説明

バリアパネル並びに立体映像表示装置及びその方法

【課題】3D液晶パネル用バリアパネルを映像パネルの1ピクセル当りM×N個に分け、該M×N個のバリア領域の明るさを調節することによって、多視点無眼鏡3D映像ディスプレイを提供する。
【解決手段】多数のピクセルを有する映像パネルに対応して配置され、前記映像パネルの各ピクセル当りM×N個のバリア領域を成すように形成され、各バリア領域別に明るさが調節されて前記映像パネルから立体映像用イメージが表示されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリアパネル並びに立体映像表示装置及びその方法に関し、特に、多数のバリアの各領域の明るさが調節される、バリアパネル並びに立体映像表示装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像処理の市場とは異なり、3Dディスプレイ市場は、発展が遅く進められている。ディスプレイ市場の発展は、特に、観察者の情報を排除したまま、ただ映像の出力のみに同期を合わせて動作することに対して行われている。その主な理由の一つは、観察者の視点に応じる3D映像を再現しにくいという点である。
例えば、現在の3D携帯電話は、3D映像ディスプレイのため、固定バリア方式の無眼鏡式3D液品パネルを使っている。この方式の最大短所は、同じ映像でも観察者と映像パネルとの間の距離や視聴角度が変われば、良好に表示された3D映像も曇るか消えるなどの3D映像の変化が生ずるという点である。映像パネルから約30cmの距離をおいて前方正面で3D映像を視聴する人と、30cmの距離をおいて前方30度の角度で視聴する人とには、各々異なるバリアを用いて映像を提供しなければならない。しかしながら、従来には、バリアが固定形なので、正面にいる人のみが良い品質の3Dを視聴することができるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許第10−0786862号
【特許文献2】韓国特許出願公開第10−2011−0005494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方式では、液晶パネル上にバリアフィルムを固定させた固定バリア方式を使っている。正面の観察者を主としてバリアをオン/オフするため、視点角度が少しでも外すと(正面を基準として3度以上)、いくら良い3D映像でも曇るように見えるか見えないことがある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、3D液晶パネル用バリアパネルを映像パネルの1ピクセル当りM×N個に分け、該M×N個のバリア領域の明るさを調節することによって、多視点無眼鏡3D映像ディスプレイを提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の第1の実施形態によれば、多数のピクセルを有する映像パネルに対応して配置され、該映像パネルの各ピクセル当りM×N個のバリア領域を成すように形成され、各バリア領域別に明るさを調節して該映像パネルから立体映像用イメージが表示されるようにするバリアパネルが提供される。
【0007】
一実施形態によれば、前記バリア領域の明るさは、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間明るさ段階を含むように制御される。
【0008】
また、一実施形態によれば、前記M×N個のバリア領域での行の数M及び列の数Nは、各々1以上である。また、一実施形態によれば、前記M×N個のバリア領域での列の数Nは、2以上である。
【0009】
また、上記目的を解決するために、本発明の第2の実施形態によれば、多数のピクセルを有し、立体映像用イメージを表示する映像パネルと、該映像パネルの前面または背面に対応して配置され、各ピクセル当りM×N個のバリア領域を成すように形成され、各バリア領域別に明るさが調節されるバリアパネルと、前記映像パネルから立体映像が表示されるように各バリア領域別に明るさを制御する制御部と、を含む立体映像表示装置が提供される。
【0010】
一実施形態によれば、前記バリアパネルは、前記制御部によって、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間段階を含むように制御され、前記バリア領域の明るさが少なくとも3段階以上に調節される。
【0011】
また、一実施形態によれば、前記バリアパネルは、行の数M及び列の数Nは、各々1以上であり、各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成されている。
【0012】
また、一実施形態によれば、行の数Mは1以上で、列の数Nは2以上である。
【0013】
また、一実施形態によれば、観察者領域の映像を獲得し、該観察者の観察位置情報を算出するトラッキングシステムをさらに含み、前記制御部は、観察者の観察位置に映像パネルの立体映像が露出するように観察位置情報によってバリアパネルの各バリア領域の明るさを制御する。
【0014】
また、一実施形態によれば、前記トラッキングシステムは、観察者領域の映像を獲得するカメラモジュールと、映像を用いて観察位置情報として観察者の両眼の位置及び距離を算出するトラッキング部とを含み、前記制御部は、両眼の位置及び距離の情報からバリアパネルの各バリア領域の明るさを制御するための制御値を獲得し、該制御値によって各バリア領域の明るさを制御する。
【0015】
また、上記目的を解決するために、本発明の第3の実施形態によれば、観察者の位置情報によって、多数ピクセルを有する映像パネルの各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成されるように、該映像パネルに対応して配置されたバリアパネルの各バリア領域別に明るさを調節して、該映像パネルから立体映像用イメージが表示されるようにする立体映像表示方法が提供される。
【0016】
他の実施形態によれば、観察者領域の映像を獲得し、該観察者の観察位置情報を算出する位置トラッキングステップと、該観察位置情報によって、映像パネルの前面または背面に対応して配置されたバリアパネルの各バリア領域別に明るさを調節して、観察者に映像パネルの立体映像が表示されるように制御するバリア制御ステップとを含む。
【0017】
また、一実施形態によれば、前記バリア制御ステップにて、バリア領域の明るさは、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間段階を含むように制御されることによって、少なくとも3段階以上に調節される。
【0018】
また、一実施形態によれば、前記位置トラッキングステップは、観察者領域の映像を獲得するステップと、映像を用いて観察位置情報として観察者の両眼の位置及び距離を獲得するステップとを含み、前記バリア制御ステップは、両眼の位置及び距離の情報からバリアパネルの各バリア領域の明るさを制御するための制御値を獲得するステップと、該制御値によって両眼に映像パネルの立体映像用イメージが露出するように各バリア領域の明るさを制御するステップとを含む。
【0019】
また、一実施形態によれば、前記バリアパネルは、行の数M及び列の数Nは、各々1以上であり、各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、3D映像パネル用バリアパネルを映像パネルの1ピクセル当りM×N個に分け、該M×N個のバリア領域の明るさを調節することによって、多視点無眼鏡3D映像ディスプレイを具現することができるという効果が奏する。
【0021】
本発明によれば、バリアパネルの制御時、観察者との距離、角度などを判断して最適の映像をディスプレイすることができる。また、観察者の視点角度及び距離によってバリアパネルを映像パネルのピクセル当りM×N個のバリア領域の明るさを制御することによって、3D視聴時に目まいや疲れを緩和することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるバリアパネルを概略的に示す模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態による立体映像表示装置を概略的に示すブロック図である。
【図3】本発明の他の実施形態による立体映像表示装置を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による立体映像表示方法を概略的に示す流れ図である。
【図5】本発明の他の実施形態による立体映像表示方法を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0024】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるバリアパネルについて詳記する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるバリアパネルを概略的に示す模式図である。図2は、本発明の実施形態によるバリアパネルを含む映像表示装置を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態によるバリアパネル10は、多数のピクセルを有する映像パネル30に対応して配置される。バリアパネル10は、映像パネル30の前面または背面に配置される。
【0028】
バリアパネル10は、映像パネル30の各ピクセル31当りM×N個のバリア領域を成すように形成されている。各ピクセル当りM×N個のバリア領域を形成させ、各バリア領域の明るさを調節することによって、観察者の位置及び距離によってより一層正確な立体映像を観察者に表示することができる。例えば、M×N×L方式でバリア領域が制御される。M×Nは、各ピクセル当りバリア領域の数を表し、Lは各バリア領域での明るさを表す。
【0029】
一実施形態によれば、M×N個のバリア領域での行の数M及び列の数Nは、各々1以上である。また、一実施形態によれば、M×N個のバリア領域での列の数Nは、2以上である。なお、行の数Mは2以上であってもよい。一実施形態によれば、行の数Mより列の数Nが大きい。両眼が左右に配置されているため、列方向へのバリア配列が多いほど良い。
【0030】
本実施形態によるバリアパネル10は、各ピクセル当りM×Nバリア領域別にL段階の明るさが調節され、M×N×L方式で制御されるため、映像パネル30から立体映像用イメージが観察者に表示されるようにする。バリア領域の明るさが調節されれば、観察者の位置及び距離の移動が微細な場合にも、より正確に観察者に映像パネル30の左右側イメージを伝達することができる。
【0031】
また一実施形態によれば、バリア領域の明るさは、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間明るさ段階を有して制御される。M×N×L方式のバリア領域制御において、Lは3以上であってもよい。図2に示すように、バリア領域#1、#2、#3は各々異なる明るさを有する。バリア領域#1は、バリアがオフされて、映像パネル30のイメージが観察者にも完全に表示される領域である。バリア領域#3は、バリアがオンされて映像パネル30のイメージ表示を遮断する領域である。バリア領域#2は、バリア領域#1とバリア領域#3との中間段階であって、映像パネル30のイメージをかすかに観察者に提供する領域である。
【0032】
図1は、映像パネル、例えば3D LCDの各々の1ピクセル31に対して、M×N個のバリア領域に細く分けたことを示す。もし、視点が左側にあり、M×Nバリアセットの下方の映像パネル30のピクセルが左映像を表示している場合、M×Nバリア領域の左側部分のいくつのバリア領域はオフされて映像を表示し、M×Nバリア領域の右側部分はオンされて映像を遮断する。固定バリア方式のように、ピクセル上のすべての部分をオン/オフさせるのではなく、一つの液晶パネルのピクセルでも細く分けて、視点に合わせて映像を通過/遮断するようにすることができる。
【0033】
図2において、バリアパネルは、2次元のM×Nマトリクスのオン/オフが行われる状態で、追加で各M×Nマトリクスの透過率を調節して、映像が重なる部分の映像損失を最小化することができる。すなわち、M×Nバリア領域別にL段階の明るさを有するようにする。一つのバリア領域のドライバをLビットの深みで制御する。この場合、液晶パネルの1ピクセル31当りM×N個のバリア領域が2×L個の明るさを有する。すなわち、Lが明るさ段階ではなく明るさビット数である場合、M×N×2Lのマトリクス制御が可能である。
【0034】
一実施形態によれば、バリア領域を2ビット制御信号で制御する場合、バリアのオンからオフまで4段階の明るさLを有する。M×N×L方式で表現すると、Lは4である。
【0035】
本発明の一実施形態において、バリアは、液晶パネルの各ピクセル当りM×N個のバリア領域を形成し、各バリア領域は、液晶セルからなる。一実施形態によれば、バリアパネル10は、多数の液晶セルが薄膜トランジスタ(TFT)及び貯蔵キャパシタを有する能動マトリクス型であってもよく、列電極と行電極とが交差する領域に液品セルが形成された単純マトリクス型であってもよい。従って、バリアが能動マトリクス型の場合は、一般的なTFT液晶表示装置の駆動方法に基づいて駆動され、単純マトリクス型の場合には、一般的な単純マトリクス液晶表示装置の駆動方法に基づいて駆動される。本実施形態のバリアパネル10は、図2に示すように、映像表示装置の制御部50による駆動信号によって、各バリア領域の液品セルが不透明セル、透明セルまたは半透明セルとしてバリア領域の明るさ形態が変更される。
【0036】
本発明の実施形態によれば、液晶パネルの1ピクセル当りM×Nバリア領域をL個の明るさ段階で調節してM×N×Lマットリックス形態で制御するため、周辺の明るさ、消耗電力及び観察者の数に応じる適切な無眼鏡多視点3D映像の具現が可能になる。特に、観察者が多数である場合にも、1ピクセル当りM×N×Lマットリックス形態で制御するので、できるだけ各観察者に対して適切な3D映像を提供することができる。
【0037】
また、本発明の実施形態によれば、液品パネルのピクセル当り各M×N個のバリア領域各々の明るさLを調節することによって、両眼交差部分の目まいを最小化すると共に、特に液晶パネルの回転可否に係わらず3D立体映像をディスプレイすることができる。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態による立体映像表示装置について詳記する。前述の実施形態と重複する説明は省略することにする。
【0039】
図2は、本発明の他の実施形態による立体映像表示装置を概略的に示すブロック図で、図3は、本発明の他の実施形態による立体映像表示装置を概略的に示すブロック図である。
【0040】
図2を参照して、映像表示装置の一実施形態について詳記する。図2に示すように、一実施形態による映像表示装置は、映像パネル30、バリアパネル10及び制御部50を含む。
【0041】
映像パネル30は、多数のピクセルを有して立体映像用イメージを表示する。一実施形態によれば、映像パネル30は、多数の液品セルからなる。多数の液晶セルからなる映像パネル30は、周知されているため、具体的な説明は略する事にする。
【0042】
図2において、バリアパネル10は、映像パネル30の前面または背面に対応して配置される。また、バリアパネル10は、映像パネル30の各ピクセル当りM×N個のバリア領域を成すように形成されている。また、一実施形態によれば、バリアパネルは、行の数M及び列の数Nは各々1以上であり、各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成される。また、一実施形態によれば、行の数Mは1以上で、列の数Nは2以上である。一実施形態によれば、行の数Mより列の数Nが多い。
【0043】
図2のバリアパネル10では、各バリア領域別に明るさが調節される。例えば、L個の明るさ段階で明るさが調節される。この場合、各ピクセルのバリア領域をM×N×L方式で制御することができる。
【0044】
また一実施形態によれば、バリアパネルは、制御部50によってオン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間段階を有して制御され、バリア領域の明るさが少なくとも3段階以上で調節される。M×N×L方式の制御で、Lは3以上である。図2に示すように、バリア領域#1、#2、#3が各々異なる明るさを現わす。バリア領域#1は、バリアがオフされて映像パネル30のイメージが観察者にも完全に表示される領域である。バリア領域#3はバリアがオンされて映像パネル30のイメージ表示を遮断する領域である。バリア領域#2は、バリア領域#1とバリア領域#3との中間段階として、映像パネル30のイメージをかすかに観察者に提供する領域である。
【0045】
また図2に示すように、制御部50は、映像パネル30から立体映像が表示されるように各バリア領域別に明るさを制御する。例えば、一実施形態によれば、制御部50でバリア領域を2ビットの制御信号で制御する場合、バリアのオンからオフまで4段階の明るさLで調節することができる。図2において、バリアパネル10は、2次元のM×Nマトリクスのオン/オフが行われる状態で、追加で各M×Nマトリクスの透過率を調節してM×N×Lマトリクスを制御することによって、映像が重なる部分の映像損失を最小化することができる。一つのバリア領域のドライバをLビットの深みで制御する。この場合、液品パネルの1ピクセル31当りM×N個のバリア領域が2×L個の明るさを有することになる。
【0046】
本発明の実施形態によれば、映像パネル30の1ピクセル31当りバリア領域をM×N×Lマットリックス形態で制御するため、周辺の明るさ、消耗電力及び視聴者の数に応じて適切な無眼鏡多視点3D映像の具現が可能になる。Lは、明るさの段階を表す。
【0047】
次に、図3を参照して、一実施形態による立体映像表示装置について詳記する。
【0048】
図3に示すように、一実施形態による立体映像表示装置は、映像パネル30、バリアパネル10及び制御部50に加えて、トラッキングシステム70をさらに含む。
【0049】
図3のトラッキングシステム70は、観察者領域の映像を獲得し、該観察者の観察位置情報を算出する。
【0050】
制御部50は、観察者の観察位置に映像パネル30の立体映像が露出するように、観察位置情報によってバリアパネル10の各バリア領域の明るさを制御する。
【0051】
また、図3に示すように、一実施形態によれば、トラッキングシステム70は、カメラモジュール71とトラッキング部73とを含む。カメラモジュール71は、観察者領域の映像を獲得する。トラッキング部73は、映像を用いて観察位置情報として観察者の両眼の位置及び距離を算出する。例えば、観察者の両眼の位置を把握するためには、先にカメラで取り込まれた映像領域から眼面部位を抽出し、該部位に、例えば赤外線を放射して、両眼の位置をより正確に算出してもよい。トラッキングシステム70での距離測定方式には、例えば、TOF(Time Of Flight)方式が挙げられる。または、前面カメラでも距離測定ができる。例えば、ステレオカメラで先に両眼間の距離を認識させ、前面カメラで基準値に対して現在撮影された映像の大きさを計算することによって、距離を抽出してもよい。または、赤外線を用いる方式でも距離を測定してもよく、これに限定するものではない。赤外線を用いる場合には、発光された赤外線が被写体で反射する量に応じて、映像の領域別に電圧が変わることを用いて距離を測定してもよい。トラッキングシステム70で事物の位置及び距離を算出することは周知である。
【0052】
制御部50は、両眼の位置及び距離の情報からバリアパネルの各バリア領域の明るさを制御するための制御値を獲得し、該制御値によって各バリア領域の明るさを制御する。一実施形態によれば、制御値は、ルックアップテーブルなどを用いて両眼の位置及び距離に応じる適切な値を算出することができる。または、プログラムされた算出式によって、両眼の位置及び距離に応じる制御値を算出してもよい。
【0053】
図3に示すように、本実施形態において、液晶パネルの1ピクセル31に対するM×N×L次元のバリア制御は、入力情報として液晶表示装置と観察者との距離及び角度情報が用いられる。カメラモジュール71で得た映像を用いて、映像表示装置と観察者との間、詳しくは、観察者の両眼間の距離情報が分かることができ、また視点追跡を用いて視点の角度情報も分かることができる。一実施形態によれば、距離測定は、TOF方式を利用してもよい。距離の測定は前面カメラで行われてもよい。例えば、ステレオカメラで、先に両眼間の距離を認識させ、前面カメラで基準値に対して現在撮影された映像の大きさを計算することによって、距離を抽出してもよい。図3に示すように、このような情報に基づいて、直接I2Cを用いてバリアの制御を行ってもよい。または、このような情報をAP(Application Processor)に伝達し、該APが入力された3D映像と同期されたバリア制御情報をバリアパネルに伝達してもよい。APは、現在の3Dシステムにおいて3D映像の生成器、フォーマッタ、バリアOn/Off制御などを行う。例えば、携帯端末のディスプレイをAPが制御する場合、該APにバリア制御情報(例えば、位置情報、各サブピクセルのOn/Off情報、同期用タイミング情報など)を伝達し、該APが制御情報に応じて各々のバリアを制御してもよい。図3において、I2Cは、例えば、制御情報を伝達するための単純通信プロトコルであって、携帯端末において多用されるインターフェース(I/F)方法である。図3において、制御部50は、自身が制御しなければならない情報をI2Cというプロトコルで伝送する。制御部50は、入力された情報(例えば、距離、両眼の前面対比角度など)を総合して、LCDの何番目のサブバリアをオンまたはオフすべきであるかを決める。制御部50からの出力情報は、LCDの大きさによって異なり、サブバリアの大きさ及び映像速度によって異なる。
【0054】
本実施形態において、観察者の視点による左右映像のフィルタリングをバリアと連携して行われるため、映像の重なりや視点の移動による画面のフェードダウン現象を除去することによって、完全な無眼鏡多視点3D映像をディスプレイすることができる。
【0055】
従来の固定バリア構成の場合、計算値に基づいて正確に指定されたピクセル上にバリアが位しなければならない。この場合、計算値は、観察者または視聴者がLCDからどの位の距離、例えば携帯端末の場合、数cmの距離だけ離れて、両眼間の距離は何cmなのかによって決まるようになる。このような値が決まっても、バリアが計算された位置で3D視点が位置しない場合、3D映像が重なったように見えるため、結局、高価の装備を用いて整列するしかない。
【0056】
しかし、本発明の一実施形態では、一つの液品パネルのピクセル、例えばLCDピクセルを担当するバリアを細く分けて配置するため、正確な位置にバリアがないとしても、細く分けた分でバリアとピクセルとの間のオフセットを把握して、バリアの明るさを調節する。そのため、従来の固定バリアより性能が向上した3D効果を得ることができる。例えば、バリアの最初部分が、LCDピクセルx−y座標で、x軸の方に1/4ピクセル分隔てられたところで一番目のバリアが出たら、バリア制御情報のすべてを1/4ピクセルにあたる値分加えて、制御アルゴリズムを駆動させ、該値をAPやバリア制御部50に伝達して制御してもよい。
【0057】
次に、本発明の第3の実施形態による立体映像表示方法について詳記する。前述の実施形態と重複する説明は省略することにする。
【0058】
図4は、本発明のさらに他の実施形態による立体映像表示方法を概略的に示す流れ図で、図5は、本発明の他の実施形態による立体映像表示方法を概略的に示す流れ図である。
【0059】
図4に示すように、本発明の一実施形態による立体映像表示方法は、観察者の位置情報によって、多数ピクセルを有する映像パネル30の各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成されるように、映像パネル30に対応して配置されたバリアパネル10の各バリア領域別に明るさを調節する。各バリア領域別に明るさを調節することによって、映像パネル30から立体映像用イメージが表示されるようにできる。
【0060】
詳しくは、図4及び図5に示すように、立体映像表示方法の一実施形態は、位置トラッキングステップ(S100)及びバリア制御ステップ(S200)を含む。
【0061】
図4の位置トラッキングステップ(S100)では、観察者領域の映像を獲得し、該観察者の観察位置情報を算出する。
【0062】
図5に示すように、一実施形態によれば、位置トラッキングステップは、観察者領域の映像を獲得するステップ(S1100)と、映像を用いて観察位置情報として観察者の両眼の位置及び距離を獲得するステップ(S1200)とを備える。
【0063】
本実施形態によれば、液品パネルの1ピクセル当りM×Nバリア領域をL個の明るさ段階で調節してM×N×Lマットリックス形態で制御するため、周辺の明るさ、消耗電力及び観察者の数に応じて適切な無眼鏡多視点3D映像の具現が可能になる。特に、観察者が多数である場合にも、1ピクセル当りM×N×Lマットリックス形態で制御するので、各観察者にできるだけ適切な3D映像を提供することができる。
【0064】
続いて、図4に示すように、バリア制御ステップ(S200)では、観察位置情報によって、映像パネル30の前面または背面に対応して配置されたバリアパネル10の各バリア領域別に明るさを調節して、観察者に映像パネル30の立体映像が表示されるように制御する。
【0065】
図5に示すように、一実施形態において、バリア制御ステップは、両眼の位置及び距離の情報からバリアパネルの各バリア領域の明るさを制御するための制御値を獲得するステップ(S2100)と、該制御値によって両眼に映像パネル30の立体映像用イメージが露出するように各バリア領域の明るさを制御するステップ(S2200)とを含む。
【0066】
また、一実施形態において、図4のバリア制御ステップ(S200)にて、バリア領域の明るさは、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間段階を有して制御され、少なくとも3段階以上に調節される。
【0067】
なお、本発明の他の実施形態によれば、バリアパネルは、行の数M及び列の数Nは各々1以上であり、各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成されている。一実施形態によれば、行の数Mは1以上で、列の数Nは2以上である。一実施形態によれば、行の数Mより列の数Nが多い。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10 バリアパネル
30 液晶パネル
50 制御部
70 トラッキングシステム
71 カメラモジュール
73 トラッキング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のピクセルを有する映像パネルに対応して配置され、前記映像パネルの各ピクセル当りM×N個のバリア領域を成すように形成され、各バリア領域別に明るさが調節されて前記映像パネルから立体映像用イメージが表示されるようにするバリアパネル。
【請求項2】
前記バリア領域の明るさは、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間明るさ段階を有して制御される請求項1に記載のバリアパネル。
【請求項3】
前記M×N個のバリア領域での行の数M及び列の数Nは、各々1以上である請求項1に記載のバリアパネル。
【請求項4】
前記M×N個のバリア領域での列の数Nは、2以上である請求項3に記載のバリアパネル。
【請求項5】
多数のピクセルを有し、立体映像用イメージを表示する映像パネルと、
前記映像パネルの前面または背面に対応して配置され、各ピクセル当りM×N個のバリア領域を成すように形成され、各バリア領域別に明るさが調節されるバリアパネルと、
前記映像パネルから立体映像が表示されるように、前記各バリア領域別に明るさを制御する制御部
とを含む立体映像表示装置。
【請求項6】
前記バリアパネルは、前記制御部によって、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間段階を有して制御されて、前記バリア領域の明るさが少なくとも3段階以上に調節される請求項5に記載の立体映像表示装置。
【請求項7】
前記バリアパネルは、行の数M及び列の数Nは、各々1以上であり、各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成される請求項5に記載の立体映像表示装置。
【請求項8】
前記行の数Mは1以上で、前記列の数Nは2以上である請求項7に記載の立体映像表示装置。
【請求項9】
観察者領域の映像を獲得して前記観察者の観察位置情報を算出するトラッキングシステムを、さらに含み、
前記制御部は、前記観察者の観察位置に前記映像パネルの前記立体映像が露出するように、前記観察位置情報に応じて前記バリアパネルの各バリア領域の明るさを制御する請求項5〜8のうちのいずれか一つに記載の立体映像表示装置。
【請求項10】
前記トラッキングシステムは、
前記観察者領域の映像を獲得するカメラモジュールと、
前記映像を用いて前記観察位置情報として前記観察者の両眼の位置及び距離を算出するトラッキング部と、を含み、
前記制御部は、前記両眼の位置及び距離の情報から前記バリアパネルの各バリア領域の明るさを制御するための制御値を獲得し、該制御値によって各バリア領域の明るさを制御する請求項9に記載の立体映像表示装置。
【請求項11】
観察者の位置情報によって、多数ピクセルを有する映像パネルの各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成されるように前記映像パネルに対応して配置されたバリアパネルの各バリア領域別に明るさを調節して、前記映像パネルから立体映像用イメージが表示されるようにする立体映像表示方法。
【請求項12】
観察者領域の映像を獲得して該観察者の観察位置情報を算出する位置トラッキングステップと、
前記観察位置情報によって、前記映像パネルの前面または背面に対応して配置された前記バリアパネルの各バリア領域別に明るさを調節して前記観察者に前記映像パネルの立体映像が表示されるように制御するバリア制御ステップと
を含む請求項11に記載の立体映像表示方法。
【請求項13】
前記バリア制御ステップにて、前記バリア領域の明るさは、オン、オフ及びオンとオフとの間のうちの少なくとも一つの中間段階を有して制御されて、少なくとも3段階以上に調節される請求項12に記載の立体映像表示方法。
【請求項14】
前記位置トラッキングステップは、
前記観察者領域の映像を獲得するステップと、
前記映像を用いて前記観察位置情報として前記観察者の両眼の位置及び距離を獲得するステップと、を含み、
前記バリア制御ステップは、
前記両眼の位置及び距離の情報から前記バリアパネルの各バリア領域の明るさを制御するための制御値を獲得するステップと、
該制御値によって前記両眼に前記映像パネルの立体映像用イメージが露出するように前記各バリア領域の明るさを制御するステップ
とを含む請求項12に記載の立体映像表示方法。
【請求項15】
前記バリアパネルは、行の数M及び列の数Nは、各々1以上であり、各ピクセル当りM×N個のバリア領域が形成される請求項11〜14のうちのいずれか一つに記載の立体映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80224(P2013−80224A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209326(P2012−209326)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】