説明

バッテリ式電動工具

【課題】使用者が把持するハンドル部にバッテリパックを装填する形態の電動工具において、バッテリパックに内蔵した複数のバッテリセルの配置によってはハンドル部の断面形状が把握しづらいものになっていた。本発明では、横断面T字形を有するバッテリパックを、その収納向きを間違えることなく迅速に装填できるようにする。
【解決手段】横断面T字形を有するバッテリパックに対応して、バッテリ収容部Sに、バッテリパックの収納向き規制部30,30を設け、この両収納向き規制部30,30をバッテリパックのT字形脇部に嵌り込ませた状態で収納する。これによりバッテリパック20の収納向きを間違えることがなくなり、また間違えても使用者がすぐに気付くことから当該バッテリパック装填時の操作性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッテリパックを電源とする電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家屋の建築作業等に用いられる、例えば丸鋸盤等の切断機、孔明け用のドリルあるいはねじ締め機(電動ドライバ)といった電動工具には、交流電源ではなく、直流電源(バッテリパック)を電源として動作するものが多く提供されている。例えば、バッテリ式の電動ドライバの場合、工具本体の側部から側方へ突き出すハンドル部にバッテリ収容部を設けて、このバッテリ収容部内にバッテリパックを装填するものが提供されている。通常、バッテリパックは取り外して充電することにより繰り返し使用される。
バッテリパックは、円柱体形状を有するバッテリセルをバッテリケース内に通常複数本内蔵したもので、バッテリケース外面には工具本体側に対するプラスとマイナスの接点や、装着状態を固定する爪部を備えている。バッテリセルは、通常2本内蔵され、中には3本のバッテリセルを内蔵するものが提供されている。
下記の特許文献には、3本のバッテリセルを横断面T字形に配置して内蔵するバッテリパックをハンドル部内のバッテリ収容部に固定するためのロック機構に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願第10 2005 036 449.7号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献に記載されているように3本のバッテリセルを横並びではなく横断面T字形に配置したバッテリパックの場合、その横断面形状が2本のバッテリセルを内蔵するものよりもより円形に近い形状になることもあって、これをバッテリ収容部に装填(収容)する際に収容する向きを間違えやすくなる。なお、この明細書において、バッテリパックを収容する向き(以下、収容向き、あるいは単に向きとも言う)とは、当該バッテリパックの挿入方向(バッテリ収容部の深さ方向)に沿った軸線回りの位置を言うものとする。従って、2本セルのバッテリパックの場合、正しい向きの確率は二分の一であるのに対して、3本セルをT字形に配置したバッテリパックの場合には三分の一となってより向きを間違えやすい。
収容向きを間違えてバッテリパックをバッテリ収容部に途中まで挿入してしまった場合には、一旦抜き出して正しい収容向きを確認した上で再度挿入する必要があり、この点で装填時の操作性がよくない。
本発明は、例えば3本のセルを内蔵する結果、横断面形状がT字形を有するバッテリパックのバッテリ収容部に対する装填時の操作性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の電動工具とした。
請求項1記載の電動工具によれば、例えば3本のバッテリセルをT字形に並列配置して内蔵する結果、横断面T字形を有するバッテリパックをその収容向きを間違えることなく迅速に装填することができる。すなわち、横断面T字形を有するバッテリパックの左右側部には、それぞれ横断面形状で見るとほぼ直角に凹んだT字形脇部が存在する。この左右のT字形脇部に対応して、工具本体側のバッテリ収容部内に左右一対の収容向き規制部が設けられている。バッテリパックを工具本体のバッテリ収容部に装填する際に、バッテリパックのT字形脇部に工具本体側の収容向き規制部が嵌り込むことによって、横断面T字形のバッテリパックの収容向きが一箇所に規制される。
このように、請求項1記載の電動工具によれば、T字形の横断面形状を有するバッテリパックについて、その工具本体のバッテリ収容部に対する挿入可能な収容向き(正しい収容向き)が1箇所に規制されるため、収容向きを間違えることなく挿入することができ、これにより当該バッテリパックの装填時の操作性を高めることができる。
バッテリパックの横断面形状をT字形とする構成については、3本のバッテリセルをT字形に配置する場合の他、2本のバッテリセルをT字形の横部分に配置し、縦部分についてはダミー部材を配置する構成、3本のバッテリセルを横部分に配置し、1本のバッテリセルを縦部分に配置して横断面T字形とする構成等、種々の構成に適用することができ、内蔵するバッテリセルの本数に関係なく、横断面T字形を有するバッテリパックについて広く適用することができる。
【0006】
請求項2記載の電動工具によれば、バッテリパックをバッテリ収容部に挿入した状態(装填状態)において、バッテリパックの先端面に設けた位置決め凸部が、バッテリ収容部の底部に設けた位置決め凹部に嵌り込んでバッテリ収容部に対する当該バッテリパックの装填状態におけるがたつきが規制される。
請求項3記載の電動工具によれば、収容向き規制部がバッテリ収容部の開口部から底部に至る全範囲に沿って設けられているのではなく、バッテリ収容部の開口側から適宜寸法だけ奥側に至る範囲については当該収容向き規制が設けられておらず、その結果収容向き規制部の開口端部とバッテリ収容部の開口との間に、収容向き規制部が存在しないことによるスペースが設けられ、このスペースに係合部が配列配置されている。このように、バッテリパックをバッテリ収容部に装填した状態に固定するために当該バッテリパック側の固定爪が係合される係合部を、収容向き規制部の開口側端部に並列配置することにより、僅かなスペースを利用して当該係合部をコンパクトに配置することができ、これによりハンドル部のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る電動工具の全体側面図である。本図では、工具本体の後部側及びハンドル部の全体の内部構造が示されている。
【図2】図1の(2)矢視図である。本図は、バッテリパックを取り外した状態のハンドル部をバッテリ収容部の開口側から見た図である。
【図3】図1の(3)-(3)線断面矢視図であって、バッテリパックを装填したハンドル部の横断面図である。本図は、ハンドル部を手で握った状態を示している。
【図4】バッテリパック単体を挿入側から見た平面図である。
【図5】バッテリパック単体の全体斜視図である。
【図6】図2の(6)矢視図である。本図は、バッテリ収容部の中央からその内壁面の一部を展開して見た図であって、収容向き規制部及び係合部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るバッテリ式の電動工具1の全体を示している。本例では、電動工具1の一例として比較的小型の孔あけドリルを示している。以下の説明では、部材、部位等の方向について、孔あけが進行する方向(図1において右側)を前側若しくは先端側とし、その反対方向を後ろ側とする。使用者はこの電動工具1の後側に位置している。
この電動工具1は、概ね円柱体形の工具本体2を備えている。この工具本体2の側部からハンドル部10が突き出す状態に設けられている。工具本体2の本体ハウジング6とハンドル部10のハンドルハウジング11は相互に一体に形成されている。使用者はこのハンドル部10を片手Hで把持する。
工具本体2の前端(図1において右端)には、先端工具Tを装着するためのチャック部3が設けられている。この先端工具Tを加工材Wに押し付けることにより当該加工材Wが孔あけ加工される。工具本体2には電動モータ4が内蔵されている。この電動モータ4を駆動源として先端工具Tがその軸回りに回転する。電動モータ4は、ハンドル部10の基部前側に配置したトリガ形式のスイッチレバー5をハンドル部10を把持した手Hの指先Hfで引き操作することによって起動する。
工具本体2については本発明を実施するにあたって特に変更を要しないので、詳細な説明を省略する。
ハンドル部10は、使用者が片手Hで楽に把持するのに適した太さ及び断面形状を有している。このハンドル部10(ハンドルハウジング11)の先端部(図1において下端部)には、充電式のバッテリパック20が装着されている。例示した電動工具1は、このバッテリパック20を電源として動作する。すなわち、電動モータ4は、バッテリパック20を電源として起動する。
【0009】
バッテリパック20は、図3に示すように三つバッテリセル21〜23をバッテリケース24に内装した構成を有している。三つのバッテリセル21〜23は、それぞれ円柱体形状を有し、横並びの並列配置ではなく相互に三角形の各頂点に相当する位置(T字形)に配置されている。以下、この配置形態をT字形配置ともいう。本例では図示するように各バッテリセル21〜23の中心軸線21a〜23aが三角形の各頂点に位置する関係に当該バッテリセル21〜23が(横断面で見てT字形を形成する位置関係、以下T字形配置という)されている。このT字形配置では、前側に1つのバッテリセル23を配置し、その後側に相互に横並びに配置された二つのバッテリセル21,22を相互に接触する状態に位置させた配置となっている。
上記のように三つのバッテリセル21〜23がT字形配置されることにより、バッテリケース24もこれに合わせて概ねT字形の横断面形状(横断面T字形)を有している。このバッテリケース24は、後側の相互に横並びに配置された二つのバッテリセル21,22を収容する平面視長円形の横部24Yと、前側のバッテリセル23を収容する平面視半長円形の縦部24Tを有している。縦部24Tは、その長手方向を前後方向(工具本体2の機長方向)に沿わせ、横部24Yは前後方向に直交する左右方向にその長手方向を沿わせている。横部24Yと縦部24Tが相互に直交する方向にそれぞれの長手方向を沿わせることによって当該バッテリケース24が横断面T字形を有している。
バッテリケース24の左右側部であって、横部24Yに対する縦部24Tの左右の交差部には、横断面形状がほぼ直角に凹んだT字形脇部24P,24Pが形成されている。
また、図5に示すように縦部24Tは、横部24Yの先端面から一段高く突き出している。この突き出し部分が、バッテリ収容部Sに対する位置決め凸部24Rとして機能する。図4及び図5に示すように位置決め凸部24Rは、平面視二股形状(U字形)を有している。この位置決め凸部24Rの二股部に、バッテリ収容部S側のプラス端子31とマイナス端子32が挿入されるプラス端子接続口25とマイナス端子接続口26が設けられている。
【0010】
図1及び図5に示すようにバッテリケース24の下端部には、蓋部24aが設けられている。当該バッテリパック20をハンドル部10に装着すると、この蓋部24aがハンドルハウジング11の内部スペース(バッテリ収納部S)を塞ぐ蓋として機能する。
蓋部24aの左右両側部であって前記T字形脇部24P,24Pの下部には、それぞれ台座部24fが設けられている。この両台座部24f,24fは、概ね三角柱形状を有し、ほぼ直角に凹んだT字形脇部24P,24Pを埋める状態に設けられている。この両台座部24f,24fに、それぞれ固定爪部24bが左右対をなして設けられている。両固定爪部24b,24bは、台座部24f,24fの側面から突き出す方向(ロック側)に付勢されている。
この左右の固定爪部24b,24bが、その付勢力によりロック側に突き出されてハンドルハウジング11に係合されることにより、当該バッテリパック20の装着状態が保持される。両固定爪部24b,24bがその付勢力に抗して台座部24f,24f内に引き込む方向(アンロック側)に変位するとハンドルハウジング11に係合状態が解除され、これによりバッテリパック20をハンドルハウジング11内から取り外すことができ、取り外して当該バッテリパック20を充電若しくは別のものに交換することができる。
左右の固定爪部24b,24bに対応して、蓋部24aの左右側部には、指当て部24c,24cが設けられている。この指当て部24c,24cを指先を押し操作すると、上記固定爪部24b,24bがその付勢力に抗してアンロック側に変位する。左右の指当て部24c,24cの押し操作を止めると左右の固定爪部24b,24bがその付勢力によってロック位置に戻される。
【0011】
両指当て部24c,24cの前側には、それぞれ滑り止め部24dが一体に設けられている。左右の指当て部24c,24cにはそれぞれ横方向のリブが上下に3本ずつ並んで設けられており、各リブの前側半分ほどの範囲が側方へ張り出してその先端面(指先が当たる面)がV字形に屈曲した状態に形成されることで滑り止め部24d,24dが設けられている。両滑り止め部24d,24dは、相互にほぼ平行に配置されて、指の押し方向に対して概ね直交する状態に設けられている。この滑り止め部24d,24dによって指先が頂部11a側(前側)へ滑ることが防止され、両指当て部24c,24cを確実に押し操作することができ、これにより当該バッテリパック20の使い勝手をよくすることができる。
左右の滑り止め部24d,24dの周囲にはほぼ同じ高さで側方へ張り出すガード部24e,24eが設けられている。このガード部24e,24eによって当該指当て部24c,24c(又は滑り止め部24d,24d)の不用意な押し操作が防止される。
また、左右の指当て部24c,24cは、断面三角形の2側面に沿って配置されている結果、ハンドルハウジング11の頂部11aに向かって相互に接近する方向に傾斜した状態に配置されている。このため、左右の固定爪部24b,24bの指当て部を例えば親指と人差し指で両側から挟むようにして押すと、押す方向に対して指当て部が直交せず比較的大きな角度で傾斜しているため、指先がこの指当て部に対して頂部11a側に滑って押し操作しづらい場合がある。しかしながら、両指当て部24c,24cの前側には、それぞれ滑り止め部滑り止め部24dが設けられている。この滑り止め部24d,24dによって指先が頂部11a側へ滑ることが防止され、両指当て部24c,24cを確実に押し操作することができ、これにより当該バッテリパック20の使い勝手をよくすることができる。
【0012】
このように三つのバッテリセル21〜23をT字形に配置した結果横断面T字形を有するバッテリケース24ひいては当該バッテリパック20に対応してハンドルハウジング11のバッテリ収容部Sも、概ね横断面T字形を有している。本実施形態では、バッテリパック20は、その縦部24Tを前側に位置させ、横部24Yを後ろ側に位置させた状態でハンドルハウジング11のバッテリ収容部S内に装填される。このため、ハンドルハウジング11は、前側に曲率が大きな頂部11aが位置し、後ろ側に曲率がより小さな底辺部11bが位置する概ね三角形の横断面形状を有している。この横断面三角形状のハンドル部10によれば、使用者が当該ハンドル部10を把持すると、前側の頂部11aに指先が当接し、後ろ側の底辺部11bに手の平が当接することから、その逆の場合に比して握りやすくなっている。
図2に示すようにバッテリ収容部Sには、バッテリパック20の左右のT字形脇部24P,24Pに対応して収容向き規制部30,30が設けられている。両収容向き規制部30,30は、バッテリパック20側の台座部24fと同じ断面山形(三角形状)を有している。このため、当該バッテリパック20をバッテリ収容部S内に挿入すると、左右のT字形脇部24P,24P内にそれぞれ収容向き規制部30が進入し、これが左右の台座部24f,24fにそれぞれ連なった状態となる。このため、図6に示すように左右の収容向き規制部30,30は、バッテリ収容部Sの開口端部から奥側へ一定寸法L(台座部24fを収容するための寸法)だけ引き込んだ位置からその底部Sbに至って設けられている。
両収容向き規制部30,30に対して開口端部側(図2において手前側)に、バッテリパック20の固定爪部24b,24bが係合される係合爪部33,33が設けられている。
バッテリ収容部Sの底部Sbには、位置決め凹部Scが設けられている。この位置決め凹部Scは、バッテリパック20の縦部24Tの先端部(位置決め凸部24R)をがたつきなく挿入可能な平面視半長円形に形成されている。この位置決め凹部Scの底部に、プラス端子31とマイナス端子32が配置されている。このプラス端子31とマイナス端子32が、それぞれバッテリパック20のプラス端子接続口25に挿入され、またマイナス端子接続口26に挿入されると、当該バッテリパック20が工具本体部2の電源回路に電気的に接続されて電力供給がなされる。
【0013】
以上のように構成した本実施形態に係る電動工具1によれば、3本のバッテリセル21〜23をT字形に並列配置して内蔵する結果、横断面T字形を有するバッテリパック20をその収容向きを間違えることなく迅速に装填することができる。すなわち、横断面T字形を有するバッテリパック20の左右側部には、それぞれ横断面形状で見るとほぼ直角に凹んだT字形脇部24P,24Pが設けられている。この左右のT字形脇部24P,24Pに対応して、ハンドル部10のバッテリ収容部S内には左右一対の収容向き規制部30,30が設けられている。バッテリパック20をバッテリ収容部Sに装填する際に、バッテリパック20のT字形脇部24P,24Pに沿ってそれぞれ収容向き規制部30が嵌り込むことによって、横断面T字形のバッテリパック20の収容向きがその縦部24Tを前側にした前向きに規制される。
このように、本実施形態の電動工具1によれば、T字形の横断面形状を有するバッテリパック20について、バッテリ収容部Sに対する挿入可能な収容向き(正しい収容向き)が前向きの1箇所に規制されるため、収容向きを間違えることなく、また間違えても使用者がすぐに気付いて正しい収納向きで挿入することができ、これにより当該バッテリパック20を装填する時の操作性を高めることができる。
また、例示したバッテリパック20によれば、その収容方向先端に縦部24Tが横部24Yに対して突き出すことにより位置決め凸部24Rが設けられており、この位置決め凸部24Rがバッテリ収容部Sの底部に設けた位置決め凹部Scに隙間なく嵌り込むことによって、当該バッテリパック20の装填状態においてバッテリパック20のがたつきを抑制することができる。
さらに、収容向き規制部30,30がバッテリ収容部Sの開口部から底部Sbに至る全範囲に沿って設けられているのではなく、バッテリ収容部Sの開口側から寸法Lだけ収容方向奥側(図6において下方)に至る範囲については当該収容向き規制30,30が設けられておらず、その結果収容向き規制部30,30の開口端部(図6において上端部)とバッテリ収容部Sの開口部との間に、収容向き規制部30,30が存在しないことによるスペースが設けられ、このスペースに係合部33が配置されている。このように、バッテリパック20をバッテリ収容部Sに装填した状態に固定するために当該バッテリパック20側の固定爪24b,24bが係合される係合部33,33を、収容向き規制部30,30の開口側端部に並列配置することにより、僅かなスペースを利用して当該係合部33,33をコンパクトに配置することができ、これによりハンドル部のコンパクト化(握りやすさ)を図ることができる。
【0014】
以上説明した実施形態には、さらに変更を加えることができる。例えば、3本のバッテリセル21〜23を横断面で見てT字形に並列配置して横断面T字形を有するバッテリパック20を例示したが、4つ以上のバッテリセルを有する横断面T字形のバッテリパックの場合にも同様に適用することができる。例えば、縦部に1つのバッテリセル、横部に三つのバッテリセルを相互に横並びに配置して横断面T字形としたバッテリパック、あるいは縦部に2つのバッテリセル、横部に2つのバッテリセルを並列配置して横断面T字形としたバッテリパックを収容する電動工具についても同様に適用することができる。
また、横断面T字形について、その縦部若しくは横部の一方についてのみバッテリセルを収容し、他方についてはバッテリセルを内蔵しないダミー部とすることにより横断面T字形としたバッテリパックについても同様に適用することができる。従って、本発明は、1本のバッテリセルを内蔵するバッテリパックについても適用することができる。
さらに、縦部24Tを前側にして装填するバッテリパック20を例示したが、この収容向きについては、収容向き規制部によって任意の一箇所(前向き、横向き、後ろ向き)に規制される構成であればよい。
また、電動工具として孔あけ工具(いわゆる電気ドリル)を例示したが、例えばねじ締め機、切断機、打ち込み工具あるいは照明具等その他の作業を行う電動工具に適用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1…バッテリ式電動工具(孔明け用電気ドリル)
2…工具本体
3…チャック部
4…電動モータ
5…スイッチレバー
6…本体ハウジング
10…ハンドル部
11…ハンドルハウジング
11a…頂部、11b…底辺部
20…バッテリパック
21〜23…バッテリセル、21a〜23a…中心軸線
24…バッテリケース
24a…蓋部、24b…固定爪部、24c…指当て部、24d…滑り止め部
24e…ガード部、24f…台座部
24T…縦部、24Y…横部、24P…T字形脇部、24R…位置決め凸部
25…プラス端子接続口
26…マイナス端子接続口
30…収容向き規制部
31…プラス端子
32…マイナス端子
33…係合部
T…先端工具(ツール)
W…加工材
H…使用者の手
Hf…指先
Hp…手の平
P…押し付け力
S…バッテリ収容部、Sb…底部、Sc…位置決め凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面T字形のバッテリパックを電源とする電動工具であって、前記バッテリパックを収容するバッテリ収容部を備え、該バッテリ収容部に、前記バッテリパックのT字形脇部に係合して該バッテリパックの収容向きを規制する収容向き規制部を内方へ突き出して設けた電動工具。
【請求項2】
請求項1記載の電動工具であって、前記バッテリパックはその収容方向先端面に収容方向に一段高い位置決め凸部を備えており、該位置決め凸部に対応して前記バッテリ収容部の底部に、収容方向に一段深い位置決め凹部を備えた電動工具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電動工具であって、前記収容向き規制部は前記バッテリパックのT字形脇部に沿ってバッテリ収容部の深さ方向に長く形成されており、前記バッテリ収容部の開口部と前記収容向き規制部の開口側端部との間に、前記バッテリパックの固定爪部が係合される係合部を前記収容向き規制部に対して前記深さ方向に並列配置した電動工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67006(P2013−67006A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274334(P2012−274334)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2008−34514(P2008−34514)の分割
【原出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】