説明

バーコード読取装置およびバーコード読取方法

【課題】上位装置の更改を不要とする。
【解決手段】識別情報抽出部1bは、商品を識別する識別情報と商品の所定の拡張情報とを含む拡張バーコード情報を取得し、この取得した拡張バーコード情報から識別情報を抽出する。送信情報生成部1cは、識別情報抽出部1bが抽出した識別情報に、上位装置2が識別情報を認識可能な所定の送信フォーマットを示す情報を付加した送信情報を、この送信フォーマットを用いて生成し、生成した送信情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード読取装置およびバーコード読取方法に関し、特に上位装置と通信するバーコード読取装置およびバーコード読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売業等では商品に付加されたバーコードに基づいて、商品の管理情報(価格等)を管理するPOS(Point Of Sales)システムが用いられている。POSシステムでは、例えば、バーコード読取装置とキャッシュレジスター端末(POSレジ端末)とが通信可能に接続される。そして、POSレジ端末と管理装置(例えば、店舗サーバ)とがネットワークで接続される。バーコード読取装置は、バーコードを読み取り、商品の識別情報を取得する。管理装置は、商品の識別情報に対応付けて管理情報を記憶・管理する。
【0003】
例えば、バーコード読取装置は、顧客が商品の代金を支払う際に、各商品に付与されたバーコードを読み取って商品の識別情報を取得する。そして、取得した識別情報をPOSレジ端末を介して管理装置に送信する。管理装置は、商品の識別情報に対応する価格をPOSレジ端末に応答する。更に、商品の価格はPOSレジ端末に接続された表示装置に出力されて、顧客に代金が通知される。
【0004】
ここで、POSシステムで管理可能な商品の情報には、価格以外の情報も考えられる。その1つとして、例えば、商品の消費期限がある。消費期限を管理する方法としては、管理装置で食品等の加工日から販売可能な期間を示す情報を記憶し、商品に加工日を示すバーコードを付与しておき、バーコードから読み取った加工日と現時点の期日・時間から食品等の消費期限を判定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、管理装置に対する複数のPOSレジ端末からの要求の輻輳を抑止するため、商品に消費期限となる期日を示すバーコードを付与しておき、消費期限の超過をバーコード読取装置側で判定する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平08−101974号公報
【特許文献2】特開2004−152147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、バーコードの標準化が検討されている。標準化に用いるバーコードとしては、GS1(Global Standard One) Databar Expanded(以下、単にGS1データバーという)と呼ばれる拡張バーコードの導入が図られている。GS1データバーでは、バーコードに付与する情報を任意に拡張することが可能となる。
【0007】
例えば、小売業等で通常用いられる商品の識別情報に加えて、製品のロット番号や製造年月日等の情報を拡張情報としてバーコードに追加することができる。拡張情報には、上述の加工日等の情報をニーズに応じて適宜付与するのではなく、小売等の業務で所望されると考えられる情報が予め用意される。
【0008】
GS1データバーは、今後、徐々に導入が進められる予定となっている。このため、POSシステムでは、既存のバーコード形式と共にGS1データバーの利用も可能とすることが望まれる。
【0009】
しかし、POSシステムをGS1データバーで管理可能な多数の拡張情報に対応させるためには、システム全体の更改が必要となる。特に、上位装置側(POSレジ端末や管理装置側)の更改には長い開発期間を要し、また、開発費用もかさんでしまうという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、上位装置の更改が不要なバーコード読取装置およびバーコード読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、上位装置と通信するバーコード読取装置が提供される。このバーコード読取装置は、識別情報抽出部および送信情報生成部を有する。識別情報抽出部は、商品を識別する識別情報と商品の所定の拡張情報とを含む拡張バーコード情報を取得し、この取得した拡張バーコード情報から識別情報を抽出する。送信情報生成部は、識別情報抽出部が抽出した識別情報に、上位装置が識別情報を認識可能な所定の送信フォーマットを示す情報を付加した送信情報を、この送信フォーマットを用いて生成し、生成した送信情報を出力する。
【0012】
このようなバーコード読取装置によれば、識別情報抽出部により、商品を識別する識別情報と商品の所定の拡張情報とを含む拡張バーコード情報が取得され、この取得された拡張バーコード情報から識別情報が抽出される。そして、送信情報生成部により、識別情報抽出部が抽出した識別情報に、上位装置が識別情報を認識可能な所定の送信フォーマットを示す情報を付加した送信情報が、この送信フォーマットを用いて生成され、生成された送信情報が出力される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、上記バーコード読取装置と同様の処理を行うバーコード読取方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記バーコード読取装置およびバーコード読取方法によれば、上位装置の更改を不要とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施の形態の概要を示す図である。バーコード読取装置1は、拡張バーコード5を読み取る。拡張バーコード5は、商品等に付与されるバーコードであり、商品等の識別情報と識別情報以外の拡張情報を含む。また、バーコード読取装置1は、上位装置2と通信可能に接続される。バーコード読取装置1は、読取部1a、識別情報抽出部1b、送信情報生成部1cおよび送信部1dを有する。
【0016】
読取部1aは、光学的手法により拡張バーコード5のシンボル(白の領域および黒の領域)の並びやシンボル幅を検出し、この検出結果に基づいて拡張バーコード5に含まれる識別情報および拡張情報を含む拡張バーコード情報を取得する。読取部1aは、取得した拡張バーコード情報を識別情報抽出部1bに出力する。
【0017】
識別情報抽出部1bは、読取部1aから取得する拡張バーコード情報から、識別情報を抽出する。識別情報抽出部1bは、抽出した識別情報を送信情報生成部1cに出力する。
送信情報生成部1cは、識別情報抽出部1bから取得する識別情報に所定の送信フォーマットを示す制御情報を付加した送信情報を生成し、この送信情報を送信部1dに出力する。ここで、制御情報は、上位装置2に対して送信情報に含まれる情報が識別情報であることを通知するために用いている既存の制御情報とする。すなわち、拡張バーコード5から読み取った識別情報を送信するための送信情報の構成(フォーマット)として、上位装置2が既に認識可能なフォーマットを用いる。
【0018】
送信部1dは、送信情報生成部1cから取得する送信情報を上位装置2に送信する。
このようなバーコード読取装置1によれば、拡張バーコード5に含まれる識別情報と拡張情報とを含む拡張バーコード情報が取得される。そして、拡張バーコード情報に含まれる識別情報が抽出され、抽出された識別情報を用いて既存の送信フォーマットで送信情報が生成されて、この送信情報が上位装置2に送信される。
【0019】
このようにすると、上位装置2側では、商品等に付されたバーコードが拡張バーコード5であるか、従来のバーコードであるかを意識せずに識別情報を受け付けて必要に応じた処理を実行することができる。
【0020】
このため、上位装置2を拡張バーコード5の導入に合わせて、拡張バーコード5から読み取る多種の拡張情報に対応可能なように更改する必要がなくなる。これにより、拡張バーコード5を用いた運用を迅速に、かつ、低コストで開始することができる。
【0021】
ところで、図1に示したバーコード読取装置1は、例えば、店舗で顧客が購入する商品の代金を登録するレジ業務に用いる場合に有用である。そこで、バーコード読取装置1をレジ業務に関連付け、拡張バーコードによって商品の販売期限を管理する場合を例に挙げて、実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図2は、バーコード読取装置のハードウェア構成を示す図である。バーコード読取装置100は、POSシステムで用いられ、バーコード10に含まれるバーコード情報を読み取る。バーコード10は、商品に付与され、各商品の商品識別コードを含んでいる。商品識別コードは、GTIN(Global Trade Item Number)とも呼ばれる。バーコード10のコード体系としては、従来用いられているGTIN−13(JAN(Japanese Article Number)−13またはEAN(European Article Number)−13)やGTIN−8(JAN−8またはEAN−8)等がある。なお、GTIN−13およびGTIN−8は、商品識別コードのみをそれぞれ13桁、8桁の数値情報により示すものである。
【0023】
また、バーコード10で利用可能なコード体系のバーコードとして、例えば、GS1データバーがある。GS1データバーは、商品識別コードの他にも拡張情報を付与することが可能な拡張バーコードである。なお、以下の例では、拡張バーコードの拡張情報を用いて商品の販売期限(例えば、食品の消費期限)を管理するものとする。
【0024】
バーコード読取装置100は、これら複数のコード体系を判別してバーコードに含まれる情報を読み取ることができる。
また、バーコード読取装置100は、上位装置200と通信可能に接続される。上位装置200は、バーコード読取装置100から取得する商品識別コードに基づいて、販売情報を採取するPOSレジ端末や商品の管理情報を提供する店舗サーバである。バーコード読取装置100は、店舗で顧客が商品の代金を支払う際に商品に付与されたバーコードの読み取りに利用される。
【0025】
バーコード読取装置100は、主制御部101、メモリ102、レーザー制御部103、レーザーダイオード104、モータ制御部105、モータ106、ミラー107、受光部108、A/D(Analog to Digital)変換部109、復調部110、送信部111、表示部112および操作部113を有する。
【0026】
主制御部101は、装置全体を制御する。また、主制御部101は、バーコード読取装置100の各種機能を実現するファームウェア(Firmware)を実行する。
メモリ102は、主制御部101が実行するファームウェアのプログラムを記憶する。また、メモリ102は、主制御部101の処理に必要な各種データを記憶する。
【0027】
レーザー制御部103は、レーザーダイオード104の発光・消光を制御する。
レーザーダイオード104は、レーザー制御部103により制御され、バーコード10を走査するためのレーザービーム光を発する。
【0028】
モータ制御部105は、モータ106の駆動を制御する。
モータ106は、モータ制御部105により制御され、ミラー107を回転させる。
ミラー107は、レーザーダイオード104が発したレーザービーム光を反射させる。ミラー107は、モータ106により回転されて、レーザーダイオード104が発したレーザービーム光の反射方向を変化させることにより、複数の走査パターンを形成する。
【0029】
受光部108は、バーコード10に照射されたレーザービーム光の反射光を受光し、受光した反射光をその強弱に応じた振幅値を有する電気信号に光電変換して、A/D変換部109に出力する。
【0030】
A/D変換部109は、受光部108から取得する電気信号をデジタルサンプリングして、デジタル信号に変換し、復調部110に出力する。
復調部110は、A/D変換部109から取得するデジタル信号に基づいて、バーコード10のシンボルパターンを識別し、そのコード体系を特定する。そして、復調部110は、特定したコード体系に基づいて取得したデジタル信号に含まれるバーコード情報を抽出する。
【0031】
復調部110は、抽出したバーコード情報を、そのコード体系の情報と共に主制御部101に出力する。主制御部101は、復調部110から取得したバーコード情報を所定の送信フォーマットに加工した送信情報を、必要に応じて送信部111に出力する(図3で詳細に説明する)。
【0032】
送信部111は、主制御部101から取得する送信情報を上位装置200に送信する。
表示部112は、主制御部101により制御される。表示部112は、例えば、通知情報やエラー等の出力に用いられる。
【0033】
操作部113は、POSレジ端末を操作するオペレータが、バーコード10の読み取りの開始・停止等を主制御部101に通知するためのインターフェースである。主制御部101は、操作部113からの通知に基づいて、レーザー制御部103やモータ制御部105の動作を制御する。
【0034】
図3は、主制御部の機能構成を示すブロック図である。図3では、バーコード読取装置100に含まれる主制御部101、メモリ102、復調部110、送信部111および表示部112以外の構成は、省略してある。
【0035】
主制御部101は、コード判定部121、期限判定部122、識別情報抽出部123および送信情報生成部124を有する。これらの機能は、主制御部101により所定のファームウェアのプログラムが実行されることで実現される。なお、これらの機能の少なくとも一部は、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0036】
コード判定部121は、復調部110から取得するコード体系の情報に基づいて、取得したバーコード情報が拡張バーコードを読み取って取得された拡張バーコード情報であるか否かを判定する。拡張バーコード情報である場合、拡張バーコード情報を期限判定部122に出力する。拡張バーコード情報でない場合、バーコード情報を送信情報生成部124に出力する。
【0037】
期限判定部122は、コード判定部121から取得する拡張バーコード情報から販売期限を示すコードを取得し、商品の販売期限が超過しているか否かを判定する。超過していない場合、拡張バーコード情報を識別情報抽出部123に出力する。超過している場合、表示部112に販売期限を超過している旨の通知を出力する。なお、期限判定部122は、拡張バーコード情報に販売期限が含まれない場合には、判定処理を行わずに拡張バーコード情報を識別情報抽出部123に出力する。
【0038】
識別情報抽出部123は、期限判定部122から取得する拡張バーコード情報から商品識別コードを抽出する。そして、抽出した商品識別コードを送信情報生成部124に出力する。
【0039】
送信情報生成部124は、コード判定部121から取得するバーコード情報に、商品識別コードの送信のために上位装置200との間で従来用いていた送信フォーマットで送信情報を生成して送信部111に出力する。ここで、送信フォーマットに関しては、図7で詳細に説明する。
【0040】
メモリ102は、データ識別情報記憶部131および抽出コード形式記憶部132を有する。
データ識別情報記憶部131は、拡張バーコード情報に含まれる拡張情報を識別するための情報を記憶する。データ識別情報記憶部131は、期限判定部122や識別情報抽出部123により、各部の処理を実行する際に参照される。
【0041】
抽出コード形式記憶部132は、拡張バーコード情報に含まれる商品識別コードを、いずれのコード体系に基づいて抽出するかの設定を記憶する。設定されるコード体系としては、例えば、従来用いられているGTIN−13やGTIN−8等が設定される。抽出コード形式記憶部132は、識別情報抽出部123により、拡張バーコード情報から識別情報が抽出される際に参照される。識別情報抽出部123は、抽出コード形式記憶部132に設定されたコード体系に基づいて、拡張バーコード情報に含まれる商品識別コードを抽出する。
【0042】
ここで、拡張バーコードの構成に関して説明する。
図4は、拡張バーコードの構成例を示す図である。拡張バーコード11は、商品に複数の拡張情報を付加することが可能な拡張性の高いバーコードである。拡張バーコード11は、例えば、GS1データバーである。拡張バーコード11は、コード11a,11bを有する。
【0043】
コード11aは、商品識別コードを含むコードである。コード11aの先頭に付された“(01)”は、アプリケーション識別子(AI:Application Identification)である。バーコード読取装置100は、AIにより後続のコードが何の情報を示しているのかを識別することができる。AIに続く“04901234567890”の14桁のコードは、商品識別コードを示している。コード11aでは、GTIN−13やGTIN−8等、従来用いられていたコード体系によって商品識別コードを表すことができる。GTIN−13で表す場合、AIに続く14桁のうち、先頭の1つのコードに“0”が設けられる。また、GTIN−8で表す場合、AIに続く14桁のうち、先頭の6つのコードに“0”が設定される。
【0044】
コード11bは、販売期限コードを含むコードである。コード11bの先頭に付された“(15)”は、AIである。AIに続く“080731”の6桁のコードは、販売期限コードを示している。
【0045】
なお、拡張バーコード11には、コード11bの他にも複数の拡張情報を付与することが可能である。バーコード読取装置100は、このような拡張情報を識別して抽出する。以下では、このためにバーコード読取装置100が保持するデータを説明する。
【0046】
図5は、データ識別テーブルのデータ構造例を示す図である。データ識別テーブル131aは、データ識別情報記憶部131に記憶される。データ識別テーブル131aには、データ名を示す項目、AIを示す項目およびフォーマットを示す項目が設けられている。横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つのコード情報に関する情報を構成する。
【0047】
データ名を示す項目には、データの名称を示す情報が設定される。AIを示す項目には、データ名に対応するAIの値を示す情報が設定される。フォーマットを示す項目には、拡張バーコード11における各データのフォーマット(コードの桁数等)を示す情報が設定される。
【0048】
データ識別テーブル131aには、例えば、データ名が“商品識別コード”、AIが“01”、フォーマットが“n2+n14”という情報が設定される。これは、“商品識別コード”が拡張バーコード11では、AI=“01”に対応付けられており、そのフォーマットが“n2+n14”であることを示している。
【0049】
ここで、“n”は、該当のデータが固定長であることを示している。また、“+”記号の前方の“n2”は、AIの桁数を示している。また、“+”記号の後方の“n14”は、商品識別コード本体の桁数を示している。すなわち、商品識別コードを示すAIは、固定長で2桁の数値“01”であり、商品識別コードは、AI“01”に続く固定長で14桁の数値となる。ここで、拡張バーコード11では、コード11aにより多種のコード体系による商品識別コードを表せるよう商品識別コードを14桁に統一している。
【0050】
また、データ識別テーブル131aには、例えば、データ名が“ロット番号”、AIが“10”、フォーマットが“n2+an(20)”という情報が設定される。“an”は、英数記号が含まれることを示している。また、“(20)”は、最大20桁の可変長コードであることを示している。
【0051】
期限判定部122や識別情報抽出部123は、データ識別テーブル131aを参照して、拡張バーコード11に含まれる情報を識別することが可能である。
図6は、抽出コード設定テーブルのデータ構造例を示す図である。抽出コード設定テーブル132aは、抽出コード形式記憶部132に記憶される。抽出コード設定テーブル132aには、拡張バーコード11から抽出するコードのコード体系が設定される。
【0052】
抽出コード体系には、例えば、GTIN−13という情報が設定される。これは、拡張バーコード11に含まれるGTIN−13の商品識別コードを抽出することを示している。
【0053】
なお、拡張バーコードでは、上述の通り商品識別コードに14桁の数値情報が統一的に割り当てられる。このため、従来用いられていた13桁(GTIN−13)や8桁(GTIN−8)の商品識別コードの先頭に“0”を付加することになっている。例えば、13桁であれば1個、8桁であれば6個、それぞれ“0”を付加する。
【0054】
すなわち、識別情報抽出部123は、拡張バーコード情報に含まれるAI=“01”であるコード11aを取得し、AI以降の14桁のうちの先頭の“0”を除く13桁の数値を商品識別コードとして抽出することができる。
【0055】
図7は、送信データの構成例を示す図である。送信フォーマット140は、送信情報生成部124により生成される送信データのフォーマットである。送信フォーマット140は、制御ヘッダ部141、ペイロード部142およびリターンコード部143を有する。
【0056】
制御ヘッダ部141には、ペイロード部142に含まれる情報およびそのフォーマットを示す制御コードが設定される。上位装置200は、制御ヘッダ部141の制御コードを読み取ることによって、送信データのフォーマットを識別し、送信データに含まれる情報を取得することができる。制御コードは、GTIN−13やGTIN−8等のコード毎に設けられている。制御コードが示す内容は、バーコード読取装置100と上位装置200との間で予め合意がなされる。
【0057】
ペイロード部142には、商品識別コード等の上位装置200に送信するデータ本体が設定される。
リターンコード部143は、送信データの終わりを示す所定のコード(例えば、CR(Carriage Return)等)が設定される。
【0058】
次に、以上のような構成を備えるバーコード読取装置100において実行される処理の詳細を説明する。
図8は、商品識別コードの入力処理の手順を示すフローチャートである。以下、図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0059】
[ステップS1]復調部110は、受光部108およびA/D変換部109を介して、新規に読み取られたバーコードに対応するデジタル信号を取得する。
[ステップS2]復調部110は、新規に読み取られたバーコードのシンボルパターンを識別し、そのコード体系を特定する。復調部110は、特定したコード体系に基づいて取得したデジタル信号に含まれるバーコード情報を抽出する。復調部110は、抽出したバーコード情報および特定したコード体系の情報をコード判定部121に出力する。
【0060】
[ステップS3]コード判定部121は、復調部110から取得したコード体系の情報が拡張バーコードを示しているか否かを判定する。拡張バーコードである場合、取得したバーコード情報(すなわち、拡張バーコード情報)を期限判定部122に出力して処理がステップS4に移される。拡張バーコードでない場合、取得したバーコード情報を送信情報生成部124に出力して処理がステップS10に移される。
【0061】
[ステップS4]期限判定部122は、コード判定部121から取得する拡張バーコード情報に含まれるAIを識別する。期限判定部122は、データ識別情報記憶部131に記憶されたデータ識別テーブル131aを参照してAIを識別することができる。
【0062】
[ステップS5]期限判定部122は、拡張バーコード情報に含まれるAIに基づいて、拡張バーコード情報に販売期限コードが含まれるか否かを判定する。販売期限コード(コードのAI=“15”)が含まれる場合、処理がステップS6に移される。販売期限コードが含まれない場合、拡張バーコード情報を識別情報抽出部123に出力して処理がステップS7に移される。
【0063】
[ステップS6]期限判定部122は、販売期限コードが示す販売期限と現時点の年月日および時刻等の情報から、該当の商品が販売期限内であるか否かを判定する。販売期限内である場合、拡張バーコード情報を識別情報抽出部123に出力して処理がステップS7に移される。販売期限内でない、すなわち、販売期限を超過している場合、処理がステップS11に移される。
【0064】
[ステップS7]識別情報抽出部123は、拡張バーコード情報に含まれるAIにより商品識別コードを識別する。識別情報抽出部123は、データ識別情報記憶部131に記憶されたデータ識別テーブル131aを参照して商品識別コードを示すAI=“01”を識別することができる。また、商品識別コードの抽出に際して、抽出コード形式記憶部132に記憶された抽出コードテーブル132aを参照して、抽出するコードの形式を“GTIN−13”と特定する。識別情報抽出部123は、抽出したGTIN−13の商品識別コードを送信情報生成部124に出力する。
【0065】
[ステップS8]送信情報生成部124は、識別情報抽出部123から取得する商品識別コードに“GTIN−13”の商品識別コードを識別するために上位装置200が用いている制御コードを付加し、既存の送信フォーマット140で送信データを生成する。送信情報生成部124は、生成した送信データを送信部111に出力する。
【0066】
[ステップS9]送信部111は、送信情報生成部124から取得する送信データを上位装置200に送信する。
[ステップS10]送信情報生成部124は、コード判定部121から取得するバーコード情報に所定の制御コードを付加して送信データを生成する(従来の処理)。送信情報生成部124は、生成した送信データを送信部111に出力して、処理がステップS9に移される。
【0067】
[ステップS11]期限判定部122は、商品の販売期限が超過している旨を表示部112に出力して処理が完了する。
このようにして、バーコード読取装置100は、拡張バーコードに含まれる商品識別コードのみを抽出して、上位装置200に送信する。
【0068】
このとき、バーコード読取装置100は、商品識別コードの読み取り時に拡張バーコードに含まれる販売期限を用いて商品の販売期限の超過の有無を判定する。そして、販売期限を超過している場合には、その旨を報知して該当の商品の販売を抑止する。
【0069】
このように、拡張バーコードに含まれる拡張情報を用いてバーコード読取装置100側で各種判定を可能とすることで、商品管理の利便性を向上することができる。なお、商品に付与する拡張情報は、販売期限に限らない。例えば、バーコード読取装置100を拡張バーコードに含まれる有効期間コードに基づく薬品等の有効期間の判定に用いることもできる。
【0070】
図9は、商品識別コードの送信方法を示す模式図である。バーコード読取装置100は、既存バーコード12,13を読み取ると、読み取った情報に応じて送信データ151,152,153を生成し、上位装置200に送信する。送信データ151,152,153は、上位装置200により既に認識可能な送信フォーマットで構成されている。
【0071】
送信データ151は、GTIN−13により示される商品識別コードを送信する際に生成される。送信データ151の制御ヘッダ部には、例えば、制御コードとして“F”が付与される。上位装置200は、送信データ151の制御コードを読み取ることで、送信データ151にGTIN−13による商品識別コードが含まれることを認識できる。
【0072】
送信データ152は、GTIN−8により示される商品識別コードを送信する際に生成される。送信データ152の制御ヘッダ部には、例えば、制御コードとして“FF”が付与される。上位装置200は、送信データ152の制御コードを読み取ることで、送信データ152にGTIN−8による商品識別コードが含まれることを認識できる。
【0073】
送信データ153は、所定の情報(値引き情報等)を商品識別コードに付加して送信する際に生成される。送信データ153の制御ヘッダ部には、例えば、制御コードとして“Q”が付与される。上位装置200は、送信データ152の制御コードを読み取ることで、送信データ153に商品識別コードの他に所定の情報が含まれることを認識することができる。所定の情報は、例えば、送信データ153のペイロード部に商品識別コードに続けて設定される。
【0074】
また、バーコード読取装置100は、拡張バーコード11を読み取ると、送信データ154を生成し、上位装置200に送信する。
送信データ154は、拡張バーコード11から読み取ったGTIN−13の商品識別コードを送信する際に生成される。このとき、送信データ154は、その制御ヘッダ部に送信データ151と同一の制御コード“F”が付与され、送信データ151と同一の送信フォーマットで生成される。また、バーコード読取装置100は、例えば、GTIN−8の商品識別コードを送信する際には、送信データ152と同一の形式を用いて商品識別コードを上位装置200に送信する。
【0075】
このように、バーコード読取装置100は、拡張バーコード11から、上位装置200の処理に最低限必要となる商品識別コードを抽出して既存の送信フォーマットで上位装置200に送信する。このとき、バーコード読取装置100は、既存の送信フォーマットを用いて上位装置200に商品識別コードを送信するので、上位装置200の拡張バーコードへの対応は不要となる。
【0076】
このため、上位装置200を拡張バーコード11の導入に合わせて更改する必要がない。すなわち、拡張バーコード11を用いた運用を迅速に、かつ、低コストで開始することができる。
【0077】
また、バーコード読取装置100は、上位装置200の処理には必ずしも必要としない消費期限等の拡張情報を自装置の判断により処理する。このようにすることで、上位装置200の更改を行うことなく拡張バーコードの機能を享受することができる。
【0078】
なお、バーコード読取装置100で読み取る拡張バーコードとして主にGS1データバーを想定して説明した。しかし、バーコード読取装置100は、例えば、code−128のようにAIを用いて管理対象品に複数の拡張情報を付加可能な他の拡張バーコードを用いるシステムにも適用することができる。
【0079】
以上、本発明のバーコード読取装置およびバーコード読取方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態の概要を示す図である。
【図2】バーコード読取装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】主制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】拡張バーコードの構成例を示す図である。
【図5】データ識別テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】抽出コード設定テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】送信データの構成例を示す図である。
【図8】商品識別コードの入力処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】商品識別コードの送信方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0081】
1 バーコード読取装置
1a 読取部
1b 識別情報抽出部
1c 送信情報生成部
1d 送信部
2 上位装置
5 拡張バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と通信するバーコード読取装置において、
商品を識別する識別情報と前記商品の所定の拡張情報とを含む拡張バーコード情報を取得し、前記取得した拡張バーコード情報から前記識別情報を抽出する識別情報抽出部と、
前記識別情報抽出部が抽出した前記識別情報に前記上位装置が前記識別情報を認識可能な所定の送信フォーマットを示す情報を付加した送信情報を、当該送信フォーマットを用いて生成し、生成した前記送信情報を出力する送信情報生成部と、
を有することを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項2】
前記拡張情報は、前記商品の販売期限を含んでおり、
前記商品に付与された拡張バーコードを読み取り、前記拡張バーコードに含まれる前記拡張バーコード情報を出力する読取部と、
前記読取部が出力した前記拡張バーコード情報を取得して、現時点が前記販売期限を超過しているか否かを判定し、前記販売期限を超過していない場合、前記拡張バーコード情報を前記識別情報抽出部に出力する期限判定部と、
を更に有することを特徴とする請求項1記載のバーコード読取装置。
【請求項3】
前記期限判定部が前記販売期限を超過していると判定した場合、前記販売期限を超過している旨を報知する報知部を更に有することを特徴とする請求項2記載のバーコード読取装置。
【請求項4】
前記識別情報抽出部は、前記拡張バーコード情報に含まれる所定のアプリケーション識別子に基づいて、前記識別情報を抽出することを特徴とする請求項1乃至3記載のバーコード読取装置。
【請求項5】
上位装置と通信するバーコード読取装置のバーコード読取方法において、
識別情報抽出部が、商品を識別する識別情報と前記商品の所定の拡張情報とを含む拡張バーコード情報を取得し、前記取得した拡張バーコード情報から前記識別情報を抽出し、
送信情報生成部が、前記識別情報抽出部が抽出した前記識別情報に、前記上位装置が前記識別情報を認識可能な所定の送信フォーマットを示す情報を付加した送信情報を、当該送信フォーマットを用いて生成し、生成した前記送信情報を出力する、
ことを特徴とするバーコード読取方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−55461(P2010−55461A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221016(P2008−221016)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】