説明

パイプ切断具

【課題】簡単な作業で外径の異なるパイプを切断することができるパイプ切断具を提供する。
【解決手段】パイプ999に巻き付く円弧状部材121、122と、円弧状部材121に第1の軸支部141aで軸支された第1のアーム141と、被当接部142cが当接部141cに外側から当接した状態で、円弧状部材121に第2の軸支部142aで軸支され、第1のアーム141の揺動と連動して揺動する第2のアーム142と、第1のローラ取付部141b、第2のローラ取付部142bに回転自在に取り付けられたローラ145、146と、回転自在に配設された回転刃155を有する。このため、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置を同時に調整することができ、簡単な作業で外径の異なるパイプを切断することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製等のパイプを切断するための工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から樹脂製のパイプを切断するための工具として、特許文献1に示されるようなパイプ切断装置が知られている。このパイプ切断装置は、被切断パイプの周囲に巻き付き且つその回りを回転移動することができる環状形部材を有し、この環状部材に回転自在に保持された回転刃を有していて、駆動部で前記円弧状部材を回転させることによりパイプを自動的に前記回転刃で切断する工具である。前記環状部材は互いに着脱自在に枢着連結された複数のセグメント要素から構成され、外径の異なるパイプを切断する際には、前記セグメント要素の数を増減させることにより前記円弧状部材の内径を調整していた。しかしながら、前記セグメント要素の数を増減させるには、隣接するセグメントを連結する枢着ピンを抜き差しする必要があることから、多大な労力を要していた。
【0003】
一方で、特許文献2に示されるように、円弧状の本体に、円弧状の揺動アームを揺動可能に取り付けるとともに回転刃を取り付け、更に、前記本体の内側に1個のローラを取り付けるとともに、前記揺動アームの内側に2個のローラを取り付け、前記本体に前記揺動アームを外側から押圧する調整ネジを設けたパイプカッタが提案されている。このパイプカッタは、前記調整ネジを回転させることにより、揺動アームの本体に対する進出量を調整することができるので、簡単な作業で外径の異なるパイプを、本体及び揺動アームに取り付けられた3個ローラで挟むことができる。しかしながら、特許文献2に示されるパイプカッタは、手動で本体を回転させて前記回転刃でパイプを切断するため、本体の円弧の中心と、本体及び揺動アームに取り付けられた3個ローラで挟まれたパイプの中心の位置が一致していなくても問題が無いが、手動でなく、自動で回転刃が取り付けられた本体を回転させて、パイプを前記回転刃で切断しようとすると、本体の円弧の中心と、本体及び揺動アームに取り付けられた3個ローラで挟まれたパイプの中心の位置が一致せず偏心しているので、本体を回転させると、本体が激しく振動し大変危険である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2831106号公報
【特許文献2】実開平7−15217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決し、簡単な作業で外径の異なるパイプを切断することができるパイプ切断具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、切断するパイプの外周に回転可能に取り付けられ、パイプの外周面と当接する切断刃を保持するパイプ切断具本体と、前記パイプ切断具本体に装着されて、パイプに取り付けられた状態の前記パイプ切断具本体を回転させる駆動部とから構成され、前記切断刃をパイプの外周上に沿って移動させてパイプを切断するパイプ切断具において、
前記パイプ切断具本体は、
パイプの外周に配設される1又は複数の円弧状部材と、
前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退可能に、前記円弧状部材の内縁に沿って配設された第1のアームと、
前記第1のアームと対向し、前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退可能に、前記円弧状部材の内縁に沿って配設された第2のアームと、
前記第1のアームに回転自在に取り付けられた1又は複数の第1のアームローラと、
前記第2のアームに回転自在に取り付けられた1又は複数の第2のアームローラと、
前記第1のアームの、前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向への進出位置を調整する調整部材と、
前記第1のアームの前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向への進退動と連動して、前記第2のアームを前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退動させる連動機構とを有し、
前記調整部材を操作することにより、前記第1のアームと第2のアームの離間寸法を調整し、前記第1のアームローラ及び第2のアームローラでパイプを挟持して、前記パイプ切断具本体をパイプの外周に回転可能に取り付けるように構成し、
前記第1のアーム及び第2のアームの位置に関わらず、前記円弧状部材で囲まれる領域の重心位置と、前記第1のアームローラ及び第2のアームローラと当接する内接円の中心位置とが略同一となるように構成したことを特徴とするパイプ切断具。
【0007】
請求項1に記載の発明の具体的な構成の一例として、以下のようにパイプ切断具を構成しても差し支えない。
第1のアームは、第1の軸支部と、この第1の軸支部から延出し第1のアームローラを回転自在に取り付ける第1のローラ取付部と、前記第1の軸支部から前記第1のローラ取付部の延出方向と反対方向に延出する当接部とから構成され、
第2のアームは、第2の軸支部と、この第2の軸支部から延出し第2のアームローラを回転自在に取り付ける第2のローラ取付部と、前記第2の軸支部から前記第2のローラ取付部の延出方向と反対方向に延出する被当接部とから構成され、
第1のアームは、前記第1の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記第2のローラ取付部が前記第1のローラ取付部に対向した状態で、第2のアームは前記第2の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記被当接部を前記当接部に外側から当接させて連動機構を構成する。
【0008】
請求項1に記載の発明の具体的な構成の一例として、以下のようにパイプ切断具を構成しても差し支えない。
第1のアームは、第1の軸支部と、この第1の軸支部から延出し第1のアームローラを回転自在に取り付ける第1のローラ取付部と、前記第1の軸支部から前記第1のローラ取付部の延出方向と反対方向に延出する当接部とから構成され、
第2のアームは、第2の軸支部と、この第2の軸支部から延出し第2のアームローラを回転自在に取り付ける第2のローラ取付部と、前記第2の軸支部から前記第2のローラ取付部の延出方向と反対方向に二股に延出する被当接部とから構成され、
第1のアームは前記第1の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記第2のローラ取付部が前記第1のローラ取付部に対向した状態で、第2のアームは前記第2の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記二股状の被当接部で、前記当接部を挟んで連動機構を構成する。
【0009】
請求項1に記載の発明の具体的な構成の一例として、以下のようにパイプ切断具を構成しても差し支えない。
第1のアームは、第1の軸支部と、この第1の軸支部から延出し第1のアームローラを回転自在に取り付ける第1のローラ取付部と、前記第1の軸支部から前記第1のローラ取付部の延出方向と反対方向に同心円弧状に形成された第1のギアを有する第1のギア部とから構成され、
第2のアームは、第2の軸支部と、この第2の軸支部から延出し第2のアームローラを回転自在に取り付ける第2のローラ取付部と、前記第2の軸支部から前記第2のローラ取付部の延出方向と反対方向に同心円弧状に形成された第2のギアを有する第2のギア部とから構成され、
第1のアームは、前記第1の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記第2のローラ取付部が前記第1のローラ取付部に対向した状態で、第2のアームは前記第2の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記第1のギアと前記第2のギアを噛合させて連動機構を構成する。
【0010】
請求項1に記載の発明の具体的な構成の一例として、以下のようにパイプ切断具を構成しても差し支えない。
第1のアームは、第1の軸支部と、この第1の軸支部から延出し第1のアームローラを回転自在に取り付ける第1のローラ取付部と、前記第1の軸支部から前記第1のローラ取付部の延出方向と反対方向に延出する第1の延出部とから構成され、
第2のアームは、第2の軸支部と、この第2の軸支部から延出し第2のアームローラを回転自在に取り付ける第2のローラ取付部と、前記第2の軸支部から前記第2のローラ取付部の延出方向と反対方向に延出する第2の延出部とから構成され、
第1のアームは前記第1の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記第2のローラ取付部が前記第1のローラ取付部に対向した状態で、第2のアームは前記第2の軸支部で円弧状部材に揺動可能に軸支され、
前記第1の延出部と第2の延出部を、連結リンクでピン結合して連動機構を構成する。
【0011】
請求項1に記載の発明の具体的な構成の一例として、以下のようにパイプ切断具を構成しても差し支えない。
第1のアームと第2のアームは、スライド可能に円弧状部材に配設され、
調整部材は、円弧状部材に回転可能に取り付けられた軸部を有し、
前記軸部の一端側から中間側に第1のネジ山が螺刻され、前記軸部の他端側から中間側に第2のネジ山が前記第1のネジ山の螺刻方向と反対方向に螺刻され、
第1のアームの基部には、前記第1のネジ山と螺合する第1のネジ穴が連通形成され、
第2のアームの基部には、前記第2のネジ山と螺合する第2のネジ穴が連通形成され、
前記第1のネジ山を前記第1のネジ穴に螺合させつつ、前記第2のネジ山を前記第2のネジ穴に螺合させた状態で、前記軸部を前記第1のネジ穴及び前記第2のネジ穴に貫通させて連動機構を構成する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、円弧状部材には、歯先、歯面、歯底が環状又は円弧状に順次連続するように形成されたギア部と、円状又は円弧状の摺動内縁と、円状又は円弧状の摺動外縁が同心状に設けられ、
駆動部は、
各部材が取り付けられる筐体と、
円盤状であり、外縁に係合溝が全周に形成され、前記筐体に回転自在に取り付けられたローラホイールと、
前記ローラホイールの前記係合溝内に、前記ローラホイールの回転中心から同一半径に、所定角度をおいて、回転自在に取り付けられた複数の係合ローラと、
前記ローラホイールに隣接して前記筐体に回転自在に配設された摺動ローラを有し、
前記ローラホイールと前記摺動ローラが、それぞれ、前記摺動外縁と前記摺動内縁、又は、前記摺動内縁と前記摺動外縁と当接することにより、前記ローラホイールと前記摺動ローラで前記摺動外縁と前記摺動内縁を挟持し、
前記係合ローラが前記ギア部の歯面及び歯底と係合するように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
駆動部に、ローラホイールの一方向の回転を阻止するためのワンウェイクラッチを設けるとともに、
前記筐体にハンドルを設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、
切断刃は、パイプ切断具本体に回転自在に取り付けられた回転刃であり、
前記回転刃の回転軸と同軸に、外周面に凹凸処理部が形成された刻印ローラを回転自在に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は、切断するパイプの外周に回転可能に取り付けられ、パイプの外周面と当接する切断刃を保持するパイプ切断具本体と、パイプに取り付けられた状態の前記パイプ切断具本体を回転させる駆動部とから構成され、前記切断刃をパイプの外周上に沿って移動させてパイプを切断するパイプ切断具において、
前記パイプ切断具本体は、パイプの外周に配設される1又は複数の円弧状部材と、
前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退可能に、前記円弧状部材の内縁に沿って配設された第1のアームと、前記第1のアームと対向し、前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退可能に、前記円弧状部材の内縁に沿って配設された第2のアームと、前記第1のアームに回転自在に取り付けられた1又は複数の第1のアームローラと、前記第2のアームに回転自在に取り付けられた1又は複数の第2のアームローラと、前記第1のアームの、前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向への進出位置を調整する調整部材と、前記第1のアームの前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向への進退動と連動して、前記第2のアームを前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退動させる連動機構とを有し、前記調整部材を操作することにより、前記第1のアームと第2のアームの離間寸法を調整し、前記第1のアームローラ及び第2のアームローラでパイプを挟持して、前記パイプ切断具本体をパイプの外周に回転可能に取り付けるように構成し、
前記第1のアーム及び第2のアームの位置に関わらず、前記円弧状部材で囲まれる領域の重心位置と、前記第1のアームローラ及び第2のアームローラと当接する内接円の中心位置とが略同一となるように構成したことを特徴とする。
このため、前記調整部材で、第1のアーム及び第2のアームの円弧状部材の内縁からの進出位置を同時に調整することにより、簡単な作業で、異なる外径のパイプに、前記パイプ切断具本体を取り付けることが可能となり、異なる外径のパイプを切断する際の作業性を大幅に向上させることが可能となる。
また、パイプ切断具本体の回転中心とパイプの中心位置が偏心することなく略一致し、パイプ切断具本体を回転させた場合に、パイプ切断具本体の振動を抑制することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、円弧状部材には、歯先、歯面、歯底が環状又は円弧状に順次連続するように形成されたギア部と、円状又は円弧状の摺動内縁と、円状又は円弧状の摺動外縁が同心状に設けられ、駆動部は、各部材が取り付けられる筐体と、円盤状であり、外縁に係合溝が全周に形成され、前記筐体に回転自在に取り付けられたローラホイールと、前記ローラホイールの前記係合溝内に、前記ローラホイールの回転中心から同一半径に、所定角度をおいて、回転自在に取り付けられた複数の係合ローラと、前記ローラホイールに隣接して前記筐体に回転自在に配設された摺動ローラを有し、前記ローラホイールと前記摺動ローラが、それぞれ、前記摺動外縁と前記摺動内縁、又は、前記摺動内縁と前記摺動外縁と当接することにより、前記ローラホイールと前記摺動ローラで前記摺動外縁と前記摺動内縁を挟持し、前記係合ローラが前記ギア部の歯面及び歯底と係合するように構成したことを特徴とする。
このため、ローラホイールと摺動ローラで摺動内縁及び摺動外縁を挟持していることから、駆動部をパイプ切断具本体に確実に取り付けることができ、パイプ切断具本体を駆動部で円滑に回転させることが可能となる。
また、係合ローラが適度なバックラッシをもってギア部の歯面に係合するので、例えば、本パイプ切断具の製作精度の影響や、パイプ切断具本体を落下させてしまうなどして、隣接する歯先のピッチが多少ずれたとしても、係合ローラが適度なバックラッシをもってギア部の歯面に係合し、円滑にパイプ切断具を回転させることができ、継続してパイプを切断することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、駆動部に、ローラホイールの一方向の回転を阻止するためのワンウェイクラッチを設けるとともに、前記筐体にハンドルを設けたことを特徴とする。
このため、作業者がハンドルを握って、駆動部をパイプ切断具本体に対して一方向に回動させて、他方向に回動させるという往復動作を繰り返すことによって、パイプ切断具本体を回転させてパイプを切断することができる。例えば、動力源を駆動させる電源が無い場合や動力源を駆動させるバッテリーが無くなった場合であっても、パイプを切断することが可能となり、便利である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、切断刃は、パイプ切断具本体に回転自在に取り付けられた回転刃であり、前記回転刃の回転軸と同軸に、外周面に凹凸処理部が形成された刻印ローラを回転自在に取り付けたことを特徴とする。
このため、パイプが回転刃で切断された際に、回転刃と同軸に取付られた刻印ローラがパイプ表面と当接して刻印線が刻まれるので、前記刻印線を目視することにより切断完了の判断が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態のパイプ切断具の上面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】パイプ切断具本体の説明図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】円弧状部材を開いた状態のパイプ切断具本体の説明図である。
【図6】小径のパイプを切断する状態のパイプ切断具本体の説明図である。
【図7】駆動部の説明図である。
【図8】第2の実施形態のパイプ切断具本体の断面図である。
【図9】第3の実施形態のパイプ切断具本体の断面図である。
【図10】第4の実施形態のパイプ切断具本体の断面図である。
【図11】第5の実施形態のパイプ切断具本体の断面図である。
【図12】第6の実施形態のパイプ切断具本体の断面図である。
【図13】第6の実施形態のパイプ切断具本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態(第1の実施形態)を示す。図1や図2に示されるように、本発明のパイプ切断具500は、パイプ999に巻き付いて取り付けられ、パイプ999の外周上に沿って公転してパイプ999を切断する回転刃155を有するパイプ切断具本体100と、このパイプ切断工具100に装着されて、パイプ999に取り付けられた状態のパイプ切断具本体100を回転させて、回転刃155を公転させる駆動部200とから構成されている。
【0021】
(パイプ切断具本体の説明)
図3〜図6に示されるように、パイプ切断具本体100は、主に円弧状部材121、122、ギア部材131、第1のアーム141、第2のアーム142、第1のアームローラ145、第2のアームローラ146、調整部材147、回転刃支持アーム151、回転刃155、送りギア部材156、ラッチ部材161とから構成されている。
【0022】
円弧状部材121、122は、円弧形状である。円弧状部材121、122は、互いに両端で接合されて環状となり、パイプ999に巻き付いて、パイプ999の外周に配設されるようになっている。本実施形態では、図5に示されるように、円弧状部材121と円弧状部材122の一端は、互いに回動可能に軸支され、円弧状部材121の他端には、円弧状部材122の他端と係合するラッチ161が取り付けられている。ラッチ161を円弧状部材122の他端に係合させると(図3や図4の状態)、円弧状部材121と円弧状部材122が閉じた状態が維持されるようになっている。
【0023】
図3に示されるように、円弧状部材121及び円弧状部材122の上面には、円弧状で板状のギア部材131が取り付けられている。ギア部材131の外縁は、歯先131c、歯面131e、歯底131dが順次形成され、ギア部131aとなっている。歯底131dは、曲率半径が一定の円弧状となっている。ギア部材131の内縁は、円弧状の摺動内縁131bが形成されている。また、円弧状部材121、122のギア部材131の取り付け部分には、円弧状の摺動外縁121b、122bが形成されている。円弧状部材121と円弧状部材122を環状に閉じた状態では、図1や図3に示されるように、各円弧状部材121、122に取り付けられたギア部材131も環状に閉じられる。この状態では、各ギア部材131に形成された各ギア部131aも閉じられて環状に連続するようになっている。また、各ギア部材131に形成された各摺動内縁131bが閉じられて円形状となる。また、更に、各円弧状部材121、122に形成された摺動外縁121b、122bも円形状となる。この状態では、ギア部131a、摺動外縁121b、122b、摺動内縁131bは、同心となっている。
【0024】
図4の(A)に示されるように、第1のアーム141は円弧状である。第1のアーム141の途中部分には、第1の軸支部141aが形成されている。第1の軸支部141aからは、円弧状に第1のローラ取付部141bが延出している。また、第1の軸支部141aからは、第1のローラ取付部141bの延出方向と反対側に当接部141cが延出している。第1のアーム141は、第1のローラ取付部141b及び当接部141cが円弧状部材121の内縁に沿うように、第1の軸支部141aで円弧状部材121に揺動可能に軸支されて取り付けられている。このような構造により、第1のローラ取付部141bは、円弧状部材121の内縁から円弧中心方向に進退動可能となっている。
【0025】
図4の(A)に示されるように、第1のローラ取付部141bの方が当接部141cよりも長くなっている。第1のローラ取付部141bの先端及び途中部分には、第1のアームローラ145が回転自在に取り付けられている。図4の(C)に示されるように、当接部141cは第1の軸支部141aから二股状に延出していて互いに相対している。相対している当接部141cの先端には、ピン148が取り付けられている。前記ピン148には、当接ローラ149が取り付けられている。なお、当接部141cとピン148及び当接ローラ149を一体にした構造であっても差し支えない。
【0026】
図4の(A)に示されるように、第2のアーム142は円弧状である。第2のアーム142の途中部分には、第2の軸支部142aが形成されている。第2の軸支部142aからは、円弧状に第2のローラ取付部142bが延出している。また、第2の軸支部142aからは、第2のローラ取付部142bの延出方向と反対側に被当接部142cが延出している。第2のローラ取付部142bが第1のローラ取付部141bと対向した状態で、第2のローラ取付部142b及び被当接部142cが円弧状部材121の内縁に沿うように、第2の軸支部142aで円弧状部材121に揺動可能に軸支されて取り付けられている。このような構造により、第2のローラ取付部142bは、円弧状部材121の内縁から円弧中心方向に進退動可能となっている。
【0027】
第2のローラ取付部142bの先端には、第2のアームローラ146が回転自在に取り付けられている。被当接部142cの途中部分は、内側(円弧状部材121の円弧中心側)に屈曲していて、被当接部142cの屈曲している部分よりも先端の内側には、平滑な接触面142dが形成されている。図4の(A)に示されるように、第2のアーム142の接触面142dは、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられた当接ローラ149と外側から当接している。このため、第2のアーム142は、第1のアーム141の揺動と連動して揺動するようになっている。
【0028】
図4の(A)に示されるように、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bの外側には、円弧状部材121に取り付けられたコイルスプリング171(付勢部材)が固着し、第2のローラ取付部142bが、これと対向する円弧状部材121側に牽引されている。なお、第2のローラ取付部142bを、これと対向する円弧状部材121側に牽引する付勢部材は、コイルスプリングに限定されず、ゴム等の弾性体や、トーションスプリング等の付勢部材であっても差し支えない。
【0029】
調整部材147は、外周にネジ山が螺刻されたネジ部147aと、ネジ部147aの基端に取り付けられた握持部147bとから構成されている。第1のアーム141の第1のローラ取付部141bと対面する位置の円弧状部材121には、外縁から内側に向かって、ネジ穴121aが連通形成されている。ネジ穴121aには、調整部材147のネジ部147aが螺入している、調整部材147のネジ部147aの先端は、第1のアーム141の第1のローラ取付部141bの外縁を押圧するようになっている。作業者が握持部147bを握って、調整部材147を回転させることにより、円弧状部材121の内縁からの第1のローラ取付部141bの進出量(揺動部材の揺動位置)を調整することができるようになっている。
【0030】
図6に示されるように、調整部材147をねじ込む方向に回転させると、第1のアーム141が揺動して、第1のローラ取付部141bが円弧状部材121の内縁から円弧中心側に進出する。このように第1のアーム141が揺動すると、第2のアーム142の接触面142dが、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられた当接ローラ149で押圧されて、図6に示されるように、第2のアーム142が揺動して、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bが円弧状部材121の内縁から円弧中心側に進出する。なお、第1のアーム141と第2のアーム142は円弧状部材121に第1の軸支部141aと第2の軸支部142aにより軸支されているから、図5に示すように、円弧状部材121と円弧状部材122が開いた状態でも、パイプ999を保持でき、パイプ切断具本体100は安定的にパイプ999に取り付けられている。この図5の状態で駆動部200をパイプ切断具本体100に取り付けることができる。
【0031】
一方で、調整部材147を緩める方向に回転させると、第1のローラ取付部141bの調整部材147のネジ部147aの先端による押圧が解除され、第2のローラ取付部142bが、コイルスプリング171により円弧状部材121側に牽引されて引き込まれるとともに、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられた当接ローラ149が、第2のアーム142の接触面142dで押圧されて、第1のアーム141が揺動して、第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが円弧状部材121側に引き込まれる。本実施形態では、第2のローラ取付部142bを、これと対向する円弧状部材121側に牽引するコイルスプリング171を設けたので、調節部材147を緩める方向に回転させると、第2のアーム142の第2のローラ取付部142b及び第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが同時に円弧状部材121側に引き込まれるので、パイプ999を第1のアーム141及び第2のアーム142に取り付けられたローラ145、146で挟んで、パイプ切断具本体100をパイプ999に取り付ける際に、作業者が第1のアーム141及び第2のアーム142の第1のローラ取付部141b及び第2のローラ取付部142bを、別作業で拡げる必要がなく、簡単な作業でパイプ切断具本体100をパイプ999に取り付けることが可能となる。
【0032】
本発明では、環状となった円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域の重心位置(言い換えると全てのギア部材131で囲まれる円の重心位置)と、2つの第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置に関わらず、常に略同一となるように、第1のローラ取付部141bの形状、第1のアームローラ145の取付位置、第1のローラ取付部141bの長さに対する当接部141cの長さ、第1のローラ取付部141b及び当接部141cの第1の軸支部141aからの角度、第2のローラ取付部142bの形状、第2のアームローラ146の取付位置、第2のローラ取付部142bの長さに対する被当接部142cの長さ、第2のローラ取付部142b及び被当接部142cの第2の軸支部142aからの角度、接触面142dの形状を設定している。
【0033】
回転刃155は円盤形状であり、外縁に切り込み刃が形成されている。回転刃155は、回転刃支持アーム151を介して、円弧状部材122に取り付けられている。図4に示されるように、回転刃支持アーム151は円弧状である。回転刃支持アーム151の基端には、軸支部151aが形成されている。回転刃支持アーム151は、円弧状部材122の内縁に沿って、軸支部151aで円弧状部材122に揺動可能に軸支されて取り付けられている。回転刃支持アーム151は、軸支部151aを中心に、円弧状部材122の内縁から円弧中心側に揺動するようになっている。回転刃支持アーム151の先端には、回転刃155が回転自在に取り付けられている。
【0034】
図4の(A)や(B)に示されるように、回転刃支持アーム151の先端には、回転刃155と同軸に刻印ローラ159が回転自在に取り付けられている。刻印ローラ159の直径は、回転刃支持アーム151の先端の幅(半円形状の直径)寸法より大きくなっている。刻印ローラ159の外周面には、ローレット加工等の凹凸処理が形成されている。
【0035】
図4の(A)に示されるように、回転刃支持アーム151の外縁には、円弧状部材122に取り付けられたコイルスプリング172が固着し、回転刃支持アーム151がこれと対向する円弧状部材122側に牽引されるようになっている。
【0036】
図4の(A)や(B)に示されるように、回転刃支持アーム151の途中部分には、回転刃支持アーム151の外縁から内縁に連通する連通穴151bが形成されている。回転刃支持アーム151の連通穴151b内に、接続部材181が取り付けられている。接続部材181にはネジ穴181aが連通形成されている。送りギア部材156は、ネジ部156aと、軸部156bと、軸部156bの基端に取り付けられた送りギア156cとから構成されている。図4の(A)に示されるように、回転刃支持アーム151の連通穴151bに対面する位置の円弧状部材122には、連通軸穴122aが連通形成されている。ネジ部156aが接続部材181のネジ穴181aに螺入し、軸部156bが連通軸穴122aに挿通された状態で、送りギア部材156が、円弧状部材122に回転自在に取り付けられている。送りギア156cが回転し、ネジ部156aが回転すると、接続部材181はネジ部156aの軸線方向に移動し、回転刃支持アーム151が揺動するようになっている。
【0037】
(駆動部の説明)
図7を用いて、以下、駆動部200の説明をする。駆動部200は、主に、筐体210、カバー部材215、大径ギア221、小径ギア222、駆動軸223、ワンウェイクラッチ225、ローラホイール231、係合ローラ232、送り突起241、摺動ローラ251、ハンドル260とから構成されている。
【0038】
筐体210の基端には、ハンドル260が取り付けられている。筐体210内には、大径ギア221と小径ギア222が互いに噛合した状態で回転自在に収納されて取り付けられている。筐体210の開口部には、カバー部材215が被着している。駆動軸223は、小径ギア222と同軸に配設され、小径ギア222に固着している。図7に示される実施形態では、駆動軸223は、小径ギア222の軸穴222a内に挿通して、小径ギア222に固着している。駆動軸223は、カバー部材215から進出している。
【0039】
大径ギア221の中心には、軸穴221aが連通形成されている。大径ギア221の軸穴221a内には、ワンウェイクラッチ225が取り付けられている。ワンウェイクラッチ225の内部には、軸部材224が挿入されている。ワンウェイクラッチ225により、大径ギア221と軸部材224とは、一方向は供回りするが、他方向には空転するようになっている。軸部材224には、円盤状のローラホイール231が取り付けられている。図7に示される実施形態では、ローラホイール231の軸穴231b内に、軸部材224が挿通して、ローラホイール231が軸部材224に固着している。図7の(B)に示されるように、ローラホイール231の外縁には、係合溝231aが全周にわたって凹陥形成されている。係合溝231aの幅寸法は、ギア部材131のギア部131aの歯先131cの厚さ寸法よりも僅かに大きくなっている。図7の(A)、(B)に示されるように、ローラホイール231の係合溝231a内には、ローラホイール231の回転中心から同一半径に、所定角度をおいて、複数の係合ローラ232が回転自在に取り付けられている。係合ローラ232の半径は、ギア部材131のギア部131aの歯底131dの曲率半径よりも小さくなっている。軸部材224の先端には、送り突起241が取り付けられている。
【0040】
筐体210のローラホイール231に隣接する位置には(図7において筐体210の先端)、複数(図7に示される実施形態では2つ)の摺動ローラ251が回転自在に取り付けられている。摺動ローラ251の外周面には、全周にわたって係合溝251aが形成されている。係合溝251aの幅寸法は、ギア部材131の摺動内縁131bの厚さ寸法よりも僅かに大きくなっている。
【0041】
(パイプ切断具の使用方法の説明)
次に、本発明のパイプ切断具500の使用方法について説明する。図5示されるように、円弧状部材121と円弧状部材121を開いて、円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域内に、パイプ999が入るように、パイプ切断具本体100を移動させる。
次に、握持部147をねじ込む方向に回転させて、第1のローラ取付部141bと第2のローラ取付部142bとの離間寸法を調整し、第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146をパイプ999の外表面に当接させて、第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146で挟持し、パイプ切断具本体100をパイプ999に回転可能に取り付ける。
【0042】
次に、図2、図7に示されるように、駆動部200のローラホイール231の係合溝231aにギア部131aの歯先131cを入れて、係合ローラ232をギア部131aの歯面131eや歯底131dに係合させるともに、駆動部200の摺動ローラ251の係合溝251aをギア部材131の摺動内縁131bに係合させて、駆動部200をパイプ切断具本体100に装着する。この状態では、ローラホイール231の外縁は、円弧状部材121、122に形成された摺動外縁121b、122cに当接している。このように、摺動外縁121b、122c及びギア部材131の摺動内縁131bがローラホイール231の外縁と摺動ローラ251で挟持されているので、駆動部200がパイプ切断具本体100から外れないようになっている。
次に、図1に示されるように、円弧状部材121と円弧状部材122を閉じて、ラッチ部材161を円弧状部材122の他端に係合させて、パイプ999にパイプ切断具本体100を巻き付ける。この状態で、駆動軸223を図示しない電動ドリルドライバー等の動力源のチャックでチャックする。
【0043】
ハンドル260を作業者が握った状態で、前記動力源を駆動させると、駆動軸223が回転されて、小径ギア222及び大径ギア221で減速されて、ローラホイール231が回転する。ローラホイール231が回転すると、順次、係合ローラ232がギア部131aの歯面131eを押圧し、パイプ切断具本体100が回転して、回転刃155がパイプ999の外周上に沿って公転する。パイプ切断工具100が回転し、パイプ切断具本体100の送りギア156cが駆動部200の送り突起241を通過する際に、送りギア156cが送り突起241と接触して、送りギア156cが所定角度回転する。送りギア156cが回転すると、回転刃支持アーム151が僅かに円弧状部材122の内側に揺動して、回転刃155がパイプ999の中心側に送られ、パイプ999が切り込まれる。駆動部200でパイプ切断具本体100を回転させ続けると、徐々に回転刃155がパイプ999の中心側に送られて、パイプ999に切り込み、パイプ999が切断される。
【0044】
通常、パイプ999の切断完了はパイプ999が2分割されることにより判断されるが、埋設されたパイプ999のように両端が固定された状態では目視にてパイプ999が2分割されたかどうか判りにくい場合がある。しかし、パイプ999が回転刃155で切断された際に、回転刃155と同軸に取付られた刻印ローラ159がパイプ999表面と当接して刻印線が刻まれる。このため、作業者は前記刻印線を目視することにより切断完了の判断ができるようになっている。
【0045】
本発明では、切断するパイプ999の外径が変わったとしても、環状となった円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域の中心位置と、第1のローラ取付部141bに取り付けられた2つの第1のアームローラ145及び第2のローラ取付部142bに取り付けられた第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置に関わらず、常に略同一となるように構成したので、パイプ999に取り付けられたパイプ切断具本体100の回転中心とパイプ999の中心位置が偏心することなく略一致し、駆動部200でパイプ切断具本体100を回転させたとしても、パイプ切断具本体100の振動が抑止され、安全であり、円滑にパイプ999を切断することが可能となる。
【0046】
本実施形態では、ローラホイール231の外縁と摺動ローラ251で、それぞれ、摺動外縁121b、122b及びギア部材131の摺動内縁131bを挟持しているので、駆動部200がパイプ切断具本体100から外れることなく円滑に、パイプ切断具本体100を回転させることができるようになっている。また、ギア部131aの歯底131dを曲率半径が一定の円弧で形成し、この歯底131dに、断面形状が円形状で半径が歯底131dの曲率半径よりも小さい係合ローラ232を順次係合させることにしたので、円滑に係合ローラ232が適度なバックラッシをもってギア部131aの歯面131eに当接し、円滑にパイプ切断具100を回転させることが可能となる。また、例えば、本パイプ切断具の製作精度の影響や、パイプ切断具本体を落下させてしまうなどして、隣接する歯先131cのピッチが多少ずれたとしても、係合ローラ232が適度なバックラッシをもってギア部131aの歯面131eと当接し、円滑にパイプ切断具100を回転させることができ、継続してパイプ999を切断することが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態では、駆動部200にワンウェイクラッチ225を設けたので、駆動軸223の回転を阻止する図示しないアタッチメントを、駆動軸223に被せて筐体210に取り付けると、大径ギア221の回転が阻止されて、ローラホイール231の一方向の回転が阻止されるが、ローラホイール231の反対方向の回転は阻止されない。このため、作業者がハンドル260を握って、駆動部200をパイプ切断具本体100に対して一方向に回動させて、他方向に回動させるという往復動作を繰り返すことによって、パイプ切断具本体100を一方向に回転させることができ、例えば、動力源を駆動させる電源が無い場合や動力源を駆動させるバッテリーが無くなった場合であっても、パイプ999を切断することができるようになっている。
【0048】
なお、以上説明した実施形態では、第1のアーム141に2つの第1のアームローラ145を取り付け、第2のアーム142に1つの第2のアームローラ146を取り付けているが、第1のアーム141に1つや3つ以上の第1のアームローラ145を取り付け、第2のアーム142に2つ以上の第2のアームローラ146を取り付けた実施形態であっても差し支えない。この構造であっても、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置に関わらず、円弧状部材121と円弧状部材122により囲まれる領域の重心位置と、第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、常に略同一に構成される。
【0049】
図7に示される実施形態では、駆動部200は、大径ギア221及び小径ギア222を有していて、動力源による回転が減速されて回転トルクが増加するようになっているが、動力源の回転トルクが大きい場合には、軸部材224をカバー部材215から進出させて、軸部材224を直接動力源でチャックするような構成にしても差し支えない。
【0050】
なお、本実施形態では、ギア部材131の外縁側にギア部131aを形成し、ギア部材131の内縁側に摺動内縁131bを形成しているが、ギア部材131の外縁側に摺動外縁を形成し、ギア部材131の内縁側にギア部を形成し、更に、円弧状部材121、122に摺動内縁を形成した構成であっても差し支えない。この構成の場合には、ローラホイール231は筐体210の先端側に配設され、摺動ローラ251は筐体210の基端側に配設された構造の駆動部200となっている。摺動ローラ251の係合溝251aはギア部材131に形成された摺動外縁に係合し、ローラホイール231の外縁は、円弧状部材121、122に形成された摺動内縁に当接し、前記摺動外縁及び摺動内縁が摺動ローラ251とローラホイール231の外縁で挟まれて、係合ローラ232がギア部の歯面及び歯底と係合し、駆動部200がパイプ切断具本体100に装着されるようになっている。
【0051】
なお、図に示した実施形態では、大径ギア221の軸穴221a内にワンウェイクラッチ225を配設しているが、小径ギア222の軸穴222a内にワンウェイクラッチを配設した構造、或いは、ローラホイール231の軸穴231b内にワンウェイクラッチを配設した構造であっても差し支えない。
【0052】
(第2の実施形態)
図8に第2の実施形態のパイプ切断具本体の断面図を示して、以下、第1の実施形態のパイプ切断具本体100と異なる点について、第2の実施形態のパイプ切断具本体について説明する。第2の実施形態では、コイルスプリング171の代わりに、第2のアーム142の被当接部142cの外縁を押圧するコイルスプリング173(付勢部材)を、円弧状部材121に設けた実施形態である。なお、被当接部142cを押圧する付勢部材は、コイルスプリングに限定されず、ゴム等の弾性体や、トーションスプリング等の付勢部材であっても差し支えない。
【0053】
調整部材147を緩める方向に回転させると、第1のローラ取付部141bの調整部材147のネジ部147aの先端による押圧が解除され、被当接部142cがコイルスプリング173により押圧されて、第2のアーム142が揺動して、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bが円弧状部材121側に引き込まれるとともに、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられた当接ローラ149が、第2のアーム142の接触面142dで押圧されて、第1のアーム141が揺動して、第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが円弧状部材121側に引き込まれる。本実施形態では、調節部材147を緩める方向に回転させると、第2のアーム142の第2のローラ取付部142b及び第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが同時に円弧状部材121側に引き込まれるので、パイプ999を第1のアーム141及び第2のアーム142に取り付けられたローラ145、146で挟んで支持する際に、作業者が第1のアーム141及び第2のアーム142の第1のローラ取付部141b、142bを、別作業で拡げる必要がなく、簡単な作業でパイプ切断具本体100をパイプ999に取り付けることが可能となる。
【0054】
(第3の実施形態)
図9に第3の実施形態のパイプ切断具本体の断面図を示して、以下、第1の実施形態のパイプ切断具本体100と異なる点について、第3の実施形態のパイプ切断具本体について説明する。第3の実施形態の調整部材147は、軸部147cと、ネジ部147cの基端に取り付けられた握持部147bとから構成されている。軸部147cは、円弧状部材121に回転自在に取り付けられている。なお、軸部147cは、円弧状部材121に対して、軸方向に移動できないように取り付けられている。軸部147cの先端には、ネジ山147dが形成されている。
【0055】
第1のアーム141の第1のローラ取付部141bには、第1のローラ取付部141bの外縁から内縁に連通する連通穴141dが形成されている。第1のローラ取付部141bの連通穴141dが形成されている部分には、回動部材158が回動可能に取り付けられている。回動部材158には、ネジ穴158aが連通形成されている。回動部材158のネジ穴158aには、軸部147cのネジ山147dが螺入している。このような構造により、調整部材147を回転させると、第1のアーム141が、第1の軸支部141aを中心に揺動するようになっている。
【0056】
第3の実施形態の第2のアーム142には、第2の軸支部142aから、第2のローラ取付部142bの延出方向と反対方向に、被当接部142eが形成されている。被当接部142eの先端には、二股状に互いに対向する被当接片142fと被当接片142gが形成されている。被当接片142fと被当接片142gの間には、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられたピン148が位置している。言い換えると、被当接片142fと被当接片142gで、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられたピン148を挟んでいる。
【0057】
調整部材147を回転させて、回動部材158を円弧状部材121の円弧中心側へ進出させると、第1のアーム141が揺動して、第1のローラ取付部141bが円弧状部材121の円弧中心側へ進出する。このように第1のアーム141が揺動すると、第2のアーム142の被当接片142gが、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられたピン148で押圧されて、第2のアーム142が揺動して、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bが円弧状部材121の円弧中心側に進出する。
【0058】
一方で、調整部材147を前述とは逆方向に回転させると、第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが、円弧状部材121側に引き込まれる。この際に、第2のアーム142の被当接片142fが、第1のアーム141の当接部141cに取り付けられたピン148で押圧されて、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bが円弧状部材121側に引き込まれる。このように、調節部材147を回転させると、第2のアーム142の第2のローラ取付部142b及び第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが同時に円弧状部材121側に引き込まれるので、パイプ999を第1のアーム141及び第2のアーム142に取り付けられたローラ145、146で挟んで支持する際に、簡単な作業でパイプ切断具本体100をパイプ999に取り付けることが可能となる。
【0059】
本実施形態も、環状となった円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域の重心位置(言い換えると全てのギア部材131で囲まれる円の重心位置)と、2つの第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置に関わらず、常に略同一となるように、第1のローラ取付部141bの形状、第1のアームローラ145の取付位置、第1のローラ取付部141bの長さに対する当接部141cの長さ、第1のローラ取付部141b及び当接部141cの第1の軸支部141aからの角度、第2のローラ取付部142bの形状、第2のアームローラ146の取付位置、被当接部142e、被当接片142f、被当接片142gの形状、第2のローラ取付部142b及び被当接片142f、被当接片142gの第2の軸支部142aからの角度を設定している。
【0060】
(第4の実施形態)
図10に第4の実施形態のパイプ切断具本体の断面図を示して、以下、第1の実施形態のパイプ切断具本体100と異なる点について、第4の実施形態のパイプ切断具本体について説明する。第4の実施形態の第1のアーム141は、第1の軸支部141aから、第1のローラ取付部141bの延出方向と反対側に第1のギア部141eが形成されている。第1のギア部141eの外縁には、第1の軸支部141aと同心円弧状に第1のギア141fが形成されている。第4の実施形態の第2のアーム142は、第2の軸支部142aから、第2のローラ取付部142bの延出方向と反対側に第2のギア部142hが形成されている。第2のギア部142hの外縁には、第2の軸支部142aと同心円弧状に第2のギア142iが形成されている。図10に示されるように、第1のギア141fと第2のギア142iとは互いに噛合している。このため、第1のアーム141の揺動に連動して、第2のアーム142も揺動するようになっている。
【0061】
調整部材147をねじ込む方向に回転させると、第1のアーム141が揺動して、第1のローラ取付部141bが円弧状部材121の内縁から円弧中心方向に揺動する。第1のアーム141が揺動すると、第1のギア部141eも揺動して、第2のギア部142hも揺動して、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bが円弧状部材121の内縁から円弧中心方向に揺動する。一方で、調整部材147を緩める方向に回転させると、第1のローラ取付部141bの調整部材147のネジ部147aの先端による押圧が解除され、第2のローラ取付部142bが、コイルスプリング171により牽引されて、円弧状部材121側に引き込まれるとともに、第1のアーム141が揺動して、第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが円弧状部材121側に引き込まれる。このように、調節部材147を緩める方向に回転させると、第2のアーム142の第2のローラ取付部142b及び第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが同時に円弧状部材121側に引き込まれるので、パイプ999を第1のアーム141及び第2のアーム142に取り付けられたローラ145、146で挟んで支持する際に、作業者が第1のアーム141及び第2のアーム142の第1のローラ取付部141b、142bを、別作業で拡げる必要がなく、簡単な作業でパイプ切断具本体100をパイプ999に巻き付けることが可能となる。
【0062】
本実施形態も、環状となった円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域の重心位置(言い換えると全てのギア部材131で囲まれる円の重心位置)と、2つの第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置に関わらず、常に略同一となるように、第1のローラ取付部141bの形状、第1のアームローラ145の取付位置、第1のギア141fのピッチ円半径、第1のローラ取付部141bの第1の軸支部141aからの角度、第2のローラ取付部142bの形状、第2のアームローラ146の取付位置、第2のローラ取付部142bの第2の軸支部142aからの角度、第2のギア142iのピッチ円半径を設定している。
【0063】
(第5の実施形態)
図11に第5の実施形態のパイプ切断具本体の断面図を示して、以下、第1の実施形態のパイプ切断具本体100と異なる点について、第5の実施形態のパイプ切断具本体について説明する。第5の実施形態の第1のアーム141は、第1の軸支部141aから、第1のローラ取付部141bの延出方向と反対側に第1の延出部141gが延出形成されている。第5の実施形態の第2のアーム142は、第2の軸支部142aから、第2のローラ取付部142bの延出方向と反対側に第2の延出部142jが延出形成されている。図11に示されるように、第1の延出部141gの先端141hと、第2の延出部142jの先端142kは、連結リンク150でピン結合されている。このため、第1のアーム141の揺動に伴って、第2のアーム142も揺動するようになっている。
【0064】
調整部材147をねじ込む方向に回転させると、第1のアーム141が揺動して、第1のローラ取付部141bが円弧状部材121の内縁から円弧中心側に進出する。第1のアーム141が揺動すると、連結リンク150が第2のアーム142を揺動させて、第2のアーム142の第2のローラ取付部142bが円弧状部材121の内縁から円弧中心側に進出する。一方で、調整部材147を緩める方向に回転させると、第2のローラ取付部142bが、コイルスプリング171により円弧状部材121側に牽引されて引き込まれ、連結リンク150が、第1のアーム141を揺動させて、第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが円弧状部材121側に引き込まれる。このように、調節部材147を緩める方向に回転させると、第2のアーム142の第2のローラ取付部142b及び第1のアーム141の第1のローラ取付部141bが同時に円弧状部材121側に引き込まれるので、パイプ999を第1のアーム141及び第2のアーム142に取り付けられたローラ145、146で挟んで支持する際に、作業者が第1のアーム141及び第2のアーム142の第1のローラ取付部141b、142bを、別作業で拡げる必要がなく、簡単な作業でパイプ切断具本体100をパイプ999に巻き付けることが可能となる。
【0065】
本実施形態も、環状となった円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域の重心位置(言い換えると全てのギア部材131で囲まれる円の重心位置)と、2つの第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、第1のアーム141及び第2のアーム142の揺動位置に関わらず、常に略同一となるように、第1のローラ取付部141bの形状、第1のアームローラ145の取付位置、第1のローラ取付部141bの第1の軸支部141aからの角度、第1の延出部141gの第1の軸支部141aからの長さ、第1の延出部141gの第1の軸支部141aからの角度、連結リンク150の長さ、第2のローラ取付部142bの形状、第2のアームローラ146の取付位置、第2のローラ取付部142bの第2の軸支部142aからの角度、第2の延出部142jの第2の軸支部142aからの長さ、第2の延出部142jの第2の軸支部142aからの角度を設定している。
【0066】
(第6の実施形態)
図12に第6の実施形態のパイプ切断具本体の断面図を示して、以下、第1の実施形態のパイプ切断具本体100と異なる点について、第6の実施形態のパイプ切断具本体について説明する。第6の実施形態の第1のアーム163と第2のアーム164は、互いに対向し、図13において上下方向スライド可能に、円弧状部材121に取り付けられている。第1のアーム163の先端及び途中部分には、それぞれ、第1のアームローラ145が回転自在に取り付けられている。また、第2のアーム164の先端及び途中部分には、それぞれ、第2のアームローラ146が回転自在に取り付けられている。
【0067】
第6の実施形態の調整部材162は、軸部162aと、この軸部162aの基端に取り付けられた握持部162bとから構成されている。調整部材162の軸部162aは、円弧状部材121に回転自在に取り付けられている。なお、軸部162aは、円弧状部材121に対して、軸方向に移動できないように取り付けられている。軸部162aの基端側から中間側には、第1のネジ山162cが螺刻されている。また、軸部162aの先端側から中間側には、第2のネジ山162dが螺刻されている。第1のネジ山162cと第2のネジ山162dの螺刻方向は互いに逆方向となっている。第1のアーム163の基部には、第1のネジ山162cと螺合するネジ穴163aが形成されている。第2のアーム164の基部には、第2のネジ山162dと螺合するネジ穴164aが形成されている。調整部材162の軸部162aは、第1のアーム163のネジ穴163aと第2のアーム164のネジ穴164aを貫通し、第1のネジ山162cが第1のアーム163のネジ穴163aと螺合し、第2のネジ山162dが第2のアーム164のネジ穴164aと螺合している。
【0068】
調整部材162を1方向に回転させると、図13に示されるように、第1のアーム163と第2のアーム164が、互いに近接する方向にスライドする。一方で、調整部材162を他方向に回転させると、第1のアーム163と第2のアーム164が、互いに離れる方向にスライドする。調整部材162を回転させると、第1のアーム163と第2のアーム164とが均等にスライドするので、環状となった円弧状部材121と円弧状部材122で囲まれる領域の重心位置(言い換えると全てのギア部材131で囲まれる円の重心位置)と、第1のアームローラ145及び第2のアームローラ146と当接する内接円の中心位置が、第1のアーム163及び第2のアーム164の位置に関わらず、常に略同一となる。
【0069】
(総括)
なお、以上説明した実施形態では、パイプ切断具本体100は環状に閉じた円弧状部材としたが、環状に閉じていない略C形状のパイプ切断具本体としても差し支えない。この構造の場合には、駆動部200にローラホイール231を2又は複数個適切に配設することにより、略C形状のパイプ切断具本体を回転させることができる。
【0070】
なお、以上説明の説明では、回転刃155を、回転刃支持アーム151を介して円弧状部材122に取り付け、前記回転刃155でパイプ999を切断する実施形態について本発明を説明したが、本発明のパイプ切断具は、この実施形態に限定されず、回転刃1555の代わりに、剣先刃のような切断刃を円弧状部材122に取り付け、前記切断刃でパイプ999を切断する構成であっても差し支えない。
【0071】
なお、駆動部200は、適当な固定具(図示せず)を例えば筐体210に設けられた係合溝210aに係合させることによりパイプ999に固定することができ、より省力化された切断が可能である。
【0072】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパイプ切断具もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0073】
100 パイプ切断具本体
121 円弧状部材
121a ネジ穴
121b 摺動外縁
122 円弧状部材
122a 連通軸穴
122b 摺動外縁
131 ギア部材
131a ギア部
131b 摺動内縁
131c 歯先
131d 歯底
141 第1のアーム
141a 第1の軸支部
141b 第1のローラ取付部
141c 当接部
141d 連通穴(第3の実施形態)
141e 第1のギア部
141f 第1のギア
141g 第1の延出部
141h 第1の延出部の先端
142 第2のアーム
142a 第2の軸支部
142b 第2のローラ取付部
142c 被当接部
142d 接触面
142e 被当接部
142f 被当接片
142g 被当接片
142h 第2のギア部
142i 第2のギア
142j 第2の延出部
142k 第2の延出部の先端
145 第1のアームローラ
146 第2のアームローラ
147 調整部材
147a ネジ部
147b 握持部
147c 軸部(第3の実施形態)
147d ネジ山(第3の実施形態)
148 ピン
149 当接ローラ
150 連結リンク
151 回転刃支持アーム
151a 軸支部
151b 連通穴
155 回転刃
156 送りギア部材
156a ネジ部
156b 軸部
156c 送りギア
158 回動部材
158a ネジ穴
159 刻印ローラ
161 ラッチ部材
162 調整部材
162a 軸部
162b 握持部
162c 第1のネジ山
162d 第2のネジ山
163 第1のアーム(第6の実施形態)
164 第2のアーム(第6の実施形態)
171 コイルスプリング
172 コイルスプリング
173 コイルスプリング(第2の実施形態)
181 接続部材
181a ネジ穴
200 駆動部
210 筐体
215 カバー部材
221 大径ギア
221a 軸穴
222 小径ギア
222a 小径ギアの軸穴
223 駆動軸
224 軸部材
225 ワンウェイクラッチ
231 ローラホイール
231a 係合溝
231b ローラホイールの軸穴
232 係合ローラ
241 送り突起
251 摺動ローラ
251a 係合溝
260 ハンドル
500 パイプ切断具
999 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断するパイプの外周に回転可能に取り付けられ、パイプの外周面と当接する切断刃を保持するパイプ切断具本体と、前記パイプ切断具本体に装着されて、パイプに取り付けられた状態の前記パイプ切断具本体を回転させる駆動部とから構成され、前記切断刃をパイプの外周上に沿って移動させてパイプを切断するパイプ切断具において、
前記パイプ切断具本体は、
パイプの外周に配設される1又は複数の円弧状部材と、
前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退可能に、前記円弧状部材の内縁に沿って配設された第1のアームと、
前記第1のアームと対向し、前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退可能に、前記円弧状部材の内縁に沿って配設された第2のアームと、
前記第1のアームに回転自在に取り付けられた1又は複数の第1のアームローラと、
前記第2のアームに回転自在に取り付けられた1又は複数の第2のアームローラと、
前記第1のアームの、前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向への進出位置を調整する調整部材と、
前記第1のアームの前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向への進退動と連動して、前記第2のアームを前記円弧状部材の内縁から円弧中心方向へ進退動させる連動機構とを有し、
前記調整部材を操作することにより、前記第1のアームと第2のアームの離間寸法を調整し、前記第1のアームローラ及び第2のアームローラでパイプを挟持して、前記パイプ切断具本体をパイプの外周に回転可能に取り付けるように構成し、
前記第1のアーム及び第2のアームの位置に関わらず、前記円弧状部材で囲まれる領域の重心位置と、前記第1のアームローラ及び第2のアームローラと当接する内接円の中心位置とが略同一となるように構成したことを特徴とするパイプ切断具。
【請求項2】
円弧状部材には、歯先、歯面、歯底が環状又は円弧状に順次連続するように形成されたギア部と、円状又は円弧状の摺動内縁と、円状又は円弧状の摺動外縁が同心状に設けられ、
駆動部は、
各部材が取り付けられる筐体と、
円盤状であり、外縁に係合溝が全周に形成され、前記筐体に回転自在に取り付けられたローラホイールと、
前記ローラホイールの前記係合溝内に、前記ローラホイールの回転中心から同一半径に、所定角度をおいて、回転自在に取り付けられた複数の係合ローラと、
前記ローラホイールに隣接して前記筐体に回転自在に配設された摺動ローラを有し、
前記ローラホイールと前記摺動ローラが、それぞれ、前記摺動外縁と前記摺動内縁、又は、前記摺動内縁と前記摺動外縁と当接することにより、前記ローラホイールと前記摺動ローラで前記摺動外縁と前記摺動内縁を挟持し、
前記係合ローラが前記ギア部の歯面及び歯底と係合するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のパイプ切断具。
【請求項3】
駆動部に、ローラホイールの一方向の回転を阻止するためのワンウェイクラッチを設けるとともに、
前記筐体にハンドルを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパイプ切断具。
【請求項4】
切断刃は、パイプ切断具本体に回転自在に取り付けられた回転刃であり、
前記回転刃の回転軸と同軸に、外周面に凹凸処理部が形成された刻印ローラを回転自在に取り付けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のパイプ切断具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−269420(P2010−269420A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124223(P2009−124223)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000146135)株式会社松阪鉄工所 (17)
【Fターム(参考)】