説明

バス用空調装置

【課題】本発明は、整備頻度の高い空調装備品の配置を工夫して、整備頻度の高い空調機器の整備性とバス車両の走行安定性との向上が図れるバス用空調装置を提供する。
【解決手段】本発明のバス用空調装置は、空調装備品のうち整備頻度の高い空調装備品15,17は、バス車両の床下の車幅方向空間αのうち車幅方向一方側となる外側の地点、同地点とは反対側の車幅方向他方側となる外側の地点にそれぞれ配置した。同構成により、頻度の高い空調装備品15,17は、バス車両の床下の車幅方向両側にそれぞれ配置されるので、当該空調装備品の整備性が十分に確保されるうえ、車幅方向の重量的な片寄りも抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス車両の客室を空調するバス用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バス車両に搭載されるバス用空調装置には、サブエンジン式と呼ばれる空調装置やメインエンジン直結式と呼ばれる空調装置がある。
サブエンジン式は、バス車両の床下に、コンプレッサを駆動する専用のサブエンジンと共に、コンプレッサと共に冷凍サイクルを形成するコンデンサ、同冷暖房空調ユニット(エバポレータ、ヒータコアなどを内蔵したユニット)を搭載して構成される空調装置で、エバポレータやヒータコアで生成された空調空気(所望温度や湿度の冷風や温風など)を客室の天井・床側から供給する。メインエンジン直結式は、バス車両のリヤに搭載された走行用エンジンにコンプレッサを直結し、バス車両の屋根上に、コンプレッサと組合う冷房ユニットを搭載し、床下に暖房ユニットを搭載して構成される空調装置で、客室の天井側から冷風を供給し、客室の床側から温風を供給する。
【0003】
ところで、こうした空調装置のうちサブエンジン式は、サブエンジンにおける排ガス規制の対応が求められる。このため、開発技術の面、コスト的な面で、かなりの負担が強いられる問題がある。
またメインエンジン直結式の空調装置は、屋根に冷房ユニットを配置するために、バス車両の重心位置が高くなる問題がある。しかも、冷媒配管は、車両上下間(コンプレッサと屋根上の冷房ユニットとの間)に渡すことが多いため、配管作業の工数が多い。そのうえ、車両上下を渡る冷媒配管により、バス車両の重量が増すなどの問題をもつ。
【0004】
そこで、こうした点を改善するべく、メインエンジン直結式でありながら、メインエンジン直結式のように客室内で冷風や温風をミックスさせるのではなく、サブエンジン式のような床下に、コンデンサ(含むコンデンサファン)、冷暖房空調ユニット(エバポレータ、ヒータコアが内蔵)を据え付けた構造を用いて(いずれも空調装備品に相当)、冷暖房空調ユニットの外気導入口や内気導入口から導入される空気を当該冷暖房空調ユニット内で温度調整し、調整を終えた空調空気を客室内へ供給する空調装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【0005】
ところで、空調装置のうちコンデンサや冷暖房空調ユニットは、始業前に行う点検作業などにより、日常的にコンデンサのフィン詰まりや、冷暖房空調ユニットの外気導入口に付いているフィルタの汚れや詰まりなどを点検することが求められている。点検は、空調空気の生成を助けるのに用いる予熱器(燃焼式の補助ヒータ機器に相当)のバーナノズル、ファンモータ、同予熱器で燃焼させる燃料中の異物を取り除く燃料フィルタや、ヒータコアに供給される温水中の異物を取り除くストレーナなども行うが、特にコンデンサ、冷暖房空調ユニットの点検頻度は高い。
【0006】
そこで、整備性を考慮して、特許文献2のように整備頻度の高い空調装備品である、コンデンサ(含むコンデンサファン)、冷暖房空調ユニットを、予熱器や、他の空調装備品となる客室送風機(冷暖房空調ユニットで生成された空調空気を客室内へ送風)と共に、床下の車幅方向空間のうち、片側、それも外側の地点だけに配置する提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−51424号公報
【特許文献2】特開2003−291636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、同構造は、確かに整備性は高まるものの、バス車両の車幅方向片側に空調装備品が片寄って配置されるため、車幅方向における重量バランスは確保しにくい。このため、バス車両の走行安定性に影響を与えやすい。
そこで、本発明の目的は、整備頻度の高い空調装備品の配置を工夫して、整備頻度の高い空調機器の整備性とバス車両の走行安定性との向上が図れるバス用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、整備頻度の高い各種空調装備品は、バス車両の床下の車幅方向空間のうち車幅方向一方側となる外側の地点、同地点とは反対側の車幅方向他方側となる外側の地点にそれぞれ配置することにある。
同構成によると、整備頻度の高い空調装備品は、バス車両の床下の車幅方向両側、それも外側にそれぞれ配置されるので、バス車両の左右両側から点検が可能となり、当該空調装備品の整備性が十分に確保される。しかも、車幅方向の重量的な片寄りも抑えられる。
【0010】
請求項2の発明は、上記目的に加え、日常的に求められるコンデンサ、冷暖房空調ユニットの点検が容易に行えるよう、外気と熱交換するコンデンサは、床下の車幅方向一方側のうちの最も外側の地点に配置し、外気導入口および内気導入口を有し空調空気を生成する冷暖房空調ユニットは、反対側の車幅方向他方側のうちの最も外側の地点に配置した。
【0011】
請求項3の発明は、上記目的に加え、ヒータコアを助ける燃焼式の補助ヒータ、補助ヒータで燃焼する燃料中の異物を取り除く燃料フィルタ、ヒータコアに供給される温水中の異物を取り除くストレーナの整備性も確保されるよう、補助ヒータは、コンデンサの近くに配置し、燃料フィルタ、ストレーナは、コンデンサ、冷暖房空調ユニットと共に車幅方向空間の最も外側の地点に配置した。
【0012】
請求項4の発明は、上記目的に加え、整備頻度の高い装備品がもたらす重量バランスを損なわずに、整備頻度の低い空調装備品となる客室送風機が床下に配置されるよう、客室送風機は2基とし、同客室送風機のうちの一方を、コンデンサ側に寄せた床下の車幅方向一方側の地点に配置し、客室送風機のうちの他方を、反対側の冷暖房空調ユニット側に寄せた床下の車幅方向他方側の地点に配置した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、整備頻度の高い空調装備品は、床下の車幅方向空間の車幅方向両側で、さらに外側の地点に配置したから、バス車両の左右両側から点検が可能となり、整備頻度の高い空調装備品の整備性が十分に確保される。しかも、車幅方向の重量的な片寄りは抑えられ、重量バランスの不安定さが解消できる。
したがって、バス車両は、簡単な構造で、整備頻度の高い空調機器の整備性と、バス車両の走行安定性とを向上させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、日常的に求められるコンデンサ、冷暖房空調ユニットの点検が容易に行うことができる。
請求項3の発明によれば、コンデンサ、冷暖房空調ユニットに続く、燃焼式の補助ヒータ、燃料フィルタ、ストレーナなど整備頻度の高い空調装備品の整備性も確保できる。
請求項4の発明によれば、整備頻度の高い装備品がもたらす重量バランスを損なわずに、客室送風機(整備頻度の低い空調装備品)を床下に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るバス用空調装置が搭載されたバス車両を示す斜視図。
【図2】同バス用空調装置の床下に組み込まれた空調設備を拡大して示す斜視図。
【図3】同空調設備をバス車両から離して示した斜視図。
【図4】(a)は同空調設備を構成する各空調装備品の配置を示す平面図、(b)は同じく正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図1ないし図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、バス用空調装置が搭載されたバス車両、例えばハイデッカタイプの観光バスの全体、図2および図3は同バス用空調装置の空調ユニット(本願の空調設備に相当)の組込み構造、図4は同空調ユニットの各機器のレイアウトをそれぞれ示している。
【0017】
図1に示す観光バス(以下、バス車両という)を説明すると、図中1は車両前後方向に延びた箱形の車体、2は車体1の内部に形成された客室、2aは同客室2の床を示している。車体1の最後部(リヤ)に形成されたエンジンルーム(図示しない)には、同バス車両の走行用エンジン3が収められている。また客室2の天井の車幅方向両側には、一対の冷房用ダクト5が設けられ、客室2の床板の車幅方向両側には、一対の暖房用ダクト6が設けられている。なお、両ダクト5,6は、いずれも客室2の前後方向に沿って配置してある。
【0018】
バス車両に搭載されているバス用空調装置10は、走行用エンジン3で駆動されるコンプレッサ11をエンジンルームに収め、コンプレッサ11と組み合う空調設備であるところの空調ユニット12を客室2の床下に組み込んで構成されている。このうち空調ユニット12が、図1および図2に示されるように例えば前輪7aと、同前輪7aと後輪7b間に形成した荷物室8との間に有する床下の限られた車幅方向空間αに組み込まれている。
【0019】
さらに述べると、車体1は、シャシフレーム9上に据え付けられ、同シャシフレーム9により客室2を高い位置に配置させている。シャシフレーム9(車体を支える部材)は、図1〜図3に示されるように車両車幅方向に延びる複数のクロスメンバ部9a(一部しか図示せず)と、車両前後方向に延びる複数のサイドレール部9b(一部しか図示せず)とを井桁状に組み合わせて構成される。通常、このシャシフレーム9の車幅方向中央には、剛性の確保や車両前後方向に渡る渡り配線や渡り配管(いずれも図示しない)の保持などのため、車両前部から車両後部に渡り、骨格をなすフレーム部材9cが一直線状に設けられている。
【0020】
空調ユニット12は、このシャシフレーム9のうち、前輪7a直後のクロスメンバ部、例えば前輪7aのホイールハウスの骨格の一部を兼ねる高さ寸法の低いホイールハウス骨格部9dと、荷物室8の骨格の一部をなす最もフロント寄りの高さ寸法の高いクロスメンバ部9a間の限られた車幅方向空間αに搭載されている。
空調ユニット12は、図1〜図3に示されるように多数の放熱フィン(図示しない)を有するコンデンサ15(外気と熱交換する熱交換器)、同コンデンサ15に装備された複数、例えば4基の電動式のコンデンサファン15a、冷暖房空調ユニット17、客室送風機18、レシーバ19、ドライヤ20、燃焼バーナー式の予熱器21(本願の燃焼式の補助ヒータに相当)などといった空調装備品をもつ。
【0021】
このうち冷暖房空調ユニット17は、図3に示されるように空調ケーシング22の側部にフィルタ23aが付いた外気導入口23を有し、上部に内気導入口24を有し、さらに同導入口23,24の切り換えを行う切換機構25が組み付き、内部にエバポレータ27、ヒータコア28を収めて構成される。また客室送風機18は、複数、例えば2基(一対)の電動式のブロアファン18a,18b(電動送風機)に分けている。
【0022】
ここで、空調ユニット12の空調装備品のうち、コンデンサ15はフィン詰まり、冷暖房空調ユニット17は、外気導入口25に付いているフィルタ23aの汚れや詰まりの点検が日常的に求められる機器なので、整備頻度の高い空調装備品と見なせる。予熱器21は、内蔵されているバーナノズルやファンモータ(いずれも図示しない)の点検が求められる。また同予熱器21に供される燃料中の異物を取り除く燃料フィルタ36やヒータコア28に供給される温水中の異物を取り除くストレーナ37も点検が求められるため、周辺機器たる予熱器21、燃料フィルタ36、ストレーナ37なども、コンデンサ15や冷暖房空調ユニット17に続く、整備頻度の高い空調装備品と見なせる。点検頻度の低いブロアファン18a,18bは、これら整備頻度の高い空調装備品以外の空調装備品と見なせる。
【0023】
こうした空調ユニット12の主要機器が、図2に示されるようにホイールハウス骨格部9dとクロスメンバ部9a間を斜めに通るフレーム部材9c部分を避けて、床下の車幅方向空間αに、点検しやすく、さらにはバランスよく配置されている。
【0024】
すなわち、図1〜図4(a),(b)に示されるように床下のフレーム部材9c部分を避けた、同フレーム部材9c部分と隣接する車幅方向一方側の空間部の最外側の地点には、コンデンサ15がコンデンサファン15aと共に配置される。この配置により、コンデンサ15の側部を、車体1の側部に着脱可能に設けたコンデンサ用グリル部1aを臨ませている。また反対側となるフレーム部材9c部分を避けた、フレーム部材9c部分と隣接する車幅方向他方側の空間部の最外側の地点には、冷暖房空調ユニット17が配置される。この配置により、冷暖房空調ユニット17の外気導入口23を車体1の側部に着脱可能に設けた外気導入用グリル部1bに臨ませている。
【0025】
コンデンサ15の後側には、ヒータコア28に温水を循環させる温水ウォータポンプ35が配置される。またコンデンサ15の近く、例えばコンデンサ15の側部には燃料フィルタ36が配置され、冷暖房空調ユニット17の近く、例えば冷暖房空調ユニット17の側部にはストレーナ37が配置されている。これで、燃料フィルタ36、ストレーナ37は、コンデンサ15や冷暖房空調ユニット17と共に車幅方向空間αの最も外側の地点に配置され、コンデンサ用グリル部1aや外気導入用グリル部1bを開けると、車外からコンデンサ15のフィン、外気導入口23のフィルタ23a、燃料フィルタ36、ストレーナ37が目視されるだけでなく、直接、作業者の手の届く範囲に所在するようにしている。
【0026】
また図4に示されるように客室送風機18を構成する一方のブロアファン18aは、空調ケーシング22の空調空気の導出部(図示しない)と延長ダクト29(ダクト)でつなげて、コンデンサ15側に寄せた床下の車幅方向一方側の地点(フレーム部材9c部分とコンデンサ15との間)に配置され、他方のブロアファン18bは、空調ケーシング22の空調空気の導入部(図示しない)と直接つなげ、反対側の冷暖房空調ユニット17側に寄せた床下の車幅方向他方側の地点(フレーム部材9c部分と冷暖房空調ユニット17との間)に配置され、限られた車幅方向空間αの全体に空調ユニット12の主要の機器をバランスよく配置させている。この配置により、コンデンサ15の熱交換のしやすさ、冷暖房空調ユニット17への外気の導入しやすさ、空調空気の客室2内の車幅方向両側への供給しやすさを確保している。ちなみに、内気導入口24は客室2内と連通する。
【0027】
特に2基のブロアファン18a,18bは、制約された車幅方向空間αを組み込まれるよう、車両前後方向において相互の位置をずらして配置してある。この位置ずれで空いた2基のブロアファン18a,18b間に、上記予熱器21、同予熱器21とつながる温水三方流調弁30が配置され、かなりの占有スペースを要する各種機器を床下の車幅方向空間αの全体にバランスよく配置させている。
【0028】
こうした車幅方向両側に配置したコンデンサ15と冷暖房空調ユニット17との間は、図3および図4に示されるように複数本の支持アーム31で連結され、さらに支持アーム31には、2基のブロアファン18a,18b、予熱器21、レシーバ19、ドライヤ20などが支持され、図3に示されるような床下(車幅方向空間α)への組込みに適した機器レイアウトの空調ユニット12としている。そして、支持アーム31がクロスメンバ部9aなどに固定具、例えばボルトで固定され、床下に空調ユニット12の全体を組み付けている。
【0029】
コンデンサ15、エバポレータ27、レシーバ19、ドライヤ20は、順に冷媒配管(図示しない)を介して、コンプレッサ11と接続され、冷凍サイクルを構成している。なお、図示はしないが冷暖房空調ユニット17は、左右両側の側部に冷媒配管接続口(図示しない)を有していて、同冷媒配管接続口に冷媒配管を接続させてある。ヒータコア28は、予熱器21や温水ウォータポンプ35を介して、走行用エンジン3の冷却水導出部(いずれも図示しない)に接続されていて、冷凍サイクル運転やヒータコア28運転により、外気導入口23や内気導入口24で取り込まれる空気の温度や湿度が調整される構造としてある。
【0030】
また床下の左右両側に組み込んだ2基のブロアファン18a,18bは、図1および図2に示されるように前輪7aのホイールハウス間を通るX形の供給ダクト33や、冷・暖房切換ダンパー(図示しない)内蔵の中継ダクト34を介して、客室2内の両側の冷房用ダクト5、暖房用ダクト6にそれぞれ接続され、冷暖房空調ユニット17内で生成された空調空気(冷風、温風など)が冷房用ダクト5、暖房用ダクト6から客室2内へ吹き出せるようにしている。
【0031】
このように床下に配置される空調ユニット12のうち、整備頻度の高い空調装備品を、床下の車幅方向空間αの左右両側、それも外側に配置する構造にすると、同空調装備品は、バス車両の左右両側から点検可能となるから、車体1の側部のグリル部1a,1bを開けるだけで、容易に同空調装備品の点検が行える。このため、同空調装備品の整備性を十分に確保することができる。しかも、整備頻度の高い空調装備品は、車幅方向空間αの左右両側に配置され、車幅方向の重量的な片寄りも抑えられるから、併せて重量バランスの不安定さが解消される。
それ故、簡単な構造で、整備頻度の高い空調機器の整備性と、バス車両の走行安定性との双方を向上させることができる。
【0032】
特に、整備頻度の高い空調装備品であるコンデンサ15(コンデンサファン15aを含む)と、同じく冷暖房空調ユニット17とを車幅方向空間αの左右両側の最も外側の地点に配置すると、グリル部1a,1bを開けさえすれば、車外から目視や手作業により、日常的に求められるコンデンサ15のフィン詰まり、冷暖房空調ユニット17の外気導入口23のフィルタ23aの汚れや詰まりの点検が容易に行える。しかも、床下の車幅方向空間αには、重量的にバランスよく収まる。そのうえ、冷暖房空調ユニット17の左右両側に冷媒配管接続口(図示しない)が有ると、外気導入用グリル部1bを開けた車両側部から、冷媒配管との接続を行うスパナなどの工具が挿入しやすくなり、冷媒配管との接続作業が容易になる。
【0033】
そのうえ、予熱器21をコンデンサ15の近くに配置し、燃料フィルタ36、ストレーナ37を、コンデンサ15、冷暖房空調ユニット17と共に、車幅方向空間αの最も外側の地点に配置すると、予熱器21に内蔵のバーナノズやファンモータ、燃料フィルタ36、ストレーナ37までも、車外から点検しやすい地点に配置される。このため、コンデンサ15、冷暖房空調ユニット17に続く整備頻度の高い空調装備品となる予熱器21、燃料フィルタ36、ストレーナ37などの整備性も確保できる。
【0034】
加えて、整備頻度の高い空調機器以外の機器である2基のブロアファン18a,18b(客室送風機)は、それぞれコンデンサ15側、冷暖房空調ユニット17側に寄せた地点に配置したことで、整備頻度の高い装備品がもたらす重量バランスを損なわずに、2基のブロアファン18a,18bを床下にバランスよく配置することができる。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、バス車両の前輪直後の床下の地点に空調ユニット(空調設備)を設けた例を挙げたが、他の地点に空調ユニットを設ける構造でも構わない。
【符号の説明】
【0035】
1 車体
3 走行用エンジン
11 コンプレッサ
12 空調ユニット(空調設備)
15 コンデンサ
15a コンデンサファン
17 冷暖房空調ユニット
18 客室送風機
21 予熱器(燃焼式の補助ヒータ)
23 外気導入口
24 内気導入口
23a フィルタ
27 エバポレータ
28 ヒータコア
36 燃料フィルタ
37 ストレーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス車両に、同バス車両の走行用エンジンで駆動されるコンプレッサを設け、同バス車両の客室の床下に、前記コンプレッサと組合い空調空気を生成する空調設備を設けて構成されるバス用空調装置であって、
前記空調設備は、整備頻度の高い空調装備品を各種有し、
前記整備頻度の高い空調装備品は、前記床下の車幅方向空間のうち車幅方向一方側となる外側の地点、同地点とは反対側の車幅方向他方側となる外側の地点にそれぞれ配置される
ことを特徴とするバス用空調装置。
【請求項2】
前記整備頻度の高い空調装備品は、外気と熱交換するコンデンサや、外気導入口および内気導入口を有しエバポレータおよびヒータコアにより空調空気を生成するための冷暖房空調ユニットであり、
前記コンデンサは、前記床下の車幅方向一方側のうちの最も外側の地点に配置され、
前記冷暖房空調ユニットは、前記コンデンサと反対側の車幅方向他方側のうちの最も外側の地点に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のバス用空調装置。
【請求項3】
更に前記整備頻度の高い空調装備品は、前記ヒータコアを助ける燃焼式の補助ヒータ、当該補助ヒータで燃焼する燃料中の異物を取り除く燃料フィルタ、前記ヒータコアに供給される温水中の異物を取り除くストレーナを含み、
前記補助ヒータは、前記コンデンサの近くに配置され、
前記燃料フィルタ、前記ストレーナは、前記コンデンサ、前記冷暖房空調ユニットと共に車幅方向空間の最も外側の地点に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のバス用空調装置。
【請求項4】
更に、前記空調装備品以外の空調装備品として、前記冷暖房空調ユニットで生成された空調空気を客室内へ供給する2基の客室送風機を有し、
前記客室送風機のうちの一方は、前記コンデンサ側に寄せた前記床下の車幅方向一方側の地点に配置され、
前記客室送風機のうちの他方は、反対側の前記冷暖房空調ユニット側に寄せた前記床下の車幅方向他方側の地点に配置される
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載に記載のバス用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−131320(P2012−131320A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284374(P2010−284374)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】