パターニング方法、マスクセット、電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器
【課題】ブラックマトリクスを安定的に形成する。
【解決手段】基板(20)上にネガ型の感光性樹脂材料(301)が塗布される。続いて、第1の方向(X)に沿って延在する第1の露光部(3021)がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスク(302)を用いて感光性樹脂材料が露光された後に、第2の方向(Y)に沿って延在する第2の露光部(3031)がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスク(303)を用いて感光性樹脂材料が露光される。
【解決手段】基板(20)上にネガ型の感光性樹脂材料(301)が塗布される。続いて、第1の方向(X)に沿って延在する第1の露光部(3021)がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスク(302)を用いて感光性樹脂材料が露光された後に、第2の方向(Y)に沿って延在する第2の露光部(3031)がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスク(303)を用いて感光性樹脂材料が露光される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブラックマトリクスのパターニング方法、このようなブラックマトリクスのパターニング方法に用いられる露光マスクを含むマスクセット、このようなブラックマトリクスのパターニング方法を用いて製造される液晶装置等の電気光学装置、このような電気光学装置を製造する製造方法、及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、一対の素子基板及び対向基板間に、電気光学物質の一例である液晶が挟持される液晶装置が一例としてあげられる。このような液晶装置の一の例では、マトリクス状に分布する複数の画素電極が素子基板上に設けられると共に、共通電極(或いは、対向電極)が対向基板上に設けられる。また、液晶装置の他の例では、複数の画素電極及び共通電極の夫々が素子基板上に設けられる。そして、液晶装置の駆動時には、画素電極と共通電極との間の電位差に基づく印加電圧が液晶に印加される。その結果、液晶の配向や秩序が制御され、画像表示が可能となる。
【0003】
このような液晶装置では、カラー表示を行うために、各画素電極に対応するように設けられる赤色(R)や緑色(G)や青色(B)等の着色画素パターンを含むカラーフィルタが、対向基板上に設けられているのが一般的である。更には、これらの着色画素パターンの境界には、隣接する画素部からの光の漏れ込みを防ぐことで画像のコントラストを高めるために、ブラックマトリクスが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなブラックマトリクスは、以下のような工程を経て対向基板上に形成されるのが一般的である。まず、ネガ型の感光性樹脂を基板全面に塗布した後、乾燥させる。その後、格子状の露光部を有する1枚の露光マスク(つまり、露光マスク上の格子状の領域において光が透過するような露光部を有する露光マスク)を介して露光処理を行う。その後、現像して不要な部分の感光性樹脂を除去したのち焼成する。これにより、格子状のブラックマトリクスが対向基板上に形成される。その後、格子状のブラックマトリクスが形成されていない領域に、マトリクス状に分布する着色画素パターンが形成される。
【0005】
【特許文献1】特開平10−206622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、格子状の露光部を含む露光マスクを用いているがゆえに、感光性樹脂の露光に対する解像度によっては、格子状のブラックマトリクスの開口部の4隅が丸まった形状になりかねないという技術的な問題点を有している。つまり、ブラックマトリクスの形状が安定しないという技術的な問題点を有している。特に、感光性樹脂の露光に対する解像度が、ブラックマトリクスの材料の他の例である金属クロム等をパターニングするためのレジストの露光に対する解像度と比較して悪いために、感光性樹脂を用いてブラックマトリクスを形成する場合にこの技術的な問題が顕著に現れる。つまり、丸まりの度合いが強くなってしまう。これは、ブラックマトリクスの線幅のバラツキにつながってしまう。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばブラックマトリクスを安定的に形成することが可能なパターニング方法、このようなパターニング方法に用いられる露光マスクを含むマスクセット、このようなパターニング方法を用いて製造される電気光学装置、このような電気光学装置を製造する製造方法、及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(ブラックマトリクスのパターニング方法)
本発明の第1のパターニング方法は、行列状に配列された開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、前記第1露光工程の後に、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程とを備える。
【0009】
本発明の第1のパターニング方法によれば、第1露光工程において、第1の露光マスクを用いて感光性樹脂材料が塗布された基板に対する露光処理が行われる。その後、第2露光工程において、第1の露光マスクとは異なる第2の露光マスクを用いて感光性樹脂材料が塗布された基板に対する露光処理が再度行われる。つまり、2つの露光マスクを用いて、2回の露光処理が行われる。
【0010】
ここで、第1の露光マスクには、夫々が第1の方向に沿って延在する複数の第1の露光部が設けられている。第1の露光部は、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等を透過することが可能な領域部分である。他方で、第1の露光部以外の部分においては、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等が透過することは殆ど或いは全くない。従って、第1露光工程によって、感光性樹脂材料は、第1の方向に沿って延在する複数のストライプ状の領域が感光する。
【0011】
同様に、第2の露光マスクには、夫々が第2の方向に沿って延在する複数の第2の露光部が設けられている。第2の露光部は、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等を透過することが可能な領域部分である。他方で、第2の露光部以外の部分においては、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等が透過することは殆ど或いは全くない。従って、第2露光工程によって、感光性樹脂材料は、第2の方向に沿って延在する複数のストライプ状の領域が感光する。
【0012】
このため、第1露光工程及び第2露光工程が行われた後に不要な感光性樹脂材料(言い換えれば、露光されていない感光性樹脂材料)が除去されることで、格子状のパターンの感光性樹脂材料が基板上に残存することになる。つまり、第1露光工程によって樹脂製ブラックマトリクスの例えば縦方向の格子が形成されると共に、第2露光工程によって樹脂製ブラックマトリクスの例えば横方向の格子が形成される。これにより、行列状に配列された開口を有する樹脂製ブラックマトリクスが基板上に形成される。つまり、格子状の樹脂製ブラックマトリクスが基板上に形成される。
【0013】
特に、上述の如く第1の露光マスクと第2の露光マスクとを用いて露光処理を2度に分けて行っているため、格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定する。具体的には、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅が丸まってしまうという不都合の程度を相対的には緩和することができる。このため、格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、樹脂製ブラックマトリクスの線幅のバラツキの発生を相対的に抑制することができる。従って、格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、樹脂製ブラックマトリクスを安定的に形成することができる。
【0014】
本発明の第1のパターニング方法の一の態様では、前記第1の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在し、前記第2の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在する。
【0015】
第1露光部や第2露光部の端部が閉じた端部となっているのであれば、これに起因して、当該端部に対応する基板上の領域に形成される樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅が丸まってしまいかねない。しかるに、この態様によれば、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域(例えば、画素表示領域等)内において第1露光部や第2露光部の端部が閉じた端部となることはない。このため、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域においては、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定する。
【0016】
本発明の第1のパターニング方法の他の態様では、前記第1の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域の外周の領域を露光させる。
【0017】
この態様によれば、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域(例えば、画素表示領域等)内において第1露光部や第2露光部の端部が閉じた端部となることはない。このため、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域においては、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定する。
【0018】
本発明の第2のパターニング方法は、開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、第1の方向に延在し且つ前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口の前記第1の方向に沿った辺の長さよりも長い辺を有する領域部分を露光させる第1の露光部が少なくとも設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在すると共に、少なくとも前記第1の露光部により露光された領域を露光させる第2の露光部が設けられた第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程とを備える。
【0019】
本発明の第2のパターニング方法によれば、上述した本発明の第1のパターニング方法と同様に、第1の露光マスクと第2の露光マスクとを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、開口を有する(例えば、格子状の)樹脂製ブラックマトリクスが基板上に形成される。
【0020】
第2のパターニング方法では特に、第1の露光マスクは、第1の方向に延在する第1の露光部を含んでいる。この第1の露光部の第1の方向における長さは、樹脂製ブラックマトリクスの開口の第1の方向に沿った辺の長さよりも長い辺を有する基板上の領域部分を露光させることが可能な程度の長さである。また、第2の露光マスクは、第2の方向に延在する第2の露光部を含んでいる。この第2の露光部は、第1の露光部を介して露光された領域を露光させるように第2の露光マスク上に設けられている。
【0021】
このため、少なくとも第1の露光部と第2の露光部とを介して露光されることで形成される樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状は、樹脂製ブラックマトリクスと相似形状となる格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、相対的には安定する。言い換えれば、樹脂製ブラックマトリクスと相似形状となる格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて樹脂製ブラックマトリクスを形成すれば、樹脂製ブラックマトリクスの殆ど全ての開口の角の形状が安定しないところ、第2のパターニング方法によれば、樹脂製ブラックマトリクスの少なくとも一部の開口の角の形状を安定させることができる。従って、上述した第1のパターニング方法が享受する各種効果を、相応に享受することができる。
【0022】
尚、上述した本発明の第1のパターニング方法の各種態様に対応して、本発明の第2のパターニング方法も各種態様を採ることができる。
【0023】
(マスクセット)
本発明のマスクセットは、基板上に塗布されたネガ型の感光性樹脂材料を露光することで、開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを前記基板上に形成するため2つの露光マスクを備えるマスクセットであって、第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクと、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクとを備える。
【0024】
本発明のマスクセットによれば、上述した第1のパターニング方法において用いられる第1の露光マスク及び第2の露光マスクを備えているため、当該マスクセットを用いて樹脂製ブラックマトリクスをパターニングすれば、上述した第1のパターニング方法が享受する各種効果を好適に享受することができる。
【0025】
尚、上述した本発明の第1又は第2のパターニング方法の各種態様に対応して、本発明のマスクセットも各種態様を採ることができる。
【0026】
(電気光学装置)
本発明の電気光学装置は、上述した本発明の第1の又は第2のパターニング方法(但し、その各種態様を含む)により生成された基板と、前記基板に対向する他の基板と、前記基板と前記他の基板との間に挟持される電気光学物質とを備える。
【0027】
本発明の電気光学装置によれば、基板(例えば、後述の対向基板)と他の基板(例えば、後述のTFTアレイ基板)との間に挟持される電気光学物質に対して電界が印加されることで電気光学物質が駆動され、その結果、画像表示が可能となる。特に、基板上に形成される樹脂製ブラックマトリクスの線幅が相対的に安定しているため、相対的には高品質な電気光学装置を提供することができる。
【0028】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記他の基板上に、前記電気光学物質に対して電界を印加するための共通電極及び画素電極の夫々が設けられる。
【0029】
この態様によれば、例えば、FFS方式やIPS方式等の横電界駆動方式の電気光学装置において、上述した各種効果を享受することができる。
【0030】
(電気光学装置の製造方法)
本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の又は第2のパターニング方法(但し、その各種態様を含む)により生成された樹脂製ブラックマトリクスを有する基板を備えた電気光学装置を製造する。
【0031】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、基板上に形成される樹脂製ブラックマトリクスの線幅が相対的に安定しているため、相対的には高品質な電気光学装置を製造することができる。
【0032】
(電子機器)
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0033】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置(或いは、その各種態様)備えているため、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる。つまり、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現することができる。
【0034】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下では、本発明に係る電気光学装置の一例として、液晶装置を用いて説明を進める。
【0036】
(1)液晶装置の基本構成
先ず、本実施形態に係る液晶装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0037】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、本発明に係る「他の基板」の一具体例を構成するTFTアレイ基板10と、本発明に係る「基板」の一具体例を構成する対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置する枠状或いは額縁状のシール領域に設けられたシール材52により互いに貼り合わされている。
【0038】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のスペーサが散布されている。
【0039】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。但し、データ線駆動回路101は、シール領域よりも内側に、データ線駆動回路101が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられていてもよい。また、走査線駆動回路104及び共通配線駆動回路110は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0040】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。具体的には、画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に共通電極21、絶縁層12及び画素電極9aがこの順に形成されている。つまり、本実施形態に係る液晶装置100は、画素電極9aと共通電極21との間に生ずる電界によって液晶層50の配向状態を制御する横電界駆動方式(特に、FFS(Fringe Field Switching)方式)を採用している。ここで、画素電極9aは、画像表示領域10aを構成する各画素を形成するようにマトリクス状に設けられている。一方で、共通電極21は、全ての画素電極9aに対して共通にベタ状に設けられてもよいし、或いは1つの行に属する画素電極9aに対応する共通電極が、1水平ラインごとに設けられてもよい。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、ブラックマトリクス211が形成されている。ブラックマトリクス211は、例えば遮光性樹脂膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、ブラックマトリクス211上にカラーフィルタ212が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の基板間で、所定の配向状態をとる。尚、ブラックマトリクス211やカラーフィルタ212等を含む対向基板20側の詳細な構成については後に詳述する(図4等参照)。
【0041】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0042】
また、上述の説明では、画素電極9aと共通電極11とが異なる層に設けられると共に、画素電極9aと共通電極11とが絶縁層12を間に挟持し、液晶層50側の画素電極9aに開口部を有するFFS方式を採用する液晶装置100について説明を進めているが、液晶層50側を開口部を有する共通電極11としてもよい。また、画素電極9aと共通電極11とが同じ層に設けられるIPS方式を採用する液晶装置であってもよい。また、横電界駆動方式を採用する液晶装置のみならず、例えばTN(ツイスト・ネマティック)方式や、ECB(複屈折電界効果)方式や、VA(垂直配向)方式等の縦電界駆動方式を採用する液晶装置であってもよい。
【0043】
(2)液晶装置の電気的な詳細構成
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【0044】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、そのTFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
【0045】
走査線駆動回路104は、走査信号を、走査線Y1からYn(但し、nは1以上の整数)に順次供給する。例えば、ある走査線Ya(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)にハイレベルの走査信号が供給されると、この走査線Yaに接続されたTFT116が全てオン状態となり、この走査線Yaに対応する画素部70が全て選択される。
【0046】
データ線駆動回路101は、画像信号を、データ線X1からXm(但し、mは1以上の整数)に順次供給し、オン状態のTFT116を介してこの画像信号に基づく画像電圧を画素電極9a及び蓄積容量119に書き込む。
【0047】
本実施形態に係る液晶装置100には、更に、そのTFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、マトリクス状に配列された複数の画素部70が設けられている。
【0048】
画素部70は、画素スイッチング用のTFT116、画素電極9a、液晶素子118、共通電極21及び蓄積容量119を備えている。
【0049】
TFT116は、ソース端子がデータ線X1〜Xmのいずれかに電気的に接続され、ゲート端子が走査線Y1からYnのいずれかに電気的に接続され、ドレイン端子が画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用のTFT116は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられる。
【0050】
液晶素子118は、画素電極9a、共通電極21並びに画素電極9a及び共通電極21間に位置する液晶から構成されている。画素電極9aは、TFT116を介してデータ線X1からXmのいずれかと電気的に接続されている。共通電極21は、共通配線COMと電気的に接続されている。液晶装置100の動作時には、データ線X1からXm及びTFT116を介して供給された画像信号の電位を有する画素電極9aと、共通線COMを介して供給された共通電圧の電位を有する共通電極21との間には電界が生じる。液晶は、当該電界に応じて駆動されることによって、即ち、当該電界に応じて分子集合の配向や秩序が変化することによって、光を変調し、階調表示を可能とする。
【0051】
蓄積容量119は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために付加されている。蓄積容量119を構成する一方の電極は、画素電極9aに電気的に接続され、他方の電極は、共通配線COMに電気的に接続されている。
【0052】
(3)対向基板の詳細な構成
続いて、図4を参照して、対向基板20の詳細な構成について説明する。ここに、図4(a)は、対向基板20の詳細な構成を概念的に示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)の(VI)−(VI’)断面図である。
【0053】
図4(a)及び図4(b)に示すように、対向基板20上には、格子状のブラックマトリクス211が設けられている。このブラックマトリクス211は、例えば感光性樹脂から形成される。このブラックマトリクス211が設けられた領域が、TFTアレイ基板10上にマトリクス状に設けられた画素電極9aの周縁部に対応する位置に該当する。このブラックマトリクス211は、画素電極9aの周縁部或いは隣接する画素電極9aからの光漏れを防止し、表示される画像のコントラストを高めるために設けられる。
【0054】
ブラックマトリクス211で区画された領域には、赤色(R:Red)、緑色(G:Green)及び青色(B:Blue)の3色のカラーフィルタ層212R、212G及び212Bがそれぞれストライプ状に設けられている。カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、図4(a)における横方向においては、3色のカラーフィルタ層212R、212G及び212Bが順番に配列されるように設けられる。このとき、図4(b)においては、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、ブラックマトリクス211と重ならないように設けられている。但し、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、各カラーフィルタ層の境界がブラックマトリクス211の一部と重なるように設けられてもよい。また、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、図4(a)における縦方向には、同色のカラーフィルタ層212R、212G及び212Bがブラックマトリクス211上をまたがるように形成される。これらのカラーフィルタ層212R、212G及び212Bの形成材料としては、それぞれの着色剤を混合した感光性樹脂を用いてもよい。
【0055】
(4)ブラックマトリクスの形成方法
続いて、図5から図8を参照して、本実施形態に係る液晶装置100(特に、そのうちの対向基板20)が備えるブラックマトリクス211の形成方法について説明する。ここに、図5は、ブラックマトリクス211の形成工程の一の工程を概念的に示す断面図であり、図6は、ブラックマトリクス211の形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図7は、ブラックマトリクス211の形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図8は、ブラックマトリクス211の形成工程の他の工程を概念的に示す断面図である。
【0056】
図5に示すように、まず、例えばロールコート法やスピンコート法やブレードコート法等を用いて、対向基板20上に、ブラックマトリクス211の材料となるネガ型の感光性樹脂301が塗布される。その後、塗布された感光性樹脂301の乾燥処理が行われる。
【0057】
続いて、図6(a)に示すように、フォトマスク302を用いて感光性樹脂301に対する露光処理が行われる。ここで、図6(b)に示すように、フォトマスク302には、X方向(言い換えれば、縦方向)に沿って延在する露光部3021が、ストライプを形成するように複数設けられている。露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、露光部3021を透過して、露光部3021に対応する感光性樹脂301上の所定の領域を感光させる。他方で、露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、フォトマスク302のうちの露光部3021以外の部分を透過することはないため、露光部3021に対応しない感光性樹脂301上の他の領域は感光しない。従って、図6に示す露光処理によって、感光性樹脂301は、ストライプを形成するようにX方向に延在する複数の縦長の領域が感光することになる。
【0058】
続いて、図7(a)に示すように、フォトマスク303を用いて感光性樹脂301に対する他の露光処理が行われる。ここで、図7(b)に示すように、フォトマスク303には、Y方向(言い換えれば、横方向)に沿って延在する露光部3021が、ストライプを形成するように複数設けられている。つまり、図7に示す露光処理で用いられるフォトマスク303上の露光部3031は、図6に示す露光処理で用いられるフォトマスク302上の露光部3021と直交する関係を有している。露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、露光部3031を透過して、露光部3031に対応する感光性樹脂301上の所定の領域を感光させる。他方で、露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、フォトマスク303のうちの露光部3031以外の部分を透過することはないため、露光部3031に対応しない感光性樹脂301上の他の領域は感光しない。従って、図7に示す露光処理によって、感光性樹脂301は、ストライプを形成するようにY方向に延在する複数の横長の領域が感光することになる。
【0059】
続いて、現像処理が行われることで、不要な感光性樹脂301が除去される。つまり、図6に示す露光処理及び図7に示す露光処理のいずれにおいても感光していない感光性樹脂301が除去される。ここで、感光性樹脂301は、図6に示す露光処理によって、X方向に延在する複数の縦長の領域が感光し、且つ図7に示す露光処理によって、Y方向に延在する複数の横長の領域が感光している。このため、図8(a)及び図8(b)に示すように、感光していない感光性樹脂301が除去された結果、XY方向の格子状の感光性樹脂301のみが残存する。その結果、残存した感光性樹脂301が、XY方向の格子を構成する(言い換えれば、開口部が行列状に配列された)ブラックマトリクス211となる。
【0060】
その後、上述したフォトリソグラフィー法や、或いは印刷法、電着法、転写法等周知の形成方法を用いて、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bが形成される。更に、必要に応じて、感光性樹脂からなるオーバーコート層213を形成するように構成してもよい。
【0061】
このように、本実施形態においては、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、ブラックマトリクス211が形成される。ここで、図9を参照して、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことでブラックマトリクス211を形成することによって得られる技術的な効果を、格子状の露光部を有する1つのフォトマスクを用いて露光処理を1度だけ行うことでブラックマトリクス211を形成する比較例と対比させながら説明する。ここに、図9(a)は、格子状の露光部を有するフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図9(b)は、格子状の露光部を有する1つのフォトマスクを用いて露光処理を1度だけ行うことで形成されるブラックマトリクス211の形状を概念的に示す平面図であり、図9(c)は、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで形成されるブラックマトリクス211の形状を概念的に示す平面図である。
【0062】
図9(a)に示すように、比較例においては、XY方向の格子状の露光部3041を有するフォトマスク304を用いて1回の露光処理によってブラックマトリクス211が形成される。
【0063】
その結果、形成されるブラックマトリクス211は、図9(b)に示すように、ブラックマトリクス211の開口部(つまり、カラーフィルタ層212R、212G或いは212Bが形成される領域部分)の4隅の角部分が丸まったないしは狭まった形状となってしまう。言い換えれば、ブラックマトリクス211のX方向の格子とY方向の格子との交点付近における格子の線幅が大きく変動してしまう。これは、ブラックマトリクス211の材料である感光性樹脂301の露光に対する解像度が、ブラックマトリクス211の他の材料であるクロム等の金属薄膜の露光に対する解像度よりも低い(つまり、悪化している)にも関わらず、X方向及びY方向の夫々に延在する露光部3041を有する1つのフォトマスク304を用いて露光処理を行っているためである。
【0064】
しかるに、本実施形態によれば、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行っているため、図9(c)に示すように、ブラックマトリクス211の開口部の4隅の角部分の丸まりの程度を軽減するないしは緩和することができる。言い換えれば、比較例と比較して、ブラックマトリクス211のX方向の格子とY方向の格子との交点付近における格子の線幅の変動の程度を小さくすることができる。一例として、例えば5.0マイクロメートルの設計線幅となるようにブラックマトリクス211を形成した場合には、図9(b)に示す例では、4.7マイクロメートル±3.5マイクロメートル程度の線幅になる一方で、図9(b)に示す例では、5.2マイクロメートル±0.8マイクロメートル程度の線幅となる。つまり、線幅の変動の程度が小さくなっていることが分かる。従って、ブラックマトリクス211の線幅のバラツキを抑えることができるため、ブラックマトリクス211を安定的に形成することができる。
【0065】
尚、上述の説明では、フォトマスク302とフォトマスク303という2つの別々のフォトマスクを用いて2度の露光処理を行っている。しかしながら、フォトマスク302が有する露光部3021とフォトマスク303が有する露光部3031とが直交する関係にあることを考慮すれば、フォトマスク302を用いて露光処理を行った後、対向基板20に対して90度回転したフォトマスク302を用いて続く露光処理を行ってもよい。この場合、1枚のフォトマスク302を用いて2度の露光処理を行うことができる。
【0066】
(5)フォトマスクの変形例
続いて、フォトマスクの変形例について説明する。
【0067】
(5−1)第1変形例
まず、図10を参照して、第1変形例に係るフォトマスクについて説明する。ここに、図10は、第1変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【0068】
図10(a)に示すように、第1変形例に係るフォトマスク305は、上述したフォトマスク302と同様に、X方向(言い換えれば、縦方向)に沿って延在する露光部3051が、ストライプを形成するように複数設けられている。フォトマスク305は特に、各露光部3051は、画像表示領域10aに対応するフォトマスク305上の領域305aよりも外側の領域に到達するように延在している。
【0069】
同様に、図10(b)に示すように、第1変形例に係るフォトマスク306は、上述したフォトマスク303と同様に、Y方向(言い換えれば、縦方向)に沿って延在する露光部3051が、ストライプを形成するように複数設けられている。フォトマスク306は特に、各露光部3061は、画像表示領域10aに対応するフォトマスク306上の領域306aよりも外側の領域に到達するように延在している。
【0070】
第1変形例では、このようなフォトマスク305とフォトマスク306という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、ブラックマトリクス211が形成される。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0071】
加えて、第1変形例によれば、画像表示領域10aに対応する領域305a(306a)内において露光部3051や露光部3061の端部が位置することはない。言い換えれば、画像表示領域10aに対応する領域305a(306a)内においては、露光部3051や露光部3061は、閉じた端部を有することはなくなる。このため、少なくとも画像表示領域10aにおいては、格子状のブラックマトリクス211の開口部の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定することになる。つまり、露光部3051のX方向の端部や露光部3061のY方向の端部が画像表示領域10aに対応する領域内に位置することに起因して、画像表示領域10a内に形成されるブラックマトリクス211の開口部の4隅の角部分が丸まってしまうという不都合の発生を好適に抑制することができる。従って、画像の表示品質に影響を与える画像表示領域10a内のブラックマトリクス211を安定的に形成することができる。
【0072】
(5−2)第2変形例
続いて、図11を参照して、第2変形例に係るフォトマスクについて説明する。ここに、図11は、第2変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【0073】
図11(a)に示すように、第2変形例に係るフォトマスク307には、X方向に沿って延在する露光部3071が、ストライプを形成するように複数設けられている。但し、第2変形例に係るフォトマスク307には、更に、Y方向に沿って延在する露光部3072が、露光部3071と交わるように設けられている。このとき、露光部3072によって分断されていない露光部3071の一部分(つまり、Y方向に延在する露光部3072と交わらない一連の露光部分)のX方向における長さdは、ブラックマトリクス211の1つの開口部のX方向の辺の長さよりも長い辺を有する対向基板20上の領域部分を露光させることが可能な程度の長さとなっている。つまり、第1変形例に係るフォトマスク307は、上述したフォトマスク302が有する露光部3021に加えて、上述したフォトマスク303が有する露光部3031の一部が更に設けられた構成を有している。
【0074】
他方、第1変形例に係るもう1つのフォトマスク308は、Y方向に沿って延在する露光部3081が、ストライプを形成するように複数設けられている。但し、露光部3081は、フォトマスク307に設けられたY方向に延在する露光部3072と重複しない位置にのみ設けられる。更に、露光部3081は、フォトマスク307に設けられたX方向に延在する露光部3071のうちY方向に延在する露光部3072と交わらない一連の露光部分を、ブラックマトリクス211の1つの開口部のX方向の辺の長さ毎に分断するような位置関係を有して設けられる。
【0075】
第2変形例では、このようなフォトマスク307とフォトマスク308という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、ブラックマトリクス211が形成される。特に、フォトマスク307が、ブラックマトリクス211の1つの開口部のX方向の辺の長さよりも長い辺を有する対向基板20上の領域部分を露光させることが可能な露光部3071を有しているため、少なくともこの露光部3071によって露光される対向基板20上の領域においては、上述した各種効果を享受しながらブラックマトリクス211を形成することができる。
【0076】
(5−3)フォトマスクの第3変形例
続いて、図12及び図13を参照して、第3変形例に係るフォトマスクについて説明する。ここに、図12は、第3変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図13は、第3変形例に係るフォトマスクを用いて形成されるブラックマトリクス211を概念的に示す平面図である。
【0077】
液晶装置100の一例として、奇数ラインにおける画素配列と偶数ラインにおける画素配列とが半画素だけずれた「デルタ構造」を採用する液晶装置も想定される。この場合、単純に上述したフォトマスク302及び303を同様の態様で用いるだけでは、デルタ構造の画素配列に対応するブラックマトリクス211を形成することは困難である。従って、この場合は、図12に示すように、上述したフォトマスク302に代えて、奇数ラインにおけるブラックマトリクス211を形成するためのX方向に延在する露光部3081と、偶数ラインにおけるブラックマトリクス211を形成するためのX方向に延在する露光部3082とをY方向に沿って半画素ずらして配置したフォトマスク308が用いられる。このフォトマスク308と上述したフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、上述した各種効果を享受しつつ、図13に示すように、デルタ構造の画素配列に対応するブラックマトリクス211を好適に形成することができる。
【0078】
(6)電子機器
続いて、図14及び図15を参照しながら、上述の液晶装置100を具備してなる電子機器の例を説明する。
【0079】
図14は、上述した液晶装置100が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図14において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置100を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶装置100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0080】
次に、上述した液晶装置100を携帯電話に適用した例について説明する。図15は、電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図15において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、半透過反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置100と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。
【0081】
これらの電子機器においても、上述した液晶装置100を含んでいるため、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0082】
尚、図14及び図15を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた直視型の表示装置や、液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0083】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なうパターニング方法、マスクセット、電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】対向基板の詳細な構成を概念的に示す平面図及び断面図である。
【図5】ブラックマトリクスの形成工程の一の工程を概念的に示す断面図である。
【図6】ブラックマトリクスの形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図7】ブラックマトリクスの形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図8】ブラックマトリクスの形成工程の他の工程を概念的に示す断面図である。
【図9】格子状の露光部を有するフォトマスクを概念的に示す平面図であり、格子状の露光部を有する1つのフォトマスクを用いて露光処理を1度だけ行うことで形成されるブラックマトリクスの形状を概念的に示す平面図であり、2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで形成されるブラックマトリクスの形状を概念的に示す平面図である。
【図10】第1変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図11】第2変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図12】第3変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図13】第3変形例に係るフォトマスクを用いて形成されるブラックマトリクスを概念的に示す平面図である。
【図14】液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図15】液晶装置が適用された携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
100…液晶装置、10…TFTアレイ基板、20…対向基板、21…共通電極、221…ブラックマトリクス、212R…カラーフィルタ層、212G…カラーフィルタ層、212B…カラーフィルタ層、301…感光性樹脂、302…フォトマスク、3021…露光部、303…フォトマスク、3031…露光部、305…フォトマスク、3051…露光部、306…フォトマスク、3061…露光部、307…フォトマスク、3071…露光部、308…フォトマスク、3081…露光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブラックマトリクスのパターニング方法、このようなブラックマトリクスのパターニング方法に用いられる露光マスクを含むマスクセット、このようなブラックマトリクスのパターニング方法を用いて製造される液晶装置等の電気光学装置、このような電気光学装置を製造する製造方法、及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、一対の素子基板及び対向基板間に、電気光学物質の一例である液晶が挟持される液晶装置が一例としてあげられる。このような液晶装置の一の例では、マトリクス状に分布する複数の画素電極が素子基板上に設けられると共に、共通電極(或いは、対向電極)が対向基板上に設けられる。また、液晶装置の他の例では、複数の画素電極及び共通電極の夫々が素子基板上に設けられる。そして、液晶装置の駆動時には、画素電極と共通電極との間の電位差に基づく印加電圧が液晶に印加される。その結果、液晶の配向や秩序が制御され、画像表示が可能となる。
【0003】
このような液晶装置では、カラー表示を行うために、各画素電極に対応するように設けられる赤色(R)や緑色(G)や青色(B)等の着色画素パターンを含むカラーフィルタが、対向基板上に設けられているのが一般的である。更には、これらの着色画素パターンの境界には、隣接する画素部からの光の漏れ込みを防ぐことで画像のコントラストを高めるために、ブラックマトリクスが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなブラックマトリクスは、以下のような工程を経て対向基板上に形成されるのが一般的である。まず、ネガ型の感光性樹脂を基板全面に塗布した後、乾燥させる。その後、格子状の露光部を有する1枚の露光マスク(つまり、露光マスク上の格子状の領域において光が透過するような露光部を有する露光マスク)を介して露光処理を行う。その後、現像して不要な部分の感光性樹脂を除去したのち焼成する。これにより、格子状のブラックマトリクスが対向基板上に形成される。その後、格子状のブラックマトリクスが形成されていない領域に、マトリクス状に分布する着色画素パターンが形成される。
【0005】
【特許文献1】特開平10−206622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、格子状の露光部を含む露光マスクを用いているがゆえに、感光性樹脂の露光に対する解像度によっては、格子状のブラックマトリクスの開口部の4隅が丸まった形状になりかねないという技術的な問題点を有している。つまり、ブラックマトリクスの形状が安定しないという技術的な問題点を有している。特に、感光性樹脂の露光に対する解像度が、ブラックマトリクスの材料の他の例である金属クロム等をパターニングするためのレジストの露光に対する解像度と比較して悪いために、感光性樹脂を用いてブラックマトリクスを形成する場合にこの技術的な問題が顕著に現れる。つまり、丸まりの度合いが強くなってしまう。これは、ブラックマトリクスの線幅のバラツキにつながってしまう。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばブラックマトリクスを安定的に形成することが可能なパターニング方法、このようなパターニング方法に用いられる露光マスクを含むマスクセット、このようなパターニング方法を用いて製造される電気光学装置、このような電気光学装置を製造する製造方法、及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(ブラックマトリクスのパターニング方法)
本発明の第1のパターニング方法は、行列状に配列された開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、前記第1露光工程の後に、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程とを備える。
【0009】
本発明の第1のパターニング方法によれば、第1露光工程において、第1の露光マスクを用いて感光性樹脂材料が塗布された基板に対する露光処理が行われる。その後、第2露光工程において、第1の露光マスクとは異なる第2の露光マスクを用いて感光性樹脂材料が塗布された基板に対する露光処理が再度行われる。つまり、2つの露光マスクを用いて、2回の露光処理が行われる。
【0010】
ここで、第1の露光マスクには、夫々が第1の方向に沿って延在する複数の第1の露光部が設けられている。第1の露光部は、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等を透過することが可能な領域部分である。他方で、第1の露光部以外の部分においては、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等が透過することは殆ど或いは全くない。従って、第1露光工程によって、感光性樹脂材料は、第1の方向に沿って延在する複数のストライプ状の領域が感光する。
【0011】
同様に、第2の露光マスクには、夫々が第2の方向に沿って延在する複数の第2の露光部が設けられている。第2の露光部は、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等を透過することが可能な領域部分である。他方で、第2の露光部以外の部分においては、感光性樹脂材料を感光させることができる程度の強度を有する光や電子ビーム等が透過することは殆ど或いは全くない。従って、第2露光工程によって、感光性樹脂材料は、第2の方向に沿って延在する複数のストライプ状の領域が感光する。
【0012】
このため、第1露光工程及び第2露光工程が行われた後に不要な感光性樹脂材料(言い換えれば、露光されていない感光性樹脂材料)が除去されることで、格子状のパターンの感光性樹脂材料が基板上に残存することになる。つまり、第1露光工程によって樹脂製ブラックマトリクスの例えば縦方向の格子が形成されると共に、第2露光工程によって樹脂製ブラックマトリクスの例えば横方向の格子が形成される。これにより、行列状に配列された開口を有する樹脂製ブラックマトリクスが基板上に形成される。つまり、格子状の樹脂製ブラックマトリクスが基板上に形成される。
【0013】
特に、上述の如く第1の露光マスクと第2の露光マスクとを用いて露光処理を2度に分けて行っているため、格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定する。具体的には、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅が丸まってしまうという不都合の程度を相対的には緩和することができる。このため、格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、樹脂製ブラックマトリクスの線幅のバラツキの発生を相対的に抑制することができる。従って、格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、樹脂製ブラックマトリクスを安定的に形成することができる。
【0014】
本発明の第1のパターニング方法の一の態様では、前記第1の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在し、前記第2の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在する。
【0015】
第1露光部や第2露光部の端部が閉じた端部となっているのであれば、これに起因して、当該端部に対応する基板上の領域に形成される樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅が丸まってしまいかねない。しかるに、この態様によれば、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域(例えば、画素表示領域等)内において第1露光部や第2露光部の端部が閉じた端部となることはない。このため、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域においては、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定する。
【0016】
本発明の第1のパターニング方法の他の態様では、前記第1の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域の外周の領域を露光させる。
【0017】
この態様によれば、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域(例えば、画素表示領域等)内において第1露光部や第2露光部の端部が閉じた端部となることはない。このため、少なくとも樹脂製ブラックマトリクスの開口が行列状に配列される領域においては、格子状の樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定する。
【0018】
本発明の第2のパターニング方法は、開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、第1の方向に延在し且つ前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口の前記第1の方向に沿った辺の長さよりも長い辺を有する領域部分を露光させる第1の露光部が少なくとも設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在すると共に、少なくとも前記第1の露光部により露光された領域を露光させる第2の露光部が設けられた第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程とを備える。
【0019】
本発明の第2のパターニング方法によれば、上述した本発明の第1のパターニング方法と同様に、第1の露光マスクと第2の露光マスクとを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、開口を有する(例えば、格子状の)樹脂製ブラックマトリクスが基板上に形成される。
【0020】
第2のパターニング方法では特に、第1の露光マスクは、第1の方向に延在する第1の露光部を含んでいる。この第1の露光部の第1の方向における長さは、樹脂製ブラックマトリクスの開口の第1の方向に沿った辺の長さよりも長い辺を有する基板上の領域部分を露光させることが可能な程度の長さである。また、第2の露光マスクは、第2の方向に延在する第2の露光部を含んでいる。この第2の露光部は、第1の露光部を介して露光された領域を露光させるように第2の露光マスク上に設けられている。
【0021】
このため、少なくとも第1の露光部と第2の露光部とを介して露光されることで形成される樹脂製ブラックマトリクスの開口の隅(言い換えれば、角部分)の形状は、樹脂製ブラックマトリクスと相似形状となる格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて露光処理を行う構成と比較して、相対的には安定する。言い換えれば、樹脂製ブラックマトリクスと相似形状となる格子状の露光部を備える1枚の露光マスクを用いて樹脂製ブラックマトリクスを形成すれば、樹脂製ブラックマトリクスの殆ど全ての開口の角の形状が安定しないところ、第2のパターニング方法によれば、樹脂製ブラックマトリクスの少なくとも一部の開口の角の形状を安定させることができる。従って、上述した第1のパターニング方法が享受する各種効果を、相応に享受することができる。
【0022】
尚、上述した本発明の第1のパターニング方法の各種態様に対応して、本発明の第2のパターニング方法も各種態様を採ることができる。
【0023】
(マスクセット)
本発明のマスクセットは、基板上に塗布されたネガ型の感光性樹脂材料を露光することで、開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを前記基板上に形成するため2つの露光マスクを備えるマスクセットであって、第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクと、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクとを備える。
【0024】
本発明のマスクセットによれば、上述した第1のパターニング方法において用いられる第1の露光マスク及び第2の露光マスクを備えているため、当該マスクセットを用いて樹脂製ブラックマトリクスをパターニングすれば、上述した第1のパターニング方法が享受する各種効果を好適に享受することができる。
【0025】
尚、上述した本発明の第1又は第2のパターニング方法の各種態様に対応して、本発明のマスクセットも各種態様を採ることができる。
【0026】
(電気光学装置)
本発明の電気光学装置は、上述した本発明の第1の又は第2のパターニング方法(但し、その各種態様を含む)により生成された基板と、前記基板に対向する他の基板と、前記基板と前記他の基板との間に挟持される電気光学物質とを備える。
【0027】
本発明の電気光学装置によれば、基板(例えば、後述の対向基板)と他の基板(例えば、後述のTFTアレイ基板)との間に挟持される電気光学物質に対して電界が印加されることで電気光学物質が駆動され、その結果、画像表示が可能となる。特に、基板上に形成される樹脂製ブラックマトリクスの線幅が相対的に安定しているため、相対的には高品質な電気光学装置を提供することができる。
【0028】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記他の基板上に、前記電気光学物質に対して電界を印加するための共通電極及び画素電極の夫々が設けられる。
【0029】
この態様によれば、例えば、FFS方式やIPS方式等の横電界駆動方式の電気光学装置において、上述した各種効果を享受することができる。
【0030】
(電気光学装置の製造方法)
本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の又は第2のパターニング方法(但し、その各種態様を含む)により生成された樹脂製ブラックマトリクスを有する基板を備えた電気光学装置を製造する。
【0031】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、基板上に形成される樹脂製ブラックマトリクスの線幅が相対的に安定しているため、相対的には高品質な電気光学装置を製造することができる。
【0032】
(電子機器)
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0033】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置(或いは、その各種態様)備えているため、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる。つまり、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現することができる。
【0034】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下では、本発明に係る電気光学装置の一例として、液晶装置を用いて説明を進める。
【0036】
(1)液晶装置の基本構成
先ず、本実施形態に係る液晶装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0037】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、本発明に係る「他の基板」の一具体例を構成するTFTアレイ基板10と、本発明に係る「基板」の一具体例を構成する対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置する枠状或いは額縁状のシール領域に設けられたシール材52により互いに貼り合わされている。
【0038】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のスペーサが散布されている。
【0039】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。但し、データ線駆動回路101は、シール領域よりも内側に、データ線駆動回路101が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられていてもよい。また、走査線駆動回路104及び共通配線駆動回路110は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0040】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。具体的には、画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に共通電極21、絶縁層12及び画素電極9aがこの順に形成されている。つまり、本実施形態に係る液晶装置100は、画素電極9aと共通電極21との間に生ずる電界によって液晶層50の配向状態を制御する横電界駆動方式(特に、FFS(Fringe Field Switching)方式)を採用している。ここで、画素電極9aは、画像表示領域10aを構成する各画素を形成するようにマトリクス状に設けられている。一方で、共通電極21は、全ての画素電極9aに対して共通にベタ状に設けられてもよいし、或いは1つの行に属する画素電極9aに対応する共通電極が、1水平ラインごとに設けられてもよい。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、ブラックマトリクス211が形成されている。ブラックマトリクス211は、例えば遮光性樹脂膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、ブラックマトリクス211上にカラーフィルタ212が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の基板間で、所定の配向状態をとる。尚、ブラックマトリクス211やカラーフィルタ212等を含む対向基板20側の詳細な構成については後に詳述する(図4等参照)。
【0041】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0042】
また、上述の説明では、画素電極9aと共通電極11とが異なる層に設けられると共に、画素電極9aと共通電極11とが絶縁層12を間に挟持し、液晶層50側の画素電極9aに開口部を有するFFS方式を採用する液晶装置100について説明を進めているが、液晶層50側を開口部を有する共通電極11としてもよい。また、画素電極9aと共通電極11とが同じ層に設けられるIPS方式を採用する液晶装置であってもよい。また、横電界駆動方式を採用する液晶装置のみならず、例えばTN(ツイスト・ネマティック)方式や、ECB(複屈折電界効果)方式や、VA(垂直配向)方式等の縦電界駆動方式を採用する液晶装置であってもよい。
【0043】
(2)液晶装置の電気的な詳細構成
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【0044】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、そのTFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
【0045】
走査線駆動回路104は、走査信号を、走査線Y1からYn(但し、nは1以上の整数)に順次供給する。例えば、ある走査線Ya(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)にハイレベルの走査信号が供給されると、この走査線Yaに接続されたTFT116が全てオン状態となり、この走査線Yaに対応する画素部70が全て選択される。
【0046】
データ線駆動回路101は、画像信号を、データ線X1からXm(但し、mは1以上の整数)に順次供給し、オン状態のTFT116を介してこの画像信号に基づく画像電圧を画素電極9a及び蓄積容量119に書き込む。
【0047】
本実施形態に係る液晶装置100には、更に、そのTFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、マトリクス状に配列された複数の画素部70が設けられている。
【0048】
画素部70は、画素スイッチング用のTFT116、画素電極9a、液晶素子118、共通電極21及び蓄積容量119を備えている。
【0049】
TFT116は、ソース端子がデータ線X1〜Xmのいずれかに電気的に接続され、ゲート端子が走査線Y1からYnのいずれかに電気的に接続され、ドレイン端子が画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用のTFT116は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられる。
【0050】
液晶素子118は、画素電極9a、共通電極21並びに画素電極9a及び共通電極21間に位置する液晶から構成されている。画素電極9aは、TFT116を介してデータ線X1からXmのいずれかと電気的に接続されている。共通電極21は、共通配線COMと電気的に接続されている。液晶装置100の動作時には、データ線X1からXm及びTFT116を介して供給された画像信号の電位を有する画素電極9aと、共通線COMを介して供給された共通電圧の電位を有する共通電極21との間には電界が生じる。液晶は、当該電界に応じて駆動されることによって、即ち、当該電界に応じて分子集合の配向や秩序が変化することによって、光を変調し、階調表示を可能とする。
【0051】
蓄積容量119は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために付加されている。蓄積容量119を構成する一方の電極は、画素電極9aに電気的に接続され、他方の電極は、共通配線COMに電気的に接続されている。
【0052】
(3)対向基板の詳細な構成
続いて、図4を参照して、対向基板20の詳細な構成について説明する。ここに、図4(a)は、対向基板20の詳細な構成を概念的に示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)の(VI)−(VI’)断面図である。
【0053】
図4(a)及び図4(b)に示すように、対向基板20上には、格子状のブラックマトリクス211が設けられている。このブラックマトリクス211は、例えば感光性樹脂から形成される。このブラックマトリクス211が設けられた領域が、TFTアレイ基板10上にマトリクス状に設けられた画素電極9aの周縁部に対応する位置に該当する。このブラックマトリクス211は、画素電極9aの周縁部或いは隣接する画素電極9aからの光漏れを防止し、表示される画像のコントラストを高めるために設けられる。
【0054】
ブラックマトリクス211で区画された領域には、赤色(R:Red)、緑色(G:Green)及び青色(B:Blue)の3色のカラーフィルタ層212R、212G及び212Bがそれぞれストライプ状に設けられている。カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、図4(a)における横方向においては、3色のカラーフィルタ層212R、212G及び212Bが順番に配列されるように設けられる。このとき、図4(b)においては、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、ブラックマトリクス211と重ならないように設けられている。但し、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、各カラーフィルタ層の境界がブラックマトリクス211の一部と重なるように設けられてもよい。また、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bは、図4(a)における縦方向には、同色のカラーフィルタ層212R、212G及び212Bがブラックマトリクス211上をまたがるように形成される。これらのカラーフィルタ層212R、212G及び212Bの形成材料としては、それぞれの着色剤を混合した感光性樹脂を用いてもよい。
【0055】
(4)ブラックマトリクスの形成方法
続いて、図5から図8を参照して、本実施形態に係る液晶装置100(特に、そのうちの対向基板20)が備えるブラックマトリクス211の形成方法について説明する。ここに、図5は、ブラックマトリクス211の形成工程の一の工程を概念的に示す断面図であり、図6は、ブラックマトリクス211の形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図7は、ブラックマトリクス211の形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図8は、ブラックマトリクス211の形成工程の他の工程を概念的に示す断面図である。
【0056】
図5に示すように、まず、例えばロールコート法やスピンコート法やブレードコート法等を用いて、対向基板20上に、ブラックマトリクス211の材料となるネガ型の感光性樹脂301が塗布される。その後、塗布された感光性樹脂301の乾燥処理が行われる。
【0057】
続いて、図6(a)に示すように、フォトマスク302を用いて感光性樹脂301に対する露光処理が行われる。ここで、図6(b)に示すように、フォトマスク302には、X方向(言い換えれば、縦方向)に沿って延在する露光部3021が、ストライプを形成するように複数設けられている。露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、露光部3021を透過して、露光部3021に対応する感光性樹脂301上の所定の領域を感光させる。他方で、露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、フォトマスク302のうちの露光部3021以外の部分を透過することはないため、露光部3021に対応しない感光性樹脂301上の他の領域は感光しない。従って、図6に示す露光処理によって、感光性樹脂301は、ストライプを形成するようにX方向に延在する複数の縦長の領域が感光することになる。
【0058】
続いて、図7(a)に示すように、フォトマスク303を用いて感光性樹脂301に対する他の露光処理が行われる。ここで、図7(b)に示すように、フォトマスク303には、Y方向(言い換えれば、横方向)に沿って延在する露光部3021が、ストライプを形成するように複数設けられている。つまり、図7に示す露光処理で用いられるフォトマスク303上の露光部3031は、図6に示す露光処理で用いられるフォトマスク302上の露光部3021と直交する関係を有している。露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、露光部3031を透過して、露光部3031に対応する感光性樹脂301上の所定の領域を感光させる。他方で、露光処理において照射される光や紫外線や電子ビーム等は、フォトマスク303のうちの露光部3031以外の部分を透過することはないため、露光部3031に対応しない感光性樹脂301上の他の領域は感光しない。従って、図7に示す露光処理によって、感光性樹脂301は、ストライプを形成するようにY方向に延在する複数の横長の領域が感光することになる。
【0059】
続いて、現像処理が行われることで、不要な感光性樹脂301が除去される。つまり、図6に示す露光処理及び図7に示す露光処理のいずれにおいても感光していない感光性樹脂301が除去される。ここで、感光性樹脂301は、図6に示す露光処理によって、X方向に延在する複数の縦長の領域が感光し、且つ図7に示す露光処理によって、Y方向に延在する複数の横長の領域が感光している。このため、図8(a)及び図8(b)に示すように、感光していない感光性樹脂301が除去された結果、XY方向の格子状の感光性樹脂301のみが残存する。その結果、残存した感光性樹脂301が、XY方向の格子を構成する(言い換えれば、開口部が行列状に配列された)ブラックマトリクス211となる。
【0060】
その後、上述したフォトリソグラフィー法や、或いは印刷法、電着法、転写法等周知の形成方法を用いて、カラーフィルタ層212R、212G及び212Bが形成される。更に、必要に応じて、感光性樹脂からなるオーバーコート層213を形成するように構成してもよい。
【0061】
このように、本実施形態においては、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、ブラックマトリクス211が形成される。ここで、図9を参照して、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことでブラックマトリクス211を形成することによって得られる技術的な効果を、格子状の露光部を有する1つのフォトマスクを用いて露光処理を1度だけ行うことでブラックマトリクス211を形成する比較例と対比させながら説明する。ここに、図9(a)は、格子状の露光部を有するフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図9(b)は、格子状の露光部を有する1つのフォトマスクを用いて露光処理を1度だけ行うことで形成されるブラックマトリクス211の形状を概念的に示す平面図であり、図9(c)は、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで形成されるブラックマトリクス211の形状を概念的に示す平面図である。
【0062】
図9(a)に示すように、比較例においては、XY方向の格子状の露光部3041を有するフォトマスク304を用いて1回の露光処理によってブラックマトリクス211が形成される。
【0063】
その結果、形成されるブラックマトリクス211は、図9(b)に示すように、ブラックマトリクス211の開口部(つまり、カラーフィルタ層212R、212G或いは212Bが形成される領域部分)の4隅の角部分が丸まったないしは狭まった形状となってしまう。言い換えれば、ブラックマトリクス211のX方向の格子とY方向の格子との交点付近における格子の線幅が大きく変動してしまう。これは、ブラックマトリクス211の材料である感光性樹脂301の露光に対する解像度が、ブラックマトリクス211の他の材料であるクロム等の金属薄膜の露光に対する解像度よりも低い(つまり、悪化している)にも関わらず、X方向及びY方向の夫々に延在する露光部3041を有する1つのフォトマスク304を用いて露光処理を行っているためである。
【0064】
しかるに、本実施形態によれば、フォトマスク302とフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行っているため、図9(c)に示すように、ブラックマトリクス211の開口部の4隅の角部分の丸まりの程度を軽減するないしは緩和することができる。言い換えれば、比較例と比較して、ブラックマトリクス211のX方向の格子とY方向の格子との交点付近における格子の線幅の変動の程度を小さくすることができる。一例として、例えば5.0マイクロメートルの設計線幅となるようにブラックマトリクス211を形成した場合には、図9(b)に示す例では、4.7マイクロメートル±3.5マイクロメートル程度の線幅になる一方で、図9(b)に示す例では、5.2マイクロメートル±0.8マイクロメートル程度の線幅となる。つまり、線幅の変動の程度が小さくなっていることが分かる。従って、ブラックマトリクス211の線幅のバラツキを抑えることができるため、ブラックマトリクス211を安定的に形成することができる。
【0065】
尚、上述の説明では、フォトマスク302とフォトマスク303という2つの別々のフォトマスクを用いて2度の露光処理を行っている。しかしながら、フォトマスク302が有する露光部3021とフォトマスク303が有する露光部3031とが直交する関係にあることを考慮すれば、フォトマスク302を用いて露光処理を行った後、対向基板20に対して90度回転したフォトマスク302を用いて続く露光処理を行ってもよい。この場合、1枚のフォトマスク302を用いて2度の露光処理を行うことができる。
【0066】
(5)フォトマスクの変形例
続いて、フォトマスクの変形例について説明する。
【0067】
(5−1)第1変形例
まず、図10を参照して、第1変形例に係るフォトマスクについて説明する。ここに、図10は、第1変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【0068】
図10(a)に示すように、第1変形例に係るフォトマスク305は、上述したフォトマスク302と同様に、X方向(言い換えれば、縦方向)に沿って延在する露光部3051が、ストライプを形成するように複数設けられている。フォトマスク305は特に、各露光部3051は、画像表示領域10aに対応するフォトマスク305上の領域305aよりも外側の領域に到達するように延在している。
【0069】
同様に、図10(b)に示すように、第1変形例に係るフォトマスク306は、上述したフォトマスク303と同様に、Y方向(言い換えれば、縦方向)に沿って延在する露光部3051が、ストライプを形成するように複数設けられている。フォトマスク306は特に、各露光部3061は、画像表示領域10aに対応するフォトマスク306上の領域306aよりも外側の領域に到達するように延在している。
【0070】
第1変形例では、このようなフォトマスク305とフォトマスク306という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、ブラックマトリクス211が形成される。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0071】
加えて、第1変形例によれば、画像表示領域10aに対応する領域305a(306a)内において露光部3051や露光部3061の端部が位置することはない。言い換えれば、画像表示領域10aに対応する領域305a(306a)内においては、露光部3051や露光部3061は、閉じた端部を有することはなくなる。このため、少なくとも画像表示領域10aにおいては、格子状のブラックマトリクス211の開口部の隅(言い換えれば、角部分)の形状が相対的には安定することになる。つまり、露光部3051のX方向の端部や露光部3061のY方向の端部が画像表示領域10aに対応する領域内に位置することに起因して、画像表示領域10a内に形成されるブラックマトリクス211の開口部の4隅の角部分が丸まってしまうという不都合の発生を好適に抑制することができる。従って、画像の表示品質に影響を与える画像表示領域10a内のブラックマトリクス211を安定的に形成することができる。
【0072】
(5−2)第2変形例
続いて、図11を参照して、第2変形例に係るフォトマスクについて説明する。ここに、図11は、第2変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【0073】
図11(a)に示すように、第2変形例に係るフォトマスク307には、X方向に沿って延在する露光部3071が、ストライプを形成するように複数設けられている。但し、第2変形例に係るフォトマスク307には、更に、Y方向に沿って延在する露光部3072が、露光部3071と交わるように設けられている。このとき、露光部3072によって分断されていない露光部3071の一部分(つまり、Y方向に延在する露光部3072と交わらない一連の露光部分)のX方向における長さdは、ブラックマトリクス211の1つの開口部のX方向の辺の長さよりも長い辺を有する対向基板20上の領域部分を露光させることが可能な程度の長さとなっている。つまり、第1変形例に係るフォトマスク307は、上述したフォトマスク302が有する露光部3021に加えて、上述したフォトマスク303が有する露光部3031の一部が更に設けられた構成を有している。
【0074】
他方、第1変形例に係るもう1つのフォトマスク308は、Y方向に沿って延在する露光部3081が、ストライプを形成するように複数設けられている。但し、露光部3081は、フォトマスク307に設けられたY方向に延在する露光部3072と重複しない位置にのみ設けられる。更に、露光部3081は、フォトマスク307に設けられたX方向に延在する露光部3071のうちY方向に延在する露光部3072と交わらない一連の露光部分を、ブラックマトリクス211の1つの開口部のX方向の辺の長さ毎に分断するような位置関係を有して設けられる。
【0075】
第2変形例では、このようなフォトマスク307とフォトマスク308という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、ブラックマトリクス211が形成される。特に、フォトマスク307が、ブラックマトリクス211の1つの開口部のX方向の辺の長さよりも長い辺を有する対向基板20上の領域部分を露光させることが可能な露光部3071を有しているため、少なくともこの露光部3071によって露光される対向基板20上の領域においては、上述した各種効果を享受しながらブラックマトリクス211を形成することができる。
【0076】
(5−3)フォトマスクの第3変形例
続いて、図12及び図13を参照して、第3変形例に係るフォトマスクについて説明する。ここに、図12は、第3変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図であり、図13は、第3変形例に係るフォトマスクを用いて形成されるブラックマトリクス211を概念的に示す平面図である。
【0077】
液晶装置100の一例として、奇数ラインにおける画素配列と偶数ラインにおける画素配列とが半画素だけずれた「デルタ構造」を採用する液晶装置も想定される。この場合、単純に上述したフォトマスク302及び303を同様の態様で用いるだけでは、デルタ構造の画素配列に対応するブラックマトリクス211を形成することは困難である。従って、この場合は、図12に示すように、上述したフォトマスク302に代えて、奇数ラインにおけるブラックマトリクス211を形成するためのX方向に延在する露光部3081と、偶数ラインにおけるブラックマトリクス211を形成するためのX方向に延在する露光部3082とをY方向に沿って半画素ずらして配置したフォトマスク308が用いられる。このフォトマスク308と上述したフォトマスク303という2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで、上述した各種効果を享受しつつ、図13に示すように、デルタ構造の画素配列に対応するブラックマトリクス211を好適に形成することができる。
【0078】
(6)電子機器
続いて、図14及び図15を参照しながら、上述の液晶装置100を具備してなる電子機器の例を説明する。
【0079】
図14は、上述した液晶装置100が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図14において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置100を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶装置100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0080】
次に、上述した液晶装置100を携帯電話に適用した例について説明する。図15は、電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図15において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、半透過反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置100と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。
【0081】
これらの電子機器においても、上述した液晶装置100を含んでいるため、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0082】
尚、図14及び図15を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた直視型の表示装置や、液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0083】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なうパターニング方法、マスクセット、電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】対向基板の詳細な構成を概念的に示す平面図及び断面図である。
【図5】ブラックマトリクスの形成工程の一の工程を概念的に示す断面図である。
【図6】ブラックマトリクスの形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図7】ブラックマトリクスの形成工程の他の工程を概念的に示す断面図及び当該工程において用いられるフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図8】ブラックマトリクスの形成工程の他の工程を概念的に示す断面図である。
【図9】格子状の露光部を有するフォトマスクを概念的に示す平面図であり、格子状の露光部を有する1つのフォトマスクを用いて露光処理を1度だけ行うことで形成されるブラックマトリクスの形状を概念的に示す平面図であり、2つのフォトマスクを用いて露光処理を2度に分けて行うことで形成されるブラックマトリクスの形状を概念的に示す平面図である。
【図10】第1変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図11】第2変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図12】第3変形例に係るフォトマスクを概念的に示す平面図である。
【図13】第3変形例に係るフォトマスクを用いて形成されるブラックマトリクスを概念的に示す平面図である。
【図14】液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図15】液晶装置が適用された携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
100…液晶装置、10…TFTアレイ基板、20…対向基板、21…共通電極、221…ブラックマトリクス、212R…カラーフィルタ層、212G…カラーフィルタ層、212B…カラーフィルタ層、301…感光性樹脂、302…フォトマスク、3021…露光部、303…フォトマスク、3031…露光部、305…フォトマスク、3051…露光部、306…フォトマスク、3061…露光部、307…フォトマスク、3071…露光部、308…フォトマスク、3081…露光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列された開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、
基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、
第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、
前記第1露光工程の後に、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程と
を備えることを特徴とするパターニング方法。
【請求項2】
前記第1の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在し、
前記第2の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在することを特徴とする請求項1に記載のパターニング方法。
【請求項3】
前記第1の露光部は、前記ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域の外周の領域を露光させることを特徴とする請求項1に記載のパターニング方法。
【請求項4】
開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、
基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、
第1の方向に延在し且つ前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口の前記第1の方向に沿った辺の長さよりも長い辺を有する領域部分を露光させる第1の露光部が少なくとも設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、
前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在すると共に、少なくとも前記第1の露光部により露光された領域を露光させる第2の露光部が設けられた第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程と
を備えることを特徴とするパターニング方法。
【請求項5】
基板上に塗布されたネガ型の感光性樹脂材料を露光することで、開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを前記基板上に形成するため2つの露光マスクを備えるマスクセットであって、
第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクと、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクとを備えることを特徴とするマスクセット。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のパターニング方法により生成された基板と、
前記基板に対向する他の基板と、
前記基板と前記他の基板との間に挟持される電気光学物質と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
前記他の基板上に、前記電気光学物質に対して電界を印加するための共通電極及び画素電極の夫々が設けられることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載のパターニング方法により生成された樹脂製ブラックマトリクスを有する基板を備えた電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
行列状に配列された開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、
基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、
第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、
前記第1露光工程の後に、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程と
を備えることを特徴とするパターニング方法。
【請求項2】
前記第1の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在し、
前記第2の露光部は、前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域よりも外側の領域を露光させるように延在することを特徴とする請求項1に記載のパターニング方法。
【請求項3】
前記第1の露光部は、前記ブラックマトリクスの前記開口が行列状に配列された領域の外周の領域を露光させることを特徴とする請求項1に記載のパターニング方法。
【請求項4】
開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを基板上に形成するパターニング方法であって、
基板上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布する塗布工程と、
第1の方向に延在し且つ前記樹脂製ブラックマトリクスの前記開口の前記第1の方向に沿った辺の長さよりも長い辺を有する領域部分を露光させる第1の露光部が少なくとも設けられる第1の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第1露光工程と、
前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在すると共に、少なくとも前記第1の露光部により露光された領域を露光させる第2の露光部が設けられた第2の露光マスクを用いて前記感光性樹脂材料を露光する第2露光工程と
を備えることを特徴とするパターニング方法。
【請求項5】
基板上に塗布されたネガ型の感光性樹脂材料を露光することで、開口を有する樹脂製ブラックマトリクスを前記基板上に形成するため2つの露光マスクを備えるマスクセットであって、
第1の方向に沿って延在する第1の露光部がストライプ状に複数設けられる第1の露光マスクと、前記第1の方向と交わる第2の方向に沿って延在する第2の露光部がストライプ状に複数設けられる第2の露光マスクとを備えることを特徴とするマスクセット。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のパターニング方法により生成された基板と、
前記基板に対向する他の基板と、
前記基板と前記他の基板との間に挟持される電気光学物質と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
前記他の基板上に、前記電気光学物質に対して電界を印加するための共通電極及び画素電極の夫々が設けられることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載のパターニング方法により生成された樹脂製ブラックマトリクスを有する基板を備えた電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−223266(P2009−223266A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70791(P2008−70791)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]