パイプラインの補修方法
【課題】 パイプラインにおけるコンクリート壁の内部に位置する部位を補修するに当たり、効率的、低コストで補修する。
【解決手段】 コンクリート壁5の外側から、パイプライン1の導入部2の外観を検査する1次検査工程と、コンクリート壁5の外側から、所定の検査手段を用いて定量的な検査を行う2次検査工程と、前記コンクリート壁5の前記パイプライン1の外周部を除去し、前記コンクリート壁5の内部に位置する前記パイプライン1を検査する3次検査工程と、1次検査工程から3次検査工程により発見されたパイプライン1の損傷を補修する補修工程で構成する。そして、前記1次検査工程で、予め設定された一定の基準より前記パイプライン1が劣悪であると判定された場合にのみ前記2次検査工程に移行し、前記2次検査工程で、前記パイプライン1の前記導入部に損傷部があると判定された場合にのみ前記3次検査工程に移行する。
【解決手段】 コンクリート壁5の外側から、パイプライン1の導入部2の外観を検査する1次検査工程と、コンクリート壁5の外側から、所定の検査手段を用いて定量的な検査を行う2次検査工程と、前記コンクリート壁5の前記パイプライン1の外周部を除去し、前記コンクリート壁5の内部に位置する前記パイプライン1を検査する3次検査工程と、1次検査工程から3次検査工程により発見されたパイプライン1の損傷を補修する補修工程で構成する。そして、前記1次検査工程で、予め設定された一定の基準より前記パイプライン1が劣悪であると判定された場合にのみ前記2次検査工程に移行し、前記2次検査工程で、前記パイプライン1の前記導入部に損傷部があると判定された場合にのみ前記3次検査工程に移行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート壁に貫通される貫通部を有するパイプラインにおいて、コンクリート壁への導入部の腐蝕等を補修するパイプライン補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からパイプラインの損傷部分の補修方法として様々な発明が提案されている。最も代表的な補修方法としては、損傷部分を切除して、新たな配管を突き合わせて、これを溶接して補修する方法である。この補修方法の一例として、特許文献1に開示の補修方法が挙げられる。
【0003】
このような補修方法は、パイプラインがコンクリート壁を貫通する部分についても同様に行われていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−156752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コンクリート壁の内部に位置するパイプラインを補修するには、最終的に、コンクリート壁についてパイプラインの周囲を除去する必要がある。コンクリート壁を除去する作業には、手間及びコストが多大にかかる。
【0006】
このため、コンクリート壁を除去してまで補修をする必要があるか否かについては、慎重に決定する必要がある。また、補修する必要がある場合でも、補修の対象となる部位を除去してまで行う必要があるか否かの決定も慎重に行う必要がある。即ち、配管を切除して補修を行うためには、パイプラインを流れる流体の種類にかかわらず、流体の流れを一時的に止めなければ作業を行うことができない。補修の対象となる部位を切除するとなれば、この作業の手間及びコストもかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明では、パイプラインにおけるコンクリート壁の内部に位置する部位を補修するに当たり、補修作業の内容を欠陥の程度に応じて変更せしめ、効率的、低コストで補修できるパイプラインの補修方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明ではこのような課題を解決するために、コンクリート壁に貫通されるように設置されたパイプラインの、前記コンクリート壁内部への導入部及びコンクリート壁内部に位置する部位を補修するパイプラインの補修方法であって、前記コンクリート壁の外側から、前記パイプライン導入部の外観を検査する1次検査工程と、前記コンクリート壁の外側から、所定の検査手段を用いて定量的な検査を行う2次検査工程と、前記コンクリート壁の前記パイプラインの周囲を除去し、前記コンクリート壁の内部に位置する前記パイプラインを検査する3次検査工程と、前記1次検査工程から前記3次検査工程により発見された前記パイプラインの損傷を補修する補修工程と、を具備し、前記1次検査工程で、予め設定された一定の基準より前記パイプラインが劣悪であると判定された場合にのみ前記2次検査工程に移行し、前記2次検査工程で、前記パイプラインの前記導入部に損傷部があると判定された場合にのみ前記3次検査工程に移行するパイプラインの補修方法を採用した。
【0009】
また、本発明では、かかるパイプラインの補修方法に関し、前記2次検査工程では、前記導入部において、前記パイプライン又はパイプラインを被覆している塗覆装の外周面と、前記コンクリート壁との間に形成された隙間を観測する隙間観測工程と、前記導入部の近傍に所定値の電圧を印加して、この印加された電圧を測定する電圧測定工程と、非破壊探傷装置を使用して前記導入部の近傍について前記損傷部を探傷する非破壊探傷工程と、を備えた。
【0010】
さらに、本発明では、前記3次検査工程に関し、前記パイプラインにおける前記損傷部の肉厚の減少率と、予め定められた基準減肉率とを比較して、前記減少率が前記基準減肉率より大きいか否かが判定され、前記パイプラインは、前記補修工程にて、前記減少率が前記基準減肉率より大きいと判定された際には、補修用バンドを前記損傷部の周囲を覆うことで補修するバンド補修工程又は前記損傷部を前記パイプラインから切除して、切除された部分に対応する部材を組み込んで保守する入取替え補修工程のいずれかの工程を経て補修され、一方、前記減少率が前記基準減肉率以内であると判定された際には、前記検査対象部位に新たな塗覆装を形成して補修されることを特徴としている。
【0011】
そして、上記パイプラインの補修方法に関し、本発明では、前記バンド補修工程又は前記入取替え補修工程は、前記導入部の周囲の作業環境に応じて選定され、前記バンド補修工程では、複数のバンドピースからなる補修バンドを前記損傷部に対応する位置にて前記パイプラインの外周部に被覆し、これらバンドピースを前記パイプラインの外周面に溶接せしめる一方で、前記入取替え補修工程では、前記パイプラインから前記損傷部を切除し、この切除した部位に対応する部材を新たに前記パイプラインにはめ合わせて溶接することを特徴している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パイプラインがコンクリート壁に貫通される部位について、その劣化、損傷の程度に応じて適切な補修方法を選定することができる。すなわち、本発明では、コンクリート壁を切除する前の段階で、各検査工程を経てコンクリート壁の外部に位置する部分だけでなく、コンクリート壁の内部に位置する部分についても、パイプラインの劣化、損傷の程度をある程度把握している。このため、コンクリート壁を切除してまで補修を行う必要性があるのか無いのかを予め選定することができる。劣化、損傷が軽微と判断できた場合には、コンクリート壁を切除しないで補修作業を終了させることができるので、大幅な作業時間の短縮、コストの削減を図ることができる。
【0013】
また、コンクリート壁を切除した場合でも、劣化、損傷の程度に応じて適切な補修方法を選定するため、適切な補修を短時間かつ低廉なコストで行うことができる。特に、塗覆装の補修又は補修バンドを使用する補修では、パイプラインの内部を流れる媒体を停止させずに補修作業を行えるため、極めて効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の1実施形態にかかるパイプラインの補修方法(以下、単に補修方法という。)に関する流れ図を示し、図2は、この補修方法が適用されるパイプライン1の一態様を示すものである。
【0016】
まず、図2を参照して、本発明にかかる補修方法が適用されるパイプライン1について説明する。この補修方法が適用されるのは、コンクリート壁5へパイプライン1が導入される導入部2、及びコンクリート壁5の内部に位置する貫通された部分である。例えば、河川に架設された橋梁に沿ってパイプライン1が配設される場合、河川の両岸では、橋梁(不図示)を支持するために、コンクリート壁5が設けられる。橋梁に沿って配設されたパイプライン1は、河川の両岸でこれらコンクリート壁5に貫通される。これらコンクリート壁5への導入部2及びコンクリート壁5の内部に位置するパイプライン1の補修を行う際に本発明にかかる補修方法を適用する。
【0017】
図3及び図4に示すように、コンクリート壁5への導入部2では、パイプライン1を保護するために、パイプライン1を被覆する塗覆装3が設けられている。この塗覆装3は、パイプライン1の外周面と、コンクリート壁5に形成されたパイプライン1を通すための貫通孔6との間に形成された隙間を塞ぐ役割を果たしている。
【0018】
この塗覆装3を設けることで、異物がパイプライン1に当てられることや、パイプライン1と貫通孔6との間に雨水等が浸水することを阻止している。この導入部2の近傍において、パイプライン1自体に損傷が認められる場合の他、塗覆装3に損傷が認められる場合には、当該導入部2の補修を行う必要性が推認される。即ち、パイプライン1自体が損傷していれば、それ自体で、補修の必要性が認められる。これに加えて、塗覆装3が損傷している場合についても、損傷部分から雨水等が浸水している恐れがある。浸水があれば、コンクリート壁5の内部にて、パイプライン1が腐蝕してしまい、やはり補修を行う必要がある。
【0019】
その一方で、事故につながるおそれの全くない軽微な損傷がパイプライン1に認められた場合にまで、これを補修することは、手間及びコストとの調和の観点から妥当ではない。また、塗覆装3に損傷が認められたとした場合にも、これをもって、パイプライン1が損損又は腐蝕しているとは限らない。本発明では、次のステップを踏まえることで、補修を行う必要性があるのか否かを見極めた上で補修作業を実行するようにしている。
【0020】
図1に示す流れ図に基づいて、この補修方法について説明する。この補修方法では、まず、第1検査工程にて、コンクリート壁5の外側から、パイプライン1がコンクリート壁5へ導入される導入部2の外観をチェックする(S1,S2)。なお、この補修方法では、1次検査工程において、検査を終了させるか、又は2次検査工程へ進ませるかの判断基準を予め設けている。そして、判断基準に照らし、導入部2の外観が劣悪であれば、そのまま検査を続行し、その後の検査を経て補修するか否かを判定する。一方、判定基準をパスすれば、補修を行うことなく、その時点で、検査を終了する。この判定基準の大まかな評価基準の1例を表1に示す。この表1に示すように、A判定〜E判定の5段階の評価基準を設け、A判定〜C判定であれば、検査をそこで終了し、D判定又はE判定であれば、更に詳細な検査を行うようにしている。
【0021】
【表1】
【0022】
この判定基準に基づき判定を行い、A判定〜C判定であれば、検査を1次検査工程で終了させる。そして、検査官は1次検査の結果をまとめ、その結果を報告する等の作業を行う(S3)。この導入部2に関しては、その後、通常の経年検査を行う。
【0023】
他方、外損の程度が著しい等、D判定又はE判定と判断された場合には、より精密に当該導入部2の状態を検査するために、2次検査工程へ検査を進める。
【0024】
この2次検査工程は、導入部2に対して各種の検査機器を用いて、しかも、破壊を伴わない非破壊検査により、定量的な検査を行う。2次検査工程は、スケール等を用い、塗覆装3と貫通孔6との間に形成されたクリアランスを測定するクリアランス測定工程(S4)と、パイプライン1に電圧を印加して、当該パイプライン1が、例えば、鞘管等と接触していないかどうか等、腐蝕し易い状態に置かれていないかを判定する電位調査(EPR)工程(S5)と、パイプライン1に超音波を浸入させてどの位置にどの程度の損傷があるのかを探傷する超音波探傷工程(S6)の3工程から構成されている。そして、これらの3工程の結果を総合的に判断して、補修を行うか否かを最終決定する(S7)。
【0025】
クリアランス測定工程(S4)において、見過ごすことのできないクリアランスが、塗覆装3と貫通孔6との間に形成されていると、このクリアランスから雨水等が浸水している恐れがある。雨水等の浸水があると、コンクリート壁5の内部でパイプライン1が腐蝕しているおそれがある。したがって、上記の第1検査工程で、仮に塗覆装3自体に外損が認められなかった場合でも、精密な検査を必要とする場合がある。このクリアランス測定工程(S4)では、この様な欠陥を発見することで、検査結果の正確性を確保している。
【0026】
次に、電位調査(EPR)工程(S5)では、電圧を印加し、この電圧を測定してパイプライン1に腐蝕部等の欠陥があるか否かの確認を行い、また、欠陥がある場合に、その欠陥の程度がどの程度であるのかを見極める。つまり、欠陥が無ければ、パイプライン1の抵抗値には、初期の段階と変化がない。これに対し、欠陥があれば抵抗値が増大する。この抵抗値の増大を電圧でチェックすることで、欠陥の有無、及びその程度を検査する。
【0027】
そして、より正確な情報を得るために超音波探傷工程(S6)を実施する。この超音波探傷工程(S6)では、斜角探傷法に代表される、1つの探触子で探傷する方法により検査する。なお、この実施の形態では、第2検査工程で実施される非破壊検査の工程として、超音波探傷法を用いた場合を例に説明しているが、非破壊検査方法であれば、他の方法、例えば、X線探傷方法や磁気探傷等で探傷することを妨げるものではない。
【0028】
かかる2次検査工程の結果、パイプライン1に腐蝕などの損傷がない、又は軽微な損傷であり、この時点での補修は必要ないと判定されると、コンクリート壁5を切除しての補修を行わず、検査を終了する。検査結果の報告書等を作成する(S8)。そして、外装部分のみの簡単な補修が必要な場合には係る補修を行う。この部位については、その後、通常の経年管理(S17)とする。
【0029】
これに対し、パイプライン1に腐蝕などの損傷があると判定されると、この部分の補修を行う必要がある。補修を行うためには、作業性を確保するために、パイプライン1の周囲に関して、コンクリート壁5を除去する必要がある。本発明にかかる補修方法では、この時点ではじめてパイプライン1の周囲に関してコンクリート壁5を除去することになる(S9)。
【0030】
このコンクリート除去工程(S9)では、コンクリートはつり工法を採用することで、効率よくコンクリート壁5を除去できる。コンクリートはつり工法の代用例としては、ワイヤーソー工法、コアーラインカッター工法、ウォータージェット工法の3工法を挙げることができる。
【0031】
これらの工法について説明する。
【0032】
図5は、ワイヤーソー切断装置10の一形態を示すものである。なお、この図5は、説明の便宜のため、切断の状況を実際のものに比べてモデル的に示している。まず、ワイヤーソー工法とは、コンクリート壁5を切断する際に、ワイヤーソー15を切断の対象となるコンクリート壁5に巻き付けて切断する工法である。このワイヤーソー15を駆動する駆動装置は、図5に示すように、車輪12により移動可能に設けられた架台部11と、この架台部11に取り付けられた駆動ローラ13と、ワイヤーソー15を適宜案内している複数のガイドローラ14とから構成されている。この図5に示すワイヤーソー切断装置10では、ワイヤーソー15を複数のガイドローラ14で案内させつつ、コンクリート壁5にこのワイヤーソー15を巻き付け、ワイヤーソー15をその軸方向に送ることでコンクリート壁5を切断する。なお、この図5に示す切断の態様では、コンクリート壁5に予め孔7を貫通させておき、この孔7にワイヤーソー15を通すことでワイヤーソー15を当該コンクリート壁5に巻き付けることができるようにしている。
【0033】
このワイヤーソー切断装置10を用いた工法は、周囲にワイヤーソー切断装置10を設置することが可能なスペースが必要であるが、切断速度が極めて速く、迅速にコンクリート壁5を除去できる。
【0034】
次に、図6を参照して、コアーラインカッター工法について説明する。
【0035】
このコアーラインカッター工法に使用するコアカッター20は、切断の対象となるコンクリート壁5にコアカッター20を支持させる支持部23と、この支持部23に保持された駆動源21と、駆動源21により駆動される刃物22とから構成されている。支持部23は、コンクリート壁5の表面に突き当てられる基端面24と、この基端面24から延びる支柱25とから構成されている。駆動源21は、支柱25の軸方向に移動可能に保持されており、切断の進行に応じて、支柱25の先端から基端面24に向けて移動される。刃物22は細長い円筒状に形成されており、その内部は空洞となっている。
【0036】
このコアカッター20によれば、支持部23の基端面24をコンクリート壁5の表面に突き当て、コアカッター20をコンクリート壁5に支持させて使用される。そして、刃物22が駆動源21により回転駆動されると、コンクリート壁5には円形の孔が形成される。孔の深度に応じて、駆動源21は支柱25の軸方向に移動するので、コンクリート壁5には所望の深さの孔が形成される。
【0037】
このコアカッター20を用いたコアーラインカッター工法は、周囲にスペースがない場所においてもコンクリート壁5を除去することが可能である。また、小回りが利くため、パイプライン1の周囲の一定範囲のみを部分的に除去することも可能である。
【0038】
そして、ウォータージェット工法では、これを実施するための装置を特に図示していないが、高圧の水を、コンクリート壁5に噴射して、コンクリート壁5に孔を開けたり、コンクリート壁5に対して部分的に剥離した部分を形成する。
【0039】
このウォータージェット工法は、コンクリート壁5に関し、除去しようとする範囲以外について、コンクリート及び鉄筋に損傷を与えることがない。このため、一定範囲のコンクリート壁5を部分的に除去する場合に採用すれば、極めて効果的に作業を行える。
【0040】
なお、コンクリート壁5の除去を行う工法は、これら3種類のものに限定されるものではなく、他の工具を使用して行うことを妨げるものではない。例えば、ドリル、コンクリートハンマー、コンクリートクラッシャー、ダイヤモンドカッター、ダイヤモンドソー、ワイヤーカッター、油圧式楔打ち込み機、インパクトビットを使用することもできる。また、上記3種類の工法にこれらの工具を適宜組み合わせて使用しても良い。さらに、これの工具の他、回転掘削機、面板掘削機等の重機を使用してコンクリート壁5を切除しても良い。さらには、化学的な手法、例えば、膨張剤を使用して、コンクリート壁5を除去する方法、プラズマ破砕による方法、蒸気破砕による方法などを採用しても構わない。
【0041】
以上のようにしてコンクリート壁5を除去した後に、パイプライン1について、減肉の程度を測定し、いかなる補修を行うべきかを選定し、補修を行う。
【0042】
まず、パイプライン1に腐蝕部等の損傷部の程度を調査する(S10)。調査は、パイプライン1の健全性並びに、腐蝕及び劣化の程度を確実に行うため、以下に説明する複数のステップを経て行う。
【0043】
図7において、ハッチングを施した部分は腐蝕部であり、その周囲は損傷のない正常部である。
【0044】
ます、腐蝕部についてその大きさを決定するために、長さL及び幅Hを測定する。次いで、腐蝕部について、数カ所を任意に選択して、腐蝕の深さを、デプスゲージを用いて測定する。この際、最も深く腐蝕が進行している最大腐蝕部を含めて測定する。そして、当該腐蝕部について、写真撮影を行うと共に、腐蝕の特徴を表すことができるように、スケッチを行うと良い。
【0045】
次に、超音波板厚計等の板厚計を用いて腐蝕部及び正常部の肉厚を測定する。この場合も腐蝕部については、最も深く腐蝕が進行した最大腐蝕部を含めて複数の部位について測定する。
【0046】
これら、デプスゲージによる測定結果と板厚径の測定結果に基づいて、腐蝕部の肉厚の減少の程度を算出する。
【0047】
図8及び図9は、この算出に用いる各寸法の詳細を示すものである。図8は、パイプライン1の実際に測定された肉厚が規格肉厚よりも厚いものを示し、図9は、パイプライン1の実際に測定された肉厚が、規格肉厚よりも薄いものを示している。図8及び図9において、T1は、パイプライン1の正常部における実際に測定された肉厚(測定肉厚)を表し、Tは、規格肉厚を表す。また、T2は、腐蝕部における残存する測定された肉厚(残存肉厚)を表している。一方、これらの図において、d1は、腐蝕部に関する、実際に測定された腐蝕の深さ(測定腐蝕深さ)を表し、d2は、規格肉厚に対する腐蝕の深さ(換算腐蝕値)を表している。
【0048】
これらの文字を用いて、残肉厚及び肉厚減少率を次の式で算出している。
【0049】
(1)残肉圧=T1(測定肉厚)−d1(測定腐蝕深さ)
(2)肉厚減少率=d2(換算腐蝕値)/T(規格肉厚)×100
【0050】
そして、図1に示すように、(2)式により算出された肉厚減少率があらかじめ定められた基準減肉率である、33.1/3%よりも大きいか小さいかにより、その後の補修方法が決定される(S11)。
【0051】
肉厚減少率が基準減肉率(33.1/3%)より小さい場合には、パイプライン1の機能が損なわれる危険性は極めて低いため、塗覆装3の修繕のみで補修を終える。この場合、腐蝕の進行がそれ以上進行することを防止するために、腐食部の錆を完全に取り除き、その後に新たな塗覆装3でパイプライン1の外周面を被覆する(S12)。なお、腐蝕以外の損傷が認められる場合にも、その損傷部位にさび止め等の処置を施すなどしかるべく処置を行った後に、新たな塗覆装3でパイプライン1の外周面を被覆する。
【0052】
具体的には、錆の除去作業では、ジェットタガネ、エア式ベルトサンダー、ホイール式ブラシ等の研磨工具でパイプライン1に発生している錆を除去する。これらの研磨工具の中でも、ケレン程度、作業範囲を考慮すると、ホイール式ブラシを用いると良い。
【0053】
次に、この部分が再び腐蝕することのないように、防腐加工が施される。この工程で用いる防腐剤としては、ウレタン系プライマー又はエポキシ系プライマーが良い。これらウレタン系プライマー及びエポキシ系プライマーは粘着力が良好であるため、他の種類の防腐剤に比べ、施工効率を高めることができる。
【0054】
なお、防腐加工として、これらの防腐剤に代え、熱線シュリンクチューブ30を使用しても良い。図10及び図11は、熱線シュリンクチューブ30の概略を示し、図12は、この熱線シュリンクチューブ30で補修箇所が被覆されたパイプライン1を示している。図10及び図11に示すように、熱線シュリンクチューブ30は、シート31の全面に電熱線32が配されて構成されている。また、熱線シュリンクチューブ30には、電熱線32と接続されて、電熱線に電流を流すための端子33が延びている。シート31の両端縁には、ファスナ35が取り付けられており、このファスナ35を係合させることでチューブ状に形成される。また、ファスナ35の裏側には、円弧状に湾曲した板状のバックピース34が配置される。このバックピース34には、熱溶融型接着剤が塗布されており、熱線シュリンクチューブ30に通電して加熱させると、その外表面がファスナ35と一体化される。
【0055】
この熱線シュリンクチューブ30で防腐加工をする場合には、腐蝕部を覆うようにして、パイプライン1の外周面を被覆する。次いで、ファスナ35の裏側にバックピース34を配置してファスナ35を係合させてチューブ状にする。その後、端子33から電流を電熱線32に流して当該熱線シュリンクチューブ30を加熱する。そうすると、図12に示すように、パイプライン1の外表面に熱線シュリンクチューブ30が密着される。これにより、防腐作用を発揮する。
【0056】
このように、肉厚減少率が基準減肉率(33.1/3%)より小さい場合、パイプライン1自体を切除する必要がないので、当該パイプライン1の内部を流れるガス等の媒体を止めることなく補修作業を終えることができる。
【0057】
一方、肉厚減少率が基準減肉率(33.1/3%)より大きい場合には、対象となるパイプライン1の管径により、バンド補修又は入取替え補修のいずれかが選択される(S13)。バンド補修によるか、入取替え補修によるかは、パイプライン1の内部を流れるガスを一時的に停止させることができるか否か、導入部2の周囲に、作業者がパイプライン1の入取替えを行うだけの十分なスペースがあるか否か、入取替え補修を行うだけの作業工期を確保することができるか否か等、補修を行う際の総合的な作業環境による。そして、これらの作業環境が十分に整っている場合には入取替え補修を行い、整っていない場合には、バンド補修を行う。
【0058】
まず、バンド補修について説明する。バンド補修は、パイプライン1において腐蝕部の認められる部分を切除することなく、腐蝕部を含めるようにしてパイプライン1の外部を覆う補修方法である。図13及び図14は、補修用バンド40の一実施形態を示すものである。補修用バンド40は一定の長さを有し、断面形状が半円状に形成された1対のバンドピース41,42から構成されるものである。一対のバンドピース41,42のうち、一方のバンドピース41には、内外を貫通するエア抜き用の穴43が形成されていると共に、この穴43を密閉するプラグ44が設けられている。これらのバンドピース41,42は、図13及び図14に示すように、内側にパイプライン1が配されるようにして、これらの周方向の端縁同士が突き合わされる。突き合わされた端縁同士は溶接されて筒状に形成される。さらに、軸方向の端縁は、パイプライン1の外周面に全周が溶接される。なお、溶接の最中は、補修用バンド40内の内圧が上昇することの無いように、プラグ44は外されている。プラグ44は溶接終了後にエア抜き用の穴43にはめ込まれ、このエア抜き用の穴43を密閉する。
【0059】
これら図13及び図14に示す補修用バンド40は、軸方向の両端がテーパー状に形成されており、軸方向の中間部分40bの径が両端縁40aの径に比べ大きく形成されているが、この形状のものに限定されるものではない。例えば、径が軸方向について一律に形成されたストレートタイプのバンドを使用しても良い。
【0060】
以上の作業により、当該補修用バンド40は、パイプライン1における腐蝕部を完全に密閉する。これにより、補修用バンド40は、補修された部位への雨水等の浸入を阻止して防蝕効果を発揮すると共に、補修された部位の肉厚を当該補修用バンド40自体が担保する。その後、切除されたコンクリート壁5を再生して補修作業を終了する。
【0061】
なお、このバンド補修の場合にも、上記の塗覆装3の補修の場合と同様に、補修用バンド40で腐蝕部を覆う前に、腐蝕部の錆の除去作業及び防腐加工を行うことは勿論である。
【0062】
このバンド補修を選択した場合にも、パイプライン1自体を切除する必要がなく、当該パイプライン1の内部を流れるガスなどの媒体を止めることなく補修作業を終えることができる。
【0063】
次に、入取替え補修について説明する。入取替え補修は、腐蝕部をパイプライン1から完全に切除し、新たに、切除した部位と同形の部材を取り付ける補修方法である。この場合には、内部にガス等の媒体を流したまま作業を行うことができないので、まず、媒体の流れを、作業が終了するまでの間停止させる。次いで、補修部に対応する部位からガス等の媒体を完全に取り除く。次いで、腐蝕部がパイプライン1から取り除かれるように、腐蝕部を含めて一定の範囲をパイプライン1から切除する。その後、切除した部分と同形の部材をパイプライン1にはめ込み、これを溶接してパイプライン1を再生する。
【0064】
その後、切除されたコンクリート壁5を再生して補修作業を終了させる。
【0065】
以上の塗覆装の修繕による補修工程、バンド補修工程、及び入取替え補修工程のいずれかの補修工程が終了した後に、報告書として補修内容をまとめ報告を行う(S16)。その後、補修を終えた導入部2については、通常の経年管理が行われる。
【0066】
なお、以上に説明したパイプラインの補修方法は、ガス管を補修する場合だけでなく、水道管等、他のパイプラインに適用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の1実施形態にかかるパイプラインの補修方法の流れ図。
【図2】補修の対象となるパイプラインの側面図。
【図3】図2に示すパイプラインがコンクリート壁に導入される導入部を示す側面図。
【図4】図3に示す導入部の斜視図。
【図5】コンクリート壁の切除に用いるワイヤーソー切断装置の概要を示す図。
【図6】コンクリート壁の切除に用いるコアカッターの斜視図。
【図7】損傷部としての腐蝕部をモデル的に示す図。
【図8】肉厚減少率の算出に用いる各部の寸法を示す説明図(測定肉厚>規格肉厚)。
【図9】肉厚減少率の算出に用いる各部の寸法を示す説明図(測定肉厚<規格肉厚)。
【図10】熱線シュリンクチューブの側面図。
【図11】図10に示す熱線シュリンクチューブの斜視図。
【図12】パイプラインの外周面を被覆した状態を示す熱線シュリンクチューブの斜視図。
【図13】補修用バンドの一部を切り欠いた縦断面図。
【図14】図13に示す補修用バンドを軸方向の端部から見た図。
【符号の説明】
【0068】
1・・・・パイプライン
2・・・・導入部
3・・・・塗覆装
5・・・・コンクリート壁
10・・・ワイヤーソー切断装置
20・・・コアカッター
30・・・熱線シュリンクチューブ
40・・・補修用バンド
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート壁に貫通される貫通部を有するパイプラインにおいて、コンクリート壁への導入部の腐蝕等を補修するパイプライン補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からパイプラインの損傷部分の補修方法として様々な発明が提案されている。最も代表的な補修方法としては、損傷部分を切除して、新たな配管を突き合わせて、これを溶接して補修する方法である。この補修方法の一例として、特許文献1に開示の補修方法が挙げられる。
【0003】
このような補修方法は、パイプラインがコンクリート壁を貫通する部分についても同様に行われていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−156752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コンクリート壁の内部に位置するパイプラインを補修するには、最終的に、コンクリート壁についてパイプラインの周囲を除去する必要がある。コンクリート壁を除去する作業には、手間及びコストが多大にかかる。
【0006】
このため、コンクリート壁を除去してまで補修をする必要があるか否かについては、慎重に決定する必要がある。また、補修する必要がある場合でも、補修の対象となる部位を除去してまで行う必要があるか否かの決定も慎重に行う必要がある。即ち、配管を切除して補修を行うためには、パイプラインを流れる流体の種類にかかわらず、流体の流れを一時的に止めなければ作業を行うことができない。補修の対象となる部位を切除するとなれば、この作業の手間及びコストもかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明では、パイプラインにおけるコンクリート壁の内部に位置する部位を補修するに当たり、補修作業の内容を欠陥の程度に応じて変更せしめ、効率的、低コストで補修できるパイプラインの補修方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明ではこのような課題を解決するために、コンクリート壁に貫通されるように設置されたパイプラインの、前記コンクリート壁内部への導入部及びコンクリート壁内部に位置する部位を補修するパイプラインの補修方法であって、前記コンクリート壁の外側から、前記パイプライン導入部の外観を検査する1次検査工程と、前記コンクリート壁の外側から、所定の検査手段を用いて定量的な検査を行う2次検査工程と、前記コンクリート壁の前記パイプラインの周囲を除去し、前記コンクリート壁の内部に位置する前記パイプラインを検査する3次検査工程と、前記1次検査工程から前記3次検査工程により発見された前記パイプラインの損傷を補修する補修工程と、を具備し、前記1次検査工程で、予め設定された一定の基準より前記パイプラインが劣悪であると判定された場合にのみ前記2次検査工程に移行し、前記2次検査工程で、前記パイプラインの前記導入部に損傷部があると判定された場合にのみ前記3次検査工程に移行するパイプラインの補修方法を採用した。
【0009】
また、本発明では、かかるパイプラインの補修方法に関し、前記2次検査工程では、前記導入部において、前記パイプライン又はパイプラインを被覆している塗覆装の外周面と、前記コンクリート壁との間に形成された隙間を観測する隙間観測工程と、前記導入部の近傍に所定値の電圧を印加して、この印加された電圧を測定する電圧測定工程と、非破壊探傷装置を使用して前記導入部の近傍について前記損傷部を探傷する非破壊探傷工程と、を備えた。
【0010】
さらに、本発明では、前記3次検査工程に関し、前記パイプラインにおける前記損傷部の肉厚の減少率と、予め定められた基準減肉率とを比較して、前記減少率が前記基準減肉率より大きいか否かが判定され、前記パイプラインは、前記補修工程にて、前記減少率が前記基準減肉率より大きいと判定された際には、補修用バンドを前記損傷部の周囲を覆うことで補修するバンド補修工程又は前記損傷部を前記パイプラインから切除して、切除された部分に対応する部材を組み込んで保守する入取替え補修工程のいずれかの工程を経て補修され、一方、前記減少率が前記基準減肉率以内であると判定された際には、前記検査対象部位に新たな塗覆装を形成して補修されることを特徴としている。
【0011】
そして、上記パイプラインの補修方法に関し、本発明では、前記バンド補修工程又は前記入取替え補修工程は、前記導入部の周囲の作業環境に応じて選定され、前記バンド補修工程では、複数のバンドピースからなる補修バンドを前記損傷部に対応する位置にて前記パイプラインの外周部に被覆し、これらバンドピースを前記パイプラインの外周面に溶接せしめる一方で、前記入取替え補修工程では、前記パイプラインから前記損傷部を切除し、この切除した部位に対応する部材を新たに前記パイプラインにはめ合わせて溶接することを特徴している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パイプラインがコンクリート壁に貫通される部位について、その劣化、損傷の程度に応じて適切な補修方法を選定することができる。すなわち、本発明では、コンクリート壁を切除する前の段階で、各検査工程を経てコンクリート壁の外部に位置する部分だけでなく、コンクリート壁の内部に位置する部分についても、パイプラインの劣化、損傷の程度をある程度把握している。このため、コンクリート壁を切除してまで補修を行う必要性があるのか無いのかを予め選定することができる。劣化、損傷が軽微と判断できた場合には、コンクリート壁を切除しないで補修作業を終了させることができるので、大幅な作業時間の短縮、コストの削減を図ることができる。
【0013】
また、コンクリート壁を切除した場合でも、劣化、損傷の程度に応じて適切な補修方法を選定するため、適切な補修を短時間かつ低廉なコストで行うことができる。特に、塗覆装の補修又は補修バンドを使用する補修では、パイプラインの内部を流れる媒体を停止させずに補修作業を行えるため、極めて効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の1実施形態にかかるパイプラインの補修方法(以下、単に補修方法という。)に関する流れ図を示し、図2は、この補修方法が適用されるパイプライン1の一態様を示すものである。
【0016】
まず、図2を参照して、本発明にかかる補修方法が適用されるパイプライン1について説明する。この補修方法が適用されるのは、コンクリート壁5へパイプライン1が導入される導入部2、及びコンクリート壁5の内部に位置する貫通された部分である。例えば、河川に架設された橋梁に沿ってパイプライン1が配設される場合、河川の両岸では、橋梁(不図示)を支持するために、コンクリート壁5が設けられる。橋梁に沿って配設されたパイプライン1は、河川の両岸でこれらコンクリート壁5に貫通される。これらコンクリート壁5への導入部2及びコンクリート壁5の内部に位置するパイプライン1の補修を行う際に本発明にかかる補修方法を適用する。
【0017】
図3及び図4に示すように、コンクリート壁5への導入部2では、パイプライン1を保護するために、パイプライン1を被覆する塗覆装3が設けられている。この塗覆装3は、パイプライン1の外周面と、コンクリート壁5に形成されたパイプライン1を通すための貫通孔6との間に形成された隙間を塞ぐ役割を果たしている。
【0018】
この塗覆装3を設けることで、異物がパイプライン1に当てられることや、パイプライン1と貫通孔6との間に雨水等が浸水することを阻止している。この導入部2の近傍において、パイプライン1自体に損傷が認められる場合の他、塗覆装3に損傷が認められる場合には、当該導入部2の補修を行う必要性が推認される。即ち、パイプライン1自体が損傷していれば、それ自体で、補修の必要性が認められる。これに加えて、塗覆装3が損傷している場合についても、損傷部分から雨水等が浸水している恐れがある。浸水があれば、コンクリート壁5の内部にて、パイプライン1が腐蝕してしまい、やはり補修を行う必要がある。
【0019】
その一方で、事故につながるおそれの全くない軽微な損傷がパイプライン1に認められた場合にまで、これを補修することは、手間及びコストとの調和の観点から妥当ではない。また、塗覆装3に損傷が認められたとした場合にも、これをもって、パイプライン1が損損又は腐蝕しているとは限らない。本発明では、次のステップを踏まえることで、補修を行う必要性があるのか否かを見極めた上で補修作業を実行するようにしている。
【0020】
図1に示す流れ図に基づいて、この補修方法について説明する。この補修方法では、まず、第1検査工程にて、コンクリート壁5の外側から、パイプライン1がコンクリート壁5へ導入される導入部2の外観をチェックする(S1,S2)。なお、この補修方法では、1次検査工程において、検査を終了させるか、又は2次検査工程へ進ませるかの判断基準を予め設けている。そして、判断基準に照らし、導入部2の外観が劣悪であれば、そのまま検査を続行し、その後の検査を経て補修するか否かを判定する。一方、判定基準をパスすれば、補修を行うことなく、その時点で、検査を終了する。この判定基準の大まかな評価基準の1例を表1に示す。この表1に示すように、A判定〜E判定の5段階の評価基準を設け、A判定〜C判定であれば、検査をそこで終了し、D判定又はE判定であれば、更に詳細な検査を行うようにしている。
【0021】
【表1】
【0022】
この判定基準に基づき判定を行い、A判定〜C判定であれば、検査を1次検査工程で終了させる。そして、検査官は1次検査の結果をまとめ、その結果を報告する等の作業を行う(S3)。この導入部2に関しては、その後、通常の経年検査を行う。
【0023】
他方、外損の程度が著しい等、D判定又はE判定と判断された場合には、より精密に当該導入部2の状態を検査するために、2次検査工程へ検査を進める。
【0024】
この2次検査工程は、導入部2に対して各種の検査機器を用いて、しかも、破壊を伴わない非破壊検査により、定量的な検査を行う。2次検査工程は、スケール等を用い、塗覆装3と貫通孔6との間に形成されたクリアランスを測定するクリアランス測定工程(S4)と、パイプライン1に電圧を印加して、当該パイプライン1が、例えば、鞘管等と接触していないかどうか等、腐蝕し易い状態に置かれていないかを判定する電位調査(EPR)工程(S5)と、パイプライン1に超音波を浸入させてどの位置にどの程度の損傷があるのかを探傷する超音波探傷工程(S6)の3工程から構成されている。そして、これらの3工程の結果を総合的に判断して、補修を行うか否かを最終決定する(S7)。
【0025】
クリアランス測定工程(S4)において、見過ごすことのできないクリアランスが、塗覆装3と貫通孔6との間に形成されていると、このクリアランスから雨水等が浸水している恐れがある。雨水等の浸水があると、コンクリート壁5の内部でパイプライン1が腐蝕しているおそれがある。したがって、上記の第1検査工程で、仮に塗覆装3自体に外損が認められなかった場合でも、精密な検査を必要とする場合がある。このクリアランス測定工程(S4)では、この様な欠陥を発見することで、検査結果の正確性を確保している。
【0026】
次に、電位調査(EPR)工程(S5)では、電圧を印加し、この電圧を測定してパイプライン1に腐蝕部等の欠陥があるか否かの確認を行い、また、欠陥がある場合に、その欠陥の程度がどの程度であるのかを見極める。つまり、欠陥が無ければ、パイプライン1の抵抗値には、初期の段階と変化がない。これに対し、欠陥があれば抵抗値が増大する。この抵抗値の増大を電圧でチェックすることで、欠陥の有無、及びその程度を検査する。
【0027】
そして、より正確な情報を得るために超音波探傷工程(S6)を実施する。この超音波探傷工程(S6)では、斜角探傷法に代表される、1つの探触子で探傷する方法により検査する。なお、この実施の形態では、第2検査工程で実施される非破壊検査の工程として、超音波探傷法を用いた場合を例に説明しているが、非破壊検査方法であれば、他の方法、例えば、X線探傷方法や磁気探傷等で探傷することを妨げるものではない。
【0028】
かかる2次検査工程の結果、パイプライン1に腐蝕などの損傷がない、又は軽微な損傷であり、この時点での補修は必要ないと判定されると、コンクリート壁5を切除しての補修を行わず、検査を終了する。検査結果の報告書等を作成する(S8)。そして、外装部分のみの簡単な補修が必要な場合には係る補修を行う。この部位については、その後、通常の経年管理(S17)とする。
【0029】
これに対し、パイプライン1に腐蝕などの損傷があると判定されると、この部分の補修を行う必要がある。補修を行うためには、作業性を確保するために、パイプライン1の周囲に関して、コンクリート壁5を除去する必要がある。本発明にかかる補修方法では、この時点ではじめてパイプライン1の周囲に関してコンクリート壁5を除去することになる(S9)。
【0030】
このコンクリート除去工程(S9)では、コンクリートはつり工法を採用することで、効率よくコンクリート壁5を除去できる。コンクリートはつり工法の代用例としては、ワイヤーソー工法、コアーラインカッター工法、ウォータージェット工法の3工法を挙げることができる。
【0031】
これらの工法について説明する。
【0032】
図5は、ワイヤーソー切断装置10の一形態を示すものである。なお、この図5は、説明の便宜のため、切断の状況を実際のものに比べてモデル的に示している。まず、ワイヤーソー工法とは、コンクリート壁5を切断する際に、ワイヤーソー15を切断の対象となるコンクリート壁5に巻き付けて切断する工法である。このワイヤーソー15を駆動する駆動装置は、図5に示すように、車輪12により移動可能に設けられた架台部11と、この架台部11に取り付けられた駆動ローラ13と、ワイヤーソー15を適宜案内している複数のガイドローラ14とから構成されている。この図5に示すワイヤーソー切断装置10では、ワイヤーソー15を複数のガイドローラ14で案内させつつ、コンクリート壁5にこのワイヤーソー15を巻き付け、ワイヤーソー15をその軸方向に送ることでコンクリート壁5を切断する。なお、この図5に示す切断の態様では、コンクリート壁5に予め孔7を貫通させておき、この孔7にワイヤーソー15を通すことでワイヤーソー15を当該コンクリート壁5に巻き付けることができるようにしている。
【0033】
このワイヤーソー切断装置10を用いた工法は、周囲にワイヤーソー切断装置10を設置することが可能なスペースが必要であるが、切断速度が極めて速く、迅速にコンクリート壁5を除去できる。
【0034】
次に、図6を参照して、コアーラインカッター工法について説明する。
【0035】
このコアーラインカッター工法に使用するコアカッター20は、切断の対象となるコンクリート壁5にコアカッター20を支持させる支持部23と、この支持部23に保持された駆動源21と、駆動源21により駆動される刃物22とから構成されている。支持部23は、コンクリート壁5の表面に突き当てられる基端面24と、この基端面24から延びる支柱25とから構成されている。駆動源21は、支柱25の軸方向に移動可能に保持されており、切断の進行に応じて、支柱25の先端から基端面24に向けて移動される。刃物22は細長い円筒状に形成されており、その内部は空洞となっている。
【0036】
このコアカッター20によれば、支持部23の基端面24をコンクリート壁5の表面に突き当て、コアカッター20をコンクリート壁5に支持させて使用される。そして、刃物22が駆動源21により回転駆動されると、コンクリート壁5には円形の孔が形成される。孔の深度に応じて、駆動源21は支柱25の軸方向に移動するので、コンクリート壁5には所望の深さの孔が形成される。
【0037】
このコアカッター20を用いたコアーラインカッター工法は、周囲にスペースがない場所においてもコンクリート壁5を除去することが可能である。また、小回りが利くため、パイプライン1の周囲の一定範囲のみを部分的に除去することも可能である。
【0038】
そして、ウォータージェット工法では、これを実施するための装置を特に図示していないが、高圧の水を、コンクリート壁5に噴射して、コンクリート壁5に孔を開けたり、コンクリート壁5に対して部分的に剥離した部分を形成する。
【0039】
このウォータージェット工法は、コンクリート壁5に関し、除去しようとする範囲以外について、コンクリート及び鉄筋に損傷を与えることがない。このため、一定範囲のコンクリート壁5を部分的に除去する場合に採用すれば、極めて効果的に作業を行える。
【0040】
なお、コンクリート壁5の除去を行う工法は、これら3種類のものに限定されるものではなく、他の工具を使用して行うことを妨げるものではない。例えば、ドリル、コンクリートハンマー、コンクリートクラッシャー、ダイヤモンドカッター、ダイヤモンドソー、ワイヤーカッター、油圧式楔打ち込み機、インパクトビットを使用することもできる。また、上記3種類の工法にこれらの工具を適宜組み合わせて使用しても良い。さらに、これの工具の他、回転掘削機、面板掘削機等の重機を使用してコンクリート壁5を切除しても良い。さらには、化学的な手法、例えば、膨張剤を使用して、コンクリート壁5を除去する方法、プラズマ破砕による方法、蒸気破砕による方法などを採用しても構わない。
【0041】
以上のようにしてコンクリート壁5を除去した後に、パイプライン1について、減肉の程度を測定し、いかなる補修を行うべきかを選定し、補修を行う。
【0042】
まず、パイプライン1に腐蝕部等の損傷部の程度を調査する(S10)。調査は、パイプライン1の健全性並びに、腐蝕及び劣化の程度を確実に行うため、以下に説明する複数のステップを経て行う。
【0043】
図7において、ハッチングを施した部分は腐蝕部であり、その周囲は損傷のない正常部である。
【0044】
ます、腐蝕部についてその大きさを決定するために、長さL及び幅Hを測定する。次いで、腐蝕部について、数カ所を任意に選択して、腐蝕の深さを、デプスゲージを用いて測定する。この際、最も深く腐蝕が進行している最大腐蝕部を含めて測定する。そして、当該腐蝕部について、写真撮影を行うと共に、腐蝕の特徴を表すことができるように、スケッチを行うと良い。
【0045】
次に、超音波板厚計等の板厚計を用いて腐蝕部及び正常部の肉厚を測定する。この場合も腐蝕部については、最も深く腐蝕が進行した最大腐蝕部を含めて複数の部位について測定する。
【0046】
これら、デプスゲージによる測定結果と板厚径の測定結果に基づいて、腐蝕部の肉厚の減少の程度を算出する。
【0047】
図8及び図9は、この算出に用いる各寸法の詳細を示すものである。図8は、パイプライン1の実際に測定された肉厚が規格肉厚よりも厚いものを示し、図9は、パイプライン1の実際に測定された肉厚が、規格肉厚よりも薄いものを示している。図8及び図9において、T1は、パイプライン1の正常部における実際に測定された肉厚(測定肉厚)を表し、Tは、規格肉厚を表す。また、T2は、腐蝕部における残存する測定された肉厚(残存肉厚)を表している。一方、これらの図において、d1は、腐蝕部に関する、実際に測定された腐蝕の深さ(測定腐蝕深さ)を表し、d2は、規格肉厚に対する腐蝕の深さ(換算腐蝕値)を表している。
【0048】
これらの文字を用いて、残肉厚及び肉厚減少率を次の式で算出している。
【0049】
(1)残肉圧=T1(測定肉厚)−d1(測定腐蝕深さ)
(2)肉厚減少率=d2(換算腐蝕値)/T(規格肉厚)×100
【0050】
そして、図1に示すように、(2)式により算出された肉厚減少率があらかじめ定められた基準減肉率である、33.1/3%よりも大きいか小さいかにより、その後の補修方法が決定される(S11)。
【0051】
肉厚減少率が基準減肉率(33.1/3%)より小さい場合には、パイプライン1の機能が損なわれる危険性は極めて低いため、塗覆装3の修繕のみで補修を終える。この場合、腐蝕の進行がそれ以上進行することを防止するために、腐食部の錆を完全に取り除き、その後に新たな塗覆装3でパイプライン1の外周面を被覆する(S12)。なお、腐蝕以外の損傷が認められる場合にも、その損傷部位にさび止め等の処置を施すなどしかるべく処置を行った後に、新たな塗覆装3でパイプライン1の外周面を被覆する。
【0052】
具体的には、錆の除去作業では、ジェットタガネ、エア式ベルトサンダー、ホイール式ブラシ等の研磨工具でパイプライン1に発生している錆を除去する。これらの研磨工具の中でも、ケレン程度、作業範囲を考慮すると、ホイール式ブラシを用いると良い。
【0053】
次に、この部分が再び腐蝕することのないように、防腐加工が施される。この工程で用いる防腐剤としては、ウレタン系プライマー又はエポキシ系プライマーが良い。これらウレタン系プライマー及びエポキシ系プライマーは粘着力が良好であるため、他の種類の防腐剤に比べ、施工効率を高めることができる。
【0054】
なお、防腐加工として、これらの防腐剤に代え、熱線シュリンクチューブ30を使用しても良い。図10及び図11は、熱線シュリンクチューブ30の概略を示し、図12は、この熱線シュリンクチューブ30で補修箇所が被覆されたパイプライン1を示している。図10及び図11に示すように、熱線シュリンクチューブ30は、シート31の全面に電熱線32が配されて構成されている。また、熱線シュリンクチューブ30には、電熱線32と接続されて、電熱線に電流を流すための端子33が延びている。シート31の両端縁には、ファスナ35が取り付けられており、このファスナ35を係合させることでチューブ状に形成される。また、ファスナ35の裏側には、円弧状に湾曲した板状のバックピース34が配置される。このバックピース34には、熱溶融型接着剤が塗布されており、熱線シュリンクチューブ30に通電して加熱させると、その外表面がファスナ35と一体化される。
【0055】
この熱線シュリンクチューブ30で防腐加工をする場合には、腐蝕部を覆うようにして、パイプライン1の外周面を被覆する。次いで、ファスナ35の裏側にバックピース34を配置してファスナ35を係合させてチューブ状にする。その後、端子33から電流を電熱線32に流して当該熱線シュリンクチューブ30を加熱する。そうすると、図12に示すように、パイプライン1の外表面に熱線シュリンクチューブ30が密着される。これにより、防腐作用を発揮する。
【0056】
このように、肉厚減少率が基準減肉率(33.1/3%)より小さい場合、パイプライン1自体を切除する必要がないので、当該パイプライン1の内部を流れるガス等の媒体を止めることなく補修作業を終えることができる。
【0057】
一方、肉厚減少率が基準減肉率(33.1/3%)より大きい場合には、対象となるパイプライン1の管径により、バンド補修又は入取替え補修のいずれかが選択される(S13)。バンド補修によるか、入取替え補修によるかは、パイプライン1の内部を流れるガスを一時的に停止させることができるか否か、導入部2の周囲に、作業者がパイプライン1の入取替えを行うだけの十分なスペースがあるか否か、入取替え補修を行うだけの作業工期を確保することができるか否か等、補修を行う際の総合的な作業環境による。そして、これらの作業環境が十分に整っている場合には入取替え補修を行い、整っていない場合には、バンド補修を行う。
【0058】
まず、バンド補修について説明する。バンド補修は、パイプライン1において腐蝕部の認められる部分を切除することなく、腐蝕部を含めるようにしてパイプライン1の外部を覆う補修方法である。図13及び図14は、補修用バンド40の一実施形態を示すものである。補修用バンド40は一定の長さを有し、断面形状が半円状に形成された1対のバンドピース41,42から構成されるものである。一対のバンドピース41,42のうち、一方のバンドピース41には、内外を貫通するエア抜き用の穴43が形成されていると共に、この穴43を密閉するプラグ44が設けられている。これらのバンドピース41,42は、図13及び図14に示すように、内側にパイプライン1が配されるようにして、これらの周方向の端縁同士が突き合わされる。突き合わされた端縁同士は溶接されて筒状に形成される。さらに、軸方向の端縁は、パイプライン1の外周面に全周が溶接される。なお、溶接の最中は、補修用バンド40内の内圧が上昇することの無いように、プラグ44は外されている。プラグ44は溶接終了後にエア抜き用の穴43にはめ込まれ、このエア抜き用の穴43を密閉する。
【0059】
これら図13及び図14に示す補修用バンド40は、軸方向の両端がテーパー状に形成されており、軸方向の中間部分40bの径が両端縁40aの径に比べ大きく形成されているが、この形状のものに限定されるものではない。例えば、径が軸方向について一律に形成されたストレートタイプのバンドを使用しても良い。
【0060】
以上の作業により、当該補修用バンド40は、パイプライン1における腐蝕部を完全に密閉する。これにより、補修用バンド40は、補修された部位への雨水等の浸入を阻止して防蝕効果を発揮すると共に、補修された部位の肉厚を当該補修用バンド40自体が担保する。その後、切除されたコンクリート壁5を再生して補修作業を終了する。
【0061】
なお、このバンド補修の場合にも、上記の塗覆装3の補修の場合と同様に、補修用バンド40で腐蝕部を覆う前に、腐蝕部の錆の除去作業及び防腐加工を行うことは勿論である。
【0062】
このバンド補修を選択した場合にも、パイプライン1自体を切除する必要がなく、当該パイプライン1の内部を流れるガスなどの媒体を止めることなく補修作業を終えることができる。
【0063】
次に、入取替え補修について説明する。入取替え補修は、腐蝕部をパイプライン1から完全に切除し、新たに、切除した部位と同形の部材を取り付ける補修方法である。この場合には、内部にガス等の媒体を流したまま作業を行うことができないので、まず、媒体の流れを、作業が終了するまでの間停止させる。次いで、補修部に対応する部位からガス等の媒体を完全に取り除く。次いで、腐蝕部がパイプライン1から取り除かれるように、腐蝕部を含めて一定の範囲をパイプライン1から切除する。その後、切除した部分と同形の部材をパイプライン1にはめ込み、これを溶接してパイプライン1を再生する。
【0064】
その後、切除されたコンクリート壁5を再生して補修作業を終了させる。
【0065】
以上の塗覆装の修繕による補修工程、バンド補修工程、及び入取替え補修工程のいずれかの補修工程が終了した後に、報告書として補修内容をまとめ報告を行う(S16)。その後、補修を終えた導入部2については、通常の経年管理が行われる。
【0066】
なお、以上に説明したパイプラインの補修方法は、ガス管を補修する場合だけでなく、水道管等、他のパイプラインに適用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の1実施形態にかかるパイプラインの補修方法の流れ図。
【図2】補修の対象となるパイプラインの側面図。
【図3】図2に示すパイプラインがコンクリート壁に導入される導入部を示す側面図。
【図4】図3に示す導入部の斜視図。
【図5】コンクリート壁の切除に用いるワイヤーソー切断装置の概要を示す図。
【図6】コンクリート壁の切除に用いるコアカッターの斜視図。
【図7】損傷部としての腐蝕部をモデル的に示す図。
【図8】肉厚減少率の算出に用いる各部の寸法を示す説明図(測定肉厚>規格肉厚)。
【図9】肉厚減少率の算出に用いる各部の寸法を示す説明図(測定肉厚<規格肉厚)。
【図10】熱線シュリンクチューブの側面図。
【図11】図10に示す熱線シュリンクチューブの斜視図。
【図12】パイプラインの外周面を被覆した状態を示す熱線シュリンクチューブの斜視図。
【図13】補修用バンドの一部を切り欠いた縦断面図。
【図14】図13に示す補修用バンドを軸方向の端部から見た図。
【符号の説明】
【0068】
1・・・・パイプライン
2・・・・導入部
3・・・・塗覆装
5・・・・コンクリート壁
10・・・ワイヤーソー切断装置
20・・・コアカッター
30・・・熱線シュリンクチューブ
40・・・補修用バンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート壁に貫通されるように設置されたパイプラインの、前記コンクリート壁内部への導入部及びコンクリート壁内部に位置する部位を補修するパイプラインの補修方法であって、
前記コンクリート壁の外側から、前記パイプライン導入部の外観を検査する1次検査工程と、
前記コンクリート壁の外側から、所定の検査手段を用いて定量的な検査を行う2次検査工程と、
前記コンクリート壁の前記パイプラインの周囲を除去し、前記コンクリート壁の内部に位置する前記パイプラインを検査する3次検査工程と、
前記1次検査工程から前記3次検査工程により発見された前記パイプラインの損傷を補修する補修工程と、を具備し、
前記1次検査工程で、予め設定された一定の基準より前記パイプラインが劣悪であると判定された場合にのみ前記2次検査工程に移行し、
前記2次検査工程で、前記パイプラインの前記導入部に損傷部があると判定された場合にのみ前記3次検査工程に移行することを特徴とするパイプラインの補修方法。
【請求項2】
前記2次検査工程では、前記導入部において、前記パイプライン又はパイプラインを被覆している塗覆装の外周面と、前記コンクリート壁との間に形成された隙間を観測する隙間観測工程と、
前記導入部の近傍に所定値の電圧を印加して、この印加された電圧を測定する電圧測定工程と、
非破壊探傷装置を使用して前記導入部の近傍について前記損傷部を探傷する非破壊探傷工程と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパイプラインの補修方法。
【請求項3】
前記3次検査工程では、前記パイプラインにおける前記損傷部の肉厚の減少率と、予め定められた基準減肉率とを比較して、前記減少率が前記基準減肉率より大きいか否かが判定され、
前記パイプラインは、前記補修工程にて、
前記減少率が前記基準減肉率より大きいと判定された際には、補修用バンドを前記損傷部の周囲を覆うことで補修するバンド補修工程又は前記損傷部を前記パイプラインから切除して、切除された部分に対応する部材を組み込んで保守する入取替え補修工程のいずれかの工程を経て補修され、
一方、前記減少率が前記基準減肉率以内であると判定された際には、前記検査対象部位に新たな塗覆装を形成して補修されることを特徴とする請求項2に記載のパイプラインの補修方法。
【請求項4】
前記バンド補修工程又は前記入取替え補修工程は、前記導入部の周囲の作業環境に応じて選定され、
前記バンド補修工程では、複数のバンドピースからなる補修バンドを前記損傷部に対応する位置にて前記パイプラインの外周部に被覆し、これらバンドピースを前記パイプラインの外周面に溶接せしめる一方で、
前記入取替え補修工程では、前記パイプラインから前記損傷部を切除し、この切除した部位に対応する部材を新たに前記パイプラインにはめ合わせて溶接することを特徴とする請求項3に記載のパイプラインの補修方法。
【請求項1】
コンクリート壁に貫通されるように設置されたパイプラインの、前記コンクリート壁内部への導入部及びコンクリート壁内部に位置する部位を補修するパイプラインの補修方法であって、
前記コンクリート壁の外側から、前記パイプライン導入部の外観を検査する1次検査工程と、
前記コンクリート壁の外側から、所定の検査手段を用いて定量的な検査を行う2次検査工程と、
前記コンクリート壁の前記パイプラインの周囲を除去し、前記コンクリート壁の内部に位置する前記パイプラインを検査する3次検査工程と、
前記1次検査工程から前記3次検査工程により発見された前記パイプラインの損傷を補修する補修工程と、を具備し、
前記1次検査工程で、予め設定された一定の基準より前記パイプラインが劣悪であると判定された場合にのみ前記2次検査工程に移行し、
前記2次検査工程で、前記パイプラインの前記導入部に損傷部があると判定された場合にのみ前記3次検査工程に移行することを特徴とするパイプラインの補修方法。
【請求項2】
前記2次検査工程では、前記導入部において、前記パイプライン又はパイプラインを被覆している塗覆装の外周面と、前記コンクリート壁との間に形成された隙間を観測する隙間観測工程と、
前記導入部の近傍に所定値の電圧を印加して、この印加された電圧を測定する電圧測定工程と、
非破壊探傷装置を使用して前記導入部の近傍について前記損傷部を探傷する非破壊探傷工程と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパイプラインの補修方法。
【請求項3】
前記3次検査工程では、前記パイプラインにおける前記損傷部の肉厚の減少率と、予め定められた基準減肉率とを比較して、前記減少率が前記基準減肉率より大きいか否かが判定され、
前記パイプラインは、前記補修工程にて、
前記減少率が前記基準減肉率より大きいと判定された際には、補修用バンドを前記損傷部の周囲を覆うことで補修するバンド補修工程又は前記損傷部を前記パイプラインから切除して、切除された部分に対応する部材を組み込んで保守する入取替え補修工程のいずれかの工程を経て補修され、
一方、前記減少率が前記基準減肉率以内であると判定された際には、前記検査対象部位に新たな塗覆装を形成して補修されることを特徴とする請求項2に記載のパイプラインの補修方法。
【請求項4】
前記バンド補修工程又は前記入取替え補修工程は、前記導入部の周囲の作業環境に応じて選定され、
前記バンド補修工程では、複数のバンドピースからなる補修バンドを前記損傷部に対応する位置にて前記パイプラインの外周部に被覆し、これらバンドピースを前記パイプラインの外周面に溶接せしめる一方で、
前記入取替え補修工程では、前記パイプラインから前記損傷部を切除し、この切除した部位に対応する部材を新たに前記パイプラインにはめ合わせて溶接することを特徴とする請求項3に記載のパイプラインの補修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−112525(P2006−112525A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300542(P2004−300542)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000231132)JFE工建株式会社 (54)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000231132)JFE工建株式会社 (54)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】
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