説明

パイプの連結構造

【課題】柄を構成する各一対の円筒状パイプをさらにスムーズに連結することのできるパイプの連結構造を提供する。
【解決手段】オス側端部17aをメス側端部17bに挿入し、オス側突起挿入穴18aとメス側突起挿入穴18bとを合致させて係合突起19を係止すると共に、継ぎ目部20を覆ってスリーブ状部材21が取り付けられる各一対の円筒状パイプの連結構造10であって、スリーブ状部材21には、継ぎ目部20を覆う部分の内周面から内側に突出して、当接リブ22が周方向に連続又は断続して設けられており、当接リブ22には、スリーブ状部材21の先端側に向けて径方向外方に傾斜して延設する挿入ガイド傾斜部23が、周方向に連続又は断続して設けられている。他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bにスリーブ状部材21を装着した状態で、一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aが挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の円筒状パイプを軸方向に連結一体化するためのパイプの連結構造及び掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば床面の清掃を行う清掃具として、モップや清掃シート等が取り付けられる清掃ヘッドと、清掃ヘッドにジョイント部を介して回転可能に連結される柄とからなる清掃具が知られている。これらの清掃具は、清掃ヘッドに対して柄を上下方向に回転させるのみならず、ジョイント部を中心とする周方向にも柄を360度回転可能となっているものが一般的であり、これによって清掃ヘッドの清掃面を任意の方向に向けながら、床面等の清掃を効率良く行うことが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このような清掃具の柄として、一方の円筒状パイプのオス側端部を他方の円筒状パイプのメス側端部に挿入し、オス側突起挿入穴とメス側突起挿入穴とを合致させて外側から係合突起を係止すると共に、オス側端部とメス側端部との継ぎ目部を外側から覆ってスリーブ状部材を取り付けて構成されるパイプの連結構造によって、複数の円筒状パイプを軸方向に連結一体化したものが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−21421号公報
【特許文献2】特開2001−173618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のパイプの連結構造によれば、清掃具による清掃時に連結部に曲げ応力が加わっても、当該連結部に緩みや破損が生じるのを効果的に防止できると共に、簡易な構成によって各一対の円筒状パイプを軸方向に着脱可能に容易に連結一体化することができるが、これらの円筒状パイプの連結操作をさらにスムーズに行えるようにするための、新たな技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、柄を構成する各一対の円筒状パイプをさらにスムーズに連結することのできるパイプの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一方の円筒状パイプのオス側端部を他方の円筒状パイプのメス側端部に挿入し、オス側突起挿入穴とメス側突起挿入穴とを合致させて外側から係合突起が係止されると共に、前記オス側端部と前記メス側端部との継ぎ目部を外側から覆ってスリーブ状部材が取り付けられるパイプの連結構造であって、前記スリーブ状部材には、前記継ぎ目部を覆う部分の内周面から内側に突出して、前記メス側端部の端面が後方から当接する当接リブが、周方向に連続又は断続して設けられており、該当接リブには、前記スリーブ状部材の先端側に向けて径方向外方に傾斜して延設する挿入ガイド傾斜部が、周方向に連続又は断続して設けられており、前記端面を前記当接リブの当接面に当接させて前記他方の円筒状パイプの前記メス側端部にスリーブ状部材を装着した状態で、前記一方の円筒状パイプの前記オス側端部が、前記挿入ガイド傾斜部に案内されてメス側端部に挿入されるパイプの連結構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパイプの連結構造によれば、柄を構成する各一対の円筒状パイプをさらにスムーズに連結することができるとともに、円筒状パイプを床に落した場合に、スリーブ状部材の係合突起等が折れたり破損したりするのを効果的に回避することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るパイプの連結構造によって円筒状パイプが連結された柄を有する清掃具の斜視図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の好ましい一実施形態に係るパイプの連結構造の構成、及び一対の円筒状パイプ部材を連結する状況を説明する、縦方向中央部で切り欠いて示す斜視図である。
【図3】メス側端部にスリーブ状部材を装着した状態を示す、(a)は縦方向の縦断面図、(b)は(a)のA−Aに沿った、下方から視た横方向の縦断面図である。
【図4】本発明の好ましい一実施形態に係るパイプの連結構造の構成を説明する分解斜視図である。
【図5】一対の円筒状パイプの連結を解除する状況を説明する、縦方向中央部で切り欠いて示す斜視図である。
【図6】挿入ガイド傾斜部の他の形態を説明する、スリーブ状部材の内側を先端側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい一実施形態に係るパイプの連結構造10は、図1に示すように、複数の円筒状パイプ11を軸方向に連結一体化して形成される柄12として、例えば、床面等の拭き掃除を行うための清掃シート13が取り付けられた清掃ヘッド14と、清掃ヘッド14の上面にジョイント部15を介して回転可能に連結された柄12とからなる清掃具16の、当該柄12を組み立てる際に採用されたものである。すなわち、掃除具16は、運搬や販売の便宜から清掃ヘッド14や円筒状パイプ11等の部品に各々に分解されて、これらの部品を一まとめとした状態で製品化されており、使用時にはこれらを組み立てて使用する。本実施形態のパイプの連結構造10は、複数の円筒状パイプ11を軸方向に連結一体化して柄12の柄本体12aを形成する際に、各一対の円筒状パイプ11の連結操作をスムーズに行えるようにする。
【0011】
また、本実施形態のパイプの連結構造10は、図2(a)〜(c)に示すように、各一対の円筒状パイプ11(11a,11b)のうちの一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aを他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに挿入する際に、これらの中心軸が位置ずれしたままオス側端部17aがメス側端部17bに挿入される場合でも、このような中心軸の位置ずれを修正することで、オス側端部17aの端面がメス側端部17bの端面と干渉して連結し難くなるのを効果的に回避できる機能を備える。
【0012】
そして、本実施形態のパイプの連結構造10は、図2〜図4に示すように、一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aを他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに挿入し、オス側突起挿入穴18aとメス側突起挿入穴18bとを合致させて外側から係合突起19が係止されると共に、オス側端部17aとメス側端部17bとの継ぎ目部20を外側から覆ってスリーブ状部材21が取り付けられる連結部24の構造であって、スリーブ状部材21には、継ぎ目部20を覆う部分の内周面から内側に突出して、メス側端部17bの端面が後方から当接する環状の当接リブ22が、周方向に連続又は断続して設けられており(図2等では、周方向に連続して設けられていて且つ周方向の一部が切り欠かれて環状に設けらている場合を示している)、当接リブ22には、メス側端部17bとの当接面22a(図3参照)とはスリーブ状部材21の軸方向反対側の、スリーブ状部材21の先端側に向けて径方向外方に傾斜して延設する挿入ガイド傾斜部23が、周方向に連続又は断続して設けられている(図2等では、周方向に連続して設けられている場合を示している)。図3(a),(b)に示すように、メス側端部17bの端面を当接リブ22の当接面22aに当接させて他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bにスリーブ状部材21を装着した状態で、一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aが、図2(a)〜(c)に示すように、挿入ガイド傾斜部23に案内されてメス側端部17bに挿入される。
【0013】
また、本実施形態では、オス側端部17aは、一方の円筒状パイプ11aの縮径された端部となっている。
【0014】
本実施形態では、清掃具16は、図1に示すように、清掃ヘッド14と、清掃ヘッド14の上面の中央部分にジョイント部15を介して連結された柄12とからなる。
【0015】
清掃ヘッド14は、長辺が200〜300mm程度、短辺が50〜150mm程度の大きさの矩形平面形状を有しており、例えばプラスチック製の平板状部材であるヘッド本体14aの下面を覆って、弾性変形可能なベース体14bを取り付けて構成される。弾性変形可能なベース体14bの下面を清掃面として、当該清掃面を覆って清掃シート13が装着される。また、清掃ヘッド14のヘッド本体14aによる上面には、四隅の部分に、係着スリットが形成された柔軟な弾性材料からなる公知のシート保持部14cが設けられている。ヘッド本体14aの下面側に一体として取り付けられたベース体14bの下面(清掃面)を下方から覆うようにして、清掃シート13を清掃ヘッド14に巻き付けた後に、清掃シート13の端部をシート保持部14cの係着スリットに押し込んで係着することにより、清掃シート13を、清掃ヘッド14に着脱交換可能に容易に装着することができる。
【0016】
清掃ヘッド14のヘッド本体14aの上面には、これの中央部分にジョイント部15が設けられている。ジョイント部15は、柄12を上下方向のみならず周方向にも360度回転可能に連結する公知の各種の機構を備える。このジョイント部15を介して、柄12が、清掃ヘッド14に対して回転可能に連結される。
【0017】
なお、本実施形態では、清掃面を覆って清掃ヘッド14に取り付けられて塵埃や汚れ等を付着させる清掃シート13としては、例えばオレフィン系極細繊維不織布等の公知の各種の清掃シートを用いることができる。
【0018】
清掃ヘッド14と共に清掃具16を構成する柄12は、細長いロッド状の柄本体12aと、柄本体12aの上部に一体として連結固定される把持部12bとからなる。
【0019】
柄本体12aは、例えばアルミ合金やABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂からなる複数の円筒状パイプ部材11を、本実施形態のパイプの連結構造10による連結部24を介して軸方向に連結することで、把持部12bを含む柄12の全体が、清掃作業を行うのに適した例えば100〜150cm程度の長さとなるように組み立てられる。柄本体12aの下端部は、ジョイント部15を介して清掃ヘッド14に回転可能に連結される。柄本体12aの上端部には、後述する円筒状パイプ部材11同士の連結部24と略同様の構造を有する連結部25を介して、把持部12bが着脱可能に取り付けられる。
【0020】
把持部12bは、例えばABS樹脂からなる成形品であって、手で把持しやすい太さ及び外形の略円柱形状を備える。把持部24の上端部には、ゴム硬度(JIS K 6253 で規定する、デュロメータタイプA(ショアA)で測定した硬度)が30〜60の比較的柔らかい弾性材料として、好ましくは、エチレン酢酸ビニル(EVA)樹脂からなる透明又は半透明な弾性部材であるエンドキャップ26が装着されている。把持部24の上端部にエンドキャップ26が装着されていることにより、例えば柄12を壁に立てかけた際の安定性を向上させることが可能になると共に、把持部12bを把持して行う清掃具16の操作性を向上させることが可能になる。
【0021】
そして、本実施形態では、柄本体12aを構成する複数の円筒状パイプ部材11の各一対の円筒状パイプ部材11a,11bは、本実施形態のパイプの連結構造10による連結部24を介して、各々軸方向に連結一体化される。すなわち、本実施形態では、連結部24は、図2〜図4に示すように、一方の円筒状パイプ11aの縮径されたオス側端部17aを他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bのパイプ挿入開口27に挿入し、オス側突起挿入穴18aとメス側突起挿入穴18bとを合致させて外側から係合突起19を挿入、係止すると共に、オス側端部17aとメス側端部17bとの継ぎ目部20を外側から覆ってスリーブ状部材21を取り付けることによって構成される。
【0022】
本実施形態では、スリーブ状部材21は、図4に示すように、スリーブ本体21aと、切欠きリング部材28と、ボタン部材29とからなる。スリーブ状部材21は、図2及び図3にも示すように、円筒状パイプ部材11の外径と略同じ内径を有する中空円筒状の部材であって、両端の開口部の間の軸方向中間部分が開口部の近傍部分よりも肉厚に形成されていることで、軸方向中間部分が滑らかに盛り上がった外周面形状を備える。このスリーブ状部材21の盛り上がった軸方向中間部分には、周方向に延設する円環帯溝21bが、外周面を帯溝状に切り欠いて形成されている。この円環帯溝21bには、後述するように、切欠きリング部材28及びボタン部材29が装着される。
【0023】
また、スリーブ本体21aの円環帯溝21bには、スリーブ突起挿入穴21cが開口形成されている。このスリーブ突起挿入穴21cには、切欠きリング部材28に設けられた係合突起19が挿入装着される。スリーブ本体21aには、スリーブ突起挿入穴21cの中央部分を横切るようにして、スリーブ状部材21の軸方向に延設する切込み30が形成されている。切込み30が形成されていることで、スリーブ本体21aを拡径可能に弾性変形させることができる。
【0024】
さらに、本実施形態では、スリーブ本体21aの内周面には、オス側端部17aとメス側端部17bとの継ぎ目部20を覆う部分として、両端の開口部の間の軸方向中間部分における先端側に片寄った位置に、当接リブ22が内側に突出して環状に設けられている。当接リブ22は、好ましくは他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bの端面の厚さとおおよそ同じ高さで、スリーブ本体21aの内周面から内側に突出している。当接リブ22のスリーブ本体21の後端側の平坦に形成された当接面22a(図3参照)に、メス側端部17bの端面を当接させる。なお、当接リブ22は、スリーブ本体21aの内周面の全周に亘って周方向に連続して設けられている必要は必ずしもなく、周方向の一部が切り欠かれていたり、周方向に断続して設けられていても良い。本実施形態では、当接リブ22は、合成樹脂によるスリーブ本体21aの成形のし易さ等を考慮して、周方向の一部が切り欠かれた環状に設けられる(図2(a),図4参照)。
【0025】
そして、本実施形態では、当接リブ22には、スリーブ状部材21の先端側に向けて径方向外方に傾斜して延設する、挿入ガイド傾斜部23が設けられている。本実施形態では、挿入ガイド傾斜部23は、その傾斜面23aをスリーブ状部材21の軸方向に対して好ましくは10〜30度の傾斜角度θ(図3(a)参照)で径方向外方に直線状に傾斜させて、一部が切り欠かれた当接リブ22の周方向の全長に亘って設けられている。
【0026】
なお、挿入ガイド傾斜部23は、当接リブ22の全長に亘って連続して設ける必要は必ずしも無く、周方向に断続して設けることもできる。例えば図6に示すように、挿入ガイド傾斜部23は、周方向に所定の間隔をおいて設けられたテーパー面を有する複数のテーパーリブ31によって構成することもできる。挿入ガイド傾斜部23は、スリーブ状部材21の中心軸を中心とする放射方向の少なくとも3箇所をカバーできるように設けておくことが好ましい。また、挿入ガイド傾斜部23の径方向外方への傾斜面23aは、直線状に傾斜させる必要は必ずしもなく、例えば湾曲して傾斜する傾斜面とすることもできる。
【0027】
さらに、本実施形態では、スリーブ本体21aの内周面には、スリーブ突起挿入穴21cとは径方向反対側の位置から内側に突出して、位置決め案内リブ32が一体として設けられている(図2及び図3(a)参照)。位置決め案内リブ32は、スリーブ本体21aを他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに装着した際に、メス側端部17bに形成された位置決め係止穴33に挿入係止されて、メス側端部17bの内周面から内側に突出する。
【0028】
本実施形態では、他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bにスリーブ本体21aを装着した後に、スリーブ本体21aの円環帯溝21bに切欠きリング部材28及びボタン部材29が取り付けられて、スリーブ状部材21が形成される。スリーブ本体21aは、切込み30を拡げて拡径するように弾性変形させることで、メス側端部17bに形成された位置決め係止穴33に位置決め案内リブ32を挿入係止して、メス側端部17bに装着される。またこれによって、スリーブ突起挿入穴21cは、メス側端部17bのメス側突起挿入穴18bに合致するように配置される。
【0029】
切欠きリング部材28は、半円を越える円弧形状となるように湾曲形成された、スリーブ本体21aの円環帯溝21bと同様の幅を有する帯板略リング形状の部材であって、切欠き部28aと対向する中央部の内周面から内側に突出して、係合突起19が設けられている(図4参照)。また切欠きリング部材28の切欠き部28aと連続する部分の内側面には、切欠き部28aから周方向に延設して脚部係止溝28bが切り欠き形成されている。切欠きリング部材28は、切欠き部28aを押し広げて弾性変形させながら、合致したスリーブ本体21aのスリーブ突起挿入穴21cとメス側端部17bのメス側突起挿入穴18bに係合突起19を外側から挿入係合させた状態で、スリーブ本体21aの円環帯溝21bに外側から嵌め込むように装着される。これによって、係合突起19の先端部分は、当該先端部分に設けられたテーパー面19aをメス側端部17bのパイプ挿入開口27側に向けた状態で、他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bの内周面から内側に突出して配置される。
【0030】
また、切欠きリング部材28は、ボタン部材28からの押圧操作によって、径方向外方に変形して径方向内方に付勢力を生じる弾性部として機能することになり、これと一体となった係合突起19を外側から押え付けた状態として、当該係合突起19をスリーブ状部材21の内周面から内側に突出させる。
【0031】
ボタン部材29は、例えば外周面が緩やかな凸状の湾曲面となった楕円平面形状を有するブラスチック製の成形品であって、両側の側縁部から一体として延設する一対の押出し脚部29aを備えている(図4参照)。ボタン部材29は、切欠きリング部材28の切欠き部28aの両側の脚部係止溝28bに押出し脚部29aを各々係止して、切欠き部28aの領域の円環帯溝21bを覆うようにして、円環帯溝21bとの間に隙間38を保持した状態で装着される(図2,図3(a)参照)。
【0032】
これらによって、メス側端部17bの端面を当接リブ22の当接面22aに後方から当接させた状態で、他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに、スリーブ本体21aと切欠きリング部材28とボタン部材29とからなるスリーブ状部材21が装着される。
【0033】
他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに連結される、一方のパイプ部材11aのオス側端部17aは、図2及び図4に示すように、メス側端部17bのパイプ挿入開口27に挿入可能なように縮径した状態で形成される。オス側端部17aには、メス側端部17bのメス側突起挿入穴18b及びスリーブ本体21aのスリーブ突起挿入穴21cと合致可能な、オス側突起挿入穴18aが開口形成されている。また、オス側突起挿入穴18aと軸方向に隣接する部分のオス側端部17aの先端縁部には、係合突起19のテーパー面19aがオス側突起挿入穴18aに向けてオス側端部17aの外周面に乗り上げる際の開始部となるガイド凹部35が、当該先端縁部を凹状に窪ませて、オス側突起挿入穴18aに至ることなく設けられている。さらに、オス側端部17aには、オス側突起挿入穴18aとは径方向反対側に配置されて、オス側端部17aの先端縁部から軸方向に切り込まれて或いは外周面を溝状に窪ませて延設する、案内溝34が設けられている。
【0034】
そして、本実施形態では、一対の円筒状パイプ11a,11bを連結するには、図2(a)に示すように、スリーブ状部材21が装着された他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bのパイプ挿入開口27に向けて、一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aを挿入する。かかる挿入操作は、図2(b)に示すように、メス側端部17bの内側面から突出する位置決め案内リブ32に、オス側端部17aに軸方向に延設して設けられた案内溝34を係止して案内させることで、位置決めしながら安定した状態でスムーズに行うことが可能になる。なお、好ましくは、スリーブ状部材21の外周面における、位置決め案内リブ32と周方向に対応する位置に、当該位置決め案内リブ32が突出する位置を表示するマーキング部36を設けておくことにより、案内溝34をマーキング部36に位置合わせしながら、オス側端部17aをメス側端部17bにさらにスムーズに挿入してゆくことが可能になる。
【0035】
オス側端部17aの先端縁部が、メス側端部17bの内側面から突出する係合突起19のテーパー面19aに当接するまでオス側端部17aが挿入されたら(図2(b)参照)、さらにオス側端部17aを挿入する。これによって、係合突起19のテーパー面19aがオス側端部17aの先端縁部のガイド凹部35を介してオス側端部17aの外周面に乗り上げることで、切欠きリング部材28が拡径すると共に、係合突起19が押し上げられる。
【0036】
図2(c)に示すように、オス側端部17aのオス側突起挿入穴18aが、メス側端部17bのメス側突起挿入穴18b及びスリーブ本体21aのスリーブ突起挿入穴21cと合致するまでオス側端部17aが挿入されると、拡径した状態の切欠きリング部材28の内側への付勢力によって、係合突起19が押し下げられる。係合突起19が押し下げられることで、合致したオス側端部17aのオス側突起挿入穴18aと、メス側端部17bのメス側突起挿入穴18bと、スリーブ本体21aのスリーブ突起挿入穴21cとに跨った状態で、係合突起19がこれらの各突起挿入穴18a,18b,21cに同時に係合する。これによって、重ね合わされたオス側端部17aとメス側端部17bとによる、一対の円筒状パイプ11a,11bの連結部24が形成される。
【0037】
本実施形態では、図2(c)に示す係合突起19が各突起挿入穴18a,18b,21cに同時に係合した状態では、継ぎ目部20において、メス側端部17bのパイプ挿入開口27の開口周縁部に、縮径したオス側端部17aの基端部37が突き当たった状態となるので、メス側端部17bのパイプ挿入開口27の開口周縁部を基端部37によって支持して、さらに安定した状態で一対の円筒状パイプ11a,11bを連結することが可能になる。
【0038】
また、本実施形態では、連結部24によって連結された一対の円筒状パイプ11a,11bの連結状態を解除するには、図5に示すように、円環帯溝21bとの間の隙間38(図2参照)を埋めるようにして、ボタン部材29を押圧する。ボタン部材29を押圧することで、切欠きリング部材28は、脚部係止溝28b(図4参照)に係止された押出し脚部29aを介した押出し力によって、切欠き部28aを拡開しながら円環帯溝21bの外周面に沿って外側に押し出される。切欠きリング部材28が外側に押し出されることにより、係合突起19は、少なくともオス側端部17aのオス側突起挿入穴18aから外れることになる。この状態で、メス側端部17bからオス側端部17aを抜き出して、一対の円筒状パイプ11a,11bの連結状態を容易に解除することが可能になる。
【0039】
なお、本実施形態によれば、メス側端部17bへのオス側端部17aの挿入を案内する位置決め案内リブ32や案内溝34が、各突起挿入穴18a,18b,21cと周方向に離れた、これらと径方向反対側の部分に設けられているので、さらに安定した状態でオス側端部17aを挿入して行くことが可能になる。位置決め案内リブ32や案内溝34は、各突起挿入穴18a,18b,21cと周方向に離れた位置であれば、径方向反対側の部分に設けられていなくても良い。またこれによって、オス側端部17aのオス側突起挿入穴18aやメス側端部17bのメス側突起挿入穴18bには、これらの周縁部に連続する突起案内用の溝等を設ける必要がなくなるので、突起挿入穴18a,18bの開口周縁部に突起案内用の溝等による段差部分が存在しなくなって、このような段差部分を介して係合突起19が外れやすくなるのを効果的に回避することが可能になる。また、位置決め案内リブ32を誤って突起案内用の溝に案内してしまうトラブルも防止することができる。
【0040】
また、スリーブ本体21aに位置決め案内リブ32が一体として設けられているので、ボタン部材29を押圧しながら各一対の円筒状パイプ11a,11bを連結する場合であっても、位置決め案内リブ32がメス側端部17bの内周面よりも内側に突出したままとなっているので、位置決め案内リブ32をオス側端部17aの案内溝34以外の部分に誤って係合、係止することはできない。従って、メス側端部17bの位置決め案内リブ32をオス側端部17aの案内溝34に係止して案内させながら、オス側突起挿入穴18aがメス側突起挿入穴18bに合致するまでオス側端部17aをメス側端部17bに挿入でき、係合突起19を各突起挿入穴18a,18b,21cに確実に係合、係止させることができる。よって、係合突起19をオス側突起挿入穴18a等に係合、係止していないといった不完全な連結構造のままで使用者が掃除具を使用した時に、各パイプがはずれてしまうといったトラブルを防止することができる。
【0041】
そして、上述の構成を備える本実施形態のパイプの連結構造10によれば、柄12を構成する各一対の円筒状パイプ11a,11bをさらにスムーズに連結することが可能になる。
【0042】
すなわち、本実施形態によれば、スリーブ状部材21には、オス側端部17aとメス側端部17bとの継ぎ目部20を覆う部分の内周面から内側に突出して、当接リブ22が設けられており、当接リブ22には、スリーブ状部材21の先端側に向けて径方向外方に傾斜して延設する挿入ガイド傾斜部23が設けられているので、スリーブ状部材21が装着された他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aを挿入してゆく際に、これらの中心軸が位置ずれしたままオス側端部17aがメス側端部17bに挿入される場合でも、このような中心軸の位置ずれを挿入ガイド傾斜部23によって修正することで、オス側端部17aの端面がメス側端部17bの端面と干渉して連結し難くなるのを効果的に回避することが可能になり、これによって各一対の円筒状パイプ11a,11bをさらにスムーズに連結してゆくことが可能になる。
【0043】
また、本実施形態によれば、スリーブ状部材21は、これの内周面から内側に突出する当接リブ22の当接面22aに端面を当接させた状態で他方の円筒状パイプ11bのメス側端部17bに装着されているので、一方の円筒状パイプ11aのオス側端部17aが挿入されて連結される前に、例えば他方の円筒状パイプ11bを床に落した際に、円筒状パイプ11bのいずれかの端面が床と衝突することにより、スリーブ状部材21に衝撃力が負荷された場合でも、このような衝撃力を当接面22aによって支持して、メス側端部17bのメス側突起挿入穴18bに挿入装着されたスリーブ状部材21の係合突起19や、メス側端部17bの内周面よりも内側に突出する位置決め案内リブ32が折れたり破損したりするのを効果的に回避することが可能になる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、オス側端部は、円筒状パイプの縮径された端部である必要は必ずしも無く、スリーブ状部材は、スリーブ本体と切欠きリング部材とボタン部材とからなるものである必要は必ずしも無い。また、オス側端部17aの先端縁部のガイド凹部35は必ずしも必要ではない。また、本発明は、掃除具の柄に限定されることなく、複数の円筒状パイプを軸方向に連結一体化して形成される種々の長尺のロッド状部材におけるパイプの連結構造として採用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 パイプの連結構造
11 円筒状パイプ
11a 一方の円筒状パイプ
11b 他方の円筒状パイプ
12 柄
12a 柄本体
13 清掃シート
14 清掃ヘッド
15 ジョント部
16 清掃具
17a オス側端部
17b メス側端部
18a オス側突起挿入穴
18b メス側突起挿入穴
19 係合突起
20 継ぎ目部
21 スリーブ状部材
21a スリーブ本体
21b 円環帯溝
21c スリーブ突起挿入穴
22 当接リブ
22a 当接面
23 挿入ガイド傾斜部
23a 傾斜面
24 連結部
28 切欠きリング部材
29 ボタン部材
31 テーパーリブ
32 位置決め案内リブ
33 位置決め係止穴
34 案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の円筒状パイプのオス側端部を他方の円筒状パイプのメス側端部に挿入し、オス側突起挿入穴とメス側突起挿入穴とを合致させて外側から係合突起が係止されると共に、前記オス側端部と前記メス側端部との継ぎ目部を外側から覆ってスリーブ状部材が取り付けられるパイプの連結構造であって、
前記スリーブ状部材には、前記継ぎ目部を覆う部分の内周面から内側に突出して、前記メス側端部の端面が後方から当接する当接リブが、周方向に連続又は断続して設けられており、該当接リブには、前記スリーブ状部材の先端側に向けて径方向外方に傾斜して延設する挿入ガイド傾斜部が、周方向に連続又は断続して設けられており、
前記端面を前記当接リブの当接面に当接させて前記他方の円筒状パイプの前記メス側端部にスリーブ状部材を装着した状態で、前記一方の円筒状パイプの前記オス側端部が、前記挿入ガイド傾斜部に案内されてメス側端部に挿入されるパイプの連結構造。
【請求項2】
前記挿入ガイド傾斜部は、周方向に所定の間隔をおいて複数設けられた、テーパー面を有するテーパーリブによって構成される請求項1記載のパイプの連結構造。
【請求項3】
前記オス側端部は、前記一方の円筒状パイプの縮径された端部である請求項1又は2記載のパイプの連結構造。
【請求項4】
前記係合突起は、前記スリーブ状部材に設けられた、径方向外方に変形して径方向内方に付勢力を生じる弾性部によって、外側から押え付けられた状態で、前記スリーブ状部材の内周面から内側に突出する請求項1〜3の何れか1項記載のパイプの連結構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項記載のパイプの連結構造によって円筒状パイプを軸方向に連結一体化してなる柄を有する掃除具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−163136(P2012−163136A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22673(P2011−22673)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】