説明

パイル布帛及びその製造方法

【課題】アクリル繊維を用いた、チンチラ等の小動物の毛皮に近似したソフトで回復性の良好なパイル布帛を提供する。
【解決手段】刺毛が繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexのアクリル繊維を含んで構成され、産毛が単繊維繊度が1〜8dtexの収縮アクリル繊維にて構成され、パイル部に含まれる刺毛と産毛の質量比が50/50〜80/20で、刺毛と産毛の長さ比が10/9〜10/5であるパイル布帛を、これらの繊維を含む紡績糸に80〜130℃のスチームで3〜5分のプレバルキー処理を施し収縮性アクリル繊維の収縮を発現させた後、染色、パイル編地編成、ブラッシング、ポリッシング、シャーリング等を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル繊維で構成されたパイル布帛及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然毛皮の毛並みは、毛先に集束性がなく、ソフトでぬめり感を有するものであり、近年このようなパイル布帛が求められている。しかしながら、合成繊維を用いて天然毛皮の特徴を有するようなパイル布帛が種々検討されているが、毛さばき性が低く、いまだ十分満足すべき天然毛皮様のパイル布帛を得るに到ってはいない。
【0003】
例えば、扁平型のアクリル系非収縮繊維と繊度が2.2dtex以下のアクリル系非収縮繊維を用いることにより、毛さばき性とソフト性を両立させたパイル布帛が提案されている(特許文献1)が、天然毛皮並のソフトな風合いを得ることは難しく、かつパイル布帛の回復性がないという欠点がある。また、収縮性の異なる2種以上の収縮繊維を含有させることにより、刺毛のヘタリを防ぎパイル布帛の硬化を生じさせないという提案がある(特許文献2)が、天然毛皮の柔らかな風合いを得るまでには到っていない。
【0004】
さらに、収縮性繊維と非収縮性繊維を混合し、その収縮性繊維の1次若しくは2次クリンプ数を変化させることにより、風合いを維持したまま製造工程の生産性を高めるという提案がある(特許文献3)が、この方法ではパイル布帛の回復性や生産性は得られるが、天然毛皮の持つ、優れた風合いを発現させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−138034号公報
【特許文献2】特開2010−1589号公報
【特許文献3】特開平10−158958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アクリル繊維を用いた、チンチラ等の小動物の毛皮に近似したソフトで回復性の良好なパイル布帛を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の発明の要旨は、繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexであるアクリル繊維(A)を含んでなる刺毛と、単繊維繊度が1〜8dtexであるアクリル繊維(B)を含んでなる産毛とからなるパイル部が形成され、前記パイル部中の刺毛と産毛の質量比(刺毛質量/産毛質量)が50/50〜80/20であり、以下に規定する方法により計測される刺毛と産毛の長さ比(刺毛長さ/産毛長さ)が10/9〜10/5であるパイル布帛、にある。
刺毛長さ、産毛長さの計測方法:
パイル部における刺毛と産毛の長さを、ノギスを用いて、それぞれパイル部25ヶ所で測定しそれぞれの平均値で求めた。
また、本発明の第二の発明の要旨は、繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexのアクリル繊維(A)と単繊維繊度が1〜8dtexの収縮性を有するアクリル繊維(b)を含む紡績糸に80〜130℃のスチーム下で3〜5分のプレバルキー処理を施し、アクリル繊維(b)の収縮を発現させた後、該紡績糸を染色し、パイル編地に編成し、次いでブラッシング、ポリッシング、シャーリング加工を行って編地表面に、アクリル繊維(A)の刺毛とアクリル繊維(b)が収縮してなるアクリル繊維(B)の産毛とからなり、刺毛と産毛の質量比が50/50〜80/20、刺毛と産毛の長さ比が10/9〜10/5であるパイル部を形成することを特徴とするパイル布帛の製造方法、にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本発明に係るパイル布帛は、長パイルの刺毛と短パイルの産毛とを有し、天然毛皮、特にチンチラ等の小動物の毛皮に近似した、ソフトな触感と回復性を両立させたパイル布帛を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のパイル布帛は、刺毛と産毛とを有することによって段差が形成されたパイル布帛であって、刺毛を構成するアクリル繊維(A)は、繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexのアクリル繊維である。本発明においては、刺毛を構成するアクリル繊維の繊維断面がY字形状であることにより、強い回復性とソフトさを発現することができ、かつ、単繊維繊度が2〜15dtexであることにより、毛さばき性を効果的に発揮することができる。
【0010】
本発明のパイル布帛において、刺毛は、アクリル繊維(A)の他に、繊維断面が円形のアクリル繊維(C)をアクリル繊維(A)との合計の62.5質量%を超えない範囲で含んで構成される、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(C)とから構成された刺毛であることが好ましく、アクリル繊維(C)を含ませることによりアクリル繊維(A)の特徴を強化する。
【0011】
また、本発明のパイル布帛において、産毛を構成するアクリル繊維(B)は、単繊維繊度が1〜8dtexの収縮せるアクリル繊維であり、アクリル繊維(B)によって産毛が構成されたことにより、より強い回復性を発現することができる。
【0012】
本発明のパイル布帛は、刺毛と産毛とによって段差が形成されていることにより、天然毛皮の持つソフトで回復性を併せ有するもので、パイル部に含まれる刺毛と産毛の質量比(刺毛質量/産毛質量)が50/50〜80/20であり、パイル部での刺毛と産毛の長さ比(刺毛長さ/産毛長さ)が10/9〜10/5の範囲であることによって、パイル布帛に触れた時の刺毛によるソフトな柔らかさと産毛による回復性を発現する。
【0013】
本発明において、パイル布帛の刺毛を構成するアクリル繊維(A)、及び産毛を構成するアクリル繊維(B)、或いは刺毛の構成に好ましく含まれるアクリル繊維(C)は、通常のアクリル繊維の製造に用いられるものと同様のアクリロニトリル系重合体から構成されていればよく、繊維構成の重合体については特に限定はない。
【0014】
アクリロニトリル系重合体は、アクリル繊維本来の特性を発現させるためには、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有していることが必要であり、アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。アクリロニトリルと共重合可能なモノマーとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等に代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル等に代表されるメタクリル酸エステル類、さらにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0015】
また、アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルに、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸、及びこれらのアルカリ塩を共重合させた共重合体であってもよく、かかる共重合体は、アクリル繊維の染色性の改良のために用いることができる。
【0016】
さらに、アクリロニトリル系重合体には、紡糸原液の調製の際に添加されうる酸化チタン、銀等の無機物、各種添加剤等が含まれ、繊維としたときに機能性が付加されるようにしたものでもよい。
【0017】
次に、本発明のパイル布帛の製造方法について説明する。
本発明のパイル布帛は、繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexのアクリル繊維(A)と単繊維繊度が1〜8dtexの収縮性を有するアクリル繊維(b)、或いはさらに繊維断面が円形のアクリル繊維(C)を含む紡績糸に、80〜130℃のスチーム下で3〜5分のプレバルキー処理を施し、アクリル繊維(b)の収縮を予備的に発現させた後、この紡績糸を、染色し、パイル編地に編成し、次いでブラッシング、ポリッシング、シャーリングを適宜順序、組み合わせで行って、編地の表面に、アクリル繊維(A)を含んでなる刺毛と、アクリル繊維(b)が収縮してなるアクリル繊維(B)による産毛からなり、刺毛と産毛の質量比が50/50〜80/20、刺毛と産毛の長さ比が10/9〜10/5であるパイル部を形成することによって製造することができる。
【0018】
本発明において、パイル布帛の製造に際しての前記紡績糸として、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(b)とからなる紡績糸が好ましく用いられるが、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(b)の他に、繊維断面が円形のアクリル繊維(C)を、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(C)の合計の62.5質量%を超えない範囲で含む、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(b)とアクリル繊維(C)とからなる紡績糸がより好ましく用いられる。紡績糸におけるアクリル繊維(b)の繊維断面形状、アクリル繊維(C)の単繊維繊度については特に限定はない。また、紡績糸の作成方法についても特に限定はなく、前記紡績糸は、公知の混合(混紡)方法、紡績方式にて、通常のパイル布帛の製造に用いられると同様の糸番手に作成される。
【0019】
また、本発明において、紡績糸に80〜130℃のスチーム下で3〜5分のプレバルキー処理を施して紡績糸に含まれる収縮性アクリル繊維(b)を予備的に収縮を発現させた後に、公知の手法で、染色し、パイル編地に編成し、次いでブラッシング、シャーリング、ポリッシング加工を順次行う。前記のスチーム温度範囲、及び時間にて紡績糸をプレバルキー処理しておくことにより、加熱下で行うブラッシング、ポリッシング、シャーリング等の一連の工程で処理にて、紡績糸に含まれるアクリル繊維(A)或いはさらに含まれるアクリル繊維(C)による所定の長さ、比率の刺毛の形成を容易にすると共に、紡績糸に含まれる収縮性アクリル繊維(b)の収縮を発現、完結させ、収縮性アクリル繊維(b)が収縮してなるアクリル繊維(B)による所定の長さ、比率の産毛の形成を容易にするものである。
【0020】
プレバルキー処理は、染色と兼ねて行うこともできるが、液流染色では染色中紡績糸が絡まったり、緊迫部を生じたりして均一に収縮しないため、プレバルキー処理と染色工程とは分けて施すのがよい。染色は、通常の紡績糸染めの方法に従い行うことができ、染料、温度、時間、染色装置等には特に限定はない。
【0021】
編成においては、組織、編機等には特に制限はなく、例えば、染色紡績糸を、フライスボア編機、マイヤー編機を用いてパイル編地に編成する。パイル編地は、好ましくはパイル編地の裏面をバッキングコートした後、実施例にて例示したように、編地の表面に紡績糸の撚りを解除するブラッシング工程、繊維のクリンプを除去して毛伸びさせるポリッシング工程、パイルとなる繊維の長さを切り揃えるシャーリング工程を適宜組み合わせ、或いは繰り返し複数回加熱下で施して目的とする段差のあるパイル布帛を得る。なお、本発明の段差パイル布帛における基布部とは、段差のあるパイル部が形成されたときのパイル部以外の部分をいう。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、繊度測定、パイル布帛の評価は、次の方法に拠って行った。
【0023】
(繊度測定)
繊度は、オートバイブロ式繊度測定器(サーチ制御電気社製、Denior ComputerDC−11)を使用して測定し、サンプル数25の平均値で求めた。
(パイル布帛の評価)
目視、及び触感による官能試験で行い、パイル布帛表面の毛先のさばけ感、風合い、回復性について、次の4段階で評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:普通、×:不良
【0024】
(実施例1)
(アクリル繊維(A)の作成)
水系懸濁重合法によりアクリロニトリル95質量%、酢酸ビニル5質量%からなるアクリロニトリル共重合体を得た。このアクリロニトリル共重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、ポリマー濃度20%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔形状がY字型形状のノズル口金を用い湿式紡糸し、沸水中で溶剤を洗浄しながら5倍延伸を施し、続いて油剤を付着させ100℃の熱ローラーで乾燥し、2.5kg/cmの加圧スチーム中で緩和処理を行い、繊維断面がY字形状、単繊維繊度が6.6dtexのアクリル繊維(A)を作成した。
【0025】
(アクリル繊維(b)の作成)
アクリル繊維(A)の作成に用いたと同じ紡糸原液を用いて、孔形状が円形のノズル口金を用い湿式紡糸し、沸水中で溶剤を洗浄しながら5倍延伸を施し、続いて油剤を付着させ100℃の熱ローラーで乾燥し、2.5kg/cmの加圧スチーム中で緩和処理を行い、さらに、100℃のスチーム下で1.2倍の延伸を行い、繊維断面が円形、単繊維繊度が3.3dtexの収縮性を有するアクリル繊維(b)を作成した。
【0026】
(アクリル繊維(C)の作成)
アクリル繊維(A)の作成に用いたと同じ紡糸原液を用いて、孔形状が円形、孔径が0.05mmのノズル口金を用い湿式紡糸し、沸水中で溶剤を洗浄しながら5倍延伸を施し、続いて油剤を付着させ100℃の熱ローラーで乾燥し、さらに、2.5kg/cmの加圧スチーム中で緩和処理を行い、繊維断面が円形、単繊維繊度が2.2dtexのアクリル繊維(C)を作成した。
【0027】
(パイル布帛の作成)
前記のようにして作成したアクリル繊維(A)、収縮性を有するアクリル繊維(b)、アクリル繊維(C)を用い、アクリル繊維(A)50質量%、収縮性を有するアクリル繊維(b)30質量%及びアクリル繊維(C)20質量%の混合率で混紡の紡績糸とした。この紡績糸を、100℃スチーム下でプレバルキー処理を3分間行った。その後、プレバルキー処理された紡績糸を、カセ染め機でカチオン染料にて黒色に染色後、フライスボア編機にてパイル編地に編成した。次いで、パイル編地裏面にアクリル酸エステル系接着剤でバックコーティングを行い、毛抜けを防ぎ、編地表面にブラッシングを2〜10回通し毛先部分の撚りを解除した後、170℃でのポリッシング、続いてブラッシングを行い、さらに170℃、150℃、130℃、90℃でポリッシングとシャーリングを組み合わせ各工程2回ずつ行い、立毛表層部分のクリンプを除去し、毛伸びさせて刺毛とし、編地表面に刺毛と収縮して毛伸びのない産毛とからなる、刺毛と産毛の質量比が70/30、刺毛と産毛の長さ比が10/7のパイル部を形成し、刺毛がアクリル繊維(A)で構成され、産毛がアクリル繊維(b)が収縮してなるアクリル繊維(B)で構成されたパイル部を有するパイル布帛を作成した。得られたパイル布帛の評価結果を表1に示した。
【0028】
(実施例2〜10、比較例1〜9)
実施例1において、アクリル繊維(A)の繊維断面形状、単繊維繊度、混合率、アクリル繊維(b)の単繊維繊度、混合率、パイル部での刺毛と産毛の長さ比、刺毛と産毛の質量比、刺毛でのアクリル繊維(C)の含有率を表1に示すように、変更した以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を作成した。それぞれ得られた段差パイル布帛の評価結果を表1に示した。
【0029】
【表1】

【0030】
(比較例10)
実施例1において、パイル布帛の作成の際、紡績糸のプレバルキー処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を作成した。得られたパイル布帛は、風合いは、実施例1でのパイル布帛と比較して若干劣る程度であったが、収縮斑が発生しており、パイル部での刺毛と産毛の長さ比率も安定したものではなかった。
【0031】
(比較例11)
実施例1において、パイル布帛の作成の際、紡績糸のプレバルキー処理でのスチーム温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を作成した。得られ途段差パイル布帛は、風合いに硬さが感じられ、ソフトさに欠けるものであった。
【0032】
(比較例12)
実施例1において、パイル布帛の作成の際、紡績糸のプレバルキー処理での処理時間を1分とした以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を作成したが、プレバルキー処理では収縮斑が発生し、染色時に色斑となって現れ、また得られたパイル布帛は、パイル部での刺毛と産毛の長さ比率も安定したものではなかった。
【0033】
(比較例13)
実施例1において、パイル布帛の作成の際、紡績糸のプレバルキー処理での処理時間を10分とした以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を作成したが、得られた段差パイル布帛は、実施例1でのパイル布帛と比較して風合いの点では大きな差はなく、、エネルギー、生産速度の点から製造コストを上げるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るパイル布帛は、長パイルの刺毛と短パイルの産毛とを有し、天然毛皮、特にチンチラ等の小動物の毛皮に近似した、ソフトな触感と回復性を両立させたものであり、外衣、コート、マフ、帽子等に好適な素材として使用される

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexであるアクリル繊維(A)を含んでなる刺毛と、単繊維繊度が1〜8dtexであるアクリル繊維(B)を含んでなる産毛とからなるパイル部が形成され、前記パイル部中の刺毛と産毛の質量比(刺毛質量/産毛質量)が50/50〜80/20であり、以下に規定する方法により計測される刺毛と産毛の長さ比(刺毛長さ/産毛長さ)が10/9〜10/5であるパイル布帛。
刺毛長さ、産毛長さの計測方法:
パイル部における刺毛と産毛の長さを、ノギスを用いて、それぞれパイル部25ヶ所で測定しそれぞれの平均値で求めた。
【請求項2】
刺毛が、アクリル繊維(A)の他に、繊維断面が円形のアクリル繊維(C)を62.5質量%を超えない範囲で含んで構成される刺毛である請求項1に記載のパイル布帛。
【請求項3】
繊維断面がY字形状、単繊維繊度が2〜15dtexのアクリル繊維(A)と単繊維繊度が1〜8dtexの収縮性を有するアクリル繊維(b)を含む紡績糸に80〜130℃のスチーム下で3〜5分のプレバルキー処理を施し、アクリル繊維(b)の収縮を発現させた後、該紡績糸を染色し、パイル編地に編成し、次いでブラッシング、ポリッシング、シャーリング加工を行って編地表面に、アクリル繊維(A)の刺毛とアクリル繊維(b)が収縮してなるアクリル繊維(B)の産毛とからなり、刺毛と産毛の質量比が50/50〜80/20、刺毛と産毛の長さ比が10/9〜10/5であるパイル部を形成することを特徴とするパイル布帛の製造方法。
【請求項4】
紡績糸として、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(b)の他に、繊維断面が円形のアクリル繊維(C)を、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(C)の合計の62.5質量%を超えない範囲で含む、アクリル繊維(A)とアクリル繊維(b)とアクリル繊維(C)との紡績糸を用いる請求項3に記載のパイル布帛の製造方法。


【公開番号】特開2012−67403(P2012−67403A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211736(P2010−211736)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】