バス路線評価支援システム、バス路線評価支援方法、バス路線評価支援プログラム、及び記録媒体
【課題】バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援するバス路線評価支援システムを提供する。
【解決手段】路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段40と、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成して任意の評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段41と、地理情報システム上で路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの評価対象データに影響する要因を統計データ、及び地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段42と、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化し、仮定の路線データを構築し、仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段43と、路線データ及び任意の評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段44と、各手段を制御するCPU45と、を備えて構成されている。
【解決手段】路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段40と、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成して任意の評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段41と、地理情報システム上で路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの評価対象データに影響する要因を統計データ、及び地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段42と、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化し、仮定の路線データを構築し、仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段43と、路線データ及び任意の評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段44と、各手段を制御するCPU45と、を備えて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス路線評価支援システムに関し、さらに詳しくは、定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編及びダイヤ改正の意思決定を支援するための情報を提供するバス路線評価支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バス事業は、少子高齢化、環境問題(地球温暖化)が深刻化する中で、ますます公共交通としての重要性が急増している。しかし、マイカーの普及によるバス利用者の減少により、バス事業者の大半が赤字経営を抱えて非常に厳しい経営環境に置かれているのが現状である。また、路線再編、及びダイヤ改正を行う場合、どうしても既存路線とのしがらみがあるため、大幅な再編、改正を実施することが困難となり、路線再編及びダイヤ改正に関する作業をダイヤ担当者の経験と勘に頼っている点が多く、定量的な指標で評価されていないといった問題がある。このような状況に対処するため、定量的にバス路線(既存、新設)を評価し、その結果に基づいて路線再編、及びダイヤ改正を実施することで、バス利用者へのサービスの向上と、バス事業者の収支の改善を図りたいという要求がバス事業者側から出てきている。
ここで、バス路線を評価する従来技術として特許文献1には、予め調査した利用者の動向に基づいて、人の集まる場所ごとに時間と発車台数を決めて運行エリアを運行する路線バスの運行方法および運行システムについて開示されている。また、特許文献2には、運行情報と路線情報とに基づいてバスの運行状況を把握し、自バス、先行バス又は後続バスのうち、少なくともいずれか一方のバスに対して運行変更の指示を行うバスの自動運行支援システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−272085号公報
【特許文献2】特開2005−222144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、予め調査した利用者の動向に基づいて、人の集まる場所ごとに時間と発車台数を決めて運行エリアを運行するため、利用者側から見た場合に発車時刻が一定でないため予定を立てにくく利便性が悪いといった問題がある。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、現在運行車両のバス車載情報を保有する運行情報データベースと、各運行路線の地図情報及び路線の混雑状況を保有する路線情報データベースとを用いて、バスの混雑度の平均化と運行間隔の適正化を図るものであり、必ずしも長期的な視野から見た路線の再編、ダイヤ改正に結びつくものではない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、路線再編・ダイヤ改正の意思決定を支援するシステマチックな路線評価手順(フレームワーク)を提供することにより、現状を踏まえた上での戦略的な路線再編・ダイヤ改正を実施し、バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援するバス路線評価支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又はダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援システムであって、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段と、世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段と、地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段と、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化することにより、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段と、前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明は外部システム等による業務と、本発明に係る商品評価/商品企画(バス路線評価支援システム)による業務が連携して行われる。即ち、外部システム等から路線データ(停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報)と、任意の評価対象データ(停留所や路線ごとの乗降者数や収支、停留所区間ごとの乗車密度など)を準備する。バス路線評価支援システムでは、準備した路線情報を路線データとしてシステムに取込み、基礎情報としての路線データを構築する。次に、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データを取込む。プロジェクト管理するのは、過去に実施した評価・分析結果を再現できるようにすることが目的である。そして、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データを重ね合わせて可視化し、評価対象データに影響する要因を分析する。最後に、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データに関する指標値を算出して、外部システム等により路線再編・ダイヤ改正を実施する。これにより、バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援することができる。
【0006】
請求項2は、前記路線データ管理手段は、新規路線データ世代の作成、又は既存世代を親として新規路線データを作成する新規路線データ世代作成手段と、不要となった前記既存世代に係る路線データ世代を削除する既存路線データ世代削除手段と、指定した路線データ世代に対して前記停留所情報を構築する停留所情報構築手段と、指定した路線データ世代に対して前記路線データを構築する路線データ構築手段と、を備えたことを特徴とする。
路線データ管理手段は、新規路線データ世代を作成する。もしくは、既存世代を親として新規路線データ世代を作成する。もしくは、不要となった路線データ世代を削除する。次に指定した路線データ世代に対し、停留所データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線データ世代に対し、路線(系統)データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。また、路線(系統)データ構築の際には同時に停留所区間データを自動で構築する。これにより、路線世代ごとに複数の評価、分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価、分析することが可能となる。
【0007】
請求項3は、前記プロジェクト管理手段は、前記路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する新規プロジェクト作成手段と、既存の路線評価プロジェクトを削除する既存プロジェクト削除手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取り込む停留所評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに路線に関する評価対象データを取り込む路線評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む停留所区間評価対象データ構築手段と、を備えていることを特徴とする。
プロジェクト管理手段は、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する。もしくは、不要となった既存の路線評価プロジェクトを削除する。指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに路線(系統)に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。これにより、最新のデータに基づいた新規路線評価プロジェクトを作成することができる。
【0008】
請求項4は、前記現状分析支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、及び路線データの前記地理情報システム上での表示のON/OFF、及びシンボル設定を任意に調整するデータ表示調整手段と、道路ネットワークデータ及び停留所位置情報を用いて商圏分析して停留所徒歩圏内エリアを表示する停留所徒歩圏エリア表示手段と、前記評価対象データと他のデータとの相関性を分析する相関性分析手段と、を備えていることを特徴とする。
現状分析支援手段は、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開き、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、路線(系統)データのGIS上での表示ON/OFF、シンボル設定を任意に調整する。また、道路ネットワークデータと停留所位置情報を用いて商圏分析し、停留所徒歩圏内エリアを表示する。また、評価対象データ(停留所に関するもの、路線(系統)に関するもの)と他データ(徒歩圏内エリアの人口、施設数、平均傾斜角、etc)の相関性を分析する。具体的には、縦軸に評価対象データ、横軸に他データとした散布図と近似直線、および帳票をExcel形式で出力する。これにより、現状の停留所が適正な位置に配置されているかを判断することができ、且つ施設数と停留所との関連性を確認することができる。
【0009】
請求項5は、前記路線再編支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、前記現状分析支援手段により明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータを複数選択し、選択された各データを任意の複数段階でランク付けして、メッシュごとに前記ランキングの総和を求めて可視化する指標値可視化手段と、新規路線を登録し、該登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから新規路線の評価対象データ値を予測する新規路線評価対象データ予測手段と、既存路線の停留所位置の並び情報を再編し、該再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから再編路線の評価対象データ値を予測する既存路線評価対象データ予測手段と、を備えていることを特徴とする。
路線再編支援手段は、プロジェクト管理手段で作成した路線評価プロジェクトを開き、現状分析支援手段で明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜など)を複数選択する。選択された各データを任意の複数段階でランク付けし、メッシュごとにその総和を求めて可視化する。そして、新規路線(停留所位置の並び情報)を登録し、登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて新規路線の評価対象データ値を予測する。そして、既存路線の停留所位置の並び情報を再編する。再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて再編路線の評価対象データ値を予測する。これにより、統計データ、周辺施設数、周辺平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化することができる。また、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測することができる。
【0010】
請求項6は、定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又はダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援方法であって、路線データ管理手段が、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築するステップと、プロジェクト管理手段が、世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むステップと、現状分析支援手段が、地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化することにより、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析するステップと、路線再編支援手段が、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化し、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測するステップと、データ蓄積手段が、前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するステップと、前記各手段を制御するステップと、を備えたことを特徴とする。
請求項1と同様の作用効果を奏する。
請求項7は、請求項6に記載のバス路線評価支援方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする。
本発明のバス路線評価支援方法をコンピュータが制御可能なOSに従ってプログラミングすることにより、そのOSを備えたコンピュータであれば同じ処理方法により制御することができる。
請求項8は、請求項7に記載のバス路線評価支援プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする。
バス路線評価支援プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録媒体に記録することにより、この記録媒体を持ち運ぶことにより何処でもプログラムを稼動することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バス路線評価支援システムにより路線データを管理して、路線評価プロジェクトを管理し、それに基づいて現状を評価、分析して路線再編を検討するので、バス利用者へのサービスの向上、及びバス事業者の収支改善の実現を支援することができる。
また、路線データ管理手段により、路線世代ごとに複数の評価、分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価、分析することが可能となる。
また、プロジェクト管理手段により、最新のデータに基づいた新規路線評価プロジェクトを作成することができる。
また、現状分析支援手段により、現状の停留所が適正な位置に配置されているかを判断することができ、且つ周辺人口や周辺施設数および周辺傾斜角と停留所との関連性を確認することができる。
また、路線再編支援手段により、統計データ、周辺施設数、平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化することができる。また、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】バス路線・ダイヤの改善サイクルを表す図である。
【図2】システムによる作業フローを表す図である。
【図3】本発明のバス路線評価支援システムに搭載する標準データについて説明する図である。
【図4】(a)は、現行路線と人口密度を可視化した図、(b)は現行路線と乗者数の関係を表す図、(c)は路線上の停留所徒歩圏を示す図、(d)は停留所から単純に所定距離内に入る地域を示した図、(e)は(c)と同様に、所定時間内に停留所に到着できる道路をトレースした図である。
【図5】本発明のバス路線評価支援システムにより現状評価・分析して相関性を分析した例を示す図である。
【図6】本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討してエリアのランク付けをした例を示す図である。
【図7】本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討して運用データ値を予測した例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るバス路線評価支援システムのハードウェア構成を示す図である。
【図9】本発明のコンピュータ内の機能を説明するブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係る路線データ管理手段の機能を説明するブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に係るプロジェクト管理手段の機能を説明するブロック図である。
【図12】本発明の実施形態に係る現状分析支援手段の機能を説明するブロック図である。
【図13】本発明の実施形態に係る路線再編支援手段の機能を説明するブロック図である。
【図14】本発明に係るバス路線評価支援システムのソフトウェアの位置づけを説明する図である。
【図15】本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム業務フローを示す図である。
【図16】本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム化機能の概要を示す図である。
【図17】本発明に係るバス路線評価支援システムの路線データ管理機能の概要を示す図である。
【図18】本発明に係るバス路線評価支援システムのプロジェクト管理機能の概要を示す図である。
【図19】本発明に係るバス路線評価支援システムの現状分析支援機能の概要を示す図である。
【図20】本発明に係るバス路線評価支援システムの路線再編支援機能の概要を示す図である。
【図21】本発明に係るバス路線評価支援システムの路線評価データ値の予測手法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
本発明のバス路線評価支援システムは、バス路線・ダイヤの改善サイクルをサポートするものである。即ち、統計データ、地理データ、バス運用データによりバス路線を視覚的、定量的に把握し、ダイヤ担当者による効果的なダイヤ改正・路線再編をサポートする。基本コンセプトは、ダイヤ改正・路線再編の意思決定のための支援ツールを提供する。
【0014】
図1はバス路線・ダイヤの改善サイクルを表す図である。バスダイヤ編成支援システム1により改正ダイヤ7を作成し、そのダイヤに基づいてバスロケーションシステム2により運用・実績確認4を実施して、本発明のバス路線評価支援システム3により実績評価・検証5と次期ダイヤ改正計画6を立てて改正ダイヤ作成7にサイクルを回す。
【0015】
図2はシステムによる作業フローを表す図である。このフローでは、繰り返し作業を容易にする枠組みを提供する。即ち、路線世代ごとに複数の評価・分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価・分析することが可能である。例えば、時系列で経過を判断可能で、図1のバス路線・ダイヤの改善サイクルを支援する。
【0016】
図3は本発明のバス路線評価支援システムに搭載する標準データについて説明する図である。本発明では、加工済みの市販データを標準搭載する。例えば、統計データとして、町丁目字界に係る総人口(国勢調査)、高齢者人口(65歳以上)(国勢調査)、学生人口(15〜24歳)(国勢調査)と(図3(a))、地域メッシュに係る総人口(国勢調査)、労働者人口(企業統計調査)(図3(b))がある。また、地理データとして、道路ネットワーク、施設、平均傾斜(数値地図)、及び背景地図がある。また、その他に、バス路線関連データとして、路線データを手動でデータを登録したり、既存のバスダイヤ編成支援システム、バスロケーションシステムから取り込んだり、CSVファイルから取り込む。更に、乗降者数などの運用データを上記と同様な方法で取り込む。尚、これらのデータに限らず、他の必要なデータを搭載しても構わない。
【0017】
図4は本発明のバス路線評価支援システムにより可視化した一例を示す図である。図4(a)は、現行路線と人口密度を可視化した図であり、図の符号10の部分が人口密度が最も高く、次に11、12、13、14と徐々に人口密度が低くなっているのが分かる。この図から、人口密度が高いところに路線が配置されているが、10a、10bの部分に人口密度が局部的に高い地域があり、今後、路線再編の対象とする必要があるのがわかる。また、図4(b)は現行路線と乗者数の関係を表しており、円が大きい方が乗者数が多いことを表している。この図から分かるとおり、人口密度が高い地域では乗者数が多いことが分かる。また、図4(a)で指摘したとおり、人口密度が高い10aの地域では、乗者数が多くなっており、この地域でのダイヤの改正が必要と判断される。図4(c)は路線上の停留所徒歩圏を示す図であり、この図は、停留所から例えば5分以内の道路に沿ってトレースした図である。この図から、停留所からの距離が短い所は、道路が無いため停留所に到着する時間が多くかかる地域であることがわかる。また、図4(d)は停留所から単純に所定距離内に入る地域を示した図であり、図4(e)は図4(c)と同様に、所定時間内に停留所に到着できる道路をトレースした図である。また、図示は省略するが、各種データの表示設定を自由に変更可能である。例えば、データの表示ON/OFFや、停留所、路線、停留所区間の乗者数などによる分類表示や、統計データの区分を変更して分類表示する。
【0018】
図5は本発明のバス路線評価支援システムにより現状評価・分析して相関性を分析した例を示す図である。例えば、縦軸に評価データ値、横軸に相関分析対象(徒歩圏内)の量を示す。この図から徒歩圏内の人口と平日の1日平均乗者数の間には相関性があることがわかる。
【0019】
図6は本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討してエリアのランク付けをした例を示す図である。ここでは、エリアをランク付けし、潜在需要の指標を示す。即ち、統計データ、周辺施設数、平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化する。エリアのランクは、(統計値のランク×重み係数)+(施設数のランク×重み係数)+(傾斜角のランク×重み係数)で表される。例えば、図6(a)のように、徒歩圏設定を徒歩時間5分と設定し、個別ランク設定の個別ランク段階を1〜5とし、統計ランクを国勢調査による総人口とし、施設数ランクを選択して、総合ランク設定として、それぞれ重み付けを1として計算する。その結果、エリアのランクがランク毎に地図上に色分けされて表示する。図6(b)では、エリアのランクが高い順に17、18、19、20として表示される。
【0020】
図7は本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討して運用データ値を予測した例を示す図である。ここでは、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測する。即ち、仮想路線の運用データ(乗降者数など)を統計処理で予測し、予測結果はエクセル形式の帳票で出力する。
【0021】
図8は本発明の実施形態に係るバス路線評価支援システムのハードウェア構成を示す図である。このバス路線評価支援システム100は、キーボード、マウス等で構成される入力手段31と、演算結果を可視化して表示するディスプレイ33と、演算結果をプリント用紙にハードコピーとして印刷するプリンタ34と、演算に必要な各種データを格納するデータベース(DB)35と、バス路線評価支援システム100の動作手順を記録したプログラムを記憶するROM36と、全体を制御するコンピュータ32と、を備えて構成されている。即ち、本発明は、バス路線評価支援システムを構成する各機能をそれぞれプログラム化し、あらかじめROM等の記録媒体に書き込んでおき、これらのプログラムをコンピュータのメモリあるいは記憶装置に格納し、それを実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体も本発明を構成することになる。
【0022】
図9は本発明のコンピュータ内の機能を説明するブロック図である。コンピュータ32は、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段40と、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線データ、及び路線ごとの乗降者数及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段41と、地理情報システム上で路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの評価対象データに影響する要因を統計データ、及び地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段42と、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化し、仮定の路線データを構築し、仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段43と、路線データ及び任意の評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段44と、各手段を制御するCPU(制御手段)45と、を備えて構成されている。
本発明は外部システム等による業務と、本発明に係るバス路線評価支援システムによる業務が連携して行われる。即ち、外部システム等から路線データ(停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報)と、任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を準備する。バス路線評価支援システムでは、準備した路線情報を路線データとしてシステムに取込んで基礎情報を構築する。次に、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データを取込む。プロジェクト管理するのは、過去に実施した評価・分析結果を再現できるようにすることが目的である。そして、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データを重ね合わせて可視化し、評価対象データに影響する要因を分析する。最後に、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データに関する指標値を算出して、外部システム等により路線再編・ダイヤ改正を実施する。これにより、バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援することができる。
【0023】
図10は本発明の実施形態に係る路線データ管理手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。この路線データ管理手段40は、新規路線データ世代の作成、又は既存世代を親として新規路線データを作成する新規路線データ世代作成手段50と、不要となった既存世代に係る路線データ世代を削除する既存路線データ世代削除手段51と、指定した路線データ世代に対して停留所情報を構築する停留所情報構築手段52と、指定した路線データ世代に対して路線データを構築する路線データ構築手段53と、を備えている。
即ち、路線データ管理手段40は、新規路線データ世代を作成する。もしくは、既存世代を親として新規路線データ世代を作成する。もしくは、不要となった既存の路線データ世代を削除する。次に指定した路線データ世代に対し、停留所データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線データ世代に対し、路線(系統)データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。また、路線(系統)データ構築の際には同時に停留所区間データを自動で構築する。これにより、路線世代ごとに複数の評価、分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価、分析することが可能となる。
【0024】
図11は本発明の実施形態に係るプロジェクト管理手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。このプロジェクト管理手段41は、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する新規プロジェクト作成手段54と、既存の路線評価プロジェクトを削除する既存プロジェクト削除手段55と、指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取り込む停留所評価対象データ構築手段56と、指定した路線評価プロジェクトに路線に関する評価対象データを取り込む路線評価対象データ構築手段57と、指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む停留所区間評価対象データ構築手順66と、を備えている。
即ち、プロジェクト管理手段41は、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成し、既存の路線評価プロジェクトを削除する。指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに路線(系統)に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。これにより、最新のデータに基づいた新規路線評価プロジェクトを作成することができる。
【0025】
図12は本発明の実施形態に係る現状分析支援手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。この現状分析支援手段42は、プロジェクト管理手段41により作成された路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段58と、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、及び路線データの地理情報システム上での表示のON/OFF、及びシンボル設定を任意に調整するデータ表示調整手段59と、道路ネットワークデータ及び停留所位置情報を用いて商圏分析して停留所徒歩圏内エリアを表示する停留所徒歩圏エリア表示手段60と、評価対象データと他のデータとの相関性を分析する相関性分析手段61と、を備えている。
即ち、現状分析支援手段42は、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開き、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、路線(系統)データのGIS上での表示ON/OFF、シンボル設定を任意に調整する。また、道路ネットワークデータと停留所位置情報を用いて商圏分析し、停留所徒歩圏内エリアを表示する。評価対象データ(停留所に関するもの、路線(系統)に関するもの)と他データ(徒歩圏内エリアの人口、施設数、平均傾斜、etc)の相関性を分析する。具体的には、縦軸に評価対象データ、横軸に他データとした散布図と近似直線、および帳票をExcel形式で出力する。これにより、現状の停留所が適正な位置に配置されているかを判断することができ、且つ施設数と停留所との関連性を確認することができる。
【0026】
図13は本発明の実施形態に係る路線再編支援手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。この路線再編支援手段43は、プロジェクト管理手段41により作成された路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段62と、現状分析支援手段42により明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータを複数選択し、選択された各データを任意の複数段階でランク付けして、メッシュごとにランクの総和を求めて可視化する指標値可視化手段63と、新規路線を登録し、登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから新規路線の評価対象データ値を予測する新規路線評価対象データ予測手段64と、既存路線の停留所位置の並び情報を再編し、再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから再編路線の評価対象データ値を予測する既存路線評価対象データ予測手段65と、を備えている。
即ち、路線再編支援手段43は、プロジェクト管理手段41で作成した路線評価プロジェクトを開き、現状分析支援手段42で明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜など)を複数選択する。選択された各データを任意の複数段階でランク付けし、メッシュごとにその総和を求めて可視化する。そして、新規路線(停留所位置の並び情報)を登録し、登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて新規路線の評価対象データ値を予測する。既存路線の停留所位置の並び情報を再編する。再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて再編路線の評価対象データ値を予測する。これにより、統計データ、周辺施設数、周辺平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化することができる。また、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測する事ができる。
【0027】
図14は本発明に係るバス路線評価支援システムのソフトウェアの位置づけを説明する図である。バス事業の商品はダイヤである。バスダイヤ編成支援システムを「商品製造」21、バスロケーションシステムを「商品管理」22ととらえ、本システム(バス路線評価支援システム)の位置付けを「商品評価支援/商品企画支援」23とする。バス事業者においては、商品評価/商品企画23、商品製造21、商品管理22のサイクルをまわす(もしくは「商品評価/商品企画」23を単体で利用する)ことで、バス利用者へのサービスの向上、および収支の改善に役立てる。即ち、商品評価支援は、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データ(平均傾斜)を重ね合わせて可視化する。そして、評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に影響する要因を分析する。また、商品企画支援は、商品評価の要因分析結果をもとに、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に関する指標を算出する。
【0028】
図15は本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム業務フローを示す図である。このシステム業務フローは、外部システムによる業務と、バス路線評価支援システムによる業務に分けることができる。
(S1):外部システムによる業務として、路線データ、評価対象データを準備する。これは、路線データ(停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報)を準備する。任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を準備する。
(S2):バス路線評価支援システムによる業務として、路線データを管理する。これは、準備した路線情報を路線データとしてシステムに取込み、基礎情報としての路線データを構築して、路線データは世代管理する。
(S3):路線評価プロジェクトを管理する。これは、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を取込む。プロジェクト管理するのは、過去に実施した評価・分析結果を再現できるようにすることが目的である。
(S4):現状を評価・分析する。これは、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データ(平均傾斜)を重ね合わせて可視化する。そして評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に影響する要因を分析する。
(S5):路線再編を検討する。これは、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データに関する指標値を算出する。
(S6):外部システムによる業務として、路線再編・ダイヤ改正を実施する。
【0029】
図16は本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム化機能の概要を示す図である。同じ機能には図15と同じ参照番号を付して説明する。ここでは、図15で抽出したバス路線評価支援システムによるそれぞれの業務をシステム化する。システム化する業務は、それぞれ、路線データ管理機能67、プロジェクト管理機能68、現状分析支援機能69、路線再編支援機能70の4つのサブ機能と対応付ける。
路線データ管理機能67は、路線データをシステムに取込み、基礎情報としての路線データを構築する。路線データは世代管理する。プロジェクト管理機能68は、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクト(路線データと評価対象データをセットとした作業単位)を作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を取込む。現状分析支援機能69は、GIS上で路線データ、統計データ、地理データを重ね合わせて可視化する。評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に影響する要因を統計データ、地理データをもとに集計・分析する。路線再編支援機能70は、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出し、可視化する。そして、仮定の路線データを構築し、その評価対象データに関する指標値を予測する。
【0030】
図17は本発明に係るバス路線評価支援システムの路線データ管理機能の概要を示す図である。路線データ管理機能67は、
(S10):新規路線データ世代を作成する。これは、新規路線データ世代を作成する。もしくは、既存世代を親として新規路線データ世代を作成する。
(S11):既存路線データ世代を削除する。これは、不要となった路線データ世代を削除する。
(S12):指定した世代に停留所データを構築する。これは、指定した路線データ世代に対し、停留所データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込む、もしくは手動で登録する。
(S13):指定した世代に路線(系統)データを構築する。これは、指定した路線データ世代に対し、路線(系統)データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込む、もしくは手動で登録する。また、路線(系統)データ構築の際には同時に停留所区間データを自動で構築する。
【0031】
図18は本発明に係るバス路線評価支援システムのプロジェクト管理機能の概要を示す図である。プロジェクト管理機能68は、
(S20):新規プロジェクトを作成する。これは、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する。
(S21):既存プロジェクトを削除する。これは、既存の路線評価プロジェクトを削除する。
(S22):停留所に関する評価対象データを構築する。これは、指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込む、もしくは手動で登録する。
(S23):路線(系統)に関する評価対象データを構築する。これは、指定した路線評価プロジェクトに路線(系統)に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込む、もしくは手動で登録する。
(S24):停留所区間に関する評価対象データを構築する。これは、指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込む、もしくは手動で登録する。
【0032】
図19は本発明に係るバス路線評価支援システムの現状分析支援機能の概要を示す図である。現状分析支援機能69は、
(S30):プロジェクトを開く。これは、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開く。
(S31):各種データの表示を調整する。これは、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、路線(系統)データのGIS上での表示ON/OFF、シンボル設定を任意に調整する。
(S32):停留所徒歩圏内エリアを表示する。これは、道路ネットワークデータと停留所位置情報を用いて商圏分析し、停留所徒歩圏内エリアを表示する。もしくは、停留所を中心とする円を描き、停留所徒歩圏内エリアとして表示する。
(S33):評価対象データと他データとの相関性を分析する。これは、評価対象データ(停留所に関するもの、路線(系統)に関するもの)と他データ(徒歩圏内エリアの人口、施設数、平均傾斜角、etc)の相関性を分析する。具体的には、縦軸に評価対象データ、横軸に他データとした散布図と近似直線、および帳票をExcel形式で出力する。
【0033】
図20は本発明に係るバス路線評価支援システムの路線再編支援機能の概要を示す図である。路線再編支援機能70は、
(S40):プロジェクトを開く。これは、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開く。
(S41):潜在需要の指標値をメッシュ単位で可視化する。これは、現状分析支援機能で明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータ(周辺人口、周辺施設数など)を複数選択する。選択された各データを任意の複数段階でランク付けし、メッシュごとにその総和を求めて可視化する。
(S42):登録した新規路線の評価対象データ値を予測する。これは、新規路線(停留所位置の並び情報)を登録する。登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて新規路線の評価対象データ値を予測する。
(S43):再編した路線の評価対象データ値を予測する。これは、既存路線の停留所位置の並び情報を再編する。再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて再編路線の評価対象データ値を予測する。
【0034】
図21は本発明に係るバス路線評価支援システムの路線評価データ値の予測手法を示すフローチャートである。まず、徒歩圏内分数を入力する(S50)、次に予測する評価対象データ値を1つ選択する(S51)。そして、相関性のあるデータ(人口、施設など)を複数選択する(S52)。そして、既存路線(系統)ごとに通過停留所の徒歩圏内エリアを作成し(S53)、路線(系統)ごとに徒歩圏内エリアのデータ値(人口、施設数など)を抽出する(S54)。そしてデータ値ごとの係数を重回帰分析で求める(S55)。一方、ステップS57で新規或いは再編路線の通過停留所の徒歩圏内エリアを作成して(S57)、徒歩圏内エリアのデータ値(人口、施設数など)を抽出する(S59)。ステップS55とS59のデータ値ごとの係数、新規或いは再編路線の徒歩圏内エリアのデータ値から予測値を求める(S56)。
【符号の説明】
【0035】
31 入力手段、32 コンピュータ、33 ディスプレイ、34 プリンタ、35 DB、36 ROM、40 路線データ管理手段、41 プロジェクト管理手段、42 現状分析支援手段、43 路線再編支援手段、50 新規路線データ世代作成手段、51 既存路線データ世代削除手段、52 停留所情報構築手段、53 路線データ構築手段、54 新規プロジェクト作成手段、55 既存プロジェクト削除手段、56 停留所評価対象データ構築手段、57 路線評価対象データ構築手段、58 路線評価プロジェクト入力手段、59 データ表示調整手段、60 停留所徒歩圏エリア表示手段、61 相関性分析手段、62 路線評価プロジェクト入力手段、63 指標値可視化手段、64 新規路線評価対象データ予測手段、65 既存路線評価対象データ予測手段、66 停留所区間評価対象データ構築手段、67 路線データ管理機能、68 プロジェクト管理機能、69 現状分析支援機能、70 路線再編支援機能、100 バス路線評価支援システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス路線評価支援システムに関し、さらに詳しくは、定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編及びダイヤ改正の意思決定を支援するための情報を提供するバス路線評価支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バス事業は、少子高齢化、環境問題(地球温暖化)が深刻化する中で、ますます公共交通としての重要性が急増している。しかし、マイカーの普及によるバス利用者の減少により、バス事業者の大半が赤字経営を抱えて非常に厳しい経営環境に置かれているのが現状である。また、路線再編、及びダイヤ改正を行う場合、どうしても既存路線とのしがらみがあるため、大幅な再編、改正を実施することが困難となり、路線再編及びダイヤ改正に関する作業をダイヤ担当者の経験と勘に頼っている点が多く、定量的な指標で評価されていないといった問題がある。このような状況に対処するため、定量的にバス路線(既存、新設)を評価し、その結果に基づいて路線再編、及びダイヤ改正を実施することで、バス利用者へのサービスの向上と、バス事業者の収支の改善を図りたいという要求がバス事業者側から出てきている。
ここで、バス路線を評価する従来技術として特許文献1には、予め調査した利用者の動向に基づいて、人の集まる場所ごとに時間と発車台数を決めて運行エリアを運行する路線バスの運行方法および運行システムについて開示されている。また、特許文献2には、運行情報と路線情報とに基づいてバスの運行状況を把握し、自バス、先行バス又は後続バスのうち、少なくともいずれか一方のバスに対して運行変更の指示を行うバスの自動運行支援システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−272085号公報
【特許文献2】特開2005−222144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、予め調査した利用者の動向に基づいて、人の集まる場所ごとに時間と発車台数を決めて運行エリアを運行するため、利用者側から見た場合に発車時刻が一定でないため予定を立てにくく利便性が悪いといった問題がある。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、現在運行車両のバス車載情報を保有する運行情報データベースと、各運行路線の地図情報及び路線の混雑状況を保有する路線情報データベースとを用いて、バスの混雑度の平均化と運行間隔の適正化を図るものであり、必ずしも長期的な視野から見た路線の再編、ダイヤ改正に結びつくものではない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、路線再編・ダイヤ改正の意思決定を支援するシステマチックな路線評価手順(フレームワーク)を提供することにより、現状を踏まえた上での戦略的な路線再編・ダイヤ改正を実施し、バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援するバス路線評価支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又はダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援システムであって、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段と、世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段と、地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段と、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化することにより、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段と、前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明は外部システム等による業務と、本発明に係る商品評価/商品企画(バス路線評価支援システム)による業務が連携して行われる。即ち、外部システム等から路線データ(停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報)と、任意の評価対象データ(停留所や路線ごとの乗降者数や収支、停留所区間ごとの乗車密度など)を準備する。バス路線評価支援システムでは、準備した路線情報を路線データとしてシステムに取込み、基礎情報としての路線データを構築する。次に、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データを取込む。プロジェクト管理するのは、過去に実施した評価・分析結果を再現できるようにすることが目的である。そして、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データを重ね合わせて可視化し、評価対象データに影響する要因を分析する。最後に、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データに関する指標値を算出して、外部システム等により路線再編・ダイヤ改正を実施する。これにより、バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援することができる。
【0006】
請求項2は、前記路線データ管理手段は、新規路線データ世代の作成、又は既存世代を親として新規路線データを作成する新規路線データ世代作成手段と、不要となった前記既存世代に係る路線データ世代を削除する既存路線データ世代削除手段と、指定した路線データ世代に対して前記停留所情報を構築する停留所情報構築手段と、指定した路線データ世代に対して前記路線データを構築する路線データ構築手段と、を備えたことを特徴とする。
路線データ管理手段は、新規路線データ世代を作成する。もしくは、既存世代を親として新規路線データ世代を作成する。もしくは、不要となった路線データ世代を削除する。次に指定した路線データ世代に対し、停留所データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線データ世代に対し、路線(系統)データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。また、路線(系統)データ構築の際には同時に停留所区間データを自動で構築する。これにより、路線世代ごとに複数の評価、分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価、分析することが可能となる。
【0007】
請求項3は、前記プロジェクト管理手段は、前記路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する新規プロジェクト作成手段と、既存の路線評価プロジェクトを削除する既存プロジェクト削除手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取り込む停留所評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに路線に関する評価対象データを取り込む路線評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む停留所区間評価対象データ構築手段と、を備えていることを特徴とする。
プロジェクト管理手段は、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する。もしくは、不要となった既存の路線評価プロジェクトを削除する。指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに路線(系統)に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。これにより、最新のデータに基づいた新規路線評価プロジェクトを作成することができる。
【0008】
請求項4は、前記現状分析支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、及び路線データの前記地理情報システム上での表示のON/OFF、及びシンボル設定を任意に調整するデータ表示調整手段と、道路ネットワークデータ及び停留所位置情報を用いて商圏分析して停留所徒歩圏内エリアを表示する停留所徒歩圏エリア表示手段と、前記評価対象データと他のデータとの相関性を分析する相関性分析手段と、を備えていることを特徴とする。
現状分析支援手段は、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開き、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、路線(系統)データのGIS上での表示ON/OFF、シンボル設定を任意に調整する。また、道路ネットワークデータと停留所位置情報を用いて商圏分析し、停留所徒歩圏内エリアを表示する。また、評価対象データ(停留所に関するもの、路線(系統)に関するもの)と他データ(徒歩圏内エリアの人口、施設数、平均傾斜角、etc)の相関性を分析する。具体的には、縦軸に評価対象データ、横軸に他データとした散布図と近似直線、および帳票をExcel形式で出力する。これにより、現状の停留所が適正な位置に配置されているかを判断することができ、且つ施設数と停留所との関連性を確認することができる。
【0009】
請求項5は、前記路線再編支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、前記現状分析支援手段により明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータを複数選択し、選択された各データを任意の複数段階でランク付けして、メッシュごとに前記ランキングの総和を求めて可視化する指標値可視化手段と、新規路線を登録し、該登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから新規路線の評価対象データ値を予測する新規路線評価対象データ予測手段と、既存路線の停留所位置の並び情報を再編し、該再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから再編路線の評価対象データ値を予測する既存路線評価対象データ予測手段と、を備えていることを特徴とする。
路線再編支援手段は、プロジェクト管理手段で作成した路線評価プロジェクトを開き、現状分析支援手段で明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜など)を複数選択する。選択された各データを任意の複数段階でランク付けし、メッシュごとにその総和を求めて可視化する。そして、新規路線(停留所位置の並び情報)を登録し、登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて新規路線の評価対象データ値を予測する。そして、既存路線の停留所位置の並び情報を再編する。再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて再編路線の評価対象データ値を予測する。これにより、統計データ、周辺施設数、周辺平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化することができる。また、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測することができる。
【0010】
請求項6は、定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又はダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援方法であって、路線データ管理手段が、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築するステップと、プロジェクト管理手段が、世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むステップと、現状分析支援手段が、地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化することにより、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析するステップと、路線再編支援手段が、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化し、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測するステップと、データ蓄積手段が、前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するステップと、前記各手段を制御するステップと、を備えたことを特徴とする。
請求項1と同様の作用効果を奏する。
請求項7は、請求項6に記載のバス路線評価支援方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする。
本発明のバス路線評価支援方法をコンピュータが制御可能なOSに従ってプログラミングすることにより、そのOSを備えたコンピュータであれば同じ処理方法により制御することができる。
請求項8は、請求項7に記載のバス路線評価支援プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする。
バス路線評価支援プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録媒体に記録することにより、この記録媒体を持ち運ぶことにより何処でもプログラムを稼動することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バス路線評価支援システムにより路線データを管理して、路線評価プロジェクトを管理し、それに基づいて現状を評価、分析して路線再編を検討するので、バス利用者へのサービスの向上、及びバス事業者の収支改善の実現を支援することができる。
また、路線データ管理手段により、路線世代ごとに複数の評価、分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価、分析することが可能となる。
また、プロジェクト管理手段により、最新のデータに基づいた新規路線評価プロジェクトを作成することができる。
また、現状分析支援手段により、現状の停留所が適正な位置に配置されているかを判断することができ、且つ周辺人口や周辺施設数および周辺傾斜角と停留所との関連性を確認することができる。
また、路線再編支援手段により、統計データ、周辺施設数、平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化することができる。また、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】バス路線・ダイヤの改善サイクルを表す図である。
【図2】システムによる作業フローを表す図である。
【図3】本発明のバス路線評価支援システムに搭載する標準データについて説明する図である。
【図4】(a)は、現行路線と人口密度を可視化した図、(b)は現行路線と乗者数の関係を表す図、(c)は路線上の停留所徒歩圏を示す図、(d)は停留所から単純に所定距離内に入る地域を示した図、(e)は(c)と同様に、所定時間内に停留所に到着できる道路をトレースした図である。
【図5】本発明のバス路線評価支援システムにより現状評価・分析して相関性を分析した例を示す図である。
【図6】本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討してエリアのランク付けをした例を示す図である。
【図7】本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討して運用データ値を予測した例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るバス路線評価支援システムのハードウェア構成を示す図である。
【図9】本発明のコンピュータ内の機能を説明するブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係る路線データ管理手段の機能を説明するブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に係るプロジェクト管理手段の機能を説明するブロック図である。
【図12】本発明の実施形態に係る現状分析支援手段の機能を説明するブロック図である。
【図13】本発明の実施形態に係る路線再編支援手段の機能を説明するブロック図である。
【図14】本発明に係るバス路線評価支援システムのソフトウェアの位置づけを説明する図である。
【図15】本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム業務フローを示す図である。
【図16】本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム化機能の概要を示す図である。
【図17】本発明に係るバス路線評価支援システムの路線データ管理機能の概要を示す図である。
【図18】本発明に係るバス路線評価支援システムのプロジェクト管理機能の概要を示す図である。
【図19】本発明に係るバス路線評価支援システムの現状分析支援機能の概要を示す図である。
【図20】本発明に係るバス路線評価支援システムの路線再編支援機能の概要を示す図である。
【図21】本発明に係るバス路線評価支援システムの路線評価データ値の予測手法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
本発明のバス路線評価支援システムは、バス路線・ダイヤの改善サイクルをサポートするものである。即ち、統計データ、地理データ、バス運用データによりバス路線を視覚的、定量的に把握し、ダイヤ担当者による効果的なダイヤ改正・路線再編をサポートする。基本コンセプトは、ダイヤ改正・路線再編の意思決定のための支援ツールを提供する。
【0014】
図1はバス路線・ダイヤの改善サイクルを表す図である。バスダイヤ編成支援システム1により改正ダイヤ7を作成し、そのダイヤに基づいてバスロケーションシステム2により運用・実績確認4を実施して、本発明のバス路線評価支援システム3により実績評価・検証5と次期ダイヤ改正計画6を立てて改正ダイヤ作成7にサイクルを回す。
【0015】
図2はシステムによる作業フローを表す図である。このフローでは、繰り返し作業を容易にする枠組みを提供する。即ち、路線世代ごとに複数の評価・分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価・分析することが可能である。例えば、時系列で経過を判断可能で、図1のバス路線・ダイヤの改善サイクルを支援する。
【0016】
図3は本発明のバス路線評価支援システムに搭載する標準データについて説明する図である。本発明では、加工済みの市販データを標準搭載する。例えば、統計データとして、町丁目字界に係る総人口(国勢調査)、高齢者人口(65歳以上)(国勢調査)、学生人口(15〜24歳)(国勢調査)と(図3(a))、地域メッシュに係る総人口(国勢調査)、労働者人口(企業統計調査)(図3(b))がある。また、地理データとして、道路ネットワーク、施設、平均傾斜(数値地図)、及び背景地図がある。また、その他に、バス路線関連データとして、路線データを手動でデータを登録したり、既存のバスダイヤ編成支援システム、バスロケーションシステムから取り込んだり、CSVファイルから取り込む。更に、乗降者数などの運用データを上記と同様な方法で取り込む。尚、これらのデータに限らず、他の必要なデータを搭載しても構わない。
【0017】
図4は本発明のバス路線評価支援システムにより可視化した一例を示す図である。図4(a)は、現行路線と人口密度を可視化した図であり、図の符号10の部分が人口密度が最も高く、次に11、12、13、14と徐々に人口密度が低くなっているのが分かる。この図から、人口密度が高いところに路線が配置されているが、10a、10bの部分に人口密度が局部的に高い地域があり、今後、路線再編の対象とする必要があるのがわかる。また、図4(b)は現行路線と乗者数の関係を表しており、円が大きい方が乗者数が多いことを表している。この図から分かるとおり、人口密度が高い地域では乗者数が多いことが分かる。また、図4(a)で指摘したとおり、人口密度が高い10aの地域では、乗者数が多くなっており、この地域でのダイヤの改正が必要と判断される。図4(c)は路線上の停留所徒歩圏を示す図であり、この図は、停留所から例えば5分以内の道路に沿ってトレースした図である。この図から、停留所からの距離が短い所は、道路が無いため停留所に到着する時間が多くかかる地域であることがわかる。また、図4(d)は停留所から単純に所定距離内に入る地域を示した図であり、図4(e)は図4(c)と同様に、所定時間内に停留所に到着できる道路をトレースした図である。また、図示は省略するが、各種データの表示設定を自由に変更可能である。例えば、データの表示ON/OFFや、停留所、路線、停留所区間の乗者数などによる分類表示や、統計データの区分を変更して分類表示する。
【0018】
図5は本発明のバス路線評価支援システムにより現状評価・分析して相関性を分析した例を示す図である。例えば、縦軸に評価データ値、横軸に相関分析対象(徒歩圏内)の量を示す。この図から徒歩圏内の人口と平日の1日平均乗者数の間には相関性があることがわかる。
【0019】
図6は本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討してエリアのランク付けをした例を示す図である。ここでは、エリアをランク付けし、潜在需要の指標を示す。即ち、統計データ、周辺施設数、平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化する。エリアのランクは、(統計値のランク×重み係数)+(施設数のランク×重み係数)+(傾斜角のランク×重み係数)で表される。例えば、図6(a)のように、徒歩圏設定を徒歩時間5分と設定し、個別ランク設定の個別ランク段階を1〜5とし、統計ランクを国勢調査による総人口とし、施設数ランクを選択して、総合ランク設定として、それぞれ重み付けを1として計算する。その結果、エリアのランクがランク毎に地図上に色分けされて表示する。図6(b)では、エリアのランクが高い順に17、18、19、20として表示される。
【0020】
図7は本発明のバス路線評価支援システムにより路線再編検討して運用データ値を予測した例を示す図である。ここでは、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測する。即ち、仮想路線の運用データ(乗降者数など)を統計処理で予測し、予測結果はエクセル形式の帳票で出力する。
【0021】
図8は本発明の実施形態に係るバス路線評価支援システムのハードウェア構成を示す図である。このバス路線評価支援システム100は、キーボード、マウス等で構成される入力手段31と、演算結果を可視化して表示するディスプレイ33と、演算結果をプリント用紙にハードコピーとして印刷するプリンタ34と、演算に必要な各種データを格納するデータベース(DB)35と、バス路線評価支援システム100の動作手順を記録したプログラムを記憶するROM36と、全体を制御するコンピュータ32と、を備えて構成されている。即ち、本発明は、バス路線評価支援システムを構成する各機能をそれぞれプログラム化し、あらかじめROM等の記録媒体に書き込んでおき、これらのプログラムをコンピュータのメモリあるいは記憶装置に格納し、それを実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体も本発明を構成することになる。
【0022】
図9は本発明のコンピュータ内の機能を説明するブロック図である。コンピュータ32は、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段40と、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線データ、及び路線ごとの乗降者数及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段41と、地理情報システム上で路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの評価対象データに影響する要因を統計データ、及び地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段42と、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化し、仮定の路線データを構築し、仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段43と、路線データ及び任意の評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段44と、各手段を制御するCPU(制御手段)45と、を備えて構成されている。
本発明は外部システム等による業務と、本発明に係るバス路線評価支援システムによる業務が連携して行われる。即ち、外部システム等から路線データ(停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報)と、任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を準備する。バス路線評価支援システムでは、準備した路線情報を路線データとしてシステムに取込んで基礎情報を構築する。次に、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データを取込む。プロジェクト管理するのは、過去に実施した評価・分析結果を再現できるようにすることが目的である。そして、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データを重ね合わせて可視化し、評価対象データに影響する要因を分析する。最後に、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データに関する指標値を算出して、外部システム等により路線再編・ダイヤ改正を実施する。これにより、バス利用者へのサービスの向上、バス事業者の収支改善の実現を支援することができる。
【0023】
図10は本発明の実施形態に係る路線データ管理手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。この路線データ管理手段40は、新規路線データ世代の作成、又は既存世代を親として新規路線データを作成する新規路線データ世代作成手段50と、不要となった既存世代に係る路線データ世代を削除する既存路線データ世代削除手段51と、指定した路線データ世代に対して停留所情報を構築する停留所情報構築手段52と、指定した路線データ世代に対して路線データを構築する路線データ構築手段53と、を備えている。
即ち、路線データ管理手段40は、新規路線データ世代を作成する。もしくは、既存世代を親として新規路線データ世代を作成する。もしくは、不要となった既存の路線データ世代を削除する。次に指定した路線データ世代に対し、停留所データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線データ世代に対し、路線(系統)データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込むか、もしくは手動で登録する。また、路線(系統)データ構築の際には同時に停留所区間データを自動で構築する。これにより、路線世代ごとに複数の評価、分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価、分析することが可能となる。
【0024】
図11は本発明の実施形態に係るプロジェクト管理手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。このプロジェクト管理手段41は、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する新規プロジェクト作成手段54と、既存の路線評価プロジェクトを削除する既存プロジェクト削除手段55と、指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取り込む停留所評価対象データ構築手段56と、指定した路線評価プロジェクトに路線に関する評価対象データを取り込む路線評価対象データ構築手段57と、指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む停留所区間評価対象データ構築手順66と、を備えている。
即ち、プロジェクト管理手段41は、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成し、既存の路線評価プロジェクトを削除する。指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに路線(系統)に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込むか、もしくは手動で登録する。これにより、最新のデータに基づいた新規路線評価プロジェクトを作成することができる。
【0025】
図12は本発明の実施形態に係る現状分析支援手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。この現状分析支援手段42は、プロジェクト管理手段41により作成された路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段58と、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、及び路線データの地理情報システム上での表示のON/OFF、及びシンボル設定を任意に調整するデータ表示調整手段59と、道路ネットワークデータ及び停留所位置情報を用いて商圏分析して停留所徒歩圏内エリアを表示する停留所徒歩圏エリア表示手段60と、評価対象データと他のデータとの相関性を分析する相関性分析手段61と、を備えている。
即ち、現状分析支援手段42は、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開き、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、路線(系統)データのGIS上での表示ON/OFF、シンボル設定を任意に調整する。また、道路ネットワークデータと停留所位置情報を用いて商圏分析し、停留所徒歩圏内エリアを表示する。評価対象データ(停留所に関するもの、路線(系統)に関するもの)と他データ(徒歩圏内エリアの人口、施設数、平均傾斜、etc)の相関性を分析する。具体的には、縦軸に評価対象データ、横軸に他データとした散布図と近似直線、および帳票をExcel形式で出力する。これにより、現状の停留所が適正な位置に配置されているかを判断することができ、且つ施設数と停留所との関連性を確認することができる。
【0026】
図13は本発明の実施形態に係る路線再編支援手段の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図9と同じ参照番号を付して説明する。この路線再編支援手段43は、プロジェクト管理手段41により作成された路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段62と、現状分析支援手段42により明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータを複数選択し、選択された各データを任意の複数段階でランク付けして、メッシュごとにランクの総和を求めて可視化する指標値可視化手段63と、新規路線を登録し、登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから新規路線の評価対象データ値を予測する新規路線評価対象データ予測手段64と、既存路線の停留所位置の並び情報を再編し、再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから再編路線の評価対象データ値を予測する既存路線評価対象データ予測手段65と、を備えている。
即ち、路線再編支援手段43は、プロジェクト管理手段41で作成した路線評価プロジェクトを開き、現状分析支援手段42で明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜など)を複数選択する。選択された各データを任意の複数段階でランク付けし、メッシュごとにその総和を求めて可視化する。そして、新規路線(停留所位置の並び情報)を登録し、登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて新規路線の評価対象データ値を予測する。既存路線の停留所位置の並び情報を再編する。再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて再編路線の評価対象データ値を予測する。これにより、統計データ、周辺施設数、周辺平均傾斜をもとにエリアをランク付けして可視化することができる。また、相関性のある統計データ、地理データをもとに、路線の計画段階で運用データを予測する事ができる。
【0027】
図14は本発明に係るバス路線評価支援システムのソフトウェアの位置づけを説明する図である。バス事業の商品はダイヤである。バスダイヤ編成支援システムを「商品製造」21、バスロケーションシステムを「商品管理」22ととらえ、本システム(バス路線評価支援システム)の位置付けを「商品評価支援/商品企画支援」23とする。バス事業者においては、商品評価/商品企画23、商品製造21、商品管理22のサイクルをまわす(もしくは「商品評価/商品企画」23を単体で利用する)ことで、バス利用者へのサービスの向上、および収支の改善に役立てる。即ち、商品評価支援は、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データ(平均傾斜)を重ね合わせて可視化する。そして、評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に影響する要因を分析する。また、商品企画支援は、商品評価の要因分析結果をもとに、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に関する指標を算出する。
【0028】
図15は本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム業務フローを示す図である。このシステム業務フローは、外部システムによる業務と、バス路線評価支援システムによる業務に分けることができる。
(S1):外部システムによる業務として、路線データ、評価対象データを準備する。これは、路線データ(停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報)を準備する。任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を準備する。
(S2):バス路線評価支援システムによる業務として、路線データを管理する。これは、準備した路線情報を路線データとしてシステムに取込み、基礎情報としての路線データを構築して、路線データは世代管理する。
(S3):路線評価プロジェクトを管理する。これは、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクトを作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を取込む。プロジェクト管理するのは、過去に実施した評価・分析結果を再現できるようにすることが目的である。
(S4):現状を評価・分析する。これは、GIS上でバス路線情報、国勢調査データ(人口統計など)、公共施設分布、標高データ(平均傾斜)を重ね合わせて可視化する。そして評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に影響する要因を分析する。
(S5):路線再編を検討する。これは、路線再編・ダイヤ改正後の評価対象データに関する指標値を算出する。
(S6):外部システムによる業務として、路線再編・ダイヤ改正を実施する。
【0029】
図16は本発明に係るバス路線評価支援システムのシステム化機能の概要を示す図である。同じ機能には図15と同じ参照番号を付して説明する。ここでは、図15で抽出したバス路線評価支援システムによるそれぞれの業務をシステム化する。システム化する業務は、それぞれ、路線データ管理機能67、プロジェクト管理機能68、現状分析支援機能69、路線再編支援機能70の4つのサブ機能と対応付ける。
路線データ管理機能67は、路線データをシステムに取込み、基礎情報としての路線データを構築する。路線データは世代管理する。プロジェクト管理機能68は、世代管理されている路線データを1つ選択し、路線評価プロジェクト(路線データと評価対象データをセットとした作業単位)を作成する。作成した路線評価プロジェクトに任意の評価対象データ(路線ごとの乗降者数や収支)を取込む。現状分析支援機能69は、GIS上で路線データ、統計データ、地理データを重ね合わせて可視化する。評価対象データ(路線ごとのバス利用者数や収支)に影響する要因を統計データ、地理データをもとに集計・分析する。路線再編支援機能70は、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出し、可視化する。そして、仮定の路線データを構築し、その評価対象データに関する指標値を予測する。
【0030】
図17は本発明に係るバス路線評価支援システムの路線データ管理機能の概要を示す図である。路線データ管理機能67は、
(S10):新規路線データ世代を作成する。これは、新規路線データ世代を作成する。もしくは、既存世代を親として新規路線データ世代を作成する。
(S11):既存路線データ世代を削除する。これは、不要となった路線データ世代を削除する。
(S12):指定した世代に停留所データを構築する。これは、指定した路線データ世代に対し、停留所データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込む、もしくは手動で登録する。
(S13):指定した世代に路線(系統)データを構築する。これは、指定した路線データ世代に対し、路線(系統)データを構築する。具体的には、中間ファイルからデータを取込む、もしくは手動で登録する。また、路線(系統)データ構築の際には同時に停留所区間データを自動で構築する。
【0031】
図18は本発明に係るバス路線評価支援システムのプロジェクト管理機能の概要を示す図である。プロジェクト管理機能68は、
(S20):新規プロジェクトを作成する。これは、路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する。
(S21):既存プロジェクトを削除する。これは、既存の路線評価プロジェクトを削除する。
(S22):停留所に関する評価対象データを構築する。これは、指定した路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込む、もしくは手動で登録する。
(S23):路線(系統)に関する評価対象データを構築する。これは、指定した路線評価プロジェクトに路線(系統)に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込む、もしくは手動で登録する。
(S24):停留所区間に関する評価対象データを構築する。これは、指定した路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取込む。具体的には、中間ファイルから取込む、もしくは手動で登録する。
【0032】
図19は本発明に係るバス路線評価支援システムの現状分析支援機能の概要を示す図である。現状分析支援機能69は、
(S30):プロジェクトを開く。これは、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開く。
(S31):各種データの表示を調整する。これは、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、路線(系統)データのGIS上での表示ON/OFF、シンボル設定を任意に調整する。
(S32):停留所徒歩圏内エリアを表示する。これは、道路ネットワークデータと停留所位置情報を用いて商圏分析し、停留所徒歩圏内エリアを表示する。もしくは、停留所を中心とする円を描き、停留所徒歩圏内エリアとして表示する。
(S33):評価対象データと他データとの相関性を分析する。これは、評価対象データ(停留所に関するもの、路線(系統)に関するもの)と他データ(徒歩圏内エリアの人口、施設数、平均傾斜角、etc)の相関性を分析する。具体的には、縦軸に評価対象データ、横軸に他データとした散布図と近似直線、および帳票をExcel形式で出力する。
【0033】
図20は本発明に係るバス路線評価支援システムの路線再編支援機能の概要を示す図である。路線再編支援機能70は、
(S40):プロジェクトを開く。これは、プロジェクト管理機能で作成した路線評価プロジェクトを開く。
(S41):潜在需要の指標値をメッシュ単位で可視化する。これは、現状分析支援機能で明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータ(周辺人口、周辺施設数など)を複数選択する。選択された各データを任意の複数段階でランク付けし、メッシュごとにその総和を求めて可視化する。
(S42):登録した新規路線の評価対象データ値を予測する。これは、新規路線(停留所位置の並び情報)を登録する。登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて新規路線の評価対象データ値を予測する。
(S43):再編した路線の評価対象データ値を予測する。これは、既存路線の停留所位置の並び情報を再編する。再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ(周辺人口、周辺施設数、周辺平均傾斜)、および既存の評価対象データから、最小二乗法を用いて再編路線の評価対象データ値を予測する。
【0034】
図21は本発明に係るバス路線評価支援システムの路線評価データ値の予測手法を示すフローチャートである。まず、徒歩圏内分数を入力する(S50)、次に予測する評価対象データ値を1つ選択する(S51)。そして、相関性のあるデータ(人口、施設など)を複数選択する(S52)。そして、既存路線(系統)ごとに通過停留所の徒歩圏内エリアを作成し(S53)、路線(系統)ごとに徒歩圏内エリアのデータ値(人口、施設数など)を抽出する(S54)。そしてデータ値ごとの係数を重回帰分析で求める(S55)。一方、ステップS57で新規或いは再編路線の通過停留所の徒歩圏内エリアを作成して(S57)、徒歩圏内エリアのデータ値(人口、施設数など)を抽出する(S59)。ステップS55とS59のデータ値ごとの係数、新規或いは再編路線の徒歩圏内エリアのデータ値から予測値を求める(S56)。
【符号の説明】
【0035】
31 入力手段、32 コンピュータ、33 ディスプレイ、34 プリンタ、35 DB、36 ROM、40 路線データ管理手段、41 プロジェクト管理手段、42 現状分析支援手段、43 路線再編支援手段、50 新規路線データ世代作成手段、51 既存路線データ世代削除手段、52 停留所情報構築手段、53 路線データ構築手段、54 新規プロジェクト作成手段、55 既存プロジェクト削除手段、56 停留所評価対象データ構築手段、57 路線評価対象データ構築手段、58 路線評価プロジェクト入力手段、59 データ表示調整手段、60 停留所徒歩圏エリア表示手段、61 相関性分析手段、62 路線評価プロジェクト入力手段、63 指標値可視化手段、64 新規路線評価対象データ予測手段、65 既存路線評価対象データ予測手段、66 停留所区間評価対象データ構築手段、67 路線データ管理機能、68 プロジェクト管理機能、69 現状分析支援機能、70 路線再編支援機能、100 バス路線評価支援システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又は、ダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援システムであって、
停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段と、
世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段と、
地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段と、
潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化することにより、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段と、
前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするバス路線評価支援システム。
【請求項2】
前記路線データ管理手段は、新規路線データ世代の作成、又は既存世代を親として新規路線データを作成する新規路線データ世代作成手段と、不要となった前記既存世代に係る路線データ世代を削除する既存路線データ世代削除手段と、指定した路線データ世代に対して前記停留所情報を構築する停留所情報構築手段と、指定した路線データ世代に対して前記路線データを構築する路線データ構築手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項3】
前記プロジェクト管理手段は、前記路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する新規プロジェクト作成手段と、既存の路線評価プロジェクトを削除する既存プロジェクト削除手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取り込む停留所評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに路線に関する評価対象データを取り込む路線評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む停留所区間評価対象データ構築手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項4】
前記現状分析支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、及び路線データの前記地理情報システム上での表示のON/OFF、及びシンボル設定を任意に調整するデータ表示調整手段と、道路ネットワークデータ及び停留所位置情報を用いて商圏分析して停留所徒歩圏内エリアを表示する停留所徒歩圏エリア表示手段と、前記評価対象データと他のデータとの相関性を分析する相関性分析手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項5】
前記路線再編支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、前記現状分析支援手段により明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータを複数選択し、選択された各データを任意の複数段階でランク付けして、メッシュごとに前記ランク値の総和を求めて可視化する指標値可視化手段と、新規路線を登録し、該登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから新規路線の評価対象データ値を予測する新規路線評価対象データ予測手段と、既存路線の停留所位置の並び情報を再編し、該再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから再編路線の評価対象データ値を予測する既存路線評価対象データ予測手段と、を備えていることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項6】
定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又はダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援方法であって、
路線データ管理手段が、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築するステップと、
プロジェクト管理手段が、世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むステップと、
現状分析支援手段が、地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析するステップと、
路線再編支援手段が、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化することにより、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測するステップと、
データ蓄積手段が、前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するステップと、
前記各手段を制御するステップと、
を備えたことを特徴とするバス路線評価支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載のバス路線評価支援方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とするバス路線評価支援プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のバス路線評価支援プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又は、ダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援システムであって、
停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築する路線データ管理手段と、
世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むプロジェクト管理手段と、
地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析する現状分析支援手段と、
潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化することにより、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測する路線再編支援手段と、
前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするバス路線評価支援システム。
【請求項2】
前記路線データ管理手段は、新規路線データ世代の作成、又は既存世代を親として新規路線データを作成する新規路線データ世代作成手段と、不要となった前記既存世代に係る路線データ世代を削除する既存路線データ世代削除手段と、指定した路線データ世代に対して前記停留所情報を構築する停留所情報構築手段と、指定した路線データ世代に対して前記路線データを構築する路線データ構築手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項3】
前記プロジェクト管理手段は、前記路線データ世代を選択し、新規路線評価プロジェクトを作成する新規プロジェクト作成手段と、既存の路線評価プロジェクトを削除する既存プロジェクト削除手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所に関する評価対象データを取り込む停留所評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに路線に関する評価対象データを取り込む路線評価対象データ構築手段と、指定した前記路線評価プロジェクトに停留所区間に関する評価対象データを取り込む停留所区間評価対象データ構築手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項4】
前記現状分析支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、国勢調査データ、施設データ、傾斜角データ、停留所データ、及び路線データの前記地理情報システム上での表示のON/OFF、及びシンボル設定を任意に調整するデータ表示調整手段と、道路ネットワークデータ及び停留所位置情報を用いて商圏分析して停留所徒歩圏内エリアを表示する停留所徒歩圏エリア表示手段と、前記評価対象データと他のデータとの相関性を分析する相関性分析手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項5】
前記路線再編支援手段は、前記プロジェクト管理手段により作成された前記路線評価プロジェクトを入力する路線評価プロジェクト入力手段と、前記現状分析支援手段により明らかになった評価対象データと関連のある任意のデータを複数選択し、選択された各データを任意の複数段階でランク付けして、メッシュごとに前記ランク値の総和を求めて可視化する指標値可視化手段と、新規路線を登録し、該登録した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから新規路線の評価対象データ値を予測する新規路線評価対象データ予測手段と、既存路線の停留所位置の並び情報を再編し、該再編した停留所の徒歩圏内エリアのデータ、及び既存の評価対象データから再編路線の評価対象データ値を予測する既存路線評価対象データ予測手段と、を備えていることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のバス路線評価支援システム。
【請求項6】
定量的にバス路線を評価し、該評価結果に基づいて路線再編、及び/又はダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援方法であって、
路線データ管理手段が、停留所情報、路線・系統情報、停留所並び情報を含む路線データをシステムに取込んで基礎情報を構築するステップと、
プロジェクト管理手段が、世代管理されている路線データを1つ選択し、前記路線データ、路線ごとの乗降者数、及び収支を表す評価対象データをセットとした作業単位である路線評価プロジェクトを作成し、作成した前記路線評価プロジェクトに任意の前記評価対象データを取り込むステップと、
現状分析支援手段が、地理情報システム上で前記路線データ、統計データ、及び地理データを重ね合わせて可視化し、路線ごとの前記評価対象データに影響する要因を前記統計データ、及び前記地理データをもとに集計・分析するステップと、
路線再編支援手段が、潜在需要の指標値をメッシュ単位で算出して可視化することにより、仮定の路線データを構築し、該仮定の路線データに係る評価対象データに関する指標値を予測するステップと、
データ蓄積手段が、前記路線データ及び任意の前記評価対象データを蓄積するステップと、
前記各手段を制御するステップと、
を備えたことを特徴とするバス路線評価支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載のバス路線評価支援方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とするバス路線評価支援プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のバス路線評価支援プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
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【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−164889(P2011−164889A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26390(P2010−26390)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(591280197)株式会社構造計画研究所 (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(591280197)株式会社構造計画研究所 (59)
【Fターム(参考)】
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