説明

バッテリパック

【課題】パック本体に対して、トップカバーやボトムカバーが外れにくくする。
【解決手段】外形形状が上下及び左右に線対称のパック本体11と、端子部12が設けられると共にパック本体11の前面11cに設けられるトップカバー14と、パック本体11の背面11dに設けられるボトムカバー15と、パック本体11の上面11a、背面11d、下面11bに亘って貼り付けられ、パック本体11の背面11dに位置する部分がパック本体11の上下面11a、11bに位置する部分より幅狭に形成されたラベル24とを備える。ボトムカバー15は、ラベル貼付用凹部22が形成され、幅方向の一方の側がバッテリ装着部111のロック部材112が係合される被係合部23となっており、ラベル24のパック本体11の背面11dに位置する部分には、バッテリ装着部111への挿入向きを示す表示部25aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルスチルカメラ、ディジタルビデオカメラ、携帯型情報処理装置等の各種電子機器に装着されるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルスチルカメラ、ディジタルビデオカメラ、携帯型情報処理装置等の各種電子機器に装着されるバッテリパックには、下記特許文献1に示すように、内部にバッテリセルが内蔵されたパック本体に対して、前面側に端子部が設けられるトップカバーが取り付けられ、背面側にボトムカバーが取り付けられるものがある。この種のバッテリパックにおいて、トップカバーやボトムカバーは、パック本体に対して熱溶着等で固定される。この後、パック本体には、相対する上面と下面にラベルが貼り付けられる。この種のバッテリパックにおいて、ラベルは、トップカバー又はボトムカバーを巻き込むことはなく、セル電池の周囲もしくは上下面に貼り付けられる。
【0003】
しかしながら、この種のバッテリパックにおいて、例えば熱溶着工程のバラツキやパック本体の外形寸法の制約等で熱溶着面積が充分に確保できないことがあり、このような場合には、熱溶着による保持力が低下してしまい、所定の強度を確保できなくなり、パック本体に対して、トップカバーやボトムカバーが外れてしまう虞がある。
【0004】
また、特許文献1のバッテリパック等は、外形形状が上下及び左右に線対称であり、仮に、ユーザが表裏を誤って電子機器のバッテリ装着部に装着してしまったときであっても、バッテリ装着部からバッテリパックを容易に取り出すことができる。しかしながら、この種のバッテリパックにおいて、パック本体の背面には、文字情報が無いため、誤挿入を引き起こす場合がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−166644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑み、パック本体に対して、トップカバーやボトムカバーが外れにくくすることができるバッテリパックを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、外形形状が上下及び左右に線対称なパック本体であってもバッテリ装着部への誤装着を防止することができるバッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバッテリパックは、端子配置面である前面から見た外形形状が略上下及び左右に線対称であって、内部にバッテリセルが内蔵されたパック本体と、端子部が設けられると共に上記パック本体の前面に設けられるトップカバーと、上記パック本体の背面に設けられるボトムカバーと、上記パック本体の上面、背面、下面に亘って貼り付けられ、該パック本体の背面に位置する部分が、該パック本体の上下面に位置する部分より幅狭に形成されたラベルとを備える。上記ボトムカバーは、幅方向の中央部に、ラベル貼付用凹部が形成され、幅方向の一方の側がバッテリ装着部に装着されたときのロック部材が係合される被係合部となっており、上記ラベルの上記パック本体の背面に位置する部分には、バッテリ装着部への挿入する際の向きを示す表示部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トップカバーやボトムカバーの上からラベルがパック本体の上面、背面、下面に亘って貼り付けられので、トップカバーやボトムカバーが貼り付けられるので、トップカバーやボトムカバーがパック本体から外れることを防止することができる。また、パック本体の背面にもラベルが貼り付けられるので、このラベルのパック本体の背面に位置する部分に、バッテリ装着部への挿入する際の向きを示す表示部を形成することができ、バッテリ装着部への誤装着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明が適用されたバッテリパックについて、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本発明が適用されたバッテリパック10は、電子機器であるディジタルスチルカメラ100に装着される。このディジタルスチルカメラ100は、略矩形をなす薄型のカメラ本体101を有し、前面101aに、ズームレンズ、集光レンズ等複数のレンズ群が内蔵されたレンズ部102が設けられている。また、カメラ本体101には、上面101bの一方のコーナ部に、被写体を撮像する際に押圧されるレリーズボタン103が設けられている。また、カメラ本体101の前面101aの上面101b側には、フラッシュ撮影する際に発光される発光部104が設けられ、この発光部104に隣り合って、ファインダの窓部105が設けられている。また、カメラ本体101の下面101cには、幅方向略中央部に、三脚等を取り付けるための取付部106が設けられている。
【0012】
カメラ本体101の下面101cには、バッテリパック10を収納するための略矩形でバッテリパック10の前面と略同じ大きさで且つ略同じ形状のバッテリ挿入口107が設けられ、更に、このバッテリ挿入口107を開閉するバッテリ蓋108が設けられている。また、バッテリ蓋108によって閉塞される領域には、バッテリ挿入口107に隣り合って、外部記憶装置となるメモリカード110が挿入されるカード挿入口109が形成されている。また、カメラ本体101には、バッテリ挿入口107に連続してバッテリ装着部111が設けられている。また、バッテリ挿入口107の近傍には、バッテリ装着部111に装着されたバッテリパック10を装着位置に保持するためのロック部材112が設けられている。ロック部材112は、バッテリパック10がバッテリ装着部111に装着されたとき、電気接点のバネ圧や排出バネによって排出方向に付勢されるバッテリパック10の背面11dのコーナ部と係合して、バッテリ装着部111より脱落することを防止している。具体的に、このロック部材112は、バッテリ挿入口107の近傍に、回動自在に取り付けられており、先端部がバッテリ挿入口107上に臨むことによって、バッテリ装着部111に装着されているバッテリパック10の背面コーナ部と係合することによって装着位置に保持する。
【0013】
なお、バッテリパック10をバッテリ装着部111より取り外すには、このロック部材112を、バッテリ挿入口107上より退避させ、バッテリパック10の背面コーナ部とロック部材112との係合状態を解除させればよい。これにより、バッテリパック10は、排出バネの付勢力によって自ずとバッテリ挿入口107より突出するようにして排出されることになる。
【0014】
このバッテリ挿入口107より挿入されバッテリ装着部111に装着され、カメラ本体101に対して電力を供給するバッテリパック10は、例えば、リチウムイオンポリマー二次電池が用いられている。具体的に、このバッテリパック10は、図2及び図3に示すように、内部にリチウムイオンポリマー二次電池のバッテリセル29が内蔵されたパック本体11を有する。このパック本体11は、全体が略矩形で扁平に形成されており、上面11a及び下面11b、前面11c及び背面11dが平坦に形成され、両側面11e,11fが外側に膨出する円弧面で形成されている。すなわち、このパック本体11は、厚さが前面11cから背面11dにかけて厚さが略同じであり、端子部12が設けられる端子配置面となっている前面11c側から見て、幅方向の中心線P1に対して線対称で、厚さ方向の中心線P2に対しても線対称に形成されている。また、パック本体11は、前面11cがディジタルスチルカメラ100のバッテリ挿入口107への挿入端となっており、この前面11cに端子部12が設けられている。この端子部12は、バッテリ装着部111の底面に形成された電気接点部に圧接され電気的に接続されることになる。したがって、このバッテリパック10は、例えば上面11aと下面11bを逆にして、すなわち表裏を逆にしてバッテリ挿入口107に挿入されたとしても、バッテリ装着部111から容易に取り出すことができる。
【0015】
なお、本発明では、パック本体11が、厚さが前面11cから背面11dにかけて厚さが略同じであり、端子部12が設けられる端子配置面となっている前面11c側から見て、幅方向の中心線P1に対して線対称で、厚さ方向の中心線P2に対しても線対称に形成されていることが必要であるが、前面11cや背面11dに、誤挿入防止、バッテリの種類判別等の種々の目的で小さな凹部、凸部、溝等を設けることを妨げるものではない。また、本発明は、少なくともバッテリ装着部に対して表裏逆で挿入できるものであり、加えて、上下逆で挿入できる外形形状のものであっても良い。
【0016】
このパック本体11は、具体的に、図4に示すように、全体が略矩形で扁平筒状の缶本体13を有する。缶本体13は、アルミニウム等の金属材料の表面に、ナイロン等の樹脂層を設けることによって、表面の電気的絶縁を図ると共に表面保護を図るようにしており、内面に、ポリプロピレン等の絶縁性、折り曲げ性に優れる樹脂層を設けて、缶本体13の開口された前面側開口部13aと背面側開口部13bとを閉塞するトップカバー14やボトムカバー15とを熱溶着できるようにしている。そして、缶本体13は、内部に、リチウムポリマー二次電池のバッテリセル29が装填され、前面側開口部13a側からプラスのリード端子16とマイナスのリード端子17とが導出されている。
【0017】
プラスのリード端子16とマイナスのリード端子17とが導出される前面側開口部13aには、配線基板18がホルダ19に組み込まれ、この基盤が組み込まれたホルダ19が前面側開口部13aより挿入され、この上からトップカバー14が取り付けられるようになっている。ここで、配線基板18は、前面側開口部13aと略同じ形状で大きさのリジッドのプリント配線基板であり、ホルダ19側の一方の面に複数の電子部品が実装されている。具体的に、この配線基板18には、バッテリセル29の保護回路が形成された保護素子18aと、ディジタルスチルカメラ100との間で認証を行う認証回路が形成された認証素子18bと、充電制御を行うFET素子(Field Effect Transistor)18cとが実装されている。また、配線基板には、プラス用タブ18dとマイナス用タブ18eとが設けられている。プラス用タブ18dには、バッテリセル29から導出されているプラス用のリード端子16が抵抗溶接等の溶接方法で固定される。また、マイナス用タブ18eには、バッテリセル29の温度が設定温度に対して高くなると電気抵抗が急激に高くなってバッテリセル29に流れる電流を実質的に遮断するPTC(Positive Temperature Coefficient)18fを介してマイナスのリード端子17が抵抗溶接等の溶接方法で固定される。
【0018】
以上のように電子部品が実装され、プラス用のリード端子16やPTC18fを介してマイナスのリード端子17が固定された配線基板18は、ホルダ19の一方の面、すなわちバッテリセル29とは反対側の面に位置決めされて取り付けられる。このホルダ19は、缶本体13の前面側開口部13aに嵌合し得るように形成されており、一方の長辺に、プラス用のリード端子16やマイナスのリード端子17を配線基板18が固定される一方の面に回り込ますための切欠部19aが形成されている。このホルダ19は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料で形成されており、トップカバー14に組み付けられた後に、缶本体13の前面側開口部13aに嵌合され、トップカバー14と共に熱溶着によって取り付けられる。
【0019】
図5(A)及び図5(B)に示すように、配線基板18の他方の面、すなわちトップカバー14側の面には、端子部12となるプラス端子12a、マイナス端子12b、コントロール端子12c、温度検出端子12dの合計4端子が形成されている。具体的に、これらの4端子12a〜12dは、厚さ方向の中心線P2上に一列に並んで設けられ、幅方向の中心線P1に対して一方の側に、端から順に、プラス端子12a,温度検出端子12d,マイナス端子12bが等間隔に設けられ、幅方向の中心線P1に対して他方の側に、コントロール端子12cが設けられている。そして、コントロール端子12cは、幅方向の中心線P1に対してプラス端子12a及びマイナス端子12bと線対称とは異なる位置に設けられ、温度検出端子12dとコントロール端子12cとは、幅方向の中心線P1に対して線対称の位置に設けられている。また、コントロール端子12cは、マイナス端子12bを最も内側に設け、温度検出端子12dを挟んで外側にプラス端子12aを設けることで、プラス端子12aと最も離れ、誤ってコントロール端子12cに対してプラス端子12aが電気的に接続されないようにしている。
【0020】
なお、本発明において、温度検出端子12dとコントロール端子12cの位置は、逆であっても良い。
【0021】
このような端子12a〜12dが設けられた配線基板18の他方の面上には、図4及び図5に示すように、上述したトップカバー14が取り付けられる。このトップカバー14は、缶本体13の前面側開口部13aに嵌合し閉塞し得るように形成されており、パック本体11の前面11cを構成する。このトップカバー14は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料で形成されており、缶本体13の前面側開口部13aに嵌合された後、熱溶着によって取り付けられる。
【0022】
このトップカバー14には、図2、図4乃至図6に示すように、プラス端子12a、マイナス端子12b、コントロール端子12c、温度検出端子12dのそれぞれを外部に臨ませる端子開口部14a,14b,14c,14dが形成されている。具体的に、端子用開口部14aは、プラス端子12aを外部に臨ませるものであり、端子用開口部14bは、マイナス端子12bを外部に臨ませるものであり、端子用開口部14cは、コントロール端子12cを外部に臨ませるものであり、端子用開口部14dは、温度検出端子12dを外部に臨ませるものである。各端子開口部14a〜14dは、それぞれ略矩形に開口されて、各端子12a〜12dを外部に臨まされており、更に、図6に示すように、ディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111の底面に設けられた電気接点が進入し、各端子12a〜12dに圧接され易くするために内側に向かって下側に傾斜するテーパ部14eが形成されている。
【0023】
また、図5に示すように、マイナス端子12b用の端子用開口部14bとコントロール端子12c用の端子用開口部14cとの間の間隙部21aは、プラス端子12a用の端子用開口部14aと温度検出端子12d用の端子用開口部14dとの間の間隙部21bや温度検出端子12d用の端子用開口部14dとマイナス端子12b用の端子用開口部14bとの間の間隙部21cより幅広に設けられており、ディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111に装着された際に、排出バネが当接される当接部となっている。
【0024】
一方、図3及び図4に示すように、缶本体13の背面側開口部13bは、ボトムカバー15によって閉塞される。ボトムカバー15は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料で形成されており、缶本体13の背面側開口部13bに嵌合された後、熱溶着によって取り付けられる。このボトムカバー15には、幅方向中央部に、ラベル貼付用凹部22が形成されている。また、ボトムカバー15は、一方の端部がバッテリ装着部111に装着された際のロック部材112が係合される被係合部23となっている。
【0025】
缶本体13に対してトップカバー14とボトムカバー15とが取り付けられたパック本体11には、図2乃至図4に示すように、上面11a、背面11d、下面11bに亘ってラベル24が貼り付けられる。このラベル24は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートに接着層を設けたものであって、接着層の反対側の面が印刷面となっている。このラベルは、パック本体11の背面11dに対応する領域が他の領域より幅が狭く形成され、ラベル貼付用凹部22の幅と略一致するように形成されている。このラベル24は、パック本体11の上面11a、背面11d、下面11bに亘って貼り付けられると、缶本体13に対して熱溶着されているボトムカバー15を缶本体13に対して押さえ付けることになり、ボトムカバー15の缶本体13からの脱落を防止することができる。
【0026】
また、パック本体11の背面11dにおいて、ラベル24が貼り付けられた部分は、周囲より膨らまないので、この分長さ方向の寸法を短くすることができ小型化に寄与することができると共に、バッテリ装着部111への着脱操作や充電装置に対する着脱操作の際、引っかかって捲れてしまうことを防止することができる。また、パック本体11の背面11dは、ラベル貼付用凹部22が設けられることによって、ラベル24が貼り付けられた部分と周囲の部分が略面一となるので、手触り感を良くすることができる。
【0027】
また、ラベル24は、パック本体11の背面11dにおいて、幅狭になっていることで、ラベル24の両側の面積を大きくすることができ、バッテリ装着部111に装着された際のロック部材112が係合される被係合部23を十分に大きくすることができる。
【0028】
ここで、図2及び図3を用いて、ラベル24の印刷表示を説明すると、先ず、パック本体11の背面には、△印で、ディジタルスチルカメラ100のバッテリ挿入口107に挿入する際の向きを示す向き表示部25aが形成されている。図1に示すように、この向き表示部25aは、バッテリ挿入口107の近傍に形成された△印の機器側の向き表示部25bと位置を合わせることによって、正しい向き、すなわち表裏を誤ることなくバッテリ挿入口107にバッテリパック10を挿入できるようにしている。
【0029】
また、パック本体11の上面11aには、ディジタルスチルカメラ100のバッテリ挿入口107に挿入する際の挿入方向を示す挿入方向表示部26が△印で形成され、端子部12が形成された前面11cを挿入端として、正しい方向でバッテリ挿入口107にバッテリパック10を挿入できるようにしている。この挿入方向表示部26は、更に、上面11aの中でも前面11c側に形成することによって、挿入端となる前面11cがどちらか目視によって確認できるようにしている。
【0030】
また、パック本体11の背面11dには、端子部12の端子の並びに対応して端子の機能を表示する機能表示部27が形成されている。すなわち、端子の並びに従って一方の側からプラス端子12a、温度検出端子12d、マイナス端子12b、コントロール端子12cの機能を表示する+印、T印、−印、C印が形成され、また、−印とC印との間を他より離して形成されている。これにより、ユーザが端子の機能を確認できるようにしている。
【0031】
パック本体11は、バッテリ挿入口107への挿入操作の際にユーザに最も目につく背面11dに向き表示部25aや機能表示部27を設けることで、挿入操作を誤らないように操作性の向上を図るようにしている。
【0032】
更に、パック本体11の下面11bであって前面11a側には、端子部12の端子の並びに対応して端子の機能を表示する機能表示部28が形成されている。すなわち、端子の並びに従って一方の側からプラス端子12a、温度検出端子12d、マイナス端子12b、コントロール端子12cの機能を表示する+印、T印、−印、C印が形成され、また、−印とC印との間を他より離して形成されている。これにより、ユーザが端子の機能を確認できるようにしている。
【0033】
なお、表示部25a,25b,26,27,28の表示態様は、△印、+印等に限定されるものではない。
【0034】
ところで、トップカバー14とボトムカバー15は、図7中符号20で示すように、ラベル24が貼り付けられた後において、パック本体11の前面11c及び背面11dより僅かに張り出すように、前面11c及び背面11dよりやや大きく形成されている。これにより、バッテリパック10は、バッテリ装着部111に対してバッテリパック10を着脱する際に、バッテリ装着部111の内面等にラベル24の印刷面が擦れ見にくくなったりラベル24が捲れたりすることを防止することができる。
【0035】
次に、以上のように構成されたバッテリパック10の回路構成を、図8を参照して説明する。このバッテリパック10は、バッテリセル29のプラスのリード端子16と配線基板18のプラス端子12aとが直列接続され、バッテリセル29のマイナスのリード端子17と配線基板18のマイナス端子12bとがPTC18fを介して直列接続されている。また、PTC18fと配線基板18のマイナス端子12bとの間には、FET素子18cで形成されたFET Q1,Q2とが接続されている。
【0036】
また、配線基板18に実装された保護素子18aによって形成された保護回路31は、プラス端子12aとバッテリセル29のプラスのリード端子16との間にプラス電源端子が接続されると共に、PTC18fとFET Q1との間とマイナス端子12bとFET Q2との間にマイナス電源端子が接続されている。また、保護回路31は、FET Q1,Q2のゲートに制御端子が接続されている。保護回路31は、端子間電圧を監視し、過充電や過放電のときに、FET Q1,Q2をオフにして充電を禁止する。
【0037】
配線基板18に実装された認証素子18bによって形成された認証回路32は、制御端子が配線基板18のコントロール端子12cと接続され、マイナス電源端子がマイナス端子12bに接続されている。更に、配線基板18の温度検出端子12dとマイナス端子12bとの間には、温度検出素子であるサーミスタ33が接続され、充電装置に対して温度検出端子12dより温度信号を出力できるようにしている。
【0038】
このような回路では、認証回路32がディジタルスチルカメラ100側からの信号によって駆動されるようになっていることから、バッテリパック10が使用されていないときに待機電源でバッテリセル29の電力が消費されることを防止することができる。また、この回路では、温度検出を、保護回路31が構成された保護素子18aとは別素子のサーミスタ33で行っていることから、保護素子18aのコストを削減することができる。
【0039】
次に、以上のように構成されたバッテリパック10の組立方法について、図9を参照して説明する。先ず、ステップS1において、PTC18fが治具に組み込まれ、ステップS2において、保護素子18a,認証素子18b、FET素子18c,サーミスタ33等の電子部品が実装された配線基板18が治具に組み込まれ、ステップS3において、バッテリセル29が装填され、リード端子16,17が所定の長さに切断された缶本体13で構成されるパック本体11が治具に組み込まれる。この後、ステップS4において、配線基板18のプラス用タブ18dには、バッテリセル29から導出されているプラス用のリード端子16が抵抗溶接され、配線基板18のマイナス用タブ18eには、バッテリセル29から導出されているマイナス用のリード端子17が抵抗溶接される。ステップS5において、抵抗溶接がされたリード端子16,17は、所定形状に折りたたまれる。
【0040】
ステップS6において、配線基板18をホルダ19に組み込み、更にステップS7において、ホルダ19をトップカバー14に組み込み、ステップS8において、ホルダ19とトップカバー14とをインパルスウェルダ溶接し、これを、缶本体13の前面側開口部13aに組み込む。ここで、図4に示すように、トップカバー14とホルダ19とは、ホルダ10の両側に形成された貫通孔19bに対してトップカバー14の裏面両側に形成された突起19cを挿入し、突起19cをインパルスウェルダ溶接することによって取り付けられる。配線基板18の両側に形成された凹部18gは、トップカバー14とホルダ19との間において、トップカバー14の突起19cと係合し、トップカバー14更にはホルダ19に対して位置決めがされる。ステップS9において、缶本体13の背面側開口部13bには、ボトムカバー15が組み込まれ、トップカバー14とボトムカバー15とは、ステップS10において、缶本体13に対して熱溶着される。
【0041】
この後、ステップS11において、ロッド印刷されたラベル24が供給され、前面側開口部13aと背面側開口部13bとがトップカバー14とボトムカバー15とで閉塞されたパック本体11の上面11a,背面11d,下面11bに亘って貼り付けられる。
【0042】
次に、以上のように組み立てられたバッテリパック10のディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111への装着方法について、図1、図10及び図11を参照して説明する。バッテリパック10は、図1及び図11(A)に示すように、パック本体11の背面11dに形成された向き表示部25aの△印とバッテリ挿入口107の近傍に形成れた向き表示部25bとの位置合わせを行うと共に、パック本体11の上面11aに形成された挿入方向表示部26の示す方向に従ってバッテリ挿入口107に挿入され、バッテリ装着部111への装着が開始される。
【0043】
ここで、このバッテリパック10は、パック本体11が幅方向の中心線P1に対して線対称で厚さ方向の中心線P2に対しても線対称に形成され、これに対応してバッテリ挿入口107やバッテリ装着部111が形成されていることから、例えば、向き表示部25aの表示に従わず表裏が逆でバッテリ挿入口107に挿入されると、そのままバッテリ装着部111に装着されてしまうことになる。そこで、このバッテリパック10は、向き表示部25aを挿入操作時にユーザに最も目につく背面11dに形成するようにし、また、外観上目立つ上面11aに挿入方向表示部26を形成することによって、誤挿入を防止するようにしている。
【0044】
ここで、バッテリパック10が装着されるバッテリ装着部111について、図10を参照して説明する。図10は、バッテリ装着部111の底面に設けられ、バッテリパック10が装着された際に電気的に接続される電気接点部121を示している。ディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111に設けられる電気接点部121では、端子部12の端子の並びに対応して、一方の側よりプラス接点122,マイナス接点123,コントロール接点124が設けられている。これらの接点122〜124は、例えば導電性の板ばねを略く字状に折り曲げて形成されている。そして、プラス接点122は、バッテリパック10の端子部12のプラス端子12aが圧接され、マイナス接点123は、バッテリパック10のマイナス端子12bが圧接され、コントロール接点124は、バッテリパック10のコントロール端子12cが圧接されることになる。この電気接点部121が用いられるのは、バッテリパック10よりディジタルスチルカメラ100に電力を供給する場合であるから、放電に必要のない温度検出端子12dに対応する部分に温度検出用の接点は設けられていない。したがって、プラス接点122とマイナス接点123との間は、温度検出用の接点が設けられていない分離間している。なお、図10中仮想線で示す部分は、温度検出端子12dに対応する部分を示している。
【0045】
また、マイナス接点123とコントロール接点124との間も離間しており、この領域には、バッテリパック10をバッテリ装着部111より排出するための排出バネ125が配設されている。排出バネ125は、例えばコイルバネであり、バッテリパック10の間隙部21aとなっている当接部に当接し、バッテリ装着部111からの排出方向にバッテリパック10を付勢する。
【0046】
図11(B)に示すように、バッテリパック10がバッテリ装着部111に装着されると、プラス接点122は、バッテリパック10の端子部12のプラス端子12aが圧接され、マイナス接点123は、バッテリパック10のマイナス端子12bが圧接され、コントロール接点124は、バッテリパック10のコントロール端子12cが圧接される。これにより、バッテリパック10は、ディジタルスチルカメラ100に対して電力供給を行うことができるようになり、また、ディジタルスチルカメラ100からのコントロール信号がコントロール端子12cより認証回路32に入力され、例えば、ディジタルスチルカメラ100との間で認証処理を行うことができる。例えば、ディジタルスチルカメラ100は、装着されたバッテリパック10が正規なバッテリパック10であると認証すると、FET素子18cをオンにし、電力供給を開始する処理を行う。なお、バッテリパック10は、挿入端側のパック本体11の前面11cのコーナ部がバッテリ装着部111の電気接点部121が設けられた底面コーナ部に、底面より一段高く形成されたストッパ部126に突き当たるまで挿入されることになる。ストッパ部126は、バッテリパック10がバッテリ装着部111の中に入り過ぎて電気接点部121が損傷してしまうことを防止する。
【0047】
なお、バッテリパック10は、バッテリ装着部111に挿入され排出バネ125が圧縮された状態でロック部材112によってロックされることによって、装着状態となり、また、ロック部材112のロックが外されることによって、排出バネ125の付勢力によって自ずとバッテリ挿入口107より突出するようにして排出されることになる。
【0048】
ところで、バッテリパック10は、パック本体11が幅方向の中心線P1に対して線対称で厚さ方向の中心線P2に対しても線対称に形成され、これに対応してバッテリ挿入口107やバッテリ装着部111が形成されていることから、例えば、向き表示部25aの表示に従わず表裏が逆でバッテリ挿入口107に挿入されてしまうことがある。このような場合、図11(C)に示すように、バッテリ装着部111側の電気接点部121のプラス接点122とマイナス接点123は、パック本体11の前面11cの幅方向の中心線P1に対して他方の側の端子が設けられていない領域に当接することになり、コントロール接点124は、パック本体11の前面11cの幅方向の中心線P1に対して一方の側の温度検出端子12dに当接することになる。これは、コントロール端子12cがパック本体11の幅方向の中心線P1に対してプラス端子12aとマイナス端子12bと線対称でない位置に設けられ、コントロール端子12c及び温度検出端子12dが、パック本体11の幅方向の中心線P1に対して線対称に設けられるためである。
【0049】
したがって、バッテリパック10が表裏逆でバッテリ挿入口107に挿入されてしまったときであっても、バッテリパック10は、挿入端側のパック本体11の背面11dのコーナ部がバッテリ装着部111の電気接点部121が設けられた底面コーナ部に、底面より一段高く形成されたストッパ部126に突き当たるまで挿入されることになる。したがって、ストッパ部126は、バッテリパック10が表裏逆でバッテリ挿入口107に挿入されてしまったときであっても、バッテリパック10がバッテリ装着部111の中に入り過ぎて電気接点部121、特にバッテリパック10の端子部12と電気的に接続されないプラス接点122やマイナス接点123が過度に曲がり過ぎて損傷してしまうことを防止することができる。そして、バッテリパック10バッテリパック10のプラス端子12aとマイナス端子12bは、バッテリ装着部111の電気接点部121の何れの接点とも接触しないことから、正規でない接点にバッテリ電圧を印加することがなく、ディジタルスチルカメラ100が故障してしまうことを防止することができると共に、異物が接触して汚損することが防止される。また、この場合、バッテリパック10の温度検出端子12dは、バッテリ装着部111のコントロール接点124と接触することになるが、バッテリパック10は、コントロール接点124から温度検出端子12dに電圧が印加されることはなく、また、ディジタルスチルカメラ100は、温度検出端子12dからコントロール接点124に電圧が印加されることがない。したがって、バッテリパック10やディジタルスチルカメラ100は、バッテリパック10がバッテリ装着部111に表裏逆に挿入された場合であっても故障することを防止することができる。
【0050】
また、バッテリパック10が表裏逆でバッテリ挿入口107に挿入されてしまったとき、バッテリ装着部111の排出バネ125は、バッテリパック10のマイナス端子12bに一部又は全部が重なるようになる。このような場合であっても、排出バネ125は、先端部がマイナス端子12bの端子用開口部14bより大きいので、端子用開口部14bの開口端に当接し、直接マイナス端子12bに接することがなくなり、マイナス端子12bを傷つけることを防止することができる。また、排出バネ125は、仮にマイナス端子12bに接触することがあっても、電気が流れることはないことから、バッテリパック10やディジタルスチルカメラ100が故障することを防止することができる。
【0051】
なお、排出バネ125は、先端部がマイナス端子12bの端子用開口部14bより小さくても良い。この場合であっても、マイナス端子12b、排出バネ125間には、電気が流れることはないことから、バッテリパック10やディジタルスチルカメラ100が故障することを防止することができる。また、排出バネ125の設ける位置は、バッテリパック10が表裏逆でバッテリ挿入口107に挿入されてしまったときにも、当接部となる間隙部21aに当接する場所に設けても良い
ところで、このバッテリパック10の充電は、図12に示すように、ディジタルスチルカメラ100とは別の充電装置で行われる。この充電装置130は、装置本体131にバッテリ装着部132が設けられている。このバッテリ装着部132は、バッテリパック10のパック本体11の上面11aや下面11bと略同じ開口面積を有し、パック本体11の厚さとほぼ同じ深さに形成されている。そして、バッテリ装着部132には、このバッテリ装着部132にバッテリパック10を装着し易くするため、又はバッテリ装着部132からバッテリパック10を取り外し易くするため、切欠部133が形成されている。
【0052】
バッテリ装着部132には、装着されるバッテリパック10の前面11cに設けられた端子部12と対向する背面に、電気接点部134が設けられている。この電気接点部134は、バッテリパック10の端子部12の端子の並びに対応して、一方の側よりプラス接点135,温度検出接点136、マイナス接点137が設けられている。これらの接点135〜137は、例えば導電性の板ばねを略く字状に折り曲げて形成されている。そして、プラス接点135は、バッテリパック10の端子部12のプラス端子12aが圧接され、温度検出接点136は、バッテリパック10の温度検出端子12dが圧接され、マイナス接点123は、バッテリパック10のマイナス端子12bが圧接されることになる。この電気接点部134が用いられるのは、バッテリパック10に対して充電を行う場合であるから、ディジタルスチルカメラ100の場合と異なり、充電に必要のないコントロール端子12cに対応する部分にコントロール用の接点は設けられていない。すなわち、電気接点部134は、バッテリパック10の前面11cの幅方向の中心線P1に対して一方の側に設けられている。
【0053】
バッテリパック10を充電装置130のバッテリ装着部132に装着するとき、バッテリパック10の背面11dに形成された機能表示部27や挿入方向表示部26を参照してユーザは、バッテリ装着部132への装着操作を行うことができ、例えば、バッテリ装着部132にバッテリパック10を表裏逆に装着してしまうことを防止することができる。
【0054】
図13(A)に示すように、バッテリパック10が充電装置130のバッテリ装着部132に装着されると、プラス接点135は、バッテリパック10の端子部12のプラス端子12aが圧接され、温度検出接点136は、バッテリパック10の温度検出端子12dが圧接され、マイナス接点137は、バッテリパック10のマイナス端子12bが圧接される。これにより、充電装置130は、充電電圧をバッテリパック10に印加することによって、充電を行うことができる。このとき、充電装置130は、温度検出接点136は、バッテリパック10の温度検出端子12dと接触していることで、サーミスタ33からの温度信号を検出することができ、この温度信号に従って充電を行うことになる。なお、バッテリパック10は、挿入端側のパック本体11の前面11cのコーナ部がバッテリ装着部132の電気接点部134が設けられた背面コーナ部に、背面より一段高く形成されたストッパ部138に突き当たるまで挿入されることになる。ストッパ部138は、バッテリパック10がバッテリ装着部132の中に入り過ぎて電気接点部134が損傷してしまうことを防止する。
【0055】
また、バッテリパック10が充電装置130のバッテリ装着部132に対して表裏逆で装着されたとき、図13(B)に示すように、バッテリパック10は、挿入端側のパック本体11の背面11dのコーナ部がバッテリ装着部132の電気接点部134が設けられた背面コーナ部に、底面より一段高く形成されたストッパ部138に突き当たるまで挿入されることになる。したがって、ストッパ部138は、バッテリパック10が表裏逆でバッテリ装着部132に挿入されてしまったときであっても、バッテリパック10がバッテリ装着部132の中に入り過ぎて電気接点部134、特にバッテリパック10の端子部12と電気的に接続されないプラス接点135やマイナス接点137が過度に曲がり過ぎて損傷してしまうことを防止することができる。そして、バッテリ装着部132側の電気接点部134のプラス接点135とマイナス接点137は、パック本体11の前面11cの幅方向の中心線P1に対して他方の側の端子が設けられていない領域に当接することになり、温度検出接点136は、パック本体11の前面11cの幅方向の中心線P1に対して他方の側のコントロール端子12cに当接することになる。これは、コントロール端子12cがパック本体11の幅方向の中心線P1に対してプラス端子12aとマイナス端子12bと線対称でない位置に設けられ、コントロール端子12c及び温度検出端子12dが、パック本体11の幅方向の中心線P1に対して線対称に設けられるためである。
【0056】
したがって、バッテリパック10が表裏逆で充電装置130のバッテリ装着部132に装着されてしまったときであっても、バッテリパック10のプラス端子12aとマイナス端子12bは、充電装置130のバッテリ装着部132の電気接点部134の何れの接点とも接触しないことから、正規でない接点に充電電圧が印加されることを防止することができ、バッテリパック10の故障を防止することができると共に、異物が接触しないことから、汚損することが防止される。また、この場合、バッテリパック10のコントロール端子12cは、充電装置130のバッテリ装着部132の温度検出接点136と接触することになるが、バッテリパック10は、温度検出接点136からコントロール端子12cに電圧が印加されることはなく、コントロール端子12cと接続された認証回路32が故障することを防止することができる。
【0057】
なお、ここでは、バッテリパック10の充電を専用の充電装置で行う場合を説明したが、バッテリパック10は、更に、ディジタルスチルカメラ100でも充電を行うことができるようにしても良い。この場合、ディジタルスチルカメラ100には、充電回路を設けると共に、電気接点部121に、温度検出接点をプラス接点122とマイナス接点123との間に設ければ良い。
【0058】
以上のように構成されたバッテリパック10によれば、パック本体11が幅方向の中心線P1に対して線対称で厚さ方向の中心線P2に対しても線対称に形成されていることから、ディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111に誤って表裏逆に装着されたときであっても、容易に取り出すことができる。一方で、このバッテリパック10は、向き表示部25aを挿入操作時にユーザに最も目につく背面11dに形成するようにし、また、外観上目立つ上面11aに挿入方向表示部26を形成することによって、誤挿入を防止するようにしている。
【0059】
そして、このバッテリパック10は、仮に表裏逆でディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111に挿入されてしまったときであっても、図11(C)に示すように、バッテリパック10のプラス端子12aとマイナス端子12bは、バッテリ装着部111の電気接点部121の何れの接点とも接触しないことから、正規でない接点にバッテリ電圧を印加することがなく、ディジタルスチルカメラ100が故障してしまうことを防止することができると共に、異物が接触して汚損することが防止される。また、この場合、バッテリパック10の温度検出端子12dは、バッテリ装着部111のコントロール接点124と接触することになるが、バッテリパック10は、コントロール接点124から温度検出端子12dに電圧が印加されることはなく、また、ディジタルスチルカメラ100は、温度検出端子12dからコントロール接点124に電圧が印加されることがない。したがって、バッテリパック10やディジタルスチルカメラ100は、バッテリパック10がバッテリ装着部111に表裏逆に挿入された場合であっても故障することが防止される。
【0060】
また、バッテリパック10が表裏逆でディジタルスチルカメラ100のバッテリ装着部111に挿入されてしまったとき、バッテリ装着部111の排出バネ125は、バッテリパック10のマイナス端子12bに一部又は全部が重なるようになるが、このような場合であっても、排出バネ125は、端子用開口部14bの開口端に当接し、マイナス端子12bを傷つけることを防止することができる。また、排出バネ125は、仮にマイナス端子12bに接触することがあっても、電気が流れることはないことから、バッテリパック10やディジタルスチルカメラ100が故障することを防止することができる。
【0061】
更に、バッテリパック10を充電装置130のバッテリ装着部132に装着するとき、バッテリパック10の背面11dに形成された機能表示部27や上面11aに形成された挿入方向表示部26を参照してユーザは、バッテリ装着部132への装着操作を行うことができ、例えば、バッテリ装着部132にバッテリパック10を表裏逆に装着してしまうことを防止することができる。また、図13(B)に示すように、バッテリパック10が表裏逆で充電装置130のバッテリ装着部132に装着されてしまったときであっても、バッテリパック10のプラス端子12aとマイナス端子12bは、充電装置130のバッテリ装着部132の電気接点部134の何れの接点とも接触しないことから、正規でない接点に充電電圧が印加されることを防止することができ、バッテリパック10の故障を防止することができると共に、異物が接触しないことから、汚損をすることを防止することができる。また、この場合、バッテリパック10のコントロール端子12cは、充電装置130のバッテリ装着部132の温度検出接点136と接触することになるが、バッテリパック10は、温度検出接点136からコントロール端子12cに電圧が印加されることはなく、コントロール端子12cと接続された認証回路32が故障することを防止することができる。
【0062】
また、このバッテリパック10においては、図2乃至図4に示すように、ラベル24がパック本体11の上面11a、背面11d、下面11bに亘って貼り付けられることで、缶本体13に対して熱溶着されているボトムカバー15を缶本体13に対して押さえつけることになり、ボトムカバー15の缶本体13からの脱落を防止することができる。また、このバッテリパック10は、背面11dにもラベル24が貼り付けられることで、背面11dのデザインの自由度が増し、機能表示部27等を設けることができる。
【0063】
なお、本発明が適用されたバッテリパック10が装着される電子機器は、上述のディジタルスチルカメラ100に限定されるものではなく、その他、ディジタルビデオカメラや携帯型電話機やPDA(Personal Digital(Data) Assistants)等であってもよい。また、バッテリの種類も、リチウムイオンポリマー二次電池に限定されるものはない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明が適用されたバッテリパックがディジタルスチルカメラに装着される状態を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用されたバッテリパックを前面上側から見た斜視図である。
【図3】本発明が適用されたバッテリパックを背面下側から見た斜視図である。
【図4】本発明が適用されたバッテリパックの分解斜視図である。
【図5】(A)は、本発明が適用されたバッテリパックを前面から見た正面図であり、(B)は、配線基板の平面図である。
【図6】端子部の断面図である。
【図7】本発明が適用されたバッテリパックの側面図である。
【図8】本発明が適用されたバッテリパックの回路図である。
【図9】本発明が適用されたバッテリパックの組立工程図である。
【図10】本発明が適用されたバッテリパックが装着されるバッテリ装着部に設けられた電気接点部を示す斜視図である。
【図11】本発明が適用されたバッテリパックがディジタルスチルカメラのバッテリ装着部に装着される状態を示す断面図であり、(A)は、バッテリパックがバッテリ装着部に挿入される状態を示し、(B)は、バッテリパックがバッテリ装着部に正しく装着された状態を示し、(C)は、バッテリパックがバッテリ装着部に表裏逆に装着された状態を示す。
【図12】本発明が適用されたバッテリパックの充電を行う充電装置の斜視図である。
【図13】本発明が適用されたバッテリパックが充電装置のバッテリ装着部に装着される状態を示す断面図であり、(A)は、バッテリパックが充電装置のバッテリ装着部に正しく装着された状態を示し、(B)は、バッテリパックが充電装置のバッテリ装着部に表裏逆に装着された状態を示す。
【符号の説明】
【0065】
10 バッテリパック、11 パック本体、11a 上面、11b 下面、11c 前面、11d 背面、11e,11f 側面、12 端子部、12a プラス端子、12b マイナス端子、12c コントロール端子、12d 温度検出端子、13 缶本体、13a 前面側開口部、13b 背面側開口部、14 トップカバー、14a 端子用開口部、14b 端子用開口部、14c 端子用開口部、14d 端子用開口部、14e テーパ部、15 ボトムカバー、16 プラスのリード端子、17 マイナスのリード端子、18 配線基板、18a 保護素子、18b 認証素子、18c FET素子、18d プラス用タブ、18e マイナス用タブ、18f PTC、19 ホルダ、19a 切欠部、21a 間隙部(当接部)、21b 間隙部、21c 間隙部、22 ラベル貼付用凹部、23 被係合部、24 ラベル、25a,25b 向き表示部、26 挿入方向表示部、27,28 機能表示部、29 バッテリセル、31 保護回路、32 認証回路、33 サーミスタ、100 ディジタルスチルカメラ、101 カメラ本体、101a 前面、101b 上面、101c 下面、102 レンズ部、103 レリーズボタン、104 発光部、105 窓部、106 取付部、107 バッテリ挿入口、108 バッテリ蓋、109 カード挿入口、110 メモリカード、111 バッテリ装着部、112 ロック部材、121 電気接点部、122 プラス接点、123 マイナス接点、124 コントロール接点、125 排出バネ、130 充電装置、131 装置本体、132 バッテリ装着部、133 切欠部、134 電気接点部、135 プラス接点、136 温度検出接点、137 マイナス接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子配置面である前面から見た外形形状が略上下及び左右に線対称であって、内部にバッテリセルが内蔵されたパック本体と、
端子部が設けられると共に上記パック本体の前面に設けられるトップカバーと、
上記パック本体の背面に設けられるボトムカバーと、
上記パック本体の上面、背面、下面に亘って貼り付けられ、該パック本体の背面に位置する部分が、該パック本体の上下面に位置する部分より幅狭に形成されたラベルとを備え、
上記ボトムカバーは、幅方向の中央部に、ラベル貼付用凹部が形成され、幅方向の一方の側がバッテリ装着部に装着されたときのロック部材が係合される被係合部となっており、
上記ラベルの上記パック本体の背面に位置する部分には、バッテリ装着部への挿入する際の向きを示す表示部が形成されているバッテリパック。
【請求項2】
上記ラベルの上記パック本体の上面に位置する部分には、上記バッテリ装着部への挿入方向を示す表示部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のバッテリパック。
【請求項3】
上記端子部は、プラス端子とマイナス端子とコントロール端子と温度検出端子とを有し、
上記ラベルの上記パック本体の背面に位置する部分には、上記端子部の各端子の並びに対応して、各端子の機能を示す表示部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のバッテリパック。
【請求項4】
上記ラベルの上記パック本体の下面であって上記端子部に隣接する前面側には、上記端子部の各端子の並びに対応して、各端子の機能を示す更なる表示部が設けられていることを特徴とする請求項3記載のバッテリパック。
【請求項5】
上記パック本体は、上記前面がトップカバーによって閉塞されており、上記前面と対向する背面がボトムカバーによって閉塞されており、
上記トップカバーと上記ボトムカバーとは、該トップカバーと該ボトムカバーとが取り付けられる上記パック本体の面よりやや大きいことを特徴とする請求項1記載のバッテリパック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−176487(P2009−176487A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11960(P2008−11960)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】