説明

バッテリ装置

【課題】バッテリの挿入方向を気にすることなく多方向に挿入が可能なバッテリ装置を提供する。
【解決手段】バッテリ110の+電極111、−電極112は互いに相反する磁極を有する強磁性体で構成される。バッテリ接続部120は、それぞれ磁化された強磁性体からなる接続端子121、122、123、124を備える。電子機器の給電・受電回路130の電源側に接続された接続端子121、123は、バッテリ110の+電極111に対して逆極性の磁極を有する。また、給電・受電回路130のGND側に接続された接続端子122、124は、バッテリ110の−電極112に対して逆極性の磁極を有する。バッテリ挿入方向が逆になっても、磁力によって引き付けた接続端子により、バッテリ110と給電・受電回路130とを導通させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器への給電や、充電機器からの受電を行うバッテリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、私たちの日常生活に必要不可欠となっている小型の電子機器のほとんどは、繰り返し充電が可能なニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等、二次電池の直流バッテリ電源を利用している。
【0003】
小型の電子機器の中でも特に、移動型あるいは携帯型の電子機器においては、使用頻度が高く、バッテリ電圧の減りも早いため、バッテリの交換や充電のためにバッテリを電子機器から取り出したり、挿入したりする機会が多くなる。
【0004】
このような電子機器に使用されるバッテリ装置においては、ユーザーがバッテリ挿入方向を気にする手間を低減することと、バッテリの電極と、電子機器あるいは充電機器のバッテリ接続部の接続端子とを確実に接続することが重要である。
【0005】
そこで、図7に示すように、2種類のバッテリ挿入方向での、給電部と受電部の導通を図った端子構造が提案されている(特許文献1参照)。これは、給電部1020の中央に正極側の第1および第2給電端子1022、1023を併設し、その両側に負極側の第3および第4給電端子1021、1024を併設し、極性が同じ給電端子を互いに連結して充電回路1030に接続する。受電部1010には、第1収容姿勢では第1および第3給電端子1022、1021と接触し、第2収容姿勢では第2および第4給電端子1023、1024と接触することとなる偏寄位置に、正負一対の受電端子1011、1012を配設する。このように2種類の収容姿勢を実現し、ユーザーが収容方向を考える手間を低減している。さらに、給電部1020の端子間には磁石1040を配設して、給電部1020と受電部1010の確実な接触を図った携帯電話装置である。
【特許文献1】特開平10−257142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術による携帯電話装置の端子構造では、バッテリを挿入可能とする挿入方向は最大2種類までであり、必ずしもユーザーの手間を低減していない。
【0007】
さらに、給電部と受電部の端子を確実に接続するための磁石を配置するスペースを要する。このスペースを確保するためには、端子を小さくしたり、装置本体寸法を大きくする必要がある。しかし、バッテリの端子を小さくすることは確実な接続を図るうえで好ましくない。また、装置本体を大きくすることも、製品の縮小化が進んでいる現在においては、有効な技術ではない。
【0008】
本発明は、バッテリの多方向からの挿入を可能とし、しかも、バッテリの電極と受給電側の接続端子とを確実に接続できるバッテリ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明のバッテリ装置は、電子機器に対する受給電を行うバッテリ装置において、互いに逆極性の磁極を有する強磁性体からなる正電極および負電極を備えたバッテリと、前記正電極および前記負電極を介して、前記バッテリと前記電子機器とを接続するための複数の強磁性体からなる接続端子を有するバッテリ接続部と、を備え、前記電子機器の電源側に接続する前記バッテリ接続部の接続端子は前記バッテリの前記正電極に対して逆極性の磁極を有し、前記電子機器のGND側に接続する前記バッテリ接続部の接続端子は前記バッテリの前記負電極に対して逆極性の磁極を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
磁化された強磁性体からなるバッテリ側の正負電極と電子機器側の接続端子とを磁力によって確実に接続するとともに、バッテリの多方向挿入を可能とする。
【0011】
バッテリ挿入方向を限定しないため、バッテリ挿入方向を間違わないように外形を特殊な形に加工する必要がなく、また、バッテリ装置の縮小化も望める。
【0012】
さらに、異なる大きさの電極を有するバッテリや、多種類の形状の電極を有するバッテリ等にも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1ないし図3は実施例1を示す。
【0015】
図1の(a)、(b)に示すように、電子機器に挿入するバッテリ110は、+電極(正電極)111および−電極(負電極)112を有し、これらはバッテリ接続部120に対向する。バッテリ接続部120は、電子機器の受給電を行う給電・受電回路130に接続される。+電極111および−電極112は、バッテリ接続部120に面して、それぞれN極、S極の磁極を有するように磁化された強磁性体からなる。
【0016】
バッテリ110と給電・受電回路130を仲介するバッテリ接続部120は、バッテリ110の+電極111または−電極112に対向するように、それぞれS極、N極を有する強磁性体からなる2本の接続端子121、122を備える。同様に、バッテリ110の−電極112または+電極111に対向するように、それぞれS極、N極を有する強磁性体からなる2本の接続端子123、124を備える。S極を持つ接続端子121、123は給電・受電回路130の電源側に、N極を持つ接続端子122、124は給電・受電回路130のGND側に接続されている。
【0017】
図2は、図1の(a)に示す第1のバッテリ挿入方向による接続形態のバッテリ装置を示す斜視図である。
【0018】
図3は、バッテリ接続部120の内部構成を示すもので、(a)は、接続端子121がバッテリ110の+電極111に引き付けられた状態、(b)は、接続端子122がバッテリ110の+電極111と引き離された状態を、それぞれ示す断面図である。
【0019】
接続端子121は、ガイド部120aによって囲まれており、ガイド部120aの内部には給電・受電回路130と接続されている導通部120bが延在する。また、ガイド部120aの内側の上下面には、接続端子121と銅線等の導電部材からなる導通部120bを接続するための導電性のバネ120c、120dが備えられている。他の接続端子122、123、124においても同様に構成されている。
【0020】
すなわち、バッテリ接続部120は、4本の接続端子121、122、123、124と、各接続端子121〜124に対応するガイド部120aと導電部120b、バネ120c、120d等を有する。
【0021】
図1の(a)に示す第1のバッテリ挿入方向にバッテリ110が挿入されると、バッテリ接続部120の接続端子121は+電極111の吸引力により、バッテリ接続部120の接続端子124は−電極112の吸引力により、それぞれ引き付けられる。+電極111に接続端子121が引き付けられると、図3の(a)に示すように、接続端子121はバネ120c、120dを介して導通部120bと接続され、給電・受電回路130の電源側と導通する。同様に、−電極112に接続端子124が引き付けられると、接続端子124は給電・受電回路130のGND側と導通する。
【0022】
逆に、接続端子122は+電極111の反発力により、接続端子123は−電極112の反発力により、それぞれ引き離される。+電極111から接続端子122が引き離されると、図3の(b)に示すように、接続端子122はバネ120c、120dに接続されず、給電・受電回路130と導通しない。同様に、−電極112から接続端子123が引き離されると、接続端子123は給電・受電回路130と導通しない。
【0023】
このように、第1のバッテリ挿入方向では、+電極111に接続端子121、−電極112に接続端子124が接続され、給電・受電回路130に対する給電または受電(受給電)を可能とする。
【0024】
図1の(b)に示す第2のバッテリ挿入方向は、第1のバッテリ挿入方向を反転させたものであり、バッテリ110の+電極111が図示右側に位置する。この時、バッテリ接続部120の接続端子122は−電極112の吸引力により、バッテリ接続部120の接続端子123は+電極111の吸引力により、それぞれ引き付けられる。+電極111に接続端子122が、−電極112に接続端子123がそれぞれ接続すると、各電極は給電・受電回路130と導通する。
【0025】
逆に、接続端子121は−電極112の反発力により、接続端子124は+電極111の反発力によりそれぞれ引き離される。
【0026】
このように、第2のバッテリ挿入方向においても、給電・受電回路130に対する給電または受電を可能とする。
【0027】
本実施例によるバッテリ装置は、ユーザーがバッテリ挿入方向を考えることなく電子機器に挿入することを可能とし、かつ、バッテリと給電・受電回路との確実な接続を実現する。
【0028】
なお、図1のバッテリ接続部の接続端子は図示左側から順にS極、N極と配設されているが、S極、N極が逆になっても何ら問題はない。
【実施例2】
【0029】
図4は、実施例2によるバッテリ装置を示す。本実施例のバッテリ接続部220は、図4の(a)に示すバッテリ210の+電極211に対して、3本の接続端子221、222、223を備えている。接続端子221、222、223は、それぞれバッテリ210に面してS極、N極、S極となるように磁化された強磁性体で構成されている。同様に、バッテリ210の−電極212に対し、3本の接続端子224、225、226を備え、それぞれバッテリ210に面してS極、N極、S極となるように磁化された強磁性体で構成されている。また、S極の接続端子221、223、224、226は電子機器等の給電・受電回路230の電源側に、N極の接続端子222、225は給電・受電回路230のGND側に接続されている。
【0030】
図4の(a)に示すバッテリ210は、実施例1のバッテリ110と同様に構成され、+電極211、−電極212のサイズが大きい大型のバッテリである。バッテリ210を電子機器に挿入すると、バッテリ210の+電極211の吸引力により接続端子221、223が、−電極212の吸引力により接続端子225がそれぞれ引き付けられる。このようにして、バッテリ210の+電極211は接続端子221、223と、−電極212は接続端子225とそれぞれ接続され、給電・受電回路230と導通する。
【0031】
逆に、バッテリ210の+電極211の反発力により接続端子222が、−電極212の反発力により接続端子224、226がそれぞれ引き離される。
【0032】
実施例1と同様に、バッテリ210を反転させた挿入方向においても、バッテリ210と給電・受電回路230との接続を可能とする。
【0033】
図4の(b)に示すバッテリ240は、実施例1のバッテリ110と同様に構成され、N極を有する強磁性体からなる+電極241と、S極を有する強磁性体からなる−電極242のサイズが小さい小型のバッテリである。
【0034】
バッテリ240を電子機器に挿入すると、バッテリ240の−電極242の吸引力により接続端子222が、+電極241の吸引力により接続端子224がそれぞれ引き付けられる。このようにして、バッテリ240の−電極242は接続端子222と、+電極241は接続端子224とそれぞれ接続され、給電・受電回路230と導通する。
【0035】
逆に、−電極242の反発力により接続端子223が、+電極241の反発力により接続端子225がそれぞれ引き離される。
【0036】
また、接続端子221、226はバッテリ240の各電極の影響を受けないため、+電極241、−電極242と接続することはない。
【0037】
また、バッテリ240を反転させた挿入方向においても、給電・受電回路230との接続を可能とする。
【0038】
本実施例によるバッテリ装置は、3本以上の接続端子を使用することによって、電極の大きさが異なったバッテリにおいても多方向の挿入を可能とし、より確実な接続が可能となる。また、3本以上の接続端子を使用して配置の構成を変化させることにより、電極の大きさや形が異なった様々なバッテリに対応することも可能となる。
【実施例3】
【0039】
図5および図6は、実施例3によるバッテリ装置を示す。バッテリ310は、図5に示すように、バッテリ接続部320に面して、N極の磁極を有する強磁性体からなる+電極311と、S極の磁極を有する強磁性体からなる−電極312とを有する。バッテリ接続部320はバッテリ310に対し、3本の接続端子321、322、323を備え、両端の第1、第2の接続端子321、323はバッテリ310に面してS極、中央の第3の接続端子322はN極となるようにそれぞれ磁化されている。また、S極の極性を持つ接続端子321、323は電子機器等の給電・受電回路330の電源側に、N極の極性を持つ接続端子322は給電・受電回路330のGND側にそれぞれ接続される。
【0040】
図6に示すように、バッテリ接続部320は、固定されたスライド台301に取り付けられたスライドレール302に沿って左右に移動自在な可動機構を有する。
【0041】
図5の(a)に示す第1のバッテリ挿入方向では、バッテリ310の+電極311の吸引力によりバッテリ接続部320の接続端子321が、−電極312の吸引力により接続端子322がそれぞれ引き付けられる。逆に接続端子323は−電極312の反発力により引き離されるため、バッテリ接続部320はスライドレール302に沿って右方向に移動する。その結果、バッテリ310は接続端子323とは接続されないが、+電極311は接続端子321と、−電極312は接続端子322とそれぞれ接続され、給電・受電回路330と導通する。
【0042】
バッテリ310を電子機器に第1のバッテリ挿入方向から挿入すると、このようにして給電・受電回路330への給電または受電を可能とする。
【0043】
次に、図5の(b)に示す第2のバッテリ挿入方向では、バッテリ310の−電極312の吸引力によりバッテリ接続部320の接続端子322が、+電極311の吸引力により接続端子323がそれぞれ引き付けられる。逆に接続端子321は−電極312の反発力により引き離されるため、バッテリ接続部320はスライドレール302に沿って左方向に移動する。その結果、+電極311は接続端子323と、−電極312は接続端子322とそれぞれ接続され、給電・受電回路330と導通する。
【0044】
このように、バッテリ310を第2のバッテリ挿入方向から挿入しても給電・受電回路330に対する給電または受電を可能とする。
【0045】
本実施例のバッテリ装置は、ユーザーがバッテリ挿入方向を考えることなく電子機器にバッテリを挿入することを可能とし、かつ、バッテリ接続端子との確実な接続を実現する。
【0046】
なお、図5に示すバッテリ接続部の接続端子はバッテリに面して図示左側から順にS極、N極、S極の磁極を持っているが、S極とN極は逆に配設されても何ら問題はない。
【0047】
また、バッテリの電極に、バッテリ接続部に面してN極の磁極を有する+電極、S極の磁極を有する−電極を使用したが、N極とS極は逆にしても問題ない。ただし、その際はバッテリ接続部の接続端子の磁極も逆極性にする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1によるバッテリ装置の構成を示すもので、(a)は第1のバッテリ挿入方向における接続形態を示し、(b)は第2のバッテリ挿入方向における接続形態を示す。
【図2】図1の装置の外観を示す斜視図である。
【図3】バッテリ接続部の内部構成を説明する図である。
【図4】実施例2によるバッテリ装置の構成を示すもので、(a)は大型のバッテリによる接続形態を示し、(b)は小型のバッテリによる接続形態を示す。
【図5】実施例3によるバッテリ装置の構成を示すもので、(a)は第1のバッテリ挿入方向における接続形態を示し、(b)は第2のバッテリ挿入方向における接続形態を示す。
【図6】図5の装置の外観を示す斜視図である。
【図7】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
110、210、240、310 バッテリ
111、211、241、311 バッテリの+電極
112、212、242、312 バッテリの−電極
120、220、320 バッテリ接続部
121〜124、221〜226、321〜323 接続端子
130、230、330 給電・受電回路
301 スライド台
302 スライドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に対する受給電を行うバッテリ装置において、
互いに逆極性の磁極を有する強磁性体からなる正電極および負電極を備えたバッテリと、
前記正電極および前記負電極を介して、前記バッテリと前記電子機器とを接続するための複数の強磁性体からなる接続端子を有するバッテリ接続部と、を備え、
前記電子機器の電源側に接続する前記バッテリ接続部の接続端子は前記バッテリの前記正電極に対して逆極性の磁極を有し、前記電子機器のGND側に接続する前記バッテリ接続部の接続端子は前記バッテリの前記負電極に対して逆極性の磁極を有することを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
前記バッテリ接続部は、互いに同極性の磁極を有する第1および第2の接続端子と、前記第1および前記第2の接続端子の間に配設され、前記第1および前記第2の接続端子の磁極に対して逆極性の磁極を有する第3の接続端子と、を有することを特徴とする請求項1記載のバッテリ装置。
【請求項3】
前記バッテリ接続部を移動させるための可動機構を有することを特徴とする請求項2記載のバッテリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−172879(P2008−172879A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1936(P2007−1936)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】