説明

バースト伝送システムにおいてデータ・パケットに対して不等誤り防止を行うための方法

【課題】本発明は、バースト伝送システムにおいてデータ・パケットに対して不等誤り防止を行うための方法に関する。
【解決手段】データ・パケットはそれぞれの優先レベルに基づいてグループ化され、誤り防止はそれぞれの優先レベルに基づいてデータ・パケットの各グループに対して行われる。それぞれの優先レベルに応じたデータ・パケットのグループごとの誤り防止コードは、バーストの第1のセット(50、50.B、50.E、55)を形成する2つ以上のバースト(10)のデータ・セクション(20)中に含まれているデータ・パケットのグループのデータを使用して生成され、生成された誤り防止コードは、バーストの第2のセット(60、60.B、60.E、65)を形成する1つまたは複数のバースト(10)の誤り防止セクション(30)中で送信される。本発明はさらに、前記方法を実行するためのバースト伝送システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースト伝送システムにおいてデータ・パケットに対して不等誤り防止を行うための方法に関する。各バーストはデータ・セクションと誤り防止セクションとを含む。各バーストのデータ・セクションは1つまたは複数のデータ・パケットを含み、各バーストの誤り防止セクションは誤り防止コードを含む。データ・パケットは、それぞれの優先レベルに基づいてグループ化される。本発明はまた、前記方法を実行するためのバースト伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなバースト伝送システムの一例はDVB(Digital Video Broadcasting)システムのハンドヘルド拡張である。DVB−T(Digital Video Broadcasting Terrestrial)仕様へのDVB−H拡張は、バーストのデータ・セクションにわたって計算される前方誤り訂正を含む。前方誤り訂正コードは、そのデータ・セクションにわたって誤り防止コードが計算された同じバーストの誤り防止セクション中に入れられる。そのような前方誤り訂正の一例はDVB−HならびにDVB−SHにおいて実装される。DVB−HならびにDVB−SH(DVB satellite to handheld)はどちらもマルチプロトコル・カプセル化を実装する。マルチプロトコル・カプセル化(MPE)は、複数のタイプのデータ、特にIP(インターネット・プロトコル)データグラムをバーストのデータ・セクション中にカプセル化する。DVB−H/SHはMPE−FEC(Multi Protocol Encapsulation − Forward Error Correction)をも実装する。MPE−FECはDVB−HおよびDVB−SHのリンク・レイヤ誤り防止である。MPE−FECはバースト内データ防止を行う。MPE−FECフレームは、255個の列と可変個の行、たとえば256個、512個、768個、または1024個の行列である。MPE−FECフレームの行列中の各要素はバイトを表す。MPE−FECフレームはバーストの一例である。MPE−FECの最初の191個の列は、送信されるIPデータグラムを含んでいる。この部分は、バーストのデータ・セクションであり、アプリケーション・データ・テーブル(ADT)とも呼ばれる。残りの64個の列は、たとえばリード・ソロモン、LDPC(低密度パリティ・チェック・コード)など、イレーサー・コードによって生成される前方誤り訂正(FEC)専用である。FECはバーストの誤り防止セクション中に含まれている。FECはRSDT(リード・ソロモン・データ・テーブル)またはインナーFECとも呼ばれる。インナーFECはメトリクスADTの行にわたって計算される。インナーFECは、たとえばADTメトリクスの各行について計算されるFECである1次元誤り訂正を含む。インナーFECによって生成される冗長度は1つのバースト中の1つのデータグラムの損失を防止する。したがって、インナーFECはバースト内防止を保証することができる。
【0003】
DVB−H、DVB−SH、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、3G/LTE(3’ Generation Long Term Evolution)など、無線ネットワークでは、エンド・ユーザは、レイテンシー・ビデオ映像品質、処理能力および電力に関して異なる要件を有する。したがって、特にブロードキャスト・サービスにとって、ネットワーク帯域幅における効率を達成するだけではなく、エンド・ユーザの異種の要件および能力をも満たす配信機構を設計することが課題である。上記の課題に対処するために、メディア配信システムの端から端までのすべての構成要素における異なるサービス品質要件を同時にサポートしなければならない。そのようなメディア配信システムの例は音声サービス、httpサービスなどである
【0004】
そのようなメディア配信システムの別の例は、スケーラブル符号化ビデオを送信するビデオ配信システムがある。スケーラブル・ビデオ符号化は、ネットワーク帯域幅における効率を達成する必要を満たし、エンド・ユーザの異種の要件および能力をも満たす有利な方法である。スケーラブル・ビデオ・コーディングでは、信号は複数のレイヤに分けられる。レイヤは異なる優先順位を有する。ベース・レイヤは最高優先順位のレイヤである。ベース・レイヤは、独立して復号でき、基本的なビデオ品質を与える。ベース・レイヤは、どんな無線状況または無線リンク品質であっても、すべてのネットワーク上のユーザによって受信されるように頑強でなければならない。エンハンスメント・レイヤは、ベース・レイヤと一緒にしか復号できず、ビデオ品質および/またはビデオの基本的な空間的および時間的解像度をさらに高める。ベース・レイヤは(1つまたは複数の)エンハンスメント・レイヤとともに、強化された品質のビデオを供給する。各端末は、少なくともベース・レイヤと、端末の能力に関連するいくつかのエンハンスメント・レイヤとを復号する。スケーラブル・ビデオ・レイヤを使用することで、マルチメディア・ブロードキャストおよびマルチキャスト・サービスを供給するネットワークは、無線状況の変動性、たとえば可変の搬送波対干渉波比または信号対雑音比に効率的に適応できる。変調およびコーディング方式を使用して無線リソースの使用率を最適化し、スペクトル効率を高めることが可能である。たとえば劣悪な無線リンク品質を受ける端末、たとえば一般的にはセルの端にいるユーザは、ベース・レイヤのみを復号する。ベース・レイヤは、どんな無線状況または無線リンク品質であっても、ネットワークまたはセルのいたるところにいるユーザによって受信されるように十分頑強でなければならない。これは、適切な変調およびコーディング方式を選択することによって達成できる。エンハンスメント・レイヤは、無線リンク品質が良好な場合、たとえば、一般的にはユーザがアンテナに近い場合のみ復号される。1つまたは複数のエンハンスメント・レイヤはベース・レイヤとは別様に防止される。エンハンスメント・レイヤは通常、たとえばあまり頑強でない変調およびコーディング方式を使用することによって、ベース・レイヤほど防止されないが、無線データ転送速度は高くなる。
【0005】
DVB−SSP(DVB satellite service to portable devices)標準化内の技術作業部会で発表されたLuc Ottavj、Antoine Clerget、Amine Ismailの文献「Multi burst sliding encoding (MBSE)」では、バースト内防止をバースト間防止まで広げ、それにより完全バースト損失を回復することができるアウターFECアルゴリズムが提示されている。これを達成するためには、FEC防止を適用する前に、いくつかのバーストから来るデータをインターリーブする。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0262810号には、バースト伝送システムにおいてデータ・パケットに対して誤り防止を行うための方法が記載されている。誤り防止は、データ・パケットの優先レベルに対して不等に行われる。行われる誤り防止は1つバースト内に挿入され、したがって1つのバースト中の1つのデータ・パケットの損失を防止する。行われる不等誤り防止では、1つのバーストのデータ・セクションにわたって誤り防止コードを計算し、計算された誤りコードを前記同じバーストの誤り防止セクション中に入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0262810号
【特許文献2】国際公開第03/045000号
【特許文献3】国際公開第02/045324号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Luc Ottavj、Antoine Clerget、Amine Ismail、「Multi burst sliding encoding (MBSE)」
【非特許文献2】Boyce、Jill M.、「Packet loss resilient transmission of MPEG video over the Internet」、Signal Processing:Image Communication 15(1999)、7〜24頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、防止を拡張してバースト伝送システムにおいてデータ・パケットに対して不等誤り防止を行うための方法を提供することである。本発明の別の目的は、防止を拡張してデータ・パケットに対して不等誤り防止を行うバースト伝送システムを提供することである。
【0010】
国際公開第03/045000号には、現在のフレームの情報ビットと先行するフレームのより高い優先順位の情報ビットとを含むデータフレーム中の音声情報を送信するための方法が記載されている。フレーム中の情報ビットはCRCコードによって防止される。
【0011】
国際公開第02/45324号には、少なくとも1つの個別のデータ・パケット中の冗長情報によってデータ・パケット中のデータを防止する方法が記載されている。優先順位の高いデータほど、より多い冗長情報によって防止される。
【0012】
文献「Packet loss resilient transmission of MPEG video over the Internet」、Boyce、Jill M.、Signal Processing:Image Communication 15(1999)、7〜24頁には、MPEGビデオ・トラフィック・フローを高優先順位の情報と低優先順位の情報とに分割し、前方誤り訂正を使用して高優先順位の情報を防止する方法が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的および他の目的は独立請求項の特徴によって解決される。本発明の好ましい実施形態の特徴は従属クレームに記載されている。
【0014】
本発明は、バースト伝送システム、たとえばDVB−HまたはDVB−SHシステムにおいてデータ・パケットに対して不等誤り防止を行うための方法を提供する。各バーストはデータ・セクションと誤り防止セクションとを含む。各バーストのデータ・セクションは1つまたは複数のデータ・パケットを含み、各バーストの誤り防止セクションは誤り防止コードを含む。送信すべきデータ・パケットは、それぞれの優先レベル、たとえばコーディングされたビデオ・データまたは他の階層コーディングされたメディア・データのたとえば異なるレイヤに基づいてグループ化される。データ・パケットの各グループに対して行われる誤り防止は、データ・パケットのそれぞれの優先レベルに基づく。誤り防止は、バーストの誤り防止セクション中に含まれている誤り防止コードによって行われる。データ・パケットの各グループの誤り防止コードは、バーストの第1のセットを形成する2つ以上のバーストのデータ・セクション中に含まれている前記グループのデータ・パケットのデータを使用して生成される。これは、誤りコードが、2つ以上のバースト中に含まれているデータ・パケットのグループに属するデータ・パケットのデータを使用して計算されることを意味する。次いで、生成された誤り防止コードは、バーストの第2のセットを形成する1つまたは複数のバーストの誤り防止セクション中で送信される。
【0015】
本発明は、2つ以上のバーストまで誤り防止を広げる。これにより連続バースト損失の回復が可能になる。本発明は、たとえば、携帯電話への直接の衛星リンクでの信号の数秒の完全な中断の原因になるいくつかの障害による長い中断またはフェード・アウトを有するメディアに適合される。
【0016】
本発明によれば、バーストの第1のセットはバーストの第2のセットとの空白でない共通部分を有する、すなわちバーストの第1のセットはバーストの第2のセットと重複する。これは、バーストの第1のセットのデータ・セクションにわたって生成される誤りコードが、バーストの第1のセットの一部でもある場合があるバーストの誤り防止セクション中に含まれていることを意味する。これは、伝送接続におけるフェード・アウト後のより高い回復の可能性を確実にする。
【0017】
不等誤り防止は、好ましくは、データ・パケットの異なるグループに対してバーストの第1のセット中に含まれている異なる数のバーストを使用することによって達成される。1つのグループ内のデータ・パケットは同じ優先レベルに属する。異なる優先レベルに対して、誤り防止コードが異なる数のバーストにわたって生成される。これにより、防止の所要のセキュリティ・レベルと、異なる優先順位に従う生成された冗長度とを平衡させることが可能になる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、より高い優先順位のデータ・パケットのグループのための誤り防止コードを送信するために使用されるバーストの第2のセットは、より低い優先順位のデータ・パケットのグループのための誤り防止コードを送信するために使用されるバーストの第2のセットよりも多くのバーストを含んでいる。これにより、優先順位の高いデータ・パケットほど、より多いバーストにわたって誤り防止コードを分散することが可能になる。これにより、所要の誤り防止とオーバーヘッドとを平衡させることが可能になる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、データ・パケットのグループは階層符号化データ、たとえば階層符号化ビデオ・データのレイヤに対応する。階層符号化ビデオ・データはスケーラブル・ビデオとしても知られる。スケーラブル・ビデオは、複数の、たとえば2つ以上の階層的な付加レイヤとみなすことができる。これは、たとえば、基本的なビデオ品質を与える基本レイヤ、およびより細かい品質改善を行う1つまたは複数のエンハンスメント・レイヤである。その場合、基本レイヤは最高優先順位のレイヤに対応する。ビデオ・データの基本レイヤのパケットは最高優先レベルのパケットである。エンハンスメント・レイヤのデータ・パケットは、より低い優先順位のパケットである。
【0020】
本発明はまた、バースト伝送システム、特にDVB−HまたはDVB−SHシステムなど無線バースト伝送システムに関する。前記バースト伝送システム内の各バーストはデータ・セクションと誤り防止セクションとを含む。各バーストのデータ・セクションは1つまたは複数のデータ・パケットを含み、各バーストの誤り防止セクションは誤り防止コードを含む。データ・パケットはそれぞれの優先レベルに基づいてグループ化され、不等誤り防止はそれぞれの優先レベルに基づいてデータ・パケットの各グループに対して行われる。誤り防止は、バーストの誤り防止セクション中に含まれている前記誤り防止コードによって行われる。バースト伝送システムは、バーストの第1のセットを実行する2つ以上のバーストのデータ・セクション中に含まれているデータ・パケットのグループのデータを使用して、データ・パケットの前記グループごとに誤り防止コードを生成するための方法を含む。バースト伝送システムはさらに、バーストの第2のセットを実行する1つまたは複数バーストの誤り防止セクション中で、生成された誤り防止コードを送信するための方法を含む。これにより、1つのバーストを越えて広がる誤り防止が可能になる。
【0021】
バースト伝送システムの好ましい実施形態によれば、不等誤り防止は、階層符号化ビデオ・データのレイヤに対応するデータ・パケットのグループに対して行われる。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例示として与えられる添付の図面によって示される本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明において明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】1つのバーストについての概略図を示す。
【図2】バーストの第1のセットおよびバーストの第2のセットについての概略図を示す。
【図3】バーストの第1のセットおよびバーストの第2のセットについての概要を示す。
【図4】誤り防止パラメータのパラメータ表示の一例を示す。
【図5】不等誤り防止の例を示す。
【図6】不等誤り防止の例を示す。
【図7】不等誤り防止の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、データ・セクション20と誤り防止セクション30とを含むバースト10の概略図を示す。誤り防止セクション30中には、バースト内損失を防止するための誤り防止コードと、2つ以上のバーストにわたって広がる損失を防止するための防止コードとが含まれる。たとえば、DVB−HまたはDVB−SHの場合、バースト内誤り防止がMPE−FECによって行われる。
【0025】
階層化ビデオ伝送の場合、スケーラブル・ビデオ方式の重要度が不等なレイヤは、有利にはネットワーク内の不等誤り防止ポリシーをもたらさなければならない。本発明による不等誤り防止は、たとえば図2に示すように、データ・パケットのグループの優先レベルに従ってバースト外(extra burst)誤り防止を適用することによって行われる。
【0026】
図2は、データ・パケットのグループのためのバースト外誤り防止の一例を示す。バースト外誤り防止は誤り防止を単一のバーストの境界を越えて広げる。図2には、それぞれデータ・セクション20と誤り防止セクション30とを含むバースト10が示されている。同じ優先レベルのデータ・パケットのグループに属するデータ・パケットに対する誤り防止は、バーストの第1のセット50中に含まれているバーストのデータ・パケットのデータを使用して誤り防止コードを計算することによって行われる。計算された誤り防止コードは、バーストの第2のセット60に属するバースト10の誤り防止セクション30中で送信される。図2に示した例では、バーストの第1のセット50はバーストの第2のセット60から独立している。バーストの第2のセット60は時間的にバーストの第1のセット50の後に続く。バースト10の誤り防止セクション30はまた、バースト内損失を防止するための誤り防止コードを含んでいる。バースト内損失を防止するためのこれらの誤り防止コードは、同じバースト10のデータ・セクション20中に含まれているデータにわたって計算される。
【0027】
図3は、バーストの第1のセット55がバーストの第2のセット65との空白でない共通部分を有するバースト外誤り防止の一例を示す。図3に示した例ではまた、同じ優先レベルに属するデータ・パケットのグループのための誤り防止を行う。図2の例に関しては、異なる優先レベルのデータ・パケットのグループのための不等誤り防止は、バーストの第1のセット50、55とバーストの第2のセット60、65との中に含まれているバーストの数を変更することによって行うことができる。
【0028】
図3に示した例では、バースト外誤り防止は、バーストの第1のセット55のバースト10中に含まれているデータにわたって誤り防止コードを計算することによって行われる。それらの計算された誤りコードは、バーストの第2のセット65のバースト10のグループの誤り防止セクション30中で送信される。バーストの第1のセット55はバーストの第2のセット65と重複する。
【0029】
完全な伝送と比較した無線によるビデオ伝送における品質劣化は、主に、ビデオ復号器において観測されるパケット損失挙動によって決定される。伝搬チャネルは、バースト的なパケット損失につながる多数の障害、たとえば深いフェージング、シャドーイングを示す。1つのパケットが失われると、連続するパケットも失われる可能性が極めて高い。セルラ・ブロードキャスト・ネットワークにおいてすべての端末にビデオ・サービスを提供するためには、エンハンスメント・レイヤはビデオ復号に対する重要度がより低いので、エンハンスメント・レイヤよりもビデオのベース・レイヤをより防止しなければならない。したがって、内部前方誤り訂正コードにおけるより多くの冗長度を計算することによってベース・レイヤをより防止することができる。内部前方誤り訂正は、パケットのバースト内損失が前記同じバーストの誤り訂正セクション中の誤りコードによって防止されることを意味する。たとえばシャドーイングまたは深いフェージングの場合、バースト全体が失われることもある。これは、ビデオ・サービスが妨害されることを意味するであろう。提示する本発明の方法は、バースト外前方誤り訂正によってこの問題を解決する。バースト外誤り訂正は、有利には、内部バースト誤り訂正に結合できる。
【0030】
バースト内誤り訂正は、バーストのN番目の行について計算される。バースト内誤り訂正は、そのレートがM/(M+K)に等しいことを特徴とする。この式では、Mは、バーストのデータ・セクション中の列の数を示し、Kは、バーストの誤り防止セクション中の列の数を示す。連続バーストの列から計算されるバースト外誤り訂正では、レートはC/(C+S)に等しくなる。パラメータCは、連続バーストの数を与え、Cはバーストの第1のセット50または55中に含まれている。パラメータSは、バースト外誤り訂正コードが分散されるバーストの数を与える。Sは、バーストの第2のセット60または65中に含まれているバーストの数である。グローバルの場合、これは、内部防止コーディング・レートにバースト外防止コーディング・レートを加えたコーディング・レートを与える。グローバル・コーディング・レートは、バースト内防止コーディング・レートとバースト外防止コーディング・レートとの合計である。
【0031】
パラメータK、CおよびSは、グローバル防止コーディング・レートを容認できるレベルに保持するために精選しなければならない。
【0032】
本発明は、ベース・レイヤに対する高い防止を確実にし、良好な帯域幅効率を保持するために、バースト外誤り防止のコーディングのレートを変更することに重点を置く。したがって、以下の例では、Kは一定に保たれる。もちろん、Kは、ベース・レイヤのための防止をさらに高めるために変更できる。Kの変更は、有利には、CおよびSの変更と組み合わせることができる。
【0033】
バースト外誤り防止のレートはαによって示すことができる。その場合、αはC/(C+S)によって与えられる。これはS=(1/α−l)Cに変換できる。
【0034】
図4に、可能なパラメータ選択肢の3つの線を示す。1つのベース・レイヤがあると仮定すると、バースト外誤り防止コーディング・レートはαによって与えられる。2つのエンハンスメント・レイヤE2およびE1があると仮定すると、バースト外誤り防止コーディング・レートはαE2およびαE1によって与えられる。対応する角度α、αE1またはαE2をもつ線は、それぞれのレイヤに対するSとCの可能なパラメータの組合せのパラメータ選択肢セットを与える。図4では、Cの値に応じたSの異なる変化曲線がプロットされている。CおよびSの値を固定するための解決法は無数ある。CおよびSの値の選択は、有利には、通信ネットワークのオペレータまたはサービス・プロバイダ、たとえばビデオ・サービス・プロバイダのオペレータによって行われる。
【0035】
一般に、パラメータαが低くなると、防止は高くなる。このような理由で、図4に示したパラメータαは、図4に示すように第1のエンハンスメント・レイヤのパラメータαE1よりも大きく、第2のエンハンスメント・レイヤE2のパラメータαE2よりも大きい。
【0036】
図5、図6および図7に、3つのバースト外防止方式の例を示す。
【0037】
所与のC(Cは固定)に対して、Sが増加すると、αは小さくなる。αが小さくなるほど、防止は高くなる。したがって、Sの許容値により、より多くの冗長度を得ることができる。したがって、図3に示した方式の第1の例では、より大きいバースト数Sにわたって基本フローBから生成される誤り防止コードを分散させ、次いでエンハンスメント・フローEから生成される防止コードを分散させる。Cは一定に保たれる。この場合、防止の不等性は冗長量にある。
【0038】
図5には、基本レイヤBのバーストの第1のセット50.Bが4つのバーストを含むことが示されている。エンハンスメント・レイヤEのバーストの第1のセット50.Eも4つのバーストを含む。したがって、パラメータCは一定に保たれる。ベース・レイヤのバーストの第2のセット60.Bは2つのバーストを含んでいる。エンハンスメント・レイヤのバーストの第2のセット60.Eは1つのバーストのみを含んでいる。したがって、エンハンスメント・レイヤのバーストの第2のセット60.Eに対してよりも、ベース・レイヤのバーストの第2のセット60.Bに対して、より多くのバーストを使用することによって、冗長度は増大する。
【0039】
図6に示した例では、パラメータSは一定に保たれる。したがって、Cが増加すると、αの値は高くなる。この場合、バースト外誤り防止は、あまり防止しない。実際、データ量に対する冗長量の比が小さくなり、誤り訂正の訂正能力の低下につながる。したがって、図6に示した例では、基本フローの場合、誤り訂正コードを生成するために、エンハンスメント・フローの場合よりも少ない連続バーストCを使用する。
【0040】
バーストの第2のセット60.Bおよび60.E中に含まれているバーストの数は、図6の基本レイヤとエンハンスメント・レイヤの両方とも、2に等しい。したがって、図6に示した例では、パラメータSは2に等しい。図6に示した例では、基本レイヤのバーストの第1のセット50.B中に含まれているバーストの数は2である。図6に示した例では、エンハンスメント・レイヤのバーストの第1のセット50.E中に含まれているバーストの数は4に等しい。
【0041】
しかしながら、図6に示した方式では、ベース・レイヤの失われたバーストの回復に対する防止は激減する。実際、バーストの第1のセット中に含まれているバーストの数であるパラメータCの値が小さくなるほど、損失が減少したときにバーストの数は回復する。このため、たとえば端末がブリッジの下にある場合のように、大きいシャドーイングおよび深いフェージングがある場合でも、端末がベース・レイヤを受信できるようにするために、パラメータCの値を増加しなければならない。大きいCの値に対してある程度の訂正能力を保持するために、Sも増加しなければならない。
【0042】
これが、図7に示すバースト外誤り訂正の第3の例になる。図7に示した例では、基本フローの場合、誤り訂正コードを生成するために、エンハンスメント・フローの場合よりも多くの連続バーストCを使用する。図7に示したように、ベース・レイヤのバーストの第1のセット50.Bは4つのバーストを含む。エンハンスメント・レイヤのバーストの第1のセット50.Eは3つのバーストを含む。Sの値も両方のフロー・タイプで異なる。Sの値は、ベース・レイヤBのための良好な訂正能力を保持するために、パラメータCの値に適合される。Sの値は、エンハンスメント・レイヤのバーストの第2のセット60.Eでは1である。基本レイヤのバーストの第2のセット60.B中に含まれているバーストの数は2である。
【0043】
上記のすべての例は、メディア・データの異なる優先順位のグループ、たとえばバースト外誤り訂正を行うビデオおよびデータの異なるレイヤに対する不等誤り防止につながる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースト送信を符号化し送信するよう構成された送信機であって、前記バースト送信は、バーストの第1のセット(50、50.B、50.E、55)と1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.B、60.E、65)とを含み、
各バースト(10)がデータ・セクション(20)と誤り防止セクション(30)とを含み、前記データ・セクション(20)は1つまたは複数のデータ・パケットを含み、前記データ・パケットがそれぞれの優先レベルに基づいてグループ化され、前記誤り防止セクション(30)が、バースト内損失を防止するための誤り防止コードを含み、前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.B、60.E、65)は、それぞれの優先レベルに基づいて前記データパケットの各グループのための前記誤り防止セクション(30)においてバースト外誤り防止コードを含み、前記バーストの第1のセット(50、50.B、50E、55)の2つまたはそれ以上のバースト(10)の前記データ・セクション(20)の前記データ・パケットのグループの前記データ・パケットのデータを用いて、前記データ・パケットの各グループのために前記外誤り防止コードを生成し、前記バーストの第1のセット(55)が、前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(65)との空白でない共通部分を有し、より高い優先順位の前記データ・パケットのグループのための前記バースト外誤り防止コードを送信するために使用される前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.B、65)が、より低い優先順位の前記データ・パケットのグループのための前記バースト外誤り防止コードを送信するために使用される前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.E、65)よりも多くのバースト(10)を含む、送信機
【請求項2】
前記送信機が、基地局、または無線ネットワークのための衛星である、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
バースト送信を受信し復号化するよう構成された受信機であって、前記バースト送信は、バーストの第1のセット(50、50.B、50.E、55)と1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.B、60.E、65)とを含み、
各バースト(10)がデータ・セクション(20)と誤り防止セクション(30)とを含み、前記データ・セクション(20)は1つまたは複数のデータ・パケットを含み、前記データ・パケットがそれぞれの優先レベルに基づいてグループ化され、前記誤り防止セクション(30)が、バースト内損失を防止するための誤り防止コードを含み、前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.B、60.E、65)は、それぞれの優先レベルに基づいて前記データパケットの各グループのための前記誤り防止セクション(30)においてバースト外誤り防止コードを含み、前記バーストの第1のセット(50、50.B、50E、55)の2つまたはそれ以上のバースト(10)の前記データ・セクション(20)の前記データ・パケットのグループの前記データ・パケットのデータを用いて、前記データ・パケットの各グループのために前記外誤り防止コードを生成し、前記バーストの第1のセット(55)が、前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(65)との空白でない共通部分を有し、より高い優先順位の前記データ・パケットのグループのための前記バースト外誤り防止コードを送信するために使用される前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.B、65)が、より低い優先順位の前記データ・パケットのグループのための前記バースト外誤り防止コードを送信するために使用される前記1つまたは複数のバーストの第2のセット(60、60.E、65)よりも多くのバースト(10)を含む、受信機。
【請求項4】
請求項3に従う受信機を含む端末。
【請求項5】
前記端末が、携帯電話またはハンドヘルドである、請求項4に記載の端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−60687(P2012−60687A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−282596(P2011−282596)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2010−512680(P2010−512680)の分割
【原出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】