説明

バルーン先端部カニューレを備えたバルーン切開器具

バルーン先端部カニューレと組合わせたバルーン切開器具の種々の実施形態が開示され、これらは、例えば、腹部腔中の解剖学的空間、またはヘルニア修復手術を容易にするために腹膜外空間のような、身体内の解剖学的空間を形成することを容易にするために提供される。カニューレとのこの組合わせたバルーン切開器具は、一般に、組織の層を分離するため、および解剖学的空間を形成するために、上記デバイスを腹部壁に係留するためのカニューレアセンブリ、および遠位端に切開バルーンを有する切開器具アセンブリを含む。バルブポートおよびサブアセンブリの種々の組合わせが、上記バルーン先端部カニューレに膨張流体を、および上記切開バルーンのための膨張流体を提供するために開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2003年5月8日に出願された米国仮出願第60/468,919号の利益を主張し、その開示は、本明細書によって参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
技術分野は、解剖学的空間を形成するためのバルーン切開器具、バルーン係留具、ならびに組合わせたバルーン切開器具およびバルーン先端カニューレを有する装置に関する。
【0003】
(2.関連技術の背景)
種々の手術の間に、組織の層を切開し、その中で外科用器具が操作され得る解剖学的空間を形成することが必要である。例えば、ヘルニア修復手術では、筋膜組織層を切開し、そしてヘルニア部位に接近するために、腹膜外空間内に解剖学的手術腔を形成することが必要である。ヘルニア修復手術で用いられる組織切開手順を実施するための種々のバルーン切開器具が公知である。これらは、一般に、チューブの遠位端上に形成された切開バルーンを有する単一デバイス、およびチューブの近位端上に形成された膨張ポートを含む。このバルーン切開器具は、切開部中に挿入され、そしてバルーンは切開のために膨張される。切開後、および切開部からこのバルーン切開器具を取り出した後、カニューレがこの切開部中に挿入され、そして解剖学的空間中への外科用器具の導入のための接近経路を形成しながらガス注入するために用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在知られる組織切開デバイスおよびカニューレは有用ではあるが、改良が所望される。バルーン先端部カニューレと組合わせたバルーン切開器具デバイスを有することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
身体内に解剖学的空間を生成するためのバルーン切開器具アセンブリ、および身体中への接近ポートを提供するためのバルーン先端部カニューレアセンブリが開示される。このバルーン切開器具アセンブリおよびバルーン先端部カニューレアセンブリは、単独型器具として別個に、または、好ましくは、組合わせたバルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレとして用いられ得る。特に、両方のデバイス上の部材がそれらを容易に組合わせられるようにする。
【0006】
本発明の局面では、バルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレアセンブリは:通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、この通路およびこの内部が互いに連通するように固定されている切開バルーンを含むバルーン切開器具;この通路を通る挿入のための形態にある閉塞具;このバルーン切開器具を受容するためのカニューレチューブを有するバルーン先端部カニューレであって、このカニューレチューブが、遠位端およびこの遠位端にある係留バルーンを有するバルーン先端部カニューレ;およびこの切開バルーンを膨張するために上記通路と連通する切開膨張ポート、上記係留バルーンと連通するアンカー膨張ポート、および上記カニューレチューブと連通するガス注入ポートを有するアダプターを備える。
【0007】
本発明のさらなる局面では、バルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレアセンブリは:通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、この通路およびこの内部が互いに連通するように固定されている切開バルーンを含むバルーン切開器具;この通路を通り、この切開バルーン中への挿入のための形態にある閉塞具;およびこのバルーン切開器具を受容するためのカニューレチューブを有するバルーン先端部カニューレであって、このカニューレチューブが遠位端およびこの遠位端にある係留バルーンを有するバルーン先端部カニューレ、を備える。
【0008】
特定の好ましい実施形態では、上記バルーン切開器具は、上記通路への膨張流体を提供するために整列された膨張ポートを有する。このバルーン切開器具は、上記バルーン先端部カニューレを取り外し可能に保持するためのラッチ構造を含み得る。さらに、またはそれに代わり、このバルーン先端部カニューレは、上記バルーン切開器具を取り外し可能に保持するためのラッチ構造を含み得る。
【0009】
特定の実施形態では、上記バルーン切開器具は、バルーン先端部カニューレ上に、上記ラッチ構造と協働するように整列された取り外し可能なシュラウドを有する。特定の好ましい実施形態では、上記切開器具チューブの内面および上記閉塞具の外面は、上記切開バルーンを膨張するためにそれらの間に膨張管腔を規定する。このバルーン切開器具はまた、切開器具バルブを、この膨張管腔が、この切開器具バルブと上記切開バルーンとの間を連通するように含み得る。
【0010】
特定の好ましい実施形態では、上記アセンブリは、上記切開バルーンを初期収縮形態に保持するよう整列された分離可能な固定スリーブを含む。
【0011】
本発明のさらなる局面では、バルーン切開器具アセンブリは、通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、上記通路および内部が互いに連通するように固定されている切開バルーンを含むバルーン切開器具;上記通路を通る挿入のための形態にあり、かつ上記切開器具チューブと、上記バルーンの内部と連通する膨張管腔を形成するように整列されている閉塞具を備える。
【0012】
本発明のさらなる局面では、バルーン切開器具アセンブリは:通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、上記通路および内部が互いに連通するよう、および上記切開バルーンが上記切開器具チューブの遠位端から延びるように固定されている切開バルーンを備えるバルーン切開器具;および上記通路を通り、かつ上記切開バルーンの内部への挿入のために、上記切開バルーンが閉塞具上に支持されるような形態の閉塞具を備える。
【0013】
特定の好ましい実施形態では、上記アセンブリは、上記切開バルーンを上記閉塞具上で初期収縮形態に保持するよう整列された分離可能な固定スリーブを含む。上記バルーン切開器具はまた、上記通路に膨張流体を提供するために整列された膨張ポートを有し得る。この膨張流体は、望ましくは、上記切開バルーンと連通している。このバルーンが膨張を開始するとき、上記スリーブの弱くなった領域が分離して、この切開バルーンを解放する。膨張されたこの切開バルーンは、好ましくは、組織の層を、自然の組織の平面に沿って離して押し、解剖学的空間を生成する。
【0014】
特定の好ましい実施形態では、上記切開器具チューブの内面と上記閉塞具の外面とは、それらの間に膨張管腔を規定する。上記バルーン切開器具の近位端は、望ましくは、上記通路と連通するオリフィスを含み、上記閉塞具の上記切開器具チューブからの除去に際し、上記切開バルーンは収縮する。上記バルーン切開器具は、望ましくは、切開器具膨張バルブを含み、そして上記膨張管腔は、この切開器具膨張バルブと上記切開バルーンとの間を連通する。
【0015】
本発明のさらなる局面では、手術における使用のために身体内に解剖学的空間を生成する方法は、身体内に切開部を形成する工程、およびこの切開部を通り、所望の位置にバルーン切開器具アセンブリを挿入する工程を包含する。このバルーン切開器具は:i)通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、上記通路および内部が互いに連通するように固定されている切開バルーンを備えるバルーン切開器具;およびii)上記通路を通る挿入のための形態にあり、かつこのバルーンの内部と連通する膨張管腔を形成するように上記解器具チューブ整列されている閉塞具を備える。上記方法は:解剖学的空間を生成するために、上記膨張管腔を通って膨張流体を、組織の層を自然の組織平面に沿って離して押すように導入することによって上記切開バルーンを膨張する工程;およびこのバルーンを収縮する工程を包含する。
【0016】
本発明のさらなる局面では、手術における使用のために身体内に解剖学的空間を生成する方法は、身体内に切開部を形成する工程、およびこの切開部を通り、所望の位置にバルーン切開器具アセンブリを挿入する工程を包含する。このバルーン切開器具は:i)通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、上記通路および内部が互いに連通するよう、かつ切開バルーンがこの切開器具チューブの遠位端から延びるように固定されている切開バルーンを備えるバルーン切開器具;およびii)上記通路を通り、上記バルーンの内部へ、上記切開バルーンが上記閉塞具上に支持されるような挿入のための形態にある閉塞具を備える。上記方法は、閉塞具で組織をトンネル通過することを含む挿入する工程;解剖学的空間を生成するために、上記切開バルーンを、組織の層を自然の組織平面に沿って離して押すように膨張する工程;およびこのバルーンを収縮する工程を包含する。
【0017】
特定の好ましい実施形態では、上記閉塞具および切開器具チューブは、それらの間に膨張管腔を規定し、そして上記方法は、膨張流体を上記膨張管腔中に上記切開バルーンを膨張するように導入する工程を含む。この方法は、上記通路中に器具を膨張および挿入する工程の前に、上記閉塞具を取り除く工程を含み得る。この器具は、内視鏡を包含し得る。
【0018】
特定の好ましい実施形態では、この閉塞具は、上記切開バルーンを収縮するように膨張する工程の後に除去される。上記バルーン切開アセンブリは、上記切開バルーンを初期の収縮形態に保持するよう整列された分離可能な固定スリーブを含み得、そして上記切開バルーンを膨張する工程は、このスリーブを分離することを含み得る。
【0019】
特定の好ましい実施形態では、上記バルーン切開器具アセンブリは腹部中に挿入され、そしてこの腹腔にあるヘルニアが修復される。
【0020】
本発明の別の局面では、身体腔への皮下接近を提供するためのアセンブリは:カニューレチューブおよびこのカニューレチューブの遠位端上の係留バルーンを有するバルーン先端部カニューレであって、身体腔に注入流体を提供するために注入ポートを有するバルーン先端部カニューレ;このカニューレチューブ内に受容される閉塞具を備え;このバルーン先端部カニューレは、その近位端上にアダプターを有し、このアダプターおよび閉塞具は、この閉塞具とバルーン先端部カニューレを連結するために整列され、このアダプターは、このアダプター内に配置された少なくとも1つのシールを有し、かつ、この閉塞具が上記カニューレチューブから除去された後にこのカニューレチューブ内に受容されるべきデバイスを取り付けるように整列されている。
【0021】
チューブにバルーン係留具を固定するための新規な方法が開示され、この方法は、このチューブの選択的領域に適切な材料(例えば、ウレタン)を浸漬する工程、およびこの選択的領域の周りに上記膨張可能なバルーン係留具を位置決めする工程を含む。その後、この膨張可能なバルーン係留具の対抗する端部は、熱溶接に供され得、この対向する端部を被覆される選択的領域に溶接する。シリコーンスリーブがさらに提供され得、これは、上記膨張可能なバルーン係留具上に配置可能であり、かつこのシリコーンスリーブの対向する端部に付与される熱収縮リングによりそれに固定される。
【0022】
特定の好ましい実施形態では、上記カニューレチューブは壁を有し、そして管腔がこの壁の中に形成され、この管腔は、アンカー膨張ポートおよび係留バルーンと連通する。皮膚シールが、上記カニューレチューブ上に移動可能に取り付けられ得る。この皮膚シールは、上記細長いチューブ上の所望の長軸方向位置にこの皮膚シールを固定するための構造を含み得る。
【0023】
特定の好ましい実施形態では、上記少なくとも1つのシールは、上記カニューレチューブ内に受容されている器具の不在下でこのカニューレチューブをシールするための第1のシールを含む。この少なくとも1つのシールはまた、器具が上記カニューレチューブ内に受容されるとき、このカニューレチューブをシールするための第2のシールを含み得る。上記注入ポートは、好ましくは、上記少なくとも1つのシールの遠位方向に位置される。
【0024】
特定の好ましい実施形態では、上記デバイスは閉塞具を備え、そしてその他では上記デバイスは切開器具を備える。
【0025】
この閉塞具は、上記カニューレチューブ内に、このカニューレチューブの遠位端から部分的に出て延びるように適合する形態の細長い本体を含み得る。
【0026】
本発明の別の局面では、腹部内に解剖学器空間を生成し、かつこの腹部内の身体腔への皮下接近を提供する方法は:身体内の切開部中に挿入された切開器具を用いて解剖学的空間を生成する工程であって、この切開器具が、バルーン先端部カニューレに連結されている工程;このバルーン先端部カニューレを上記切開部を通じて挿入する工程であって、このバルーン先端部カニューレが、その遠位端上に係留バルーンを備えたカニューレチューブ、およびその近位端上にアダプターを備え、このアダプターが、上記切開器具との連結のために整列されている工程;バルーン先端部カニューレを上記切開器具から取り外す工程;この係留バルーンを膨張する工程;この係留バルーンを上記身体腔の内面に対して係合する工程;上記皮膚シールを上記身体腔の外面に対して遠位方向にスライドする工程;および上記切開器具を除去し、そして上記身体腔中に注入法流体を導入する工程を包含する。望ましくは、上記取り外す工程は、上記バルーン先端部カニューレを挿入する工程の前に実施され、そしてこのバルーン先端部カニューレは、上記切開器具上を遠位方向に進行される。上記方法は、上記バルーン先端部カニューレから閉塞具を除去する工程を含み、そしてこの切開器具は、バルーン先端部カニューレ中に挿入され得る。
【0027】
上記皮膚シールは所定の場所に固定され得る。内視鏡は、上記閉塞具を除去する工程の後に上記バルーン先端部カニューレ中に挿入され得る。このバルーン先端部カニューレは、望ましくは、上記係留バルーンと連通するアンカー膨張ポートを含み、そして上記方法は、このアンカー膨張ポートを作動することにより、上記係留バルーンを収縮する工程を含み得る。本発明のさらなる局面では、組織を切開し、そして身体腔への皮下接近を提供する方法は、バルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレアセンブリを切開部中に導入する工程を包含する。このバルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレアセンブリは:i)通路を規定する切開器具チューブ、および内部を有し、かつこの切開器具チューブの遠位端に、上記通路および内部が互いに連通するように固定されている切開バルーンを備えるバルーン切開器具であって、このバルーン切開器が上記通路に膨張流体を提供するために整列された膨張ポートを有するバルーン切開器具;ii)および上記通路を通り、かつ上記切開バルーンの内部への挿入のための形態にある第1の閉塞具;およびiii)カニューレチューブおよびこのカニューレチューブの遠位端上の係留バルーンを有するバルーン先端部カニューレを備える。上記方法は:このバルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレアセンブリ所望の位置に身体中に挿入する工程;この切開バルーンを収縮する工程;このバルーン先端部カニューレの遠位先端部を、上記切開部を通り身体腔内に係留バルーンを位置決めするために進行する工程;この係留バルーンを膨張し、そして上記皮膚シールを上記身体の外面に対して進行する工程;上記バルーン切開器具および第1の閉塞具を上記バルーン先端部カニューレから除去する工程;および注入法流体を上記身体中に導入する工程を含む。
【0028】
特定の好ましい実施形態では、上記バルーン先端部カニューレは、第2の閉塞具を有し、そして上記方法は、上記バルーン先端部カニューレおよびバルーン切開器具を、この第2の閉塞具を除去すること、およびこのバルーン切開器具をバルーン先端部カニューレ中に挿入することによりアセンブルする工程を含む。上記バルーン切開器具上のラッチ構造は、このバルーン先端部カニューレと係合され得る。上記第1の閉塞具は、上記収縮する工程の前に除去され、そして内視鏡が上記切開器具チューブ中に挿入される。上記方法は、このバルーン先端部カニューレからラッチ構造を解放する工程を包含し得る。
【0029】
上記皮膚シールは、望ましくは、身体の外面に対して固定される。望ましくは、上記方法は、上記係留バルーンを収縮することを含む。上記バルーン先端部カニューレは、身体から除去され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
現在開示されるバルーン切開器具およびバルーン先端部カニューレの好ましい実施形態を図面を参照して本明細書中で説明する。
【0031】
現在開示されるバルーン切開器具アセンブリ、バルーン先端部カニューレアセンブリおよびバルーン先端部カニューレと組合わせたバルーン切開器具の好ましい実施形態が、ここで、図面を参照して詳細に説明され、ここでは、いくつかの図面の各々で、同様の参照番号は、同一または対応する要素を指定する。本明細書で用いられるとき、用語「遠位」は、使用者からより遠い器具またはその部材の部分をいい、その一方、用語「近位」は、使用者により近い器具またはその部材の部分をいう。
【0032】
図1および2を参照して、本発明の実施形態によるバルーン切開器具アセンブリ10が示される。バルーン切開器具アセンブリ10は、一般に、長軸方向軸Xを有し、そしてアダプターアセンブリ24および閉塞具アセンブリ26を有するバルーン切開器具12を含む。バルーン切開器具アセンブリ10は、患者の身体内に解剖学的空間を形成するよう組織の層を分割するために、膨張のための形状およびそのために適合された切開バルーン14を含む。膨張アパーチャ16は、切開バルーン14の近位領域中に位置し、そして切開器具18の遠位端を受容し、かつそれに固定されるような寸法である。切開器具チューブ18は、それらの間に接近通路20を規定する開放近位端および遠位端を有する細長い管状構造である。膨張ポート22は、切開器具18の近位端に位置し、そしてこの通路20と膨張圧力の供給源との間に連通チャネルを提供する。
【0033】
切開バルーン14は、この遠位領域58が実質的に透明なセクション、または窓を含む材料から製造され得、それによって、切開される空間への可視的接近を可能にすることがさらに想定される。さらに、またはそれに代わり、切開バルーン14は、これもまた上記切開される空間への可視的接近を可能にする実質的に透明である材料か製造され得る。膨張圧力が付与されるとき、切開バルーン14は、望ましくは、所定の形態およびサイズに拡張する。外科的手順とともに異なる形状およびサイズが想定され、どの形状およびサイズが選択されるかを決定する。この切開バルーンは、すべての方向、その高さにおけるような特定の方向に選択的に弾性であり得る。
【0034】
しばらくの間、図2Aおよび2Bを参照して、スリーブカバー60が、切開バルーン14の周りに提供され、切開バルーン14を身体中への挿入の間および膨張の前に収縮状態に保持する。スリーブカバー60は、切開器具チューブ18に取り付けられた切開バルーン14に固定され得るか、またはそれに対して移動可能に取り付けられる。スリーブカバー60は、長軸方向の弱くなった穿孔領域21を、切開バルーン14の膨張に際し、上記スリーブがこれら穿孔に沿って分離し、そして切開バルーン14を解放するように含む。特定の好ましい実施形態では、上記切開バルーン14は、軸Xに向かって内方に巻かれ、そして上記スリーブカバー60を用いて固定される周縁端部11および13を有する。上記スリーブカバーは、19で、フラップ15、17の形態にあるバルーンの材料に熱シールされる。これら周縁エッジ11および13が折り畳まれるか、または巻かれた後、これらスリーブカバー60のフラップは、この巻かれたバルーンの周りに延ばされ、そしてこれらフラップは互いに熱シールされる。これらフラップの1つに予備形成された穿孔21は、このスリーブカバー60が上記バルーンの膨張に際し分離することを可能にする。
【0035】
先行技術の切開バルーンは、上記デバイスの長軸方向軸に実質的に直交してほぼ配置され、ここで、それらの初期膨張運動は、それらを、長軸方向軸と整列され、おそらくは、意図されない組織損傷を増加する。現在の実施携帯では、上記バルーンは、側面方向には巻かれないか、または折り畳まれない。
【0036】
アダプターアセンブリ24は、切開器具チューブ18の近位端への取り付けのための形態であり、そして一般に、図2で最も良く観察されるように、シュラウド28、および端部キャップ30に取り付けられたラッチアダプター34を有する端部キャップを含む。アダプターアセンブリ24の遠位領域に位置して、この取り外し可能なシュラウド28は、切開器具チューブ18の近位端を取り囲むための寸法である。シュラウド28は、好ましくは、ほぼ円錐台形状にある形態であり、ここで、狭い部分が切開器具チューブ18を取り囲み、そしてより広い部分が、ラッチアダプター34を受容するために適合されている。ラッチアダプター34は、一対の対向するアーム36を含む。アーム36の各々は、ほぼ可撓性であり、そしてその開始位置にばねで戻るよう付勢される。さらに、アーム36の各々は、遠位フック38および近位レバー40を含む。レバー40を長軸方向軸Xに向かって作動することにより、アーム36は、取り付け点の周りに回動させ、各フック38をほぼその取り付け点の周りに回転させる。ラッチアダプター34がシュラウド28に取り付けられるとき、フック38は、シュラウド28中に形成された凹部41と取り外し可能な係合にある。
【0037】
ラッチアダプター24の遠位端は、複数のタブ4を含み、そして図1で最も良く観察されるように、ラッチアダプター34を端部キャップ30の内壁44に固定する形態にある。端部キャップ30の内壁44aは、切開器具チューブ18の近位端を取り囲み、かつそれに固定される。ラッチアダプター34を通る中央開口が、例えば、閉塞具または内視鏡のうな異なる器具を受容するために提供され、これは、端部キャップ30、ラッチアダプター34、シュラウド28、およびバルーン先端部切開器具アセンブリ10内のこれらデバイスの位置を通って受容され得る。特定の好ましい実施形態では、上記中央開口は、約5〜約10ミリメートルの間の直径をほぼ有するデバイスをスライド可能に受容するための寸法であり得るが、より小さいか、またはより大きなサイズを収容するための実施形態が企図される。
【0038】
上記アダプターアセンブリ24は、1つ以上のパーツを備え得る。その他の実施形態では、上記端部キャップ30、ラッチアダプター34、およびシュラウド28のいずれかは単一のパーツに組み合わせられる。好ましくは、シュラウド28は、外科医による使用のために人間工学的に設計され、そしてこのバルーン切開器具に流線型の外観を与えるような形態である。好ましい実施形態では、上記端部キャップ30、ラッチアダプター34およびシュラウド28は、上記切開器具チューブ18の近位端に取り付けられる1つの一体パーツに組み合わせられる。
【0039】
アダプターオリフィス46および連結ポート48が、端部キャップ30上に位置決めされる。必要に応じて、アダプターオリフィス46は実質的に円形であり、端部キャップ30上中央に位置し、そしてそれを通ってデバイスを受容するような形態である。直径減少デハイス(図示せず)が同様に含められ得、所定のサイズより小さい直径を有するデバイスを収容する。この減少デバイスは、異なるサイズの管状外科用デバイスを係合し、かつアダプターオリフィス46を通って挿入される外科用デバイスのために所定の安定性を提供するために、アダプターオリフィス46の上で端部キャップ30に取り付けられ得る。あるいはまたはさらに、この端部キャップ30は、望ましくは、上記閉塞具または内視鏡が上記膨張チューブ中かつ上記端部キャップ30を通って受容されるとき、上記切開バルーン内の流体圧力を維持するためのシールを含む。上記連結ポート48は、バルブ50が連結ポート48と流体連通にあるようなシール様式でバルブ50を受容するための寸法である。
【0040】
切開器具膨張バルブ50は、好ましくは、外科的手順の間に容易に接近可能である端部キャップ30の表面上に位置する。切開器具膨張バルブ50が端部キャップ30に取り付けられるとき、バルブポート52は整列され、そして切開器具チューブ18中の膨張ポート22と流体連通しており、そしてそれ故、切開バルーン14と流体連通している。切開器具膨張バルブ50はまた、切開器具膨張バルブ50に回転可能に取り付けられているバルブハンドル54を含み、ここで、内部バルブポート(図示せず)は、バルブポート52と膨張ボート22との間の流体流れを許容するような形態である。
【0041】
好ましい実施形態では、切開器具膨張バルブ50は、切開バルーン14を膨張または収縮するためのストップコックを備えた一方向チェックバルブである。使用において、膨張圧力がバルブポート52に付与されて、これは、さらに、切開器具チューブ18の周縁管腔を通じて連通し、切開バルーン14を拡張させる。切開器具膨張バルブ50の内部にあるチェックバルブを有することは、切開器具膨張バルブ50を通る膨張圧力の損失を最小にし、それによって切開バルーン14がその形状および膨張圧力を維持することを可能にする。有利には、切開器具膨張バルブ50は、この膨張圧力を解放するためのストップコックを含む。ストップコックに切開器具膨張バルブ50を含めることは、手術作業者が切開バルーン14の膨張および収縮に対するより良好な制御を有することを可能にする。なぜなら、それは切開器具膨張バルブ50に一体化され、そしてバルブ50は、手術作業者に容易に接近可能であるからである。その他の実施形態では、別個の収縮デバイスが提供され得る。
【0042】
本開示によれば、閉塞具アセンブリ26は、一般に、形状がほぼ円錐形であり、そして閉塞具本体64の遠位端に形成される先端部66を有する閉塞具本体64を含む。閉塞具本体64の近位端に位置するのは閉塞具フランジ68である。閉塞具キャップ70は、閉塞具フランジ68に固定される。好ましくは、閉塞具キャップ70は、手術作業者による心地よい使用のために人間工学的な形状である。特定の好ましい実施形態では、この閉塞具は、細長い本体、および望ましくは手術作業者による使用のために人間工学的な形状とされた近位端を備える。
【0043】
使用の前に上記バルーン切開器具アセンブリ10をアセンブルするために、閉塞具アセンブリ26の先端部66は、アダプターオリフィス46を通って挿入され、そして閉塞具アセンブリ26は、長軸方向軸Xに沿って遠位方向に進行される。閉塞具フランジ68の下側が端部キャップ30に接するとき、閉塞具アセンブリ26の最大の長軸方向移動が達成される。この閉塞具本体64は、閉塞具本体64の外面および切開器具チューブ18の内面が、バルブポート52と切開バルーン14との間に膨張管腔23を形成するようなサイズである。
【0044】
切開バルーン14を膨張するために、膨張圧力の供給源がバルブポート52に取り外し可能に取り付けられる。バルブハンドル54は、切開器具膨張バルブ50を通る流体流れのために内部バルブポートを整列するようにに回転される。加圧された流体がバルブポート52を通って導入され、そして切開器具膨張バルブ50、膨張ポート22、および膨張管腔23を通じて切開バルーン14まで連通される。別の代替では、上記切開器具チューブ18は、上記バルブ50の遠位方向で、かつポート48と接続する位置で終わり、そして、この膨張ポート22はない。好ましい膨張流体の例はCO、生理食塩水溶液、またはその他の生体適合性流体を含む。この加圧された流体は、切開バルーン14を拡張させる。好ましい実施形態では、切開バルーン14は、適切な生体適合性材料から製造される。例えば、このバルーンは、約2ミル、または0.002インチの厚みを有するシートを備え得る。
【0045】
単独型デバイスとしてのバルーン切開器具アセンブリ10のための使用の方法が開示される。あるいは、バルーン切開器具アセンブリ10は、本明細書中以下で説明されるような様式で、接近ポートまたはカニューレとともに用いられ得る。バルーン切開器具アセンブリ10は、図1でアセンブルされた状態で示される。代表的には、適切なサイズの切開部が患者の皮膚中に作製される。次に、もこのアセンブルされたバルーン切開器具アセンブリ10は、バルーン切開器具12内に位置決めされた閉塞具26を用いてこの切開部中に挿入され、切開部の点を超えて、上記閉塞具本体64上に支持された切開バルーン14とともにトンネル通過する。バルーン切開器具アセンブリ10が挿入されるとき、切開バルーン14は、スリーブカバー60によって拘束され、そして切開器具チューブ18の遠位端を超えて延びる閉塞具本体64の遠位領域をほぼ取り囲む。好ましくは、切開バルーン14は、トンネル通過プロセスの間に切開バルーン14への損傷は最小にするが、また最小の表面抵抗を有するに十分な強度を有する材料から形成され、それによって、切開バルーン14の上記切開部および周囲の軟組織中への容易な侵入を許容する。
【0046】
膨張圧力は、適切な外部供給源からバルブポート52を通じて付与され、そして切開器具膨張バルブ50を通って切開バルーン14に連通される。圧力が付与されるとき、切開バルーン14は拡張し、そして上記穿孔されたスリーブカバー60を、穿孔21に沿って分離させるか、または上記スリーブカバー60材料中の弱い部分を破壊させ、切開バルーン14を解放する。切開バルーン14は側方に解かれるか、折り畳みを解かれ、そして垂直方向に所定の形状およびサイズに拡張する。切開バルーンの垂直拡張は、周辺組織を自然の組織平面に沿って切開する。一旦、所望の空間が生成されると、切開バルーン14は、バルブ50上のストップコックを作動することにより収縮され、切開バルーン14内側の圧力を解放する。あいるは、閉塞具アセンブリ26の除去は、この膨張圧力が、アダプターオリフィス46での開口を通じて軽減されることを可能にする。
【0047】
閉塞具アセンブリ26の除去の後、その他の適切な形態の外科用器具またはデバイスが、切開器具チューブ18中に挿入され得る。1つのこのような例は、切開された空間を見るための内視鏡であり、ここで、この切開バルーン14の少なくとも一部分は、この切開された空間を見るために実質的に透明である。代替の実施形態では、上記閉塞具アセンブリ26は、バルーン切開器具アセンブリ10が身体中に導入される前または後のいずれかで除去され得、そして上記内視鏡が、この切開バルーンの膨張前に上記切開器具チューブ18中に挿入され得る。望ましくは、このバルーン切開器具アセンブリ10は、切開の後に除去され、そして切開された空間は、当該分野で公知のようにガス注入される。
【0048】
ここで図3および4を参照して、種々の外科用器具と、または本明細書で以下により詳細に記載のようなバルーン切開器具アセンブリ10と組合わせた使用のための接近ポートとしての使用のためのバルーン先端部カニューレアセンブリ80が開示される。バルーン先端部カニューレアセンブリ80は、一般に、シールアセンブリ84を有するバルーン先端部カニューレ82および閉塞具86を含む。
【0049】
バルーン先端部カニューレ82は、それを通る外科用器具の受容のための接近管腔90を規定するその近位端および遠位端で開放されている細長いチューブ88を備える。近位管腔ポート92および遠位管腔ポート94が、カニューレ88の外面上に配置される。管88の内面と外面との間に規定されて、長軸方向軸Xに沿って延び、そして近位および遠位管腔ポート92、94と連通する膨張管腔96がある。膨張可能なバルーン係留具98が、チューブ88の遠位領域中に配置される。好ましい実施形態では、バルーン係留具98は、ほぼドーナッツ形の形状を有し、チューブ88に沿って位置し、そして実質的に流体密でシールする様式で遠位管腔ポート94を取り囲む。なお、さらに、バルーン係留具98は、所定のサイズおよび形状に拡張可能である。
【0050】
しばらくの間、図4A〜4Cを参照して、膨張可能なバルーン係留具98は、新規な様式で細長いチューブ88の遠位端に固定される。膨張可能なバルーン係留具98を受容するよう細長いチューブ88を調製するために、細長いチューブ88の選択的領域150が、膨張可能なバルーン係留具98への接着のために十分な特徴を有する適切な材料中に浸漬される。好ましくは、選択的領域150は、ウレタン材料中に浸漬され、選択的領域150上にウレタンコーティング152を生じる。膨張可能なバルーン係留具98を細長いチューブ88に取り付けるために、膨張可能なバルーン係留具98は、最初、選択的領域150の上に、そして遠位管腔ポート94の周りに位置決めされる。図4Cに最も良く示されるように、膨張可能なバルーン係留具98の対向する端部154および156は、熱溶接手順に処理されて、対向する端部154および156を細長いチューブ88の遠位端上のコーティング152に熱溶接する。このようにして、膨張可能なバルーン係留具98は、細長いチューブ88の選択的領域150に堅く固定される。
【0051】
図4Dを参照して、好ましい実施形態では、膨張可能なバルーン係留具98の周りに配置されるような形態であるシリコーンスリーブ158が提供される。シリコーンスリーブ158は、シリコーンスリーブ158の対向する端部164および166の周りに配置される一対のリング160および162により膨張可能なバルーン係留具98の周りに固定される。好ましくは、リング160および162は、熱収縮性材料から形成され、その結果、シリコーンスリーブ158が、膨張可能なバルーン係留具98の上に配置され、そして熱収縮リング160および162がシリコーンスリーブ158の対向する端部164および166の周りに配置されるとき、リング160および162は、熱処理に供され得、これは、リング160および162を収縮し、それによって、シリコーンスリーブ158を、膨張可能なバルーン係留具98の上に固定する。このリング160および162は、上記バルーン係留具98をその近位端および遠位端で強化するために供される。このスリーブ158は、任意の弾性の生体適合性材料のスリーブを包含し得る。さらに、その他の方法を用いて、このバルーン係留具98を上記チューブ88の上に取り付け得、これは、例えば、このバルーン係留具98を上記チューブ88に接着することによる。さらなる代替では、このバルーン係留具98は、上記バルーンに縫合糸で結ばれ得、そしてRTVで被覆され得る。
【0052】
図4を参照すると、好ましい実施形態において、バルーン先端部カニューレ82は、チューブ88の外側にスライド可能に取り付けられた皮膚シール100をさらに備える。皮膚シール100は、望ましくは、発泡体カラー102および固定手段104を備え、この固定手段は、皮膚を、長手方向軸xに沿った所望の長手方向位置に固定するためのものである。適切な皮膚シールは、国際公開番号WO02/096307(発明の名称「Balloon Cannula with Over Center Clamp」、この全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。バルーン先端部カニューレ82が患者の皮膚における切開部を通して挿入される場合、皮膚シール100は、患者の身体の、圧力障壁を形成している皮膚表面に対する位置に移動され、これによって、この患者の皮膚における開口部を通しての膨張圧の損失を最小にし、そして別のバルーン98と組み合わせて、バルーン先端部カニューレ82を患者の身体に固定する。
【0053】
バルーン先端部カニューレ82は、アダプタフランジ106をさらに備え、このアダプタフランジは、間にボアを規定する、近位開口部および遠位開口部を有する。アダプタフランジ106の1つの表面上に、バルブポート108が、実質的に流体密封様式でバルブ110を受容するような寸法にされている。アダプタフランジ106の遠位端は、実質的に流体密の密封様式で、カニューレチューブ88の近位端を受容し、そしてこの近位端に固定されるような寸法にされる。カニューレチューブ88の近位端が、アダプタフランジ106の遠位端に完全に挿入される場合、バルブポート108は、近位管腔ポート92と整列し、これによって、バルブ110と整列する。アダプタフランジ106の近位端の近くに、1対の凹部112が配置され、これらの凹部の各々は、ほぼ矩形の構成を有し、そして好ましくは、互いに正反対に対向する。凹部112は、本明細書中以下に記載されるような栓子128に関連するラッチ構造体を受容するように構成される。あるいは、本明細書中以下に記載されるようなバルーン切開器具12と組み合わせて使用される場合、凹部112は、アダプタ34にラッチをかけるための取り付け点を提供する。他の実施形態において、バルーン切開器具アセンブリ10とバルーン先端部カニューレアセンブリ80との間に、ラッチ構造体が使用されない。
【0054】
バルーン先端部カニューレ80は、好ましくは、アンカー98を膨張および収縮させるための元栓を有する、一方向逆止めバルブを使用する。アンカー膨張バルブ110は、好ましくは、外科手術手順の間に容易に接近可能な、アダプタフランジ106の表面上に位置する。アンカー膨張バルブ110がアダプタフランジ106に取り付けられる場合、バルブポート114は、近位管腔ポート92と整列し、そしてこのポートと流体連絡し、従って、バルーン係留具98と流体連絡する。アンカー膨張バルブ110はまた、アンカー膨張バルブ110に回転可能に取り付けられたバルブハンドル116を備え、ここで、内部バルブポート(図示せず)は、バルブポート114と近位管腔ポート92との間での流体の流れを可能にするように構成される。他の実施形態において、別の収縮デバイスが提供され得る。
【0055】
バルーン係留具98を膨張させる目的で、膨張圧の供給源が、バルブポート114に解放可能に取り付けられる。バルブハンドル116は、アンカー膨張バルブ110を通っての流体の流れのために、内部バルブポートと整列するように回転する。加圧された流体は、バルブポート114を通して導入され、そしてアンカー膨張バルブ110、近位管腔ポート92、および膨張管腔96を通って、バルーン係留具98と連絡する。好ましい膨張流体の例としては、CO、生理食塩水、または他の生体適合性流体が挙げられる。この加圧された流体は、バルーン係留具98を拡張させる。好ましい実施形態において、アンカー膨張バルブ110は、元栓を有する一方向逆止めバルブである。逆止めバルブをアンカー膨張バルブ110の内部に有することによって、アンカー膨張バルブ110を通る膨張圧の損失が最小にされ、これによって、バルーン係留具98が、その形状および膨張圧を維持することを可能にする。有利には、アンカー膨張バルブ110は、膨張圧を解放するための元栓を備える。アンカー膨張バルブ110に元栓を含めることによって、外科手術人員は、バルーン係留具98の膨張および収縮に対する、より良い制御を有することが可能になる。なぜなら、この元栓は、この外科手術人員に容易に接近可能なアンカー膨張バルブ110上に設置されるからである。しかし、別個の膨張デバイスおよび収縮デバイスが、バルーン先端部カニューレ上に提供され得る。
【0056】
吹き込みポート120が、アダプタフランジ106上に提供され、そしてアダプタフランジ106の内部およびチューブ88の内部と流体連絡して、吹き込み流体を、患者の身体の内部に提供する。
【0057】
シールアセンブリ84は、一般に、ダックビルシール122を備え、このダックビルシールは、アダプタフランジ106の内部表面によって受容されるように構成および適合されており、ここで、ダックビルシール122の外側表面およびアダプタフランジ106の内側表面は、実質的に流体密の密封様式で嵌合する。ダックビルシール122は、従来の様式で機能して、バルーン先端部カニューレを、このバルーン先端部カニューレに挿入された器具の非存在下でシールし、そして吹き込み流体の漏洩に対するシールを提供する。ダックビルシール122は、図3において、栓子86が適所にある状態で閉じて示されるが、ダックビルシール122は、このシールを通る器具の非存在下でのみ閉じることが、理解されるべきである。開口部が、アダプタリング124を受容するために、ダックビルシール122の近位端に位置する。アダプタリング124は、ダックビルシール122とぴったり係合するための大きさにされ、そして外科用デバイス(例えば、栓子)を受容するための寸法にされた実質的に中心のオリフィスを備え、そしてこのような外科用デバイスの周りにシールを提供する。なおさらに、アダプタリング124は、保持リング126によって、ダックビルシール122の近位領域内で適所に維持される。この保持リングは、アダプタリング124の開口部と実質的に等しい中心開口部を有する。本明細書中で上で記載されるような、バルーン切開器具12に対する径違いデバイスが、同様に備えられて、種々の直径の器具を収容し得る。この径違いデバイスは、異なるサイズの管状外科用デバイスにスライド可能に係合するため、および保持リング126を通して挿入される外科用デバイスに対するある程度の安定性を提供するために、保持リング126に取り付けられる。ダックビルシール122およびリング124が、この実施形態において示されているが、他の実施形態は、異なる構成を有するシールを備える。望ましくは、バルーン先端部カニューレアセンブリ80は、そのアセンブリによって受容され得る器具の非存在下でチューブ88の内部をシールするためのシールと、一旦このアセンブリに挿入されると、器具に対してシールするためのシールとの両方を備える。
【0058】
バルーン先端部カニューレアセンブリ80は、患者の身体における切開部を通してのバルーン先端部カニューレの挿入を容易にするための、栓子86をさらに備える。栓子86は、一般に、栓子本体128、栓子本体128に固定されたキャップ130、およびキャップ130に固定されて栓子本体128を囲むラッチアダプタ132を備える。さらなる実施形態において、ラッチアダプタ132は、排除され、そしてラッチは、キャップ130に組み込まれる。栓子本体128は、一般に細長く、かつ円筒形であり、そして丸い栓子先端部134が、栓子本体128の遠位端に位置している。栓子本体128は、その近位端に配置された栓子アダプタ136を備える。
【0059】
ラッチアダプタ132は、バルーン切開器具12のラッチアダプタに関して上に記載されたものと類似の様式で、キャップ130に取り付けられる。栓子アダプタ136は、キャップ130の内側表面に固定される。ラッチアダプタ132は、貫通ボアを有する、ほぼ円形の構成である。複数の弾性タブ138が、遠位端に位置し、各タブ138は、スロットによって、各他のタブから分離されている。さらに、各タブ138は、ラッチアダプタ34とエンドキャップ30とに関して上で議論されたものと類似の様式で、キャップ130と係合するために、この貫通ボアの中心の方へと付勢されている。ラッチアダプタ132の近位端の近くに、1対の正反対に対向するアーム140が位置する。各アーム140は、ラッチアダプタ132に旋回可能に取り付けられており、このアダプタ上で、各アーム140が長手方向軸xに対して実質的に垂直な旋回点の周りで回転する。好ましくは、各アーム140は、開始位置に付勢されており、他のアームから離れて回転可能であり、そしてその遠位端において、フック142を備え、ここで、各フック142は、アダプタフランジ106の凹部112と解放可能に嵌合するように構成される。
【0060】
栓子86が、保持リング126、アダプタリング124、ダックビルシール122、およびチューブ88に挿入され、そしてこれらの保持リング126、アダプタリング124、ダックビルシール122、およびチューブ88を通して長手方向軸に沿って進められる場合、ラッチアダプタ132は、遠位に進められ、そしてフック146は、凹部122に接近し、そしてこの凹部と係合する。好ましくは、アーム140は、ラッチ位置の方へと付勢され、そして内部にたわみ、次いで、凹部112とスナップして係合する。操作者は、レバー144をほぼ外向きの方向に移動させることによって、アーム140を回転させ得、これによって、フック142を、ほぼ内向きに回転させる。栓子86がバルーン先端部カニューレ82に完全に挿入された後に、操作者は、レバー144を解放し、これによって、アーム140を、その開始位置に戻す。この開始位置において、フック142は、凹部112と係合して、ラッチアダプタ132および栓子86を適所に保持する。さらに、組み立てられた構造体が完全に挿入される場合、栓子先端部134は、チューブ88の遠位端を越えて延びる。
【0061】
キャップ130は、アーム140をスライド可能に受容するように構成および適合された、1対の溝146を備える。キャップ130は、人間工学的な効率のために構成され、これによって、操作者が、最小の努力または不快感でキャップ150を使用し得ることが好ましい。
【0062】
特定の好ましい実施形態において、キャップ130、ラッチアダプタ132および栓子本体128は、ユニタリ構造体として組み合わせられ得る。栓子本体128は、アダプタフランジ106とのラッチ係合なしで、近位端を備え得る。
【0063】
バルーン先端部カニューレアセンブリ80を使用する方法が、開示される。切開部が、患者の皮膚において、目的の領域で作製される。組み立てられたバルーン先端部カニューレアセンブリ80を使用して、外科医は、栓子先端部134およびバルーン先端部カニューレアセンブリ80の遠位端を、この切開部内に進め、これによって、バルーン先端部カニューレアセンブリ80を、目的の領域内へと位置決めする。
【0064】
一旦、バルーン先端部カニューレアセンブリ80が位置決めされると、膨張流体が、バルブポート114およびバルブポート108を通して適用され、これによって、膨張圧を、近位管腔ポート92に連絡する。近位管腔ポート92および遠位管腔ポート94は、膨張管腔96を通して互いに直接流体連通するので、膨張流体は、遠位管腔ポート94、および従って、バルーン係留具98へと移動される。膨張流体がバルーン係留具98に適用されるにつれて、このバルーン係留具は、膨張して、その予め決定された形状に達する。係留バルーン98が膨張した後に、このバルーンは、患者の皮膚の下側に当接して、バルーン先端部カニューレアセンブリ80を適所に保持する。好ましくは、バルーン係留具98は、バルーン先端部カニューレアセンブリ80を係留するための形状(例えば、示されるような、所望の位置にカニューレ80を保持するために十分な大きさの円環形状)を有する。バルーン係留具は、任意の他の形状を有し得ることが、考慮される。
【0065】
バルーン先端部カニューレアセンブリ80が切開部を通して配置され、そしてバルーン係留具98が拡張された後に、皮膚シール100が、患者の身体の外側表面と当接関係になるまで、カニューレチューブ88に沿って、遠位に進められ、その結果、発泡体カラー102が圧縮され、そして皮膚シール100を固定するための手段104が作動されて、皮膚シールをカニューレチューブ88に対してロックする。
【0066】
一旦、バルーン先端部カニューレアセンブリ80が適所に係留されると、レバー144が外向きに回転されて、アーム140を内向きに回転させ、これによって、ブロック142を凹部112から脱係合する。フック142が凹部112から脱係合された後に、栓子86は、バルーン先端部カニューレ82から引き抜かれ、一方で、外科医は、バルーン先端部カニューレ82を適所に保持し、これによって、これらの構成要素を分離する。栓子86が完全に除去された後に、他の外科用構造体が、バルーン先端部カニューレ82に挿入されて、外科手術部位に接近し得る。このような外科用器具の例としては、内視鏡、把持具、鋏、外科用縫合デバイス、および外科用デバイスアプリケータが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
外科手術手順の完了の際に、外科医は、バルブ110を作動させることによって、係留バルーン98を収縮させる。係留バルーン98によって保持される膨張圧は、膨張のための流路を反転させることによって、バルブポート114を通って、このシステムから出る。一旦、係留バルーン98が十分に収縮されると、バルーン先端部カニューレ92は、外科手術部位から除去される。係留バルーン98を覆うシリコーンスリーブは、このバルーンに対して弾性的に圧力を付与し、バルブが開く際に、バルーンを収縮させる傾向がある。除去後、切開部が縫合により閉じられ得るか、または外科用構造体が、さらなる外科手術手順のために、この切開部位において使用され得る。
【0068】
ここで図5および図6を参照すると、上記のように、バルーン切開器具アセンブリ10およびバルーン先端部カニューレ80は、本明細書中で上に記載されたような様式で、個々の器具として別個に使用され得るか、または好ましくは、そしてより有利には、一緒に組み合わせられて、バルーン先端部カニューレと組み合わせられたバルーン切開器具200を形成し得る。このことは、外科医が、解剖学的空間を身体内に作製する場合の、手術工程を排除する。バルーン先端部カニューレを備えるバルーン切開器具20は、上記バルーン切開器具および上記バルーン先端部カニューレの構成要素を備える。これらの器具の各々は、単一の器具に容易に組み合わせられるように設計される。
【0069】
ここで図5および図6を参照すると、組み合わせられたアセンブリ200は、バルーン先端部カニューレ82の保持リング126およびダックビルバルブ122に通して挿入された、バルーン切開器具12および栓子アセンブリ26を有し、その結果、切開バルーン14および切開器具チューブ18は、バルーン先端部カニューレ82のカニューレチューブ88を通して進められる。バルーン切開器具12は、望ましくは、ラッチアダプタ34を有し、このラッチアダプタは、バルーン先端部カニューレ82のアダプタ本体106内の凹部112に係合して、バルーン切開器具12をバルーン先端部カニューレ82にしっかりとロックする。しかし、他の実施形態において、接続構造体は提供されない。一旦、組み立てられると、組み合わせられたバルーン先端部カニューレを有するバルーン切開器具200は、患者の身体内の体腔内の解剖学的空間を作製して、外科用器具の受容のための固定されたアクセスポートを提供するために使用する準備ができる。
【0070】
使用の際に、最初の切開部は、患者の身体の腹腔壁を通して作製される。組み合わせられたバルーン先端部カニューレを有するバルーン切開器具200は、栓子アセンブリ26によって支持される切開バルーン14が、この切開部を通して挿入されるように位置決めされる。この組み合わせられたデバイスは、切開バルーン14が所望の位置にくるまで、この切開部を通して進められる。この時点で、栓子アセンブリ26が除去され得、そして内視鏡が、その中に挿入され得る。
【0071】
一旦、適切な位置にくると、膨張流体の供給源が、切開器具膨張バルブ50のバルブポート52に接続され、そして膨張流体が、接続ポート48および管腔23へと強制的に通される。この管腔23は、チューブ18の内側表面および栓子26の外側表面によって、規定される。膨張圧は、切開器具バルーン14に強制的に膨張を開始させ、この膨張は、スリーブカバー60(図2)の穿孔21を強制的に分離させこれによって、バルーンを解放する。上記のように、このバルーンは、代表的に、巻き上げられた構成であり、そしてこのバルーンが広がるにつれて、このバルーンの巻きまたは折り畳みが横方向に解け、そしてこのバルーンの面に対して垂直に拡張して、組織の層を、天然の組織面に沿って分離し、外科手術手順のための解剖学的空間を形成する。
【0072】
一旦その組織が切開(dissect)され、その解剖学的空間が形成されると、切開バルーン(dissection balloon)14は、切開器具膨張バルブ(dissector inflation valve)50を開いて、膨張圧を解放することによって、または栓子アセンブリ26を外し、それによって、アダプタオリフィス46を膨張管腔23(これは、栓子26と切開器具チューブ18の内側表面との間に規定される)の方向に開くことによって、収縮されうる。一旦バルーン14が収縮されると、そのバルーン切開器具アセンブリ10は、レバー40を押し下げ、それによりラッチアダプタ34上のフック38を、アダプタ本体106における凹部112から解放することによって、バルーン先端部カニューレ82から分離される。そのバルーン先端部カニューレ82は、バルーン切開器具アセンブリ10のチューブ18の下に滑動し、そのバルーン先端部カニューレ82は、切開部を通って進められ、バルーン係留具98を腹腔壁内に配置される。膨張流体の供給源は、バルブ110に接続されて、バルーン係留具98を膨張させる。一旦、バルーン係留具98が膨張すると、ユーザーは、その合わされたデバイスに対して、腹腔壁の内側表面に対してアンカーまたはバルーンを引っ張るように、わずかに近位方向の張力を適用する。その皮膚シール100(図4)は、カニューレチューブ88に沿って遠位方向に滑動して、腹部の外側表面に対して発泡体102を圧迫し、皮膚シール100の固定手段104を作動する際に、カニューレ82は、腹腔壁に固定してロックされ、吹き込み流体の逃げに対して切開部をシールする。
【0073】
そのバルーン切開器具アセンブリ10は、次いで、バルーン先端部カニューレ82から取り外される。一旦、バルーン切開器具が取り出されると、ダックビルバルブ122は、閉鎖した位置に存在して、バルーン先端部カニューレ82の近位端にシールを形成する。その後、吹き込み流体の供給源は、吹き込みポート120に接続され、流体をバルーン先端部カニューレ82を通って、身体へと押し込んで、その空間に吹き込みかつその空間を拡大する。一旦空間が吹き込み流体により作られると、さらなる器具(内視鏡、把持具、仮縫い機(tacker)、ステープラーなど)は、バルーン先端部カニューレを通して挿入されて、患者の身体内で手術(例えば、ヘルニア回復手順)を行い得る。
【0074】
代替的実施形態において、栓子アセンブリ26は、そのバルーン切開器具アセンブリ10が、身体に導入される前またはその後のいずれかに取り出され得、その切開バルーンの膨張の前またはその後に、内視鏡が切開器具チューブ18に挿入されうる。
【0075】
一旦手順が完了すると、吹き込み流体は、吹き込みポート120を通って身体から引き出され、アンカー膨張バルブ110が開かれて、その膨張流体を係留バルーン98から出すようにする。その係留バルーン98のシリコーンスリーブは、係留バルーン98を収縮する傾向がある圧力を提供する。バルーン先端部カニューレ82は、次いで、切開部を通して取り出され、その切開部は、通常の様式で閉じられる。
【0076】
先行技術の切開方法は、一般に、第1のデバイス(代表的には、ある型の切開器具)を手術部位における切開部を通して患者に挿入し、その差異に、その外科手術人員は、分離した組織を切開する工程を包含する。次いで、第2のデバイス(代表的には、トロカールカニューレ)が使用して吹き込み、作業空間を維持する。
【0077】
バルーン先端部カニューレ82およびバルーン切開器具12を含む組み合わせデバイスを使用すると、切開および吹き込みに要されるその過程の工程の回数が最小になる。さらに、そのバルーン先端部カニューレ82は、バルーン先端部カニューレ82を固定し、切開部をシールするための、皮膚シールおよびバルーン係留具を備える。切開バルーン14およびバルーン係留具98を膨張するためのポートが設けられる。そのバルーン係留具98は、スリーブ158がバルーン98を収縮に向かって付勢するにつれて、容易に収縮される。別個の収縮機構は必要とされないが、設けられてもよい。その組み合わせられたデバイス200は、切開が観察されうるように、内視鏡を受容するための経路を備える。
【0078】
図7および8を参照すると、バルーン切開器具およびカニューレアセンブリ210の代替的実施形態が示され、バルーン切開器具アセンブリ212およびバルーン先端部カニューレアセンブリ213を有する。バルーン切開器具アセンブリ212は、遠位端および近位端を有し、経路220を規定する細長チューブ218を有する。切開バルーン214aは、そのチューブ218の遠位端に固定される。切開バルーン214aは、経路220と連通するチャンバを形成する。切開バルーン214aは丸く、組織における最小の抵抗性の経路をたどる形状に拡大する。その切開バルーン214aは、他の形状(例えば、矩形、腎臓様形状など)を有していてもよい。
【0079】
図8および9を参照すると、切開器具ハウジング230は、チューブ218の近位端に形成される。その切開器具ハウジング230は、近位端にオリフィスを有し、シールを備える。切開器具ハウジング230は、そのシールを支持する2つの部品で形成されうる。切開器具ハウジング230は、一方向膨張バルブを受容するための寸法にされた膨張ポート222を規定する。その膨張バルブおよび膨張ポート222は、チューブ218を通って切開バルーン214aと連通する。
【0080】
遠位先端部266を有する栓子226は、その切開器具ハウジング230におけるオリフィスを通って、チューブ218における経路220を通って、そして切開バルーン214aのチャンバへと受容される。栓子226の外側表面およびチューブ218の内側表面は、膨張ポート222と切開バルーン214aとの間に膨張管腔を形成する。栓子226の近位端は、ボタン233に接続された弾性のラッチ231を有するキャップ229を有する。栓子226が、切開器具ハウジング230に受容され、チューブ218に進められる場合、遠位先端部266は、切開バルーン214aと係合し、折りたたまれた細長い形状(示さず)にその切開バルーン214aを支持する。そのラッチは、切開器具ハウジング230の凹部と係合する。さらなるラッチ232(これは、ボタン234に接続される)は、切開器具ハウジング230を、バルーン先端部カニューレアセンブリ213のカニューレハウジング306に相互連結するために、切開器具ハウジング230に設けられる。
【0081】
切開バルーン214aを膨張させるために、膨張圧の供給源が、膨張ポート222に解放可能に取り付けられ、加圧流体が膨張ポート222を通って導入され、膨張チューブ218を通って切開バルーン214aへと連通される。
【0082】
図8および10を参照すると、バルーン先端部カニューレアセンブリ213は、カニューレ300を有し、このカニューレ300は、その近位端および遠位端において開いて、外科用器具を接近管腔302を通して受容するために、接近管腔302を規定する。膨張可能なバルーン係留具304(これは、概して円環状形状を有する)は、カニューレ300の遠位領域に配置される。前の実施形態と同様に、そのバルーン係留具304は、そのカニューレをウレタンコーティングに浸漬し、次いで、熱溶接を用いて、ウレタン膜をそのコーティングされたカニューレに取り付けることによって形成される。その膜は、次いで、RTVでコーティングされ、熱収縮チューブカラーは、その溶接された端部においてスリーブを強化する。あるいは、そのバルーン係留具304は、図4A〜4Dと関連して、上記で議論されるように取り付けられ得る。
【0083】
カニューレハウジング306は、カニューレ300の近位端においてカニューレ300に取り付けられる。カニューレハウジング306は、接近管腔302と連通するオリフィスを有する。バルブポート308は、カニューレハウジング306の表面に設けられる。バルブポート308は、実質的に流体を隙間なくシールする様式でチェックバルブを受容するような寸法にされる。膨張管腔311は、カニューレ300の内側表面とその外側表面との間に規定され、バルーン係留具304へと延びる。そのチェックバルブは、バルーン係留具304と、カニューレの壁における管腔を通って連通する。
【0084】
バルーン係留具304を膨張させるために、膨張圧の供給源は、そのチェックバルブに解放可能に取り付けられ、加圧流体をバルブポート308を通ってバルーン係留具304へと導入し、バルーン係留具304を延ばす。
【0085】
吹き込みポート314はまた、カニューレハウジング306に設けられ、カニューレハウジング306およびカニューレ300の内部と流体連通状態にあり、患者の身体の内部に流体を吹き込むように設けられる。
【0086】
シールアセンブリは、吹き込みの間にカニューレ300の内部をシールするために、カニューレハウジング306に設けられる。そのシールアセンブリは、概して、カニューレ300に挿入された丸い器具をシールするためのシールおよびカニューレ300に挿入される器具が全くない場合にはカニューレ300をシールするためのシールを備える。これらのシールは、図3に関連して上記で議論されるシールであり得る。
【0087】
皮膚シール316は、カニューレ300の外側表面に滑動可能に取り付けられる。皮膚シール316は、圧縮可能な発泡体カラー318およびその皮膚シールをそのカニューレに沿って望ましい長手軸方向の位置に固定するためのクランプ320を備える。その皮膚シール316は、図4と関連して上記で議論されるようなものであり得る。
【0088】
図10を参照すると、近位キャップ324および遠位端325を有する栓子323は、カニューレハウジング306のオリフィスに挿入され、カニューレ300の管腔302を通して進められ、その結果、遠位端325は、カニューレ300の遠位端から延びる。カニューレハウジング306は、ラッチ327を栓子323の近位キャップ324上に受容するための凹部329を有する。近位キャップ324はまた、そのラッチを脱係合するためのボタン331を有する。そのバルーン切開器具アセンブリ212とバルーン先端部カニューレアセンブリ213を組み立てるために、栓子323は、カニューレ300から取り外される。バルーン切開器具アセンブリ212は、カニューレハウジング306のオリフィスに挿入され、カニューレ300の管腔302を通して進められ、その結果、切開器具ハウジング230上のラッチ232は、カニューレハウジング306と係合され、これらのアセンブリを相互に接続する。
【0089】
そのバルーン切開器具アセンブリ212は、一般的な腹腔鏡手術、血管手術、内視鏡手術、形成外科手術または再建手術において、天然の組織平面に沿って組織を切開するために使用される。適切なサイズの切開部が、患者の皮膚に作られる。次に、組み立てられたバルーン切開器具およびカニューレアセンブリ210が、栓子226を用いてその切開部へと挿入されて、その切開部の地点を超えて経路の中に入る。
【0090】
膨張圧が、膨張ポート222を介して適切な外部供給源から供給され、切開バルーン214aに連通される。圧力が付与されるにつれて、切開バルーン214aは拡大する。切開バルーンの拡大は、天然の組織表面に沿って周りの組織を切開する。一旦望ましい空間が作られると、切開バルーン214aは、栓子226を取り除くことによって収縮され、栓子は、膨張圧が切開器具ハウジング230におけるオリフィスを通して解放されるようにする。
【0091】
代替的方法において、栓子226はチューブ218から取り出され、内視鏡と置き換えられる。次いで、バルーン切開器具アセンブリ212は、皮膚切開部に挿入され、切開器具バルーン214aは、上記で議論されるように膨張される。その範囲は、切開された空間を見るため、および切開の間に見るために使用される。その内視鏡は、切開の前または後に、チューブ218に挿入されうる。
【0092】
切開バルーン214aが収縮した後に、カニューレハウジング306は、切開器具ハウジング230上のボタン234を押すことによって、切開器具ハウジング230からラッチが外される。カニューレ300は、バルーン切開器具チューブ218に沿って進められ、切開部内部に配置され、その結果、バルーン係留具304は、身体腔の中に位置づけられる。膨張流体は、バルブポート308を通って供給され、それによって、カニューレ300の遠位端においてバルーン係留具304に膨張流体を通し、バルーン係留具304を拡大させる。係留バルーン304が拡大された後、この係留バルーンは、その患者の腹腔壁の下側と係合される。
【0093】
皮膚シール316は、その患者の腹腔壁の表面に対して所定の位置に動かされ、クランプを使用して固定される。皮膚シール316は、圧力バリアを形成し、それによって、係留バルーン304と組み合わせて、その患者の腹腔壁における開口部を介する膨張圧の喪失を最小にし、バルーン先端部カニューレ300を患者の身体に固定する。
【0094】
バルーン切開器具アセンブリ212は、カニューレ300から取り外され、外科用器具は、カニューレ300を通じて外科手術部位に導入される。このような外科手術器具の例としては、内視鏡、外科用縫合デバイス、および外科用操作デバイスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
外科手術手順が完了した際には、外科医は、バルブポート308に取り付けられたチェックバルブを解放することによって、係留バルーン304を収縮させる。一旦、係留バルーン304が十分に収縮すると、カニューレ300は、その切開部から取り出される。
【0096】
そのバルーン切開器具アセンブリ212は、第2の型の切開バルーンを備えて提供され、この第2の型の切開バルーンは、横方向に延びる楕円形のバルーンである。その楕円形のバルーンおよび/または球形のバルーンは、弾性または非弾性の材料を含みうる。弾性材料は、その患者の身体において最小の抵抗性の経路をたどる傾向があるのに対して、非弾性バルーンは、所定の形状に拡大する傾向がある。バルーンの型の選択は、外科医に委ねられる。
【0097】
その楕円形の切開バルーン214bは、望ましくは、最初に折りたたまれた構成を有し、図2Aと関連して上記で議論される巻かれた構成と同様に、バルーン214bの横方向の縁部は、バルーン切開器具アセンブリ212の栓子226に向かって内側に巻かれている。栓子226は、望ましくは、バルーン214bの巻かれた縁部を収容するために、2つの凹部が設けられたフラット340(栓子226の側方側の各々に1つずつある)を有する(図9)。スリーブ(示さず)は、切開バルーン214bの周りに設けられて、身体に挿入する間かつ膨張させる前に、折りたたまれた状態に切開バルーン214bを保持する。そのスリーブは、上記で議論されるように、ポリマー材料のシートを含み、このシートは、バルーン214bの材料に取り付けられ得る。このスリーブは、長手軸方向に弱くされた穿孔された領域を備え、その結果、切開バルーン214bの膨張の際に、そのスリーブは、その穿孔に沿って分かれ、切開バルーン214bを解放する。そのバルーンが膨張するにつれて、そのバルーンは、チューブ218に対して横方向に、巻または折りたたみが解かれる。
【0098】
本開示の例示的実施形態は、添付の図面を参照して本明細書で記載されてきたものの、この開示は、まさにそれらの実施形態に限定されず、種々の他の変更および改変が、この開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によってこれらの実施形態において行われうることが理解されるべきである。全てのこのような変更および改変は、この開示の範囲内に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるバルーン切開器具アセンブリの断面側面図である。
【図2】図2は、図1の実施形態によるバルーン切開器具アセンブリの分解斜視図である。
【図2−1】図2−1において、図2Aは、図1の線2A−2Aに沿ってとった断面図である。図2Bは、図1〜2Aの実施形態によるバルーンの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態によるバルーン先端部カニューレアセンブリの断面側面図である。
【図4】図4は、図3の実施形態によるバルーン先端部カニューレアセンブリの分解斜視図である。
【図4−1】図4−1において、図4Aは、バルーン先端部カニューレの細長いチューブおよび膨張可能なバルーン係留具の斜視図である。図4Bは、遠位端上に位置決めされた膨張可能なバルーン係留具をもつバルーン先端部カニューレの細長いチューブの斜視図である。図4Cは、図4Bと同様の図であり、上記膨張可能なバルーン係留具の対向する端部が、上記細長いチューブに溶接されている。図4Dは、上記膨張可能なバルーン係留具上への固定のためのシリコーンスリーブおよび熱収縮管材の斜視図である。
【図5】図5は、本発明のさらなる実施形態によるバルーン先端部カニューレと組合わせたバルーン切開器具の断面側面図である。
【図6】図6は、図5の実施形態によるバルーン先端部カニューレと組合わせたバルーン切開器具の斜視図である。
【図7】図7は、組合わせバルーン切開器具とバルーン先端部カニューレのさらなる実施形態の断面図である。
【図8】図7の実施形態による組合わせバルーン切開器具とバルーン先端部カニューレの斜視図である。
【図9】図9は、図7の実施形態によるバルーン切開器具の断面図である。
【図10】図10は、図7の実施形態によるバルーン先端部カニューレの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、以下:
切開器具ハウジング、該切開器具ハウジングから遠位方向に延びる切開器具チューブ、および該切開器具チューブの遠位端上に取り付けられた切開バルーンを有するバルーン切開器具;
カニューレハウジングおよび該カニューレハウジングから遠位方向に延びるカニューレチューブを有するカニューレであって、該カニューレハウジングが該カニューレチューブの遠位端にバルーン係留具を有するカニューレ、
を備え、そして
該切開器具ハウジングおよびカニューレハウジングのうちの一方が、ラッチ構造を有し、そして該切開器具ハウジングおよびカニューレハウジングのうちの他方が、該ラッチ構造の受容のための凹部を有する、
外科用器具。
【請求項2】
前記カニューレハウジングが前記ラッチ構造を含み、そして前記切開器具ハウジングが該ラッチ構造の受容のための凹部を含み、該カニューレハウジングおよび切開器具ハウジングを一緒に取り外し可能に固定する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記ラッチ構造が、少なくとも1つの移動可能なアームを含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの移動可能なアームが、前記凹部と係合可能なフックを含む、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記カニューレハウジングに取り外し可能に取り付け可能であるシュラウドをさらに備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記切開器具ハウジングに取り外し可能に取り付け可能である端部キャップをさらに備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記バルーン係留具の少なくとも一部分を取り囲むスリーブをさらに備え、該スリーブが該バルーン係留具を収縮に向かって付勢する傾向にし、前記カニューレハウジングが該バルーン係留具と連通するバルブを有する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
バルーン先端部カニューレであって:
カニューレハウジング;
該カニューレハウジングから遠位方向に延びるカニューレチューブ;
係留バルーンであって、該係留バルーンの対向する端部が、該カニューレチューブに固定されている係留バルーン;および
該バルーン係留具の少なくとも一部分を取り囲むスリーブであって、該スリーブが該バルーン係留具を収縮に向かうよう付勢する傾向にある、スリーブ、を備える、バルーン先端部カニューレ。
【請求項9】
前記係留バルーンが、ウレタン材料から形成される、請求項8に記載のバルーン先端部カニューレ。
【請求項10】
前記スリーブの対向する端部の各々の周りに位置するリングをさらに備える、請求項8に記載のバルーン先端部カニューレ。
【請求項11】
各リングが、熱収縮可能な材料から形成される、請求項10に記載のバルーン先端部カニューレ。
【請求項12】
係留バルーンをカニューレチューブに固定する方法であって:
係留バルーンの対向する端部をカニューレチューブに固定する工程;および
該係留バルーンの周りにスリーブを配置する工程、
を包含する、方法。
【請求項13】
可撓性の前記スリーブが、該スリーブの対向する端部の周りに付与されたバンドによって、前記係留バルーンの上に固定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記バンドが熱収縮可能な材料から形成され、そして前記スリーブの対向する端部の周りで熱収縮され、該スリーブを前記係留バルーンの上に固定する、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−501682(P2007−501682A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532881(P2006−532881)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014431
【国際公開番号】WO2004/100799
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501289751)タイコ・ヘルスケア・グループ・リミテッド・パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】