説明

バルブ

【課題】媒体の計量に於ける、正確さの高い要求を満たし、計量頻度ないし度数が多い場合でも正確に運転するバルブを提供する。
【解決手段】バルブは計量用開口部を有するバルブエレメント12、計量用開口部の開閉のために平行移動可能であるバルブゲート14、可傾移動を行うように構成されたアクチュエータ16、レバーアーム18とを含み、レバーアームは、アクチュエータに連結されており、計量用開口部の開閉のためにアクチュエータの可傾移動をバルブゲートの平行ストローク移動に転換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバルブ(弁)に関し、特に、自動製造および生産技術ないし工業品生産の領域において、少量の範囲、および非常に少量の範囲のペースト状ないし糊状の媒質(媒体)を計量するためのバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業製品の小型化の増加現象の傾向は、特に娯楽用電子機器や通信用電子機器においてますます大きくなる傾向にある。製造される構成部品はより小型となり、小型化は、特に生産頻度が高い場合には工業技術の観点からは完全に新しい課題つまり努力目標である。このことは、製造工程の間におけるペースト状媒質の計量に特に適用される。しかしながら、電子部品のみならず、機械工学や装置工学、精密工学、医療工学、化学、食品工学および包装工学などの領域でも、接着剤、油脂、石油、フラックス(溶剤)あるいはラッカー(塗料)のようなペースト状媒質を少量および非常に少量の範囲で非常に正確に計量する必要性がある。
【0003】
小型化の増加に加えて、生産技術の領域におけるサイクルタイムつまり1つのサイクルを実行するのに必要な時間が益々短くなっていることにより、非常に信頼性の高いプロセス安全性および計量の正確さが必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の目的は、計量の正確さの高い要求を満たしつつ、計量頻度ないし度数が多い場合でも正確に運転することができる、バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1記載の特徴を有するバルブにより満足させることができる。本発明に係わるバルブは、計量用開口部を含むバルブエレメントつまりバルブ構成要素を有しており、計量される媒質はこの開口部を通って計量用ニードルに供給される。計量目的で計量される媒質が計量用開口部を通って計量用ニードルに連続的に流入することを防止するために、バルブは更に、平行移動つまり並進が可能であるバルブゲートを有しており、このゲートによってバルブエレメントの計量用開口部が必要の際に開閉することができる。バルブゲートとバルブエレメントとは、互いに摩擦ロック接合しており、これにより、バルブエレメントおよび/またはバルブゲートはセラミック材料で作ることができ、これら部材の摩耗強度ないし耐摩耗性を高めることができる。
【0006】
バルブゲートの所望の交互の開閉動作を生じさせるため、バルブはさらに、好ましくは圧電駆動部(ピエゾ駆動部)からなるアクチュエータを有している。しかしながら、この種の圧電駆動部では比較的小さいストロークだけしか発生できず、これでは約1mmの必要なストロークでバルブゲートに所望の平行ストローク移動(平行行程移動)を生じさせるためには不十分であるので、アクチュエータは作動時に、可傾移動ないし可傾動作を行うように構成されており、レバーアームが前記アクチュエータに連結されてアクチュエータの可傾移動を転換および増幅し、バルブゲートに所望のストローク移動を行わせてバルブエレメントの計量用開口部が所望の開閉をするようになっている。
【0007】
即ち、アクチュエータの可傾運動は振り子運動に転換され、この振り子運動の最大の振れないし撓みはレバーアームの長さの増大と共に増大し、これにより、バルブゲートは所望の平行ストローク移動(平行ストローク運動)を行い、レバーアームの自由端部の周期的な振れ運動によりバルブエレメントの計量用開口部が開閉する。
【0008】
アクチュエータに連結されたレバーアームによるアクチュエータの可傾運動の転換ないし変換は、特に非常に長いレバーアームの長さによって可傾運動の回転特性がバルブゲートの略平行ストローク移動に転換されることから、さらに好適であることが判る。このため、回転運動成分が非常に少なくなる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は明細書、図面および添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0010】
作動するアクチュエータの可傾運動をバルブゲートに出来る限り正確且つ予測可能に伝達するために、レバーアームは中空断面で閉じた形状を有している。レバーアームの(二次の)領域の大きな慣性モーメントはこの手法によって低い自重とすることでのみ達成でき、これによりレバーアームに比較的高い剛性と低い自重を持たせることができる。レバーアームの自重を最小限とすることはレバーアームの慣性力を小さく保持する点で特に重要であり、そうでない場合には、アクチュエータによる500Hzないしそれ以上の非常に高い周波数刺激のために高周波刺激に追随できなくなる。対照的に、(二次の)領域の慣性モーメントの最大化は重要であり、このため、レバーアームはその長さに沿って曲がることがなくなり、レバーアームの自由端部での振れないし撓みを正確に予測および/または計算できる。
【0011】
レバーアームはその自由端部において小さい曲げひずみがあるだけなので、レバーアームの断面はバルブゲートの方向に連続的に収斂させることができ、自由端部における曲げひずみがより小さくなるため、そこに必要とされる領域の慣性モーメントがより小さくなる。さらに上述した断面の収斂は、慣性モーメントを所望の最小化という点からも有用であり、これにより、アクチュエータによる励起に対するレバーアームの応答挙動(挙動反応)がさらに改善される。
【0012】
レバーアームの剛性特性と共に慣性挙動をさらに改善するために、レバーアームはステンレススチールのシート状物、特に約0.1mmの厚さを有するもので作ることが好ましい。ステンレススチールからレバーアームを作ることは、ステンレススチールが比較的高いヤング係数を有する点からも好適であり、このことはレバーアームの変形挙動に対して直接的な良い影響を与える。
【0013】
出来るだけ簡便なレバーアームを製造するためには、レバーアームは、複数の折り曲げた形状のシート状金属部品を一緒に連結、特に溶接したものにすれば良い。閉じた中空断面形状は、例えば、長手方向に折り曲げた2つ(ないし複数)のシート状の金属部品をそれらの自由縁に沿って溶接することで、簡単に作ることができる。ここで、本発明において「折り曲げた形状のシート状金属部品」には円形断面形状を備えたシート状金属部品も含まれる。丸めることには比較的大きな曲げ半径で折り曲げる意味も含まれる。
【0014】
実施形態によれば、アクチュエータは、可傾(角度調整可能な)ベースの形態であるヨークを含ませることができ、この可傾ベースには、カンチレバー(片持ち梁)としてレバーアームが固定的に連結、特に溶接され、またレバーアームの突出した自由端部にはバルブゲートが連結される。ここで、圧電駆動部の可傾運動はレバーアームの可傾運動に転換され、および所望の平行ストローク移動に転換される。
【0015】
レバーアームにより転換されるアクチュエータないしその可傾ベースの傾向運動はまた、比較的長いレバーアームと小さい撓みと共に僅かな回転モーメント成分を含んでいるので、バルブゲートにその突出する自由端部においてバルブゲートを受容するためレバーアームに連結エレメントを含ませることができる。この連結エレメントは、レバーアームの長手方向の範囲において比較的低い剛性を持たせることができ、これによりバルブゲートの平行ストローク移動に垂直に整列したレバーアームの運動成分を補償でき、この運動成分がバルブゲートに伝達されることがなくなり、不必要な締付けないし圧縮がさらに低減される。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、本発明のバルブはさらに、チューブあるいはホースのような供給ラインを含んでおり、この供給ラインを介して計量される媒質が計量用開口部に供給される。バルブの領域において計量される媒質が望ましくな態様で逸出するインタフェースの数をできる限り小さくするために、供給ラインの下流端部は平行に移動可能であり、バルブゲートは供給ラインの下流端部に連続して配置されており且つ流れ開口部を有しており、計量される媒質はこの流れ開口部を経てが供給ラインからバルブエレメントの計量用開口部に供給される。アクチュエータを動作させることにより、つまりアクチュエータを作動させることでレバーアームが振り子運動をすることで、バルブゲートは上記の態様で交互の平行ストローク移動を行うことから、バルブゲートを供給ラインの下流端部に連結することで、バルブゲートのストローク運動による供給ラインも同様に平行に移動するようになる。これにより、バルブゲートとバルブエレメントとの間には、バルブゲートがバルブエレメントに沿ってスライドする接合機構の形態のインタフェースがあるだけであり、これにより計量される媒質が望ましくない態様でバルブから逸出する際に通過するインタフェースの数を低減することができる。
【0017】
この実施形態では、バルブゲートは供給ラインの下流側に連続して配置されており、供給ライン中を流れる所望の量の媒質は、バルブゲートのストローク運動により、バルブゲート内に形成された流れ開口部がバルブエレメント内に形成された計量用開口部を通過する毎に、計量用開口部に出力され、これにより、所望の計量が達成される。
【0018】
バルブゲートと供給ラインの下流側との間には、バルブゲートのストローク運動により生じる供給ラインの下流側の振れないし撓みの結果として、ヤーニングジョイント(つまり「開口動作をする接合部」)が生じるので、特に供給ラインが管状のラインである場合において、供給ラインの下流側は、バルブゲートと弾性的に連結することができ、特に弾性的なOリングによってバルブゲートとシールすることができる。この態様において、バルブゲートと供給ラインの下流側端部との間の動作補償を提供できるので、不要な漏れが防止できる。
【0019】
同様にして、供給ラインの上流側端部は固定された媒質通路に連結され、同様に不要な漏れが回避される。
【0020】
バルブが正しく機能していることを監視するために、バルブに経路計測装置(経路測定装置)をさらに含ませることができ、例えば、この装置により、例えば光バリアを使用して、レバーアームのストローク運動を監視することで、ストローク運動を純粋に質的に十分監視できる。一方、ストローク運動を量的に評価するためには、例えば、誘導的に動作する経路計測装置を同様に設ければ良い。この装置は、レバーアームのストローク運動の間におけるレバーアームの速度に関する結果を与えるように構成される。
【0021】
バルブゲートの正しい動作も同様にして監視され、つまりバルブの開閉毎に媒質に圧力サージが作用し、媒質は振動を起こすように励起(刺激)されるので、計量される媒質の振動挙動が監視される。
【0022】
上記した例えばバルブエレメントおよび/またはバルブゲートの摩耗といったバルブの何らかの故障判定を引き出すため、あるいは計量される媒質の注入ないし充填レベルを監視するために、固体伝搬音用センサが設けられ、これにより、例えば媒質の注入レベルやバルブの摩耗が監視される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明を、例示的な実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
まず、本願発明に係わるバルブの基本的な構造を図1から3を参照して説明する。このバルブは図1および2において全体的に参照符号10で示されており、ハウジング30内に収納されている。媒質通路28は、これを通してバルブ10に計量される媒質が供給されるものであり、ハウジング30内に開口している。媒質通路28はハウジング30の内部において供給ライン20の形態で連続しており、供給ライン20は弾性のあるOリング32により媒質通路28でシールされている。供給ライン20はチューブあるいはホースのいずれかとすることができる。
【0025】
図3から明らかなように、供給ライン20の下流端部に連続して、バルブゲート14が供給ライン20に連結されており、またこのバルブゲートは同様にOリング34により供給ライン20に対してシールされている。ここで、供給ライン20を通る媒質の流れを妨げないため、バルブゲート14は流れ開口部36を有しており、この流れ開口部を通って媒質はバルブエレメント12の計量用開口部37に配分される。バルブエレメントは調節板38の受容部66内に嵌合される一方、調節板はハウジング30の下側に固定される。バルブエレメント12の計量用開口部37は、計量通路40内に続いており、計量通路は調節板38を通って延在し、また調節板はその一部が計量ニードル(計量針部)44の通路開口部内に連続しており、計量ニードルは保持ナット42により調節板38の固定用スタブつまり固定用突出部に固定されている。
【0026】
媒質通路28を経てバルブ10に供給された媒質は、よって、供給ライン20を通りバルブゲート14に流れ、またバルブゲートの流れ開口部36を通りバルブエレメント12の計量用開口部37を通り、および調整板38内の計量通路40を通って計量ニードル44に供給され、計量ニードル44により計量して配分できる。
【0027】
計量の目的で計量された媒質の上述した流れ経路上での連続的な流れを防止するために、バルブゲート14は、バルブエレメント12と摩擦ロック接合しており、特に計量用開口部37に対して横に平行に移動できて、流れ開口部36がバルブエレメント12の計量用開口部37と一致した時だけ、つまりバルブが開いた時だけに、媒質が流れ、よって、計量ニードル44から計量された媒質の配分が可能となる。しかしながら、図1および3に示したようにバルブゲート14が側方に移動した場合、および流れ開口部36がバルブエレメント12の計量用開口部37と一致しない場合、つまりバルブが閉じた場合には、計量される媒質の流れが抑制つまり止められる。
【0028】
計量ニードル44を経て計量される媒質が少量の範囲および非常に少量の範囲で配分されるようにできるために、計量用開口部37に対してバルブゲート14に横方向に高周波平行ストローク移動をさせることが必要であり、これにより、計量用開口部37は、バルブゲート14の流れ開口部36が計量用開口部37と一致した時だけ常に簡単に開くようになる。
【0029】
バルブゲート14にこの高周波の、平行ストローク移動をさせるために、バルブ10はアクチュエータ16をさらに含んでおり、このアクチュエータは図示した例では、ここに参照されるDE 196 46 511C1やDE 198 55 221A1に詳細に説明されているような、圧電アクチュエータ(ピエゾアクチュエータ)の形態の2つの可傾エレメント22を有している。圧電アクチュエータの形態の可傾エレメント22は、アクチュエータ16の保護ハウジング46内に収容されており、この保護ハウジングはバルブ10のハウジング30の上側部に取付けられている。保護ハウジング46は上側ハウジングハーフ68と下側ハウジングハーフ70とで構成され、これらハウジングは弾性的ななOリング48により互いにシールつまり密封されており、これにより、アクチュエータ16は密閉されて媒質の不要な進入が防止される。これに関連して、可傾ベース24と称され且つクランプ用ネジ26を経て上側ハウジングハーフ68に固定されたヨークが、下側ハウジングハーフ70の端部を形成している。2つの可傾エレメント22は、これらに交流電力を供給することで、片側に交互に伸びたり縮んだりし、この結果、可傾ベース24は、図1の平面に垂直な軸の回りで可傾運動つまり傾動をするようになる。
【0030】
可傾ベース24の上記の可傾運動をバルブゲート14に特に増強して転換するために、レバーーアーム18が可傾ベース24に溶接され且つレバーアームの自由端部はバルブゲート14に連結されている。このようにして、可傾ベース24の傾斜振動はレバーアームの18を介してバルブゲート14の平行ストローク移動に転換され、計量用開口部37を所望の態様で交互に開閉できるようになる。
【0031】
圧電アクチュエータの形態の可傾エレメント22は、500Hzから1kHzの周波数で容易に励起ないし起動できることは明らかである。しかしながら、この周波数を正確にバルブゲート14に伝達するために、レバーアーム18は以下のような特別な断面を有している。
【0032】
図1および2から明らかなように、レバーアーム18は、バルブゲート14の方向に収斂しており、これはレバーアームの加速の際に生じる慣性力に関して有利である。更に図6を参照して、レバーアーム18はハニカム構造の中空断面を有しており、図示した実施例ではそれ自体内側に閉じており、これは同様に、一方において、慣性力の低減の点からは有用ないし好都合である。しかしながら、他方において、このような中空断面は、対応する全断面についての領域の相当慣性モーメントを有しており、このためレバーアーム18の重量の低減はレバーアーム18の剛性の低減に僅かに影響を及ぼすだけである。
【0033】
対応する材料の選択(例えば、ステンレススチール)により、不適切な方法で剛性を落とすことなく、レバーアーム18の壁厚を約0.1mmまで低減することができる。長手方向に収斂する閉じた中空断面を備えたこの様なレバーアーム18の製造を簡略化するには、レバーアーム18は、図6から明らかなように、複数の折り返された形状のシート状金属部品52を連結、特に一緒に溶接したものである。図示したレバーアーム18を製造するためには、最初に2つの対称な形状のシート状金属部品52がシート状のステンレススチールから折り返すことで作られ、次いでこれらを互いにそれらの自由端の縁に沿って対応する溶接シーム50により互いに連結する。
【0034】
上述した通り、可傾ベース24の可傾運動は、レバーアーム18の補助により、レバーアーム18の自由端部ないしこれに連結されたバルブゲート14の実質的な平行ストローク移動に転換される。しかしながら、レバーアーム18の自由端部は、バルブゲート14の振り子運動の際の所要の平行ストローク移動に垂直な運動成分(非常に小さい)を有しており、バルブゲート14をレバーアーム18を分離ないし分断し、この垂直な運動成分がバルブゲート14に伝達されないようにすることが望ましい。
【0035】
上記の目的のために、図7に詳細に示したようにステンレススチールのシート状物を折り曲げてなる連結エレメント(連結部材)54が、レバーアーム18の自由端部に溶接されている。この例では、連結エレメント54は、折り曲げ構造セクション56と、これに隣接した平面支持セクション58とを有している。ここで、折り曲げ構造セクション56は、連結エレメント54に必要な長手方向の剛性を付与し、レバーアーム18の長手方向の範囲に垂直に整列した運動成分とバルブゲート14に伝達することができる。折り曲げ構造セクションは、約45°の角度でレバーアーム18の自由端部に溶接されており、またレバーアーム18を僅かに越えて横方向に突出している。これとは対照的に、レバーアーム18の長手軸に実質的に垂直に整列ないし位置合わせしている平面支持セクション58は、比較的柔軟であり、よって、レバーアーム18の振れの際のレバーアーム18の長手方向の範囲に対して平行に整列する運動成分を補償でき、よってこの成分はバルブゲート14に伝達されない。
【0036】
支持セクション58は穴60を有しており(図5および7を参照)、この穴には受容エレメント62が嵌合され(図4)、この受容エレメントはシーム溶接により支持セクション58に固定されれる。受容エレメント62は受容開口部64を有しており、この開口部はバルブゲート14の形状と一致しており、これによりバルブゲートは、受容開口部64を通って延在できると共にその下側がバルブエレメント12と接触できるようになる。
【0037】
圧電アクチュエータの形態の可傾エレメント22により生じる可傾ベース24の可傾移動は、上記の構成により正確に伝達される。そして、レバーアーム18からバルブゲート14までの剛性のある形態で平行ストローク移動をするので、バルブゲートはバルブエレメント12と直接的な接触をしつつバルブエレメント12上をスライドする。このため、バルブゲート14とバルブエレメント12はセラミック材料から構成され、摩耗強度ないし耐摩耗性を高めている。ここで、供給ライン20を経てバルブゲートに供給された媒質は、次いで、バルブゲート14の流れ開口部36がバルブエレメント12の計量用開口部37と一致する毎に、バルブエレメント12の計量用開口部37内に流れ、およびここから計量ニードル44に流れる。ここで、少量および非常に少量の範囲での計量を行うためには、バルブゲート1を高周波平行ストローク移動させることが好ましい。本発明によれば、これは、上述したレバーアーム18の特別な構造ないし形状により行うことができ、これにより、可傾ベース24の高周波傾斜振動が、500Hzないしそれ以上の周波数で平行ストローク移動の形態で、バルブゲート14に正確に転換される。
【0038】
最後に、駆動されるレバーアーム18の形態の駆動機構ないしバルブゲート14を備えた圧電アクチュエータがストローク運動を起こすが、これは注入される媒質の純粋なジェット式遮断装置としても同様に使用できる。この例の場合、バルブエレメント12は必要ではない。この用途ではむしろ、媒質のジェット噴霧がバルブゲート14により周期的に遮断され、つまり、計量の目的で圧電アクチュエータの形態の駆動されるレバーアーム18の補助によりバルブゲート14はその一定の間隔で押圧される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係わるバルブの側部の断面図である。
【図2】本発明に係わるバルブの正面の断面図である。
【図3】図1における詳細部Zの拡大図である。
【図4】レバーアームの連結エレメントの領域における側部断面図である。
【図5】レバーアームの底面図である。
【図6】底面図におけるレバーアームの断面図である。
【図7】連結エレメントの斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 バルブ
12 バルブエレメント
14 バルブゲート
16 アクチュエータ
18 レバーーアーム
20 供給ライン
22 可傾エレメント
24 可傾ベース(ヨーク)
26 クランプ用ネジ
28 媒質通路
30 ハウジング
32 Oリング
34 Oリング
36 流れ開口部
37 計量用開口部
38 調節板
40 計量通路
42 保持ナット
44 計量ニードル
46 保護ハウジング
48 Oリング
50 溶接シーム
52 シート状金属部品
54 連結エレメント
56 折り曲げ構造セクション
58 平面支持セクション
60 穴
62 受容エレメント
64 受容開口部
66 受容部
68 上側ハウジングハーフ
70 下側ハウジングハーフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にペースト状の媒質を計量するための、バルブ(10)であって、
計量用開口部(37)を有するバルブエレメント(12)と、
計量用開口部(37)の開閉のために平行移動可能であるバルブゲート(14)と、
可傾移動を行うように構成されたアクチュエータ(16)と、
レバーアーム(18)とを有してなり、
レバーアームは、アクチュエータ(16)に連結されており、計量用開口部(37)の開閉のためにアクチュエータ(16)の可傾移動をバルブゲート(14)の平行ストローク移動に転換する、ことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
レバーアーム(18)が閉じた中空断面を有していることを特徴とする、請求項1記載のバルブ。
【請求項3】
レバーアーム(18)がバルブゲート(14)の方向に収斂した断面を有している、ことを特徴とする請求項1または2記載のバルブ。
【請求項4】
レバーアーム(18)がステンレススチールのシート状物から作られる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバルブ。
【請求項5】
レバーアーム(18)が、複数の折り曲げられたシート状部品(52)を一緒に連結、特に溶接したものである、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバルブ。
【請求項6】
アクチュエータ(16)が可傾ベース(24)を含み、この可傾ベースにはレバーアーム(18)がカンチレバーとして固着、特に溶接されており、レバーアームの突出した自由端部がバルブゲート(14)に連結されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバルブ。
【請求項7】
レバーアーム(18)はその突出した自由端部にバルブゲート(14)を受容するための連結エレメント(54)を有している、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のバルブ。
【請求項8】
バルブエレメント(12)および/またはバルブゲート(14)がセラミック材料から作られている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のバルブ。
【請求項9】
供給ライン(20)をさらに有してなり、この供給ラインを介して計量される媒質が計量用開口部(37)に供給される、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のバルブ。
【請求項10】
供給ライン(20)の下流端部が平行移動可能である、ことを特徴とする請求項9記載のバルブ。
【請求項11】
バルブゲート(14)が、供給ライン(20)の下流端部に連続して配置される共に流れ開口部(36)を有しており、この流れ開口部を通って計量される媒質が供給ライン(20)から計量用開口部(37)に供給される、ことを特徴とする請求項9または10記載のバルブ。
【請求項12】
供給ライン(20)の下流端部が、バルブ(14)に弾性的に連結されており、特に弾性Oリング(34)を介してバルブに対してシールされている、ことを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のバルブ。
【請求項13】
供給ライン(20)の上流側端部が、固定された媒質通路(20)に弾性的に連結されており、特にOリング(32)を介して媒質通路に対してシールされている、ことを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載のバルブ。
【請求項14】
アクチュエータ(16)が圧電アクチュエータの形態の少なくとも1つの可傾エレメントを有している、ことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のバルブ。
【請求項15】
レバーアーム(18)のストローク移動を監視するための経路計測装置が設けられている、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか記載のバルブ。
【請求項16】
バルブ(10)の固体伝搬音用センサが設けられており、このセンサはバルブ(10)の振動挙動を監視する、ことを特徴とする請求項1から15のいずれか記載のバルブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−8252(P2009−8252A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−118527(P2008−118527)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(508131370)マルコ システムアナリューゼ ウント エントヴィックルング ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】MARCO SYSTEMANALYSE UND ENTWICKLUNG GmbH
【Fターム(参考)】