説明

バタフライ弁

【課題】バタフライ弁の弁座部の止水可否を弁外部から診断できるようにする。
【解決手段】弁体2の弁箱弁座3に摺接する外周円周上に2本の弁体弁座面凸部2aを有する止水用弁座とそれに挟まれた弁体弁座凹部2bの溝を形成し、バタフライ弁の全閉時に、該弁体弁座凹部2bを弁外部へ導通する通水孔5を弁箱1又は弁棒4に設けて、該通水孔5から連続して流れ出る流体の有無によって、弁体弁座面凸部2aの止水状態を弁外部から診断可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁外部から弁内部の弁座の止水機能を診断出来るバタフライ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】昭56−164284号公報(4頁、第2図)
【特許文献2】昭60−30870号公報(3頁、第2図)
【特許文献3】昭60−30871号公報(3頁、第2図)
【特許文献4】平3−130637号公報(4頁、第2図)
【特許文献5】特開平5−215248号公報(1頁、図)
【特許文献6】特開平6−185634号公報(5頁、図1)
【特許文献7】特開平7−208616号公報(1頁、図)
【実用新案文献1】
昭56−15859号公報(1頁、図)
【実用新案文献2】
昭58−122072号公報(1頁、第1図、第2図)
【実用新案文献3】
昭60−59872号公報(2頁、第2図)
【実用新案文献4】
昭60−75763号公報(2頁、第2図、第3図)
【実用新案文献5】
平1−143469号公報(2頁、第2図)
【登録実用新案文献1】
3043471号公報(1頁、図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
弁の最も重要な機能は止水することにある。しかし、流体中に含まれる固形物の噛込みや弁座に損傷を生じると、弁を全閉にしても管内の流体を止めることが出来ない。特に大口径になるバタフライ弁では、閉止状態で止水が出来ないと漏れ量が大きくなるので、普段から弁の止水の可否を診断して、事前に対応しておく必要がある。しかし、従来のバタフライ弁では、弁外部から弁座の止水可否を判断することは難しかった。本発明は、弁外部から特殊な機材を使用せずに、弁座の止水機能を診断することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題を解決するために、弁体の弁座面の円周上に弁1次側用と弁2次側用とする凸部形状した止水弁座を形成させ、その凸部に挟まれた凹部に流入する流体の有無によって弁閉止時の止水を確認する。弁が閉止状態で止水出来ている場合は、凹部へ流体の流入は無く、したがって、凹部と導通している弁外部の通水孔からの流出も無い。本発明による弁体の弁座面の構造により、通水孔からの流体の有無によって弁座の止水機能を弁外部から診断することが出来る。
【発明の効果】
【0005】
本発明のバタフライ弁の止水診断は、特殊な機材を使用せずに経験が無いものでも、現地で短時間に簡単にできることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
バタフライ弁の止水診断は、理論上では弁箱の弁座面に沿って円輪状の1本の凹部溝を形成することも可能であるが、実用上では流体中に含まれる沈殿物によって溝の凹部形状が失われ、弁座の止水診断が確実に行われない。しかし弁体の弁座面に形成された溝では、通常使用されている弁の全開状態において、流れに対し凹部は水平状態にあるために沈殿物による凹部の形状を失うことはない。このために弁座面に形成する凹部形状の溝は、弁体側に用いる必要がある。また、弁体の弁座面に形成された2本の凸部も、弾性材料で形成した場合は弁閉止で形状が変形するので止水機能が失われるため剛性材料にする必要がある。
【実施例】
【0007】
以下図示実施例により、本発明を説明する。
弁体の弁座面には図1Y−Y断面図に示すように円周に沿って2本の凸部2aからなる止水部と、それに挟まれて形成された凹部形状の溝2bを有している。中心軸形のバタフライ弁の弁体では、X−X断面図に示すように弁棒4を取り囲むように凹部形状の溝2bが形成されていて、両方の溝が連続につながっている。断面図には示していないが、弁棒4を取り囲むような凹部形状の溝2bを形成せずに、弁棒4を挟む両側の凹部2bの溝端を連絡するように弁棒4に穿孔して孔による溝を形成してもよい。このような構造を採用することによって、バタフライ弁を全閉した時に止水部の弁座に損傷等の異常があると、弁内部の流体が凹部形状の溝2bに流入し、この溝に接続されている通水孔5から弁外部へ流出して、弁の止水が出来ないことを確認できる。弁座に異常が無い場合は、弁体の弁座面の溝部へ流体の流れ込みがないために、通水孔5からの流出が無く弁の止水が出来ていることを確認できる。
「請求項1」は、通水孔5の形成場所が弁箱側にある。このために、中心軸形バタフライ弁、偏心軸形のバタフライ弁のどちらにも採用される方式である。
「請求項2」は通水孔5の形成場所が弁棒4であるために中心軸形のバタフライ弁のみに採用される方式である。この方式は、「請求項1」より構造は複雑になるが図4に示すように通水孔5を弁棒4に形成させ、通水孔5の入り口が弁体弁座面の凸部2aと摺動しない構造にして、通水孔入り口の摩耗による診断の機能低下を防止している。
【産業上の利用可能性】
【0008】
上下水道、化学プラント等に使用するバタフライ弁の止水診断に利用する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】「請求項1」における中心軸形バタフライ弁断面図。
【図2】「請求項1」における偏心軸形バタフライ弁断面図。
【図3】断面方向を示すバタフライ弁平面図。
【図4】「請求項2」における中心軸形バタフライ弁断面図。
【符号の説明】
【0010】
1.弁箱
2.弁体
2a.弁体弁座面凸部
2b.弁体弁座面凹部
3.弁箱弁座
4.弁棒
5.通水孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸形バタフライ弁及び偏心軸形バタフライ弁において、弁体の弁座面は図1及び図2に示すように、弁体2の円周に沿って2本の凸部2aからなる止水部とそれに挟まれて形成された凹部2bの溝を有し、バタフライ弁の全閉時にその溝と弁外部へ導通する通水孔5を弁箱側1に連通させて、弁全閉時に通水孔からの流体の有無によって弁座の止水機能を診断するバタフライ弁。
【請求項2】
中心軸形バタフライ弁において、図4に示すように弁外部への通水孔5は弁棒4に形成させて弁座の止水機能を診断するバタフライ弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−299888(P2009−299888A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182000(P2008−182000)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(508210457)
【Fターム(参考)】