説明

バッテリーパック

【課題】 並列接続のセルの1の温度異常を検出により各セルを保護できるようにする。
【解決手段】 複数の二次電池からなるセル4を並列に接続したバッテリーパックにおいて、セル4のそれぞれに常開接点と常閉接点を有するバイメタル3を接続し、常閉接点をスイッチ接点6を通して負荷への給電路に接続し、常開接点をスイッチ接点6を駆動する駆動回路5に接続して、バイメタル3によりセル4の温度を検出し、温度異常の検出により常開接点を閉じて駆動回路5を駆動しスイッチ接点6により給電路を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池からなるセルを並列に接続したバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を直列接続して電池サブユニットとし、複数の電池サブユニットを並列接続したバッテリーパックにおいて、電池の稼働状態、故障状態を監視する構成として、電流ヒューズやPTCなどからなる過電流保護素子を各電池サブユニットに直列に挿入したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このバッテリーパックでは、各過電流保護素子にかかる電圧を監視し、その電圧の変化を検出することにより、異常電圧を検出したことを条件として回路遮断手段であるスイッチをオフにして、バッテリーパックを永久的にあるいは暫定的に使用不能になるように制御している。
【特許文献1】特開2004−103483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のバッテリパックでは、二次電池に直列接続された過電流保護素子で過電流の保護を行う二次保護回路と、その過電流保護素子にかかる電圧や異常充電電圧などを検出する一時保護回路で構成され、一時保護回路において動作不良となった場合には、温度ヒューズやPTCからなる過電流保護素子などの二次保護回路により直列に接続されたセルのみを回路から遮断するだけで、並列接続された全ての回路を外部から遮断することができない。これには、1つのセルが異常を起こして発熱した場合でも、異常のセルを並列回路内で二次保護素子により回路から遮断することにより、並列接続された他方のセルから保護、もしくは他方のセルからの電流の流入を阻止する目的があった。また、セルの温度検出には、セル毎に温度検出する最適部分に検出素子を取り付けることも必要である。その結果、外部から異常充電器などの接続により1つのセルを遮断するのみでは、他方のセルを外部異常から保護することができないという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するものであって、並列接続のセルの1の温度異常を検出により各セルを保護できるようにするものである。
【0005】
そのために本発明は、複数の二次電池からなるセルを並列に接続したバッテリーパックにおいて、前記セルのそれぞれに常開接点と常閉接点を有するバイメタルを接続し、前記常閉接点をスイッチ接点を通して負荷への給電路に接続し、前記常開接点を前記スイッチ接点を駆動する駆動回路に接続して、前記バイメタルによりセルの温度を検出し、温度異常の検出により前記常開接点を閉じて前記駆動回路を駆動し前記スイッチ接点により前記給電路を遮断するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、セルのそれぞれに接続したバイメタルのいずれかで温度異常を検出すると、常開接点が閉じて駆動回路を駆動しスイッチ接点により前記給電路を遮断するので、温度異常が検出されたセル及び他の性状なセルへの回路が遮断され、異常から各セルを保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るバッテリーパックの実施の形態を示す図であり、1は一次保護回路、2は二次保護回路、3はバイメタル、4はセル、5はスイッチ駆動回路、6はスイッチ接点を示す。
【0008】
図1において、一次保護回路1は、A、B、Cの3個のセル4からなる3並列のバッテリーパックを過充電、過放電、過電流から保護するためのバッテリー保護ICおよびその周辺回路からなる保護回路であり、通常時のバッテリーパックの異常については、本回路が保護動作を行うことにより入力、出力を遮断する。二次保護回路2は、一次保護回路1が何らかの異常により機能しない状態となった場合に保護動作を行うようにしたものであり、バイメタル3、スイッチ駆動回路5、スイッチ接点6を使用している。
【0009】
バイメタル3は、セル4のそれぞれに接続され、通常閉じて(オンして)いて所定温度検出時に開放(オフ)する接点Aと、逆に通常開いていて所定温度検出時に閉じる接点Bを具備し、接点Aをスイッチ接点6に接続し、接点Bをスイッチ駆動回路5に接続している。
【0010】
スイッチ駆動回路5は、各バイメタル3の接点Bに接続されて、接点Bが閉じたときバイメタル3を介してセル4に接続され、セル4を電源としてスイッチ接点6を駆動するアナログ回路である。スイッチ接点6は、各バイメタル3の接点Aと出力端子+との間に接続され、通常は閉じてセル4から負荷への給電路を形成している。そして、スイッチ駆動回路5がセル4のいずれかに接続され駆動されるとスイッチ接点6は開放し、セル4から負荷への給電路(入出力回路)を遮断する。
【0011】
次に、動作を説明する。セル4のうちの1個、例えばCのセル4に何らかの異常が発生し、バイメタル3が駆動する所定温度に到達すると、接点Aが開放して他のD、Eのセル4から切り離される。同時に接点Bが閉じてCのセル4を電源としてスイッチ駆動回路5が駆動される。スイッチ駆動回路5が駆動されると、スイッチ接点6が開放され、バッテリーパックの入出力回路が遮断され、これにより、正常なD、Eのセル4は外部入出力回路から遮断される。
【0012】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、バイメタルにより所定温度を検出し、スイッチ駆動回路5を駆動してスイッチ接点6をオフにすることにより外部入出力から手段を行うようにしているが、FET素子やリレー等により回路の開放/接続を行うようにしてもよいし、また、アナログ回路部に外部電圧監視回路を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るバッテリーパックの実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
1…一次保護回路、2…二次保護回路、3…バイメタル、4…セル、5…スイッチ駆動回路、6…スイッチ接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池からなるセルを並列に接続したバッテリーパックにおいて、前記セルのそれぞれに常開接点と常閉接点を有するバイメタルを接続し、前記常閉接点をスイッチ接点を通して負荷への給電路に接続し、前記常開接点を前記スイッチ接点を駆動する駆動回路に接続して、前記バイメタルによりセルの温度を検出し、温度異常の検出により前記常開接点を閉じて前記駆動回路を駆動し前記スイッチ接点により前記給電路を遮断するように構成したことを特徴とするバッテリーパック。

【図1】
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【公開番号】特開2006−221943(P2006−221943A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33839(P2005−33839)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(302067084)NECトーキン栃木株式会社 (44)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】