説明

バックラッシ調整装置

【課題】従動はすば歯車にかみ合う歯車の軸方向移動を避け、駆動モータを逆転してもバックラッシのない構造が簡単で高さがコンパクトなバックラッシ調整装置を提供。
【解決手段】駆動はすば歯車11の一方でかみ合う第1のはすば歯車12と同軸に逆ねじれの第2のはすば歯車13が設けられた第1の中間軸21と、第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車14を設ける。駆動はすば歯車11の他方でかみ合う第2の中間はすば歯車15とかみ合う第3のはすば歯車16と、第3のはすば歯車と同軸に逆ねじれの第4のはすば歯車17が設られた第2の中間軸22を設ける。第1の中間はすば歯車14及び第4のはすば歯車17を回転軸に設けられた従動はすば歯車18に同時にかみ合うようにし、第1の中間軸21を軸方向に移動させて駆動はすば歯車11と従動はすば歯車18間のバックラッシを調整可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の歯車伝達装置のバックラッシを調整するバックラッシ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合工作機の進歩により、ワークを載置又は固定する回転テーブル、あるいは工具が取付けられる工具主軸において回転の他に、割出機能を有するものが増加している。かかる工作機では割出精度を要求される。割出は駆動軸から、複数の歯車を介して回転テーブル軸や工具主軸に伝達されるので、歯車によるバックラッシのため、割出精度が低下する。
【0003】
そこで、バックラッシを少なくするために、引用文献1(図3)においては、図6に示すようなバックラッシ調整装置81を用いている。このバックラッシ調整装置は、ターニングテーブル2駆動用であり、駆動用の駆動はすば歯車91を駆動軸90に設け、この駆動はすば歯車にかみ合う第1のはすば歯車92と、この第1のはすば歯車と同軸に第1のはすば歯車とは、はすば方向が逆方向(逆方向ねじれ)の第2のはすば歯車94を設けて第1の中間軸85とする。
【0004】
さらに、第1のはすば歯車92とは別に、駆動はすば歯車91と、かみ合う第3のはすば歯車95と、この第3のはすば歯車と同軸に第3のはすば歯車とは、はすば方向が逆方向の第4のはすば歯車97を設けて第2中間軸86とする。そして、第2、第4のはすば歯車94、97をテーブル回転軸6cの従動はすば歯車18に同時にかみ合うようにされている。さらに、第1又は第2中間軸85、86の少なくとも一方を軸方向に移動させることにより、従動はすば歯車18と駆動はすば歯車91間のバックラッシを調整している。
【0005】
また、特許文献2(図1)のものは、図7に示すように、駆動歯車91とかみ合う歯車をはすば歯車でなく平歯車とし、駆動軸90を軸方向移動させることにより、割出と高速回転とを切り替えることができるようにされている。なお、特許文献1と同様な構成には同符号を付し説明を省略する。また、調整機構又は方法については特に開示はされていない。
【0006】
しかし、かかる従来のものでは、移動する第2又は第4はすば歯車94、97と従動はすば歯車18とが軸方向に互いに移動し、歯幅方向で歯面同士が接触する部分と接触しない部分が生じるので、偏磨耗や、振動が生じるおそれがある。また、従動歯車は一般には大きいので、微調整や精度が要求される。
【0007】
一方、特許文献3(図4)のターニングテーブル2では、図8に示すように、第1及び第2中間軸85、86を移動させずに、駆動軸87を移動させるようにしている。特許文献3のバックラッシ調整装置81は、駆動軸87にねじれ方向が逆の駆動はすば歯車91、93を一組設けて、図でみて、下側の駆動はすば歯車91にかみ合う第1のはすば歯車92と、この第1のはすば歯車と同軸に第1のはすば歯車とは、はすば方向が逆方向(逆ねじれ)の第2のはすば歯車94を設けて第1の中間軸85とする。
【0008】
さらに、第1のはすば歯車92とは別に、図でみて、上側の駆動はすば歯車93とかみ合う第3のはすば歯車94と、この第3のはすば歯車と同軸に第3のはすば歯車とは、はすば方向が同方向の第4のはすば歯車97を設けて第2中間軸86とする。そして、第2、第4のはすば歯車94、97をテーブル回転軸の従動はすば歯車18に同時にかみ合うようにしている。さらに、駆動軸87を軸方向に移動させることにより、従動はすば歯車と駆動歯車間のバックラッシを調整している。駆動軸87には駆動歯車98が設けられ、駆動モータ8出力軸90の歯車99にかみ合うようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−106894号公報
【特許文献2】特開平8−90377号公報
【特許文献3】特開平8−197366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献3のものでは、従動はすば歯車18での歯面の軸方向移動は無いが、駆動モータ8と駆動軸87とを歯車99、98で接続するので、駆動モータ8と駆動軸87間のバックラッシが生じる。このため、駆動モータの回転方向を逆転した場合はバックラッシが発生し、割出精度が低下してしまうという問題があった。また、駆動軸87と駆動モータ軸90とを一体にしたとしても構造が複雑になるという問題があった。また、歯車の軸方向の段数が4段と多く、軸方向高さが高くなるという問題があった。かかる問題点に鑑みて、本発明の課題は従動はすば歯車にかみ合う歯車の軸方向移動を避け、かつ、駆動モータを逆転してもバックラッシのない、軸方向の段数が少なく、構造が簡単で小型のバックラッシ調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、工作機等の回転軸の歯車駆動装置において、駆動モータの出力軸に設けられた駆動はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の一方でかみ合う第1のはすば歯車と、この第1のはすば歯車と同軸に前記第1のはすば歯車と逆ねじれの第2のはすば歯車が設けられた第1の中間軸と、前記第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の他方でかみ合う第2の中間はすば歯車と、前記第2の中間はすば歯車とかみ合う第3のはすば歯車と、この第3のはすば歯車と同軸に前記第3のはすば歯車と逆ねじれの第4のはすば歯車が設けられた第2の中間軸と、を有し、前記第1の中間はすば歯車及び前記第4のはすば歯車が前記回転軸に設けられた従動はすば歯車に同時にかみ合うようにされ、さらに、前記第1の中間軸を軸方向に移動させることにより、前記駆動はすば歯車と前記従動はすば歯車間のバックラッシを調整可能としたバックラッシ調整装置を提供することにより前述した課題を解決した。
【0012】
即ち、駆動はすば歯車と従動はすば歯車とのバックラッシを調整する軸方向移動する中間軸を駆動はすば歯車とかみ合う第1の中間軸とし、第1の中間軸と従動はすば歯車の間に第1の中間はすば歯車を設けた。これにより、第1の中間軸が軸方向移動しても従動はすば歯車と移動する第2のはすば歯車とは接触しないので、磨耗や余分な偏荷重を発生することが少ない。第2の中間はすば歯車は、駆動歯車と従動はすば歯車間の歯車数を整合させている。また、軸方向の歯車の段数を2段にできる。
【0013】
第2の中間はすば歯車は、駆動はすば歯車と従動はすば歯車間の歯車数を整合させているので、駆動はすば歯車と第2の中間軸との間に代えて、第2の中間軸と従動はすば歯車間に設けてもよい。そこで、請求項2に記載の発明では、工作機等の回転軸の歯車駆動装置において、駆動モータの出力軸に設けられた駆動はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の一方でかみ合う第1のはすば歯車と、この第1のはすば歯車と同軸に逆ねじれの第2のはすば歯車が設けられた第1の中間軸と、前記第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車と、前記駆動歯車の他方でかみ合う第5のはすば歯車と、この第5のはすば歯車と同軸に逆ねじれの第6のはすば歯車が設けられた第3の中間軸と、前記第6のはすば歯車とかみ合う第3の中間はすば歯車と、を有し、前記第1の中間はすば歯車及び前記第3の中間はすば歯車が前記回転軸に設けられた従動はすば歯車に同時にかみ合うようにされ、さらに、前記第1の中間軸を軸方向に移動させることにより、前記駆動はすば歯車と前記従動はすば歯車間のバックラッシを調整可能としたバックラッシ調整装置とした。
【0014】
さらに、全体のかみ合いをスムースにさせるためには、全てはすば歯車としたが、機能的には従動はすば歯車に直接関係なければ平歯車でもよい。そこで、請求項3に記載の発明においては、駆動はすば歯車と、第1のはすば歯車、第2の中間はすば歯車、第3のはすば歯車を平歯車とした。第2のはすば歯車及び第4のはすば歯車のねじれ方向は逆であり、第4のはすば歯車は従動歯車とかみ合う。
【0015】
また、請求項4に記載の発明においては、駆動はすば歯車と、第1のはすば歯車、第5のはすば歯車を平歯車とした。第2のはすば歯車及び第3の中間はすば歯車のねじれ方向は逆であり、第3の中間はすば歯車は従動歯車とかみ合う。
【0016】
かかるはすば歯車による歯車駆動機構はワークを取付けるテーブルのような高精度の割出が必要なものに適している。そこで、請求項5に記載の発明においては、前記バックラッシ調整装置の前記従動はすば歯車の回転軸はワークを載置するワークテーブル用回転軸とした。さらに、割出でなく高速回転でも使用できるようにするためには、別に高速回転軸とかみ合わせることができるようにされる。この場合は、駆動モータと切り離すことが必要である。そこで、請求項6に記載の発明においては、前記駆動はすば歯車の駆動軸と前記駆動モータ軸とを接続又は遮断可能なクラッチ機構を設けた。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、軸方向に移動する第1の中間軸と回転軸の従動はすば歯車との間に軸方向移動のない第1の中間はすば歯車を設けた。これにより、第1の中間軸が軸方向移動しても従動はすば歯車と軸方向移動する第2のはすば歯車とは直接かみ合うことがないので、磨耗や余分な偏荷重を発生することが少なく、駆動軸と軸方向移動軸を分離して、構造が簡単なものとなった。また、軸方向の歯車の段数を2段とできるので、高さを低く小型とすることができる(請求項1乃至6)。さらに、すべてはすば歯車なのでかみ合いがスムースで高い割出精度を得られるものとなった(請求項1、2)。
【0018】
また、請求項3に記載の発明においては、駆動はすば歯車と、第1のはすば歯車、第2の中間はすば歯車、第3のはすば歯車を平歯車とし、また、請求項4に記載の発明においては、駆動はすば歯車と、第1のはすば歯車、第5のはすば歯車を平歯車としたので、駆動軸の軸方向荷重を軽減でき構造が簡単である。さらに、請求項5に記載の発明においては、バックラッシが少なくワークの割出精度が高い構造の簡単なワークテーブルを提供する。また、請求項6に記載の発明においては、クラッチにより割出用モータを分離し、高速回転用モータと接続するようにしたので、ターニングセンタ等の複合工作機に応用できるものとなった。なお、本バックラッシ調整装置は、回転テーブル等に限定されることなく、工具を取付ける工具主軸やその他の回転軸にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す歯車機構の模式斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態を示すワーク用テーブルの平面概略図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態を示す歯車機構の模式斜視図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態を示す歯車機構の模式斜視図である。
【図6】従来のはすば歯車機構の模式斜視図である。
【図7】従来のはすば、平歯車機構の模式斜視図である。
【図8】従来のはすば歯車機構の模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一の実施の形態について図面を参照して説明する。第一の実施の形態ではバックラッシ調整装置の全ての歯車にはすば歯車を用いた場合を示す。図1乃至図3に示すように、本発明のバックラッシ調整装置1は、図示しないワークを載置するワークテーブル2の割出歯車駆動装置3に使用したものである。ワークテーブル2は、割出駆動歯車装置3と、高速回転歯車駆動装置4と選択的に駆動され、高精度割出と高速回転(一般にはテーブルの場合は、300rpm以下である)の二種類の回転を得ることができる。
【0021】
ワークテーブル2は基台5に設けられた固定軸6にクロスローラベアリング7を介して固定軸6c回りに回転可能にされている。ワーク(回転)テーブル上面2aは円盤平面とされ、下面外周5bに右ねじれの従動はすば歯車18が固定軸6cと同心に設けられている。割出駆動歯車装置3は割出のための回転割出精度が高いサーボモータ8とバックラッシ調整装置1より構成される。基台5上に下向きにサーボモータ8が取り付けられ、遊星減速機を介して減速され、さらに磁気により切断又は接続を行う磁気カップリング9を介して出力軸10に接続されている。
【0022】
出力軸10には右ねじれの駆動はすば歯車11が設けられ、バックラッシ調整装置に接続されている。右ねじれの駆動はすば歯車11の一方と左ねじれの第1のはすば歯車12とがかみ合うようにされている。図でみて、この第1のはすば歯車12は第1の中間軸21の下方側に設けられている。第1の中間軸の上方側に第1のはすば歯車とは逆ねじれの右ねじれの第2のはすば歯車13が設けられている。さらに、第2のはすば歯車13とかみ合うように左ねじれの第1の中間はすば歯車14が設けられ、さらに第1の中間はすば歯車14は右ねじれの従動はすば歯車18とかみ合うようにされている。
【0023】
一方、右ねじれの駆動はすば歯車11の他方側で左ねじれの第2の中間はすば歯車15がかみ合うようにされ、第2の中間はすば歯車15はさらに、右ねじれの第3のはすば歯車16とかみ合うようにされる。図でみて、第3のはすば歯車16は第2の中間軸22下方側に固定され、第2の中間軸の上方側には、右ねじれの第3のはすば歯車とは逆ねじれの左ねじれの第4のはすば歯車17が設けられている。さらに、左ねじれの第4のはすば歯車17は右ねじれの従動はすば歯車18とかみ合うようにされている。なお、各歯車の回転軸は固定軸6cと平行となっている(以下同じ)。
【0024】
第1の中間はすば歯車14及び第4のはすば歯車17が従動はすば歯車18に同時にかみ合うようにされている。さらに、第1の中間軸21には油圧シリンダ24が設けられ第1の中間軸21を軸方向に移動可能にされている。例えば、第1の中間軸を図で見て矢印方向(下方向)へシフトすると第1の中間はすば歯車12は右回転方向に力を受ける。同時に駆動はすば歯車11を左回転方向に力を受け、従動はすば歯車18の歯面を互いに反対側に押すようにしてバックラッシを無くすあるいは少なくすることができる。
【0025】
これにより、サーボモータ8によるワークテーブル2のバックラッシなしの高精度の割出を行うことができる。さらに、バックラッシ調整のために軸方向へ移動する中間軸21はサーボモータ及びクラッチ9が接続される駆動はすば歯車11とは別に設けられているので、構造が簡単である。また、軸方向の歯車の段数は2段であり、高さ方向寸法を小さくできる。
【0026】
一方、従動はすば歯車18はさらに高速回転用はすば歯車67とかみ合う。高速回転用はすば歯車67が設けられた高速回転歯車駆動装置4は、高速回転用のスピンドルモータ60と多段歯車装置からなる。基台5上に出力軸を上向きに設置されたスピンドルモータの出力軸60aと駆動歯車軸71とは平ベルト72掛けにより伝達される。駆動歯車軸71はベアリング74に支持され、平ベルトプーリー73の反対側(図3で見て下側)に高速側駆動はすば歯車61が設けられている。
【0027】
高速駆動はすば歯車61は高速駆動はすば歯車より歯数の多い第1の減速用はすば歯車62とかみ合うようにされる。第1の減速用はすば歯車62とはねじれ方向が逆で歯数の少ない第1の小はすば歯車63が第1の減速用はすば歯車と同軸に第1の高速用中間軸75の(図3で見て)上側に設けられている。
【0028】
第1の小はすば歯車63はさらに、第1の小はすば歯車より歯数の多い第2の減速用はすば歯車64とかみ合うようにされる。第2の減速用はすば歯車64とはねじれ方向が逆で歯数の少ない第2の小はすば歯車65が第2の減速用はすば歯車と同軸に第2の高速用中間軸76(図3で見て)下側に設けられている。
【0029】
第2の小はすば歯車65はさらに、第2の小はすば歯車より歯数の多い第3の減速用はすば歯車66とかみ合うようにされる。第3の減速用はすば歯車66とはねじれ方向が逆で歯数の少ない高速回転用はすば歯車67が第3の減速用はすば歯車と同軸に第3の高速用中間軸77(図3で見て)上側に設けられている。この高速回転用はすば歯車67が従動はすば歯車18とかみ合いワークテーブル2を高速回転する。中間軸にねじれ方向が反対のはすば歯車を配置し、軸方向荷重の発生を無くし、隣り合う中間軸の歯車の大小を逆位置に配置し、歯車スペースを小さくしている。
【0030】
かかるワークテーブル装置によれば、割出動作の場合は、クラッチ9を接続し、バックラッシ調整装置1によるバックラッシのない割出駆動歯車装置3を介してサーボモータ8によるワークテーブル2の割出が精度よく行われる。この場合、高速回転歯車駆動装置4及びスピンドルモータ60はつれまわり回転されるが、割出に際しては、ワークテーブル2の回転数(回転速度)は小さいのでトルク損失や振動も少ない。
【0031】
一方、高速回転動作においては、クラッチ9を解放し、バックラッシ調整装置1の油圧シリンダ24を逆方向に作用させ、第1の中間軸21を上方向へ移動させ、バックラッシを与える。この状態でスピンドルモータ60を回転させ、所望の回転数でワークテーブル2を回転させる。割出駆動歯車装置3は連れ回り回転されるがワークテーブルの回転は300rpm程度であり、振動やトルク損失の影響も少ない。さらに、バックラッシを与えるので、バックラッシ調整のための摩擦力は減じており、また、サーボモータとは切り離されているので、スムースな回転が可能である。そして、割出及び高速回転共に、ワークテーブル2の従動はすば歯車18とかみあう第1の中間はすば歯車14及び第4のはすば歯車17及び高速回転用はすば歯車67とは、軸方向の噛み違いもなく、歯面全体で均一回転されるので、スムースな割出・回転が確保される。
【0032】
次に本発明の第二の実施の形態について図面を参照して説明する。図4に示すように、本発明の第二の実施の形態のバックラッシ調整装置は、中間軸の配置を換えたものである。なお、前述した第一の実施の形態と同様な部品については同符号を付し、説明を省略する。図4に示すように、出力軸10の駆動はすば歯車11とかみ合う第1のはすば歯車12、第1の中間軸21、第2のはすば歯車13、第1の中間はすば歯車14が設けられ、第1の中間はすば歯車14が従動はすば歯車18とかみ合う。また、第1の中間軸21が油圧シリンダ24により軸方向に移動可能にされている。かかる点は前述した第一の実施の形態と同様である。
【0033】
第二の実施の形態においては、右ねじれの駆動はすば歯車11の他方側で左ねじれの第5のはすば歯車35とかみ合うようにされる。図でみて、左ねじれの第5のはすば歯車35は第3の中間軸23下方側に固定され、第3の中間軸の上方側には、左ねじれの第5のはすば歯車とは逆ねじれの右ねじれの第6のはすば歯車36が設けられている。さらに、右ねじれの第6のはすば歯車36は、左ねじれの第3の中間はすば歯車37にかみ合うようにされている。さらに、左ねじれの第3の中間はすば歯車37は、右ねじれの従動はすば歯車18とかみ合うようにされている。
【0034】
第1の中間はすば歯車14及び左ねじれの第3の中間はすば歯車37が従動はすば歯車18に同時にかみ合うようにされている。前述したと同様に、第1の中間軸21を軸方向へシフトしてバックラッシを調整することができる。
【0035】
次に本発明の第三の実施の形態について図面を参照して説明する。図5に示すように、本発明の第三の実施の形態のバックラッシ調整装置は、駆動軸側のはすば歯車を平歯車としたものである。なお、前述した第一の実施の形態と同様な部品については同符号を付し、説明を省略する。図5に示すように、出力軸には駆動平歯車41が設けられ、バックラッシ調整装置に接続されている。駆動平歯車41の一方と第1の平歯車42とがかみ合うようにされている。図でみて、この第1の平歯車42は第1の中間軸51の下方側に設けられている。第1の中間軸の上方側に右ねじれの第2のはすば歯車13が設けられている。
【0036】
さらに、前述したと同様に、右ねじれの第2のはすば歯車13とかみ合うように左ねじれの第1の中間はすば歯車14が設けられ、さらに第1の中間はすば歯車14は右ねじれの従動はすば歯車18とかみ合うようにされている。
【0037】
一方、駆動平歯車41の他方側で第2の中間平歯車45がかみ合うようにされ、第2の中間平歯車45はさらに、第3の平歯車46とかみ合うようにされる。図でみて、第3の平歯車46は第2の中間軸52下方側に固定され、第2の中間軸52の上方側には、左ねじれの第4のはすば歯車17が設けられている。さらに、前述したと同様に、左ねじれの第4のはすば歯車17は右ねじれの従動はすば歯車18とかみ合うようにされている。
【0038】
第1の中間はすば歯車14及び左ねじれの第4のはすば歯車17が従動はすば歯車18に同時にかみ合うようにされ、駆動側が平歯車であっても、前述したと同様に第1の中間軸をシフトすることによりバックラッシを無くすあるいは少なくすることができる。
【0039】
さらに、図4の第1の中間はすば歯車12、第3の中間はすば歯車37を従動はすば歯車18の両側にかみ合わせた場合には、駆動はすば歯車11、第1のはすば歯車12、第3のはすば歯車35を、それぞれ平歯車にすれば同様に可能であるので、説明を省略する。なお、実施の形態においては、回転テーブルの場合について説明したが、工具主軸は他の回転軸に適用できることはいうまでもない。その場合は適宜クラッチ機構等を配置して、モータ等の負荷等を考慮して配置する。
【符号の説明】
【0040】
1 バックラッシ調整装置
2 ワークテーブル
3 歯車駆動装置
6c 回転軸
8 駆動モータ
9 クラッチ機構
10 駆動軸
11 駆動はすば歯車
12 第1のはすば歯車
13 第2のはすば歯車
14 第1の中間はすば歯車
15 第2の中間はすば歯車
16 第3のはすば歯車
17 第4のはすば歯車
18 従動はすば歯車
21 第1の中間軸
22 第2の中間軸
23 第3の中間軸
35 第5のはすば歯車
36 第6のはすば歯車
37 第3の中間はすば歯車
41 駆動平歯車
42 第1の平歯車
45 第2の中間平歯車
46 第3の平歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機等の回転軸の歯車駆動装置において、駆動モータの出力軸に設けられた駆動はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の一方でかみ合う第1のはすば歯車と、前記第1のはすば歯車と同軸に前記第1のはすば歯車とは逆ねじれの第2のはすば歯車が設けられた第1の中間軸と、前記第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の他方でかみ合う第2の中間はすば歯車と、前記第2の中間はすば歯車とかみ合う第3のはすば歯車と、前記第3のはすば歯車と同軸に前記第3のはすば歯車とは逆ねじれの第4のはすば歯車が設られた第2の中間軸と、を有し、前記第1の中間はすば歯車及び前記第4のはすば歯車が前記回転軸に設けられた従動はすば歯車に同時にかみ合うようにされ、さらに、前記第1の中間軸を軸方向に移動させることにより、前記駆動はすば歯車と前記従動はすば歯車間のバックラッシを調整可能としたことを特徴とするバックラッシ調整装置。
【請求項2】
工作機等の回転軸の歯車駆動装置において、駆動モータの出力軸に設けられた駆動はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の一方でかみ合う第1のはすば歯車と、前記第1のはすば歯車と同軸に前記第1のはすば歯車とは逆ねじれの第2のはすば歯車が設けられた第1の中間軸と、前記第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の他方でかみ合う第5のはすば歯車と、前記第5のはすば歯車と同軸に前記第5のはすば歯車とは逆ねじれの第6のはすば歯車が設られた第3の中間軸と、前記第6のはすば歯車とかみ合う第3の中間はすば歯車と、を有し、前記第1の中間はすば歯車及び前記第3の中間はすば歯車が前記回転軸に設けられた従動はすば歯車に同時にかみ合うようにされ、さらに、前記第1の中間軸を軸方向に移動させることにより、前記駆動はすば歯車と前記従動はすば歯車間のバックラッシを調整可能としたことを特徴とするバックラッシ調整装置。
【請求項3】
工作機等の回転軸の歯車駆動装置において、駆動モータの出力軸に設けられた駆動平歯車と、前記駆動平歯車の一方でかみ合う第1の平歯車と、前記第1の平歯車と同軸に第2のはすば歯車が設けられた第1の中間軸と、前記第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の他方でかみ合う第2の中間平歯車と、前記第2の中間平歯車とかみ合う第3の平歯車と、前記第3の平歯車と同軸に第4のはすば歯車が設られた第2の中間軸と、を有し、前記第1の中間はすば歯車及び前記第4のはすば歯車が前記回転軸に設けられた従動はすば歯車に同時にかみ合うようにされ、さらに、前記第1の中間軸を軸方向に移動させることにより、前記駆動平歯車と前記従動はすば歯車間のバックラッシを調整可能としたことを特徴とするバックラッシ調整装置。
【請求項4】
工作機等の回転軸の歯車駆動装置において、駆動モータの出力軸に設けられた駆動平歯車と、前記駆動平歯車の一方でかみ合う第1の平歯車と、前記第1の平歯車と同軸に第2のはすば歯車が設けられた第1の中間軸と、前記第2のはすば歯車とかみ合う第1の中間はすば歯車と、前記駆動はすば歯車の他方でかみ合う第5の平歯車と、前記第5の平歯車と同軸に第6のはすば歯車が設られた第3の中間軸と、前記第6のはすば歯車とかみ合う第3の中間はすば歯車と、を有し、前記第1の中間はすば歯車及び前記第3の中間はすば歯車が前記回転軸に設けられた従動はすば歯車に同時にかみ合うようにされ、さらに、前記第1の中間軸を軸方向に移動させることにより、前記駆動平歯車と前記従動はすば歯車間のバックラッシを調整可能としたことを特徴とするバックラッシ調整装置。
【請求項5】
前記バックラッシ調整装置の前記従動はすば歯車の回転軸はワークを載置するワークテーブル用回転軸であることを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4記載のバックラッシ調整装置。
【請求項6】
前記駆動はすば歯車又は駆動平歯車の駆動軸と前記駆動モータ軸とを接続又は遮断可能なクラッチ機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5記載のバックラッシ調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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