説明

パスタソース

【課題】茹でたパスタと和えるだけでクリーム系パスタ料理の喫食を可能とし、かつクリーム系パスタ料理1食分に必要なパスタソースの量を大きく低減させることのできるパスタソースを提供する。
【解決手段】クリーム系パスタソースが、食用油脂20〜60質量%、水分5〜21質量%、乳又は乳製品を無脂乳固形分として3〜20質量%、及び多価アルコールを含有し、多価アルコールの含有量が食用油脂100質量部に対して30〜150質量部、全光線透過率(対照:清水、波長390nm、光路長5mm)が13〜35%、水で3倍に希釈した場合の全光線透過率が0.1〜12%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茹でたパスタと和えるだけでクリーム系パスタ料理の喫食を可能とするパスタソースに関する。
【背景技術】
【0002】
パスタソースをパスタと和える前に加温したり、パスタと和えながら炒める等の加熱調理を行わなくても、単に茹でたパスタと和えるだけでカルボナーラ等のクリーム系パスタ料理の喫食を可能とするパスタソースが提案されている(特許文献1)。このパスタソースは水中油型乳化物で、その粘度は、パスタソースをパスタと和えやすくし、かつ喫食時にパスタソースがパスタから流れ落ちないようにするため、30〜160Pa・sに調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−215539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パスタソースを1食分ずつの個包装にして利便性を高めようとする場合、個包装の嵩を小さくして流通乃至保管コストを低減させるため、パスタソースを濃縮して1食当たりに必要とされるパスタソースの量を低減させることが望ましい。
【0005】
しかしながら、クリーム系パスタソースにおいて、単にパスタソースに含まれる水分を低減させることにより、1食当たりのパスタソースの必要量を低減させようとすると、パスタソースの乳化系を維持することが難しく、また、パスタソースをパスタに均一に和えることも難しくなる。
【0006】
これに対し、本発明は、茹でたパスタと和えるだけでクリーム系パスタ料理の喫食を可能とし、かつクリーム系パスタ料理1食分に必要なパスタソースの量を大きく低減させることのできるパスタソースを提供することを目的とし、また、かかるパスタソースが充填包装されている個包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、食用油脂を含有するクリーム系パスタソースにおいて、食用油脂と乳又は乳製品と多価アルコールとを特定割合で配合し、かつ、水分含量も特定範囲に調整して多価アルコール中に食用油脂が分散したソースを調製すると、このソースは水で希釈することにより、油脂粒子が微細化して透明度が顕著に低下した乳化物となり、この乳化物により1食分のパスタ全体を容易かつ迅速に和えられること、この場合に、ソースを希釈する水として、茹で上げたパスタに付着しているゆで汁を使用すると、茹で上げたパスタと和えるソースの量としては、従前のパスタソースの半量程度で足りることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、食用油脂20〜60質量%、水分5〜21質量%、乳又は乳製品を無脂乳固形分として3〜20質量%、及び多価アルコールを含有し、
多価アルコールの含有量が食用油脂100質量部に対して30〜150質量部、
全光線透過率(対照:清水、波長390nm、光路長5mm)が13〜35%、
水で3倍に希釈した場合の全光線透過率が0.1〜12%
であるクリーム系パスタソースを提供する。
【0009】
さらに、本発明は、上述のパスタソースが容器に充填包装されている個包装体であって、個包装体1個あたりのパスタソースの充填量が20〜50gである個包装体を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパスタソースは、茹で上げたパスタに混ぜ合わせるだけで、パスタに付着しているゆで汁により乳化系が変化し、油脂粒子が微細化し、容易にパスタ全体にいきわたるようになる。そのため、茹で上げたパスタとパスタソースとを和えることによりカルボナーラ等のクリーム系パスタ料理を作る場合の、1食分のパスタソースの量を、従前の半量程度に低減することができる。よって、1食分のパスタソースをディスペンパック(商品名)等の分配包装体、パウチなどにより個包装にして製品化する場合に、製品の嵩をコンパクトにし、利便性を高め、流通乃至保管コストを低減することが可能となる。
【0011】
また、本発明のパスタソースによれば、水分含量が5〜21質量%と低く、さらにパスタと和えるパスタソース自体の量も少ないことから、パスタをパスタソースで和えた後に、パスタがパスタソースの水分を吸収してべたついたり、冷えた後に塊状になることを防止できる。
【0012】
そして、本発明の個包装体は、本発明のパスタソースが充填包装されているので、極めて利便性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例のパスタソースを水と混合する前と後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0015】
本発明において、クリーム系パスタソースとは、乳又は乳製品を含み、食用油脂が略均一に分散したパスタソースをいい、例えば、クリームソース、カルボナーラソース、トマトクリームソース等が挙げられる。
【0016】
本発明のパスタソースは、食用油脂、水分、乳又は乳製品、及び多価アルコールを含み、多価アルコール中に食用油脂が分散しているクリーム系のパスタソースであって、全光線透過率(波長390nm、光路長5mm)が13〜35%であり、水で希釈すると透明度が低下し、3倍に希釈した場合には、全光線透過率が0.1〜12%、好ましくは1〜10%になるという特徴を有する。このように水の添加で透明度が低下するのは、本発明のパスタソースは、多価アルコール中に食用油脂が分散している食用油脂分散物であるが、水の添加により容易に相転移が起こり、油脂粒子が微細化するためと考えられる。また、本発明のパスタソースによれば、茹で上げたパスタに付着している程度の量の水と混合することで、パスタソースをパスタ全体に迅速かつ均一に混ぜることが可能となるのも、相転移による油脂粒子の微細化により、パスタソースがパスタと非常に混ざりやすくなるためと考えられる。このような相転移は、通常、本発明のパスタソースに、その0.5〜5倍量の水を添加したときに生じさせることができる。
【0017】
なお、この相転移は、微細な油滴の乳化物が得られるD(Detergent)相乳化法に類するものと考えられる。ただし、D相乳化が、乳化剤を多価アルコール又は多価アルコール水溶液に溶解し、これに油相を添加して乳化することによりO/D乳化組成物を製造し、次いで、このO/D乳化組成物を水性媒体で希釈することにより、微細な水中油型(O/W型)エマルジョンを得る方法であり、水性媒体で希釈する前のO/D乳化組成物が略透明であるのに対し、本発明のパスタソースは、乳又は乳製品と多価アルコールと食用油脂との混合物であり、多価アルコールに対する乳化剤の添加を必須とせず、また、水で希釈する前において透明とはいえないので、D相乳化物を作るO/D乳化組成物とは異なると考えられる。
【0018】
また、本発明において、全光線透過率は、清水を対照とする全光線透過率である。すなわち、全光線透過率は、サンプルの平行入射光束に対する、拡散成分を含む透過光束の割合であり、本発明におけるサンプルの全光線透過率(%)は、対照である清水の全光線透過率(波長390nm)を100%とした場合の割合(%)である。より具体的には、全光線透過率は、積分球式電光度法を用いた濁度測定器(例えば、型名「WA 2000N」、日本電色工業(株))を用いて濁度測定(波長390nm、光路長5mm)をすることにより得られる数値である。
【0019】
一方、本発明のパスタソースは、食用油脂、水分、乳又は乳製品、及び多価アルコールを特定の範囲で含有するが、本明細書においてこれらの含有量は、特段の断りのない限り、パスタソースの液状部分における割合である。
【0020】
また、本発明のパスタソースにおいて食用油脂とは、トリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールを主成分とする脂質のことであり、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、乳脂、牛脂、豚脂、卵黄油等の動植物油及びこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、酵素処理卵黄油等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等が挙げられる。このような食用油脂は、1種で使用してもよく、2種以上を組合わせて使用してもよい。2種以上を配合することで、濃厚な味のパスタソースを得ることができる。
【0021】
食用油脂の含有量は、パスタソース中の20〜60%とし、好ましくは30〜50%とする。食用油脂の含有量が多すぎると、茹で上げたパスタに混ぜ合わせても油滴が微細化した乳化状態になり難く、パスタが油っぽいものとなり、反対に少なすぎてもパスタに混ぜ合わせたときに油滴が微細化した乳化状態になり難く、なめらかなクリーム系ソースにならないが、上述の範囲とすることにより、パスタに付着しているゆで汁により乳化系が変化し、容易にクリーム系ソースがパスタ全体にいきわたるようになる。
【0022】
また、本発明のパスタソースは、水分含量を5〜21%、好ましくは10〜18%とする。水分が過度に多いと、本発明のパスタソースを水で希釈した場合に、上述の相転移を生じさせることができず、水分含量が過度に少ないと油相分離が生じる。これに対し、水分含量を上述の範囲に設定することにより、パスタソースをパスタに和えた後にパスタがパスタソースの水分を吸収してべたつくことを防止することができ、パスタにアルデンテの食感を維持させることも可能となる。また、パスタソースをパスタに和えた後にそのパスタが冷えても、パスタが塊状になり難い。したがって、例えば、弁当のおかずのように、調理の直後には食されない場合でも、美味しく喫食することが可能となる。
【0023】
ここで、パスタソースの水分含量は、減圧加熱乾燥法により測定できる。また、パスタソースにおける水分には、パスタソースの製造時に、水として添加する量に限られず、パスタソースの液状部分を構成する個々の原料に含まれる水分も含まれる。例えば、後述する実施例のように卵黄を使用する場合、卵黄に含まれる水分は、ここでいう水分を構成し、また、多価アルコールとして含水多価アルコールを使用する場合、含水多価アルコールに含まれる水分もここでいう水分を構成する。
【0024】
本発明において、乳又は乳製品としては、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に規定されているものであり、例えば、牛乳、濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、加糖粉乳、チーズ、ホエーパウダー、タンパク質濃縮ホエーパウダー、クリーム、バター、バターオイル、バターミルク等を使用することができ、また、乳及び乳製品の形態としては粉末のものが好ましく、特に、全粉乳、脱脂粉乳、加糖粉乳等の粉乳が好ましい。
【0025】
乳又は乳製品の含有量は、無脂乳固形分として3〜20%である。ここで無脂乳固形分とは、乳又は乳製品の水分及び脂質を除いた残りの成分であり、たんぱく質、乳糖、無機質が主な成分である。乳又は乳製品中の無脂乳固形分の測定方法は、具体的には、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に記載の方法により測定できる。乳又は乳製品の無脂乳固形分としての含有量が少なすぎると、パスタソースに水を添加することによる前述の相転移を生じさせることができなくなり、反対に多すぎると、ミルク臭が強くなり、パスタソースとして好ましくない。特に、本発明のパスタソースにおいては、パスタソースに水を添加することによる前述の相転移を生じさせやすくし、口当たりがなめらかなクリーム感のあるソースを得る点から、前記乳又は乳製品として、全粉乳、脱脂粉乳、加糖粉乳等の粉乳を使用することが好ましく、乳又は乳製品の一部又は全部として粉乳を使用する場合、その粉乳の含有量は無脂乳固形分換算で0.7〜20%とすることが好ましい。
【0026】
一方、多価アルコールとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコールを使用することができ、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロースなどの単糖類、シュークロース、マルトース、ラクトース、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、マルトトリオース、サイクロデキストリンなどの多糖類、キシリトール、マルチトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スレイトール、ラクチトール、マンニトール、還元デキストリンなどの糖アルコールの他、ポリグリセリン等の縮合体を挙げることができ、このうち、直鎖の糖アルコールやポリグリセリンが好ましく、炭素数3〜6の糖アルコールまたはポリグリセリンがより好ましい。
【0027】
また、多価アルコールの含有量は、食用油脂100部に対して30〜150部とし、好ましくは50〜140部である。多価アルコールの含有量が少なすぎると、食用油脂を多価アルコール中に分散させておくことができず、層分離が生じる。反対に多すぎると、パスタソースに水を添加することによる前述の相転移を生じさせることができなくなる。なお、前記多価アルコールの含有量は、多価アルコールとして含水多価アルコールを用いた場合は、固形分換算した含有量である。
【0028】
本発明のパスタソースは、上述の各成分の他、パスタソースに付与するベーコン、チーズ等の風味に応じて、ベーコンチップ等の具材、卵黄、ホスフォリパーゼA処理卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等の乳化剤、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、胡椒等の各種調味料、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉等の増粘材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、香辛料等を配合することができる。
【0029】
本発明のパスタソースの製造方法としては、上述のパスタソースの構成材料のうち、まず、食用油脂、乳又は乳製品のうち粉末状のもの、その他必要に応じて添加する粉末材料を混合し、次に、その混合物と多価アルコール、乳又は乳製品のうち液状又は塊状のもの、その他非粉末材料を混合させる。
【0030】
ここで、混合操作は、より具体的には、ニーダーやホバートミキサー等の撹拌機を用いて室温で行うことができるが、加熱すると味がなじみ調理感が出るので好ましい。
【0031】
本発明のパスタソースの使用方法としては、例えば、パスタを茹で、好ましくは湯切りせずに、直ちにパスタを本発明のパスタソースで和える。これにより、パスタのゆで汁がパスタ1食分あたり(乾燥パスタ100g程度)15〜50mL混入されることとなる。
【0032】
パスタに対する本発明のパスタソースの使用量は、パスタ1食分あたり、20〜50gとすることが好ましい。このように、パスタに対するパスタソースの使用量が少なくても、本発明のパスタソースによれば、茹で上げたパスタと混ぜることにより食用油脂の粒子が微細化するので、パスタ全体をパスタソースで和えることが可能となる。また、こうして得られるパスタ料理は、いずれもパスタがべたつかず、美味であり、放置しても塊状になりにくい。なお、本発明のパスタソースを用いて得られるパスタ料理の種類としては、具材の種類により、カルボナーラ等のクリーム系のパスタ料理とすることができる。
【0033】
本発明のパスタソースは、任意の軟質あるいは硬質の容器に充填し、流通させることができる。ここで、パスタ1食分に対応する量のパスタソースをディスペンパック(商品名)等の分配包装体やパウチ等の小袋に充填した個包装体として流通させると、一般消費者が、1食分であってもパスタ料理を手軽に調理することが可能となるので好ましい。
【実施例】
【0034】
実施例1
表1の配合割合でカルボナーラソースを製造した。表1中、丸括弧内の数値は、当該成分の無脂乳固形分としての含有量である。
【0035】
実施例1において、食用油脂としてはなたね油を使用し、還元澱粉糖化物としては日研化成株式会社製、「エスイー30」(70%水溶液、糖組成の43%以上が5糖以上の糖アルコール)を使用した。表1の配合割合では、無脂乳固形分の含有量は13.3%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は56部である。
【0036】
このカルボナーラソースの製造においては、まず、ニーダーに食用油脂を投入し、次に全粉乳、チーズパウダー、キサンタンガム、食塩、グルタミン酸ナトリウム、ブラックペッパーを投入し、撹拌混合後、還元澱粉糖化物、卵黄を投入してさらに撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後30gずつ容器に充填して製造した。この容器としては、小袋パウチを使用した。
【0037】
得られたカルボナーラソースの水分含量は減圧加熱乾燥法によれば14%であった。
【0038】
また、得られたカルボナーラソースを厚さ5mmの石英セルに入れ、清水を対照とした全光線透過率を濁度測定器(型名「WA2000N」、日本電色工業(株)製)を用いて、積分球式光電光度法により測定したところ(波長390nm、光路長5mm)、21.7%であり、このカルボナーラソースを水で3倍に希釈後、同様に全光線透過率を測定したところ、6.7%であった。これらの結果を表1に示す。また、水で希釈する前のカルボナーラソースと希釈した後のカルボナーラソースの写真を図1に示す。
【0039】
さらに、パスタ(直径1.6mm)(商品名:マ・マー スパゲティ、メーカー名:日清フーズ(株))100gを7分間茹で、茹であがり後ただちに上述の小袋パウチ1個分のパスタソース(30g)と箸で混合し、スパゲッティカルボナーラを得た。この場合、パスタとパスタソースとの混合は極めて容易であり、10秒でパスタソースをパスタ全体に和えることができた。
【0040】
こうして得られたスパゲッティカルボナーラを食したところ、滑らかな口当たりでクリーム感があり、良好であった。また、このスパゲッティカルボナーラは、30分放置した後も全体が塊状にはならず、一本一本を容易に摘むことができた。
【0041】
実施例2
カルボナーラソースの配合割合を表1のように変更し、実施例1と同様にカルボナーラソースを製造した。この配合割合では、無脂乳固形分の含有量は3.4%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は58部である。
【0042】
得られたカルボナーラソースの水分含量を実施例1と同様に測定したところ18%であった。また、得られたカルボナーラソースの全光線透過率を実施例1と同様に測定したところ25.2%であり、このカルボナーラソースを水で3倍に希釈後、同様に全光線透過率を測定したところ、8.0%であった。これらの結果を表1に示す。
【0043】
さらに、実施例2のカルボナーラソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、パスタとパスタソースとの混合は極めて容易であり、10秒でパスタソースをパスタ全体に和えることができた。
【0044】
こうして得られたスパゲッティカルボナーラを食したところ滑らかな口当たりでクリーム感があり、良好であった。また、このスパゲッティカルボナーラは、30分放置した後も全体が塊状にはならず、一本一本を容易に摘むことができた。
【0045】
実施例3
カルボナーラソースの配合割合を表1のように変更し、実施例1と同様にカルボナーラソースを製造した。この配合割合では、無脂乳固形分の含有量は16.6%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は57部である。
【0046】
得られたカルボナーラソースの水分含量を実施例1と同様に測定したところ15%であった。また、得られたカルボナーラソースの全光線透過率を実施例1と同様に測定したところ13.5%であり、このカルボナーラソースを水で3倍に希釈後、同様に全光線透過率を測定したところ、9.1%であった。これらの結果を表1に示す。
【0047】
さらに、実施例3のカルボナーラソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、パスタとパスタソースとの混合は極めて容易であり、10秒でパスタソースをパスタ全体に和えることができた。
【0048】
このカルボナーラソースを用いて調理したスパゲッティカルボナーラを食したところ滑らかな口当たりでクリーム感があり、良好であった。また、このスパゲッティカルボナーラは、30分放置した後も全体が塊状にはならず、一本一本を容易に摘むことができた。
【0049】
実施例4
表1の配合割合でクリームソースを製造した。この配合割合では無脂乳固形分の含有量は11.0%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は83部である。
【0050】
このクリームソースの製造においては、まず、ニーダーに食用油脂を投入し、次に全粉乳、キサンタンガム、食塩、グルタミン酸ナトリウム、ブラックペッパー、シュークロース、ショ糖脂肪酸エステルを投入し、撹拌混合後、還元澱粉糖化物、クリームを投入してさらに撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後30gずつ容器に充填して製造した。この容器としては、分配包装体を使用した。
【0051】
得られたクリームソースの水分含量を実施例1と同様に測定したところ21%であった。また、得られたクリームソースの全光線透過率を実施例1と同様に測定したところ、32.3%であり、このクリームソースを水で3倍に希釈後、同様に全光線透過率を測定したところ、12.0%であった。これらの結果を表1に示す。
【0052】
さらに、実施例4のクリームソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、パスタとパスタソースとの混合は極めて容易であり、10秒でパスタソースをパスタ全体に和えることができた。
【0053】
このクリームソースを用いて調理したクリームソーススパゲッティを食したところやや滑らかな口当たりでクリーム感があり、やや良好であった。また、このクリームソーススパゲッティは、30分放置した後も全体が塊状にはならず、一本一本を容易に摘むことができた。
【0054】
比較例1
カルボナーラソースの配合割合を表1のように変更し、実施例1と同様にカルボナーラソースを製造した。この配合割合では、無脂乳固形分の含有量は10.9%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は18部である。
【0055】
比較例1のカルボナーラソースによれば、食用油脂に対する還元澱粉糖化物の配合量が過度に少ないため、食用油脂が均一に分散せずに層分離し、透明度の測定ができなかった。また、カルボナーラソースを3倍量の水で希釈した後も層分離し、透明度の測定ができなかった。
【0056】
比較例1のカルボナーラソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、相分離によりチーズ、卵黄、全粉乳などがパスタに広がりにくく、パスタソース全体を均一に混合できなかった。
【0057】
また、このカルボナーラソースを用いて調理したスパゲッティカルボナーラはべたついた口当りで油っぽかった。
【0058】
比較例2
表1の配合割合でカルボナーラソースを製造した。この配合割合では、無脂乳固形分の含有量は5.1%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は58部である。得られたカルボナーラソースは、放冷後50gずつ容器に充填した。この容器としては、小袋パウチを使用した。
【0059】
比較例2のカルボナーラソースの水分含量を実施例1と同様に測定したところ42%であった。カルボナーラソースの全光線透過率を実施例1と同様に測定したところ、6.6%であり、カルボナーラソースを水で3倍に希釈後、同様に全光線透過率を測定したところ、9.1%であった。なお、このカルボナーラソースは、外観上、希釈前から乳化状態であり、還元澱粉糖化物中に油滴が分散している、D相類似の油脂分散物ではなかった。
【0060】
さらに、比較例2のカルボナーラソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、パスタにソースがからみ難く、また、喫食したところ、均一にからんでないことから、味が薄いものであった。
【0061】
比較例3
表1の配合割合でクリームソースを製造した。このクリームソースの製造においては、ニーダーにバター、小麦粉、食塩、キサンタンガム、クリーム、牛乳を投入し撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後140gずつ容器に充填して製造した。この容器としては、パウチを使用した。
【0062】
比較例3のクリームソースの水分含量を実施例1と同様に測定したところ78%であった。また、このクリームソースの全光線透過率を実施例1と同様に測定したところ11.5%であり、このクリームソースを水で3倍に希釈後、同様に全光線透過率を測定したところ、24.8%であった。これらの結果を表1に示す。
【0063】
さらに、比較例3のクリームソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、パスタソースがダマになりやすく、パスタとパスタソースが均一に混合し難かった。このクリームソーススパゲッティを食したところボソボソとし、口当たりの悪いものであった。
【0064】
比較例4
カルボナーラソースの配合割合を表1のように変更し、実施例1と同様にカルボナーラソースを製造した。この配合割合では、無脂乳固形分の含有量は1.7%、食用油脂100部に対する還元澱粉糖化物の多価アルコールとしての固形分換算含量は204部である。得られたカルボナーラソースは、放冷後30gずつ容器に充填して製造した。この容器としては、小袋パウチを使用した。
【0065】
比較例4のカルボナーラソースによれば、食用油脂に対する還元澱粉糖化物の配合量が過度に多く、無脂乳固形分量が少ないため、層分離し、透明度の測定ができなかった。また、カルボナーラソースを3倍量の水で希釈した後も層分離し、透明度の測定ができなかった。
【0066】
比較例4のカルボナーラソースを実施例1と同様にパスタに和えたところ、パスタソース全体を均一に混合できなかった。また、このカルボナーラソースを用いて調理したスパゲッティカルボナーラを食したところクリーム感がなかった。
【0067】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂20〜60質量%、水分5〜21質量%、乳又は乳製品を無脂乳固形分として3〜20質量%、及び多価アルコールを含有し、
多価アルコールの含有量が食用油脂100質量部に対して30〜150質量部、
全光線透過率(対照:清水、波長390nm、光路長5mm)が13〜35%、
水で3倍に希釈した場合の全光線透過率が0.1〜12%
であるクリーム系パスタソース。
【請求項2】
請求項1記載のパスタソースが、容器に充填包装されている個包装体であって、個包装体1個当たりのパスタソースの充填量が、20〜50gである個包装体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−120522(P2011−120522A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280367(P2009−280367)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】