説明

バッテリ用樹脂カバーの電線配索構造

【課題】樹脂カバーからの電線の飛び出しやそれに伴う電線の傷付きや電線の引張に伴う各接続部への過大な負荷を防止する。
【解決手段】複数のバッテリ2の電極側の端部に装着される樹脂カバー4の樋状の電線ガイド壁12に沿って電圧検出用の電線19を外部に導出させるバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造で、電線ガイド壁12の開口28bに第一と第二の小カバー15,24とを交互に設け、第一の小カバーで電線とバッテリとの接続部を覆い、樹脂カバー4の一端末に第一の小カバーを配置し、一端末の電線を隣接の第二の小カバー24の内側に向けて配索しつつ第二の小カバーの内側で折り返して一端末の第一の小カバー15の内側を経て外部に導出した。電線ガイド壁内の電線挿通空間28を中間の壁部12cで上下に区画し、上下の電線挿通空間を切欠部33で連通させ、一端末の電線を切欠部33で折り返した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(ハイブリッドカーを含む)に搭載されるバッテリに樹脂カバーを装着し、樹脂カバー内の端子付きの電線を電線ガイド壁に沿って外部へ導出させるバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は電気自動車用(ハイブリッドカーを含む)のバッテリに装着する従来のバッテリ接続プレートの一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
このバッテリ接続プレート51は複数のバッテリ52を直列に接続するためのものであり、並列に配置された複数のバッテリ52の前後の電極側に二枚縦置きに配設される。
【0004】
各バッテリ接続プレート51は絶縁樹脂製のプレート本体53aと、プレート本体53aにヒンジ65を介して開閉自在な蓋部65bと、プレート本体53aの複数の開口54内に設けられた導電金属製の長方形のバスバー55とを備えている。各バスバー55は二つの孔部56を有し、隣接する二つのバッテリ52の雄ねじ型の+極と−極の各電極57,58が孔部56に挿通されてナットで締め付け接続される。
【0005】
図8に示す如く、例えば各バスバー55毎に一つの電圧検出端子59がナットで共締めされ、二つのバッテリ52(図7)ごとの電圧が検出される。電圧検出端子59には電線64が圧着接続され、電線64は電圧検出装置(図示せず)に接続される。各電線64はバッテリ接続プレート51に沿って配索される。
【0006】
電圧検出端子59は矩形状の一方の電気接触部60と中間の抵抗接続部61と他方の電線接続部62とを有し、中間の抵抗接続部61に抵抗63の両端子が接続された後、両端子の間で抵抗接続部61が切断され、バッテリ52の電圧が抵抗63で減圧されて電線64を経て電圧検出装置(図示せず)に送られる。
【特許文献1】特開2000−333343号公報(第2〜3頁、図11〜図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のバッテリ接続プレート(樹脂カバー)51の電線配索構造にあっては、電線検出端子59に続く電線64がプレート本体53aから外れたり、プレート本体53aと蓋部65との間に挟まれたりして、傷付きや破損を生じる心配があった。また、電線64に強い引張力が作用した場合に、電線64と電圧検出端子59との接続部62が緩んだり、電圧検出端子59とバスバー55やバッテリ52との接続部に無理な力がかかったりして、電圧検出が正確に行えなくなるといった心配があった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、樹脂カバーからの電線の外れや蓋部との間への電線の挟み込みやそれに伴う電線の傷付きや、電線の引張に伴う各接続部への過大な負荷を防止することのできるバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造は、複数の並列なバッテリの電極側の端部に装着される樹脂カバーの樋状の電線ガイド壁に沿って電圧検出用の電線を外部に導出させるバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造において、前記電線ガイド壁の開口に第一の小カバーと第二の小カバーとが交互に設けられ、該第一の小カバーが前記電線と前記バッテリとの接続部を覆い、前記樹脂カバーの一端末に該第一の小カバーが配置され、該一端末の電線が隣接の第二の小カバーの内側に向けて配索されつつ該第二の小カバーの内側で折り返されて該一端末の第一の小カバーの内側を経て外部に導出されることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、樹脂カバーがバッテリの電極側の端部を外部から絶縁し、樹脂カバーの一端末においてバッテリ電圧検出用の電線が外部へ導出される方向とは反対の方向に短い長さで配索されつつ、隣接の第二の小カバーの内側で折り返されて端末の第一の小カバーの内側を通って外部へ導出される。一端末の電線は折り返されることで余長を持って配索される。一端末の電線は隣接の第二の小カバーで覆われて電線ガイド壁内に封止され、外部への飛び出しが防止される。第二の小カバーを閉じ、第一の小カバーを開けた状態でバッテリへの電線の電気的接続を行うことができる。接続後に第一の小カバーを閉じて電線とバッテリとの電気的接続部が外部から絶縁保護される。
【0011】
請求項2に係るバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造は、請求項1記載のバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造において、前記樹脂カバーに設けた電圧検出端子を介して前記電線が前記バッテリに電気的に接続されることを特徴とする。
【0012】
上記構成により、予め樹脂カバーに電線付きの電圧検出端子が装着固定され、電線が電圧検出端子を介してバッテリに電気的に接続される。隣接する二つのバッテリの+電極と−電極とを導電性の接続板で予め溶接等で接続し、接続板に電圧検出端子を溶接等で接続することも可能である。
【0013】
請求項3に係るバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造は、請求項1又は2記載のバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造において、前記電線ガイド壁内の電線挿通空間が中間の壁部で上下に区画され、該中間の壁部の途中に切欠部が設けられ、上下の電線挿通空間が該切欠部で連通され、前記一端末の電線が該切欠部で折り返されたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、一端末の電線が電線ガイド壁の例えば下側の電線挿通空間から切欠部を経て上側の電線挿通空間に折り返し配索されて外部へ導出される。電線の上側部分が外部から引っ張られた際に、切欠部において中間の壁部の端面に電線の折り返し部(屈曲部)の内面が当接して引張力を受け止め、電線の下側部分への引張力の伝播を阻止する。これにより、電線とバッテリとの電気的接続部分や、電線と電圧検出端子との接続部分や、電圧検出端子とバッテリ側との接続部分に引張力が作用せず、各接続部分が安全に保護される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、電圧検出用の電線をバッテリに電気的に接続するに際して、第一の小カバーを開けた状態でも一端末の電線が第二の小カバーで押さえられて外部への飛び出しを防止されるから、電線とバッテリとの電気的接続を確実に行うことができると共に、電線と外部との干渉による電線の傷付きや、接続後に第一のカバーを閉止した際の電線の挟み込みが防止されて、バッテリの電圧検出が正確に行われる。また、電線が外部から引っ張られた場合でも、電線が余長を持って電線ガイド壁内に配索されているから、電線の電気的接続部に無理な負荷がかかることがなく、これによってもバッテリの電圧検出が正確に行われる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、電圧検出端子を介して電線を樹脂カバーに位置ずれなく効率良く組み付けることができると共に、電圧検出端子を介して電線をバッテリ側に効率良く接続することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、電線が引っ張られた際に、電線ガイド壁の中間の壁部の切欠部の端面に電線の折り返し部が強く当接して、切欠部の端面で引張力を受け止めるから、電線とバッテリとの電気的接続部分や、電線と電圧検出端子との接続部分や、電圧検出端子とバッテリ側との接続部分に引張力が作用せず、各接続部分が安全に保護され、これによりバッテリの電圧検出が常に正確に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明のバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造を備えたバッテリパックの一形態、図2はバッテリ用樹脂カバー(以下樹脂カバーと言う)を装着する前のバッテリパック、図3は樹脂カバーの内面(裏面)側に電線付きの電圧検出端子を装着した状態をそれぞれ示すものである。
【0019】
図1の如く、バッテリパック1は、複数の並列なバッテリ2(図2)と、複数のバッテリ2の上下を覆うバッテリカバー3と、複数のバッテリ2の前後の電極側に装着される二枚の樹脂カバー4とで構成されている。上下のバッテリカバー3は複数本のバンド5でバッテリ2に締付固定されている。
【0020】
樹脂カバー4(図1)はバスバーカバーとも呼称され、内面側で、各バッテリ2を接続する導電金属製の接続板6(図2)を覆ったり、端末のバッテリ6に接続される総出力用のバスバー7(図2)を覆ったりする。樹脂カバー4の垂直な基板部11の内面側に電圧検出端子8(図3)が固定され、樹脂カバー4の内面側で電圧検出端子8がバッテリ2(図2)の接続板6にレーザ等で溶接される。図2で符号9はバッテリ2の環状の+電極、10は同じく平坦な−電極を示している。
【0021】
図3の如く、電圧検出端子8は、基板部11に突設されたピン部23と可撓性の爪部25と端子先端側の囲い凹部(図示せず)とで樹脂カバー4に固定されている。ピン部23は端子8の孔部30に係合し、爪部25は端子8の電線圧着部31を保持し、端子先端(下端)の幅狭な突部(図示せず)が囲い凹部に進入係合している。
【0022】
爪部25は基板部22の幅狭な開口21の両側に配置され、開口21は上側(電線ガイド壁12側)の幅広の開口20に続くと共に、ピン部23を有する幅狭の連結壁26を介して下側の幅広の開口13に続いている。樹脂カバー4の上端部に樋状(断面略コの字状)の電線ガイド壁12が一体に設けられ、電線ガイド壁12の下部から基板部11の上端部にかけて開口20が設けられている。
【0023】
電圧検出端子8は開口20から下向きに挿通され、爪部25とピン部23等で固定され、端子8の平板状の電気接触部32が幅広の開口13に沿って位置している。電線19は、電線ガイド壁12側の開口20から電線ガイド壁12の内面に沿って水平方向に挿通されて、図1の如く電線ガイド壁12の端末の側部開口28aから外部に導出されている。樹脂カバー4に電圧検出端子8が固定された状態で、電圧検出端子8の電気接触部32が幅広の開口13の表側からレーザ溶接等で裏側の接続板6(図2)に接続固定される。
【0024】
図1,図4,図5に樹脂カバー4の形態を示す如く、樹脂カバー4は、垂直な基板部11と、基板部11の上部に一体に形成された断面略コの字状の電線ガイド壁12と、基板部11に設けられた電圧検出端子接続(溶接)用の略長方形の開口13と、バッテリ冷却用の長形の送風孔14と、開口13を覆って基板部11に係止される開閉自在な縦長の小カバー(第一の小カバー)15と、電線ガイド壁12の正面の開口ないし入口28b(図4)を覆って電線19の飛び出しを防止する横長の小カバー(第二の小カバー)24とを備えている。
【0025】
縦長の小カバー15は係止爪(係止手段)34で基板部11の孔部(係止手段)35に係止され、横長の小カバー16は係止爪(係止手段)27で電線ガイド壁12の凹部(係止手段)に係止される。縦長の小カバー15は基部側(ヒンジ寄り)で二段に屈曲形成され、ヒンジに続く第一部分15aが電線ガイド壁12の正面開口28bを覆い、第一部分に続く第二部分15bが基板部11の端子接続用の開口13を覆う。
【0026】
電圧検出端子接続(溶接)用の開口13はバッテリ二つに対して一つの割合で配置され、送風孔14は各バッテリ2ごとに配置されている。樹脂カバー4は基板部11の上部と電線ガイド壁12とでバッテリカバー3(図2)に係止される。すなわち、図2の上側のバッテリカバー3の上壁と垂直な鍔壁との各係止突起(係止手段)16に電線ガイド壁12の下側の水平な壁部12c(図5)と基板部上端側との各係合孔(係止手段)が係合する。
【0027】
樹脂カバー4の基板部11の下端側にはバッテリ2ごとに垂直な突板部36が形成され、各突板部36の間に切欠部37が設けられ、切欠部37に対して下側のバッテリカバー3(図2)に位置決め保持用の断面略T字状の突壁22が設けられ、突壁22に切欠部37がスライド式に進入係合して突壁22で突板部36が保持される。
【0028】
図4〜図5に示す如く、電線ガイド壁12は上中下の水平な対向する各壁部12a,12c,12dと、上中の壁部12a,12cを連結する垂直な壁部12bとで主に構成され、中間の壁部12cの前後(幅)方向の中央に垂直な基板部11の上端が直交して続き、下側の壁部12dは基板部11の表側において基板部11に直交して位置し、上中下の各壁部12a,12c,12dの間に上下二段の溝状の電線挿通空間28が形成され、中間の壁部12cは上下の電線挿通空間28を連通させる複数の切欠部33を並列に有し、上下の電線挿通空間28は各切欠部33で上下に連通されている。
【0029】
上下の電線挿通空間(電線挿通溝)28に絶縁被覆電線19をフラット状に一列に配索可能である。各電線挿通空間28は上下と後方を各壁部12a〜12dで囲まれて水平方向に長い溝として構成されている。
【0030】
各電線挿通空間28の入口28bには電線19の抜け出しを防止する小カバー24が開閉自在に設けられている。図1,図5は小カバーを閉じた状態、図4は小カバーを開けた状態を示している。小カバー24は電線ガイド壁12の上壁部12aに薄肉のヒンジ24aを介して開閉自在に連結されている。小カバー24は係止爪27で電線ガイド壁12の下側の壁部12dの下側に係止される。図5の如くバッテリ2は単電池21ごとに直列に接続されている。図5ではバッテリカバー3(図2)の図示を省略している。
【0031】
図6に本発明の樹脂カバーの電線配索構造の一実施形態を示す如く、樹脂カバー4の一端末(右端末)において電圧検出端子8に続く電線19を電線ガイド壁12内でUターンさせて側部開口28aから外部に導出させている。
【0032】
すなわち、樹脂カバー4の一端末には、総出力用のバスバー7(図2)とバスバー表面に溶接する電圧検出端子8とを一体に露出させる接続用の開口13を覆う縦長の小カバー15のみが設けられ、電線ガイド壁12の正面開口28bは縦長の小カバー15のみで覆われるから、縦長の小カバー15を開いた状態で電圧検出端子8をバスバー7に溶接接続する際やメンテナンス時等に、電線19が電線ガイド壁12から外側に飛び出したり、飛び出した電線19を縦長の小カバー15で挟む心配がある。
【0033】
それを防止するために、電圧検出端子8に続く電線19を側部開口28aとは反対の方向に直線的に配索し、途中で略U字状に折り返して正面開口28bを通過して側部開口28aに向けて直線的に配索し、側部開口28aから外部に導出させ、これら電線19の往部19aと折り返し部(屈曲部)19bと復部19cとを、正面開口28bに隣接する横長の小カバー24で覆って電線ガイド壁12内に保持させている。
【0034】
横長の小カバー24は端子接続用の開口13を覆う縦長の各小カバー15の間に位置している。図6で右端から二番目の電圧検出端子8に続く電線19は右端の縦長の小カバー15と二番目の縦長の小カバー15との間で右から一番目の横長の小カバー24で覆われて電線ガイド壁12内に保持されるから、Uターンさせる必要はない。これは三番目、四番目の各電圧検出端子8に続く電線19についても同様である。
【0035】
一端末の電圧検出端子8に続く電線19の往部19aは電線ガイド壁12内の下側の電線挿通空間28に沿って配索され、電線19の折り返し部19bは上下の電線挿通空間28を連通させる切欠部33に沿って配索され、電線19の復部19cは上側の電線挿通空間28に沿って配索されている。電圧検出端子8に続く垂直な電線部分19dは電線ガイド壁12の壁部12c側の開口20(図3)から下側の電線挿通空間28内に導入され、水平に屈曲されて往部19aに続いている。
【0036】
横長の小カバー24で覆う電線19のUターン部分の長さは横長の小カバー24の長さの半分以上であることが好ましい。電線19の折り返し部(屈曲部)19bは電線ガイド壁12内の中間の壁部12cの端面である切欠部33(図4)に沿って湾曲しつつスムーズに屈曲するから、折り返し部19bに無理な曲げ応力がかからない。電線19の上側部分である復部19cは他の電圧検出端子8の電線19と共に横一列に配索されて側部開口28aから外部に導出される。
【0037】
横長の小カバー24を閉止して電線19を飛び出しなく保持した状態で、接続用の開口13から電圧検出端子8が内側のバスバー7(図2)や接続板6に溶接され、その後、縦長の小カバー15が閉止されて、電線19の垂直部19dと往部19aの一部と復部19cの一部と共に、電圧検出端子8やバスバー7や接続板6が外部から絶縁・保護される。横長の小カバー24は係止爪27で電線ガイド壁12に係止され、縦長の小カバー15は各係止爪34で基板部11の孔部35に係止される。
【0038】
電線ガイド壁内で端末の電線19をUターンさせて横長の小カバー24で押さえることで、電線19の飛び出し(電線挿通溝28からの乗り上がり)が防止され、外部との干渉による電線19の傷付きが防止されると共に、縦長の小カバー15を閉止した際における電線19の挟み込みとそれに伴う電線19の傷付きが防止される。
【0039】
また、電線19が電線ガイド壁内で中間の壁部12cの端面(切欠部33)に沿って折り返されているから、電線19が外部から引っ張られた場合でも、中間の壁部12cの端面が電線19の復部19cの引張力を受け止めて、ストレインリリーフとして作用し、電線19の往部19aへの引張力の伝播を阻止し、電線19と電圧検出端子8との接続部(圧着部31)や、電圧検出端子8とバスバー7や接続板6との接続部(溶接部)を引張力から安全に保護する。これによって電圧検出端子8の溶接剥がれ等が防止される。
【0040】
たとえ電線ガイド壁内の中間の壁部12cを廃除した場合でも、電線19が電線ガイド壁内でU字状にゆとり(余長)をもって配索されているから、外部から電線19が引っ張られた場合に、余長部が伸長して引張力を吸収し、これによって上記同様に電圧検出端子8の各接続部が引張力から安全に保護される。
【0041】
なお、本例では樹脂カバー4の右端末において電線19をUターンさせて横長の小カバー24で覆っているが、右端末ではなく左端末において電線19をUターンさせて左端側の横長の小カバー24で覆うことも可能であり、右端末と左端末との両方で各電線19をUターンさせて横長の各小カバー24で覆うことも可能である。
【0042】
また、上記実施形態においては、電圧検出端子8を介して電線19をバッテリ2に電気的に接続したが、電圧検出端子8を用いずに電線19を直接、バッテリ側に溶接等で電気的に接続させることも可能である。また、上記図6で説明した構成はバッテリ用樹脂カバーの電線配索方法としても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造を備えるバッテリパックの一形態を示す斜視図である。
【図2】樹脂カバーを装着する前のバッテリパックを部分的に示す斜視図である。
【図3】樹脂カバーの内面側に電線付きの端子を固定して電線を配索した状態を示すやや斜め下側から見た正面図である。
【図4】樹脂カバーの一形態を部分的に示す斜視図である。
【図5】バッテリに近接配置された樹脂カバーを示す側面図である。
【図6】本発明に係る樹脂カバーの電線配索構造の一実施形態を示す正面図である。
【図7】バッテリを直列接続する従来の接続プレートの一形態を示す分解斜視図である。
【図8】従来の電線付きの電圧検出端子の一形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
2 バッテリ
4 樹脂カバー
8 電圧検出端子
12 電線ガイド壁
12c 中間の壁部
15 縦長の小カバー(第一の小カバー)
19 電線
24 横長の小カバー(第二の小カバー)
28 電線挿通空間
28b 正面の開口
33 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の並列なバッテリの電極側の端部に装着される樹脂カバーの樋状の電線ガイド壁に沿って電圧検出用の電線を外部に導出させるバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造において、
前記電線ガイド壁の開口に第一の小カバーと第二の小カバーとが交互に設けられ、該第一の小カバーが前記電線と前記バッテリとの接続部を覆い、前記樹脂カバーの一端末に該第一の小カバーが配置され、該一端末の電線が隣接の第二の小カバーの内側に向けて配索されつつ該第二の小カバーの内側で折り返されて該一端末の第一の小カバーの内側を経て外部に導出されることを特徴とするバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造。
【請求項2】
前記樹脂カバーに設けた電圧検出端子を介して前記電線が前記バッテリに電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載のバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造。
【請求項3】
前記電線ガイド壁内の電線挿通空間が中間の壁部で上下に区画され、該中間の壁部の途中に切欠部が設けられ、上下の電線挿通空間が該切欠部で連通され、前記一端末の電線が該切欠部で折り返されたことを特徴とする請求項1又は2記載のバッテリ用樹脂カバーの電線配索構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−120490(P2006−120490A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307873(P2004−307873)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】