説明

パクリタキセルを含む陽イオン性リポソーム製剤を投与する方法

本発明は、少なくとも1種の陽イオン性脂質約30モル%〜約99.9モル%、少なくとも0.1モル%の量のパクリタキセル、及び少なくとも1種の中性及び/又は陰イオン性脂質約0モル%〜約70モル%を含む陽イオン性リポソーム製剤の、(i)1週間に1回、(ii)1週間に2回又は(iii)(i)及び(ii)の組合せ(この際、1ヶ月間の投与量は約0.1mg/体重kg〜約20mg/体重kgである)で投与するための、製薬学的組成物の製造のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パクリタキセル(paclitaxel)を含む製薬学的製剤の、それを必要とするヒトの患者に投与するための使用に関する。
【0002】
高められた有糸分裂に関連する病気に罹ったヒト患者への治療剤として、抗有糸分裂薬、例えば、タキサン(taxane)の使用は、当業者に周知である。
【0003】
パクリタキセルは、抗増殖活性の独特の活性機構及び広スペクトルを有し、それというのも、パクリタキセルは微小管に結合し、チューブリン重合を促進させ、集合した微小管を安定させるからである。結果として、パクリタキセルは、結果的にG2/M期で細胞の蓄積を生じさせる前期での細胞周期を遮断する。
【0004】
あいにく、パクリタキセルは極めて水に溶け難く、このことは好適な投与形を得ることを難しくさせる。一般に、パクリタキセルは、クレモホル(Cremophor)EL(ポリエトキシル化ヒマシ油)及びエタノールを50:50(容量/容量)比で含有するビヒクル中に組成され、投与される。この溶液はヒトに投与される前に食塩水中で1:10で希釈される。しかし、クレモホルEL組成物によって、様々な重い副作用、例えば、過敏症及び高血圧反応、腎毒性及び神経毒性が患者において報告されている。
【0005】
更に、パクリタキセル(他の抗腫瘍薬の中で)は、有効な、充分に確立された標準的抗腫瘍薬であるが({Rowinsky, 1995 #1}, {Awada, 2002 #2}, {Seidman, 2003 #3}, {Romanini, 2003 #4})、薬−無反応腫瘍及び転移が、癌患者においてしばしば認められる({Blom, 1996 #5}, {Modi, 2002 #6}, {Ozols, 2003 #7})。遺伝学的に不安定な、急速に分裂する腫瘍細胞は、選択された抗−癌剤の増殖阻害作用に打ち勝つ能力を得る({Vogelstein, 1988 #8}, {Kerbel, 1991 #9})。この能力は、通常、単一の薬剤(第一線治療)には制限されないが、第一耐性の展開後に使用される他の薬剤に及ぶ。従って、この現象は多剤耐性(MDR)と称される。
【0006】
多数の有効な承認された抗−新生物薬剤は、多くの癌型に極めて制限されるので、多くの患者は、かれらの癌組織がMDR−関連遺伝子を発現するので敗北する。従って、明らかな問題は、薬剤−耐性腫瘍、殊に、各薬剤に対して既に耐性である薬剤耐性細胞を殺す方法及び手段を見つけることである。
【0007】
多数の研究が前記の問題を処理するために行なわれた。常套手段は、最高許容投与量(MTD)まで投与量を増加させ、できるだけ急速かつ完全に全腫瘍細胞を根絶することを試みることである({Schuenemann, 1999 #10}, {Heidemann, 1997 #11})。この戦略は重い副作用を引き起こし、より長い周期に延長することができないことが認められる。従って、この治療計画は、MTDで1短期治療(通常1日〜1週間)及び強制的な副作用から回復するために患者に許される数週間(通常3〜4週間)の無治療間隔の周期を含む({Schuenemann, 1999 #10}, {Heidemann, 1997 #11}, {Romanini, 2003 #4})。多くの症例で、腫瘍増殖は、それらの無薬剤期間中にも再発し得る。最も重大なことに、この研究は多くの患者で失敗し、そこで腫瘍細胞は高水準の耐性を発展させ、それは患者にMTDの薬剤濃度を適用させようとする。患者は治療困難になる。
【0008】
最も一般的な解決は、第二薬剤(第二線治療)での治療を開始することである({Blom, 1996 #5}, {Awada, 2002 #2}, {Seidman, 2003 #3}, {Heinemann, 2003 #12}, {Thigpen, 2003 #13})。最良の症例では、第二線治療が成功し、腫瘍反応が実証される。しかし、一般的経験は、腫瘍の一時的退行に通じる一定時間だけ、腫瘍が反応するにすぎない。その後に、また腫瘍は第二薬剤に耐性となる。第三薬剤での治療(第三線治療)を開始することが可能である。しかし、腫瘍は第三薬剤にも耐性となり得る。この戦略を続けることは、全ての有効な抗癌剤に最終的に反応しない多剤耐性腫瘍の発展に通じる({Blom, 1996 #5}, {Seidman, 2003 #3}, {Thigpen, 2003 #13})。
【0009】
他の可能性は、2種以上の薬剤で直ちに患者を治療することである({Heinemann, 2003 #12}、{Kuenen, 2002 #14}、{Sledge, 2003 #15}、{Ozols, 2003 #7}、{Reck, 2003 #17}、{Romanini, 2003 #4})。この研究は、二重薬剤耐性の発展の見込みを減少させるとしてより成功しそうである。しかし、この戦略は、時間及び経費に極めて好適な薬剤組合せを捜す必要がある。第二の不利な点は、副作用が増し得ることである({Kuenen, 2002 #14}、{Ozols, 2003 #7})。治療窓口は付随的に小さくなり、かつ毒性作用は期待した治療的恩恵を覆い隠し得る。この症例でも、多剤耐性は発展し、かつ治療は無効となる({Zimpfer, - Rechner, 2003 #18}、{Sledge, 2003 #15}、{Sledge, 2003 #16}、{Ozols, 2003 #7})。
【0010】
そのような慣習的治療戦略での否定的な経験の結果は、前記の治療選択を拡大するための新薬をますます発展させ得る。明らかに、これは、結局多くの症例で治療的難治の腫瘍につながる、より効能のある薬剤のための極めて時間及び経費の厳しい競争である。近年では、この認識は腫瘍耐性を防ぐための新規研究に結び付いてきた。MDRが細胞に化学療法剤を駆逐させる酵素の発現過度によって引き起こされるという仮定に基づく。この酵素カテゴリーの最も有名な一員は、p−糖蛋白質(p−gp)と呼ばれる。これは細胞質膜中に存在し、ATP−駆動路({Nobmann, 2001 #19}、{Thomas, 2003 #20})中にパクリタキセル又はドキソルビシンのような化合物を輸送する({Harker, 1985 #21}、{Fellner, 2002 #22}、{Kiesewetter, 2003 #23})。この概念は、p−gp介在薬剤耐性を逆転させようとするp−gp阻害剤の発展に繋がる。従って、用語の化学感作剤は、この分子群のために造語された。試験される第一例の1つは、ベラパミルであった。しかし、臨床的研究は、恐らく低い特異的活性による、不満足な結果を示した({Thomas, 2003 #20}、{Kohler, 2003 #24})。更なる探究は、再び臨床的には適用不可能であると判明された第二化合物世代に繋がった({Leonard, 2002 #25}、{Thomas, 2003 #20})。今日、第三世代の少数の物質(1つはタリクィダル(tariquidar)として知られる)が臨床試験にある({Agrawal,2003 #26}、{Callies, 2003 #27})。しかし、これらの化合物の有用性及び広い適用性は、なお不明確である({Leonard, 2002 #25}、{Thomas, 2003 #20})。第一世代の化学感作剤に比較して大いに改良されたとしても、第三世代の化合物は、同様に副作用を引き起こし、かつ全身への予知しがたい結果を有し得る。広範囲の臨床試験が必要とされ、そのような研究が将来一般的な実務と成り得るまでは不確実である({Leonard, 2002 #25}、{Thomas, 2003 #20})。
【0011】
異なった配送系は、パクリタキセルの効果の強化及び/又は毒性の減少のために使用された。リポソームは、より少ない毒性と合致した水溶性及び、従って効力を高めるために開発された多くの担体の1つである。
【0012】
U.S.Pat.No.5648090、U.S.Pat.No.5424073及びU.S.Pat.No.6146659(Rahman et al.)は、哺乳動物における癌治療法のための、リポソーム封入パクリタキセルを提供する。これらの特許は、リポソーム形成物質、カルジオライピン(cardiolipin)及び薬剤、例えば、パクリタキセル、又はパクリタキセルの抗新生物誘導体、又はその混合物を、製薬学的認容性賦形剤と共に含む、治療的に有効な量のリポソームの製薬学的組成物を、宿主に投与するための方法を開示する。U.S.Pat.No.6146659では、患者へのタキサンの投与法が、タキサンを約75〜300mg/mの量で1時間以内の期間にわたり投与することによって提供され、この際、タキサンはリポソームに包入される。ここで開示されたリポソームは陰電荷される。
【0013】
McDonald et al., U.S.Pat.No.5837283の開示以来、陽電荷リポソームは特異的に脈管形成内皮細胞を標的にすることが知られている。
【0014】
Strieth et al., 2004, Int. J. Cancer 110, 117 - 124は、陽イオン性リポソーム中のパクリタキセルを用いるシリアンゴールデンハムスター(Syrian Golden hamster)での実験を記載している。動物は、1週間に3回の投与計画で、リポソームパクリタキセルで処理された。
【0015】
本発明の基礎にある問題は、重い副作用のない治療的に有効な量でそれを必要とする対象へパクリタキセルを投与する改善された方法を得ることであった。治療計画は、最適治療結果を保持しながら、臨床的注入治療での消費時間を最少にすべきである。
【0016】
前記の問題を解決することは、請求において特徴付けた態様を得ることによって達成される。
【0017】
最初の観点は、少なくとも1種の陽イオン性脂質約30モル%〜約99.9モル%、少なくとも0.1モル%の量のパクリタキセル及び少なくとも1種の中性及び/又は陰イオン性脂質約0モル%〜約70モル%を含む陽イオン性リポソーム製剤を、
(i)1週間に1回、
(ii)1週間に2回又は
(iii)(i)及び(ii)の組合せ
で投与するための、製薬学的組成物の製造のために使用することに関し、この際、1ヶ月間の投与量は、約0.1mg/体重(bw)kg〜約20mg/体重kgである。
【0018】
毎週1回の投与(i)及び毎週2回の投与(ii)の組合せ(iii)は、毎週又は隔週の交互計画である。
【0019】
驚異的には、毎日の投与又は多週間毎の投与を奨励する仮定された抗−脈管形成新生脈管目標計画(Strieth et al., 2004, Int. J. Cancer 110, 117 - 124)に比較して、タキサン、特に、パクリタキセルを含む陽イオン性リポソーム製剤は、毎週又は隔週の投与計画ですらも、標的とする癌でより一層の効力を有することが判明した。
【0020】
比較的長い期間、例えば、数週間、有利に少なくとも7週間にわたって、低投与量で1週間に1回又は2回、陽イオン性リポソームパクリタキセルを連続的に投与することは、1週間又は数日間の休薬期間によって中断される比較的短い期間、例えば約4週間にわたり、低投与量での1週間に3〜5回の頻発投与と同等であるか又はそれよりも更にもっと有効であることは予期されなかった。
【0021】
更に、比較的長い期間、例えば、数週間又は数ヶ月間、有利に少なくとも約7週間にわたって、低投与量で1週間に1回又は2回、陽イオン性リポソームパクリタキセルを連続的に投与することは、比較的短い期間、例えば約4週間にわたる休薬期間によって中断される1週間に1回の高投与量投与と同等であるか又はそれよりも更にもっと有効であることは予期されなかった。
【0022】
ここで解明されたようなパクリタキセル含有リポソーム製剤は、もう1種の活性剤との組合せ治療で使用され得る。毎週2回の投与計画は、もう1種の活性剤、特にゲムシタビン(gemcitabine)との組合せ治療で殊に好適であることが判明した。
【0023】
更に、毎週2回の計画は、膵臓癌、膵臓の腺癌の治療でゲムシタビンと組み合わせたリポソームパクリタキセル、殊に陽イオン性リポソームパクリタキセル(Endo TAG - 1)の組合せ治療に特に好適であることが判明した。
【0024】
リポソームパクリタキセルの投与の一般的利点は次の通りである:
活性成分の高量、
選択的目標、
改良された効力、
慣習的化学療法又は中性又は陰イオン性リポソーム製剤に比べてより低い副作用
病気に関連する痛みの軽減、
生活の質の改善、
治療中の体重の安定化、
慣習的治療法との相乗効果。
【0025】
毎週1回又は2回の投与計画の特別な利点は次のようである:
比較的長い回復時間による患者のより少ない物理的負担、
より少ない入院事象、
数週間又は数ヶ月間、有利に少なくとも7週間の比較的長い時間枠にわたる投与は、より短時間にわたる頻繁な投与と同等であるか又はより有効である。
【0026】
毎週1回又は2回の投与計画の利点は、患者の改善された生活の質に繋がる。
【0027】
本製薬学的組成物は、リポソームパクリタキセル約0.25mg〜約100mg、特に〜約60mg/患者の体重(bw)kg、有利にリポソームパクリタキセル約0.5mg〜約30mg/体重kg及びより有利にリポソームパクリタキセル約1.0mg〜約15mg/体重kgの毎月の投与量で投与され得る。
【0028】
有利な1実施態様では、毎月の投与量は、約1mg/体重kg〜約15mg/体重kg、又は約0.5mg/体重kg〜約7.5mg/体重kg又は約2.2mg/体重kg〜約12.3mg/体重kg、約1.1〜約6.2mg/体重kg、約2.2mg/体重kg〜約9mg/体重kg、約1.1mg/体重kg〜約4.5mg/体重kg、約4.5mg/体重kg〜約12.5mg/体重kg又は最も有利に約2.3mg/体重kg〜約6.3mg/体重kgの範囲にある。
【0029】
単一の単位投与量は、約0.01mg/体重kg〜約100mg/体重kg、有利に約0.2mg/体重kg〜約60mg/体重kgの範囲にあり、又はより有利に約0.28mg/体重kg、約1.13mg/体重kg又は最も有利に約1.88mg/体重kgである。
【0030】
本発明の有利な1実施態様では、製薬学的組成物は、体重1kgにつきリポソームパクリタキセル約0.01〜約10mg/体重kg、特に約0.05〜約5mgの範囲にある単一の単位投与量で投与される。単一投与量は、有利に約0.1mg/体重kg〜約2.5mg/体重kg、約0.05mg/体重kg〜約1.25mg/体重kg、約0.25kg/kg〜約1.54mg/体重kg、約0.14mg/体重kg〜約0.75mg/体重kg、約0.56mg/体重kg〜約1.88mg/体重kg、約0.29mg/体重kg〜約0.94mg/体重kg、約0.28mg/体重kg〜約1.13mg/体重kg又は最も有利に約0.14mg/体重kg〜約0.57mg/体重kgである。
【0031】
もう1つの有利な実施態様では、ヒト患者への投与のためのリポソームパクリタキセルの好適な投与量は、1日に1回、約0.01〜2.5、有利に0.02〜1.88、及びより有利に0.25〜1.88mg/体重kg、特に1.54mg/体重kg及び1週間毎に、約0.01〜10、有利に0.02〜5.0及びより有利に0.25〜3.8mg/体重kg、特に3.76mg/体重kgの量である。
【0032】
ヒト医学での適用には、本製薬学的組成物は、有利に約40mg/m〜約3700mg/ヒト体表面(bs)m、特に〜約1022mg/ヒト体表面m、より有利に〜584mg/ヒト体表面m、更にもっと有利に〜約480mg/ヒト体表面m、及び最も有利に〜約352mg/ヒト体表面mの毎月の投与量で投与され得る。
【0033】
有利な1実施態様では、本製薬学的組成物は、約40mg/体表面m〜約584mg/体表面m及びより有利に約176mg/体表面m〜約352mg/体表面mの毎月の投与量で投与される。
【0034】
ヒト患者は、平均して、約1.84mの体表面を有する。従って、体重70kg及び高さ172cmの平均的人間については、mg/体重kgで前記された毎月の投与量、単一投与量などの有利な値は、ヒト投与については、公知方法に従って、種−特異性因子での乗法によって、mg/ヒト表面mの相応する値に変えることができる。
【0035】
投与図は、毎日複数回から月間複数回への範囲にあってよく、前記の各回数は数日又は数週間の間隔によって分割される。全治療期間は、有利に少なくとも1ヶ月間である。
【0036】
製薬学的組成物は、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも6ヶ月間又は少なくとも12ヶ月間及び6ヶ月間まで、12ヶ月間まで、18ヶ月間まで、24ヶ月間まで又は更により長い長期投与にも好適である。
【0037】
有利な1実施態様では、毎週1回又は2回の投与計画の投与期間は、数週間、有利に少なくとも7週間である。
【0038】
延長した治療計画ですら、薬剤耐性又は、脱毛症、腎臓病症のような有害な副作用は、めったに認められない。更に、通常は、コルチコステロイド又は抗−ヒスタミンのような準備投薬は必要ない。
【0039】
毎週1回又は2回の低投与量の連続投与は、休薬期間によって遮断される単一高投与量又は頻繁な低投与量の投与と少なくとも同様に有効である。治療期間中は、投与単位及び投与期間は一定であってよい。他方で、投与単位は治療期間中に増加されてよく、例えば、出発投与量で開始し、かつ出発投与量よりも2倍、3倍、4倍又は更により多い倍数であってよい統一投与量まで、1又は数段階で漸増される。付加的に又は選択的に、単一投与量の間の治療間隔を治療期間中に変える、例えば、減少又は増加することができる。
【0040】
本明細書中で使用される用語"約"は、与えられた値からプラス又はマイナス5%までの偏差を示す。
【0041】
用語"リポソーム製剤"及び"リポソーム"は、本出願を通して、同義的に使用される。リポソーム製剤は、"製薬学的組成物"の成分であり、生理学的に認容性の担体、例えば、緩衝液と一緒に投与され得る。
【0042】
用語"リポソームパクリタキセル"又は"脂質複合パクリタキセル"は、リポソーム中にカプセル包入されたパクリタキセルを含むリポソーム製剤に関する。特異的リポソームパクリタキセル組成物は、Endo TAG(登録商標)- 1である。時々、MBT - 0206 としても言及されるEndo TAG(登録商標)- 1は、DOTAP、DOPC及びパクリタキセルのモル比50:47:3モル%を有するリポソーム製剤である。Endo TAG(登録商標)- 1は、ドイツ国における登録商標である。
【0043】
単位"mg/体重kg"は、体重1kg当たりのリポソームパクリタキセルのmgに関する。単位"mg/体表面m"又は単に"mg/m"は、ヒト体表面(bs)1m当たりのリポソームパクリタキセルのmgに関する。従って、投与量計算は、脂質部分ではなく、パクリタキセル部分の質量にのみ関する。
【0044】
用語"脈管形成関連疾患"又は"脈管形成疾患"は、毛細血管の病理学的増殖によって優性化される病気に関する(Folkmann, J. 及びKlagsbrun, M. 1987, 脈管形成因子(Angiogenic Factors). Science 235, 442 - 446)。そのような病気の例は、例えば、糖尿病性網膜症、慢性炎症性疾患、変形関節炎、炎症、皮膚炎、乾癬、胃潰瘍、腫瘍性疾患、例えば、造血性及び充実性腫瘍である。
【0045】
用語"化学感作剤"は、化学治療をより容易にさせる、特に癌細胞を殺す物質又は薬剤に関する。
【0046】
有利な1実施態様では、本発明の陽イオン性リポソーム製剤は、少なくとも1種の陽イオン性脂質約30モル%〜約99.9モル%、有利に、陽イオン性脂質約98モル%まで、パクリタキセル少なくとも約0.1モル%、有利に少なくとも約2モル%の量で;及び少なくとも1種の中性及び/又は陰イオン性脂質約0モル%〜約70モル%を含み、かつ少なくとももう1種の活性剤及び/又は熱及び/又は放射線及び/又は寒冷治療の共同有効量との、同時の、別々の、又は順次の組合せ治療のための製薬学的組成物を製造するために使用される。
【0047】
もう1つの有利な実施態様では、リポソーム製剤は、パクリタキセルを約0.1モル%、特に約2モル%〜約8モル%の量で、有利に約0.5モル%、特に約2モル%〜約5モル%の量で、より有利に約1モル%〜約4モル%の量で及び最も有利に約2.5モル%〜約3.5モル%の量で含有する。本発明のイオン性リポソーム製剤は、実質的にパクリタキセル結晶を含有しない。
【0048】
本発明のリポソーム製剤は、陽イオン性脂質を約30モル%〜約99.9モル%、特に〜約70モル%、有利に約40モル%〜約60モル%及び最も有利に約45モル%〜約55モル%の量で含有する陽イオン性リポソーム製剤である。リポソーム製剤は、室温で、約pH7.5で、約0.05モルKCl溶液中で、正のゼータポテンシャルを有することを特徴とする。
【0049】
リポソーム製剤の有利な陽イオン性脂質は、正のネットチャージを有し、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩、例えば、メチルスルフェート(DOTAP)である。本発明のための他の有用な脂質は、次のものを包含する:
DDAB、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド;1,2−ジアシルオキシ−3−トリメチルアンモニムプロパン、(次のものを含むがこれに限定されるものではない;ジオレオイル、ジミリストイル、ジラウロイル、ジペルミトイル及びジアウテアロイル;同様に2つの異なったアシル鎖は、グリセロール骨格に結合されていてよい);N−[1−(2,3−ジオロイルオキシ)プロピル)]−N,N−ジメチルアミン(DODAP);1,2−ジアシルオキシ−3−ジメチルアンモニウムプロパン、(次のものを含むがこれに限定されるものではない:ジオレオイル、ジミリストイル、ジラウロイル、ジパルミトイル及びジステアロイル;2個の異なったアシル鎖もグリセロール骨格に結合されていてよい);N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);1,2−ジアルキルオキシ−3−ジメチルアンモニウムプロパン、(次のものを含むがこれに限定されるものではない:ジオレイル、ジミリスチル、ジラウリル、ジパルミチル及びジステアリル;2個の異なったアルキル鎖もグリセロール骨格に結合されていてよい);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS);3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol);2,3−ジオレオイルオキシ−N−(2−(スペルミンカルボキシアミド)−エチル)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);β−アラニルコレステロール;セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB);ジC14−アミジン;N−t−ブチル−N’−テトラデシル−3−テトラデシルアミノプロピオンアミジン;14デア(Dea)2;N−(アルファ−トリメチルアンモニオアセチル)ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG);O,O’−ジテトラデカノイル−N−(トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド;1,3−ジオレイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペルミル)−プロピルアミド(DOSPER);N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジオレオイルオキシ−1,4−ブタンジアンモニウムイオジド;Solodin et al. (1995) Biochem. 43 ; 13537 - 13544によって記載されているような、1−[2−(アシルオキシ)エチル]2−アルキル(アルケニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−イミダゾリニウムクロリド誘導体、例えば、1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、1−[2−(ヘキサデカノイルオキシ)エチル]−2−ペンタデシル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DPTIM)、Felgner et al. [Felgner et al. J. Biol. Chem. 1994, 269, 2550 - 2561] によって記載されているような、四級アミン上にヒドロキシアルキル分子を含有している2,3−ジアルキルオキシプロピル四級アンモニウム化合物誘導体、例えば:1,2−ジオレオイル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド(DORIE-HP)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシブチルアンモニウムブロミド(DORIE-HB)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシペンチルアンモニウムブロミド(DORIE-Hpe)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、1,2−ジパルミチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DPRIE)、1,2−ジステリルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DSRIE);Santaniello et al.[US5498633]によって報告されたアシルカルニチンの陽イオン性エステル;ホスファチジルコリンの陽イオン性トリエステル、例えば、1,2−ジアシル−sn−グリセロル−3−エチルホスホコリン(この際、炭化水素鎖は、鎖長C12〜C24を有する飽和又は不飽和で、かつ分枝鎖又は非−分枝鎖であってよく、2個のアシル鎖は同一である必要はない)。
【0050】
もう1つの有利な実施態様では、リポソーム製剤は少なくとも1種の中性及び/又は陰イオン性脂質を任意に含有する。中性脂質は、中性のネットチャージを有する脂質である。陰イオン性脂質又は両親媒性体は、負のネットチャージを有する分子である。これらは、中性又は負のネットチャージを有するステロール又は脂質、例えば、コレステロール、燐脂質、リソ脂質、リソ燐脂質、スフィンゴ脂質又はPEG化(pegylated)脂質から選択され得る。有用の中性及び陰イオン性脂質は次のものを包含する:ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール(特異的糖に限定されるものではない)、脂肪酸、カルボン酸残基を有するステロール、例えば、コレステロール、DOPEを含むがこれに限定されるものではない、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアシル−グリセロー3−ホスホコリン及びスフィンゴミエリン。グリセロール骨格に結合する脂肪酸は、二重結合の特異的長さ又は数に限定されるものではない。燐脂質は、2個の異なる脂肪酸を有することもできる。他の脂質は、有利に、室温で液晶状態であり、使用される陽イオン性脂質と、それらが適用される比率で、混和性である(すなわち、均一相が生成され、相分離又は界面形成は起こらない)。有利な1実施態様では、中性脂質はDOPCである。
【0051】
もう1つの有利な実施態様では、リポソーム製剤は、任意に、中性及び/又は陰イオン性脂質、有利にDOPCを、約30モル%〜約70モル%、有利に約40モル%〜約60モル%及び最も有利に約45モル%〜約55モル%の量で含有する。
【0052】
ここで使用される陽イオン性リポソーム製剤は、脱水され、脱水化の間長時間保存され、その後に、使用されるべき時及び場所で再水和され、脱水、貯蔵及び再水和過程中にその成分の基本的割合が失われないことが、本発明のもう1つの目的である。後者を達成するために、1種以上の保護剤、例えば、寒冷保護剤が存在していてよい。従って、本発明の陽イオン性リポソーム製剤は、有利に、寒冷保護剤を含有し、この際、寒冷保護剤は、糖又はアルコール又はその組合せから選択される。寒冷保護剤は、有利に、トレハロース、麦芽糖、蔗糖、葡萄糖、乳糖、デキストラン、マンニトール又はソルビトールから選択される。
【0053】
もう1つの有利な実施態様では、リポソーム製剤は、製剤の全容量に対して、トレハロースを約5%(m/v)〜約15%(m/v)の範囲で含有する。
【0054】
本発明の陽イオン性リポソームの組成は変化してよい。有利な1実施態様では、モル比は、DOTAP、DOPC及びパクリタキセルの50:47:3モル%である。この組成は、指定されたMBT-0206又はEndoTAG-1でもある。
【0055】
様々な大きさのリポソームは、本発明で有用である。本発明の有利な1実施態様では、陽イオン性リポソームは、約25nm〜約500nm、有利に約50〜約500nm、より有利に約100nm〜約300nmの平均粒径を有する。
【0056】
本発明のリポソーム組成物は、全身的に、有利に静脈内に投与され得る。有利な実施態様では、リポソーム組成物は静脈内注入によって投与される。初期注入速度は約0.5ml/分であってよい。速度は段階的に、例えば、10分間毎に、又は連続的に、最高注入速度、例えば、約1.5ml/分を達成するまで上昇され得る。
【0057】
本発明の陽イオン性リポソームは、増殖脈管形成、例えば、癌と関連した任意の形態の状態を治療するために使用され得る。本発明の製薬学的組成物は、特に有利に、ヒト患者の腫瘍、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、白血病、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、非−小−細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌及び小児癌、例えば、脳幹グリオーマ、小脳星細胞腫、脳星細胞腫、上衣細胞腫、ユーイング肉腫/腫瘍家系、生殖細胞腫瘍、頭蓋外、ホジキン病、白血病、急性リンパ芽球、白血病、急性骨髄性、肝臓癌、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、非−ホジキンリンパ腫、骨肉腫/骨の悪性線維組織球腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、天幕上原始神経外胚葉及び松果体腫瘍、異常性小児癌、視路及び視床下部グリオーマ、ウイルムス腫瘍及び他の小児腎臓腫瘍及び急性リンパ球性白血病を含む稀な癌、成人急性骨髄性白血病、成人非−ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、頸部癌、小児癌、小児肉腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、食道癌、毛髪細胞白血病、腎臓癌、肝臓癌、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、膵臓癌、一次中枢神経系リンパ腫、皮膚癌、小−細胞肺癌、頭&頸癌、胆嚢及び胆管癌、胃癌、胃腸癌、カポジ肉腫、尿路上皮細胞癌、甲状腺癌、睾丸癌、膣癌、血管肉腫、軟組織肉腫、中皮腫及び肝細胞癌の治療に有利である。更なる病状は、創傷、癒合又は炎症性疾患又は慢性炎症性疾患、例えば、リウマチ様関節炎、皮膚炎、子宮内膜症又は乾癬であってよい。
【0058】
本発明の陽イオン性リポソーム製剤は、前記の癌、殊に膵臓癌、手術不可能な膵臓癌、胃腸癌、肝臓癌、肺癌、結腸直腸又は胃癌、乳癌、前立腺癌及びメラノーマの治療のために、単一治療か、又は他の治療法、例えば、詳細に後記した他の活性剤、殊に化学療法剤、例えば、DNA/RNA抗代謝剤、例えば、ゲムシタビンとの組合せ治療として好適である。
【0059】
他の有利な実施態様は、単一治療として又は少なくとももう1種の活性剤と組み合わせて、特にEndo TAG(登録商標)−1をプレドニソロンと組み合わせた前立腺癌の治療である。
【0060】
一般に、本発明の陽イオン性リポソーム製剤は、第一線治療として又は第二又は第三線の治療として、パクリタキセルだけを含有するリポソーム製剤を用いる単一治療として、又は少なくとももう1種の活性剤、例えば、ゲムシタビンと一緒にパクリタキセルを含有するリポソーム製剤を用いる組合せ治療として投与され得る。
【0061】
膵臓癌の治療のための金本位制は、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))である。製造情報及び刊行物、例えば、Cantore et al., 2004, J Chemother. 16(6) :589 - 94 による、及びここで適用される標準プロトコールは、単一投与量1000mg/体表面mで、1週間に1回の7週間の期間にわたり適用されるゲムシタビンである。
【0062】
従って、前立腺癌又は膵臓癌又は肝臓癌を単一治療で治療することが、本発明の有利な1実施態様である。
【0063】
殊に有利な1実施態様では、陽イオン性リポソームパクリタキセルは、癌の治療のために、数週間、有利に少なくとも7週間の期間、毎週2回の投与計画を用いる単一治療として投与される。
【0064】
脂質複合パクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)の毎週2回の投与は、可測的な局所的進行癌、例えば、膵臓癌、膵臓の腺癌の患者に、異なった投与量で行なわれ得る。様々な単一投与量は、前記の治療のために、有利に次のように使用され得る:
陽イオン性リポソームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)低投与量:脂質複合パクリタキセル11mg/m(=0.28mg/体重kg)
陽イオン性リポソームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)中等投与量:脂質複合パクリタキセル22mg/m(=0.56mg/体重kg)
陽イオン性リポソームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)高投与量:脂質複合パクリタキセル44mg/m(=1.13mg/体重kg)
陽イオン性リポソームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)より高い投与量:脂質複合パクリタキセル60mg/m(=1.54mg/体重kg)。
【0065】
この際、患者は、Endo TAG(登録商標)−1の毎週2回の投与で少なくとも7週間の期間にわたり注入を受ける(期日1、4、8、11、15、18、22、25、29、32、36、39、43及び46)。従って、この新規療法の完全な1周期は、その後に少なくとも7週間を含むEndo TAG(登録商標)−1の少なくとも14投与を包含する。
【0066】
他の有利な実施態様では、陽イオン性リポソームパクリタキセルは、癌の治療のためのもう1種の活性剤との組合せ治療で投与される。
【0067】
殊に有利な1実施態様では、陽イオン性リポソームパクリタキセルは、膵臓癌、膵臓腺癌の治療のために、もう1種の活性剤と組合せて投与される。
【0068】
他の殊に有利な実施態様では、陽イオン性リポソームパクリタキセルは、前立腺又は肝臓癌、特に、肝細胞癌の治療のためのもう1種の活性剤と組み合わせて投与される。
【0069】
最も有利な1実施態様では、陽イオン性リポソームパクリタキセルは、数週間、有利に少なくとも7週間の期間枠にわたり、毎週2回の投与計画を用いて、膵臓癌の治療のために、ゲムシタビンと組み合わせて投与される。
【0070】
そのような最も有利な1実施態様では、ゲムシタビンの毎週の注入と、リポソームパクリタキセル(例えば、Endo TAG(登録商標)−1)の毎週2回の投与との第1線組合せ治療は、可側的な局所進行ガン、例えば、膵臓癌、膵臓の腺癌の患者に様々な投与量で行なわれ得る。
【0071】
ゲムシタビンの毎週の注入と、Endo TAG(登録商標)−1の毎週2回の投与との第1線組合せ治療を用いる、癌、例えば、膵臓癌、例えば、膵臓腺癌の治療のために、様々な単一投与が、有利に次のように使用され得る:
ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(低投与量:脂質複合パクリタキセル11mg/m
ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(中等投与量:脂質複合パクリタキセル22mg/m(=0.56mg/体重kg)
ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(高投与量:脂質複合パクリタキセル44mg/m(=1.13mg/体重kg)
ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(より高い投与量:脂質複合パクリタキセル60mg/m(=1.54mg/体重kg)
有利な1実施態様では、患者は、標準化化学療法、有利に、ゲムシタビンをEndo TAG(登録商標)−1注入と組み合わせて、少なくとも7週間の期間にわたり受ける。治療計画は、有利に、Endo TAG(登録商標)−1の毎週2回の少なくとも全14回(期日1、4、8、11、15、18、22、25、29、32、36、39、43及び46)と組み合わされる毎週のゲムシタビン治療(期日4、11、18、25、32、39及び46)を含む。従って、この新規療法の完全な1周期は、ゲムシタビンの少なくとも7回の投与、及びその後に少なくとも7週間を含むEndo TAG(登録商標)−1の少なくとも14回の投与を包含する。
【0072】
組合せ治療のための他の活性剤は、細胞毒性又は細胞分裂阻害性物質、例えば、抗−腫瘍又は抗−内皮細胞活性物質、化学療法剤又は免疫学的活性物質、感覚過敏反応を減少又は消去させる化合物又は化学感作剤から選択される。有利な1実施態様では、リポソーム組成物は、他の活性剤に先立って投与される。
有利な1実施態様では、活性剤は、抗新生物剤、殊に、パクリタキセルの様な抗分裂剤、アルキル化剤、殊に、シスプラチン、カルボプラチンの様な白金を含む化合物、カンプトテシン又はドキソルビシンの様なDNAトポイソメラーゼ阻害剤、RNA/DNA抗代謝剤、殊に、5−フルオロウラシル又はゲムシタビン及び/又は抗腫瘍活性を有する他の化合物、例えば、スタチン、デプシペプチド、サリドマイド、微小管と相互作用をする他の薬剤、例えば、ディスコデルモリド(Discodermolide)、ラウリマリド(laulimalide)、イソラウリマリド(isolaulimalide)、エロイテロビン(eleutherobin)、サルコジクチン(Sarcodictyin)A及びBから選択される。
【0073】
シスプラチン又はカルボプラチンと、5−フルオロウラシルと又はゲムシタビンとの組合せ治療が殊に有利である。
【0074】
もう1つの有利な実施態様では、感覚過敏反応を減少又は消去する化合物は、致命的なアナフラキシー反応を防ぐために十分な量の、ステロイド、抗ヒスタミン剤、H2受容体拮抗剤、及びその組合せを包含する群から選択される(しかし、これらに限定されるものではない)。
【0075】
更により有利な1実施態様では、化合物は、ラニチジン(Ranitidine)、デキサメタゾン(Dexamethasone)、ジフェンヒドラミン、ファモチジン(Famotidine)、ヒドロコルチゾン、クレマスチン(Clemastine)、シメチジン(Cimetidine)、プレドニソロン、プレドニソン、クロルフェニラミン、クロルフェナミン、ジメチンデン(Dimethindene)マレエート、インドメタジン及びプロメタジン又は任意のその誘導体を含む群から選択される。
【0076】
もう1つの有利な実施態様では、化学感作剤は、細胞周期変性剤、ベラパミル(verapamil)のような薬剤耐性を逆転させる物質、抗高血圧剤のような血管活性物質、プロタミン(protamine)のような陽イオン性リポソームと血液成分の電荷−関連相互作用を変性させる物質を含む群(しかし、これらに限定されるものではない)から選択される。
【0077】
他の活性剤は、非−リポソーム組成物中に存在することが有利である。
【0078】
本発明の他の観点では、前記のリポソーム製剤は、タキサン、有利にパクリタキセル又はドセタキセル(docetaxel)又はその誘導体を、約0.1〜約20モル%の量で、有利に約0.5モル%〜約10モル%の量で、より有利に約1モル%〜約5モル%の量で及び最も有利に約2モル%〜4モル%の量で含有する。
【0079】
陽イオン性リポソームパクリタキセルは、肝細胞癌の治療のために、経動脈化学的栓塞(TACE)療法、経皮エタノール注入(PEI)、ラジオ波焼灼術(RFA)療法、マイクロ波焼灼術及び/又はレーザー温熱療法(LITT)と組み合わせて投与されることが、本発明の他の有利な実施態様である。経動脈化学的栓塞は、ゲル泡粒子、ゼラチンスポンジ、澱粉、ポリビニルアルコール、エタノール、コラーゲン、細胞毒性剤(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、シスプラチン)又はヨウ化油(リジドール(Lididol))の投与を包含し得る。より有利な1実施態様では、陽イオン性リポソームパクリタキセルは、経動脈化学的栓塞(TACE)と組み合わせて、例えば、1週間に1回投与される。
【0080】
本発明の1つ以上の観点について説明された全ての有利な実施態様は、全ての他の観点にも関連することが注目されるべきである。このことは、特に、陽イオン性脂質の量及び型、中性及び/又は陰イオン性脂質の量及び型、タキサン剤の量及び型、特に組合せ治療のための、他の活性剤の量及び型、及び治療されるべき病気の型に言及する。
【0081】
図の説明
図1:毎週2回の投与計画での陽イオン性リポロームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)
リポロームパクリタキセルの毎週2回投与のための投与計画の図解。陽イオン性リポロームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)を、3種の異なった投与量(低投与量:脂質複合パクリタキセル11mg/m);(中等投与量:脂質複合パクリタキセル22mg/m);(高投与量:脂質複合パクリタキセル44mg/m)で毎週2回(期日1、4、8、11、15、18、22、25、29、32、36、39、43及び46)投与する。
【0082】
図2:膵臓癌研究での陽イオン性リポロームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)
毎週1回のゲムシタビン(Gemzar(登録商標))と組み合わせた、リポロームパクリタキセルの毎週2回の投与のための投与計画の図解。患者の対照群は、1:ゲムシタビン単一療法を受ける。他の患者は、ゲムシタビンを、陽イオン性リポロームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)の3種の投与量と組み合わせて受ける:2:ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(低投与量:脂質複合パクリタキセル11mg/m);3:ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(中等投与量:脂質複合パクリタキセル22mg/m);4:ゲムシタビン+Endo TAG(登録商標)−1(高投与量:脂質複合パクリタキセル44mg/m)。
【0083】
ゲムシタビンを、1000mg/体表面mの投与量で、1週間に1回(Mon;=期日4、11、18、25、32、39及び46)。陽イオン性リポロームパクリタキセル(Endo TAG(登録商標)−1)を、毎週2回(期日1、4、8、11、15、18、22、25、29、32、36、39、43及び46)投与する。
【0084】
本発明の範囲を次の実施例につき説明するが、これに限定されるものではない。他の一般的及び特異的立体配置は、当業者に明白である。
【0085】

例1.ヒト療法プロトコール
この例は、解明された組成物を使用するヒト治療プロトコールと関係している。治療は、ヒトの増殖脈管形成活性と関連した様々な病気又は傷害を予防及び/又は治療するために使用される。抗−腫瘍療法で、例えば、充実性腫瘍及び血液学的悪性腫瘍の患者で、又は様々な慢性の炎症性疾患、例えば、リウマチ様関節炎又は乾癬に対する療法で特に有用であることが考慮される。
【0086】
本発明の1特徴は、数種類の病気及び/又は異常が、脈管形成上皮細胞を直接標的とすることによって、異常に取り巻かれる組織又は細胞を直接標的にすることなく、治療され得ることであり、例えば、脈管形成を阻害することによって、腫瘍への血液供給を止め、任意の方法で腫瘍細胞を直接標的にすることなく、腫瘍を殺すことである。他の種類の病気及び/又は異常は、脈管形成内皮細胞を直接標的にすることによって、及び異常に取り巻かれる組織又は細胞を直接標的にすることによって治療され得る。
【0087】
他の投与では、薬剤耐性細胞、例えば、薬剤耐性癌細胞又はリウマチ様関節炎における高度に増殖的な滑膜形成細胞が直接影響され得る。
【0088】
患者治療及び監視を含む臨床試験を行なう様々な要素は、本解明に照らして当業者に公知である。
【0089】
規定的な承認目的のために、研究のために選ばれた患者は抗−新生物治療に初心者であるか、又は少なくとも1巡の慣例治療に反応することに失敗し、かつ物理的試験、実験室的技術又はレントゲン写真法によって測定されるような客観的に測定可能な病気を有することが意図される。そのような患者は、臨床的に関連した心臓又は腎臓病の病歴も持たず、かついかなる化学療法も、研究に入る少なくとも2週間前に中止されるべきである。
【0090】
投与に先立って、組成物は、組成物が凍結乾燥されていた場合には、水溶液中に還元され得る。前記で略述したように、要求される投与量は、患者の体重及び投与計画から計算される。
【0091】
解明された組成物は、短時間から中等時間にわたる注入時間で投与され得る。任意の投与濃度で与えられる注入は、各後に達成される毒性に依存すべきである。従って、等級II毒性が、任意の単一注入後に、又は一定速度の注入の、特別な時間に達成されたならば、更なる投与は行なわれるべきではなく、又は毒性が改善されなければ、不変速度の注入は中止すべきである。患者の約60%が任意のカテゴリーにおいて受け入れられない等級III又はIV毒性を示すまで、患者群への投与量を増加させるべきである。この値の2/3である投与量は、安全投与量として定義される。
【0092】
物理試験、腫瘍測定及び実験室試験は、当然、治療前及び約3〜4週間後の間隔で行なわれるべきである。実験室試験は、完全血液細胞計数、血清クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、電解質、尿素、窒素、SGOT、ビリルビン、アルブミン及び全血清蛋白質を含むべきである。
【0093】
臨床反応は、実験室値、例えば、腫瘍マーカーにおける受入可能な測定又は変化によって定義され得る。例えば、完全な反応は、少なくとも1ヶ月間の全ての測定可能な病気の消失によって定義されるが、部分的反応は、50%以上の減少によって定義され得る。
【0094】
ここで解明されかつ請求された全ての組成物及び方法は、本解明に照らして、不適当な実験をせずに、実行されかつ遂行され得る。本発明の組成物及び方法は、有利な実施態様によって説明されたが、その変化したものは、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、ここに記載された組成物、方法及び方法の段階又は連続段階で適用され得ることは当業者に明らかである。もっと詳細には、化学的にも物理的にも関連される一定の薬剤は、同じ又は同様の結果が達成される故に、ここに記載された薬剤に置換され得ることは明らかである。当業者に明らかな、そのような同様の全ての置換体及び変異体は、従属請求によって定義されたように、本発明の精神、範囲及び概念の範囲内にあると思われる。
【0095】
投与量における若干の変化は、治療される対象の状態により必然的に起きる。投与に責任を有する人間は、どんな症例でも、個々の対象に好適な用量を決定する。更に、ヒト投与のために、製剤は、生物学的標準のFDA局(FDA Office of Biologics standards)によって要求されるような、無効、発熱性、一般的安全性及び純度標準に応じるべきである。
【0096】
本発明は、本発明の活性剤組成物の製薬学的有効量を、それを必要とする対象の標的部位、例えば、脈管形成血管標的部位へ投与する方法を包含する。"それを必要とする対象"は、哺乳動物、例えば、ヒトに言及する。
【0097】
投与方法は、有利に腹膜又は腸管外投与を含む。
【0098】
本発明での使用のために、それを必要とする対象へ投与される化合物の"製薬学的有効量"は、因子の広い範囲に依存して変化する。化合物の量は、患者の大きさ、年齢、性別、体重及び症状、同様に投与される物質の効力に依存する。投与に関して著しい変動性があることが示された場合には、当業者は、本解明を用いて、先ず極めて少量を投与し、かつ所望の結果が得られるまで投与量を次第に増加させることによって好適な投与量を容易に決定することができることが考えられる。投与量は、前記のように因子に基づいて大きく変化するが、一般に、本発明は、病理学的組織を標的とする、例えば、腫瘍細胞それ自体を標的とするだけの配送系に比較して、実質的に少量の任意物質を投与することを可能にする。
【0099】
例2.陽イオン性リポソームパクリタキセルのための毎週2回の投与プロトコール(図1)
適応:膵臓癌;膵臓の腺癌
研究計画:
膵臓の測定可能な局所的に進行した及び/又は転移性の腺癌患者で、ゲムシタビン単一療法と比較した、三水準の投与量で脂質複合パクリタキセルを毎週2回の投与する、調節された三本の腕状線の、ランダムの、オープンラベル(open label)臨床期II試験第1線治療が行なわれる。
【0100】
4本の治療腕状線は次を含む(図1参照):
腕状線1:ゲムシタビン単一療法(対照群):1000mg/m(=25.67mg/体重kg)
腕状線2:EndoTAG(登録商標)−1(低投与量:脂質複合パクリタキセル11mg/m(=0.28mg/体重kg)
腕状線3:EndoTAG(登録商標)−1(中等投与量:脂質複合パクリタキセル22mg/m(=0.56mg/体重kg)
腕状線4:EndoTAG(登録商標)−1(高投与量:脂質複合パクリタキセル44mg/m(=1.13mg/体重kg)
重い切除不可能な膵臓の進行した及び/又は転移性の腺癌患者は、インフォームドコンセントにサインし、基線評価を受けた後に、研究に参加する資格を有する。研究適任基準に合致したそれらの患者は、標準化学療法(即ち、ゲムシタビン)を単一療法として、又はEndoTAG(登録商標)−1注入を受ける。ゲムシタビンの7週間投与は、腕状線1で施された(ゲムシタビン単一療法対照腕状線、EndoTAG(登録商標)−1なし)。腕状線2、3及び4で、EndoTAG(登録商標)−1の毎週2回7週間の14回(期日1、4、8、11、15、18、22、25、29、32、36、39、43及び46)が行なわれる。概略的に、この新規療法の完全な1周期は、次いで7週間を含むEndoTAG(登録商標)−1の14回投与を含む(腕状線2、3及び4)。
【0101】
例3.毎週1回のゲムシタビンと組み合わせた毎週2回の陽イオン性リポソームパクリタキセル(EndoTAG(登録商標)−1)の組合せ療法
研究番号 CT4001
適応 膵臓癌;膵臓の腺癌
研究計画 CT4001:
膵臓の測定可能な局所的に進行した及び/又は転移性の腺癌の患者で、ゲムシタビン単一療法と比較した、ゲムシタビンの毎週投与と三水準の単一投与量での脂質複合パクリタキセル(EndoTAG(登録商標)−1)の毎週2回の投与との、調節された、四本の腕状線の、ランダムの、オープンラベル臨床期II試験第1線組合せ治療が行なわれる。
【0102】
4つの治療腕状線は次を含む(図2参照):
腕状線1:ゲムシタビン単一療法(対照群):1000mg/m(=25.67mg/体重kg)
腕状線2:ゲムシタビン+EndoTAG(登録商標)−1(低投与量:脂質複合パクリタキセル11mg/m(=0.28mg/体重kg)
腕状線3:ゲムシタビン+EndoTAG(登録商標)−1(中等投与量:脂質複合パクリタキセル22mg/m(=0.56mg/体重kg)
腕状線4:ゲムシタビン+EndoTAG(登録商標)−1(高投与量:脂質複合パクリタキセル44mg/m(=1.13mg/体重kg)
重い切除不可能な膵臓の進行した及び/又は転移性の腺癌患者は、インフォームドコンセントにサインし、基線評価を受けた後に、研究に参加することに資格を有する。研究適任基準に合致したそれらの患者は、標準化学療法(即ち、ゲムシタビン)を単一療法として、又はEndoTAG(登録商標)−1注入によって先行されたゲムシタビンを受ける。ゲムシタビンの7週間投与は、腕状線1で施された(ゲムシタビン単一療法対照腕状線、EndoTAG(登録商標)−1なし)。腕状線2、3及び4で、ゲムシタビン治療の7週間(期日4、11、18、25、32、39及び46)は、EndoTAG(登録商標)−1の毎週2回総計14回(期日1、4、8、11、15、18、22、25、29、32、36、39、43及び46)と組み合わせられる。概略的に、この新規療法の完全な1周期は、ゲムシタビンの7投与(全ての腕状線)及び、その後の7週間を含むEndoTAG(登録商標)−1の14回投与を含む(腕状線2、3及び4)。
【0103】
結論
EndoTAG(登録商標)−1の高投与量での治療は、より高い頻度で低投与量を使用することによって代えられ得る。治療密度(1週間当たりの治療のno.)及び治療効力の間には相互関係がある。最適投与療法は、高投与量治療によって引き起こされる毒性の副作用を潜在的に減少させ、かつ改善された生活の質に結び付く患者の物理的負担を減少させる。
【0104】
例4.肝臓癌(肝細胞癌)の治療
研究計画:
TACE療法のみと、脂質複合パクリタキセル(EndoTAG(登録商標)−1)の毎週1回の投与とを組み合わせたTACE(経動脈化学的栓塞)療法とを比較した、調節された、2−腕状線の、ランダムの、オープンラベル臨床期II研究を行なう。
【0105】
2つの治療腕状線は、次のことを含む:
腕状線1:TACE療法のみ(対照群)
腕状線2:毎週1回のEndoTAG(登録商標)−1(脂質複合パクリタキセル44mg/m)を組み合わせたTACE療法。
【0106】
TACE療法への反応性を示した、切除不可能な組織学的/細胞学的に立証された肝細胞癌(HCC)の患者は、インフォームドコンセントにサインし、基線評価を受けた後に、研究に参加する資格を有する。研究適任基準に合致したそれらの患者は、ランダムに、TACE療法か、又はEndoTAG(登録商標)−1 44mg/mの1週間に1回と組み合わせたTACE療法を受け、DCE−MRI及びMRIスキャンに基づく進行又は反応を測定する中間分析が行なわれる。無進行生存期間(Progression-free-survival)(PFS)を、研究における一次効力パラメーターとして測定する。
【0107】
参照リスト

【0108】

【0109】

【0110】

【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】リポソームパクリタキセルの毎週2回の投与のための投与計画を示した説明図である。
【図2】ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))の毎週1回と組み合わせた、リポソームパクリタキセルの毎週2回の投与のための投与計画を示した説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の陽イオン性脂質約30モル%〜約99.9モル%、少なくとも0.1モル%の量のパクリタキセル、及び少なくとも1種の中性及び/又は陰イオン性脂質約0モル%〜約70モル%を含む陽イオン性リポソーム製剤を、
(i)1週間に1回、
(ii)1週間に2回又は
(iii)(i)及び(ii)の組合せ
(この際、1ヶ月間の投与量は約0.1mg/体重kg〜約20mg/体重kgである)
で投与するための製薬学的組成物の製造のために用いる使用。
【請求項2】
1ヶ月間の投与量は、約1mg/体重kg〜約15mg/体重kg、有利に約0.5mg/体重kg〜約7.5mg/体重kg、約2.2mg/体重kg〜約12.3mg/体重kg、約1.1mg/体重kg〜約6.2mg/体重kg、約2.2mg/体重kg〜約9mg/体重kg、約1.1mg/体重kg〜約4.5mg/体重kg、約4.5mg/体重kg〜約12.5mg/体重kg又は最も有利に約2.3mg/体重kg〜約6.3mg/体重kgである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
単一投与量は、約0.1mg/体重kg〜約2.5mg/体重kg、有利に約0.05mg/体重kg〜約1.25mg/体重kg、約0.25mg/体重kg〜約1.54mg/体重kg、約0.14mg/体重kg〜約0.75mg/体重kg、約0.56mg/体重kg〜約1.88mg/体重kg、約0.29mg/体重kg〜約0.94mg/体重kg、約0.28mg/体重kg〜約1.13mg/体重kg又は最も有利に約0.14mg/体重kg〜約0.57mg/体重kgである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
毎週1回投与(i)及び毎週2回投与(ii)の組合せ(iii)は、毎週又は隔週の交互計画である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
製剤は、少なくとも1種の他の活性剤及び/又は熱及び/又は放射線及び/又は寒冷治療の共同有効量との、同時に、別々に、又は順次的な組合せ療法用である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記の他の活性剤は、抗−内皮細胞活性物質、抗−腫瘍活性物質、化学療法剤、免疫学的活性物質、感覚過敏反応を減少又は消去する化合物又は化学感作剤である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記の他の活性剤は、抗新生物剤、殊に、パクリタキセルの様な抗分裂剤、アルキル化剤、殊に、シスプラチン、カルボプラチンの様な白金を含む化合物、カンプトテシン、ドキソルビシンの様なDNAトポイソメラーゼ阻害剤、RNA/DNA抗代謝剤、殊に、5−フルオロウラシル又はゲムシタビン又はプレドニソロンから選択される請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
前記の感覚過敏反応を減少又は消去する化合物は、致命的アナフラキシー反応を防ぐために十分な量の、ステロイド、抗ヒスタミン剤、H2受容体拮抗剤、及びその組合せを包含する群から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記の感覚過敏反応を減少又は消去する化合物は、ラニチジン、デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、ファモチジン、ヒドロコルチゾン、クレマスチン、シメチジン、プレドニソロン、クロルフェナミン、ジメチンデンマレエート及びプロメタジンを含む群から選択される、請求項6又は8に記載の使用。
【請求項10】
前記の化学感作剤は、細胞周期変更剤、ベラパミルの様な薬剤耐性を逆転させる物質、抗高血圧剤の様な血管活性物質、プロタミンの様な陽イオン性リポソームと血液成分の相互作用を変性させる物質を含む群から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項11】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、パクリタキセルを少なくとも約2モル%〜約8モル%の量で含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、パクリタキセルを少なくとも約2.5モル%〜約3.5モル%の量で含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、DOTAP、DOPC及びパクリタキセル50:47:3モル%を含む、請求項1から12までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、実質的にパクリタキセル結晶を含まない、請求項1から13までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、平均粒径約25nm〜約500nm、有利に約100nm〜約300nmを有するリポソームを含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、全身的に、有利に静脈内投与される、請求項1から15までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記の陽イオン性リポソーム製剤は、製薬学的組成物の成分であり、かつ少なくとも1種の生理学的に認容性の担体、例えば、緩衝液と一緒に投与される、請求項1から16までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
脈管形成疾患の治療のための、請求項1から17までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
創傷、癌、炎症性疾患又は慢性炎症性疾患、例えば、リウマチ様関節炎、皮膚炎、乾癬又は子宮内膜症の治療のための、請求項1から18までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
胃腸癌、肺癌、結腸直腸又は胃癌、乳癌、前立腺癌、メラノーマ、膵臓癌、例えば、膵臓の腺癌又は手術不可能な膵臓癌、又は肝臓癌、例えば、肝細胞癌の治療のための、請求項1から19までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
少なくとももう1種の活性剤、有利に、ゲムシタビンと組み合わせた、膵臓癌、例えば、膵臓の腺癌、又は手術不可能な膵臓癌の治療のための請求項1から20までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
少なくとももう1種の活性剤、有利にプレドニソロンと組み合わせた、前立腺癌の治療のための請求項1から20までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
経動脈化学的栓塞治療と組み合わせた、肝臓癌、有利に肝細胞癌の治療のための請求項1から20までのいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−540364(P2008−540364A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509382(P2008−509382)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004185
【国際公開番号】WO2006/117220
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506131019)メディゲーネ アクチエンゲゼルシャフト (7)
【氏名又は名称原語表記】MediGene AG
【住所又は居所原語表記】Lochhamer Strasse 11, D−82152 Planegg/Martinsried, Germany
【Fターム(参考)】