説明

バンデージを通して領域を滅菌または消毒する方法および器具

【課題】バンデージを通して滅菌または消毒する方法および器具を提供する。
【解決手段】一つの態様は、バンデージ51の少なくとも一部における紫外線透過率を決定し、バンデージの少なくとも一部を通して照射する紫外線の強度を選択する行為を含む方法であり、他の態様は、患者におけるバンデージの下の領域を滅菌または消毒する方法。さらに他の態様は、患者における組織5の領域を滅菌または消毒する方法。前記器具は、紫外線発光ランプ7、および該ランプから発光される紫外線の少なくとも一部を透過するよう調製されたバンデージを含む。他の態様は、紫外線透過フィルム、および、該フィルムに結合され該フィルムへの紫外線の照射を表示する色変化材料を含む、バンデージである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本明細書は、35U.S.C.§119(e)の元で、2001年6月15日に出願された米国仮出願番号60/298,790、名称「カテーテルおよび挿入部位の消毒方法および器具」;2001年6月25日に出願された米国仮出願番号60/300,803、名称「カテーテルおよび挿入部位の消毒方法および器具」;2001年8月31日に出願された米国仮出願番号60/316,744、「外傷部位の消毒方法および器具」;および2001年10月31日に出願された米国仮出願番号60/334,722、名称「包帯付きカテーテル挿入部位の消毒方法および器具」の権利を主張し、これら明細書はすべて本明細書中に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は概して滅菌または消毒のシステムおよび方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
感染は保健医療分野における第一の関心事である。細菌および他の潜在的に有害な微生物は、外傷、カテーテル挿入部位、および他の開口部から身体に侵入し、それにより身体の天然の防御を回避して、細菌の感染を引き起こすことができる。感染は、多くは入院時には存在しないが、罹患率と死亡率を高め、保健医療分野において余分な費用を課す深刻な源である。
【0004】
カテーテルは、微生物にとってしばしば身体内部への導管となるものであるが、一般には身体へ挿入する前に滅菌される。さらに、侵害された、あるいはこれから侵害される皮膚の部位は、一般に、消毒薬または殺菌性の化学物質で処理される。カテーテル挿入部位および/または外傷において高い感染率が続くことが示すように、これらの部位を滅菌する現在の技術が適切でないことは明白である。
ある用途においては、対象の消毒の減菌に紫外線照射が用いられているが、紫外線は昔から、皮膚癌や日焼け、および他の有害な皮膚への影響と関連する。一般の常識および慣習によれば、皮膚を紫外線照射にさらさないことが推奨される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの態様は、患者のバンデージの下にある領域を滅菌または消毒する方法である。該方法は、バンデージを通して紫外線を該領域に照射する行為を含む。
本発明の他の態様は、患者の組織の領域を滅菌または消毒するための器具である。該器具は、紫外線発光ランプおよび、該ランプから発光される紫外線の少なくとも一部を透過するために用いられるバンデージを含む。該バンデージは、前記組織の領域の少なくとも一部を被覆する。
【0006】
本発明のさらなる態様は、バンデージの少なくとも一部の、紫外線に対する透過率を決定する行為、およびバンデージの少なくとも一部を通して照射される紫外線の強度を選択する行為を含む方法である。本発明の他の態様は、紫外線透過フィルム、および、フィルムが紫外線にさらされたことを表示するために該フィルムに連結された色変化材料を含む、バンデージである。
【0007】
本発明のさらなる態様は、患者の皮膚を通して挿入部位から挿入されるカテーテルと共に使用するためのデバイスである。該デバイスは、カテーテルを保持しまた挿入部位付近の患者の皮膚とカテーテルとの間にスペースを取るための導管を有する要素を含み、該要素は、皮膚と該要素の少なくとも一部に接着しているバンデージとの間に、実質的に気密シールを形成するのを支援するよう、配置され形づくられているものである。
【0008】
本発明の他の態様は、患者の皮膚を通して挿入部位より挿入されるカテーテルと共に使用するためのデバイスである。該デバイスは、カテーテルを保持しまた挿入部位付近の患者の皮膚とカテーテルとの間のスペースを取るための導管を有する要素を含み、該要素は、皮膚と該要素の少なくとも一部に接着しているバンデージとの間に、実質的に遮光性シールを形成するのを支援するよう、配置され形づくられているものである。
本発明のさらなる態様は、紫外線透過バンデージの使用方法である。該方法は、患者の皮膚にバンデージを適用すること、および該バンデージを通して皮膚に紫外線を照射することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】皮膚の領域または組織を光源により滅菌または消毒する方法を示す図である。
【図2】カテーテルの挿入部位を光源により滅菌または消毒する方法を示す図である。
【図3】瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図4A】瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図4B】瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図4C】瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図4D】瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図4E】瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【0010】
【図5A】連続プロセス滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図5B】連続プロセス滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図5C】連続プロセス滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図6A】滅菌/消毒ユニットと共に使用する光誘導要素を示す図である。
【図6B】滅菌/消毒ユニットと共に使用する光誘導要素を示す図である。
【図7A】図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットと共に使用されている図6Aと6Bに記載の光誘導要素を示す図である。
【図7B】図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットと共に使用されている図6Aと6Bに記載の光誘導要素を示す図である。
【図7C】図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットと共に使用されている図6Aと6Bに記載の光誘導要素を示す図である。
【図8】UV透過バンデージの第一の態様を示す図である。
【図9A】UV透過バンデージの他の態様を示す図である。
【図9B】UV透過バンデージの他の態様を示す図である。
【0011】
【図10A】UV透過バンデージのさらに他の態様を示す図である。
【図10B】UV透過バンデージのさらに他の態様を示す図である。
【図10C】UV透過バンデージのさらに他の態様を示す図である。
【図11A】UV透過バンデージのその他の態様を示す図である。
【図11B】UV透過バンデージのその他の態様を示す図である。
【図12】UV透過バンデージと共に使用されている図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図13】UV透過バンデージと共に使用されている図5A〜5Cに記載の連続プロセス滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図14A】図6Aと6Bに記載の光誘導要素およびUV透過バンデージと共に使用中の、図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図14B】図6Aと6Bに記載の光誘導要素およびUV透過バンデージと共に使用中の、図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図14C】図6Aと6Bに記載の光誘導要素およびUV透過バンデージと共に使用中の、図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットを示す図である。
【図15】図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットに連結された自己滅菌装置アタッチメントを示す図である。
【図16】図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットにおいて使用する回路例のブロック図を示す図である。
【図17】図3および図4A〜4Eに記載の瞬間滅菌/消毒ユニットにおいて使用する回路例の模式図を示す図である。
【0012】
発明の詳細な説明
上述のように、紫外線は皮膚に対して潜在的に有害である。そのため、多くの人々は紫外線にさらされることに対して予防措置を取る。この認知された危険な特徴のため、紫外線は、傷のある皮膚や健康な皮膚またはカテーテルの挿入部位を含む皮膚の滅菌または消毒用として、考慮されていなかった。
【0013】
上述の視点から、本発明の一つの観点は、患者の皮膚の領域および/またはカテーテルの挿入部位を、紫外線(UV)を用いて滅菌または消毒するための方法および器具である。滅菌または消毒する組織の領域は、切り口のない皮膚、例えば外科的切開を行う領域、または切り口のある皮膚、例えば外傷部位またはカテーテルの挿入部位を含んでよい。カテーテルの挿入部位を滅菌または消毒する場合、挿入部位の近くのカテーテルの一部もまた滅菌されてよい。本発明の他の態様は、患者の皮膚の領域および/またはカテーテルの挿入部位を、バンデージを透過した紫外線(UV)を用いて滅菌または消毒するための方法および器具である。
【0014】
本明細書中で「滅菌」および「消毒」の用語は一般的に使用されているが、記載の方法および器具は、所望のレベル(例えば、低い、または高い)の滅菌または消毒を達成するために用いることができることが理解される。滅菌または消毒は、微生物を殺すこと、微生物を不活性化すること(すなわち、微生物を繁殖不可能にする)、またはこれらの任意の組合せによって実施される。本発明の記載により、滅菌もしくは消毒する組織の領域またはカテーテルの挿入部位は、人または動物のものであってよいことが、さらに理解される。
【0015】
組織および/または挿入カテーテルの滅菌または消毒
図1は、本発明の一つの態様により、患者の皮膚または組織の領域を、滅菌光または消毒光を用いて滅菌または消毒する方法を示す。滅菌光または消毒光は光源7から発光され、外傷1および/または周辺組織5を照射する。組織5は、皮膚3および皮膚3の表面下の組織を含む。滅菌または消毒光は皮膚3により大幅に弱められはするが、光の一部は皮膚3の下の組織に浸透する可能性があり、例えば皮膚3の孔を照射する。反射板9は光源7の近傍に配置され、光源7から発光される光を外傷1および周辺の皮膚3に向けるのを補助する。反射板9は光源7の上部に配置して示されているが、光源7のどちら側に位置してもよく、またなくてもよい。さらに、本発明にしたがって、さらなる反射板を光源7の周辺に含んでもよい。
【0016】
光源7は、滅菌または消毒が可能な光を発光する任意の光源でよい。例えば、光源7は紫外線(UV)光源でもよく、例えば、水銀灯、キセノン閃光ランプ、連続アーク灯、UV発光ダイオード(LEDs)、UVレーザー、またはその他の固相あるいは非固相UV発光デバイスなどである。これらのランプは、狭帯域光(例えば、線スペクトル)または広帯域光のどちらを発光するものでもよい。広帯域光は、例えば、UVA、UVB、およびUVC光、または電磁気スペクトルの他の部分からの光を伴うUV光を含む。例えば、光源7からのUV光および可視光線の両方の発光は、異種の微生物の光に対する感度が光の波長によって異なるため、光源の効果を強化し得る。単一の光源7が記載され説明されているが、1または2種以上の光源を使用してもよいことが理解される。
【0017】
光は、光源7から1または2回以上の閃光として発生されてよい。複数の閃光を発生する場合、閃光は、特定の間隔、例えば1日に1または2回以上などの間隔で照射する。閃光ランプまたは他の非連続ランプが、1または2回以上の閃光として光を発生させるために使用できる。ランプは、2〜3分または2〜3秒未満の間に滅菌用量を照射可能な、光の強度が高い滅菌または消毒光源でもよい。単一の閃光のエネルギーは、滅菌または消毒する全表面に滅菌または消毒用量を送達するのに十分であってよく、例えば、10mJ/cm以上のUVCなどである。
【0018】
光はまた、光源7から一定時間の連続照射として発生されてもよい。連続照射を発生するには、連続して一定時間滅菌または消毒光を照射できる、光の強度が低い光源を使用してもよい。光源7が発光する光の強度は、紫外線に対する感度の異なる皮膚に使用するために調節してもよい。例えば、光源7が発光する光は、幼児に対する滅菌または消毒であって光の強度が低い方が適切な場合は、低い強度に調節してもよい。
【0019】
外傷1は、患者における損傷、切り傷、擦過傷、または潰瘍である。代替的に、外傷1は、医療従事者による切開または穿刺であってもよい。上記の方法はまた、本発明にしたがって、切り口のない皮膚に適用することもできる。例えば、患者の皮膚3および/または組織5を滅菌または消毒光を用いて滅菌する方法は、皮膚に切り口をあける医療行為の前に、その部位の皮膚を滅菌または消毒するために用いることもできる。したがって、図1に関連して記載された方法は、医療従事者による皮膚に切り口をあける医療行為の前後に用いることができる。この方法はまた、事故によって傷ついた皮膚を消費者または医療従事者が治療するために用いることもできる。
【0020】
図2は、患者に挿入されたカテーテルおよび/またはその周辺の皮膚を、滅菌または消毒光を用いて滅菌する方法を示す。滅菌または消毒光は光源7から発光され、光源7は光の方向を、カテーテル15の挿入部位11および/または挿入部位11周辺のカテーテル自体に向ける。挿入部位11は、カテーテルが通る部分の皮膚3を含む。挿入部位11はまた、皮膚3の開口部および開口部のまわりの組織5を含んでよい。反射板9は、図1に関連して記載された任意の形態をとってもよい。さらに、光源7は、図1に関連して記載された任意の形態をとることができ、記載の任意の様式により操作することができる。
【0021】
図2に示すように、カテーテル15はハブ13およびコネクター14を含む。ハブ13は患者の外部であって、各々が個別のチューブを有する2または3個以上のルーメンが一つのマルチルーメンチューブに合流する、任意の連結部であってよい。コネクター14は、カテーテル15を外部カテーテル装置(external catheter equipment)(例えば、経静脈液を入れたバッグ)と連結したり分離するための機構である。図2に示すカテーテルは、本発明にしたがって滅菌または消毒されるカテーテルの一例にすぎないことが理解される。本明細書に記載のように、カテーテルは、液体または機械的デバイスがそれを通って体内に挿入または体外へ排出されるような、任意の導管も含んでよい。例えば、標準の注射針、血液試料針、カニューレ、トロカール外筒(trocar sheath)、誘導針、またはシャントは、カテーテルと考えることができる。皮膚に切り口をあけるデバイスもカテーテルと考えてよい。例えば、心カテーテル、内視鏡、または腹腔鏡はカテーテルと考えてよい。カテーテルは皮膚の開口部を通過する必要はない。代わりに、カテーテルは、天然の開口部を通ってもよく、例えばフォーリーカテーテルまたは他の導尿カテーテルの場合がそうである。この場合、カテーテルは微生物に対する身体の天然のバリアーを通過するため、感染が起こりやすくなっている。
【0022】
瞬間滅菌または消毒
図3および4A〜4Eは、本発明の一つの態様による、1または2回以上の閃光を発生するために用いられる瞬間滅菌/消毒ユニット16aを示す。図3に示すように、ハウジング17は閃光源7aおよび反射板9を取り囲んでいる。反射板9は、閃光源7aの傍に配置され、閃光源7aから発光された光がある範囲の角度に反射されるように働き、それによってカテーテル15の影になる皮膚の面積を最小化する。
【0023】
閃光源7aおよび反射板9は、ユニットの底部の開口部26のUV透過窓またはスクリーン(示されず)によって随意的に保護されている。該窓は、石英、融合シリカ、UV透過ガラスもしくはスクリーン、または金属もしくは他の材料の穴あきシートから製造してよい。ある適用においては、UVA、UVB、可視光線、赤外線、および/または一部の発光UVCスペクトルの量を制限することが望ましく、例えば、感度の高い皮膚に対して、または、日焼けや局所的過熱になりやすい幼児に対して使用する場合である。この場合、光学的フィルターを該窓または光源包含物に適用して、望ましくない波長を吸収または遮蔽する。代替的に、望まない波長を反射する代わりに透過する、2色性ミラーを使用してもよい。窓またはミラーはまた、凹凸のある表面または他の拡散機構を含んでもよく、光の射出角度を変え、それによって影を減少させることができる。
【0024】
光シール19は、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの開口部26の周りに配置する。光シール19を患者または対象物に押し付けることにより、遮光性の高いチェンバーが形成され、閃光源7aからの発光を包含し、使用者または近くにいる他の人を損傷したり不快にさせることを防ぐ。したがって、閃光源7aからの発光は、実質的にハウジング17および光シール19で囲まれた患者の領域内に閉じ込められる。この領域は、皮膚3または組織5および挿入部位11近くのカテーテル15を含んでよい。
【0025】
光シール19は、コンプレイント(complaint)材料で形成することができる。例えば、光シール19は、渦巻き状および/または泡状の不透明なエラストマー材料、例えばネオプレン、天然ゴム、シリコーンゴム、または熱可塑性エラストマー(TPE)から形成することができる。コンプレイント材料の使用は、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの光シール19を凹凸のある表面に置いた場合に、実質的に遮光性の高いチェンバーを形成することを可能とする。例えば、光シール19は、身体、バンデージ、テープ、またはカテーテルおよびその要素の形に合致することができる。図3においては、光シール19の一部がカテーテル15のハブ13の形に合致している。光シール19が合致することにより、カテーテル15を外部カテーテル装置からコネクター14において取り外すことなく、瞬間滅菌/消毒ユニット16aをカテーテル15の上に置いて滅菌/消毒することが可能となる。しかし、外部カテーテル装置は、コネクター14において取り外して、滅菌または消毒の間、カテーテル15のハブ13およびコネクター14を瞬間滅菌/消毒ユニット16aの下の光シール19の包含内に収めておくこともできる。
【0026】
瞬間滅菌/消毒ユニット16aは、カテーテル挿入中に微生物が皮膚3から組織5に移送されるのを防ぐため、カテーテル15の挿入の前に挿入部位11を滅菌または消毒するのに使用するか、または、カテーテル15が挿入されている間使用することができる。瞬間滅菌/消毒ユニット16aはまた、挿入部位11の位置の皮膚3を貫通する前に使用してもよい。瞬間滅菌/消毒ユニット16aは、化学滅菌剤または消毒剤による皮膚3の化学的処理に付加して、またはその代わりに、例えば、挿入部位11において皮膚3を切開する前に使用してもよい。滅菌または消毒用化学薬品は、アルコール、ヨード、またはベータダインなどの殺菌または防腐化学薬品を含んでよい。
【0027】
瞬間滅菌/消毒ユニット16aは、ユニットが正しい位置にない時に閃光源7aが偶発的に起動するのを防ぐため、光シール19に連結した安全連動アクチュエータ(safety interlock actuator)21を含んでよい。安全連動アクチュエータ21は、1または2ヶ所以上において光シール19が圧縮されるのを検出し(例えば、図4Cにおいては6ヶ所で)、閃光源7aの始動の許可に先立ち、光シール19が表面に対応して配置されていることを確認する。代替的または付加的な安全連動装置を含むことができ、これにより、ハウジング17の内部に実質的に光が無く、またハウジング17の内部と外部の間の光シール19が実質的に完全であることが示されない限り、閃光源7aの始動を防ぐ。ハウジング17の光検出器(示されず)は、ハウジング17内の光の存在を検出するために使用することができる。
【0028】
前述のように、瞬間滅菌/消毒ユニット16aは閃光を発生するために用いられる。閃光を発生するため、光源7は、キセノン閃光ランプでもよく、また、閃光のUV光出力を最大化するために石英、融合シリカ、またはUV透過ガラス製のエンベロープで作成してもよい。小型の閃光ユニットに対し最大のUVCを発生させるため、閃光源7aは高い電流密度、例えば3,000〜6,000amps/cm、および短い閃光間隔、例えば200ms未満で作動される。滅菌また消毒用に十分な閃光を発生するために閃光源7aが必要とするエネルギーは、照射する面積、所望の最少の滅菌光の用量、照明の均一性、および閃光源7aのスペクトルによって決まる。例えば、UVガラスから製造された閃光源が25平方cm(約4平方インチ)の面積を照射するのに使用された場合、約20mJ/cmのUVCエネルギー強度および20ジュールの総閃光入力エネルギーを発生する。閃光源7aはまた、UVA、UVB、赤外線および可視光線を発生することもできる。
【0029】
瞬間滅菌/消毒ユニット16aは、ハウジング17内に包含された回路ボード29を含む。回路ボード29は、閃光源7aが閃光を発生するために用いる電荷を貯蔵するためのコンデンサ31、およびコンデンサを充電し、充電と閃光を制御するための回路を含む。回路ボード29はまた、電源および安全連動回路に連結され、不適切な時に偶然始動されることを防止する。コンデンサを充電し閃光を始動する前記回路は、代表的な写真用閃光ユニットに用いられるものと同じでよく、当業界にはよく知られている。回路ボード29に含むことのできる回路の一例については、図16および17に関連して述べる。
【0030】
ハウジング17は、コンデンサの充電を始動するための電源スイッチ23を含む。電源スイッチ23は、単純なオン−オフ電源スイッチまたは押しボタンでよく、コンデンサ31を充電するために回路ボード29への電力を制御する。電源スイッチ23は電源に接続され、電源は、図4A、4B、および4Eでは電池33として示される。電池は、有用に、瞬間滅菌/消毒ユニット16aが携帯可能で手持ち式となることを可能としている。さらに、典型的な瞬間滅菌/消毒ユニットの電源の要求は、1セットの電池で数百回からそれ以上の瞬間滅菌/消毒操作を行えることである。しかし、外部のAC電源も使用可能である。ハウジング17はまた、安全連動アクチュエータが存在する場合にはその起動時に、閃光源7aの起動を制御するための開始スイッチ27を含む。電源スイッチ23および/または開始スイッチ27は、手動で操作してよく(例えば、ボタンを押す)、あるいは、光シール19内の1または2個以上のアクチュエータ21と連結して、光シール19を押すと作動するようにしてもよい。電源スイッチ23および開始スイッチ27を含むことにより、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの安全性が増し、電気消費量が低下する。しかし、電源スイッチ23および開始スイッチ27のどちらかを除外することもでき、なぜならばこれらは、ユニットの操作に不可欠ではないからである。
【0031】
閃光源7aが発生するUV光の強度を変更するため、UV用量制御機構を含んでもよい。例えば、UV光の強度は、UV光をバンデージを通して照射することを補償するために変更することもでき、これについては図12との関連で述べる。また、患者の皮膚の感度に応じて変更することもできる。UV用量は、連続的に変更することも、またスイッチによって決定される離散的な段階に応じて変更することもできる。滅菌光出力は、コンデンサ31に貯蔵したエネルギーを、コンデンサ31の充電電圧を変更することによって変化させて制御するか、または、スイッチによって1または2個以上のコンデンサを回路に組み込み、総キャパシタンスを変更して制御する。
【0032】
作動可能インジケータ25、例えば発光ダイオード(LED)をハウジング17の外側表面に含むことができ、これによりコンデンサ31の充電が完了し、したがって閃光源7aにより閃光が発生できることをオペレーターに通知する。第二インジケータ(示されず)または、インジケータ25に色変化もしくは光フラッシュを含めることにより、オペレータに対し、安全連動装置21が起動され、瞬間滅菌/消毒ユニット16aが操作可能であることを知らせることができる。第3インジケータ(示されず)、または他のインジケータにおける色変化もしくはフラッシュも、閃光が正しく実施されていることを知らせるために用いることができる。
【0033】
上述の瞬間滅菌/消毒ユニット16aは、カテーテル、カテーテル挿入部位、外傷、および/または皮膚の領域を1または2回以上の閃光を用いて滅菌または消毒するための器具の一例にすぎない。当業者は容易に、上述の瞬間滅菌/消毒ユニット16aの物理的形態、電気回路、および制御についての多くの可能な変更を見出すことができ、それらも本発明の範囲に包含することが意図される。
【0034】
連続プロセス滅菌または消毒
図5A〜5Cは、本発明の一つの態様による、一定の時間連続照射を発生するために用いられる連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bを示す。連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、連続光源7bからより低い強度の光がより長い時間発生されることを除き、瞬間滅菌/消毒ユニット16aと同じ原理に基づいて作動する。
【0035】
図5Aに示すように、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、挿入部位11および周辺の皮膚3および/または組織5、さらに挿入部位11近くのカテーテル15の一部の上を照射するように、挿入部位11近くのカテーテル15の上に配置して作動される。連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、UV光の滅菌または消毒用量を提供するのに十分な時間、この位置に保たれる。滅菌は、完全に連続的に、または、所望により一定の間隔で断続的に繰り返して、実施する。
【0036】
便宜上、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、手持ちタイプであってもよいが、該ユニットを滅菌/消毒部位またはその近くの位置に取り付けるための機構を含むこともできる。例えば、接着テープまたは面ファスナー(例えば、ベルクロ)などのファスナー付きストラップなどを用いることができる。ファスナー付きストラップは、体の一部に巻きつける、または既に体に取り付けられているバンデージ等に取り付けることができる。ハウジング17は、ストラップに対するレセプタクルまたは取り付けポイントを含んでよい。代替的に、接着テープ、ストラップ、または他の取り付け機構を使用して、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bをカテーテル15に取り付けてもよい。連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bのための光シールは不可欠なものではないので、該ユニットを取り付けることの第一の利点は、ユニットを滅菌または消毒のために適切な位置に保持することである。
【0037】
テープまたはバンデージが挿入部位11の上に用いられている場合、それらは滅菌または消毒の前に取り除いてもよい。UV透過テープおよびバンデージを使用している場合は、図13との関連で述べるように、それらの上にある滅菌/消毒ユニットと共にそのままの位置に保持したままでもよい。連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、カテーテルをその外部回路から取り外すことなく、カテーテル15の上で使用できるよう、設計されている。代替的に、外部カテーテル回路を取り外して、カテーテル15のハブ13およびコネクター14を連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bの下に収めることもできる。
【0038】
図に示すように、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bのハウジング17は、連続光源7bおよび反射板9を包含し、電源コード35に接続される。反射板9は、連続光源7bからの光を反射して、滅菌または消毒する面および対象物に照射する。反射板9はまた、光の方向を再度変えて、複数角度から面および対象物を照射し、それによって影を最小化し、より均一な照明を提供するように機能する。
【0039】
連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bに必要な全電力は、瞬間滅菌/消毒ユニット16aよりも高くなる傾向にあるため、電源コード35から供給されるAC電力を用いるのが好ましいが、ある態様においては電池が適切な場合もある。電池を使用する場合にユニットのサイズおよび重量を最小化するため、必須ではないが、電池を離れた場所に設置し、電源コードで接続するのが好ましい。オペレータによる制御、例えばオン−オフスイッチやタイマーの制御は、ハウジング17に包含できるほど十分小さいのが好ましいが、それらは電源コードの他の端部に離して置いてもよい。さらに、図5A〜5Cの例においては、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは適合的な光シールではなく基部36を含むが、これは、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bが発生する光の強度が低く、安全に関する問題をそれほど起こすことがないためである。しかし、UV光に目をさらすことを最小化するための注意は必要である。
【0040】
上述のように、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは光の強度の低い滅菌または消毒光を必要とするため、連続光源7bは標準の水銀殺菌灯でよい。これらのランプは、UVC滅菌帯域の中央約253.7nmの波長においてそのほとんどのエネルギーを生成する。水銀灯を使用した場合、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは滅菌または消毒に数分かそれ以上の時間を要する。水銀灯は、UVC帯域の外側のUV波長および可視スペクトルにおいて少量のエネルギーを発生する。これらランプが発生するUVAおよびUVB光の強度は低く、一般に断続的滅菌または低レベルの長期連続滅菌に必要な用量においては、近くの物に対して危険ではない。
【0041】
皮膚3におけるUV光の強度が十分低ければ、連続光源7bは皮膚3に障害を与えることなく長期に発光することができる(例えば、複数時間または複数日間)。一般に利用可能な水銀灯は、光のレベルを光学フィルターによって低減するか、または連続光源7bの電気駆動部を制御して発光の強度を下げない限り、一般には連続作動に適合しない強度で発光する。光出力の強度の低下は、連続光源7bを交互にオンオフすることにより可能である。この交互のオンオフは、低サイクル(例えば、数秒または数分の周期)、または高サイクル(例えば、1秒未満の周期)で行うことができる。交互のオンオフはまた、低い(50%未満)または高い(50%より高い)負荷サイクルで行うことができる。連続光源7bへの電力の切り替えは、電子回路、機械的タイマー、または電子機械的に実施することができ、これらはすべて当業者には周知である。
【0042】
代替的に、滅菌または消毒操作は1日1度、または1日2〜3回実施してもよく、連続光源7bは、その各回において完全に滅菌または消毒操作が行われるだけ十分長く電源を入れることができる。各操作のタイミングは、標準タイマーまたは、光の照射を測定し所望の用量に達したら連続電源7bをオフにする光センサーを用いて実施することができる。連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、オペレータにより手動でオンオフを行うこともできる。
【0043】
連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bにUV用量の制御を含めて、図13との関連で述べるように、バンデージを通したUV光の照射を補償することができ、また、患者の皮膚の感度に対応することができる。UV用量制御は、連続的に可変、またはスイッチにより決められた離散段階において可変とすることができる。上述のように、滅菌光出力の制御は、連続光源7bからの発光の強度、連続光源7bの負荷サイクル、または各滅菌もしくは消毒がオンとなった総時間などを変更することによって行う。
【0044】
石英、融合シリカ、またはUV透過ガラスなどの材料から製造されるUV透過窓(示されず)は、開口部26に含まれてもよく、光が標的の表面に届くことを許容しつつ、連続光源7bを保護する。該窓は、発光のスペクトルを変更するために光学フィルターを含むことができる。これにより、より有効な、および/または、より障害の少ない光を有するスペクトルを発生することができる。この窓はまた、凹凸の表面または他の拡散機構を含むことができ、発光の射出角度を変更し、それによって標的の影を減少することができる。
【0045】
連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bの連続光源7bの駆動回路は、ハウジング17に含まれる。該回路はここには示されない。これは、回路が標準の可視蛍光ランプに用いられるものと概して同じであり、当業者に周知のものだからである。
【0046】
上述の連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bは、カテーテル、カテーテル挿入部位、外傷、または皮膚の領域を連続照射を用いて滅菌または消毒するための器具の一例にすぎない。当業者は容易に、上述の連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bの物理的形態、電気回路、および制御についての多くの可能な変更を見出すことができ、それらも本発明の範囲に包含することが意図される。例えば、連続光源7は、必要な用量を提供するために一定の時間内に多数のパルスが必要なパルス光源と置き換えることができる。光学フィルターまたは二色ミラーを連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bに組み込んで、障害を起こす光の波長の強度を下げることにより、出力光のスペクトルを変更することができる。
【0047】
光誘導要素を用いた滅菌または消毒
挿入部位11近くのカテーテル15の完全滅菌のため、挿入部位11近くのカテーテル15上の全ての部分が、適切な用量の滅菌光にさらされることが望ましい。さらに、微生物が挿入部位11から体内に入るのを防ぐため、挿入部位11および周辺の皮膚3が滅菌または消毒されることが望ましい。幾つかのカテーテル要素の形態が、挿入部位11近くのカテーテル15および皮膚3上の全ての部分(カテーテルが皮膚上に配置されている部分)に光が到達することを困難にしている。カテーテルは、他の領域に比べて受け取る光が少なく部分的に影になる領域を作り出し得る。この影の効果は、滅菌光の総用量が十分高ければ緩和できる。しかし、高い用量は、より出力の高いUV光源および/またはより長い照射時間を必要とし、皮膚へのUV照射が所望の量より大きくなる可能性がある。したがって、本発明の一つの態様においては、カテーテル要素の形態を影を減らすようなものにするか、および/または、光を反射あるいは屈折する要素を含んで、それがなければ部分的あるいは完全に影になる領域に光を導くようにする。
【0048】
再度図2を参照すると、カテーテル15が光源7によって照明されるのが示されている。カテーテル15の一部の下の皮膚3の領域38は、通常は、カテーテル15の影のために光源7からの光にはさらされない。反射板9は、光源7からの光が複数の異なる角度から標的の表面および対象に到達するように働く。したがって、ある光は、部分的に影の領域38に到達するが、しかし領域38にあたる光の総強度は、周辺の領域における総強度より小さい。付加的な反射板または拡散器を用いて、領域38に当たる光の強度をさらに強めることができる。
【0049】
図6Bは、カテーテル要素がどのように形成されて、部分的に影になる領域38に対し、より均一な光の分散で光を導くかについての一例を示す。この例においては、反射面37が光誘導要素41に含められ、光源7からの光を反射して部分的に影の領域38へと導く。光誘導要素41は、図6Bに示すようにカテーテル15のハブであってもよく、または、図7Aとの関連で述べるように付加的要素でもよい。したがって、光誘導要素41は、カテーテル15の一部またはカテーテル15に付加された要素であってよい。反射面37は、図6Aおよび6Bに示すように傾斜面および/または鏡面でもよい。ここでは曲面状の鏡面が示されるが、1または2以上の平面鏡面またはUV透過材料で作られた円筒レンズなどの屈折光学要素を用いて、光源7からの光をカテーテル15の下の領域38へ導くことができる。
【0050】
タブ39は、患者に光誘導要素41を取り付けるための機構を提供するために、光誘導要素41のどちら側に設けてもよい。例えば、タブは縫合または接着剤を用いて組織5に取り付けることができる。光誘導要素41の上面は、なめらかなアーチ状に形成することができ、図7A、7B、および7Cに示すように、瞬間滅菌/消毒ユニット16aと共によりよい光シールを提供する。
【0051】
図7A、7B、および7Cは、瞬間滅菌/消毒ユニット16aと共に用いられる光誘導要素41を示す。ここには瞬間滅菌/消毒ユニット16aを示すが、連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bなどの他の滅菌/消毒デバイスもまた、本態様において代替的に使用できることが理解される。あるカテーテル装置においては、もし反射面37がハブ13に取り付けられる場合、反射面37が光を領域38に導くという所望の機能を行うためにはハブ13が挿入部位11に十分近く位置していない。したがってこの態様においては、光誘導要素41はハブ13から分離する。光誘導要素41は、カテーテル15のチューブ12に取り付けてもよく、チューブ12に沿って可動として、カテーテル15を設置した後挿入部位11の近くに位置させてもよい。さらに、光誘導要素41は接着剤を含み、一旦皮膚3上に位置された後はその位置に維持されるようにすることもできる。光誘導要素41は、カテーテル15のチューブ12を皮膚3のやや上で保持し、滅菌光がチューブ12の下の皮膚に到達するのを可能とするのが好ましい。図7A、7B、および7Cは、カテーテル15が光誘導要素41の孔40を通るのを示しているが、代替的に、光誘導要素41は、カテーテル15のチューブ12に適合するような溝を有してもよい。光誘導要素41は、プラスチック、エラストマー、またはフォトクロミック(光互変性)プラスチックもしくはエラストマーから型を用いて作製することができる。代替的に、光誘導要素41は、UV光にさらされると色を変える、色変化添加剤を含むこともできる。色変化効果は、オペレータに対し、標的部位がUV光にさらされたことの確認を提供する。
【0052】
光誘導要素41は、反射面37を含まなくてもよい。この場合、光誘導要素41は、カテーテル15のチューブ12を皮膚3から離して保持し、滅菌光が領域38に到達するのを可能とする。もし、瞬間滅菌/消毒ユニット16aからの光の拡散が十分多ければ、部分的に影になる領域38は、特別の反射面を使用しなくても、ユニットから十分な滅菌光を受ける。上記のように、反射面37を含まない光誘導要素41は、UV光の照射を表示するフォトクロミックインジケータを含むこともできる。
【0053】
滅菌/消毒ユニット16aおよび16bは、標準のカテーテルおよび現在一般に使用されている挿入技術と共に用いた場合に有用であるよう、デザインされている。しかし、カテーテルの物理的形態および外部カテーテル装置の位置の改変は、滅菌/消毒ユニット16の使用を容易にし、有効性を改善し得る。これらの改変は、外部カテーテル装置の形に付加したり変更を加えて影を最小化すること、および/または、滅菌/殺菌ユニットの光シールを強化すること、またはUV光照射を表示する色変化材料を付加すること、などを含む。
【0054】
UV透過バンデージ
上述の滅菌/消毒ユニットは、素肌に適用すると有効な効果を有するようにもデザインされており、滅菌光の照射のために一時的に取り外すのであれば、従来のバンデージと共に用いることもできる。しかし、本発明の態様によれば、本明細書の滅菌または消毒方法は、滅菌/殺菌すべき領域上に置かれたUV透過バンデージと共に使用することもできる。用語「バンデージ」は、任意の包帯、医療用テープ、パッド、ガーゼ、フィルム、軟膏、またはペイント・オン外傷被覆剤(paint-on wound covering)、またはこれらの特性の任意の組合せを含むことを意図している。
【0055】
滅菌または消毒光を透過させるバンデージは、適切な材料および形態を選択して作製することができる。例えば、一般にはUVC光を透過しないと考えられる材料も、薄膜として製造された場合にはUVC光の多くの部分を透過することができる。例えば、ポリエチレン(医療用に通常用いられる材料)の厚さ0.002インチ(0.05mm)の薄膜は、220〜310nmの波長範囲のキセノン閃光からの滅菌光を最大80%まで透過する。0.01インチ(0.25mm)までの厚さの膜でさえも、50%以上の滅菌光を透過する。構造体フィルムおよび接着剤を含む接着テープで総厚さが0.006インチ(0.15mm)のものは、60%を超える滅菌光を透過する。一般的な8層の医療用ガーゼパッドは、滅菌光の約30%を透過する。
【0056】
カテーテルと共に用いる医療用バンデージの多くは、接着剤の層が付加された視覚的に透明なテープのみからなる。現在使用されている視覚的に透明なフィルムの多くは、310nmより短い波長の光に対してほとんど不透過であり、UV光透過用途には適切でない。しかし、バンデージは、特定の材料からUV透過を強化するのに適切な厚さで製造することができる。例えば、米国特許番号4,595,001に記載の、厚さ約0.001インチ(0.025mm)のアクリルベースの接着剤および、厚さ約0.001インチ(0.025mm)の親水性のポリウレタンシート材料から製造されたバンデージは、50%を超える滅菌光透過率を有し得る。この透過率は、バンデージを通した滅菌または消毒に対し許容可能である。滅菌/消毒ユニットと共に用いるバンデージは、UV光に対して既知で制御された透過率を有するように製造することができる。したがって、滅菌/消毒ユニットの出力光は、滅菌または消毒する皮膚およびカテーテル要素に対し正確な用量の滅菌光を送達するよう、調節することができる。
【0057】
図8は、本明細書の記載により、滅菌/消毒ユニットと共に使用するようデザインされた、バンデージ51の第一の形態を示す。図に示すように、バンデージ51は、バンデージ51に含まれるフィルム55の周囲に付着された接着剤53を有する。接着剤53はUV光を減衰させ、したがって、皮膚に到達する光の量を低下させる。この減衰を最小化するため、図8のバンデージ51の接着剤53は、カテーテルの挿入部位の上にあるフィルム55の一部には付着しないように選択的に適用される。接着剤53は、バンデージ51の周囲にシールを形成し、微生物に対するバリアを提供する。バンデージに照射されたUV光は、バンデージ51の接着剤53を含まない領域57を通過するため、接着剤53のUV透過特性は重要ではなく、製造に際して制御される必要はない。
【0058】
本明細書に記載の全てのバンデージは、それらの滅菌/消毒ユニットにおける使用をより有用にするための付加的特性により向上させることもできる。一つの例においては、放射熱減衰材料をバンデージ51のフィルム55に付加し、UV光源が発生した任意の熱を減衰させることができる。他の例においては、色変化材料、例えば、フォトクロミックもしくは蛍光性の、インクもしくは染料を、バンデージ51のフィルム55の接着剤53に付加することができる。色変化材料は、UV光にさらされた場合、色が変化したり、発光したりする。代替的に、色変化材料は、スペクトルの他の部分からの光にさらされた場合に、色を変えたり、発光したりしてもよい。スペクトルの他の部分からの光によって起こる色の変化も、スペクトルの他の部分からの光におけるUV光の割合が既知であれば、UV光照射についての表示を提供する。
【0059】
色変化材料は照射されたUV光の一部を吸収し、そのためUV光の透過を減少させる可能性があるため、バンデージ51の1または2ヶ所以上の所望の部位にのみ含んでもよい。例えば、色変化材料は、フィルム55の接着剤53に不連続的に、例えば一定のパターンで適用することができる。パターンは、線、点、または小さな形の列であってよく、色変化材料の間の領域をUV光により滅菌または消毒することが可能となる。代替的に、色変化材料は、バンデージ51の縁にそって適用し、UV光の照射を妨害しないようにすることができる。他の態様においては、滅菌/消毒ユニットの照明領域よりも大きなサイズのバンデージについては、バンデージ全体に少量の色変化材料を付加することもできる。バンデージ全体への色変化材料の付加はバンデージ51のUV光の透過を少量だけ減少させるが、その総透過率が既知であり、出力光がそれに応じて調節されている限り、該バンデージは十分な量のUV光を透過する。
【0060】
上述のように、色変化材料は接着剤53に付加することができる。例えば、色変化材料を接着剤53に含ませて、接着剤なしの領域57をさらに明確にし、それによってその位置合わせをより容易にすることができる。色変化材料以外の他の付加剤も、位置合わせを容易にするために代替的に含むことができる。色変化材料はまた、接着剤53に含ませて、滅菌/消毒操作が正しく実施されたことを示すことができる。
【0061】
さらに上述のように、色変化材料はフィルム55に付加することができる。例えば、色変化材料は、バンデージ51のフィルム55に付加したりその上に印刷して、バンデージ51のUV光照射領域または照射レベルを表示させることができる。他の例においては、、色変化材料は、バンデージ51のフィルム55に、情報を伝達するような意味あるパターンで付加したり、その上に印刷することができる。図8に示すように、色変化材料は、ロゴ58、または他の言葉またはアイコン、またはバーコード60を形成するよう印刷することができる。色変化材料はまた、ユーザーに対する付加的な情報また指示を提供するよう、または製品の製造者を表示するよう印刷することができる。
【0062】
長い時定数(すなわち、ゆっくりした色変化反応)を有する色変化材料も、バンデージ51のフィルム55に付加することができる。色変化材料の緩和時定数(relaxation time constant)は、滅菌/消毒ユニットからのUV光の用量の範囲で所望の時間に適合するように、選択することができる。例えば、UV光にさらされた場合、色変化材料は背景色に適合するよう変化し、色変化材料がほとんど見えない状態にすることができる。色変化材料が元の色に戻るにしたがって、該材料はより見えやすくなる。ユーザーが色変化材料またはそれで形成されたパターンを検出できた時、ユーザーは、UV光を再度照射可能になったと決定することができる。代替的に、光学検出デバイス(例えば、光検出器)を滅菌/消毒ユニットに含んで、色変化材料のパターンまたは色調を検出することもでき、ここで検出される色調とは、色、輝度、彩度、または色変化材料の色変化の有無を含む。例えば、色変化材料のパターンは、バーコード60を形成することができ、光学検出デバイスにより検出可能である。滅菌/消毒ユニットは、バーコードまたは他のパターンまたは色調が読み取り可能な場合にのみ操作するように設計することも可能である。
【0063】
滅菌/消毒ユニットは、素肌上またはバンデージ上のどちらで使用されているかを検出するための、センサーを含むこともできる。材料を感知する一つの方法は、表面の2または3以上の接点において電気的接続を生じさせ、それら接点における抵抗を測定することにより、その表面の電気伝導率を測定することである。ヒトの皮膚は一般に2〜3MΩより少ない抵抗を有するが、バンデージに用いられる材料の抵抗は、一般にそれよりも何百倍も高い。伝導率はまた、接点間の結合を測定する静電結合および交流検出信号を用いて測定することもできる。滅菌/消毒ユニットが素肌に適用されたことを検出した場合、光源の出力レベルは、素肌に適切なレベルに調節することができる。
【0064】
バンデージの検出特性はそれのみで、または異なるバンデージのタイプに対する光源の出力を自動的に検出して調節する特性と組み合わせて、用いることができる。例えば、ユニットがバンデージの存在を検出した場合、該バンデージ上に現れたコードを検出するために、光センサーまたは他のセンサーを始動することができる。コードは、例えば、バンデージの端に印刷されたバーコードであってよい。バーコードは、バンデージのUV光透過特性を表示することができ、それに応じて滅菌/消毒ユニットがその出力を調節する。この特性を有する滅菌/消毒ユニットは、操作のために適切な位置に配置されることが必要で、正しい使用が奨励される。滅菌/消毒ユニットは、オペレータに対してユニットが正しく配置され、コードが読み取れたことを通知するインジケータを含むことができる。インジケータはまた、オペレータに対し、どの強度が選択されているか、または、バンデージを通した適切な滅菌または消毒のために1回以上の照射が要求されているかどうかを通知するために設けることもできる。この特徴は、バーコードに必要以上に頻繁にUV光が照射されるのを防止するため、時間定数の長い色変化材料と組み合わせて用いることも可能である。
【0065】
パッドを含むバンデージ(「バンドエイド」の商品名で市販されている種類のものおよび、専門の医療分野で用いられているその大型版)もまた、滅菌/消毒ユニットと共に使用するのに十分な滅菌光の透過を可能とするよう作製することができる。パッドはより高い柔軟性を提供し、そのため快適でまたバンデージと身体への接着性を改善することができる。パッドは、UV光透過性の高い発泡ポリエチレンまたは類似の材料から作製することができる。UV光透過性を最適にするには、材料は着色剤を含まず、透明または乳白色であるのがよい。しかし、可視光に比べてUV光の透過を大きく劣化させない着色剤の使用も可能である。
【0066】
図9Aおよび9Bは、本明細書に記載の、滅菌/消毒ユニットと共に使用するためにデザインされたバンデージの他の構成を示す。この構成においては、バンデージ51は、バンデージのフィルム55と連結したパッド59およびパッド59に連結したパッドライナー61を有する。パッド59およびパッドライナー61は、UV光に対して十分な透過性を有する。フィルム55上の接着剤も、用いられる厚さにおいて、UV光に対して十分透過性を有するのが好ましい。種々の接着剤がこの条件に合致し、現在医療用バンデージおよび包帯に用いられているものを含む。パッドライナー61の上の接着剤は、パッド59を適切な位置に保持し、フィルム55をユーザーの皮膚に接着させる。
【0067】
UV光を十分透過させるため、パッド59は適切なUV透過性材料から、適切な厚さに作製するべきである。従来の予め作製されているバンデージのパッドは、厚さが0.02インチ(0.5mm)〜0.06インチ(1.5mm)の範囲であり、医療用ガーゼまたは非織(フェルト状)繊維から作られている。幾つかのバンデージは、図9Bに示すように、パッド上の穴あきポリマーシートを含む。
【0068】
UV透過バンデージは、(典型的にそうであるように)フィルムに着色剤が使用されていなければ、伝統的な材料から作製することもできる。例えば、パッドは8層の医療用ガーゼ(厚さ約0.04インチ(1mm))から、パッドライナーは、厚さ約0.002インチ(0.05mm)のポリエチレンシートから作製することができる。例示のバンデージにおいては、接着剤を有するフィルムは、75%の滅菌光透過率を有することができ、パッドは30%の滅菌光透過率を有することができ、ライナーは、約80%の滅菌光透過率を有することができる。これにより、全体の滅菌光透過率は約18%となる。より高い滅菌光透過率が望ましいが、この構成のバンデージを本明細書に記載の滅菌および消毒方法とともに使用することは可能である。このバンデージを通して皮膚の表面を滅菌または消毒するには、素肌に対して必要な用量の約5.5倍の総滅菌/消毒光用量が必要である。
【0069】
上述のバンデージの一つの代替例は、ガーゼパッドの代わりに発泡ポリエチレンパッドを用いることである。厚さ0.04インチ(1mm)の発泡ポリエチレンパッドは、70%の滅菌光透過率を有することができる。発泡パッドは、ポリマー表面を外傷に接するので、パッドライナーは不要である。この構成のバンデージは、約50%の総滅菌光透過率を有し、素肌に必要な滅菌光強度のただの2倍しか必要としない。繊維パッドの構成が好ましい医学的理由があるかも知れないが、この構成は、滅菌/消毒ユニットから必要とするエネルギーが少ないという利点を有する。両方の構成を、適切にデザインされた滅菌/消毒ユニットと共に使用することが可能である。
【0070】
図10A、10B、10Cは、本明細書に記載の、滅菌/消毒ユニットと共に使用するようデザインされたバンデージのさらに他の構成を示す。この構成において、フィルム55は、図9Bの構成におけるパッドライナー61の代わりに使用される。フィルム55は、液体がパッドに流入することが所望される場合には、パッド59の位置において穴あきであってよい。パッド59は、フィルム55に可動ファスナー63によって取り付けられる。ファスナーは、接着ファスナーまたは、一般に「ベルクロ」として知られている面ファスナーでもよい。パッド59は、完全に取り除くか、または片側にたたむことができる。したがって、滅菌/消毒ユニットからのUV光は、ユーザーの皮膚に、パッド59を通らずに到達することも可能である。パッド59のUV透過特性はこの構成において重要ではないため、パッドの厚さおよび材料は、医療的な配慮にしたがって決定してよい。したがって、厚いガーゼのパッドも可能である。さらにこの構成において、パッド59の下側の面は、パッドが完全にまたは部分的にフィルム55からはずされた時に滅菌または消毒される。したがって、パッド59は使用中に、滅菌表面を作るために滅菌または消毒することができる。
【0071】
本明細書に記載のバンデージの材料および/または着色剤は、バンデージを通った滅菌光の減衰がバンデージの全ての部分において等しくなるよう、選択され配置される。これにより、バンデージの下の皮膚のある領域が過剰な用量にさらされて損傷を引き起こすことのないUV光滅菌用量が、バンデージに照射される。例えば、滅菌光の均一な減衰を達成するために、バンデージ51のフィルム55のパッド59をカバーしていない部分は、パッド59をカバーしているフィルム55よりも、パッド59による余分な減衰を補償するため、より強く滅菌光を減衰するように作製することができる。フィルムによる光の減衰は、フィルム55を、滅菌光を吸収、遮断、または反射するカラーインクまたは染料を用いて印刷することにより制御可能である。代替的に、接着剤は通常いくらかの滅菌光の減衰を引き起こすので、その減衰がパッドの減衰に適合するよう、接着剤の厚さおよび/または組成を調節してもよい。パッドが外傷の滅菌器/消毒器の照明面積よりも大きい場合、パッドの面積を超えた部分の接着テープのUV透過特性は、問題ではない。
【0072】
皮膚に対してUV光を適用した際の副作用の一つが日焼けであるため、日焼けしたスポットが目立たないよう、バンデージを縁をぼかすように作製することが所望される場合もある。これは、バンデージのUV透過率に勾配をつけ、照明領域の端になるほど次第に低くすることにより達成可能である。これによって、任意の日焼けが、より目立って不快なくっきりした縁ではなく、ぼかした縁を有し得る。テープまたはバンデージのプラスチックフィルムもまた、光のある波長の透過を選択的に吸収または遮蔽する付加剤を含むことができ、皮膚に到達する光のスペクトルを変え、有害なまたは望まない波長をフィルターすることが可能である。このフィルターはまた、日焼けの効果を減少することができる。
【0073】
本明細書に記載のバンデージは、種々の専門的な、また消費者向けのヘルスケア用途に使用可能である。図11Aおよび11Bは、本明細書に記載の、滅菌/消毒ユニットと共に使用するためにデザインされたバンデージの他の構成を示す。この構成のバンデージは、一般に、専門用途のより大きなバンデージである。バンデージ51は、実質的に四角いパッドが取り付けられた実質的に四角いフィルム55を含む。この構成は、しっかりした気密シールをバンデージ51の全周辺に形成できるという利点を持ち、微生物による外部からの感染に対して完全なバリアを創生することができる。この特性のバンデージは、専門の医療用、消費者用、および獣医学用に、種々のサイズおよび形で製造することができる。カテーテルおよび皮膚の領域は、医療の専門家によって、または消費者によって、バンデージを適用する前に、および/または後に、記載の滅菌/消毒ユニットの一つによって滅菌または消毒することができ、またバンデージを配置したままで定期的に滅菌または消毒することができる。
【0074】
UV透過バンデージを使用した滅菌または消毒
図12は、UV透過バンデージ51と共に使用される図3および4の瞬間滅菌/消毒ユニット16aを示す。図示目的のため、バンデージ51は外傷1を覆っているように示されている。しかし、バンデージ51は代替的に、または付加的に、カテーテル、カテーテル挿入部位、または健康な皮膚を覆ってもよい。図13は、バンデージ51と共に使用される図5A、5B、および5Cの連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bを示す。先と同様に、バンデージ51は外傷1を覆っているように示されているが、代替的に、または付加的に、カテーテル、カテーテル挿入部位、または健康な皮膚を覆ってもよい。
【0075】
図12および13のバンデージ51は、本明細書に記載の任意の特性または材料を含むことができ、記載の特定の構成のいずれかに限定されるものではない。前述のように、滅菌/消毒ユニット16aおよび16bは、バンデージ51のUV透過率に適合した強度のUV光を発生することができる。滅菌/消毒ユニット16aおよび16bが発生する光の強度は、ユニット上のノブ、スイッチ、または他の機構により可変とすることができる。バンデージ51の透過率は、ユーザーが測定するか、または、例えばバンデージそれ自体に表示することもできる。バンデージ51上の表示は、滅菌/消毒ユニット16aおよび16b内のセンサー、例えば光センサーによって検出可能である。バンデージ51の下側の面に連結された色変化材料は、UV光の吸収を表示することができ、したがって、バンデージ51の透過率を表示できる。
【0076】
必要ではないが、バンデージ51は、バンデージを取り付けた部位の汚染を予防するためにシールを形成することもできる。例えば、バンデージは、細菌やウィルスなどの微生物を浸透させない連続フィルムで形成することもできる。市場で入手可能なバンデージは、紫外線を使用する滅菌または消毒操作への使用を意図したものではないが、UV透過特性を有する可能性がある。したがって、市場で入手可能なバンデージのこの偶然の特性により、それらを滅菌/消毒ユニット16aおよび16bと共に使用することが好適となっている。
【0077】
UV透過特性制御付きバンデージを使用して、一貫した結果を達成することが好ましい。UV透過特性制御付きバンデージは、従来の製造プロセスに、使用する材料およびその厚さの品質管理を付加することにより製造可能である。前述のように、付加剤は、滅菌/消毒ユニット16aおよび16bと共に使用するフィルム、パッドまたは接着剤の上もしくはその中で用いることができ、UV透過を制御し、有害または望まない光の波長を遮蔽することができる。
【0078】
光誘導要素およびバンデージを用いた滅菌または消毒
図14A、14Bおよび14Cは、バンデージ51と共に使用する、光誘導要素41ならびに図7A、7Bおよび7Cの瞬間滅菌/消毒ユニット16aを示す。瞬間滅菌/消毒ユニット16aが図示されているが、他の滅菌/消毒デバイス、例えば連続プロセス滅菌/消毒ユニット16bもまた、代替的にこの態様において使用できることが理解される。バンデージ51と共に使用する場合、光誘導要素41は、カテーテル15のチューブ12およびバンデージ51と共に気密シールを形成し、空気により伝播される外部の微生物による、挿入部位11の汚染を防ぐことができる。光誘導要素41は、図14Cに示すように、カテーテル15の上に滑らかな凸状の表面を提供し、その上にバンデージ51が容易に接着することにより、この気密シールの形成を支援する。光誘導要素41がなければ、バンデージ51が皮膚3とカテーテル15のチューブ12の底面との間に完全なシールを形成するのは困難である。
【0079】
図14Bは、一部を接着剤53で被覆されたフィルム55を有するバンデージ51を示す。カテーテルの挿入部位11の上のフィルム55の領域57は、接着剤53で被覆されていない。接着剤53なしの領域57は、バンデージ51を通してUV光を透過させることにより、挿入部位11および周辺の領域を滅菌または消毒する性能を提供しつつ、カテーテル15をしっかり保持するのに使用される。図14Bの例においては、接着剤53なしの領域57は、挿入部位11の周りの領域をUV光により滅菌または消毒可能なように十分大きく、また、UV光が光誘導要素41に到達して、確実にカテーテル15のチューブ12の下を適切に照明できるようにする。接着剤53は、皮膚3および光誘導要素41と共にシールを形成し、挿入部位11が外部の微生物により感染することを予防している。
【0080】
本発明により、接着剤53は、図14Bのバンデージ51に図示のような形で適用する必要はないことが理解される。例えば、接着剤53を含まない領域57は、これより大きくても小さくてもよく、異なる形でもよい。さらに、領域57を完全に取り除いて、接着剤53を連続的に、断続的に、列状にして、点状にして、または他の型のパターンにして適用することもできる。
完全な気密シールを形成するために、光誘導要素41は、カテーテル15のチューブ12と緊密に接触するようデザインされている。これは種々の方法によって達成することができ、その例としては、エラストマーからモールディングにより、チューブ12の上に堅固に適合するよう光誘導要素41を形成する、光誘導要素41に溝を形成し、光誘導要素41にはその溝の少なくとも一部を満たすようなヒンジまたは分離した構成要素を付ける、エラストマーのシールを挿入された堅固な光誘導要素41を用いる、カテーテル15のエラストマーの特性を、堅固な光誘導要素41に対するシールとして用いる、または、カテーテル15のチューブ12の周りに接着材料を付加したシールを形成する、などがある。
【0081】
光誘導要素41の反射面37は別個の取り付け要素であってもよく、また、光誘導要素41と一体化していてもよい。光誘導要素41の光誘導機能は、光誘導要素41の光遮断および/または気密機能と分離していてもよいし、1または2以上の分離された要素を使用してもよい。光誘導、光遮断、または気密機能を達成するために多数の構成例が記載されているが、当業者は容易にこれらの機能を種々の組合せで達成する他の多様な構成を考え得ることが、理解される。
【0082】
ハブ13および/または光誘導要素41の底面は光にさらされないため、それらは一旦配置されると滅菌されることはない。しかし、この領域を繰り返し滅菌する必要はなく、なぜならば、ハブ13および/または光誘導要素41の下の皮膚は無傷であり、微生物に対して適切なバリアを有するからである。挿入部位11の周りの皮膚3およびカテーテル15のチューブ12は、定期的に滅菌/消毒して、微生物が挿入部位11から身体に侵入するのを防ぐ必要がある。もし挿入部位11の周りの領域が定期的に滅菌/消毒されており、非滅菌物または空気がこの領域に触れなければ、身体は挿入部位11を通した感染から保護される。
【0083】
滅菌/消毒ユニットの滅菌または消毒
本明細書に記載の滅菌/消毒ユニットは、専門医療環境において複数の患者に使用することができる。滅菌/消毒ユニットそれ自体は、一人の患者から他の患者へ微生物を運ぶベクター(媒介物)となり得る。特に、光シール19の底面48は、通常はUV光にさらされず、患者、カテーテル、またはバンデージに接触させられる。
【0084】
図15は、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの自己滅菌装置アタッチメント(self-sterilizer attachment)42の一つの態様例を示す。自己滅菌装置アタッチメント42は、ハウジング43を含み、この内部に瞬間滅菌/消毒ユニット16aを設置することができる。光シール47はハウジング43の内部の縁に設置され、瞬間滅菌/消毒ユニット16aがハウジング43内に設置された場合に該ユニットと共にシールを形成する。光シール47は適合的であり、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの使用中、光がハウジング43から漏れるのを実質的に防止する。自己滅菌装置アタッチメント42は、ハウジング43の基部においてピン45を含む。ピン45はUV透過性で、ピンと接触する光シール19上の領域の滅菌または消毒を可能とする。瞬間滅菌/消毒ユニット16aの光シール19がピン19に接触し、および/または押した場合、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの光シール19の安全連動アクチュエータが起動される。起動により、瞬間滅菌/消毒ユニット16aが「待機モード」となり、オペレータが光源7からの光発生を始動することが可能となるが、これは例えば、ユニットの始動スイッチを押すことによって行う。代替的に、アクチュエータの起動により自動的に瞬間滅菌/消毒ユニット16aの発光を誘導することも可能である。
【0085】
ハウジング43は、1または2個以上の反射面49を有する。反射面49は、光を、光シール19の底面48、ユニット16aの底面、および/またはユニット16aのハウジング17の外面へと導く。反射面49は、アルミニウム、鏡、または他のUV光反射面により形成することができる。光が瞬間滅菌/消毒ユニット16aから発光された場合、反射面49は光をユニットに導き返し、その表面の滅菌または消毒がなされる。UV光の用量の増加に対して1回以上の閃光または用量の照射を行い、完全な消毒を確実にすることができるが、これは、ハウジング43の内部には、通常、高い照射により損傷を受ける物が存在しないからである。
【0086】
ここでは瞬間滅菌/消毒ユニット16aが示されているが、自己滅菌装置は本明細書に記載の任意の滅菌/消毒ユニットと共に使用できることが理解される。さらに、自己滅菌装置アタッチメント42は滅菌/消毒ユニットへのアタッチメントとして示されているが、代替的に、ユニット内に組み込むことも可能である。ピン45が示され、アクチュエータを起動するよう記載されているが、同じ機能を達成するのに多数の代替的構成(例えば、光検出器、機械的レバー、磁場検出器、または圧力センサー)が使用可能である。
【0087】
瞬間滅菌/消毒ユニットの電気的構成
本発明のある態様により、瞬間滅菌/消毒ユニット16aの閃光ランプに付随する電気回路を、図16の電気回路65に示すように組み込むこともできる。電気回路65は、上述の任意の態様に記載の滅菌/消毒ユニットにおいて使用することができる。電気回路65は、閃光ランプ67の電源供給に必要なエネルギーを貯蔵するコンデンサを含む高電圧電源69を用いる。電源71はAC電源または電池であり、使用する閃光ランプの特性に応じて、一般に200V〜1000Vの範囲の電圧を供給するが、供給電圧は200Vより少ない場合も、また1000Vより大きい場合もある。小さな線形閃光ランプは、一般に200V〜500Vの電圧で作動し、小さな閃光短アークランプ(small short-arc flash lamps)は1000V以上の電圧が必要となる場合もある。電圧は、閃光ランプの特性、すなわち1閃光に所望される総エネルギーおよび所望の最大閃光電流に基づいて選択される。高い電圧は、同じエネルギーでも高い閃光電流を提供し、その結果紫外線スペクトルにおける閃光出力のパーセンテージが高くなる。1閃光当たりのエネルギーは式1により決定できる:
E=1/2CV [1]
式中、Eはジュール単位の1閃光当たりのエネルギー、CはFarad単位のエネルギー貯蔵コンデンサの値、およびVはV単位の電圧である。滅菌/消毒用途には、閃光ランプが最大量の紫外線を生成するよう、選択された電圧はできるだけ高いことが望ましい。次にコンデンサの値は、1閃光当たりの所望のエネルギーを提供するよう選択する。滅菌/消毒を実施する閃光に必要なエネルギーは、照明する面積、所望の最少滅菌光用量、照明の均一性、および閃光ランプ67のスペクトルによって決定される。例えば、UVガラスで作られた閃光ランプが25平方cm(約4平方インチ)の面積を照明するために使用されると、総閃光入力エネルギーが約20Jで、約20mJ/cmのUVCエネルギー強度を発生する。
【0088】
滅菌/消毒回路はまた、カメラのフラッシュの始動回路と非常に類似した閃光ランプ始動装置73を含む。閃光ランプ始動装置は、非常に高い電圧のパルス、すなわち閃光ランプの特性により一般に4kV〜15kVを発生することにより、閃光を始動させる。滅菌/消毒装置の一つの態様により、ユニットの電源が入れられたときは常に、充電貯蔵コンデンサは適切な電圧の充電状態を維持する。安全連動スイッチ75は、滅菌/消毒ユニット16aが形成する光シールが不完全な場合に、閃光ランプ67が始動するのを防ぐ。したがって、閃光ランプ始動装置73は、始動スイッチおよび安全連動スイッチ75が作動されている時に始動することができる。代替的に、始動スイッチ(例えば、押しボタン)または安全連動スイッチ75(例えば、機械的なアクチュエータ)は、それぞれ個別に、閃光ランプ始動装置73を始動することもできる。
【0089】
図17は、閃光ランプ67を作動するための始動回路付きの、電池駆動によるキセノン閃光ランプ駆動回路の代表的な例を示す。このような特徴の回路は、カメラのフラッシュユニットに一般的に使用されている。単純化のため、図ではAC電源供給またはユーザー用インジケータの詳細は示していない。パワートランジスタ77および関連要素は、一般に15〜22kHZの範囲の低電圧発振器を形成する。光電圧トランス79からの電流は、高電圧ダイオード81を通り、エネルギー貯蔵コンデンサ83を閃光ランプを駆動する電圧まで充電する。抵抗器85は、始動コンデンサ87を閃光ランプの電圧まで充電する。Diac92および安全連動スイッチ93がオンの場合、始動コンデンサ87は始動トランス89を通して放電され、閃光ランプ67の始動電極91に非常に高い電圧パルスを生成する。これにより、閃光ランプ67は、エネルギー貯蔵コンデンサ83の貯蔵エネルギーを用いて閃光を発生する。
【0090】
上述の回路は一つの可能な実装例を示すことを意図しているのみであり、多くのかかる回路が可能であり当分野において知られていることが理解される。例えば、当分野においては、本明細書に記載の滅菌/消毒装置に好適に適用可能な、閃光ランプを駆動するための多くの回路が存在する。したがって、本発明は、この点において限定されるものではない。
【0091】
本発明の幾つかの態様を詳細に記述してあるため、当業者により種々の変更および改良が容易に実施可能である。かかる変更および改良は、本発明の精神および範囲に含むことが意図されている。したがって、前述の記載は、例示の目的のみであり、限定することは意図していない。本発明は、特許請求の範囲による規定およびその均等物によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるバンデージの下の領域を滅菌または消毒する方法であって、
該領域に、該バンデージを通して紫外線を照射する行為、
を含む、前記方法。
【請求項2】
紫外線を照射する行為が、バンデージの下の皮膚に紫外線を照射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
紫外線を照射する行為が、バンデージの下の外傷に紫外線を照射することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
紫外線を照射する行為が、バンデージの下のカテーテルの一部に紫外線を照射することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
紫外線を照射する行為が、連続的に紫外線を照射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
紫外線を照射する行為が、1または2回以上の閃光として紫外線を照射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
バンデージの少なくとも一部が紫外線にさらされていることを検出する行為、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
バンデージの少なくとも一部が紫外線にさらされていることを検出する行為が、バンデージの一部における色調を検出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
バンデージの少なくとも一部が紫外線にさらされていることを検出する行為が、色調を検出するために光学検出デバイスを使用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
照射する行為が、光学検出デバイスが特定の色調を検出したときにのみ行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
バンデージの少なくとも一部が紫外線にさらされていることを検出する行為が、バンデージの一部におけるパターンを検出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
バンデージの少なくとも一部が紫外線にさらされていることを検出する行為が、パターンを検出するために光学検出デバイスを使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
照射する行為が、光学検出デバイスが特定のパターンを検出したときにのみ行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
領域に外気が触れるのを実質的に防止するために気密シールを形成する行為をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
患者の組織の領域を滅菌または消毒する器具であって、
紫外線発光ランプ、および
該ランプから発光された紫外線の少なくとも一部を透過するよう調節されたバンデージ、
を含み、該バンデージが前記組織の領域の少なくとも一部を覆っている、
前記器具。
【請求項16】
バンデージが、紫外線発光ランプから発光された光スペクトルの選択された部分をフィルタリングする光フィルターを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
バンデージが、患者の紫外線に照射される領域全体を覆っている、請求項15に記載の器具。
【請求項18】
バンデージが可動パッドを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項19】
組織の領域がカテーテル挿入部位を含む、請求項15に記載の器具。
【請求項20】
組織の領域が外傷部位を含む、請求項15に記載の器具。
【請求項21】
バンデージの少なくとも一部の紫外線に対する透過率を決定する行為、および
該バンデージの少なくとも一部を通して照射すべき紫外線の強度を選択する行為、
を含む、方法。
【請求項22】
バンデージの少なくとも一部における紫外線の透過率を決定する行為が、該バンデージ上の可視的インジケータを読み取ることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
バンデージの少なくとも一部における紫外線の透過率を決定する行為が、該バンデージ上のバーコードを読み取ることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
紫外線透過フィルム、および
該フィルムに連結され、フィルムが紫外線にさらされたことを表示する色変化材料、
を含む、バンデージ。
【請求項25】
フィルムに連結された接着剤が色変化材料を含む、請求項24に記載のバンデージ。
【請求項26】
色変化材料が、該色変化材料を紫外線を照射する前の状態に戻すのに必要とする時間が、紫外線を照射する所望の間隔に対応するように選択される、請求項24に記載のバンデージ。
【請求項27】
色変化材料がフィルムに埋めこまれている、請求項24に記載のバンデージ。
【請求項28】
カテーテルを保持し挿入部位付近の患者の皮膚とカテーテルの間のスペースを取るための導管を有する要素であって、皮膚と前記要素の少なくとも一部に接着しているバンデージとの間に、実質的に気密シールを形成するのを支援するよう、配置され形づくられている、前記要素、
を含み、挿入部位から患者の皮膚を通して挿入されるカテーテルと共に用いるデバイス。
【請求項29】
カテーテルを保持し挿入部位付近の患者の皮膚とカテーテルの間のスペースを取るための導管を有する要素であって、皮膚と前記要素の少なくとも一部に接着しているバンデージとの間に、実質的に光遮断シールを形成するのを支援するよう、配置され形づくられている、前記要素、
を含み、挿入部位から患者の皮膚を通して挿入されるカテーテルと共に用いるデバイス。
【請求項30】
紫外線透過バンデージを患者の皮膚の上に適用する行為、および、
該紫外線透過バンデージを通して紫外線を皮膚に照射する行為、
を含む、紫外線透過バンデージの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−261957(P2009−261957A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−136645(P2009−136645)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【分割の表示】特願2003−505004(P2003−505004)の分割
【原出願日】平成14年6月17日(2002.6.17)
【出願人】(503216720)ユーブイ−ソルーションズ・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】