説明

バスアクセス回路装置及びバスアクセス方法

【課題】処理速度を低下させることなく、システムバスの本数を削減する。
【解決手段】マスタモジュールがシステムバスを介して、スレーブモジュールに対してアクセスを行う場合のアクセス制御を行うアクセス制御手段を備えるバスアクセス回路装置であって、システムバスの数より多い数のマスタモジュールのそれぞれから要求信号が入力された場合に、入力された要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、該選択された要求信号を除く要求信号の中からいずれか1つを選択する動作を、該選択動作によって選択された要求信号の数がシステムバスの数になるまで繰り返し行う要求信号選択手段と、要求信号選択手段によって選択された要求信号を出力したマスタモジュールがスレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受をシステムバスを介して行う信号入出力手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタモジュールがシステムバスを介して、スレーブモジュールに対してアクセスを行う場合のアクセス制御を行うバスアクセス回路装置及びバスアクセス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、異なるスレーブモジュールへの並列アクセスを可能とすることにより、処理速度を大幅に向上させることができる半導体集積回路装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、DMACがスレーブモジュールとのアクセスを要求すると、バスコントローラはバスアクセス調停部にバスアクセス要求信号を出力し、これを受けて、バスアクセス調停部は、DMACがスレーブモジュールにアクセスできるように調停を行うものである。また、DMACのアクセス中に、CPUがスレーブモジュールとのアクセスを要求すると、バスコントローラは、バスアクセス調停部にバスアクセス要求信号を出力し、バスアクセス調停部は、DMACがアクセス中であってもCPUがスレーブモジュールにアクセスできるように調停を行うことにより、複数のバスマスタが、異なるスレーブモジュールにそれぞれアクセスすることが可能となる。
【特許文献1】特開2007−188214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、LSI(Large Scale Integrated Circuit;大規模集積回路)内部に備えられるモジュール間をバスを使用して接続する場合に、CPU(Central Processing Unit)のような制御処理を行うマスタモジュールが複数あり、これらのマスタモジュールのアクセス対象であるスレーブモジュールが複数ある場合に、全てのマスタモジュールから全てのスレーブモジュールに対するアクセスを可能にしようとすると、図4に示す接続形態が一般的に知られている。図4に示す接続形態では、3本のシステムバスL1、L2、L3それぞれに対して、1つのマスタモジュール1、2、3が接続されている。4つのスレーブモジュール5、6、7、8にのそれぞれには、3本のシステムバスL1、L2、L3のいずれかを選択するバス選択部13、14、15、16が接続されている。この接続形態を用いた場合、1つのスレーブモジュールに対して2つ以上のマスタモジュールから同時にアクセスを行わなければマスタモジュールは待機が発生することなくアクセスを実行することが可能である。
【0004】
しかしながら、図4に示す接続形態では、マスタモジュールと同数のシステムバスが必要であるため、マスタモジュールの数が増加すると、システムバスの数を増やさなければならない。システムバスの数が増加すると、LSI内部のレイアウトを行う場合に、各モジュールのタイミング調整が困難であるとともに、タイミング調整のために挿入するリピータバッファの数が増大するため、消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0005】
一方、他の接続形態として、図5に示す接続形態も知られている。図5に示す接続形態では、3つのマスタモジュール1、2、3と4つのスレーブモジュール5、6、7、8のそれぞれがアクセス制御部17に接続され、アクセス制御部17がマスタモジュールからスレーブモジュールに対するアクセスの調停を行うことにより、システムバスの本数を削減することができ、LSI内部のレイアウトも容易に行うことができる。
【0006】
しかしながら、図5に示す接続形態は、それぞれのマスタモジュールからスレーブモジュールに対してアクセスを行う場合に、アクセス制御部17によって調停が行われて、アクセス動作が順番に実行されることになるため、マスタモジュールはアクセス動作を開始できるまで待機しなければならず、処理動作速度が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、処理速度を低下させることなく、システムバスの本数を削減することができるバスアクセス回路装置及びバスアクセス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、3つ以上のマスタモジュールと、前記マスタモジュールのアクセス対象である複数のスレーブモジュールと、前記スレーブモジュールのそれぞれが接続され、前記マスタモジュールの数より少なく、かつ2つ以上であるシステムバスと、前記マスタモジュール及び前記システムバスのそれぞれと接続され、前記マスタモジュールが前記システムバスを介して、前記スレーブモジュールに対してアクセスを行う場合のアクセス制御を行うアクセス制御手段とを備えるバスアクセス回路装置であって、前記アクセス制御手段は、前記システムバスの数より多い数の前記マスタモジュールのそれぞれから要求信号が入力された場合に、入力された前記要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、該選択された前記要求信号を除く前記要求信号の中からいずれか1つを選択する動作を、該選択動作によって選択された前記要求信号の数が前記システムバスの数になるまで繰り返し行う要求信号選択手段と、前記要求信号選択手段によって選択された要求信号を出力した前記マスタモジュールが前記スレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受を前記システムバスを介して行う信号入出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、3つ以上のマスタモジュールと、前記マスタモジュールのアクセス対象である複数のスレーブモジュールと、前記スレーブモジュールのそれぞれが接続され、前記マスタモジュールの数より少なく、かつ2つ以上であるシステムバスと、前記マスタモジュール及び前記システムバスのそれぞれと接続され、前記マスタモジュールが前記システムバスを介して、前記スレーブモジュールに対してアクセスを行う場合のアクセス制御を行うアクセス制御手段とを備えるバスアクセス回路装置におけるバスアクセス方法であって、前記アクセス制御手段が、前記システムバスの数より多い数の前記マスタモジュールのそれぞれから要求信号が入力された場合に、入力された前記要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、該選択された前記要求信号を除く前記要求信号の中からいずれか1つを選択する動作を、該選択動作によって選択された前記要求信号の数が前記システムバスの数になるまで繰り返し行う要求信号選択ステップと、前記アクセス制御手段が、前記要求信号選択ステップによって選択された要求信号を出力した前記マスタモジュールが前記スレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受を前記システムバスを介して行う信号入出力ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マスタモジュールの数より少ないシステムバスを介して、マスタモジュールとスレーブモジュールとの間で信号の授受を行う場合に、入力された要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、この選択された要求信号を除く要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択する動作を、この選択動作によって選択された要求信号の数がシステムバスの数になるまで繰り返し行うようにし、選択された要求信号を出力したマスタモジュールがスレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受をシステムバスを介して行うようにしたため、アクセス動作の処理速度を低下させることなく、バスラインを削減することが可能となり、回路装置の消費電力を削減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態によるバスアクセス回路装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。符号1、2、3は、CPU機能、DSP(Digital Signal Processor)機能等を実現するマスタモジュールである。符号4は、2本のシステムバスL1、L2を介したマスタモジュール1、2、3のアクセス動作を制御するアクセス制御部である。符号5、6、7、8は、マスタモジュール1、2、3のアクセス対象であるスレーブモジュールである。符号9、10、11、12は、4つのスレーブモジュール5、6、7、8のそれぞれに接続され、アクセス動作に用いる2つのシステムバスL1、L2のいずれかを選択するバス選択部である。
【0012】
次に、図1を参照して、マスタモジュール1、2、3、アクセス制御部4及びシステムバスL1、L2の間で授受される信号について説明する。REQ信号は、マスタモジュール1〜3のそれぞれがスレーブモジュール5〜8に対してアクセスを要求する要求信号である。GRANT信号は、スレーブモジュール5〜8のそれぞれがREQ信号に対して、アクセスの許可を出す許可信号である。ADDRESS信号は、マスタモジュール1〜3のいずれかからアクセス対象のスレーブモジュール5〜8を特定するアドレスを指定するアドレス信号である。DATA信号は、マスタモジュール1〜3のいずれかとスレーブモジュール5〜8のいずれかとの間で行われるアクセス動作において授受されるデータのデータ信号である。
【0013】
次に、図2を参照して、図1に示すアクセス制御部4におけるアクセス要求動作を説明する。図2は、図1に示すアクセス制御部4のアクセス要求時の機能を実現する機能ブロックを示すブロック図である。まず、第1選択部41は、マスタモジュール1から出力されるREQ信号S1、マスタモジュール2から出力されるREQ信号S2及びマスタモジュール3から出力されるREQ信号S3を入力する。ここでは、REQ信号が3つのマスタモジュール1〜3のそれぞれから同時に出力された場合の動作を説明する。第1選択部41は、REQ信号を受けると、3つのREQ信号のうち、いずれかを1つを選択する。この選択は、予め選択優先順位が決められており、この優先順位に基づいてREQ信号のいずれか1つを選択することによって行う。
【0014】
選択優先順位は、例えば、マスタモジュール1、マスタモジュール2、マスタモジュール3の順に決めておき、1回目の選択動作においては、マスタモジュール1が選択される。2回目の選択動作においては、予め決めておいた選択優先順位を入れ替えて、マスタモジュール3、マスタモジュール2、マスタモジュール1の順にする。そして、3回目の選択動作においては、マスタモジュール2、マスタモジュール1、マスタモジュール3の順というように、選択動作の度に優先順位が入れ替えられる。このようにすることにより、選択されるマスタモジュールが1つのマスタモジュールに偏らないようにすることができる。ここでは、REQ信号S1(マスタモジュール1が出力したREQ信号)が選択されたものとする。
【0015】
次に、第1選択部41は、REQ信号の選択結果を示す要求選択信号S4を出力する。この要求選択信号S4は、システムバスL1を介して信号の授受を行うべきマスタモジュールを識別することが可能な信号である。この要求選択信号S4は、第2選択部42と要求信号出力部43に入力する。第2選択部42は、要求選択信号S4が入力されると、要求選択信号S4で示されるマスタモジュールを除く2つのマスタモジュールが出力した要求信号(S1、S2、S3のうちの2つ)のうち、1つのREQ信号を選択する。この選択においても第1選択部と同様に、選択優先順位が決められており、選択動作の度に、選択優先順位を入れ替えながら選択を行う。ここでは、REQ信号S2(マスタモジュール2が出力したREQ信号)が選択されたものとする。第2選択部42は、REQ信号の選択結果を示す要求選択信号S5を出力する。この要求選択信号S5は、システムバスL2を介して信号の授受を行うべきマスタモジュールを識別することが可能な信号である。この要求選択信号S5は、要求信号出力部44に入力する。
【0016】
次に、要求信号出力部43は、3つのREQ信号S1、S2、S3及びこのREQ信号に伴ってマスタモジュール1から出力されるADDRESS信号S6、マスタモジュール2から出力されるADDRESS信号S7、マスタモジュール3から出力されるADDRESS信号S8を入力する。そして、要求信号出力部43は、第1選択部41から出力された要求選択信号S4を参照して、選択されたマスタモジュール(ここでは、マスタモジュール1)が出力したREQ信号S9(ここでは、REQ信号S1)とADDRESS信号S10(ADDRESS信号S6)を選択してL1入出力部45へ出力する。L1入出力部45は、このREQ信号S9とADDRESS信号S10をシステムバスL1を介して、アクセス要求対象のスレーブモジュールに対して出力する。
【0017】
一方、要求信号出力部44は、3つのREQ信号S1、S2、S3及びこのREQ信号に伴ってマスタモジュール1から出力されるADDRESS信号S6、マスタモジュール2から出力されるADDRESS信号S7、マスタモジュール3から出力されるADDRESS信号S8を入力する。そして、要求信号出力部44は、第2選択部42から出力された要求選択信号S5を参照して、選択されたマスタモジュール(ここでは、マスタモジュール2)が出力したREQ信号S11(ここでは、REQ信号S2)とADDRESS信号S12(ADDRESS信号S7)を選択してL2入出力部46へ出力する。L2入出力部46は、このREQ信号S11とADDRESS信号S12をシステムバスL2を介して、アクセス要求対象のスレーブモジュールに対して出力する。
【0018】
次に、L1入出力部45は、スレーブモジュールから出力されるGRANT信号S13をシステムバスL1を介して入力し、このGRANT信号S13を応答出力部47、48、49のそれぞれに対して出力する。応答出力部47、48、49のそれぞれは第1選択部41が出力する要求選択信号S4を入力する。そして、応答出力部47は、入力した要求選択信号S4がマスタモジュール1を示す信号であり、L1入出力部45からGRANT信号S13が出力された場合、GRANT信号S15をマスタモジュール1に対して出力する。このGRANT信号S15は、要求選択信号S4がマスタモジュール1を示す信号でない場合には出力されない。この例においては、第1選択部41によってマスタモジュール1が選択されているため、GRANT信号S15が出力されることになる。
【0019】
また、応答出力部48は、入力した要求選択信号S4がマスタモジュール2を示す信号であり、L1入出力部45からGRANT信号S13が出力された場合、GRANT信号S16をマスタモジュール2に対して出力する。このGRANT信号S16は、要求選択信号S4がマスタモジュール2を示す信号でない場合には出力されない。また、応答出力部49は、入力した要求選択信号S4がマスタモジュール3を示す信号であり、L1入出力部45からGRANT信号S13が出力された場合、GRANT信号S17をマスタモジュール3に対して出力する。このGRANT信号S17は、要求選択信号S4がマスタモジュール3を示す信号でない場合には出力されない。
【0020】
一方、L2入出力部46は、スレーブモジュールから出力されるGRANT信号S14をシステムバスL2を介して入力し、このGRANT信号S14を応答出力部47、48、49のそれぞれに対して出力する。応答出力部47、48、49のそれぞれは第2選択部42が出力する要求選択信号S5を入力する。そして、応答出力部47は、入力した要求選択信号S5がマスタモジュール1を示す信号であり、L2入出力部46からGRANT信号S14が出力された場合、GRANT信号S15をマスタモジュール1に対して出力する。このGRANT信号S15は、要求選択信号S5がマスタモジュール1を示す信号でない場合には出力されない。
【0021】
また、応答出力部48は、入力した要求選択信号S5がマスタモジュール2を示す信号であり、L2入出力部46からGRANT信号S14が出力された場合、GRANT信号S16をマスタモジュール2に対して出力する。このGRANT信号S16は、要求選択信号S5がマスタモジュール2を示す信号でない場合には出力されない。この例においては、第2選択部42によってマスタモジュール2が選択されているため、GRANT信号S16が出力されることになる。また、応答出力部49は、入力した要求選択信号S5がマスタモジュール3を示す信号であり、L2入出力部46からGRANT信号S14が出力された場合、GRANT信号S17をマスタモジュール3に対して出力する。このGRANT信号S17は、要求選択信号S5がマスタモジュール3を示す信号でない場合には出力されない。
【0022】
このような動作によって、REQ信号がマスタモジュールからスレーブモジュールに対して出力され、GRANT信号がスレーブモジュールからマスタモジュールに対して出力されることになる。
【0023】
次に、図3を参照して、図1に示すアクセス制御部4におけるデータアクセス動作を説明する。図2は、図1に示すアクセス制御部4のデータアクセス時の機能を実現する機能ブロックを示すブロック図である。図3における第1選択部41及び第2選択部42は、図2に示す第1選択部41及び第2選択部42と同一であるため、処理動作の詳細な説明を省略する。ここでは、前述したように、第1選択部41によってマスタモジュール1が選択され、第2選択部42によってマスタモジュール2が選択されたものとする。
【0024】
次に、データ信号出力部50は、マスタモジュール1から出力されるDATA信号S18、マスタモジュール2から出力されるDATA信号S19、マスタモジュール3から出力されるDATA信号S20を入力する。そして、データ信号出力部50は、第1選択部41から出力された要求選択信号S4を参照して、選択されたマスタモジュール(ここでは、マスタモジュール1)が出力したDATA信号S21(ここでは、DATA信号S18)を選択してL1入出力部45へ出力する。L1入出力部45は、このDATA信号S21をシステムバスL1を介して、データアクセス対象のスレーブモジュール(GRANT信号を出力したスレーブモジュール)に対して出力する。
【0025】
一方、データ信号出力部51は、マスタモジュール1から出力されるDATA信号S18、マスタモジュール2から出力されるDATA信号S19、マスタモジュール3から出力されるDATA信号S20を入力する。そして、データ信号出力部51は、第2選択部42から出力された要求選択信号S5を参照して、選択されたマスタモジュール(ここでは、マスタモジュール2)が出力したDATA信号S22(ここでは、DATA信号S19)を選択してL2入出力部46へ出力する。L2入出力部46は、このDATA信号S22をシステムバスL2を介して、データアクセス対象のスレーブモジュール(GRANT信号を出力したスレーブモジュール)に対して出力する。
【0026】
次に、L1入出力部45は、スレーブモジュールから出力されるDATA信号S23をシステムバスL1を介して入力し、このDATA信号S23をデータ信号入力部52、53、54のそれぞれに対して出力する。データ信号入力部52、53、54のそれぞれは第1選択部41が出力する要求選択信号S4を入力する。そして、データ信号入力部52は、入力した要求選択信号S4がマスタモジュール1を示す信号であり、L1入出力部45からDATA信号S23が出力された場合、DATA信号S25をマスタモジュール1に対して出力する。このDATA信号S25は、要求選択信号S4がマスタモジュール1を示す信号でない場合には出力されない。この例においては、第1選択部41によってマスタモジュール1が選択されているため、DATA信号S25が出力されることになる。
【0027】
また、データ信号入力部53は、入力した要求選択信号S4がマスタモジュール2を示す信号であり、L1入出力部45からDATA信号S23が出力された場合、DATA信号S26をマスタモジュール2に対して出力する。このDATA信号S26は、要求選択信号S4がマスタモジュール2を示す信号でない場合には出力されない。また、データ信号入力部54は、入力した要求選択信号S4がマスタモジュール3を示す信号であり、L1入出力部45からDATA信号S23が出力された場合、DATA信号S27をマスタモジュール3に対して出力する。このDATA信号S27は、要求選択信号S4がマスタモジュール3を示す信号でない場合には出力されない。
【0028】
一方、L2入出力部46は、スレーブモジュールから出力されるDATA信号S24をシステムバスL2を介して入力し、このDATA信号S24をデータ信号入力部52、53、54のそれぞれに対して出力する。データ信号入力部52、53、54のそれぞれは第2選択部42が出力する要求選択信号S5を入力する。そして、データ信号入力部52は、入力した要求選択信号S5がマスタモジュール1を示す信号であり、L2入出力部46からDATA信号S24が出力された場合、DATA信号S25をマスタモジュール1に対して出力する。このDATA信号S25は、要求選択信号S5がマスタモジュール1を示す信号でない場合には出力されない。
【0029】
また、データ信号入力部53は、入力した要求選択信号S5がマスタモジュール2を示す信号であり、L2入出力部46からDATA信号S24が出力された場合、DATA信号S26をマスタモジュール2に対して出力する。このDATA信号S26は、要求選択信号S5がマスタモジュール2を示す信号でない場合には出力されない。この例においては、第2選択部42によってマスタモジュール2が選択されているため、DATA信号S26が出力されることになる。また、データ信号入力部54は、入力した要求選択信号S5がマスタモジュール3を示す信号であり、L2入出力部46からDATA信号S24が出力された場合、DATA信号S27をマスタモジュール3に対して出力する。このDATA信号S17は、要求選択信号S5がマスタモジュール3を示す信号でない場合には出力されない。
【0030】
このような動作によって、DATA信号がマスタモジュールとスレーブモジュールとの間で授受されることになる。
【0031】
なお、前述した説明においては、3つのマスタモジュールと2本のシステムバスの例を示したが、マスタモジュールとシステムバスの数はこれに限るものではない。すなわち、マスタモジュールの数が3つ以上で、システムバスの数がマスタモジュールの数より少なく、かつ2つ以上であれば本発明を適用することができる。この場合、選択部、要求信号出力部、データ信号出力部の数がシステムバスの数と同数になるように、図2、3に示す第1選択部41、第2選択部42、要求信号出力部43、44、データ信号出力部50、51に加えて、新たな選択部、要求信号出力部、データ信号出力部を設ければよい。また、応答出力部、データ信号入力部の数は、マスタモジュールの数と同数になるように、図2、3に示す応答出力部47、48、49、データ信号入力部52、53、54に加えて、新たな応答出力部、データ信号入力部を設ければよい。
【0032】
そして、システムバスの数より多い数のマスタモジュールのそれぞれから要求信号が入力された場合に、入力された要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、この選択された要求信号を除く要求信号の中からいずれか1つを選択する動作を、この選択動作によって選択された要求信号の数がシステムバスの数になるまで繰り返し行うようにすればよい。このようにすることによって、マスタモジュールの数が4で、システムバスの数が2の場合やマスタモジュールの数が4で、システムバスの数が3の場合などに適用することが可能である。
【0033】
以上説明したように、マスタモジュールの数より少ないシステムバスを介して、マスタモジュールとスレーブモジュールとの間で信号の授受を行う場合に、入力された要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、この選択された要求信号を除く要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択する動作を、この選択動作によって選択された要求信号の数がシステムバスの数になるまで繰り返し行うようにし、選択された要求信号を出力したマスタモジュールがスレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受をシステムバスを介して行うようにしたため、アクセス動作の処理速度を低下させることなく、バスラインを削減することが可能となり、回路装置の消費電力を削減することができる。
【0034】
一般にLSIで構成するプロセッサ等のシステムバスは、アドレスバスやデータバスで構成されるため、信号線の接続本数が非常に多く、プロセッサを高速で動作させるために、高速な伝送を行うことができる必要がある。信号線の接続本数が多数でかつ高速なバスラインの複数信号線間において、同期関係を維持させたまま、LSI内部にスレーブモジュール等を配置して、配線を行うのは非常に困難である。これを解決するためには、バスラインにリピータバッファを挿入する必要があるともに、クロックラインにもバッファを挿入する必要がある。このため、レイアウトが複雑になるともに、バッファが消費する電力が増大して、LSIの消費電力が増大してしまう。
【0035】
本発明は、バスラインの数を減らすことができるため、LSIで構成するプロセッサの能力を維持したまま、消費電力を低減することができる。また、リピータバッファを挿入する必要がなくなるため、回路の規模を小さくすることができる。さらに、タイミング調整の対象となるロジックラインを削減することができるため、レイアウト時の調整作業の難易度を低くすることができる。
【0036】
なお、本発明によるバスアクセス回路装置は、前述したように、LSI内部に設けられるのに加え、LSIで構成するプロセッサと、記憶装置、入出力装置などの装置との間で命令やデータの転送を行う外部バスや、周辺機器を接続したり、機能を強化したりするための拡張カードとコンピュータ本体間で命令やデータの転送を行う拡張バス等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すアクセス制御部4の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すアクセス制御部4の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】従来技術によるマスタモジュールとスレーブモジュールの接続形態を示すブロック図である。
【図5】従来技術によるマスタモジュールとスレーブモジュールの接続形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
1、2、3・・・マスタモジュール、4・・・アクセス制御部、5、6、7、8・・・スレーブモジュール、9、10、11、12・・・バス選択部、L1、L2・・・システムバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上のマスタモジュールと、
前記マスタモジュールのアクセス対象である複数のスレーブモジュールと、
前記スレーブモジュールのそれぞれが接続され、前記マスタモジュールの数より少なく、かつ2つ以上であるシステムバスと、
前記マスタモジュール及び前記システムバスのそれぞれと接続され、前記マスタモジュールが前記システムバスを介して、前記スレーブモジュールに対してアクセスを行う場合のアクセス制御を行うアクセス制御手段とを備えるバスアクセス回路装置であって、
前記アクセス制御手段は、
前記システムバスの数より多い数の前記マスタモジュールのそれぞれから要求信号が入力された場合に、入力された前記要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、該選択された前記要求信号を除く前記要求信号の中からいずれか1つを選択する動作を、該選択動作によって選択された前記要求信号の数が前記システムバスの数になるまで繰り返し行う要求信号選択手段と、
前記要求信号選択手段によって選択された要求信号を出力した前記マスタモジュールが前記スレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受を前記システムバスを介して行う信号入出力手段と
を備えたことを特徴とするバスアクセス回路装置。
【請求項2】
3つ以上のマスタモジュールと、
前記マスタモジュールのアクセス対象である複数のスレーブモジュールと、
前記スレーブモジュールのそれぞれが接続され、前記マスタモジュールの数より少なく、かつ2つ以上であるシステムバスと、
前記マスタモジュール及び前記システムバスのそれぞれと接続され、前記マスタモジュールが前記システムバスを介して、前記スレーブモジュールに対してアクセスを行う場合のアクセス制御を行うアクセス制御手段とを備えるバスアクセス回路装置におけるバスアクセス方法であって、
前記アクセス制御手段が、前記システムバスの数より多い数の前記マスタモジュールのそれぞれから要求信号が入力された場合に、入力された前記要求信号の中からいずれか1つの要求信号を選択し、該選択された前記要求信号を除く前記要求信号の中からいずれか1つを選択する動作を、該選択動作によって選択された前記要求信号の数が前記システムバスの数になるまで繰り返し行う要求信号選択ステップと、
前記アクセス制御手段が、前記要求信号選択ステップによって選択された要求信号を出力した前記マスタモジュールが前記スレーブモジュールに対してアクセスするのに必要な信号の授受を前記システムバスを介して行う信号入出力ステップと
を有することを特徴とするバスアクセス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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