説明

パイプ切断工具

【課題】本発明は、複数種の異なる径をもつパイプを一つの切断工具にて切断面を直角に切断できる工具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】開閉するパイプ切断部と、当該パイプ切断部を開閉するための把持部を備えたパイプ切断工具であって、前記パイプ切断部に添って少なくとも複数種のパイプ外形に近似した複数段のパイプ保持部を備えたパイプ切断工具。1‥パイプ切断部、1a‥カッター、1b‥把持部、1c‥軸、2‥パイプ保持部、2ba、2bb‥円弧部。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新たなパイプ切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅や戸建住宅、或いはオフィスビルの給水・給湯用にポリブテン管や架橋ポリエチレン管(以下、単にパイプという)が好んで用いられ、パイプを所望の長さに切断して各種水回り機器、ヘッダー等の継手に差し込んで接続する配管システムが採用されている。
【0003】
かかるパイプの切断先端にあって、パイプの長手方向に対して直角の切断先端でない場合には、継手内に差し込んた際に不完全な状態のままで差し込みが完了したものと錯覚してしまうことになり、継手内に内蔵されたO−リングやパイプ保持リンク等の間で不完全接触となつてしまう。特に、O−リングに対しては、O−リング(止水部)とパイプ先端の実質の距離が短くなるため、止水信頼性が低下することがあり、更には、パイプがO−リングを通過する際にO−リングを不均一に押してしまい、リングハウス内より外してしまうような動きをすることもある。
【0004】
このため、本出願人は既にパイプの切断端部を直角に切断する工具を提供した(特許文献1)。即ち、開閉するパイプ切断部と、当該パイプ切断部を開閉するための把持部を備え、前記パイプ切断部に添ってパイプ外形に近似したパイプ保持部を備えたもので、これによつてパイプ切断先端は直角に切断することができるようになったものである。
【0005】
【特許文献1】特開平5−111586号公報
【0006】
ここで挙げた切断工具では、多数の口径のパイプを一つの工具で切断できるようにするため、パイプ保持部の略半円形は、切断予定のパイプの大きめのパイプ直径に合わせて決められるものであり、実際には略40mm程度の円弧状となっていた。又、パイプ保持部はカッタ−の両側に9mm程度存在した。
【0007】
かかる構造の切断工具では、パイプ保持部の円形の直径が大きいため、特に細目の径のパイプを切断しようとする場合にはパイプの保持が十分ではなく、切断時にパイプが動いたり斜めになった状態で切断されたりするため、切断面が斜めにカットされるケースが少なくなかった。特に、曲がり癖を有するパイプを切断しようとする場合には切断面が直角にカットすることが難しかった。
【0008】
そして、パイプの設置現場では複数の種類のパイプ(例えば、パイプ径が10A、13A、16A、20A等)が使用される傾向にあり、いずれも所望の長さに切断する必要がある。しかるに、いずれのパイプも切断先端を直角に切断する必要があることから、上記した従来の切断工具を採用した場合でも、パイプ保持部の形状が異なる複数の切断工具を携帯する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は従来より提案されている切断工具の不具合な点を改良し、複数種の径のパイプを一つの切断工具にて切断面を直角に切断できる工具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は、開閉するパイプ切断部と、当該パイプ切断部を開閉するための把持部を備えたパイプ切断工具であって、前記パイプ切断部に添つて少なくとも複数種のパイプ外形に近似した複数段のパイプ保持部を備えたことを特徴とするパイプ切断工具にかかるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一つの切断工具にて複数のパイプの切断を可能とし、しかもその切断先端が直角に切断されるものであり、配管等の作業現場での作業性の向上に特に顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の最大の特徴は切断工具におけるパイプ保持部を線数のパイプの外形に対応するようにしたものであり、一つの切断工具で複数の径のパイプを切断することができることとなったものである。
【0013】
前記パイプ保持部は、パイプ切断部の両側に設けられるのが好ましいが、場合によっては片側に設けられるものであってもよい。
【0014】
そして、パイプ保持部における、少なくとも一方側の前記パイプ切断部の歯面と略直交する方向の長さは、8mm以上の長さを有するものであり、好ましくは、前記パイプ保持部の全体の長さが11〜100mmである。かかる長さがこれ以下であれば、パイプが曲がったままで切断されてしまうケースがあり、一方、これ以上であれば、例えばパイプが曲がり癖のある場合では十分に保持できす、切断面が直角にならないケースがある。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。図1は本発明のパイプ切断工具の斜視図であり、図2は径の小さいパイプの切断時の側面図、図3はその上面図である。そして、図4は径の大きいパイプの切断時の側面図であり、図5はその上面図である。
【0016】
図中、1はパイプ切断部であり、カッター1aを備えている。1bは把持部であり、これを握ることによって軸1cを挟んでカッター1aが上下に開閉しパイプを切断することとなる。このカッター1aは把持部1ba側に交換可能に装着されている。一方、把持部1bb側には、カッター1aに対応して両側にパイプ保持部2を装着する。かかるパイプ保持部2は把持部1ba、1bbに固定するためのフランジ2aとパイプの外周を支持する円弧部2bとよりなっている。
【0017】
パイプ保持部2の長さ、即ち前記パイプ切断部1のカッタ−1aと直交する方向のパイプを保持する二つの円弧部2bの合計の長さは、この例では両方とも20mmであったが、この長さは円弧部2bの片側で8〜50mm以内(全長で10〜100mm)、好ましくは片側10mm以上(全長で18〜50mm)であれば切断が予定通りに行われる。
【0018】
尚、円弧部2bはパイプ切断の正確性は十分に発揮できるが、図6に示すように、一方側の円弧部2bを前記の如くパイプ保持に適した長さに設定した場合、他方側の円弧部2cを3mm以上設けるとパイプを切断し易く、又切断面を直角に形成し易くなるので、パイプ保持部を両側に設けるとより好ましい実施形態になることは言うまでもない。
【0019】
さて、本発明の最大の特徴は、かかるパイプを挟む円弧部2bを複数種のパイプ外形に近似した複数段の保持部としたものであり、この例ではJIS・K・6778(ポリブテン管)に規定される呼び径16(外径22mm)に対する円弧部2ba(直径23mm)となし、更に、この中央部に呼び径13(外径17mm)に対する円弧部2ba(直径18mm)を形成したものである。
【0020】
このパイプ切断工具の使用状態は、図2〜5に示した通りであり、呼び径13のポリブテンパイプを切断するには、パイプPlを円弧部2baの中央に更に窪んで備えた円弧部2bb内に納め、把持部1bを握ることによりパイプPlはカッター1aに対して直角に支持され、この状態で切断されるもので、パイプPlの切断先端はパイプの長手方向に対して直角に切断できたものである。
【0021】
これに対して、呼び径16のパイプP2の切断は、円弧部2baに納めて同様に切断するものであり、これ又切断先端が直角に切断できたものである。パイプP2が把持される際には、円弧部2bbとの間に隙間ができるが、これは切断に全く関与しない空間であり、その影響はない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は以上の通りであり、径の異なるパイプの切断を一個の工具にて切断可能となったもので、しかもその切断先端が直角に切断できるという特徴があり、パイプ配管工事等の現場での作業に極めて便利なものとなったもので、その利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明のパイプ切断工具の斜視図である。
【図2】図2はパイプ切断工具によつて小径パイプの切断時の側面図である。
【図3】図3は図2の切断時の上面図である。
【図4】図4はパイプ切断工具によって大径パイプの切断時の側面図である。
【図5】図5は図4の切断時の上面図である。
【図6】図6は本発明のパイプ切断工具の別例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0024】
1‥パイプ切断部、
1a‥カッター、
1b、1ba、1bb‥把持部、
1c‥軸、
2‥パイプ保持部、
2a‥フランジ、
2b、2ba、2bb、2c‥円弧部、
P1、P2‥パイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉するパイプ切断部と、当該パイプ切断部を開閉するための把持部を備えたパイプ切断工具であって、前記パイプ切断部に添つて少なくとも複数種のパイプ外形に近似した複数段のパイプ保持部を備えたことを特徴とするパイプ切断工具。
【請求項2】
前記パイプ保持部における、少なくとも一方側の前記パイプ切断部の歯面と略直交する方向の長さは、8mm以上の長さを有する請求項1記載のパイプ切断工具。
【請求項3】
前記パイプ保持部の全体の長さが11〜100mmである請求項1記載のパイプ切断工具。
【請求項4】
前記パイプ保持部がパイプ切断部の片側に設けられた請求項1又は2記載のパイプ切断工具。
【請求項5】
前記パイプ保持部がパイプ切断部の両側に設けられた請求項1又は2記載のパイプ切断工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−247373(P2006−247373A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316459(P2005−316459)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】