説明

パイプホイップレストレイント

【課題】 Uロッドに設計時の解析通りの強度を発揮させることができるようにする。
【解決手段】 破断想定配管2の外側に、湾曲部4と直線部5と接続部6とからなるUロッド3を、湾曲部4が破断想定配管2の破断時に振れる方向の外周を所定の隙間を隔てて取り囲むようにした姿勢で配置し、Uロッド3の接続部6を固定側に固定する。Uロッド3よりも破断想定配管2に想定される破断口より離反する側におけるUロッド3の湾曲部4近傍位置に、Uロッド3の湾曲部4よりも外側へ突出するずれ防止具10を配置し、その基端部を破断想定配管2に固定して、パイプホイップレストレイント1を形成する。破断想定配管2が破断した後、Uロッド3で受け止められる際に傾斜しても、Uロッド3が配管2の外面を滑って配管長手方向へずれることをずれ防止具10で阻止することで、Uロッド3の根元部分の曲がりを防止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プラントにおける配管が破断した場合に該破断した配管の振れ回りを防止するために用いるパイプホイップレストレイントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種プラントでは、圧力配管のような配管が、たとえば、溶接線の部分等で円周方向破断すると、該配管の破断口側の端部が、破断口からの圧力流体の流出に伴うジェット力によって鞭打つように振れ回る虞があり、この振れ回る破断管が周辺機器や付近に配してある別の重要配管等に衝突すると、被害が拡大する虞があることに鑑みて、破断が想定される配管には、図5(イ)(ロ)にその一例の概略を示す如きパイプホイップレストレイント1を付設することが行われてきている。
【0003】
上記パイプホイップレストレイント1は、図5(イ)(ロ)に示す如く、破断した場合に振れ回ることが想定される配管(破断想定配管)2の半径寸法よりも所要寸法大きな半径寸法で半円状に湾曲する湾曲部4と、該湾曲部4の両端にそれぞれ連なる所要の長さ寸法の直線部5とからなるUロッド3を、該Uロッド3の湾曲部4が上記破断想定配管2が破断した場合に振れる側(変位する側)の外周を所定の隙間を隔てて取り囲むようにした姿勢で、配管の長手方向に複数本(図では5本)並べて配置すると共に、上記各Uロッド3の各直線部5の先端にそれぞれ設けてある図示しないピン孔を備えた接続部6を、所要の固定部に設置した一対のクレビス7に、ピン8を介してそれぞれ連結した構成としてある。9は上記各Uロッド3の湾曲部4の内側に個別に取り付けた板状部材であり、上記破断想定配管2が破断して振れるときには、破断した配管2が、上記板状部材9を介在させた状態で上記各Uロッド3の湾曲部4の内側に衝突させることができるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
以上の構成としてあるパイプホイップレストレイント1によれば、上記破断想定配管2が破断して、該配管2の破断口側の端部が、破断口より流出する圧力流体のジェット力によって振れるときには、先ず、この振れる配管2を上記各Uロッド3の湾曲部4の内側に衝突させて受け止めた後、上記各Uロッド3が上記破断した配管2の振れに応じて弾性変形することで、上記振れ始めた配管2の運動エネルギーの一部を吸収し、更に、上記湾曲部4の内側で上記破断した配管2と接している状態の各Uロッド3の直線部5が引き伸ばされるように塑性変形することで、上記配管2の運動エネルギーの残りを吸収するようにして、上記破断した配管2の振れ回りを阻止できるようにしてある。
【0005】
なお、上記のような配管長手方向に配列された複数本のUロッド3で構成されるパイプホイップレストレイント1についての設計時の解析としては、通常、配管長手方向に複数本のUロッド3が配列されている領域の配管長手方向中央部で、且つ破断想定配管2の中心となる位置に解析対象となる点を設定し、該解析対象点と固定側との間を所要強度のばねで連結した構成の解析モデルに基いて、上記破断想定配管2が破断した場合における該配管2の変位や歪量、及び、パイプホイップレストレイント1の各Uロッド3の直線部の軸心方向への延び変形量や歪量についての解析を行うようにしてある。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−190996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、破断想定配管2が円周方向破断するときには、該配管2は破断口側の端部が最も大きく振れるようになるため、該破断した配管2が、パイプホイップレストレイント1のクレビス7に対して傾斜した配置となる。そのために、上記破断した配管2を受け止めたパイプホイップレストレイント1では、破断した配管2を受け止める際に大きな荷重が作用する各Uロッド3が、上記クレビス7に対して傾斜した配置となっている破断した配管2の外面に沿って滑ることで、図6(なお、図6では図示する便宜上、パイプホイップレストレイント1におけるUロッド3の本数を3本として示してある。)に示すように、該各Uロッド3が、上記破断して傾斜した配管2の軸心方向に垂直な方向に傾く傾向が生じてしまう。このために、該傾いたUロッド3では、根元部分が、たとえば、直線部5とその先端側の接続部6との間で配管長手方向に曲げられてしまうというのが実状である。
【0008】
しかし、従来の上記パイプホイップレストレイント1の強度設計は、一般に、各Uロッド3の根元部分の曲がりを考慮しない状態、すなわち、図6に一点鎖線で示すように、各Uロッド3が配管長手方向に傾くことなく当初配置された平面と同じ平面内で弾性変形したり塑性変形するという前提条件下での解析によって行われていることから、上述したように、破断した配管2を受け止める際にパイプホイップレストレイント1のUロッド3の根元部分に曲がりが生じることは、設計時の解析で求められた各Uロッド3に作用する荷重や、破断した配管2の挙動防止に対して危険側に作用するため、各Uロッド3の伸び変形量や破断した配管の挙動する範囲が、パイプホイップレストレイント1の設計時の解析で求められた値を逸脱する虞が懸念される。
【0009】
更に、上記のようにして破断した配管2を受け止める際にパイプホイップレストレイント1のUロッド3に配管長手方向の傾きが生じると、破断した配管2における破断口2aに最も近いUロッド3との衝突個所Xが、図6に一点鎖線で示す如き根元部分の曲がり変形が考慮されていない場合における破断口2aに最も近いUロッド3との衝突個所Yに比して、破断口2aより離隔する側へずれることで、該破断した配管2における実際の衝突個所Xに対して作用する荷重が、設計時の解析値よりも大きくなる虞も懸念される。
【0010】
特に、1本のUロッド3で破断した配管2を受け止める型式のパイプホイップレストレイント1では、設計時の解析のときのUロッド3の位置と、破断した配管2を受け止める際に上記Uロッド3に実際に生じる現象との差が、パイプホイップレストレイント1の全体の強度の差に直接影響するため、設計強度と実機の強度とのずれが拡大し易い。
【0011】
そこで、本発明は、破断想定配管が破断して、該破断した配管をUロッドで受け止める際に、該Uロッドの根元部分に配管長手方向の曲がりが生じる虞を未然に防止できて、強度設計通りの強度を発揮でき、しかも、破断した配管の長手方向の所要個所に局所的に設計時の解析値以上の荷重が作用する虞を未然に防止できるようにしたパイプホイップレストレイントを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、破断想定配管の所要個所の外側に、半円状の湾曲部と該湾曲部の両端にそれぞれ連なる直線部とを備えたUロッドを、該Uロッドの湾曲部が上記破断想定配管の外側を所要の隙間を隔てて取り囲むようにした姿勢で単数又は配管長手方向に複数本配置して、該Uロッドの直線部の先端部を所要の固定部に取り付けて、上記破断想定配管が破断した場合に、該破断した配管をUロッドの湾曲部の内側に受け止めることができるようにしてあるパイプホイップレストレイントにおいて、上記Uロッドの湾曲部の上記破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を備えてなる構成とする。
【0013】
又、上記構成において、Uロッドの湾曲部の破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を、Uロッドよりも破断想定配管に想定される破断口より離反する側におけるUロッドの湾曲部の近傍位置にて、破断想定配管の外面位置から上記Uロッドの湾曲部よりも外側へ突出する位置まで延びる一体物として、該ずれ防止具の基端部を破断想定配管に固定してなる構成とする。
【0014】
同様に、上記構成において、Uロッドの湾曲部の破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を、上記Uロッドの湾曲部の外周側に取り付けたラグと、破断想定配管における上記Uロッドよりも想定される破断口寄りの所要個所に設けたラグとをロッド部材を介して連結してなる構成とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のパイプホイップレストレイントによれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)破断想定配管の所要個所の外側に、半円状の湾曲部と該湾曲部の両端にそれぞれ連なる直線部とを備えたUロッドを、該Uロッドの湾曲部が上記破断想定配管の外側を所要の隙間を隔てて取り囲むようにした姿勢で単数又は配管長手方向に複数本配置して、該Uロッドの直線部の先端部を所要の固定部に取り付けて、上記破断想定配管が破断した場合に、該破断した配管をUロッドの湾曲部の内側に受け止めることができるようにしてあるパイプホイップレストレイントにおいて、上記Uロッドの湾曲部の上記破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を備えてなる構成としてあるので、破断想定配管が破断した場合には、該破断した配管を、上記Uロッドにより受け止めさせることができる。この際、破断した配管は当初位置より傾斜するが、上記ずれ防止具によって上記Uロッドの湾曲部が傾斜する配管の外面を滑って配管長手方向に相対変位することが阻止されるため、上記破断した配管を受け止めたUロッドが配管長手方向に傾いたり、Uロッドの根元部分に曲がりが生じる虞を解消できる。よって、Uロッドに、設計時の解析通りの強度を発揮させることが可能となる。更に、上記破断した配管の長手方向に局所的に設計時の解析値よりも大きな荷重が作用する虞を未然に防止できる。
(2)Uロッドの湾曲部の破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を、Uロッドよりも破断想定配管に想定される破断口より離反する側におけるUロッドの湾曲部の近傍位置にて、破断想定配管の外面位置から上記Uロッドの湾曲部よりも外側へ突出する位置まで延びる一体物として、該ずれ防止具の基端部を破断想定配管に固定してなる構成、又は、Uロッドの湾曲部の破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を、上記Uロッドの湾曲部の外周側に取り付けたラグと、破断想定配管における上記Uロッドよりも想定される破断口寄りの所要個所に設けたラグとをロッド部材を介して連結してなる構成とすることにより、上記(1)の効果を得るための装置構成を容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1(イ)(ロ)及び図2は本発明のパイプホイップレストレイントの実施の一形態として、Uロッド3が1本の型式のパイプホイップレストレイントに適用する場合を示すもので、図5に示したパイプホイップレストレイント1と同様に、破断想定配管2の所要個所の外側に、湾曲部4と直線部5と接続部6とからなるUロッド3を、該Uロッド3の湾曲部4が上記破断想定配管2の破断時に振れる方向(図1(イ)(ロ)における上方向)の外周を所定の隙間を隔てて取り囲むようにした姿勢で配置して、該Uロッド3の接続部6を、固定部に設けたクレビス7にピン8を介して固定してなる構成において、上記Uロッド3の湾曲部4に対して上記破断想定配管2に想定される破断口2aより離反する側へずれた該湾曲部4の近傍位置に、破断想定配管2の外面位置から上記Uロッド3よりも外側へ所要寸法突出する位置までほぼ放射方向に延びるずれ防止具10を配置して、該ずれ防止具10の基端部を、破断想定配管2の外面に固定する。
【0018】
具体的には、たとえば、上記破断想定配管2の内径を15cmとし、内部流体の圧力を7.5MPaとすると、上記破断想定配管2が円周方向破断した場合の破断口2aから噴出する流体の推力は、7.5MPa≒7.5×10.2kg/cmと置くことで、
π(15/2)×7.5×10.2=13512[kg]
となる。
【0019】
上記破断想定配管2が破断して、該破断した配管2が上記パイプホイップレストレイント1のUロッド3に衝突する際に、このUロッド3を配管軸心方向にずれさせる方向に働く力の係数を0.2とすると、このUロッド3の配管軸心方向へのずれを防止するために必要とされる力Fは、
F=13512×0.2=2702[kg]
となる。
【0020】
上記ずれ防止具10の材質をSS400とした場合、単位溶接面積当り約4000kg/cmの力を受けることができることから、上記2702kg及び安全係数6.0の力を受け止めるために必要とされる該ずれ防止具10の溶接面積は、
2702×6.0/4000=4.1[cm
となる。
【0021】
したがって、上記ずれ防止具10は、たとえば、配管長手方向に沿う長さ寸法Lを5cmとし、配管長手方向と直角な幅方向寸法Wを1cmとすればよい。更に、高さ寸法は、上記破断想定配管2の外周面と、上記Uロッド3の湾曲部4との間の上記所定の間隔をやや超える寸法、たとえば、破断想定配管2の外周面から上記Uロッド3の湾曲部4までの間隔が75mm程度(3インチ)である場合には、高さ寸法Hを10cm(100mm)として、該ずれ防止具10を直方体形状とし、その下端部を、上記破断想定配管2における所定位置の外面に溶接により取り付けるようにすればよい。
【0022】
その他の構成は図5に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0023】
以上の構成としてあるパイプホイップレストレイント1を付設してある破断想定配管2が、想定される破断口2aの位置で円周方向破断して、該破断した配管2における破断口2a側の端部が、破断口2aより流出する圧力流体のジェット力によって図1(イ)(ロ)における上側へ振れるようになると、該破断した配管2が、上記パイプホイップレストレイント1のUロッド3の湾曲部4の内側に衝突して受け止められた後、該Uロッド3が上記破断した配管2の振れに応じて弾性変形することで、該配管2の運動エネルギーの一部が吸収され、更に、上記湾曲部4の内側で上記破断した配管2に接している状態のUロッド3の直線部5が引き伸ばされるように塑性変形することで、上記配管2の運動エネルギーの残りが吸収されて、上記破断した配管2の振れ回りが阻止されるようになる。
【0024】
上記のようにして破断した配管2が上記パイプホイップレストレイント1のUロッド3で受け止められるときには、該破断した配管2が、図2に示すように、破断口2a側へ行くにしたがって当初位置からの変位量が大きくなるように傾斜するが、この際、上記破断した配管2の配管長手方向における上記Uロッド3に臨む位置よりもやや反破断口2a側となる位置の外面には、上記ずれ防止具10が上記Uロッド3よりも外側へ突出させて設けてあるため、破断した配管2を受け止める際に上記傾斜姿勢となる破断した配管2の外面に接するUロッド3に大きな荷重が作用しても、該Uロッド3が上記ずれ防止具10に当接することで、該Uロッド3が破断した配管2の外面を滑って配管長手方向へずれる虞が阻止される。
【0025】
したがって、上記破断した配管2を受け止める際に、上記Uロッド3に配管長手方向の傾きが生じる虞がなくなるため、該破断した配管2を受け止めたUロッド3の根元部分に曲がりが発生することはない。
【0026】
このように、本発明のパイプホイップレストレイント1によれば、上記破断した配管2を受け止める際に上記Uロッド3に配管長手方向の傾きが発生したり、該Uロッド3の根元部分に曲がりが生じる虞を未然に防止できるため、設計時の解析のときのUロッド3の位置と、破断した配管2を受け止める際に上記Uロッド3に実際に生じる現象とを良好に合致させることができる。よって、上記パイプホイップレストレイント1に、設計強度通りの強度を発揮させることができる。
【0027】
更に、上記したように、破断した配管2を受け止める際、Uロッド3が破断した配管2の配管長手方向にずれる虞がないことから、破断した配管2の長手方向における上記Uロッド3との実際の衝突個所を、設計時の解析個所と良好に合致させることができる。このため、破断した配管2における上記Uロッド3との衝突個所に作用する荷重が、設計時の解析値よりも大きくなる虞を未然に防止することができる。
【0028】
次に、図3(イ)(ロ)及び図4は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)及び図2に示したと同様の構成において、Uロッド3の湾曲部4に対して上記破断想定配管2に想定される破断口2aより離反する側へずれた該湾曲部4の近傍位置に、ずれ防止具10を配置して、該ずれ防止具10の基端部を破断想定配管2の外面に固定した構成に代えて、上記Uロッド3の湾曲部4の外周側に取り付けたラグ12と、上記破断想定配管2の長手方向における上記Uロッド3よりも想定される破断口2a寄りとなる所要個所に設けたラグ13と、該各ラグ12と13同士の間に配置して、長手方向両端部を各ラグ12,13にピン15を介して破断想定配管2が破断した場合に振れる方向に沿って揺動可能に連結したロッド部材14とからなる構成を備えたずれ防止具11を設けたものである。
【0029】
なお、上記ラグ12のUロッド3に対する取付強度、ラグ13の破断想定配管2に対する取付強度、ロッド部材14の引張強度等は、上記実施の形態におけるずれ防止具10の破断想定配管2に対する取付強度の導出と同様に、上記破断想定配管2の破断時に、破断した配管2を受け止めるUロッド3の配管軸心方向へのずれを防止するために必要とされる力を考慮して適宜定めるようにすればよい。その他の構成は図1(イ)(ロ)及び図2に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0030】
以上の構成としてあるパイプホイップレストレイント1を付設してある破断想定配管2が、想定される破断口2aの位置で円周方向破断して、該破断した配管2における破断口2a側の端部が、破断口2aより流出する圧力流体のジェット力によって図3(イ)における上側へ振れるようになると、該破断した配管2が、上記パイプホイップレストレイント1のUロッド3に衝突して受け止められた後、該Uロッド3の弾性変形と、直線部5の伸び方向の塑性変形により、上記破断した配管2の運動エネルギーが吸収されて、上記破断した配管2の振れ回りが阻止されるようになる。
【0031】
この際、上記Uロッド3は、その湾曲部4が上記破断した配管2における破断口2a寄りの所要個所に上記ずれ防止具11のラグ12,13とロッド部材14とピン15を介して連結されているため、図4に示すように、上記破断した配管2が、上記パイプホイップレストレイント1のUロッド3で受け止められることで破断口2a側へ行くにしたがって当初位置からの変位量が大きくなるような傾斜姿勢となっても、該破断した配管2の外面に接するUロッド3は、配管2の長手方向に対する相対変位がほぼ阻止される。
【0032】
よって、上記破断した配管2を受け止める際に、上記Uロッド3が破断した配管2の外面を滑って配管長手方向へずれる虞がないため、該Uロッド3に配管長手方向の傾きが生じることはなくよって、上記破断した配管3を受け止めたUロッド3の根元部分に曲がりが発生することはない。
【0033】
したがって、本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、2本以上のUロッド3を備えたパイプホイップレストレイント1に適用してもよく、この場合は、パイプホイップレストレイント1に装備される複数本のUロッド3のうち、少なくとも、破断した配管2を受け止める際に他のUロッド3に比して最も大きな荷重が作用することとなる上記破断想定配管2に想定される破断口2aに最も近い位置にあるUロッド3に対応させて、ずれ防止具10又は11を設けるようにすればよい。
【0035】
図1(イ)(ロ)及び図2の実施の形態におけるずれ防止具10は、破断想定配管2の内径や内部流体の圧力、該配管2及びずれ防止具10の材質等に応じて、上記破断想定配管2の外面に対する溶接面積を適宜変更してよい。又、Uロッド3と接する面が破断想定配管2よりほぼ放射方向に延びるようにしてあれば、直方体以外の形状としてもよい。
【0036】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のパイプホイップレストレイントの実施の一形態を示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図2】図1のパイプホイップレストレイントの配管破断時の状態を示す概略側面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態を示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)は(イ)のB−B方向矢視拡大図である。
【図4】図3のパイプホイップレストレイントの配管破断時の状態を示す概略側面図である。
【図5】従来のパイプホイップレストレイントを示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)は(イ)のC−C方向矢視図である。
【図6】従来のパイプホイップレストレイントの配管破断時の状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 パイプホイップレストレイント
2 配管(破断想定配管)
3 Uロッド
4 湾曲部
5 直線部
10 ずれ防止具
11 ずれ防止具
12 ラグ
13 ラグ
14 ロッド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断想定配管の所要個所の外側に、半円状の湾曲部と該湾曲部の両端にそれぞれ連なる直線部とを備えたUロッドを、該Uロッドの湾曲部が上記破断想定配管の外側を所要の隙間を隔てて取り囲むようにした姿勢で単数又は配管長手方向に複数本配置して、該Uロッドの直線部の先端部を所要の固定部に取り付けて、上記破断想定配管が破断した場合に、該破断した配管をUロッドの湾曲部の内側に受け止めることができるようにしてあるパイプホイップレストレイントにおいて、上記Uロッドの湾曲部の上記破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を備えてなる構成を有することを特徴とするパイプホイップレストレイント。
【請求項2】
Uロッドの湾曲部の破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を、Uロッドよりも破断想定配管に想定される破断口より離反する側におけるUロッドの湾曲部の近傍位置にて、破断想定配管の外面位置から上記Uロッドの湾曲部よりも外側へ突出する位置まで延びる一体物として、該ずれ防止具の基端部を破断想定配管に固定してなる構成とした請求項1記載のパイプホイップレストレイント。
【請求項3】
Uロッドの湾曲部の破断想定配管に対する配管長手方向の相対変位を防止するためのずれ防止具を、上記Uロッドの湾曲部の外周側に取り付けたラグと、破断想定配管における上記Uロッドよりも想定される破断口寄りの所要個所に設けたラグとをロッド部材を介して連結してなる構成とした請求項1記載のパイプホイップレストレイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−209951(P2009−209951A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50327(P2008−50327)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】