説明

バンパ一体型排気フィニッシャ

【課題】高い意匠性を維持しつつ、消音器12の後方での走行風10の乱れを抑制して、空気抵抗の低減が可能なバンパ一体型排気フィニッシャ1を提供する。
【解決手段】バンパ2に取り付けられ、内部に消音器12のテールパイプ9が配置される貫通孔4を有するバンパ一体型排気フィニッシャ1であって、消音器12の後方を流れる走行風10を整流する整流部6を、貫通孔4の下側に設けている。整流部6は、消音器12の後方を流れる走行風10を整流することで、その走行風10の乱れを抑制することができる。そして、整流部6は、貫通孔4の下側に設けられるので、バンパ2より高い視点から眺められる通常の場合において、整流部6は、貫通孔4に大部分を隠され、バンパ一体型排気フィニッシャ1の高い意匠性を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に消音器のテールパイプが配置されるバンパ一体型排気フィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
消音器のテールパイプの先端に排気フィニッシャ(マフラカッタ)を設けて、意匠性を向上させることが、従来から行われている。そして、排気フィニッシャをバンパに一体感を持たせて取り付けて、更に、意匠性を向上させたバンパ一体型排気フィニッシャが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−143199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車両の燃費の一層の向上が図られる状況下で、車両各部における空気抵抗の低減が求められている。そして、消音器の側部を通過した走行風が、消音器の後方で乱れることにより、空気抵抗が増加していることがわかった。
【0005】
そこで、本発明は、高い意匠性を維持しつつ、消音器の後方での走行風の乱れを抑制して、空気抵抗の低減が可能なバンパ一体型排気フィニッシャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バンパに取り付けられ、内部に消音器のテールパイプが配置される貫通孔を有するバンパ一体型排気フィニッシャであって、
前記消音器の後方を流れる走行風を整流する整流部を、前記貫通孔の下側に設けたことを特徴としている。
【0007】
これによれば、整流部が消音器の後方を流れる走行風を整流するので、その走行風の乱れを抑制することができる。そして、整流部は、内部に消音器のテールパイプが配置される貫通孔の下側に設けられるので、バンパより高い視点から人々に眺められる通常の場合において、整流部は、貫通孔に大部分を隠され、バンパ一体型排気フィニッシャの高い意匠性を維持することができる。
【0008】
また、本発明では、前記整流部は、前記貫通孔を構成する筒部の側部から前後方向に連続して下方へ突出する突出部を有することが好ましい。消音器の後方を流れる走行風は、前後方向に連続して突出する突出部に沿って流れるので、走行風の乱れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い意匠性を維持しつつ、消音器の後方での走行風の乱れを抑制して、空気抵抗の低減が可能なバンパ一体型排気フィニッシャを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るバンパ一体型排気フィニッシャを装着した車両の斜視図である。
【図2】図1のバンパ一体型排気フィニッシャの拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るバンパ一体型排気フィニッシャを装着した車両の左側後部の一部分を下方から眺めた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0012】
図1に示すように、車両3の後方に設けられているバンパ2に、バンパ一体型排気フィニッシャ1が取り付けられている。図1では、バンパ2の左右両側にそれぞれ、バンパ一体型排気フィニッシャ1が取り付けられているが、これに限らず、消音器12及びテールパイプ9に対応させて、どちらか一方のみに取り付けてもよい。バンパ一体型排気フィニッシャ1は、バンパ2に埋め込んで一体化されている。これにより、バンパ2とバンパ一体型排気フィニッシャ1とに一体感を持たせて、意匠性を向上させている。
【0013】
バンパ一体型排気フィニッシャ1は、筒部5と整流部6とを有している。図1では、2つの筒部5が並列に設けられ、筒部5それぞれを貫通する貫通孔4が形成されている。筒部5の内部、すなわち、貫通孔4の内部に、消音器12のテールパイプ9の一端を挿入し配置している。これを車両3の外から見ると、テールパイプ9の側面が、バンパ一体型排気フィニッシャ1に隠れて、車両3の後部がすっきりとし、意匠性を向上させることができる。なお、筒部5は、バンパ一体型排気フィニッシャ1毎に、2つである必要は無く、消音器12のテールパイプ9の本数に応じて、1つであってもよい。
【0014】
整流部6は、筒部5の下に、すなわち、貫通孔4の下側に設けられている。整流部6は、貫通孔4を構成する筒部5の側部から、車両3の前後方向に連続して、下方へ突出する突出部7を有している。図1では、バンパ一体型排気フィニッシャ1毎に、3枚の突出部7を有し、対向する突出部7で挟まれた空間に溝8が形成される。溝8は、下に開口した凹形状をしている。溝8の上部は、筒部5の側部で構成されている。溝8の上部の高さは、バンパ2の下端の高さより高くなっている。なお、バンパ一体型排気フィニッシャ1の左右両端に配置されている突出部7は、省くことができ、この場合、バンパ一体型排気フィニッシャ1の左右両端が接するバンパ2の側壁が、突出部7として機能することになる。また、突出部7は、図1では、バンパ一体型排気フィニッシャ1の左右両端以外に、その中央に1枚配置されているが、これに限らず、複数枚配置してもよい。
【0015】
そして、車両3の走行時には、図2に示すように、貫通孔4からは排ガス11が後方に排出され、溝8からは走行風10が層流となって後方に流れ出る。
【0016】
図3に、車両3の左側後部の一部分を下方から眺めた斜視図を示す。消音器12の周辺、特に、側方を流れる走行風10は、消音器12の後方を流れるときにも、渦等を発生させることなく、層流のまま、バンパ一体型排気フィニッシャ1の整流部6(溝8)に流れ込んでいる。走行風10は、前後方向に連続して突出する突出部7に沿ってスムースに流れる。このため、流動抵抗が小さく、迅速に走行風10を通過させることができるので、その前段である消音器12の後方において走行風10が滞留して渦等の乱れを発生させることがない。すなわち、消音器12の後方での走行風10の乱れを抑制し整流させることができ、ひいては、車両3走行時の空気抵抗を低減することができる。このため、燃費の改善にも貢献する。
【0017】
なお、突出部7と消音器12の間隔を狭めるように、突出部7、特に、バンパ一体型排気フィニッシャ1の中央に配置された突出部7を、消音器12の方向に伸ばしてもよい。これによれば、消音器12の左右両側を流れる走行風10の右側と左側とを分離して流すことができ、左右両側の走行風10が互いに混ざることを抑制するので、空気抵抗の上昇を抑えることができる。そして、消音器12の方向に伸ばされる突出部7の延長分は、突出部7の本体から分離し、消音器12や、テールパイプ9に支持させてもよい。
【0018】
また、前記溝8の上部となる前記筒部5の側部が、突出部7と同様に、消音器12の方向に伸びていてもよい。これによれば、消音器12の下側を流れる走行風10を、テールパイプ9の接続されている端面側に巻き込むことを抑制するので、空気抵抗の上昇を抑えることができる。そして、消音器12の方向に伸ばされる前記溝8の上部となる前記筒部5の側部の延長分は、その本体から分離し、消音器12や、テールパイプ9に支持させてもよい。
【0019】
なお、本発明に係る実施形態は、消音器12を備えた車両3に適用できるのは明らかであり、消音器12を備えていれば、エンジンを搭載した車両3に限らず、燃料電池車であってもよい。燃料電池車では、燃料電池の排気系に消音器が設けられ、この消音器に対して本発明に係る実施形態を適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 バンパ一体型排気フィニッシャ
2 バンパ
4 貫通孔
5 筒部
6 整流部
7 突出部
9 消音器のテールパイプ
10 走行風
12 消音器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパに取り付けられ、内部に消音器のテールパイプが配置される貫通孔を有するバンパ一体型排気フィニッシャであって、
前記消音器の後方を流れる走行風を整流する整流部を、前記貫通孔の下側に設けたことを特徴とするバンパ一体型排気フィニッシャ。
【請求項2】
前記整流部は、前記貫通孔を構成する筒部の側部から前後方向に連続して下方へ突出する突出部を有することを特徴とする請求項1のバンパ一体型排気フィニッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−274810(P2010−274810A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130018(P2009−130018)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】