説明

バックライト装置

【課題】多重反射を抑制しつつ光の利用効率を向上できるバックライト装置を提供する。
【解決手段】このバックライト装置1は、平板状の導光板3と、導光板3の両側の端面に対向配置された光源5a,5bと、導光板3の前面側に配置され、導光板3の端面から入射して導光板3の前面から射出した光源5a,5bの光のうち、透過軸方向の偏光を透過し、他の偏光を反射する反射偏光板7とを備え、導光板3の裏面には、導光板3の端面に直交する方向に延びた複数の三角柱プリズム3aの列が形成されており、三角柱プリズム3aにより、反射偏光板7で反射されて導光板3の前面を透過して導光板3の裏面の内面に入射する光が全反射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裸眼立体画像表示の可能な液晶表示装置等に使用可能なバックライト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、裸眼立体画像表示装置が開示されている。この表示装置は、特許文献1の第1図Aの様に、導光板2と、導光板2の両側の光入射面にそれぞれ配置された光源1a,1bと、導光板2の光射出面側に配置され、導光板2側の光入射面には、導光板2の光入射面と平行な方向に伸びる三角形状プリズム列を有し、導光板2側と反対側の光射出面には、前記三角形状プリズム列と平行に伸びる半円柱状レンズ列を有する両面プリズムシート3と、両面プリズムシート3の光射出面側に配置された透過型表示パネル4と、透過型表示パネル4に交互に表示される左右視差画像と同期して光源1a,1bを点灯駆動して、光源1a,1bからの光をそれぞれ左右の視差に対応する角度で透過型表示パネル4から射出させる同期駆動手段5とを備える。
【0003】
この表示装置では、光源1a,1bからの光がそれぞれ左右の視差に対応する角度で透過型表示パネル4から射出されるので、クロストークの少ない高品位の立体視の画像表示、および同一画面で同時に異なる画面表示が可能となる効果がある。
【0004】
特許文献2には、液晶表示装置の高輝度化のために、反射偏光板を用いて、直線偏光を射出するバックライト装置が開示されている。このバックライト装置は、特許文献2の図1の様に、導光板101bと、導光板101bの光射出面側に配置された反射偏光板102と、導光板101bの光射出面と反対側の面側に配置された(1/4)波長位相差板104と、位相差板104の裏面側に配置された反射板103とを備える。
【0005】
このバックライト装置では、導光板101bの光射出面からの射出光のうち、反射偏光板102の透過軸に沿った直線偏光の光は、反射偏光板102を透過し、他方、それ以外の偏光の光は、反射偏光板102で反射されて更に反射板103で反射されて位相差板104を2度通過することで、反射偏光板102の透過軸に沿った直線偏光の光に変換されて、反射偏光板102を透過する。この様に、導光板101bからの射出光のうち、反射偏光板102の透過軸に沿わない偏光を、位相差板104を介して反射偏光板102と反射板103との間で多重反射させることで、反射偏光板102の透過軸に沿った直線偏光に変換して、反射偏光板102を透過させることで、光の利用効率を向上させている。
【0006】
このバックライト装置では、上記の様に、反射偏光板102で反射された反射光を、反射偏光板102と反射板103との間で多重反射させることで、反射偏光板102の透過軸に沿った直線偏光を増加させて、反射偏光板102を透過できる様にしている。
【0007】
しかし、上記の様な反射偏光板102と反射板103との間で多重反射させる構成では、導光板101bの複屈折性でしか、当該反射光の偏光状態を変化させる事ができないので、当該反射光に対し、効果的に、反射偏光板102の透過軸に沿った直線偏光を増加させる事ができない。
【0008】
この為、光の利用効率を上げるために、反射偏光板102と反射板103との間で当該反射光を何度も反射させる必要がある。そしてこの多重反射の為に、このバックライト装置を特許文献1の裸眼立体画像表示装置のバックライト装置として用いた場合、左右の視差画像の間でクロストークが発生して、立体画像表示が困難になるという問題が起こる。
【0009】
尚、特許文献3にも、特許文献2と同様のバックライト装置が開示されている。
【0010】
【特許文献1】国際公開第2004/027492号パンフレット
【特許文献2】特開平11−64791号公報
【特許文献3】特開2006−236804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、多重反射を抑制しつつ光の利用効率を向上できるバックライト装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の形態は、平板状の導光板と、前記導光板の両側の端面の少なくとも一方に対向配置された光源と、前記導光板の前面側に配置され、前記導光板の前記端面から入射して前記導光板の前面から射出した前記光源の光のうち、透過軸方向の偏光を透過し、他の偏光を反射する反射偏光板とを備え、前記導光板の裏面には、前記導光板の前記端面に直交する方向に延びた複数の三角柱プリズムの列が形成されており、前記三角柱プリズムにより、前記反射偏光板で反射されて前記導光板の前記前面を透過して前記導光板の裏面の内面に入射する光が全反射されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の形態によれば、導光板の裏面には、導光板の端面に直交する方向に延びた複数の三角柱プリズムの列が形成されており、その三角柱プリズムにより、反射偏光板で反射されて導光板の前面を透過して導光板の裏面の内面に入射する光が全反射されるので、その全反射により、その光において反射偏光板の透過軸方向の偏光を効果的に増加でき、その光の反射偏光板の透過率を向上できる。よって多重反射を抑制しつつ光の利用効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
この実施の形態に係るバックライト装置1は、例えば裸眼立体画像表示の可能な液晶表示装置のバックライト装置として使用可能であり、図1の様に、導光板3と、導光板3の両側の端面(光入射面)に対向配置された光源5a,5bと、導光板3の前面(光射出面)に配設された反射偏光板7と、反射導光板7の前面(光射出面)側に配置された逆プリズムシート9と、導光板3の裏面に配置された光吸収シート11とを備える。尚、逆プリズムシート9の前側に、液晶表示装置の液晶パネル13が配置される。
【0015】
導光板3は、透明樹脂等の透明部材により例えば矩形形状の平板状に形成されている。導光板3の裏面には、図2((b)は(a)のB−B断面を示す)の様に、導光板3を伝搬する光源光を全反射させるために、導光板3の光入射面に直交する方向に延びた複数の三角柱プリズム(例えば2等辺三角柱プリズム)3aの列が形成されている。各三角プリズム3aの頂角3bは、例えば90度〜150度(ここでは110度)の鈍角に形成されている。また導光板3の前面(光射出面)には、その前面からの射出光を浅い角度αで射出するために、凹凸(例えば浅い角度の凹凸、例えば、サンドブラストで形成した細かい球面状のシボ面や、稜線が導光板3の入光面に平行な方向に伸びる頂角170度の鈍角三角形プリズムでも良い)が形成された凹凸面3cが形成されている。
【0016】
反射偏光板7は、その透過軸(透過する偏光の電界の振動方向)が所定方向(ここでは液晶パネル13側から見て、導光板3の光入射面に直交する方向)に設定されている。ここでは、反射偏光板7には、例えばワイヤグリッド偏光板が使用されており、その金属細線の延びる方向が液晶パネル13側から見て導光板3の光入射面に平行な方向に設定されている。
【0017】
逆プリズムシート9は、基材シート9aの裏面(導光板3側の面)に、導光板3の光入射面に平行な方向に沿って延びた複数のプリズム(例えば三角柱プリズム)9bの列が設けられ、また基材シート9aの前面に、導光板3の光入射面に平行な方向に沿って延びた複数のプリズム(例えば半円柱プリズム)9cの列が設けられて構成されている。基材シート9aは、一軸性の複屈折性を有しており、その遅相軸方向は、プリズム9b,9cの延びる方向に平行に揃えられている。ここでは例えば、プリズムシート9は、基材シート9aに、紫外線硬化樹脂で形成されたプリズム9b,9cを付設して構成されている。
【0018】
次にこのバックライト装置1の動作を説明する。
【0019】
このバックライト装置1では、図1の様に、光源5aを点灯した場合、光源5aからの光10は、導光板3の光入射面から導光板3の内部に入射し、導光板3の内面を伝搬し、ある地点で、導光板3の光射出面の凹凸面3cから外部に射出される。その際、その射出光10は、凹凸面3cにより、例えば0度〜30度の浅い角度で射出される。
【0020】
そしてその射出光10は、反射偏光板7を通過する際に、その射出光10のうち、反射偏光板7の透過軸方向の直線偏光(即ち電界の振動方向が反射偏光板の透過軸方向の直線偏光)10aだけが反射偏光板7を透過し、その他の偏光(即ち反射偏光板7の透過軸方向に直交する方向の直線偏光)10bは、反射偏光板7で鏡面反射される。その際の鏡面反射では、射出光10が浅い角度αで反射偏光板7に入射するので、直線偏光10bは、浅い角度αで反射される。
【0021】
そして、反射偏光板7を透過した直線偏光10aは、プリズムシート9を透過してプリズムシート9の前面の正面方向に屈折して、液晶パネル13を照射する。
【0022】
他方、反射偏光板7で反射された直線偏光10bは、浅い角度で導光板3の光射出面(前面)から内部に再び入射し、導光板3中を伝搬して、導光板3の裏面の内面に浅い角度で入射する。
【0023】
その際、直線偏光10bは、浅い角度αで導光板3の裏面の内面に入射するので、導光板3の裏面の内面で全反射し易い。更に、導光板3の裏面には三角柱プリズム3aが形成されており、直線偏光10bは、その三角プリズム3aの斜面(プリズム面)で反射するので、その反射の際の入射角度が反射面(プリズム面)に対して一層浅い角度になり、一層全反射し易くなっている。そのため、従来の様に導光板3の裏面が単なる平面の場合と比べて、直線偏光10bが導光板3の裏面で全反射する割合は、かなり高くなっている。
【0024】
そして全反射の場合、偏光方向の回転が起こるため、導光板3の裏面の内面で全反射した直線偏光10bは、反射偏光板7の透過軸方向に直交する方向の直線偏光を減少させ、反射偏光板7の透過軸方向の直線偏光を増加させる。そしてこの全反射した直線偏光は10bは、導光板3中を伝播し、入射光10の場合と同様、再び導光板3の光射出面から射出されて反射偏光板7を通過し、プリズムシート9で屈折されて、液晶パネル13を照射する。この様に、反射偏光板7で反射された反射光10bは、導光板3の裏面の内面で全反射して効果的に反射偏光板7の透過軸方向の直線偏光を増加し、反射偏光板7を透過する。
【0025】
この時、反射偏光板7やプリズムシート9での反射により生じた導光板3への入射角度βの大きい散乱光10cは、導光板3に入射して導光板3の裏面の内面に入射した際、その入射角度は全反射角度よりも大きいため、導光板3の裏面の三角柱プリズム3aで反射されずに透過して、光吸収シート11に吸収される。散乱光10cの様に導光板3の前面に対して大きな角度を有す光は液晶パネル13を照らす光の指向性を悪化させる原因になるため、これを光吸収シート11で吸収することにより、液晶パネル13を照らす光の指向性を高めることができる。
【0026】
以上の様に構成されたバックライト装置1によれば、導光板3の裏面には、導光板3の端面(光入射面)に直交する方向に延びた複数の三角柱プリズム3aの列が形成されており、その三角柱プリズム3aにより、反射偏光板7で反射されて導光板3の前面を透過して導光板3の裏面の内面に入射する光10bが全反射されるので、その全反射により、その光10bにおいて反射偏光板7の透過軸方向の偏光を効果的に増加でき、その光10bの反射偏光板7の透過率を向上できる。
【0027】
また導光板3の前面には、その前面から光源5a,5bの光10を浅い角度αで射出させるための凹凸面3cが形成されるので、導光板3の前面から光源5a,5bの光10を浅い角度αで射出できる。これにより、導光板3の前面からの射出光10の反射偏光板7での反射も浅い角度αで反射でき、これにより反射偏光板7での反射光10bの導光板3の裏面の内面での反射も浅い角度(即ち全反射し易い角度)αで反射でき、反射偏光板7での反射光10bを導光板3の裏面の内面において全反射し易くできる。
【0028】
また導光板3の裏面側に、導光板3の裏面から射出された光源5a,5bの光を吸収する光吸収シート11を備えるので、反射偏光板7やプリズムシート9での反射により生じた導光板3への入射角度βの大きい散乱光を吸収でき、多重反射を抑制できる。
【0029】
また反射偏光板7の前面側に、その裏面に、導光板3の端面(光入射面)に平行な方向に延びた複数のプリズム9bの列が形成されたプリズムシート9を備えるので、プリズムシート9での屈折により、導光板3の前面からの射出光を導光板3の前面の正面方向に向ける事ができ、導光板3の前面からの射出光の正面への指向性を向上できる。
【0030】
尚、この実施の形態では、導光板3の前面に凹凸面3cを形成する場合で説明したが、別に無くても構わない。凹凸面3cが無くても、三角柱プリズム3aだけで、十分に効果的に、反射光10bを導光板3の裏面で全反射させる事ができる。
【0031】
またこの実施の形態では、プリズムシート9として、両面にプリズム9b,9cが形成された両面プリズムシートを使用したが、裏面にのみプリズム9bが形成された逆プリズムシートを使用しても良い。
【0032】
またこの実施の形態では、導光板3の両側の端面に光源5a,5bを対向配置する場合で説明したが、一方側の端面だけに光源を対向配置しても良い。
【0033】
実施の形態2.
この実施の形態に係るバックライト装置1Bは、図3の様に、実施の形態1に係るバックライト装置1において、プリズムシート9の前面側に、偏光方向を45度回転させる位相差板15を追加したものである。尚、位相差板15の前面側には、液晶表示装置の液晶パネル(例えばTNモード液晶)13の裏面に配設された偏光板13aが配置されている。位相差板15は、例えば1/2波長板である。
【0034】
逆プリズムシート9は、基材シート9aの裏面(導光板3側の面)に、導光板3の光入射面に平行な方向に沿って延びた複数のプリズム(例えば三角柱プリズム)9bの列が設けられ、また基材シート9aの前面に、導光板3の光入射面に平行な方向に沿って延びた複数のプリズム(例えば半円柱プリズム)9cの列が設けられて構成されている。基材シート9aは、一軸性の複屈折性を有しており、その遅相軸方向は、プリズム9b,9cの延びる方向に平行な方向に揃えられている。ここでは例えば、プリズムシート9は、基材シート9aに、紫外線硬化樹脂で形成されたプリズム9b,9cを付設して構成されている。
【0035】
尚、図3中の符号7iは、反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)7の金属細線の延びる方向(90度方向)であり、符号7jは、反射偏光板7の透過軸方向(0度方向)である。符号9iは、プリズムシート9のプリズム9b,9cの延びる方向(90度方向)であり、符号9jは、プリズムシート9の透過光の偏光方向(0度方向)である。符号15iは、位相差板15の遅相軸方向(22.5度方向)であり、符号15jは、位相差板15の透過光の偏光方向(45度方向)である。符号13jは、液晶パネル13のバックライト側の偏光板13aの透過光の偏光方向(45度方向)である。
【0036】
尚、図3の様に、0度方向は、液晶パネル13側から見て導光板3の光入射面に直交する方向に設定され、90度方向は、導光板3の光入射面に平行な方向に設定されている。
【0037】
次にこのバックライト装置1Bの動作を説明する。
【0038】
光源5a,5bからの光10が導光板3の光射出面から射出されるまでの動作は、実施の形態1と同じなので説明を省略し、以下では、導光板3の光射出面から光10が射出された時点からの動作を説明する。
【0039】
導光板5a,5bの光射出面から浅い角度αで射出された非偏光の光10は、反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)7において、その偏光のうち、反射偏光板7の金属細線の延びる方向(90度方向)に直交した方向(0度方向)の偏光方向7jの直線偏光10aのみが透過し、他の偏光は反射される。
【0040】
そして反射偏光板7を透過した直線偏光10aは、その偏光方向(0度方向)がプリズムシート9のプリズム9b,9cの延びる方向(90度方向)9iに直交しているので、その偏光方向を維持した状態でプリズムシート9を透過する。その際、直線偏光10aは、プリズムシート9の前面の正面方向に屈折される。
【0041】
そしてプリズムシート9を透過した直線偏光10aは、位相差板(1/2波長板)15を透過し、その際に偏光方向が45度回転され、45度方向の偏光方向15jの直線偏光になる。
【0042】
そして位相差板15を透過した直線偏光10aは、液晶パネル(TNモード液晶)13の裏面(導光板3側)の偏光板13aを透過するが、直線偏光10aの偏光方向(45度方向)は、偏光板13aの透過軸方向(45度方向)13jに一致するので、殆ど遮光されずに大部分が透過する。
【0043】
TNモード液晶の裏面の偏光板13aの透過軸方向は、通常、45度方向に設定されているので、この実施の形態の様に、プリズムシート9と偏光板13aとの間に、偏光方向を45回転させる位相差板15を配置することで、導光板3の光射出面から射出された光の大部分を、偏光板13aを透過させる事ができ、高い光利用効率が得られる。
【0044】
図4および図5は、反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)7に、その透過軸方向(即ち金型細線7aの延びる方向に直交した方向)に沿って偏光した直線偏光を、波長を変化させて入射して、その透過率を測定した結果を示すものである。図4では、その測定において、直線偏光の入射角度を、金型細線7aの延びる方向に直交した方向に0度,10度,…,55度傾けた場合で測定し、それらの結果を重ねて表示している。また図5では、その測定において、直線偏光の入射角度を、金型細線7aの延びる方向に0度,10度,…,55度傾けた場合で測定し、それらの結果を重ねて表示している。
【0045】
図4より、入射角度が、反射偏光板7の金型細線7aの延びる方向に直交した方向に傾く場合では、波長の長さに関わり無く、入射角度が大きい場合(即ち浅い角度の場合)でも、入射角度が小さい場合(即ち正面から入射した場合)とほぼ等しい高い透過率が得られる事が分かる。これに対し、図5より、入射角度が、反射偏光板7の金型細線7aの延びる方向に傾く場合では、入射角度が大きいほど(即ち浅い角度ほど)、透過率が低下する事が分かる。
【0046】
これらの結果から、導光板3の光射出面から浅い角度(例えば0〜30度)で射出された射出光の反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)7での透過率を高めるには、図3の様に、導光板3の光射出面からの射出光の反射偏光板7への入射角度が、反射偏光板7の金属細線の延びる方向7iに直交する方向に傾く様に、反射偏光板7の金属細線の延びる方向7iを導光板3の光入射面に平行な方向(90度方向)に一致させるのが良い事が分かる。
【0047】
図6は、プリズムシート9の前面(光射出面)側に検光子(ここではワイヤグリッド偏光板)を配置し、その検光子の角度(即ち検光子の金属細線の延びる方向)を変化させて、プリズムシート9を透過する光源光のピーク輝度を測定した結果を示したものである。図6では、その測定において、反射偏光板7の角度(即ち反射偏光板7の金属細線の延びる方向)が90度,67.5度,45度,22,5度,0度の場合で測定し、それらの結果を重ねて表示している。尚、検光子の透過軸方向は、金属細線の延びる方向(即ち検光子の角度)に直交する方向である。
【0048】
図6より、反射偏光板7の角度が90度の場合(即ちこの実施の形態の場合)が、他の角度(67.5度,45度,22,5度,0度)の場合と比べて、検光子の角度が90度の場合でピーク輝度が最も高くなり、検光子の角度が0度の場合でピーク輝度が最も低くなる。即ち、反射偏光板7の角度が90度の場合は、反射偏光板7を透過した直線偏光は、プリズムシート9の透過後も、偏光方向を変えず且つ高い偏光状態の直線偏光を維持している事(即ち光の利用効率が高い事)が分かる。
【0049】
この様に、プリズムシート9の透過後も、偏光方向が変わらず且つ高い偏光状態の直線偏光が維持されるのは、次の2つの理由による。即ち1つは、プリズムシート9の基材シート9aの複屈折の遅相軸方向が、基材シート9aの両面に形成されたプリズム9b,9cの伸びる方向に揃えられているからである。もう1つは、プリズムシート9の裏面のプリズム9bの内面での全反射でも偏光状態を変化させる作用があるが、その全反射後も高い偏光状態の直線偏光を維持させるために、プリズムシート9のプリズム9bの延びる方向を反射偏光板7の金属細線の伸びる方向に一致しているからである。
【0050】
そしてこの実施の形態では、液晶パネル13にTNモード液晶を用いており、一般的にTNモード液晶の裏面の偏光板13aの透過軸は45度方向に設定されるので、プリズムシート9と偏光板13aとの間に偏光方向を45度回転させる位相差板(ここでは1/2波長板)15を配置することで、プリズムシート9の透過光の大部分を偏光板13aを透過させる事ができる。
【0051】
以上の様に構成されたバックライト装置1Bによれば、プリズムシート9の前面側に、プリズムシート9の透過光の偏光状態を45度回転させる位相差板15を備えるので、TNモード液晶の様な、裏面の偏光板13aの透過軸が45度方向に設定された液晶パネル13のバックライト装置として使用した場合に、プリズムシート9の透過光の大部分を偏光板13aを透過させる事ができ、これにより光の利用効率を向上できる。
【0052】
尚、この実施の形態では、位相差板15として1/2波長板を用いたが、1/4波長板を2枚重ねて、下側の1/4波長板の遅相軸方向を45度方向に設定し、上側の1/4波長板の遅相軸方向を0度方向に設定しても、1/2波長板と同様に、偏光方向を45回転させる事ができる。この場合、2枚の1/4波長板の組み合わせで、波長分散を緩和できる効果も期待できる。
【0053】
またこの実施の形態では(実施の形態1の場合も)、プリズムシート9は、基材シート9aにプリズム9b,9cを紫外線硬化樹脂で形成したものを使用し、一軸性の複屈折を有す基材シート9aの遅相軸方向と、プリズム9b,9cの延びる方向とを平行に揃えたが、これに限るものではなく、それらの方向を直交させても良い。直交させた場合も、プリズムシート9の透過光に対し、同様に高い偏光状態を維持する効果は期待できる。またプリズムシート9の製法として、全面ゲートによる射出成形によりプリズム9b,9cに平行な方向にプリズム形成用樹脂を流して製造しても、プリズム9b,9cと基材シート9aの複屈折の遅相軸を平行に揃えることは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明に係るバックライト装置は、一般的な液晶表示装置の他に、高輝度で急峻なピークを持ち迷い光の少ない視野角特性の要求される液晶表示装置、例えば、横からの覗き見を防ぐため、正面方向には高輝度の表示を行い、斜めからは暗くて視認できない、覗き見防止用の液晶表示装置のバックライト装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態1に係るバックライト装置1の構成概略図(側面視断面図)である。
【図2】(a)は図1の導光板3のP1方向から見た概略図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図3】実施の形態2に係るバックライト装置1Bの構成概略図(斜視図)である。
【図4】図3の反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)7において、入射光の波長に対する透過率を測定した結果を示した図であり、その測定の際の入射光の入射角度を反射偏光板7の金属細線7aの延びる方向に直交する方向に変化させた場合の各測定結果を重ねて表示した図である。
【図5】図3の反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)7において、入射光の波長に対する透過率を測定した結果を示した図であり、その測定の際の入射光の入射角度を反射偏光板7の金属細線7aの延びる方向に変化させた場合の各測定結果を重ねて表示した図である。
【図6】プリズムシート9の透過光において、検光子を用いて、偏光方向に対するピーク輝度を測定した結果を示した図であり、その測定の際の反射偏光板7の角度を変化させた場合の各測定結果を重ねて表示した図である。
【符号の説明】
【0056】
1 バックライト装置、3 導光板、3a 三角柱プリズム、3b 三角柱プリズムの頂角、3c 凹凸面、5a,5b 光源、7 反射偏光板(ワイヤグリッド偏光板)、7a 金型細線、7i 金属細線の延びる方向、7j 透過軸方向、9 プリズムシート、9a 基材シート、9b 三角柱プリズム、9c 半円柱プリズム、9i プリズム9b,9cの延びる方向、9j 透過光の偏光方向、11 光吸収シート、13 液晶パネル、13a 液晶パネル13の裏面の偏光板、13j 透過光の偏光方向、15 位相差板、15i 位相差板15の遅相軸方向、15j 透過光の偏光方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の導光板と、
前記導光板の両側の端面の少なくとも一方に対向配置された光源と、
前記導光板の前面側に配置され、前記導光板の前記端面から入射して前記導光板の前面から射出した前記光源の光のうち、透過軸方向の偏光を透過し、他の偏光を反射する反射偏光板とを備え、
前記導光板の裏面には、前記導光板の前記端面に直交する方向に延びた複数の三角柱プリズムの列が形成されており、前記三角柱プリズムにより、前記反射偏光板で反射されて前記導光板の前記前面を透過して前記導光板の裏面の内面に入射する光が全反射されることを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記導光板の前面には、その前面から前記光源の光を浅い角度で射出させるための凹凸面が形成されることを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記導光板の裏面側に、前記導光板の裏面から射出された前記光源の光を吸収する光吸収シートを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記反射偏光板の前面側に、その裏面に、前記導光板の前記端面に平行な方向に延びた複数のプリズムの列が形成されたプリズムシートを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記反射偏光板は、ワイヤグリッド偏光板であり、その金属細線の延びる方向が前記導光板の前記端面に平行な方向に一致することを特徴とする請求項4に記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記反射偏光板は、ワイヤグリッド偏光板であり、
前記プリズムシートは、そのプリズムの延びる方向が前記反射偏光板の金属細線の延びる方向に一致する様に配置されることを特徴とする請求項4に記載のバックライト装置。
【請求項7】
前記プリズムシートは、一軸性の複屈折性を有する基材シートと、前記基材シートの裏面に形成された前記複数のプリズムの列とを備え、前記基材シートの遅相軸方向と前記複数のプリズムの延びる方向とが平行または直交することを特徴とする請求項4に記載のバックライト装置。
【請求項8】
前記プリズムシートの前面側に、前記プリズムシートの透過光の偏光状態を45度回転させる位相差板を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−211873(P2009−211873A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51993(P2008−51993)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】