説明

バッグを有するカートリッジを備える計量分配アセンブリ

計量分配アセンブリ(1)は、内部にバッグ(8,9)を有する2つの格納容器(3,4)を有する二重カートリッジ(2)と、カートリッジに接続可能なミキサ(5)と、バッグに作用する開放手段(13,14)とを備える。開放手段(13,14)はミキサハウジング(6)に配置され、カートリッジに対して回転自在で、カートリッジ(2,21)内のバッグの長手軸に実質的に垂直に作用する2つのナイフエッジ(13)を含む切断部材(13,22)を有する。回転自在で各バッグに対して横向きに配置されたナイフエッジのおかげで、そのような切断部材によってバッグの完全な所定の開放と最小限の圧力損失と容積の減少による計量分配動作が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文記載の、内部にバッグを有する少なくとも1つの格納容器を有するカートリッジと、カートリッジに接続可能な付属品と、バッグに作用する開放手段とを備える計量分配アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の計量分配アセンブリは、例えば、DE19618693号、EP1112779号、又はWO0061457号から周知である。バッグを有する上記及びその他の計量分配アセンブリは、開放部材、特に、切断部材が基本的にカートリッジと付属品の長手方向に、すなわち、カートリッジ内のバッグの前面に作用するという共通の特徴がある。
【0003】
特に複数のカートリッジでは、この開放手順は以下の欠点を有する。
【0004】
開放機構とカートリッジ出口の直径が相互依存関係にあるため、バッグの開放が制約される。
【0005】
2つの成分が融合する地点までの経路がミキサに通じる長いチャネルによってのみ実現されるため、材料損失量が大きい。
【0006】
高粘度の材料の場合、2つの成分を最短で直接の経路上でバッグからミキサに案内することは不可能であるため、圧力低下が大きい。
【0007】
各バッグの長手軸に沿った正面穿孔を行うと、バッグが幾何学的に定義された開放手順によって開放される代わりに不確定な形で裂ける危険がある。
【0008】
さらに、先行技術のデバイスでは、バッグの一部が不本意に裂け、制御されずに塊りと共に計量分配される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE19618693号
【特許文献2】EP1112779号
【特許文献3】WO0061457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この先行技術を背景として、本発明の目的は、圧力損失と流出する材料の量の損失とをできる限り低く抑えながらバッグの開放の制御と明確な計量分配とを可能にする上記の種類の計量分配アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは、請求項1記載の計量分配アセンブリによって達成される。本発明のその他の利点と実施形態は独立請求項に記載する。
【0012】
例示的な実施形態の図面を参照しながら以下に本発明について詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の計量分配アセンブリの例示的な実施形態の斜視図である。
【図2】二重カートリッジと2つのナイフエッジを有する切断部材とを有する非開放状態の図1の計量分配アセンブリの長手方向の断面図である。
【図3】部分的に回転した位置にある図2の切断部材の詳細図である。
【図4】図2の拡大詳細図である。
【図5】図4の線V−Vで切った断面図である。
【図6】バッグを切り開く動作中の部分的に回転した切断部材を示す図4に類似の図である。
【図7】バッグを切り開く動作中の部分的に回転した切断部材を示す図5に類似の図である。
【図8】バックが切り開かれた後の計量分配アセンブリを示す図である。
【図9】図8の拡大詳細図である。
【図10】3つのナイフエッジを有する切断部材を示す3つの容器を備える変形実施形態を示す図である。
【図11】図10に示した実施形態を、図10とは異なる位置で示す図である。
【図12】切断部材の別の変形実施形態を示す図である。
【図13】切断部材の別の変形実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、2つの格納容器3及び4を含む二重カートリッジ2と、付属品、この例ではカートリッジ2に接続されたミキサ5とを備える本発明の計量分配アセンブリ1を示す。ミキサハウジング6は2つの作動ウィング7を有する。
【0015】
図2において、カートリッジの格納容器3及び4内に異なる材料8a及び9aを含むことができるそれぞれのバッグ8及び9が配置されている。後方の、出口とは反対側の端部で、カートリッジはそれぞれのピストン10で封止されている。
【0016】
ミキサハウジング6は混合要素11を収容する。混合要素11には駆動部材12が接続されている。駆動部材12には切断部材13が配置され、切断部材13は、この例では鋭利なエッジ14を有する設計で混合要素と同じ材料又は金属又は別の材料からなっていてもよい2つのナイフエッジを備える。2つのナイフエッジの代わりに、この例では360°回転自在な単一のナイフエッジを使用してもよい。
【0017】
各図面で、切断部材又はそのナイフエッジは、それぞれ、この平面内で動作するカートリッジの長手軸に実質的に垂直に配向され配置されていることが分かる。さらに、図2において、カートリッジの出口付近にキャビティ19が設けられ、切断部材はこのキャビティ19の内部で回転自在である。
【0018】
図3において、ミキサがカートリッジに回転自在に嵌合し、カートリッジが円周状の溝16が形成された出口フランジ15を有し、溝16にミキサハウジングの入口側端部のビード17が係合することがさらに分かる。ミキサハウジングに配置された作動ウィング7によってハウジングとそれに接続された切断部材の回転が容易になる。周縁部の溝の代わりに、ミキサを回転自在に装着するための対応する固締要素をカートリッジに提供してもよい。
【0019】
複数のナイフエッジを有する切断部材の場合、バッグが切り開かれた後は刃がもはや不要であるので、180°を超えて回転できないようにするために止め具を提供することが有利である。図1にカートリッジ上のストップカム18が示されているが、その他の多数の止め手段でも良い。あるいは、止め手段の代わりに、バッグを開放した後で切断部材が戻らないようにするための解除不能式留め金構成を提供してもよい。
【0020】
図4及び図5、図6及び図7のそれぞれに、切断動作の開始位置と開始動作を示す。
【0021】
図8及び図9に、バッグが切り開かれ、計量分配の開始時の計量分配アセンブリを示す。二重カートリッジを計量分配に用いることは周知であり、ピストン10に作用する二重プランジャを有する二重カートリッジを計量分配装置内に配置してもよい。特に図9に示すように、流出する物質は切断動作中にバッグ8及び9のそれぞれに、出口フランジ15に接するタブ29及び30を形成し、それによって、物質がミキサ入口、したがって混合要素に達するようにバッグの明確に画定された開口を作成する。この構成では、混合要素への経路は直接に形成され、したがって圧力損失と損失量は最小限である。バッグの切り開かれた壁がカートリッジ出口にあるという事実によって、バッグのすり切れた部分が引きちぎられるリスクはない。
【0022】
図10及び図11で、3つのナイフエッジを有する切断部材22が三重カートリッジ21の間に配置され、それぞれのバッグ26、27及び28が3つの格納容器23、24及び25内に配置された変形実施形態として第2の計量分配アセンブリ20が示されている。切断部材22と共にハウジングが回転することで、3つのバッグは同時に開放することができる。また、この構成では単一のナイフエッジを使用することができ、その場合、開放動作は実質的に同時に実行される。
【0023】
カートリッジ内に3つ以上の容器を収容する代わりに、カートリッジに対応する形状ではあるが同様に作用する切断部材によって開放される単一のバッグを有する単一の格納容器を提供してもよい。
【0024】
さらに、切断部材を混合要素に接続する必要はない。ミキサと別の種類の付属品の両方の内部で、切断部材を、付属品に配置され、カートリッジに対して回転自在なリングに接続することができる。これは、特にカートリッジと付属品デバイスとの間にバヨネット式カップリングを使用する場合に当てはまる。切断部材はバッグが1つの場合には1つのナイフエッジ又はバッグが3つの場合には3つのナイフエッジを有していてもよい。切断品質と上記の利点は回転自在の切断部材と同じである。
【0025】
別の実施形態では、切断部材は図12及び図13に示す変位方向を横切る方向に変位可能である。図12及び図13に、切断部材が回転ではなく直線的な変位によって作動される変形実施形態が示されている。計量分配アセンブリ31内で、開放手段32は、2つのナイフエッジ34を含む切断部材33と、ハンドル36を含む作動ロッド35を有し、作動ロボット35は、カートリッジハウジング38の開口37に案内される。カートリッジハウジング38は開口37に対応するように構成されている。図12と図13とを比較すると、開放動作時に、回転する代わりに、切断部材は固定されていてもよい端部位置から中心軸の方へ引き寄せられ、その間、エッジ14を備えていてもよいナイフエッジ34が、前述した例と同様に、カートリッジの長手軸に実質的に垂直に作用する。
【0026】
カートリッジに接続された付属品は、ミキサの代わりに、スプレーへッドと、アダプタ又は計量分配管とを備えるスプレーデバイスから構成され、回転自在の切断部材がその結合部に配置されていてもよい。あるいは、ねじりデバイスを備える回転自在の切断部材を追加の機能ユニットとして設計してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量分配アセンブリであって、内部にバッグが配置された少なくとも1つの格納容器を有するカートリッジと、前記カートリッジに接続可能な付属品と、前記バッグに作用する開放手段とを備え、前記開放手段(13,14;22)が前記カートリッジ(2,21)内の前記バッグの長手軸に実質的に垂直に作用するように配置され配向された1つ又は複数のナイフエッジ(13,22;34)を含む切断部材(13,22;33)を有することを特徴とする計量分配アセンブリ。
【請求項2】
前記切断部材(13,22)が、前記カートリッジに対して回転自在に配置されることを特徴とする、請求項1記載の計量分配アセンブリ。
【請求項3】
前記切断部材(13,22)が、前記付属品のハウジングに接続され、該ハウジングの回転によって作動可能であることを特徴とする、請求項2記載の計量分配アセンブリ。
【請求項4】
前記付属品がミキサ(5)であり、前記切断部材がミキサハウジング(6)に接続された混合要素(11)に接続されることを特徴とする、請求項2記載の計量分配アセンブリ。
【請求項5】
前記切断部材が、回転自在に配置されたリングによって作動可能であることを特徴とする、請求項2記載の計量分配アセンブリ。
【請求項6】
前記カートリッジが二重カートリッジ(2)であり、前記付属品がミキサ(5)であり、前記切断部材が1つ又は2つのナイフエッジ(13)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の計量分配アセンブリ。
【請求項7】
前記カートリッジが三重カートリッジ(21)であり、前記付属品がミキサであり、前記切断部材が1つ又は複数のナイフエッジ(22)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の計量分配アセンブリ。
【請求項8】
前記付属品が、回転自在でかつ軸方向に固定された状態で前記カートリッジに配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項記載の計量分配アセンブリ。
【請求項9】
前記ミキサ(5)の入口端が、前記カートリッジ(2,21)の出口フランジ(15)の周縁部の溝(16)の所定位置に嵌め込まれたビード(17)を有することを特徴とする、請求項6記載の計量分配アセンブリ。
【請求項10】
前記ミキサハウジング(6)又は前記ねじりリングが、作動ウィング(7)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項記載の計量分配アセンブリ。
【請求項11】
前記カートリッジ(2)が、前記切断部材の回転角度を制限及び/又は固定するために止め手段(18)及び/又は保持手段を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項記載の計量分配アセンブリ。
【請求項12】
前記切断部材(33)が、直線的に変位可能であることを特徴とする、請求項1、2、7、又は8のいずれか1項記載の計量分配アセンブリ。
【請求項13】
前記切断部材(33)が、前記カートリッジハウジング(38)内に案内される作動ロッド(35)に配置されることを特徴とする、請求項12記載の計量分配アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−527976(P2011−527976A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517727(P2011−517727)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000232
【国際公開番号】WO2010/006455
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(507123729)メッドミックス システムズ アーゲー (24)
【Fターム(参考)】