例におけるバイパス装置にあっては、流体管1の流路を遮断する制流体11を挿入するための挿入孔1bを流体管1の外周面1aに穿設する穿孔装置50を少なくとも備え、穿孔装置50は流体管1とバイパス管12とを連通させる連通孔1cを、挿入孔1bとは独立して流体管1の外周面1aに穿設するので、流体管1の流路の遮断時に、挿入孔1bが連通孔1cと別個独立しているため、制流体11は、挿入孔1bに合わせて制流体11を用いることで、バイパス管12のための連通孔1cに干渉されることが無いので、流体管1の流路を遮断できるのであればよく、汎用の遮断弁を使用することができ、流路の遮断時における制流体11のシール性能の向上を図ることができる。また、連通孔1cの大きさや形状を任意に設定することができる。
【0053】
また、穿孔装置50は、流体管1の外周面1aにおける同一側に挿入孔1bと連通孔1cとを穿設するので、挿入孔1bと連通孔1cの穿設を穿孔装置50の向きを変える事無く同一方向から行うことができるので、挿入孔1bと連通孔1cの穿設を容易に行うことができる。
【0054】
また、穿孔装置50は、挿入孔1bを穿設する第1カッタ部材52と、連通孔1cを穿設する第2カッタ部材53と、を一体に構成しているので、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53との位置関係を保ったまま一括して挿入孔1b及び連通孔1cをより正確に穿設することができる。
【0055】
また、挿入孔1bは略円形に形成されており、変形例で示したように連通孔1cは挿入孔1bに連通することで、制流体11が挿入孔1bの内周面に確実に密着することができ、また、連通孔1cが挿入孔1bに対して離れた位置に穿設される場合でも、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とをする連結部54を、連通孔53と挿入孔52とを連通する部分を利用して通過させることにより、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53とを流体管1内に深く進入させて挿入孔1bと連通孔1cとを穿設することができる。
【0056】
また、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53は、流体管1の外周面1aを同時に穿孔するので、第1カッタ部材52と第2カッタ部材53に力を均一に加えることができるので、正確に流体管1に対して挿入孔1bと連通孔1cとを穿設することができる。
【0057】
また、バイパス装置は、流体管1における管軸方向の所定箇所にそれぞれ一対に取り付けられ、一対のバイパス装置のバイパス管12同士が連通状態で接続されているので、流体管1の所定箇所にバイパス装置を一対に取り付けることで、これらバイパス装置間の流体管1の管路を制流体11によって遮断しながら、バイパス管12を介して流体の不断流状態を維持することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、実施例2に係るバイパス装置につき、図10から図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。図10及び図11に示すように、分岐部3の上部には、流体管1の管軸と略直交するように、流体管1における管軸方向に沿って上方に向けて第1分岐口3jが形成されている。この第1分岐口3jよりも分岐部3の流体管1における上流側には、第1分岐口3jと略同一構成をなす第2分岐口3kが形成されている。
【0059】
これら第1分岐口3j及び第2分岐口3kは、上端部に共通の上フランジ3iを有している。また、第2分岐口3kにおける流体管1の上端部と上フランジ3iとの間には、流体管1の径方向に向けて接続孔3mが貫通形成されている。更に、本実施例における第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’は、略同一寸法の径を有している。これら第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’は、軸部材51の先端に固設された二股のアタッチメント58を介してそれぞれ軸部材51に接続されている。
【0060】
このように第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’が軸部材51に取り付けられた状態で、第1カッタ部材52’及び第2カッタ部材53’を軸部材51の軸方向に伸出させることで、第1カッタ部材52’を第1分岐口3j内に挿入させていき、穿孔刃52a’により流体管1の管壁に挿入孔1bを穿設する。同時に、第2カッタ部材53’を第2分岐口3k内に挿入させていき、穿孔刃53a’により流体管1の管壁に挿入孔1bと略同一径の連通孔1c’を穿設する。
【0061】
流体管1に挿入孔1b及び連通孔1c’の穿設後は、穿孔装置50を引き上げた後、第1分岐口3jに対して制流体11が内部に配設された弁蓋60’を取り付ける。尚、本実施例の弁蓋60’は、流体管1の上流側に第2分岐口3kを密封状に閉塞するための蓋体60bが併設されている。このため、弁蓋60’は、第1分岐口3jに取り付けられた後、ボルト・ナット57でリング状のフランジ56と第1分岐口3j及び第2分岐口3kとを締結されることで、第1分岐口3j及び第2分岐口3kを閉塞する。
【0062】
以後、制流体11は、図11に示すように、図示しないハンドルによる回転操作部63aの回転によって下方に移動することで流体管1の内周面に弾性変形しながら水密に当接して流体管1の管路を遮断するとともに、前記ハンドルによる回転操作部63aの回転によって上方に移動することで流体管1の管路を開放可能となる。
【0063】
また、連通孔1c’は、挿入孔1bと略同一の径で流体管1に穿設されるため、流体管1の所定箇所に取り付けられる両管継手2,2間でのバイパス管12の上水の流量を、流路が開放されている状態での流体管1の上水の流量に近づけることができる。
【0064】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0065】
例えば、前記実施例では、分岐部3とカバー体4とを熱融着することで、管継手2の流体管1に対しての取り付けを行ったが、例えば、フランジ3c,4cを緊締したことで当接部3a,4aと流体管1の外周面1aに生じる摩擦力によって管継手2の流体管1に対しての取り付けを行うようにしてもよい。
【0066】
また、前記実施例では、管継手2を分岐部3とカバー体4とで構成したが、挿入孔1b及び連通孔1cの周囲を密封しつつ流体管1に対して固着可能であれば、管継手2を分岐部3のみで構成してもよい。
【0067】
また、前記実施例では、管継手2を構成する分岐部3及びカバー体4を高密度ポリエチレン等の熱融着可能な樹脂材により構成したが、例えば、これら分岐部若しくはカバー体の一部又は全部を金属で構成することで、管継手の強度を向上させるようにしてもよい。
【0068】
また、前記実施例では、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53の穿孔刃52a,53aを流体管1の外周面1aに押圧することで挿入孔1b及び連通孔1cを穿設したが、第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53をそれぞれ個別に駆動モータ等の動力によって回転駆動させることで流体管1の管壁を切断し、挿入孔1b及び連通孔1cを穿設するようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施例では、流体管1は、断面視略円形状に形成された高密度ポリエチレン等の樹脂製管であるが、本発明に係るバイパス装置が取り付けられる対象となる流体管の材質は、前記実施例に限られず、例えば塩化ビニール等の他の素材からなる樹脂製管であってもよく、樹脂製以外の金属製管であってもよい。尚、流体管が金属製管である場合には、前述した駆動モータ等の動力によって第1カッタ部材52及び第2カッタ部材53を回転駆動させて流体管の管壁を切断する。
【0070】
また、前記実施例では、流体管1に対して挿入孔1b及び連通孔1cを円形に穿設したが、挿入孔1b及び連通孔1cの形状は円形に限らず、四角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 流体管
1a 外周面
1b 挿入孔
1c,1c’ 連通孔
2 管継手
11 制流体
12 バイパス管
50 穿孔装置(穿孔手段)
52,52’ 第1カッタ部材
53,53’ 第2カッタ部材
54 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手に接続されるバイパス管を介し流体管の不断流状態を維持するバイパス装置であって、
前記流体管の流路を遮断する制流体を挿入するための挿入孔を前記流体管の外周面に穿設する穿孔手段を少なくとも備え、前記穿孔手段は、前記流体管と前記バイパス管とを連通させる連通孔を、前記挿入孔とは独立して前記流体管の外周面に穿設することを特徴とするバイパス装置。
【請求項2】
前記穿孔手段は、前記流体管の外周面における同一側に前記挿入孔と前記連通孔とを穿設することを特徴とする請求項1に記載のバイパス装置。
【請求項3】
前記穿孔手段は、前記挿入孔を穿設する第1カッタ部材と、前記連通孔を穿設する第2カッタ部材と、を一体に構成していることを特徴とする請求項1または2に記載のバイパス装置。
【請求項4】
前記挿入孔は略円形に形成されており、前記連通孔は前記挿入孔に連通することを特徴とする請求項3に記載のバイパス装置。
【請求項5】
前記第1カッタ部材及び前記第2カッタ部材は、流体管の外周面を同時に穿孔することを特徴とする請求項3または4に記載のバイパス装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のバイパス装置が管軸方向の所定箇所にそれぞれ一対に取り付けられ、該一対のバイパス装置のバイパス管同士が連通状態で接続されていることを特徴とする流体管。
【請求項1】
管継手に接続されるバイパス管を介し流体管の不断流状態を維持するバイパス装置であって、
前記流体管の流路を遮断する制流体を挿入するための挿入孔を前記流体管の外周面に穿設する穿孔手段を少なくとも備え、前記穿孔手段は、前記流体管と前記バイパス管とを連通させる連通孔を、前記挿入孔とは独立して前記流体管の外周面に穿設することを特徴とするバイパス装置。
【請求項2】
前記穿孔手段は、前記流体管の外周面における同一側に前記挿入孔と前記連通孔とを穿設することを特徴とする請求項1に記載のバイパス装置。
【請求項3】
前記穿孔手段は、前記挿入孔を穿設する第1カッタ部材と、前記連通孔を穿設する第2カッタ部材と、を一体に構成していることを特徴とする請求項1または2に記載のバイパス装置。
【請求項4】
前記挿入孔は略円形に形成されており、前記連通孔は前記挿入孔に連通することを特徴とする請求項3に記載のバイパス装置。
【請求項5】
前記第1カッタ部材及び前記第2カッタ部材は、流体管の外周面を同時に穿孔することを特徴とする請求項3または4に記載のバイパス装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のバイパス装置が管軸方向の所定箇所にそれぞれ一対に取り付けられ、該一対のバイパス装置のバイパス管同士が連通状態で接続されていることを特徴とする流体管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225470(P2012−225470A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95474(P2011−95474)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】
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