説明

バイポーラ型半導体装置の運転方法およびバイポーラ型半導体装置

【課題】 炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置において、通電を続けることにより引き起こされる積層欠陥面積の拡大を抑制すること。
【解決手段】 上記のSiCバイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度環境下に維持しながら通電作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置の運転方法およびバイポーラ型半導体装置に関し、特に、通電作動による積層欠陥面積の拡大を抑制する技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界強度が約10倍であり、この他熱伝導率、電子移動度、バンドギャップなどにおいても優れた物性値を有する半導体であることから、従来のSi系パワー半導体素子に比べて飛躍的な性能向上を実現する半導体材料として期待されている。
【0003】
最近では、直径3インチのまでの4H−SiC、6H−SiC単結晶基板が市販されるようになり、Siの性能限界を大幅に超える各種スイッチング素子の報告が相次いでなされるなど、高性能SiC素子の開発が進められている。
【0004】
半導体素子は、通電時に電子あるいは正孔のみが伝導に作用するユニポーラ素子と、電子と正孔の両者が伝導に作用するバイポーラ素子に大別される。ユニポーラ素子にはショットキーバリヤダイオード(SBD)、接合電界効果トランジスタ(J−FET)、金属/酸化膜/半導体電界効果トランジスタ(MOS−FET)などが属する。バイポーラ素子にはpnダイオード、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、サイリスタ、GTOサイリスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などが属する。
【0005】
SiC単結晶を用いてパワー半導体素子を作製する場合、SiC単結晶の拡散係数がきわめて小さいために不純物を深く拡散させることが困難であることから、SiC単結晶基板上に、基板と同一の結晶型で、所定の膜厚およびドーピング濃度を有する単結晶膜をエピタキシャル成長させることが多い(特許文献1)。具体的には、昇華法あるいは化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition:CVD)によって得られたバルク単結晶をスラ
イスした基板の表面に、CVD法によりエピタキシャル単結晶膜を成長させたSiC単結晶基板が使用されている。
【0006】
SiC単結晶には各種ポリタイプ(結晶多型)が存在するが、パワー半導体の開発では、絶縁破壊強度および移動度が高く、異方性が比較的小さい4H−SiCが主に使用されている。エピタキシャル成長を行う結晶面としては、(0001)Si面、(000−1)C面、(11−20)面、(1−100)面、(03−38)面などがあるが、(0001)Si面および(000−1)C面からエピタキシャル成長させる場合には、ステップフロー成長技術によりホモエピタキシャル成長させるために、これらの面を[11−2
0]方向あるいは[01−10]方向に数度傾けた結晶面が使用されることが多い。
【特許文献1】国際公開WO03/038876号パンフレット
【非特許文献1】ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Journal of Applied Physics) ボリューム95 No.3 2004年 1485頁〜1488頁
【非特許文献2】ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Journal of Applied Physics) ボリューム92 No.8 2004年 4699頁〜4704頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、SiCを用いたパワー半導体素子は各種の優れた点を有しているが、
新品のSiCバイポーラ素子に通電を開始してから通電時間(積算使用時間)が増えるにしたがって、順方向電圧が増加するという問題点があった。順方向電圧の増加はSiCバイポーラ素子の信頼性を低下させ、SiCバイポーラ素子を組み込んだ電力制御装置の電力損失の増大を引き起こす。
【0008】
この通電による順方向電圧の増加は、次の理由により引き起こされると考えられており、多数の報告がされている(上記の非特許文献1,2など)。図1は、SiC単結晶基板と、ステップフロー成長技術によりその表面から形成したエピタキシャル膜との界面近傍を示した断面図である。同図において5は結晶面((0001)Si面)、θはオフ角である。図示したように、SiC単結晶基板1には結晶欠陥の一種であるベーサルプレーン転位(basal plane dislocation)3が多数存在している。例えば、(0001)Si面
からオフ角が8°となるように傾けたSiC単結晶基板では、基板表面におけるベーサルプレーン転位密度は、結晶品質にもよるが典型的には102〜104個/cm2となる。
【0009】
この(0001)Si面と平行に延びるベーサルプレーン転位3はSiC単結晶基板1の表面上に現れ、ベーサルプレーン転位3のうち数%程度はエピタキシャル成長時にn型エピタキシャル膜2aおよびp型エピタキシャル膜(またはp型注入層)2bにベーサルプレーン転位3としてそのまま伝播し、残りはスレッディングエッジ転位4(threading edge dislocation)に変換されてn型エピタキシャル膜2aおよびp型エピタキシャル膜(またはp型注入層)2bに伝播する。
【0010】
pnダイオードなどのバイポーラ素子では、n型エピタキシャル膜と、n型エピタキシャル膜とp型エピタキシャル膜との界面付近またはn型エピタキシャル膜とp型注入層との界面付近が通電時に電子と正孔が再結合する領域となるが、ベーサルプレーン転位3は、通電時に発生する電子と正孔の再結合エネルギーによって積層欠陥(stacking fault)へと変換される。この積層欠陥は図5(a)に示したように、三角形等の形状を有する面状の欠陥31として発生する。
【0011】
ベーサルプレーン転位は1/3[11−20]のバーガースベクトルを有しているが、1/3[10−10]と1/3[01−10]の2本のショックレー型部分転位(Shockley partial dislocation、ショックレー型不完全部分転位とも呼ばれている)に分解した状態で存在し、これらの部分転位に挟まれる微小領域は積層欠陥を形成する。この積層欠陥はショックレー型積層欠陥と呼ばれている。これらの部分転位のうち一方が電子と正孔との再結合エネルギーによって移動することで積層欠陥面積が拡大すると考えられている(上記の非特許文献1を参照)。
【0012】
この面状の積層欠陥の面積は、通電時間の増加に伴って拡大する。積層欠陥の領域は、通電時に高抵抗領域として作用するため、積層欠陥の面積拡大に伴ってバイポーラ素子の順方向電圧が増加することになる。順方向電圧の増加はSiCバイポーラ素子の信頼性を低下させ、SiCバイポーラ素子を組み込んだ電力制御装置の電力損失の増大を引き起こすため、通電による順方向電圧の増加を抑制するという課題があった。
【0013】
本発明は、上記した従来技術における課題を解決するためになされたものであり、SiCバイポーラ型半導体装置において、通電を続けることにより引き起こされる積層欠陥面積の拡大を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従来では、pnダイオードなどのSiCバイポーラ素子は、例えば常温から350℃未満までの温度環境下で通電作動させることが通常であった。すなわち、電力制御等を行うための装置に組み込まれたSiCバイポーラ素子に対して、意図的にバイポーラ素子の環
境温度を制御し、高温下で作動させることによって通電劣化の要因となる積層欠陥面積の拡大を抑制させることはなかった。ところが、バイポーラ素子を350℃以上、特に400℃以上の温度環境下に維持しながら通電作動させたところ、通電を長時間続けても積層欠陥の面積がほとんど拡大しないことを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置の運転方法であって、
通電劣化の要因となる積層欠陥面積の拡大を防止するために、前記バイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度に維持しながら通電作動させることを特徴とする。
【0016】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、前記バイポーラ型半導体装置を加熱するための温度制御装置を用いて、前記バイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度に維持しながら通電作動させることを特徴とする。
【0017】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、前記温度制御装置によって、前記バイポーラ型半導体装置が350℃以上の温度に達した後に通電を開始させることを特徴とする。
【0018】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、前記温度制御装置によって、前記バイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度に維持しながら通電を停止させることを特徴とする。
【0019】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、前記温度制御装置によって、前記バイポーラ型半導体装置が350℃未満の温度に低下した際に通電を停止させることを特徴とする。
【0020】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、六方晶の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板によって作製したバイポーラ型半導体装置を用いることを特徴とする。このようなバイポーラ型半導体装置として、具体的には、六方晶四回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶四回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板、六方晶六回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶六回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板、または六方晶二回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶二回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板によって作製したバイポーラ型半導体装置を挙げることができる。
【0021】
本発明のバイポーラ型半導体装置の運転方法は、菱面十五回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から菱面十五回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板によって作製したバイポーラ型半導体装置を用いることを特徴とする。
【0022】
本発明のバイポーラ型半導体装置は、炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置であって、
同一の炭化珪素単結晶基板に、バイポーラ素子と、該バイポーラ素子の温度を検知する温度検知素子と、が形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明のバイポーラ型半導体装置は、炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置であって、
同一の炭化珪素単結晶基板に、バイポーラ素子と、該バイポーラ素子を加熱するヒータ
と、該バイポーラ素子の温度を検知する温度検知素子と、が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、SiCバイポーラ型半導体装置に通電を続けることにより引き起こされる積層欠陥面積の拡大を大幅に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明について説明する。なお、格子方位および格子面について、個別方位は[]、個別面は()で示し、負の指数については結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、明細書作成の都合上、数字の前に負号を付けることにする。
【0026】
本発明では、従来から使用されているSiCバイポーラ素子が用いられる。電極などを形成する半導体基板として、SiCエピタキシャル単結晶膜を表面から成長させたSiC単結晶基板が使用される。
【0027】
SiC単結晶基板としては、昇華法あるいはCVD法によって得られたバルク結晶をスライスしたものを使用する。昇華法(改良レーリー法)による場合、例えば、坩堝にSiC粉末を入れて2200〜2400℃で加熱して気化し、種結晶の表面に典型的には0.8〜1mm/hの速度で堆積させてバルク成長させる。得られたインゴットを所定の厚さに、所望の結晶面が表出するようにスライスする。エピタキシャル膜へのベーサルプレーン転位の伝播を抑制するために、切り出したウエハの表面を、研磨砥粒を用いた研磨処理、水素エッチング、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などにより処理して鏡面状に平滑化する。
【0028】
このSiC単結晶基板の表面から、SiC単結晶エピタキシャル膜を成長させる。SiC単結晶には、結晶多型(ポリタイプ)が存在するが、例えば、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、15R−SiCなどがSiC単結晶基板として用いられる。これらの中でも、4H−SiCは、絶縁破壊強度および移動度が高く、異方性が比較的小さい。エピタキシャル成長を行う結晶面としては、例えば(0001)Si面、(000−1)C面、(11−20)面、(01−10)面、(03−38)面などが挙げられる。
【0029】
(0001)Si面、(000−1)C面でエピタキシャル成長させる場合、[01−
10]方向、[11−20]方向、あるいは[01−10]方向と[11−20]方向との中間
方向のオフ方位に、例えば1〜12°のオフ角で傾斜させて切り出した基板を使用し、この結晶面からステップフロー成長技術によりSiCをエピタキシャル成長させる。
【0030】
SiC単結晶膜のエピタキシャル成長はCVD法を用いて行われる。Cの原料ガスとしはプロパン等が用いられ、Siの原料ガスとしてはシラン等が用いられる。これらの原料ガスと、水素等のキャリアガスと、ドーパントガスとの混合ガスをSiC単結晶基板の表面に供給する。ドーパントガスとしては、n型エピタキシャル膜を成長させる場合には窒素等が用いられ、p型エピタキシャル膜を成長させる場合にはトリメチルアルミニウム等が用いられる。
【0031】
これらのガス雰囲気下、例えば1500〜1600℃、40〜80Torrの条件で、2〜20μm/hの成長速度でSiCをエピタキシャル成長させる。これにより、SiC単結晶基板と同一の結晶型のSiCがステップフロー成長する。
【0032】
エピタキシャル成長を行うための具体的な装置としては、縦型ホットウォール炉を用い
ることができる。縦型ホットウォール炉には、石英で形成された水冷2重円筒管が設置され、水冷2重円筒管の内部には、円筒状断熱材、グラファイトで形成されたホットウォール、およびSiC単結晶基板を縦方向に保持するための楔形サセプタが設置されている。水冷2重円筒管の外側周囲には、高周波加熱コイルが設置され、高周波加熱コイルによりホットウォールを高周波誘導加熱し、ホットウォールからの輻射熱により、楔形サセプタに保持されたSiC単結晶基板を加熱する。SiC単結晶基板を加熱しながら水冷2重円筒管の下方より反応ガスを供給することによって、SiC単結晶基板の表面にSiCがエピタキシャル成長する。
【0033】
このようにしてエピタキシャル膜を形成したSiC単結晶基板を用いて、バイポーラ素子を作製する。以下、図2を参照しながら、バイポーラ素子の一つであるpn(pin)ダイオードの製造方法の一例を説明する。改良レーリー法により成長させたインゴットを所定のオフ角でスライスし、表面を鏡面処理したn型の4H−SiC(キャリア密度8×1018cm-3、厚さ400μm)21の上に、CVD法によって窒素ドープn型SiC層(ドリフト層23:ドナー密度5×1014cm-3、膜厚40μm)とアルミニウムドープp型SiC層(p型接合層24:アクセプタ密度5×1017cm-3、膜厚1.5μm、およびp+型コンタクト層25:アクセプタ密度1×1018cm-3、膜厚0.5μm)を順次エピタキシャル成長させる。
【0034】
次に、反応性イオンエッチング(RIE)によりエピタキシャル膜の外周部を除去してメサ構造を形成する。メサ構造を形成するために、エピタキシャル膜の上にNi金属膜を蒸着する。蒸着には電子線加熱蒸着装置を使用する。電子線加熱蒸着装置は、電子線発生器と、Ni金属片を入れる坩堝と、エピタキシャル膜の表面を外側としてSiC単結晶基板を保持する基板ホルダとを備えている。坩堝の中に入れたNi金属片に対して10kV程度に加速された電子線を照射してNi金属片を溶融し、エピタキシャル膜の上に蒸着させる。
【0035】
エピタキシャル膜の上に蒸着したNi金属膜の表面に、メサ構造をパターニングするためのフォトレジストをスピンコーターを用いて1μmの厚さとなるように塗布し、オーブン内でレジスト膜を加熱処理する。このレジスト膜に対してメサ構造のパターンに対応したマスクを介して紫外線を露光し、レジスト現像液を用いて現像する。現像によって基板表面に露出したNi金属膜を酸により除去し、次いで四フッ化炭素と酸素との混合ガスを用いたRIEにより、Ni金属膜が除去されて基板表面に露出したエピタキシャル膜をエッチングし、高さ幅が4μmのメサを形成する。
【0036】
次に、メサ底部での電界集中を緩和するために、アルミイオンを注入してJTE(ジャンクション ターミネーション エクステンション)26を形成する。JTE26は、トータルドーズ量1.2×1013cm-2、幅250μm、深さ0.7μmである。30〜450keVの間で順次エネルギーを変更しながらイオン注入することによって、注入されたアルミイオンは深さ方向の濃度が一定になるような濃度分布を有している。イオン注入した後、アルゴンガス雰囲気下で熱処理を行うことによりアルミイオンを活性化する。
【0037】
次に、素子表面を保護するための酸化膜27を形成する。熱酸化を行うために基板を熱酸化炉に入れ、乾燥した酸素ガスを流しながら基板を加熱して基板表面全体に厚さ40nmの熱酸化膜を形成する。その後、基板表面における電極を形成する部位などの所定部位を、フォトリソグラフィー技術によってパターニングし、フッ酸によりこれらの部位の熱酸化膜を除去してエピタキシャル膜を露出させる。
【0038】
次に、電子線加熱蒸着装置を用いてカソード電極28とアノード電極29を蒸着する。カソード電極28は、基板21の下面にNi(厚さ350nm)を蒸着して形成される。
アノード電極29は、p+型コンタクト層25の上面に、Al(厚さ100nm)の膜とTi(厚さ350nm)の膜とを順に蒸着して形成される。これらの電極は、蒸着後に熱処理を行いSiCとの合金を形成することによってオーミック電極とされる。
【0039】
本発明では、SiCバイポーラ素子を350℃以上、好ましくは400℃〜800℃、より好ましくは400℃〜600℃の温度環境下で通電作動させる。600℃を超えると電極を構成する金属材料によっては溶融するなど正常な作動を行うことができなくなる場合があり、800℃を超えるとバイポーラ素子の特性に影響する場合がある。SiCバイポーラ素子を上記の温度範囲に維持しながら通電作動させることによって、経時による積層欠陥面積の拡大を大幅に抑制することができる。すなわち、後述する実施例にも示したように、350℃近傍を境として経時による積層欠陥面積の拡大(順方向電圧の増加)が著しく減少する。
【0040】
この現象は、次の理由により生じるものと考えられる。前述したように、pnダイオードなどのバイポーラ素子では、n型エピタキシャル膜と、n型エピタキシャル膜とp型エピタキシャルとの界面付近またはn型エピタキシャル膜とp型注入層との界面付近が通電時に電子と正孔が再結合する領域となり、SiC単結晶基板からエピタキシャル膜に伝播したベーサルプレーン転位がこの再結合エネルギーによって積層欠陥へと変換される。この積層欠陥が形成された領域は、通電時に高抵抗領域として作用するため、積層欠陥の面積拡大に伴ってバイポーラ素子の順方向電圧が増加することになる。
【0041】
しかし、350℃以上の条件下では、SiC単結晶が安定化され、これによってベーサルプレーン転位の積層欠陥への変換および積層欠陥の拡大が大幅に抑制されるものと考えられる。積層欠陥は、エピタキシャル膜をX線トポグラフ像、フォトルミネッセンス像、エレクトロルミネッセンス像、またはカソードルミネッセンス像として観察することにより確認できる。結晶型として4H−SiCを用いて複数のpnダイオードを作製し、室温から450℃までの各温度環境下においてこれらのpnダイオードに対して通電作動を続けた後、エピタキシャル膜のフォトルミネッセンス像を観察したところ、図5(a)〜図5(e)の概念図に示したように、室温から350℃未満までの温度環境下で通電作動させたものでは、三角形状の積層欠陥31が多数発生していた(図5(a)、図5(b))。これに対して、350℃の温度環境下で通電作動させたものでは、積層欠陥の発生が大幅に減少し、400℃以上の温度環境下で通電作動させたものでは、積層欠陥の発生がほとんど見られなかった(図5(c)〜図5(e))。
【0042】
このように、SiCバイポーラ素子を350℃以上で通電作動させることによって、経時による積層欠陥面積の拡大を著しく減少させることができるが、この現象はエピタキシャル成長を行う結晶面には依存しないと考えられ、例えば(0001)Si面、(000−1)C面、(11−20)面、(01−10)面、(03−38)面などをエピタキシャル成長を行う結晶面としても上記の効果を得ることができる。特に、積層欠陥の面と、通電経路の方向とが成す角度が大きい場合、例えば積層欠陥の面が通電経路を垂直に遮断するような場合に、積層欠陥が通電劣化に大きく影響するので、このような場合に通電劣化が著しく抑制されると考えられる。
【0043】
一方、SiC単結晶には複数の結晶型が存在するが、上記の現象は、350℃以上の条件下ではSiC単結晶が安定化することに起因していると考えられ、この点から4H−SiC(六方晶四回周期型)の他に、6H−SiC(六方晶六回周期型)、2H−SiC(六方晶二回周期型)、15R−SiC(菱面十五回周期型)を用いた場合にも、同様に通電劣化を著しく抑制できる。
【0044】
また、炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通
電時に電子と正孔が再結合するSiCバイポーラ半導体素子であれば、pnダイオード以外の他のバイポーラ素子であっても、上記の温度環境下で通電作動させることにより炭化珪素エピタキシャル膜が安定化して積層欠陥面積の拡大が抑制される。このようなSiCバイポーラ半導体素子としては、例えば、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などが挙げられる。図6(a)〜図6(c)に、サイリスタ(図6(a)、符号41)、GTOサイリスタ(図6(b)、符号42)、IGBT(図6(c)、符号43)の概略断面図を示した。同図において、51はn型層、52はp型層、53はカソード電極、54はアノード電極、55はゲート電極、56はエミッタ電極、57はコレクタ電極、58は酸化膜である。
【0045】
SiCバイポーラ素子は、家電分野、産業分野、電気自動車などの車両分野、送電などの電力系統の分野等において、例えばインバータなどの電力制御装置等に組み込まれて使用されるが、電力制御装置等に実際に組み込まれたSiCバイポーラ素子に対して本発明を適用する際には、SiCバイポーラ素子を加熱し、所定の温度に制御するための温度制御装置を設けて、SiCバイポーラ素子を常に所定の加熱温度に維持した状態で作動させることが望ましい。
【0046】
この温度制御装置は、SiCバイポーラ素子を加熱する加熱手段を少なくとも備えている。このような加熱手段としては、SiCバイポーラ素子のパッケージに内蔵されたヒータ、SiCバイポーラ素子を作製したSiC単結晶基板と同一のSiC単結晶基板に形成されたヒータ等を挙げることができる。
【0047】
また、温度制御装置は、SiCバイポーラ素子の温度を計測する温度検知手段を備えていてもよい。このような温度検知手段としては、ヒータに内蔵された温度センサ、SiCバイポーラ素子のパッケージに内蔵された温度センサ、SiCバイポーラ素子を作製したSiC単結晶基板と同一のSiC単結晶基板に形成された温度検知素子等を挙げることができる。
【0048】
上記の温度制御装置は、SiCバイポーラ素子の通電作動を制御する運転制御装置と連結され、所定の温度にて通電が行われるように、例えば以下のような制御が行われる。
(1) ヒータによってSiCバイポーラ素子を加熱し、SiCバイポーラ素子が所定の温度(例えば350℃以上)に達したことを温度センサによって検知した後に、運転制御装置によってSiCバイポーラ素子の通電作動を開始させる。
(2) ヒータによってSiCバイポーラ素子を加熱しながら通電を行い、SiCバイポーラ素子を所定の温度以上(例えば350℃以上)に維持しながら、運転制御装置によってSiCバイポーラ素子の通電作動を停止させる。
(3) ヒータによってSiCバイポーラ素子を加熱しながら通電を行い、SiCバイポーラ素子を所定の温度以上(例えば350℃以上)に維持しながら運転している最中に、ヒータの断線等によりSiCバイポーラ素子の温度が所定の温度よりも低下した場合、運転制御装置は、温度検知素子からの信号に基づいてSiCバイポーラ素子の通電作動を緊急停止させる。図10にこのような制御の一例を示した。正常時における運転シーケンスでは、図10(a)のようにSiCバイポーラ素子が所定温度に達した後に通電電流が流れ、SiCバイポーラ素子を所定温度に維持しながら通電を継続するとともに、所定温度に維持した状態で通電を停止するように通電と温度が制御される。しかし、図10(b)のように、通電中にヒータが断線する等によってSiCバイポーラ素子の温度が低下して所定温度を下回ると、温度検知素子がこれを検知して、運転制御装置はその検知結果に基づいて通電を緊急停止させる。
【0049】
このように、温度制御装置を設置してSiCバイポーラ素子を350℃以上の温度環境
下で適切に通電作動させることで、積層欠陥面積の拡大を有効に抑制することができる。
図7〜図9は、上記のような温度制御装置を設けた具体例を示した図である。図7では、パッケージ内にヒータ66および温度センサ65を備えた温度制御装置62を、SiCバイポーラ素子63への電極64を通じた通電を制御する運転制御装置61に連結し、SiCバイポーラ素子63に対する通電と温度の制御を行うように構成されている。
【0050】
図8では、エピタキシャル膜72が形成されたSiC単結晶基板71に、pnダイオード73と、温度検知素子74の両方を作製し、この温度検知素子74によりpnダイオード73の温度を計測するように構成されている。
【0051】
図9では、同一のSiC単結晶基板に、pnダイオード81と、ヒータ82と、温度検知素子83を作製し、ヒータ82によりpnダイオード81を加熱するとともに、温度検知素子83によりpnダイオード81の温度を計測してpnダイオード81に対する温度制御を行うように構成されている。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変形、変更が可能である。
実施例
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図2に示したpnダイオードを試験用に作製した。改良レーリー法により成長させたインゴットをオフ方向[11−20]、オフ角度8°でスライスし、表面を鏡面処理したn型の4H−SiC(0001)基板(キャリア密度8×1018cm-3、厚さ400μm)の上に、CVD法によって窒素ドープn型SiC層(ドナー密度5×1014cm-3、膜厚40μm)とアルミニウムドープp型SiC層(p型接合層:アクセプタ密度5×1017cm-3、膜厚1.5μm、およびp+型コンタクト層:アクセプタ密度1×1018cm-3、膜厚0.5μm)を順次エピタキシャル成長させた。
【0053】
次に、反応性イオンエッチング(RIE)によりエピタキシャル膜の外周部を除去して高さ幅4μmのメサ構造を形成した。メサ底部での電界集中を緩和するために、メサ底部にアルミイオンを注入してトータルドーズ量1.2×1013cm-2、幅250μm、深さ0.7μmのJTEを形成した。イオン注入後、アルゴンガス雰囲気下で熱処理を行いアルミイオンを活性化した。その後、素子表面に保護用の熱酸化膜を形成した。
【0054】
得られた基板の表裏面に、電子線加熱蒸着装置を用いてカソード電極とアノード電極を蒸着した。カソード電極は、基板の下面にNi(厚さ350nm)を蒸着して形成し、アノード電極は、p+型コンタクト層の上面に、Al(厚さ100nm)とTi(厚さ350nm)の膜を順に蒸着して形成した。これらの電極を蒸着した後、カソード電極は1050℃、90sec、アノード電極は900℃、180secで熱処理を行い、SiCとの合金を形成することによってオーミック電極とした。
【0055】
このようにして得られたpnダイオードを用いて、以下の通電試験を行った。高融点半田を用いてpnダイオードのカソード電極を銅板上に貼り付け、超音波ボンディング装置を用いてアノード電極にアルミワイヤをボンディングした。銅板とアルミワイヤに電流源(TAKASAGO GP350−10R)と電圧計(YOKOGAWA HR2300)を電気的に接続し、通電試験を行った。通電試験は、pnダイオードを350℃の温度環境下においた状態を維持しながら、順方向に100A/cm2(シリコン系パワーダイオ
ードの定格電流密度)の直流電流を60分間流すことにより行った。通電試験後のフォトルミネッセンス像を観察した結果を図5に示した。
[実施例2]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを400℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行った以外は実施例1と同様にして通電試験を行った。通電試験後のフォトルミネッセンス像を観察した結果を図5に示した。
[実施例3]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを450℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行った以外は実施例1と同様にして通電試験を行った。通電試験後のフォトルミネッセンス像を観察した結果を図5に示した。
[比較例1]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを室温(25℃)の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行った以外は実施例1と同様にして通電試験を行った。通電試験後のフォトルミネッセンス像を観察した結果を図5に示した。
[比較例2]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを300℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行った以外は実施例1と同様にして通電試験を行った。通電試験後のフォトルミネッセンス像を観察した結果を図5に示した。
[実施例4]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを350℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfを通電劣化の指標とした。通電試験の結果を図3に示した。
[実施例5]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを400℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfを通電劣化の指標とした。通電試験の結果を図3に示した。
[実施例6]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを450℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfを通電劣化の指標とした。通電試験の結果を図3に示した。
[比較例3]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを室温(25℃)の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfを通電劣化の指標とした。通電試験の結果を図3に示した。
[比較例4]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを用いて、pnダイオードを300℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfを通電劣化の指標とした。通電試験の結果を図3に示した。
[実施例7]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを多数作製し、pnダイオードを400℃の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfの分布を得た。その結果を図4に示した。
[比較例5]
実施例1で作製したものと同様のpnダイオードを多数作製し、pnダイオードを室温(25℃)の温度環境下においた状態を維持しながら通電を行い、実施例1と同様の通電
試験を行った。通電試験前後の順方向電圧Vfを測定し、これらの差ΔVfの分布を得た。その結果を図4に示した。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、SiC単結晶基板と、ステップフロー成長技術によりその表面から形成したエピタキシャル膜との界面近傍を示した断面図である。
【図2】図2は、表面にエピタキシャル膜を形成したSiC単結晶基板を用いて作製したpnダイオードの断面図である。
【図3】図3は、実施例および比較例における通電試験の結果を示したグラフであり、通電作動時のpnダイオードの温度とΔVfの関係を示している。
【図4】図4は、室温(上側)と400℃(下側)において、試作した多数のpnダイオードに対して通電試験を行って得られたΔVfの分布を示したグラフである。
【図5】図5は、室温から450℃までの各温度においてpnダイオードに対して通電を続けたSiCエピタキシャル膜のフォトルミネッセンス像の概念図である。
【図6】図6は、各種のSiCバイポーラ素子の概略断面図である。
【図7】図7は、SiCバイポーラ素子の温度を制御する温度制御装置を設けた一例を説明する図である。
【図8】図8は、SiCバイポーラ素子の温度を制御する温度制御装置を設けた一例を説明する図である。
【図9】図9は、SiCバイポーラ素子の温度を制御する温度制御装置を設けた一例を説明する図である。
【図10】図10は、SiCバイポーラ素子が所定温度を下回った際に通電を緊急停止する場合における運転シーケンスを示した図であり、図10(a)は正常時、図10(b)は異常時における運転シーケンスを示す。
【符号の説明】
【0057】
1 SiC単結晶基板
2a n型エピタキシャル膜
2b p型エピタキシャル膜(またはp型注入層)
3 ベーサルプレーン転位
4 スレッディングエッジ転位
5 結晶面
21 基板
23 ドリフト層
24 p型接合層
25 p+型コンタクト層
26 JTE
27 酸化膜
28 カソード電極
29 アノード電極
31 積層欠陥
41 サイリスタ
42 GTOサイリスタ
43 IGBT
51 n型層
52 p型層
53 カソード電極
54 アノード電極
55 ゲート電極
56 エミッタ電極
57 コレクタ電極
58 酸化膜
61 運転制御装置
62 温度制御装置
63 SiCバイポーラ素子
64 電極
65 温度センサ
66 ヒータ
71 SiC単結晶基板
72 エピタキシャル膜
73 pnダイオード
74 温度検知素子
81 pnダイオード
82 ヒータ
83 温度検知素子
θ オフ角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置の運転方法であって、
通電劣化の要因となる積層欠陥面積の拡大を防止するために、前記バイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度に維持しながら通電作動させることを特徴とするバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項2】
前記バイポーラ型半導体装置を加熱するための温度制御装置を用いて、前記バイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度に維持しながら通電作動させることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項3】
前記温度制御装置によって、前記バイポーラ型半導体装置が350℃以上の温度に達した後に通電を開始させることを特徴とする請求項2に記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項4】
前記温度制御装置によって、前記バイポーラ型半導体装置を350℃以上の温度に維持しながら通電を停止させることを特徴とする請求項2または3に記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項5】
前記温度制御装置によって、前記バイポーラ型半導体装置が350℃未満の温度に低下した際に通電を停止させることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項6】
六方晶の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板によって作製したバイポーラ型半導体装置を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項7】
六方晶四回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶四回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板、六方晶六回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶六回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板、または六方晶二回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から六方晶二回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板によって作製したバイポーラ型半導体装置を用いることを特徴する請求項6に記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項8】
菱面十五回周期型の炭化珪素単結晶基板の表面から菱面十五回周期型の炭化珪素エピタキシャル膜を成長させた基板によって作製したバイポーラ型半導体装置を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバイポーラ型半導体装置の運転方法。
【請求項9】
炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置であって、
同一の炭化珪素単結晶基板に、バイポーラ素子と、該バイポーラ素子の温度を検知する温度検知素子と、が形成されていることを特徴とするバイポーラ型半導体装置。
【請求項10】
炭化珪素単結晶基板の表面から成長させた炭化珪素エピタキシャル膜の内部で通電時に電子と正孔が再結合するバイポーラ型半導体装置であって、
同一の炭化珪素単結晶基板に、バイポーラ素子と、該バイポーラ素子を加熱するヒータと、該バイポーラ素子の温度を検知する温度検知素子と、が形成されていることを特徴とするバイポーラ型半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−237125(P2006−237125A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46850(P2005−46850)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)