説明

バルデナフィルを含有する制御放出製剤

【課題】ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤バルデナフィル({2−エトキシ−5−[(4−エチル−1−ピペラジニル)スルホニル]フェニル}−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]トリアジン−4(3H)−オン)を有効成分として含有する制御放出医薬投与剤形の提供。
【解決手段】有効成分の放出を制御する膜、pH改変物質、及び拡散または侵食を介して有効成分を送達するマトリックス等を含む浸透性医薬物質放出剤形。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDE5阻害剤バルデナフィル(vardenafil)および/またはそれらの医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物および/または多形(polymorphic forms)を有効成分として含む、有効成分の制御放出を伴う新規医薬投与形、およびそれらの製造に関する。本発明は、さらに、これらの新規医薬投与形の医薬としての使用、並びにヒトおよび動物における障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PDE5阻害剤バルデナフィルは、系統名{2−エトキシ−5−[(4−エチル−1−ピペラジニル)スルホニル]フェニル}−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]トリアジン−4(3H)−オンを有する式(I)の化合物である:
【化1】

【0003】
細胞内cGMPレベルは、一方ではNOで活性化されるグアニル酸シクラーゼによる合成と、他方ではホスホジエステラーゼ(PDE)類による分解の相互作用により制御される。陰茎の海綿体組織におけるPDE5は、勃起に重要なcGMPレベルの制御を主に担う。
【0004】
NO/cGMP系は、勃起の血行動態過程に非常に重要な役割を果たす。cGMP分解酵素PDE5の阻害は、ことさらに性的刺激に関連する、NOレベルの上昇を伴う状況で、特に有効である。この状況のために、長期間持続するPDE5阻害剤の血漿レベルは、性的刺激が生じる度に、性機能不全に対する効果を発揮し得る。他の疾患においても、長期間持続するPDE5阻害剤の曝露は、治療効果の改善、血漿レベルのゆらぎの低減、投与すべき用量の低減、および/または、副作用の低減を導くことが可能である。
【0005】
本発明は、有効成分の制御放出により卓越している、PDE5阻害剤バルデナフィル、その塩、水和物、溶媒和物、多形および特に塩酸塩三水和物の新規医薬投与形に関する。
【0006】
バルデナフィルおよびその製造および使用は、例えばWO99/24433、WO02/50076、WO02/089808およびWO03/011262に記載されている。
【0007】
有効成分の制御放出を伴う投与形は、原則として当分野で知られている。cGMP PDE5阻害剤を含む有効成分の制御放出を伴う投与形は、対照的に、殆ど知られていない。WO00/24383は、制御放出を伴うPDE5阻害剤の医薬製剤を特許請求しているが、バルデナフィルは、特有の物理化学的および薬物動態学的な特性のために、これらのPDE5阻害剤とは実質的に異なる。特に、他のcGMP PDE5阻害剤、例えばシルデナフィルよりかなり高い初回通過効果を受けるバルデナフィルの絶対的な経口バイオアベイラビリティーが非常に低く、バルデナフィルの溶解性が非常に明白なpH依存性を示すことが、特に非常に重要である。
【0008】
今日までの先行技術は、勃起不全の急性処置用の即時放出錠剤としてのバルデナフィルの使用しか含まない。有効成分の制御放出を伴う医薬形からのバルデナフィルの使用は知られておらず、様々な理由から今日まで考慮されなかった。
【0009】
一方で、今日まで使用されてきた、もっぱら即時放出であるPDE5阻害剤バルデナフィルの医薬形は、それらの迅速な作用開始およびそれらの限定された比較的短い作用期間を介して、今日まで存在した、必要に応じる処置の標的プロフィールを満足してきた。それらは、患者の物質への長期間の曝露をいたずらに伴わない。
【0010】
他方で、長い排出半減期のPDE5阻害剤の使用の際に増加すると観察されてきた通り、望まれない副作用、例えば長期間持続する曝露の際の腰痛の発生の増加があり得るという懸念がある。
【0011】
従って、医薬治療の信頼性と安全性に悪影響を与えずに、バルデナフィルを遅延放出医薬形として用いることが可能であるとは、今日まで思われていなかった。
【0012】
加えて、バルデナフィル、その塩、水和物および溶媒和物の物理化学および薬物動態学的特性のために、バルデナフィルの遅延放出医薬形の開発および使用は不可能であると見なされてきた。バルデナフィル、その塩、水和物および溶媒和物の溶解性は、極度にpH依存性であり、例えば、バルデナフィル塩酸塩三水和物の溶解性は、0.1N塩酸中で65mg/ml(可溶)であり、pH4の0.15Mリン酸バッファー中で0.87mg/ml(ごく僅かに可溶)であり、pH7の0.15Mリン酸バッファー中では、0.03mg/ml(事実上不溶)である。この高いpH依存性は、有効成分の制御放出を伴う経口使用のための医薬投与形の開発に、特に障害となる。なぜなら、その医薬形は、消化(GI)管を通過する際に、約pH1からpH7.5まで大きく変動するpH値を有する媒体に曝されるからである。遅延放出医薬形からの十分なバイオアベイラビリティーを達成するためには、可能であれば物質は消化管全体にわたって吸収されなければならない。しかしながら、バルデナフィルの場合、その物質がGI管の下部区域で事実上不溶であるので、そしてそれ故に有効成分が小腸の下部区域および大腸で沈殿し、従ってGI管の実質的な領域から吸収されないと考える必要があるので、非常に狭い吸収ウインドウが予測された。さらに、バルデナフィルは、初回通過で85%分解され、従って僅か15%の非常に低い絶対的経口バイオアベイラビリティーを有することが知られている。それは、他のcGMP PDE5阻害剤の絶対的経口バイオアベイラビリティーより顕著に低い。有効成分の放出の遅延は、通常、非常に大きい初回通過効果を受ける物質の場合、経口バイオアベイラビリティーの完全な喪失を導く。なぜなら、有効成分レベルの遅い上昇は、門脈血中の濃度が低いままであるので、代謝を行う肝臓の酵素の能力が、完全な分解に十分であることを意味するからである。
【0013】
これらの理由から、バルデナフィルは、有効成分を制御された様式でGI管の比較的広い領域にわたり放出する投与形において使用するには、狭い吸収ウインドウおよび不適当なバイオアベイラビリティーを有すると予測され、従ってかかる製剤の開発は事実上不可能であると思われた。
【0014】
狭い吸収ウインドウおよびGI管の上部区域での優先的な吸収を有する物質の不適当なバイオアベイラビリティーの問題を解決するひとつの理論的可能性は、医薬形の上部GI管での残留時間を延長することである。他の有効成分について、かかる投与形を開発するために、多数の試みがなされ、胃での残留時間を延長することを意図する様々な原理が現在知られている。例えば、US6306439は、膨潤および体積の膨張を介して胃に留まることを意図する膨潤システムの使用を記載しており、一方、EP0415671は、特定の外形(geometry)と大きさを有するシステムを特許請求している。他方で、例えばWO03/051304に記載の製剤では、通過時間を延長するために、生体接着(bioadhesive)特性を利用することが企図されている。例えばUS5626876に記載されている通りの非常に低密度の浮遊性(floating)医薬形は、さらなる原理を代表するが、高密度の製剤も、例えばEP0526862で、胃での残留時間を延長するために特許請求されている。しかしながら、実際にこのようなシステムの成功を示すことは、今日まで可能ではなかった。特に、絶食状態で投与されると、ハウスキーパー収縮(housekeeper waves)を介して、注目に値するほど遅延せず医薬形が胃からなくなるので、かかるシステムは胃での残留時間の延長という所望の効果を示さない。
【0015】
これらの理由で、それにより上記の先行技術の問題が克服される、バルデナフィル、その塩、水和物、溶媒和物および多形の医薬製剤の開発が望まれた。
【発明の概要】
【0016】
この度、驚くべきことに、有効成分バルデナフィルを制御された様式で延長された期間にわたり消化管全体で放出する投与形の開発が可能となった。従って、それを介して上記の先行技術の問題を克服できる特定の放出プロフィールを有する医薬製剤を見出すことができた。これに関して、2時間で80%ないし24時間で80%の平均放出速度を維持することが非常に重要である。
【0017】
これらの特定の放出プロフィールを有する多数の製剤の臨床研究で、本発明によるこれらの投与形の使用の際に、GI管の深い区域からも物質が吸収されることを示すことができた。
【0018】
限られた曝露時間の即時放出製剤が勃起不全の処置用のバルデナフィルに最適な投与形であると最初に思われた後、この度、より長い曝露時間が、顕著な利点を有することが見出された。有効成分の制御放出を伴う医薬を使用する際の延長されたバルデナフィルへの曝露は、性的機能の改善を達成できる時間ウインドウの実質的な延長を可能にし、故に延長された期間にわたり、例えばバルデナフィル含有医薬の投与の24時間後まで、性的活動を可能にする。かくして、患者の性的生活における柔軟性および自発性の顕著な改善が達成され、より良好な治療結果および患者の満足の増加が得られる。
【0019】
加えて、PDE5阻害剤バルデナフィル有効成分の制御放出を伴う投与形は、他の新しい適応症の治療にも適し、先行技術の即時放出医薬形よりも実質的な利点を示す。有効成分の制御放出を伴う新規医薬形の使用は、実質的により一定した血液レベルの達成を可能にし、血液レベルのピークの発生を回避し、かくして、例えば治療効力を改善し、望まれない副作用の頻度および強度を低減する。加えて、かかる投与形の使用は、投与頻度を低減し、かくして患者による許容性および服薬率の改善を導く。
【0020】
臨床研究は、驚愕的なことに、先行技術に基づく事前の予想に反して、副作用、治療の信頼性および安定性への有害作用の増加を発生させずに、曝露を延長することが可能であることも開示する。
【0021】
従って、本発明は、バルデナフィルおよび/またはそれらの医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物および/または多形を有効成分として含み、2時間で80%ないし24時間で80%の平均放出速度を有する新規医薬投与形に関する。
【0022】
本発明の定義に準じる初期放出および平均放出速度を確かめるには、本発明による投与形からの有効成分の放出を、USP28−NF23(The United States Pharmacopoeia USP 28 2005)のパドル器具「器具2」で試験する。使用する放出媒体は、0.1%(m/V)ラウリル硫酸ナトリウムを含むpH6.8のリン酸バッファー900mlである(この媒体1リットルの製造:オルトリン酸水素二ナトリウム二水和物2.747g、クエン酸一水和物0.475gおよび10%(m/m)ラウリル硫酸ナトリウム溶液10gを、脱イオン水に溶解し、1000mlとする。必要ならば、水酸化ナトリウムまたはオルト−リン酸でpHを6.8±0.05に合わせる。)。放出は、おもりを使用して、37±0.5℃の温度で、パドルの回転速度毎分75回転(rpm)で実施する。付随物質の除去を確実にする濾過ユニットを通してサンプルを放出媒体から取り、そこに溶解されている有効成分の量を、UV−VIS検出を伴うHPLCにより決定する。かくして決定された有効成分の量を、用いた有効成分の全体量によりパーセントに変換する。本発明の文脈における平均放出速度は、有効成分の放出が80%に達するまでの時間により定義され、一方、初期放出は、30分後の有効成分の放出割合を記載する。
【0023】
有効成分の制御放出を伴う本発明による投与形は、好ましくは、3ないし20時間の時間間隔で、平均放出速度80%を有する(3時間で80%ないし20時間で80%)。
【0024】
本発明の有効成分の制御放出を伴う医薬製剤の特に好ましい実施態様では、製剤は、3ないし18時間の期間で80%の平均放出速度および最初の30分間の放出で有効成分の65%を超えない初期放出を有する。
【0025】
有効成分の制御放出を伴う本発明による投与形は、最初の30分間で医薬物質の0ないし30%の比較的低い初期放出または最初の30分間で30ないし60%の比較的高い初期放出を達成するように、製剤化できる。
【0026】
4ないし18時間の期間で平均放出速度80%を有する、有効成分の制御放出を伴う本発明の投与形の好ましい実施態様では、これは、最初の30分間の放出で0ないし25%の比較的低い初期放出を有する。
【0027】
有効成分の制御放出を伴う医薬製剤の別の好ましい配置は、3ないし16時間の期間で80%の平均放出速度を有し、最初の30分間で有効成分の35ないし60%の比較的高い初期放出により卓越している。
【0028】
本発明の有効成分の制御放出を伴う投与形は、有効成分の放出が、例えば常套の錠剤またはカプセル剤などの即時放出医薬形からよりも低い送達速度でそれが起こるように改変されている、全ての製剤に言及する。
【0029】
本発明の有効成分の制御放出を伴う投与形は、有効成分の送達が、常套の即時放出医薬形よりも遅い時間に放出が始まるように改変されている、遅延放出を伴う製剤も含む。遅延放出医薬形からの後続の放出も、低減された放出速度を伴う制御された様式で起こり得る。
【0030】
有効成分の制御放出を伴う本発明による投与形は、有効成分の送達が様々な時間または消化管の特定の部位で断続的に起こるパルス状放出を伴う製剤、および、異なる有効成分の制御送達の原理を組み合わせた製剤も含む。
【0031】
本発明の投与形は、さらに、有効成分の一部を即時放出形で含み、有効成分のさらなる一部を制御放出形で含む医薬製剤も含む。
【0032】
本発明の特定の態様は、酸、塩基、緩衝物質および/またはpH依存的溶解性を有する物質、例えば、胃液耐性のポリマー、を補助剤として含む、有効成分の制御放出を伴う投与形により代表される。
【0033】
制御放出挙動を有する新規製剤は、様々な経路で投与できる。経口投与が特に好ましいが、他の投与経路、例えば、頬側への、舌下への、吸入による、眼への、経皮での、または直腸への投与またはインプラント形態での使用も可能である。
【0034】
制御放出挙動を有する固体、半固体または液体製剤を用いることが可能である。固体の投与形が好ましい。本発明による医薬製剤は、溶解、懸濁かつ/または固体、不定形または結晶の形態で有効成分を含み得る。
【0035】
有効成分の制御放出を伴う本発明による投与形を製造するために、有効成分を、例えば、粉砕していない(unground)、粉砕した(ground)または微粉化した(micronized)形態の様々な粒子サイズで用いることができる。
【0036】
有効成分の制御放出を伴う上記の投与形は、例えば、ペレット剤、顆粒剤、マイクロカプセル剤、錠剤、押出物(extrudate)などの有効成分含有粒子の形態にあるか、または、拡散制御膜で被覆された有効成分の結晶である。これらの拡散制御システムは、好ましくは、多粒子性である。即ち、好ましくは、それらは多数の被覆されたコアから、例えば中性ペレット剤からなり、その上に、例えば下記に定義する通り、有効成分の混合物を、常套の結合剤および増粘剤と共に、必要に応じて常套の補助剤および担体と共に載せ、続いて可塑剤および他の補助剤を含み得る拡散被覆で被覆する。本発明による拡散制御システムは、さらに、例えば造粒、ローター造粒、流動床式凝集、錠剤化、湿式押出または溶融押出により、必要に応じて球形化して製造される、均一な有効成分含有コアからなってもよく、そして、可塑剤および他の補助剤を含み得る拡散被覆で被覆する。この発明の好ましい実施態様では、有効成分含有粒子は、例えば酸または緩衝物質などの補助剤を含み、それは、pHを改変し、かくして有効成分放出の放出媒体のpHへの依存性を低減するのに貢献する。本発明のさらなる好ましい実施態様では、拡散制御膜は、それらのpH依存的溶解性を介して異なるpH値で膜の透過性に影響を与え、かくして有効成分放出のpH依存性の最小化を補助する賦形剤を含む。
【0037】
好ましくは、被覆中性ペレット剤の製造に使用される結合剤および増粘剤(例えば、スクロース、微結晶セルロース、クエン酸からなる)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびポリビニルピロリドン(PVP)である。例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、他のヒドロキシアルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルメチルセルロース類、カルボキシメチルセルロース類およびそれらの塩、ポリアクリル酸類、ポリメタクリレート類、ゼラチン、スターチまたはスターチ誘導体などの他の天然、合成または部分的合成ポリマーを用いることも同様に可能である。
【0038】
造粒、流動床式凝集、湿式押出、錠剤化による有効成分のペレット剤、有効成分含有粒子および(小型)錠剤の製造に用いる結合剤および賦形剤は、例えばセルロース、微結晶セルロース、セルロース誘導体、例えば、HMPC、HPCおよび低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、リン酸二カルシウム、ラクトース、PVPおよびスクロースである。
【0039】
溶融押出ペレット剤は、有効成分を熱可塑性補助剤、例えば、HPC、HPMC、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、PVP、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート類、ポリビニルアルコール(PVA)類、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート(PVAc)、ポリサッカライド(例えば、アルギン酸、アルギン酸塩、ガラクトマンナン類)、蝋、脂質および脂肪酸誘導体に導入することにより製造する。
【0040】
本発明の好ましい実施態様では、例えば、酸、塩基および緩衝物質などのpH改変物質を、有効成分含有コアに導入する。これらの物質の添加は、バルデナフィルおよびその塩、水和物、溶媒和物の放出のpH依存性を顕著に低下させることを可能にする。有効成分含有コアのpHを改変する適当な補助剤の例は:アジピン酸、リンゴ酸、L−アルギニン、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、コハク酸、クエン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、酒石酸水素カリウム、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トロメタモール(trometamol)、酒石酸である。好ましくは、クエン酸、コハク酸、酒石酸、酒石酸水素カリウムを用いる。
【0041】
拡散被覆の製造に特に適するのは、エチルセルロース類、例えば、Aquacoat(登録商標) または Surelease(登録商標)の名称で購入できる水性分散剤として、および、ポリメタクリレート類、例えば、Eudragit(登録商標) NE、Eudragit(登録商標) RS および RLである。しかしながら、他の材料、例えばセルロースアセテートおよびセルロースアセテートブチレートも、フィルム形成性拡散制御ポリマーとして用いることができる。
【0042】
本発明の好ましい実施態様では、拡散被覆は、拡散制御ポリマーの他に、pH依存的溶解性を有する補助剤、例えば、胃液耐性のポリマー、例えば、セルロースフタレート類、特にセルロースアセテートフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルローススクシネート類、特にセルロースアセテートスクシネートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートまたはポリメタクリレート類(例えば、Eudragit(登録商標) L)も含む。これらの物質の添加は、より高いpH値(例えば、pH4.5およびpH6.8)でバルデナフィルおよびその塩、水和物、溶媒和物の放出を加速し、かくして有効成分の放出のpH依存性を低減することを可能にする。pH依存的溶解性を有するこれらの物質は、フィルムの質量をベースとして、0ないし60%(m/m)、好ましくは10ないし50%(m/m)の割合で添加する。
【0043】
使用する可塑剤の例は、クエン酸誘導体(例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート)、フタル酸誘導体(例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート)、安息香酸および安息香酸エステル、他の芳香族性カルボン酸エステル(例えば、トリメルト酸(trimellithic)エステル)、脂肪族ジカルボン酸エステル(例えば、ジアルキルアジペート、セバシン酸(sebacic)エステル、特にジエチルセバセート、酒石酸エステル)、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテートまたはグリセロールトリアセテート、ポリオール類(例えば、グリセロール、1,2−プロパンジオール、様々な鎖長のポリエチレングリコール)、脂肪酸および誘導体(例えば、グリセロールモノステアレート類、アセチル化脂肪酸グリセリド類、ひまし油および他の天然油、Miglyol)および脂肪酸アルコール類(例えば、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール)。可塑剤の性質および量は、上記定義の本発明による放出および医薬形に必要な安定性が達成されるように選択する。可塑剤の割合は、好都合には、フィルムの質量をベースとして、0ないし50%(m/m)、好ましくは0ないし35%(m/m)、特に好ましくは0ないし25%(m/m)である。
【0044】
製造中および最終製品中の被覆粒子の接着を防止するために、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロールおよび Aerosil などの、いわゆる抗接着剤(antistick agent)を被覆に添加することが可能である。これらの抗接着剤の割合は、使用するポリマーおよび可塑剤または可塑剤の割合に依存し、通常、被覆フィルムの総質量の0ないし50%(m/m)である。
【0045】
本発明による放出速度は、被覆の組成および被覆層の厚さにより制御される。いわゆる「孔形成剤(pore former)」を、被覆または被覆しようとする粒子に、フィルムの透過性を高める添加物として入れることができる。用いる孔形成剤は、可溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、PVP、PVA、HPMC、HPC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、MC、カルボキシメチルセルロースまたはそれらの塩、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、デキストランまたは他の可溶性物質、例えば、尿素、塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムなど)、糖類(スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、マルトースなど)、糖アルコール類(マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトールなど)である。拡散フィルムの質量をベースとして、0ないし50%(m/m)、好ましくは0ないし35%(m/m)、特に好ましくは0ないし20%の孔形成剤を用いる。
【0046】
拡散フィルムの構成要素であり得るpH依存的溶解性を有する補助剤は、例えば、胃液耐性ポリマー、例えばセルロースフタレート類、特にセルロースアセテートフタレート、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルローススクシネート類、特にセルロースアセテートスクシネートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートおよびポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標) L)である。
【0047】
総質量をベースとして、記載した拡散制御医薬形は、0.5ないし50%(m/m)、好ましくは2ないし40%(m/m)の有効成分(バルデナフィルとして計算)、10ないし95%(m/m)の結合剤/賦形剤または溶融押出ペレット剤の場合は熱可塑性補助剤、および5ないし50%(m/m)、好ましくは5ないし40%(m/m)、特に好ましくは5ないし30%(m/m)の拡散被覆からなり、それらは、さらなる添加剤(pH改変物質、他の医薬的に常套の補助剤)を含み得る。
【0048】
拡散被覆または拡散層は、被覆の量をベースとして、40ないし100%(m/m)、好ましくは50ないし100%(m/m)のフィルム形成剤(フィルム形成性拡散制御ポリマーおよび、必要に応じて胃液耐性ポリマー)、0ないし50%(m/m)、好ましくは0ないし35%(m/m)、特に好ましくは0ないし25%の可塑剤および0ないし50%(m/m)、好ましくは0ないし35%(m/m)、特に好ましくは0ないし20%(m/m)の孔形成剤(水溶性ポリマーおよび他の水溶性物質)を含む。被覆は、さらに、フィルムの質量をベースとして0ないし50%(m/m)の抗接着剤および他の添加物(色素、着色料、界面活性剤、乳化剤、他の医薬的に常套の補助剤)を含み得る。
【0049】
本発明のさらなる態様は、膜を通して液体が浸透すると大きく膨潤し、膨潤と体積の膨張を介して被覆の分割を引き起こす、1種またはそれ以上の膨張可能な補助剤を含む、被覆された投与形である。被覆の分割は、医薬物質が投与形から、通常パルス状の形態で放出されることを可能にする。これらの製剤が含み得る膨潤可能な補助剤は、例えばポリビニルピロリドン類、クロスポビドン(crospovidone)類、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋ナトリウムカルボキシメチルスターチ、ポリエチレンオキシド類、ポリメタクリレート類、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース(L−HPC)である。適する被覆材料の例は、セルロースアセテート、エチルセルロースおよびポリメタクリレート類である。
【0050】
記載した被覆、拡散制御またはパルス状製剤は、直接かつ改変されずに医薬形として用いることができる。しかしながら、それらは、必要に応じて補助剤を添加して、最終投与形(例えば、カプセル剤、錠剤、サシェ(sachet)製剤)にさらに加工されてもよい。所望の放出プロフィールを達成するために、異なる被覆製剤を1つの医薬形中に組み合わせることも可能であり、最初の用量の投与を、例えば即時放出製剤粒子、例えば、非被覆ペレット剤、顆粒剤または散剤との組合せにより行うことができる。
【0051】
制御放出を伴う本発明による投与形のさらなる実施態様には、有効成分をマトリックス中に含む製剤の使用がある。これらのいわゆるマトリックス製剤は、拡散および/または侵食により有効成分を放出する。これらの製剤は、好ましくは、錠剤の形態であるか、または例えばカプセル化されていてよい複数の錠剤の形態である。錠剤は、被覆されていてもよい。かかるマトリックス製剤は、例えば成分を混合し、直接錠剤化することにより、または、乾式もしくは湿式造粒とその後の錠剤化により、製造される。
【0052】
これらの新規製剤における有効成分のマトリックス製剤の総質量に対する質量比は、1:1ないし1:200の範囲、好ましくは1:2ないし1:40の範囲にある。
マトリックス形成剤のふさわしい量は、好ましくは、製剤の質量の10ないし70%(m/m)の範囲にある。
【0053】
用いることができるマトリックス形成剤は、水溶性、水膨潤性(water-swellable)または水不溶性物質である。新規製剤は、好ましくは、1種またはそれ以上の水膨潤性ポリマーを含む。
【0054】
好ましいのは、さらに、水溶性のヒドロゲル形成性ポリマーを含む本発明の文脈の医薬製剤である。これらのポリマーは、少なくとも15cP、好ましくは少なくとも50cP(2%強度水溶液として、20℃で測定)の公称(nominal)粘度を有する。
【0055】
好ましく用いられる水溶性または水膨潤性マトリックス形成性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)類、ヒドロキシエチルメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)類、ヒドロキシエチルセルロース類、メチルセルロース(MC)類、エチルセルロース類、他のアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルメチルセルロース類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース類(NaCMC)、アルギン酸塩類、ガラクトマンナン類、例えば、ガウア(guar)およびイナゴマメ(carob)粉、キサンタン類、ポリエチレンオキシド類、ポリアクリル酸類、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸誘導体、ポリビニルアルコール類(PVA)、特に加水分解されたポリビニルアセテート(PVAc)、ポリビニルピロリドン(PVP)、寒天、ペクチン、アラビアゴム、トラガカント、ゼラチン、スターチまたはスターチ誘導体およびこれらの物質の混合物である。
HPMCの使用が好ましい。
【0056】
これに関して、本発明によるマトリックス製剤は、好ましくは、公称粘度(2%強度水溶液として20℃で測定)が少なくとも15cP、好ましくは少なくとも50cPであるヒドロキシプロピルメチルセルロースのタイプを少なくとも10%含むべきである。好ましく使用されるHPMCタイプは、16.5−30%、特に好ましくは19−30%のメトキシ基の置換の程度、および4−32%、特に好ましくは4−12%のヒドロキシプロポキシ基の置換の程度を有する。
【0057】
本発明によるマトリックス製剤において、水不溶性物質をマトリックス形成剤として用いることがさらに可能であり、例えば、不飽和または飽和/水素化脂肪酸およびそれらの塩、エステルまたはアミド、脂肪酸モノ−、ジ−またはトリグリセリド、蝋、セラミド、コレステロール誘導体およびこれらの物質の混合物である。
【0058】
本発明の製剤は、常套の錠剤化助剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標))、ステアリン酸マグネシウム、タルク、PVP、ラクトースまたは微結晶セルロースを含み得る。これらは、錠剤の質量をベースとして、ラクトースおよび微結晶セルロースの場合、標準的には10ないし50%の量で、ステアリン酸Mgの場合、好都合には0.5ないし3%の量で、Aerosil の場合、好都合には0.1ないし2%の量で存在する。
【0059】
本発明の特に好ましい実施態様では、マトリックス中のpHを制御する物質を、マトリックスに導入する。かかるpH改変性補助剤の添加、および/または、pHが上昇すると溶解するか、または、マトリックスから溶出し、かくしてマトリックスの多孔性または浸透性を高め、かつ/または、マトリックスの侵食を促進する物質の添加は、これらの本発明の好ましい実施態様が事実上pH非依存的な放出を達成することを可能にする。
【0060】
可能な限りpH非依存的な放出を達成するために、本発明によるマトリックス製剤に添加できる適当な補助剤の例は、以下の物質である:アジピン酸、リンゴ酸、L−アルギニン、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、コハク酸、セルロースフタレート類、特にセルロースアセテートフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルローススクシネート類、特にセルロースアセテートスクシネートおよびHPMCAS、クエン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、酒石酸水素カリウム、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標) タイプ)、トルエンスルホン酸、トロメタモール、酒石酸。クエン酸、コハク酸、酒石酸、HPMCASおよびポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標) L)を好ましくは用いる。これらの補助剤が本発明によるマトリックス製剤中に存在するならば、それらは、典型的には、マトリックスの総質量をベースとして、10ないし50%(m/m)の割合で添加する。
【0061】
有効成分含有マトリックスは、特有の幾何形状を有してもよく、それに伴い放出は特定の外形およびマトリックス表面により影響を受ける。マトリックス表面および放出表面は、例えば、特有の形式(例えば、環状の錠剤)に圧縮することにより、および/または、一部の領域を被覆することにより、または、多層プレスを利用して障壁層を載せることにより、制御できる。
【0062】
異なる放出特性を有する製剤を、例えば多層または殻−コア錠剤中に組み合わせ、医薬形を得ることができる。従って、例えば、有効成分の高い初期放出を伴う本発明による制御放出は、即時放出層を含む多層錠剤または即時放出殻を有する殻−コア錠剤により達成され、一方、最終的な放出の加速(後期バースト(late burst))は、即時放出コアを有する殻−コア錠剤により達成できる。
【0063】
有効成分の制御放出を伴う本発明による投与形の他の配置は、1種またはそれ以上の生理的に許容し得る補助剤からなるマトリックスに、融解プロセスにより有効成分を導入することを特徴とする。これらのいわゆる溶融押出物からの有効成分の放出は、拡散および/または侵食により起こる。これらの製剤は、好ましくは、顆粒剤、ペレット剤または錠剤の形態である。溶融押出により得られる形態、特にペレット剤および顆粒剤は、例えばカプセル封入または錠剤化により、必要に応じて医薬的に常套の補助剤を添加して、さらに他の医薬形に加工できる。本発明による溶融押出物は、さらに粉砕し得、その後この細分された形態で、例えばマトリックス錠剤などの他の投与形を製造するために用い得る。さらなる加工は、異なる医薬物質の放出を伴う製剤、例えば、低速および即時放出粒子を組み合わせて、投与形を得ることも含む。溶融押出物および/または溶融押出物から製造される医薬形を、被覆できる。
【0064】
溶融押出物は、有効成分を、少なくとも1種の可融性の生理的に許容し得る補助剤(担体)、および、必要に応じて、さらなる常套の医薬添加物と混合し、50ないし250℃、好ましくは60ないし200℃の範囲の温度で融解し、射出成形または押出および成形することにより製造する。この場合、成分の混合は、融解前または融解中に行うことができるか、または、成分の一部を融解し、他の成分をこの融解物に混合する。担体、有効成分および存在する任意の添加物の混合物は、融解後に熱形成可能であり、従って、押出できる。例えば、加熱造粒、冷却造粒、2つの成形ロール(moulding roll)を用いるカレンダー処理、押出および例えば2つのベルトまたはロールの間でのまだ可塑性である押出物の成形、または例えば押出物の切断後に、乾式造粒(air granulating)ユニット中で丸めることなどの多数の方法が、混合物の成形に適する。
【0065】
これらの新規製剤における有効成分の溶融押出物の総質量に対する質量比は、1:3ないし1:200、好ましくは1:4ないし1:100である。
【0066】
生理的媒体中で好ましくは膨潤性または可溶性の適する熱可塑性担体の例は:ポリビニルピロリドン(PVP)、N−ビニルピロリドン(NVP)とビニルエステル、特に、ビニルアセテートのコポリマー、ビニルアセテートとクロトン酸のコポリマー、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、セルロースエステル類、セルロースエーテル類、特にメチルセルロースおよびエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース類、特にヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース類、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース類、セルロースフタレート類、特にセルロースアセテートフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルローススクシネート類、特にセルロースアセテートスクシネートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリヒドロキシアルキルアクリレート類、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート類、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類(Eudragit(登録商標)タイプ)、メチルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー、ポリラクチド類、ポリエチレングリコール類、ポリエチレンオキシド類およびポリサッカライド類、例えば、ガラクトマンナン類およびアルギン酸、およびそのアルカリ金属およびアンモニウム塩である。
【0067】
本発明による有効成分の制御放出を伴う投与形の製造に好ましい熱可塑性補助剤は、HPC、PVP、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ポリメタクリレート類、特に Eudragit(登録商標) L、HPMCAS、ポリエチレングリコール類、ポリエチレンオキシド類およびそれらの混合物である。
【0068】
混合物のガラス転移温度を下げるために用いることができる可塑性補助剤の例は、プロピレングリコール、グリセロール、トリエチレングリコール、ブタンジオール類、ペンタノール類、例えばペンタエリスリトール、ヘキサノール類、長鎖アルコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレン/プロピレングリコール類、シリコン類、フタル酸誘導体(例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート)、安息香酸および安息香酸エステル類、他の芳香族性カルボン酸エステル(例えば、トリメルト酸エステル類)、クエン酸誘導体(例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート)、脂肪族ジカルボン酸エステル(例えば、ジアルキルアジペート、セバシン酸エステル、特にジエチルセバセート、酒石酸エステル)、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテートまたはグリセロールトリアセテート、脂肪酸および誘導体(例えば、グリセロールモノステアレート類、アセチル化脂肪酸グリセリド類、ひまし油および他の天然油、Miglyol)、脂肪酸アルコール類(例えばセチルアルコール、セチルステアリルアルコール)、糖、糖アルコールおよび糖誘導体(例えばエリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マンニトール、マルチトール、マルトデキストリン、キシリトール)である。可塑剤の濃度は、溶融押出物の総質量をベースとして、標準的には0ないし30%(m/m)、好ましくは0ないし20%(m/m)である。
【0069】
押出混合物は、有効成分、担体、および、必要に応じて可塑剤の他に、他の医薬的に常套の添加物、例えば滑沢剤および離型剤(mould release agent)、流動促進剤(glidant)および流動助剤、賦形剤および吸着剤、安定化剤、遊離基捕捉剤、錯体化剤、抗酸化剤、光安定化剤、発泡剤、界面活性剤、防腐剤、着色剤、甘味剤および香味剤も含み得る。
【0070】
ある物質の補助剤としての適合性の前提条件は、もっぱら十分な温度耐性および生理的耐容性のみである。
押出物の総質量中の添加物の割合は、60%(m/m)のまでであり得る。
【0071】
滑沢剤および離型剤、例えばステアリン酸およびステアリン酸塩、特にステアリン酸アルミニウム、カルシウムおよびマグネシウム、カルシウムベヘネート(behenate)、ナトリウムステアリルフマレート、タルク、シリコン類、蝋およびモノ−、ジ−およびトリグリセリド類、例えば、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘネート、グリセロモノオレエート、グリセリルパルミトステアレートは、溶融押出物の総質量をベースとして、0ないし10%(m/m)、好ましくは0.5ないし5%(m/m)の量で添加する。
【0072】
使用する流動助剤の例は、押出物の総質量をベースとして総量0ないし30%(m/m)、好ましくは0ないし10%(m/m)の、好ましくは水素化形態の、低くとも50℃の融点を有する動物および植物の脂肪、蝋(例えばカルナバ蝋)、モノ−、ジ−およびトリグリセリド類(例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘネート、グリセロモノオレエート、グリセリルパルミトステアレート)、ホスファチド類、特にレシチンである。
【0073】
用いる賦形剤の例は、押出物の総質量をベースとして標準的には0ないし30%(m/m)、好ましくは0ないし20%(m/m)の割合の、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカおよび珪酸塩、ステアリン酸およびステアリン酸塩、セルロース誘導体(例えばメチルセルロース)、スターチおよびスターチ誘導体、糖、糖アルコールおよび糖誘導体などの物質である。
【0074】
本発明による有効成分の制御放出を伴う投与形の好ましい実施態様は、pH改変特性および/またはpH依存的溶解性を有する補助剤を含む溶融押出物である。これらの補助剤(例えば、以前に既に数回記載した、酸、塩基、バッファー物質および胃液耐性ポリマー)を介して、バルデナフィルおよびその塩、水和物、溶媒和物の放出のpH依存性を最小化することができる。
【0075】
溶解押出物の製造において、有効成分がマトリックス中の分子分散物の形態である、いわゆる「固形液剤」の形成があり得る。
【0076】
本発明による有効成分の制御放出を伴う投与形のさらなる配置は、浸透性医薬物質放出システムである。かかる浸透システムは、原則として先行技術で知られている。この場合、医薬形からの医薬物質の送達は、一般的に、駆動力として浸透圧をベースとする。浸透システムの詳細な説明は、例えば Verma R.K. et. al. "Osmotic pumps in drug delivery", Critical ReviewsTM in Therapeutic Drug Carrier Systems, 21 (2004) 477-520 および Santus G. et al. "Osmotic drug delivery: a review of the patent literature", Journal of Controlled Release 35 (1995) 1-21 で与えられる。
【0077】
本発明の実施態様としての浸透システムは、好ましくは、
・有効成分、必要に応じて親水性重合性膨潤剤、および必要に応じて浸透を開始するための水溶性物質、および必要に応じてさらなる医薬的に許容し得る補助剤を含むコア、
・および、有効成分含有コアの成分には非浸透性であり、コア中に存在する成分が放出され得る少なくとも1つの穴を有する、水浸透性材料からなる殻
からなる。
【0078】
本発明による有効成分の制御放出を伴うこれらの投与形のために、殻を形成する材料は、半透性である。即ち、水、水性媒体および生体液には透過性であり、かつ、コアの成分には非透過性またはごく僅かに透過性であり、かつ、フィルム形成に適する。選択的半透性の殻材料は、体液に不溶であり、腐食せず、GI管で分解されず、変化せずに排出されるか、または、放出時間の終わりに向かってのみ、生物腐食を示す。殻を製造するための典型的な材料は、文献から知られており、例えば特許US3916899、US3977404およびEP0277092に記載されている。例えば、アセチル基により1回ないし3回、またはアセチル基により1回ないし2回、そしてアセチルと異なるさらなるアシル基により置換されているアシル化セルロース誘導体(セルロースエステル類)、例えばセルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートジメチルアミノアセテート、セルロースアセテートジエチルアミノアセテート、セルロースアセテートエチルカーボネート、セルロースアセテートクロロアセテート、セルロースアセテートエチルオキサレート、セルロースアセテートメチルスルホネート、セルロースアセテートブチルスルホネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートオクテート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートp−トルエンスルホネート、セルロースアセテートブチレートおよび他のセルロースアセテート誘導体、およびアガーアセテートおよびアミロースアセテートを使用することが可能である。また、半透膜材料として適するのは、エチルセルロース、アルキレンオキシドとアルキルグリシジルエーテルのコポリマー、重合性エポキシド類、ポリグリコール類およびポリ乳酸誘導体である。加えて、本質的に水不溶性であるアクリル酸塩、例えば、エチルアクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーの混合物を用いることができる。必要であれば、殻は、例えば、以前に既に言及した可塑性物質などの可塑剤、および例えば孔形成剤などの他の添加物も含んでもよい。要求されるなら、例えばHPMCまたはHPCから、および適する可塑剤(例えばポリエチレングリコール)と色素(例えば二酸化チタン、酸化鉄)からなり得る光保護性被覆を、半透性の殻に適用できる。有効成分の最初の用量を投与できるように、有効成分含有被覆を浸透システムに与えることもでき、浸透圧的に制御されるコアからの有効成分の送達が始まる前に、放出媒体との接触の際にそこから有効成分が迅速に放出される。
【0079】
コアに存在し得る適当な水膨潤性ポリマーの例は、分子量100000ないし8000000のポリエチレンオキシド類(例えば Polyox(登録商標))、キサンタンゴム、ビニルピロリドンとビニルアセテートのコポリマー、ポリビニルピロリドン類、クロスポビドン類、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋ナトリウムカルボキシメチルスターチ、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース(L−HPC)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、アルギン酸塩およびガラクトマンナン類、およびUS3865108、US4002173、US4207893、EP0052917、EP0277092およびWO96/40080で言及される、さらなる親水性重合性膨潤剤およびこれらの混合物である。
【0080】
コアに添加して浸透を誘導できる適当な浸透的に活性な物質は、原則として、全ての水溶性の生理的に許容し得る物質、例えば薬局方および "Remingtons Pharmaceutical Science" で言及される水溶性物質である。特に、無機酸および有機酸の水溶性の塩または高い水溶性を有する非イオン性有機物質、例えば、炭水化物、特に糖、またはアミノ酸を用いることが可能である。単独で、または混合物として、コアにおける浸透の誘導のために導入できるいくつかの物質は、例えば以下のように指定される:例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩およびリン酸二水素塩などの無機塩、アジピン酸、アスコルビン酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸などの有機酸、およびそれらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、酢酸塩、例えばアラビノース、リボースまたはキシロースなどの五炭糖、グルコース、フルクトース、ガラクトースまたはマンノースなどの六炭糖、スクロース、マルトースまたはラクトースなどの二糖類、ラフィノースなどの三糖類、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールまたはイノシトールなどの糖アルコール、および尿素。
塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムが、特に好ましく使用される。
【0081】
浸透システムは、例えば、滑沢剤および離型剤、流動促進剤、結合剤、着色剤、増粘剤、保護コロイド、安定化剤および界面活性剤などの他の医薬的に常套の添加物をさらに含み得る。
【0082】
本発明による浸透性放出システムは、有効成分含有コアおよびその後の有機性被覆を製造するために湿式造粒または乾式圧縮および錠剤化などの標準的技法を利用して、製造する。
【0083】
浸透システムの殻は、必要に応じてコアの他の成分と共に有効成分がそれを通して放出される、少なくとも1つの出口穴を有する。穴は様々なやり方で、例えば、パンチを用いて、機械的ドリルにより、または、レーザードリルを利用して、殻に導入できる。用語「穴」は、本発明によるこの投与形の使用の際に殻から溶出し、かくしてその場で出口穴の形成を導く生体侵食性材料も含む。穴の性質および製造は、当分野の現状で知られており、例えば特許US3485770、US3916899、US4063064およびUS4088864で説明されている。
【0084】
本発明による放出速度は、主として、半透性の殻の組成と厚さにより、必要に応じて存在する重合性膨潤剤の性質および量により、そして必要に応じて存在し、浸透の誘導に役立つ浸透的に活性な物質の性質および量により、調節される。
【0085】
本発明のさらなる態様では、製剤中の有効成分は、イオン交換剤複合体の形態であり得る。
上述の製剤原理の複数の粒子が、1つの投与形の中に共に存在することが可能である(例えば、複数の有効成分含有マトリックスを詰めたカプセル剤)。加えて、複数の様々な実施態様(例えば、拡散被覆を有するペレット剤およびマトリックス錠剤)を、1つの医薬形中に組み合わせることも可能である。
【0086】
本発明は、さらに、1つの医薬形中の、異なる放出特性、例えば即時放出および低速放出を有する製剤の組合せに関する。
【0087】
本発明による医薬形は、例えば、光保護を達成するために、味をマスクするために、または、医薬物質放出の開始の部位または時間を制御するために、被覆し得る。
【0088】
有効成分の制御放出を伴う本発明による投与形は、好ましくは、投与後の最高血中レベル(cmax)が同じ投与量の即時放出医薬形と比較して低下しており、それにより医薬物質の体内平均残留時間(MRT)が即時放出医薬形と比べて延長される製剤である。
【0089】
薬物動態学的パラメーターであるAUC、tmax、cmaxおよびMRTは、Gibaldi M., Perrier D. "Pharmacokinetics", 2nd edition. Marcel Dekker, New York, 1982 および Rowland M., Tozer T.N. "Clinical Pharmacokinetics: Concepts and Applications", Lea & Febiger, Philadelphia, 1980 に記載の通りに決定する。
【0090】
本発明は、ヒトおよび動物の障害の処置および/または予防を企図する医薬を製造するための、新規医薬投与形の使用も含む。
【0091】
ヒトにおける経口投与で、有効成分用量約1ないし100mg、好ましくは約2ないし50mgを投与するのが有利であると、一般的に明らかになった。新規投与形の増加性の投与、即ち、長期間(例えば2−10日間)にわたり、用量が段々と増大することも可能である。新規製剤による処置はまた、複数の連続する日に、例えば毎日、または他の固定された時間のリズムで行うことができる。
【0092】
本発明による新規投与形は、cGMP濃度の増加が有益である障害、即ち、cGMPにより調節される過程に関連する障害(通常、簡潔にcGMP関連疾患と呼ばれる)の予防および/または処置に適する。
【0093】
制御放出を伴うPDE5阻害剤バルデナフィルの新規投与形は、心血管障害の処置用、例えば、高血圧症、神経性高血圧症、安定および不安定狭心症、末梢および心臓の血管障害の、不整脈の処置および/または予防用、血栓塞栓性障害、虚血、例えば心筋梗塞、脳虚血、一過性虚血性発作、狭心症、原発性肺高血圧症、二次性肺高血圧症、肺動脈性高血圧症、門脈肺高血圧症、肝肺症候群、アンフェタミン類などの薬物により誘導される肺高血圧症、間質性肺疾患、HIVに伴う肺高血圧症、血栓塞栓性肺高血圧症、小児および新生児の肺高血圧症、大気の低酸素により誘導される肺高血圧症(高山病)、COPD、肺気腫、慢性喘息、ムコビシドーシス(mucoviscidosis)関連肺高血圧症、右心不全、左心不全および全体の不全(global failure)、末梢灌流不全(peripheral malperfusions)の処置用の、血栓溶解治療、経皮経管的血管形成術(PTA)、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、バイパス術後の再狭窄の予防用の、脳血管障害の処置用の、前立腺肥大、失禁などの泌尿器系の障害の処置および/または予防、および特に勃起不全、早漏の、前立腺肥大症の、女性の性機能不全の、そして女性の性的興奮障害の処置および/または予防用の医薬において用いることができる。
【0094】
加えて、本発明のさらなる実施態様は、有効成分の制御放出を伴うPDE5阻害剤バルデナフィルの新規投与形の、知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の障害の、特にその障害が認知症の結果であるときの、処置および/または予防用の医薬を製造するための使用に関する。本発明による新規製剤は、特に軽度認知障害、加齢関連学習および記憶障害、加齢関連記憶喪失、血管性認知症、頭蓋大脳外傷、卒中、卒中後に生じる認知症(「卒中後認知症」)、外傷後の頭蓋大脳外傷、一般的な集中障害、学習記憶に問題のある小児の集中障害、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、ピック症候群を含む前頭葉の変性を伴う認知症、パーキンソン病、進行性核麻痺、大脳皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト−ヤコブ型認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症またはコルサコフ精神病などの症状/疾患/症候群に関連して生じるもののような、認知障害後の知覚力、集中力、学習力または記憶力の改善に特に適する。
【0095】
PDE5阻害剤バルデナフィルの新規投与形は、乾癬、癌、膀胱の障害、硝酸塩誘導耐性、妊娠中毒症、脱毛症、疼痛、突発性難聴(sudden loss of hearing)、耳鳴または腎症候群の処置および/または予防に用いることもできる。
【0096】
PDE5阻害剤バルデナフィルの新規製剤は、緑内障、網膜中心または後毛様体動脈閉塞、網膜中心静脈閉塞、前部虚血性視神経症および緑内障性視神経症などの視神経症、および黄斑変性症などの視覚障害の処置および/または予防にも使用できる。
【0097】
PDE5阻害剤バルデナフィルの新規製剤は、同様に、冠動脈心疾患、糖尿病、インシュリン耐性、高血糖、膵臓炎、糖尿病性胃不全麻痺、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性壊疽、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性関節症、糖尿病性白内障の処置および/または予防用、胃および食道の蠕動の障害、骨粗鬆症、女性の不妊症、早産、肝硬変、急性および慢性腎不全、嚢胞性線維症、気管支炎およびアレルギー性鼻炎の処置用医薬を製造するために使用できる。
【0098】
PDE5阻害剤バルデナフィルの新規製剤は、心虚血の処置および/または予防、プレコンディショニング(preconditiong)効果の達成または改善、急性心筋梗塞、再灌流損傷、特に心筋梗塞後のものの処置、男性の不妊症、レイノー症候群、間欠性跛行、ペロニー病の処置、線維性障害、動脈硬化症の処置、精子の運動性の改善、鬱病、白血病(例えば、慢性リンパ球性白血病)の処置、持続勃起症の処置、腎虚血に伴う血小板接着および凝集の処置、肝臓の外科的切除後の、または肝臓癌に伴う、肝臓の再生の支持および促進、食道の筋肉の収縮(例えばクルミ割り食道または食道の攣縮(oesophagospasms)に伴うもの)の阻害、アカラシア、女性の不妊症および月経困難症の処置、例えば肝硬変などの肝臓の障害の処置、狼瘡、高血圧性全身性エリテマトーデス、強皮症の処置、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、アレルギー、自己免疫疾患、骨粗鬆症、悪液質、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、高脂血症および異脂肪血症の処置、卵母細胞、接合体、胚または胎児の成長の促進および生存の改善、未熟児の体重の増加、哺乳動物、特にヒトの乳産生の増加、偏頭痛、失調症、急性および慢性腎不全、糸球体の疾患、腎炎、尿細管間質性の障害、糸球体症(glomuleropathy)、毛髪の減少、健忘症、意識の撹乱、自閉症、言語の撹乱、レノックス症候群およびてんかんの処置に用いることもできる。
【0099】
加えて、本発明による新規製剤の使用は、例えば、EDRF(内皮由来弛緩因子)、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)、ニトロ血管拡張剤などの物質、およびホスホジエステラーゼ阻害剤と異なるやり方でcGMP濃度を上昇させる全ての他の物質の効果を増強する。
【0100】
PDE5阻害剤バルデナフィルの新規投与形は、他の医薬有効成分と組み合わせて使用することもできる。これに関して好ましい例は、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤(例えばシンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン(rosuvastatin)、プラバスタチン、イタバスタチン(itavastatin))、CETP阻害剤(例えばトルセトラピブ(torcetrapib)、JTT−705)、ACE阻害剤(例えばエナラプリル、カプトプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、フォシノプリル、キナプリル、リシノプリル、ラミプリル)、PPARアルファアゴニスト(例えば、フェノフィブラート、ベザフィブラート、GW590735)、PPARガンマアゴニスト(例えばロシグリタゾン)、アルドースレダクターゼ阻害剤、エゼチミベ、血小板凝集阻害剤(例えばアスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール)、トロンビン阻害剤(例えばキシメラガトラン、メラガトラン(melagatran)、ビバリルジン(bivalirudin)、クレキサン(clexane))、ベータ遮断剤(例えばプロパノロール、アテノロール)、利尿剤(例えばフロセミド)、インシュリンおよびインシュリン誘導体、および経口で活性な低血糖的有効成分である。これに関して、インシュリンおよびインシュリン誘導体は、動物、ヒトまたは生物工学起源のインシュリンおよびこれらの混合物の両方を含む。PDE5阻害剤バルデナフィルの新規投与形は、さらに、スルホニル尿素類(例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド(glimepiride)、グリピジドまたはグリクラジド)、ビグアナイド誘導体(例えばメトホルミン)、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えばミグリトール(miglitol)またはアカルボース)、メグリチニド類(例えばレパグリニド、ナテグリニド)、抗肥満有効成分(例えばオーリスタット、シブトラミン)、GPIIb−IIIaアンタゴニスト(例えばチロフィバン、アブシキシマブ)、第X因子阻害剤(例えばDX9065a、DPC906、JTV803、BAY597939)、カルシウムアンタゴニスト(例えばニフェジピン、アムロジピン、ベラパミル、ジルチアゼム)、アルファ1受容体アンタゴニスト、アンギオテンシンAIIアンタゴニスト(例えばカンデサルタン、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン)、他のPDE5阻害剤(例えばシルデナフィル、タダラフィル(tadalafil))または勃起不全処置用の他の有効成分(例えばアポモルヒネ)と組み合わせて用いることもできる。
【0101】
PDE5阻害剤バルデナフィルの新規製剤は、塩酸塩三水和物およびその多形、結晶および不定形の他に、バルデナフィルの他の生理的に許容し得る塩およびバルデナフィル自体を使用しても製造できる。生理的に許容し得る塩は、バルデナフィルの無機または有機酸との塩であり得る。好ましいのは、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸または硫酸などの無機酸との塩、または、例えば、酢酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸またはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸などの有機カルボン酸またはスルホン酸との塩である。有効成分の制御放出を伴う新規投与形を製造するための、これらの塩およびそれらの多形、結晶および不定形の使用、並びにバルデナフィルの多形、結晶および不定形の使用は、同様に本発明の態様である。
【0102】
バルデナフィルおよびその塩は、本発明による新規製剤において、水和物の形態であってもよい。本発明に関して、水和物は、結晶中に水を含む化合物を意味する。かかる化合物は、1またはそれ以上、典型的には1ないし6当量の水を含み得る。水和物は、例えば、水または含水溶媒から関連化合物を結晶化することにより製造できる。
【0103】
バルデナフィルおよびその塩は、本発明の新規製剤において、溶媒和物の形態であってもよい。本発明に関して、溶媒和物は、生理的に耐容される溶媒を結晶中に含む化合物を意味する。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本発明を限定せずに例示説明するのに役立つ:
実施例1:拡散ペレット剤
a)有効成分被覆ペレット剤の製造
【表1】

有効成分の量は、バルデナフィル20mgに相当する
スクロースペレット
補助剤は加工中に除去される;バッチサイズに依存する量
中性ペレットを、微粉化有効成分、HPMC、酒石酸水素カリウムおよび水からなる分散液で、ワースターインサート(Wurster insert)を有する流動床式造粒機中で被覆する。
【0105】
b)ペレット剤の被覆
【表2】

Aquacoat ECD 30の乾燥物
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート Aqoat AS-LF
補助剤は加工中に除去される;バッチサイズに依存する量
有効成分を載せたペレットを、エチルセルロース分散液、HPMCAS、TECおよび水からなる分散液で噴霧することにより、流動床システム(ワースターインサートを有する)中で被覆する。続いて、ペレット製剤の保存安定性を改善するために、被覆ペレットを40−90℃の温度で熱処理する。次いで、被覆ペレット剤をカプセル封入する。
【0106】
実施例2ないし19:単層マトリックス錠剤
【表3】

バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
タイプM
【0107】
【表4】

バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
Tablettose 100
【0108】
実施例2ないし7の製造:
ステアリン酸マグネシウムおよび、必要に応じて二酸化ケイ素以外の単層マトリックス錠剤の成分を、混合する。ステアリン酸マグネシウムおよび、必要に応じて二酸化ケイ素を、添加物として混合する。続いて、粉末混合物を直接錠剤化する(形状:円形8mm)。例えば光保護を確実にするために、または、放出を遅延または低速化させるために、得られる錠剤を被覆し得る。
【0109】
【表5】

a バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
b Eudragit(登録商標) L 100-55
c ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、Aqoat AS-LF
【0110】
【表6】

バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
【0111】
【表7】

バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
【0112】
【表8】

バルデナフィル10mgに相当する有効成分の量
バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
バルデナフィル30mgに相当する有効成分の量
【0113】
実施例8ないし19の製造:
ステアリン酸マグネシウムおよび、必要に応じて二酸化ケイ素以外の単層マトリックス錠剤の成分を、混合する。続いて、ロール圧縮(roll compaction)により混合物を乾式造粒し、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを混合した後、錠剤化する。例えば光保護を確実にするために、または、放出を遅延または低速化させるために、得られる錠剤を被覆できる。
【0114】
実施例20ないし25:二層錠剤
【表9】

バルデナフィル10mgに相当する有効成分の量
バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
【0115】
【表10】

バルデナフィル5mgに相当する有効成分の量
バルデナフィル10mgに相当する有効成分の量
【0116】
添加物(二酸化ケイ素、微結晶セルロース(総量の約15%)およびステアリン酸マグネシウム)以外の即時放出層の成分を混合し、ロール圧縮により造粒する。添加物成分(二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウム)以外の低速放出層の成分を、同様に混合し、圧縮する。添加物を混合した後、両顆粒を二層打錠機中で錠剤化する(形状:実施例20ないし22には円形10mm、実施例23ないし25には円形9mm)。例えば光保護を確実にするために、二層錠剤を被覆できる。
【0117】
実施例26ないし31:溶融押出物
【表11】

a Eudragit(登録商標) L 100-55
【0118】
【表12】

a Aqoat AS-LF
c Eudragit(登録商標) RS PO
【0119】
有効成分を押出物用の補助剤と混合する。この混合物を、適当な温度(例えば120−190℃)で、押出機中で押し出す。押出物を適する長さ(約2−3mm)の細片に切断することにより、ペレット剤を形成する。次いで、これらの溶解押出物のペレット剤を丸めることができる。例えば放出中の接着を防止するために、例えばエチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマー分散剤、HPMC、ポリソルベート、ステアリン酸マグネシウムおよび水からなる分散剤で、ワースターインサートを有する流動床式造粒機中でペレット剤を被覆できる。押出物を、最終的にカプセル封入できる。
【0120】
実施例32ないし34:浸透システム(二重層)
【表13】

バルデナフィル22mgに相当する有効成分の量;完全な放出後に医薬形中に留まる10%の過剰量を含む
【0121】
有効成分層および浸透層の成分から、乾燥造粒および錠剤化(形状:円形8mm)により2層錠剤を製造する。これらの錠剤を、アセトン溶液中、セルロースアセテートおよびポリエチレングリコールの混合物で被覆する。適当なやり方で錠剤に穴をあける。次いで、錠剤は、例えば光保護被覆で、仕上げ被覆(topcoat)を受けることができる。
【0122】
実施例35ないし37:浸透システム(単層)
【表14】

バルデナフィル24mgに相当する有効成分の量;完全な放出後に医薬形中に留まる20%の過剰量を含む
【0123】
キサンタンゴム、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよびナトリウムカルボキシメチルスターチおよびコポビドンを混合し、次いで、HPMCおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む有効成分の水性分散液で造粒する。顆粒をステアリン酸マグネシウムおよびコロイド状二酸化ケイ素と混合し、錠剤化する(形状:円形8mm)。これらの錠剤を、アセトン溶液中のセルロースアセテートおよびポリエチレングリコールの混合物で被覆する。適当なやり方で錠剤に穴をあける。次いで、錠剤は、例えば光保護被覆で、仕上げ被覆を受けることもできる。
【0124】
実施例38:放出の調査
本発明(実施例5および実施例13)による2種の製剤からの放出を、USP 28-NF 23 (The United States Pharmacopoeia USP 28 2005) のパドル器具「器具2」で、37±0.5℃の温度で、撹拌速度75rpmで、おもりを使用して、様々なpH値の媒体中で調べる。放出媒体として、各場合で、0.1M塩酸(pH約1.1)、USPに従うpH4.5の酢酸バッファー(このバッファー1リットルの製造:酢酸ナトリウム三水和物2.99gおよび2N酢酸14mlを溶解し、鉱質除去水で1000mlとする。必要であれば、pHを水酸化ナトリウムまたは2N酢酸で4.5±0.05に合わせる)および0.1%(m/V)ラウリル硫酸ナトリウムを含むpH6.8のリン酸バッファー(この媒体1リットルの製造:オルトリン酸水素二ナトリウム二水和物2.747g、クエン酸一水和物0.475gおよび10%(m/m)ラウリル硫酸ナトリウム溶液10gを溶解し、脱イオン水で1000mlとする。水酸化ナトリウムまたはオルト−リン酸でpHを6.8±0.05に合わせる)900mlを使用する。放出媒体のサンプルを、付随物質の除去を確実にする濾過ユニットを通して取り、そこに溶解された有効成分の量を、HPLCによりUV−VIS検出を用いて決定する。かくして決定された有効成分の量を、用いた有効成分の質量によりパーセントに変換する。
経時的な有効成分放出の割合を、図1(実施例5の製剤)および図2(実施例13の製剤)に示す。
【0125】
図は、両製剤が、本発明による上記定義の放出を達成する、有効成分の制御放出を伴う投与形であることを示す。その放出を図2に示す実施例13の製剤は、本発明の好ましい実施態様を代表する。なぜなら、その放出を図1に示すpH改変添加物を含まない実施例5の製剤と比較して、この投与形では酸の添加を通してpH依存性が顕著に低減されるからである。
【0126】
比較実施例AおよびB:
【表15】

a バルデナフィル20mgに相当する有効成分の量
b タイプL
【0127】
比較実施例1および2の製造:
二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウム以外のマトリックス錠剤の成分を混合する。二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを添加物として混合する。次いで、粉末状混合物を直接錠剤化する(形状:円形8mm)。
【0128】
比較実施例1および2は、2時間以内に80%の平均放出速度(比較実施例1)および24時間以上で80%の平均放出速度(比較実施例2)を示す製剤である。本発明によらないこれらの製剤は、2時間で80%ないし24時間で80%の平均放出速度を示す本発明による投与形と対照的に、先行技術の問題を克服するのに適さない。このように、比較実施例1の平均放出速度は早すぎて、先行技術の製剤と比較して有意な曝露および作用期間の延長を達成できない。さらに、この製剤(比較実施例1)の使用を介して、一定の血中レベルを達成すること、および血中レベルのピークの発生を回避することは可能ではない。対照的に、比較実施例2の平均放出速度は遅すぎて、達した血中レベルが所望の臨床効果を達成するのに不適当であるような、バイオアベイラビリティーの深刻な損失を導く。
【0129】
比較実施例3および4:先行技術に相当する即時放出錠剤の経口投与後のバルデナフィルの薬物動態学的パラメーター
【表16】

【0130】
実施例39ないし41:制御放出および低い初期放出を伴う本発明による製剤の経口投与後のバルデナフィルの薬物動態学的パラメーター(用量20mg)
【表17】

【0131】
実施例42ないし44:制御放出および高い初期放出を伴う本発明による製剤の経口投与後のバルデナフィルの薬物動態学的パラメーター(用量30mg)
【表18】

【0132】
実施例は、本発明による有効成分の制御放出を伴う投与形の利用により、先行技術に相当する即時放出製剤(比較実施例3および4)の投与の際に得られる残留時間と比較して、バルデナフィルの体内残留時間が有意に延長されることを示す。実施例39ないし41で詳述した、比較的低い初期放出を伴う本発明による医薬製剤の投与後のバルデナフィルの動力学パラメーターは、かかる製剤の使用により、先行技術の即時放出製剤(比較実施例3および4)の投与と比較して、MRTの延長のみならず、顕著なcmaxの低減も達成できることを示す。薬物動態学的特徴であるMRTおよびCmaxにおけるこれらの変化は、無視できるAUCの低減と共に達成される。即ち、有効成分の制御放出および比較的低い初期放出を伴う製剤のバイオアベイラビリティーは、即時放出製剤と比較して殆ど変わらない。実施例42ないし44は、対照的に、比較的高い初期放出を有する本発明による製剤の投与後の薬物動態学的データを示す。これらの製剤を利用して、所望の血中レベルに達する迅速なレベルの上昇を達成すること、および、付加的に、先行技術の製剤(比較実施例3および4)と比較して意味のあるやり方で医薬物質の体内平均残留時間を延長することが可能である。これらの製剤について、薬物動態学的プロフィールの変化は、事実上(用量標準化した)変化しないAUC(=バイオアベイラビリティー)と共に達成されることも真である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
(該当する記載なし)
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDE5阻害剤バルデナフィルおよび/またはその医薬的に許容し得る塩および/または水和物および/または溶媒和物を有効成分として含み、2時間で80%ないし24時間で80%の平均放出速度を有する、有効成分の制御放出を伴う医薬投与形。
【請求項2】
3時間で80%ないし20時間で80%の平均放出速度を有する、請求項1に記載の医薬投与形。
【請求項3】
3時間で80%ないし18時間で80%の平均放出速度を有し、最初の30分間の放出において、有効成分の65%より少ない初期放出を有する、請求項1または請求項2に記載の医薬投与形。
【請求項4】
最初の30分間の放出における有効成分の0ないし30%の初期放出を特徴とする、請求項1ないし請求項3の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項5】
最初の30分間の放出における有効成分の30ないし60%の初期放出を特徴とする、請求項1ないし請求項3の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項6】
4時間で80%ないし18時間で80%の平均放出速度および最初の30分間の放出における有効成分の0ないし25%の初期放出を特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項7】
3時間で80%ないし16時間で80%の平均放出速度および最初の30分間の放出における有効成分の35ないし60%の初期放出を特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3または請求項5の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項8】
経口使用のための、請求項1ないし請求項7の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項9】
有効成分を含み、有効成分の放出を制御する膜により包まれているコアを特徴とする、請求項1ないし請求項8の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項10】
放出制御膜が、フィルム形成性ポリマーおよび可塑剤を含むことを特徴とする、請求項9に記載の医薬投与形。
【請求項11】
放出制御膜が、フィルム形成性ポリマーおよび孔形成剤を含むことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の医薬投与形。
【請求項12】
エチルセルロースおよび/またはポリメタクリレートをフィルム形成性ポリマーとして含むことを特徴とする、請求項9ないし請求項11の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項13】
有効成分含有コアがpH改変物質を含むことを特徴とする、請求項9ないし請求項12の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項14】
pH改変物質が、コハク酸、クエン酸、酒石酸または酒石酸水素カリウムであることを特徴とする、請求項9ないし請求項13の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項15】
放出制御膜が胃液耐性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項9ないし請求項14の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項16】
液体の浸透後に膨潤および体積の膨張を介して被覆の分割を引き起こす1種またはそれ以上の膨張可能な補助剤を含む、請求項1ないし請求項8の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項17】
拡散または侵食を介して有効成分を送達するマトリックス中に有効成分を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項8の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項18】
マトリックスが水膨潤性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項17に記載の医薬投与形。
【請求項19】
錠剤であることを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の医薬投与形。
【請求項20】
水膨潤性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする、請求項17ないし請求項19の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項21】
マトリックスがpH改変物質を含むことを特徴とする、請求項17ないし請求項20の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項22】
pH改変物質が、コハク酸、クエン酸または酒石酸であることを特徴とする、請求項17ないし請求項21の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項23】
マトリックスが胃液耐性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項17ないし請求項22の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項24】
融解プロセスを利用して有効成分をマトリックスに導入することにより製造される有効成分の溶融押出物を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項8または請求項17の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項25】
溶融押出物が熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項24に記載の医薬投与形。
【請求項26】
溶融押出物が熱可塑性ポリマーおよび可塑剤を含むことを特徴とする、請求項24または請求項25に記載の医薬投与形。
【請求項27】
熱可塑性ポリマーがポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする、請求項24ないし請求項26の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項28】
溶解押出物がpH改変物質を含むことを特徴とする、請求項24ないし請求項27の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項29】
溶解押出物が胃液耐性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項24ないし請求項28の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項30】
浸透性医薬物質放出システムであることを特徴とする、請求項1ないし請求項8の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項31】
・有効成分、必要に応じて親水性重合性膨潤剤、および必要に応じて浸透を開始するための水溶性物質、および必要に応じてさらなる医薬的に許容し得る補助剤を含むコア、
・および、有効成分含有コアの成分には非浸透性であり、コア中に存在する成分が放出され得る少なくとも1つの穴を有する、水浸透性材料からなる殻
からなる、請求項30に記載の医薬投与形。
【請求項32】
ポリエチレンオキシド、キサンタンゴムおよび/またはビニルピロリドンとビニルアセテートのコポリマーを含む、請求項30または請求項31に記載の医薬投与形。
【請求項33】
請求項9ないし請求項32で定義した通りの同一かまたは異なる複数の製剤の粒子を含む、請求項1ないし請求項32の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項34】
一部の有効成分を即時放出形で含む、請求項1ないし請求項33の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項35】
バルデナフィルおよび/またはその塩、水和物、溶媒和物、塩の水和物および塩の溶媒和物、並びに各々それらに属する多形、結晶および不定形のいずれかの形態のバルデナフィルを含む、請求項1ないし請求項34の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項36】
少なくとも1種の他の医薬物質を付加的に含む、請求項1ないし請求項35の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項37】
バルデナフィルとして算出される有効成分1ないし100mgを含む、請求項1ないし請求項36の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項38】
バルデナフィルとして算出される有効成分2ないし50mgを含む、請求項1ないし請求項37の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項39】
マトリックスの総質量をベースとして、バルデナフィル塩酸塩三水和物1ないし30%(m/m)、低くとも50cPの公称(nominal)粘度の水溶性ポリマー10ないし65%および有機酸10ないし50%(m/m)を含むマトリックスを含む、請求項1ないし請求項38の少なくとも1項に記載の医薬投与形。
【請求項40】
マトリックスの総質量をベースとして、バルデナフィル塩酸塩三水和物2ないし20%(m/m)、低くとも50cPの公称粘度の水溶性ポリマー20ないし55%および有機酸20ないし40%(m/m)を含む、請求項39に記載の医薬投与形。
【請求項41】
即時放出層、即時放出殻または即時放出コアを含む多層または殻/コア錠剤の形態の請求項40または請求項41に記載の医薬投与形。
【請求項42】
請求項1ないし請求項41に定義する通りの医薬投与形を製造するための、PDE5阻害剤バルデナフィルおよび/またはその医薬的に許容し得る塩および/または水和物および/または溶媒和物並びにそれに関連する多形、結晶および不定形の使用。
【請求項43】
勃起不全の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項41の少なくとも1項に記載の医薬投与形の使用。
【請求項44】
cGMPレベルの上昇を介して治療的利益を受ける疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項41の少なくとも1項に記載の医薬投与形の使用。

【公開番号】特開2012−254993(P2012−254993A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−162910(P2012−162910)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−511975(P2007−511975)の分割
【原出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】