説明

パターン位相差フィルムの作製方法、パターン位相差フィルム作製用の金型及びその作製方法

【課題】パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムに関して、パターン位相差フィルムを容易かつ大量に作製することができるようにする。
【解決手段】平板上に、パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状を作製して原盤21を作製する。この原盤21の表面に電鋳処理によるメッキ膜22を作製し、このメッキ膜22を取り外して、母材23の表面に配置して金型13を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムの製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイは、従来、2次元表示のものが主流であった。しかしながら、近年、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集めており、一部市販もされている。そして今後のフラットパネルディスプレイは3次元表示可能であることが当然に求められる傾向にあり、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
【0003】
フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを、それぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供することが必要である。右目用の映像と左目用の映像とを選択的に提供する方法としては、例えば、パッシブ方式が知られている。このパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図10は、液晶表示パネルを使用したパッシブ方式の3次元表示の一例を示す概略図である。この図10の例では、垂直方向に連続する液晶表示パネルの画素を、順次交互に、右目用及び左目用に割り当て、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の映像と左目用の映像とを同時に表示する。また液晶表示パネルのパネル面にパターン位相差フィルムを配置し、右目用及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で方向の異なる円偏光に変換する。これによりパッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなるめがねを装着して、右目用の映像と左目用の映像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供する。
【0004】
このパッシブ方式は、応答速度の低い液晶表示装置でも適用することができ、さらにパターン位相差フィルムと円偏光メガネとを用いた簡易な構成で3次元表示することができる。このようなことから、パッシブ方式の液晶表示装置は今後の3次元表示装置の中心的存在となるものとして非常に注目されている。
【0005】
ところでパッシブ方式に係るパターン位相差フィルムは、画素の割り当てに対応して透過光に位相差を与えるパターン状の位相差層が必要である。このパターン位相差フィルムは、まだ広く研究、開発が行われておらず、標準的な技術としても確立されているものがないのが現状である。
【0006】
このパターン位相差フィルムに関して、特許文献1には、配向規制力を制御した光配向膜をガラス基板上に形成し、この光配向膜により液晶の配列をパターニングする作製方法が開示されている。しかしながらこの特許文献1に開示の方法は、ガラス基板を使用することが必要であることから、パターン位相差フィルムが高価になり、大面積のものを大量生産し難い問題がある。
【0007】
またパターン位相差フィルムに関して、特許文献2には、レーザーの照射によりロール版の周囲に微細な凹凸形状を形成し、この凹凸形状を転写してパターン状に配向規制力を制御した光配向膜を作製する方法が開示されている。この特許文献2に開示の方法では、レーザーの走査によりロール版の全周に漏れ無くレーザーを照射することが必要である。従ってロール版の作製に時間を要する問題がある。また高価なレーザー加工装置を使用しなければならない問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−49865号公報
【特許文献2】特開2010−152296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムに関して、パターン位相差フィルムを容易かつ大量に作製することができるパターン位相差フィルムの作製方法、パターン位相差フィルム作製用金型及びその作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、原盤に凹凸形状を形成し、この凹凸形状を電鋳処理により写し取って金型を作製する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
【0011】
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0012】
(1) 転写用金型に形成された凹凸形状を透明シート材に転写して配向膜を形成するパターン位相差フィルムの作製方法において、前記パターン位相差フィルムは、前記配向膜のパターニングにより、右目用の透過光に、対応する位相差を与える右目用の領域と、左目用の透過光に、対応する位相差を与える左目用の領域とが、それぞれ帯状に順次交互に形成され、前記パターン位相差フィルムの作製方法は、平板上に、前記パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状を作製して原盤を作製する原盤作製工程と、前記原盤を電鋳処理して、前記原盤の表面に電鋳処理によるメッキ膜を作製する電鋳処理工程と、前記原盤より前記メッキ膜を取り外し、前記転写用金型に係る母材の表面に配置して前記転写用金型を作製するメッキ膜処理工程と、前記転写用金型を用いて、前記透明シート材を処理して前記パターン位相差フィルムを作製する透明シート材の処理工程とを備えることを特徴とするパターン位相差フィルムの作製方法。
【0013】
(2) 表面に形成された凹凸形状の透明シート材への転写によりパターン位相差フィルムの配向膜を作製するパターン位相差フィルム作製用の金型であって、電鋳処理により原盤に形成された凹凸形状を転写したメッキ膜が、母材の表面に配置されて、前記パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状が形成されたことを特徴とするパターン位相差フィルム作製用の金型。
【0014】
(3) 表面に形成された凹凸形状の透明シート材への転写によりパターン位相差フィルムの配向膜を作製するパターン位相差フィルム作製用金型の作製方法であって、前記パターン位相差フィルムは、前記配向膜のパターニングにより、右目用の透過光に、対応する位相差を与える右目用の領域と、左目用の透過光に、対応する位相差を与える左目用の領域とが、それぞれ帯状に順次交互に形成され、前記パターン位相差フィルム作製用金型の作製方法は、平板上に、前記パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状を作製して原盤を作製する原盤作製工程と、前記原盤を電鋳処理して、前記原盤の表面に電鋳処理によるメッキ膜を作製する電鋳処理工程と、前記原盤より前記メッキ膜を取り外し、
母材の表面に配置して前記パターン位相差フィルム作製用金型を作製するメッキ膜処理工程とを備えることを特徴とするパターン位相差フィルム作製用金型の作製方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロール版等の転写用金型の作製に適用して、高価な装置を使用しなくても、短時間で転写用の金型を作製することができる。またそのために必要な平板による原盤にあっても、汎用性の高い設備を使用して、簡易に作製することができる。従ってパッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムに関して、容易かつ大量に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパターン位相差フィルムを示す図である。
【図2】図1のパターン位相差フィルムの製造装置を示す図である。
【図3】図2の製造装置におけるロール版を示す図である。
【図4】図3のロール版の作製方法の説明に供する図である。
【図5】図4の原盤の作製方法の説明に供する図である。
【図6】図5の続きを示す図である。
【図7】図6の続きを示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に適用する原盤の作製方法の説明に供する図である。
【図9】図8の続きを示す図である。
【図10】パッシブ方式による3次元画像表示の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るパターン位相差フィルムを示す図である。パターン位相差フィルム1は、透明シート材による基材2に配向膜3、位相差層4が順次作製される。パターン位相差フィルム1は、位相差層4が液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を配向膜3の配向規制力によりパターニングする。なおこの液晶分子の配向を図1では細長い楕円により示す。このパターニングにより、パターン位相差フィルム1は、液晶表示パネルにおける画素の割り当てに対応して、一定の幅により、右目用の領域Aと、左目用の領域Bとが順次交互に帯状に形成され、右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。
【0019】
パターン位相差フィルム1は、基材2の表面に紫外線硬化樹脂5が塗布された後、この紫外線硬化樹脂5の表面に微細な凹凸形状が形成され、これにより紫外線硬化樹脂を介して基材2の表面に凹凸形状が形成される。パターン位相差フィルム1は、この紫外線硬化樹脂5の表面の凹凸形状により配向膜3が形成される。この凹凸形状は、一方向に延長する多数のすじによるすじ状模様により形成され、各すじの延長方向が、配向膜3近傍における液晶材料の配向方向と一致する一方向に設定される。従ってこの紫外線硬化樹脂5の表面に形成される凹凸形状は、このすじの延長方向が、右目用及び左目用の領域A及びBで、90度異なる方向となるように、かつ各領域の延長方向に対して45度傾くように形成される。なおこの各領域の延長方向に対する傾きにあっては、基材2のリタデーションが無視できない程度に大きい場合には、リタデーション値に応じて、適宜、増減される。
【0020】
図2は、このパターン位相差フィルム1の製造装置を示す略線図である。この製造装置10は、基材2がロールにより提供され、この基材2を供給リール11から供給する。製造装置10は、ダイ12によりこの基材2に紫外線硬化樹脂を塗布する。この製造装置10において、ロール版13は、パターン位相差フィルム1の配向膜3に係る凹凸形状が周囲に形成された円筒形状の金型である。製造装置10は、紫外線硬化樹脂が塗布されてなる基材2を加圧ローラ14によりロール版13に押圧し、紫外線照射装置15による紫外線の照射により紫外線硬化樹脂を硬化させる。これにより製造装置10は、ロール版13に形成された凹凸形状を基材2に転写する。その後、剥離ローラ16によりロール版13から基材2を剥離し、ダイ19により液晶材料を塗布する。またその後、紫外線照射装置17による紫外線の照射により液晶材料を硬化させた後、巻き取りリール18に巻き取る。パターン位相差フィルム1は、この巻き取りリール18に巻き取ったシート材に、必要に応じて粘着層、反射防止層等を形成した後、所望の大きさに切断して作製される。これによりパターン位相差フィルム1では、ロール版13を用いた凹凸形状の転写により、ロールにより提供される基材2を連続して処理して効率良く作製される。
【0021】
図3は、ロール版13を示す斜視図である。ロール版13は、中心軸方向に、パターン位相差フィルム1の右目用の領域A及び左目用の領域Bにそれぞれ対応するリング状の領域WA、WBが順次交互に形成される。また各領域WA、WBには、それぞれ対応する凹凸形状が形成される。
【0022】
図4は、このロール版13の製造工程の説明に供する図である。この工程では、初めに原盤21が作製される。ここで原盤21は(図4(a))、ロール版13の各領域WA、WBに対応する凹凸形状が表面に作製された平板である。この工程では、原盤21を電鋳処理し、ニッケルによるメッキ膜22を作製する(図4(b))。続いてこのメッキ膜22を剥離し、ロール版13の母材23に貼り付ける(図4(c))。ここで母材23は、周囲を研磨した銅による円筒形状のベース材に、ニッケル膜等の保護膜を成膜して形成される。この工程では、この母材23の側面を1周する長さでメッキ膜22が作製され、このメッキ膜22を母材23の側面に巻き付けた後、このメッキ膜22をレーザーにより母材23に溶接してロール版13が作製される。このようにして平盤による原盤21を電鋳処理して作製した電鋳膜を円筒形状の母材に配置してロール版を作製することにより、簡易な構成により短時間でロール版を作製することができ、このロール版を用いてパターン位相差フィルムを容易かつ大量に作製することができる。なお母材23へのメッキ膜22の配置にあっては、例えば熱硬化樹脂を用いた接着等、各種の手法を広く適用することができる。
【0023】
図5は、原盤21の作製工程を示す図である。この原盤作製工程は、表面が平滑に仕上げられた基板25の表面に、ラビング処理用の樹脂層26を作製する(図5(a))。なおこの基板25には、例えばガラス基板が適用され、樹脂層26には、ポリイミド樹脂が適用されるものの、必要に応じて各種の材料を適用することができる。
【0024】
続いてこの原盤作製工程は、樹脂層26の表面にレジスト層27を形成し(図5(b))、パターン位相差フィルム1に設ける右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する領域に遮光部が設けられているマスク28を用いてレジスト層27を露光処理する(図5(c))。なおマスクを用いた露光処理に代えて、レーザービームの走査により露光処理しても良い。
【0025】
続いてこの原盤作製工程は、現像、洗浄の処理を実行し、パターン位相差フィルム1の左目用の領域B又は右目用の領域Aに対応する領域に、選択的にレジスト層27を取り残したラビング処理用のマスクを作製する(図5(d))。なおこのように未露光箇所を除去するポジ型レジストの使用に代えて、ネガ型レジストを使用しても良い。続いてこの工程は、図6に示すように、ラビング処理用のロールRによりラビング処理し、パターン位相差フィルム1の右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する領域に、対応する凹凸形状を作製する(図6(e))。また続いてレジスト層27を除去する(図6(f))。
【0026】
また続いて全面にレジスト層29を作製し(図6(g))、パターン位相差フィルム1の、右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する領域に遮光部が設けられているマスク30を用いてレジスト層29を露光処理する(図6(h))。なおこの場合も、マスクを用いた露光処理に代えて、レーザービームの走査により露光処理しても良い。
【0027】
続いてこの原盤作製工程は、現像、洗浄の処理を実行し、図7に示すように、パターン位相差フィルム1の右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する領域に、選択的にレジスト層29を取り残したラビング処理用のマスクを作製する(図7(i))。なおこの場合も、ポジ型レジストの使用に代えて、ネガ方レジストを使用しても良い。続いてこの工程は、ラビング処理用のロールRによりラビング処理し、パターン位相差フィルム1の左目用の領域B又は右目用の領域Aに対応する領域に、対応する凹凸形状を作製する(図7(j))。また続いてレジスト層29を除去し(図7(k))、原盤21を完成する。
【0028】
この実施形態では、原盤の凹凸形状を電鋳処理によりメッキ膜に転写し、このメッキ膜を使用してロール版を作製することにより、直接、母材に凹凸形状を形成してロール版を作製する場合に比して、格段的に簡易な構成によりロール版を作製し、このロール版を用いた連続の処理によりパターン位相差フィルムを作製することができる。従って従来に比して容易かつ大量にパターン位相差フィルムを作製することができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
この実施形態では、図5について上述した原盤21に代えて、図8及び図9の作製工程により作製される原盤34を用いてロール版を作製する。この第2実施形態では、この原盤が異なる点を除いて、第1実施形態と同一に構成される。
【0030】
ここでこの原盤作製工程は、表面が平滑に仕上げられた基板25の表面に、ラビング処理用の樹脂層26が作製される(図8(a))。なおこの基板25には、例えばガラス基板が適用され、樹脂層26には、ポリイミド樹脂が適用されるものの、必要に応じて各種の材料を適用することができる。続いてこの原盤作製工程は、ラビング処理用のロールRにより全面をラビング処理し、パターン位相差フィルム1の右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する凹凸形状を全面に作製する(図8(b))。
【0031】
続いて全面にレジスト層27を作製した後(図8(c))、パターン位相差フィルム1の右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する領域に遮光部が設けられているマスク28を用いてレジスト層27を露光処理する(図8(d))。なおこの場合も、マスクを用いた露光処理に代えて、レーザービームの走査により露光処理しても良い。
【0032】
続いてこの原盤作製工程は、現像、洗浄の処理を実行し、図9に示すように、パターン位相差フィルム1の右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する領域に、選択的にレジスト層27を取り残したラビング処理用のマスクを作製する(図9(e))。なおこの場合も、ポジ型レジストの使用に代えて、ネガ型レジストを使用しても良い。続いてこの工程は、ラビング処理用のロールRによりラビング処理し、パターン位相差フィルム1の左目用の領域B又は右目用の領域Aに対応する領域に、対応する凹凸形状を作製する(図9(f))。この場合、当該領域において、最初のラビング処理で作製された凹凸形状は、この2回目のラビングの処理により除去され、当該領域には、この2回目のラビング処理による凹凸形状のみが残ることになる。
【0033】
この工程は、続いてレジスト層27を除去し(図9(g))、これにより原盤34が完成する。
【0034】
この実施形態では、他の製造方法により原盤を作製する場合でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの実施形態では、全面をラビング処理した後、マスクラビングにより局所的に凹凸形状を変更して原盤を作製することにより、第1実施形態に比して簡易な工程で原盤を作製することができる。従って全体として一段と簡易な構成によりパターン位相差フィルムを作製することができる。
【0035】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更し、さらに組み合わせることができる。
【0036】
すなわち上述の実施形態では、ラビング処理により配向規制力を有する微細な凹凸形状を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、番手の細かなやすりによる研磨によりこの種の凹凸形状を作製する場合等、種々の手法を広く適用することができる。
【0037】
また上述の実施形態では、平板による原盤に直接、電鋳処理してメッキ膜を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上述した平板から凹凸形状を転写して原盤としても良い。この場合、原本の原盤から多数のコピーによる原盤を作製してロール版をそれぞれ作製することになり、一段とパターン位相差フィルムを大量生産することができる。また他のロール版を用いて基材に凹凸形状を作製したシート材を、原盤として使用することも可能であり、この場合は、簡易にロール版を複製することができる。
【0038】
また上述の実施形態では、ロール版の外周に、リング状に、右目用の領域に係る凹凸形状の領域、左目用の領域に係る凹凸形状の領域を順次作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これと直交する方向である軸方向に延長するように、各凹凸形状の領域を形成する場合にも広く適用することができる。
【0039】
また上述の実施形態では、円筒形状の母材にメッキ膜を配置してロール版を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、円柱形状により母材を作製してロール版としてもよく、さらには平板の母材にメッキ膜を配置して平板の金型を作製しても良い。
【0040】
また上述の実施形態では、液晶表示パネルの使用を前提としたパターン位相差フィルムを作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネルの使用を前提に、偏光フィルタを一体に設ける場合にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 パターン位相差フィルム
2 基材
3 配向膜
4 位相差層
5 紫外線硬化樹脂
10 製造装置
11 供給リール
12、19 ダイ
13 ロール版
14 加圧ローラ
15、17 紫外線照射装置
16 剥離ローラ
18 巻き取りリール
21、34 原盤
22 メッキ膜
23 母材
25 基板
26 樹脂層
27、29 レジスト層
28、30 マスク
R ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写用金型に形成された凹凸形状を透明シート材に転写して配向膜を形成するパターン位相差フィルムの作製方法において、
前記パターン位相差フィルムは、
前記配向膜のパターニングにより、右目用の透過光に、対応する位相差を与える右目用の領域と、左目用の透過光に、対応する位相差を与える左目用の領域とが、それぞれ帯状に順次交互に形成され、
前記パターン位相差フィルムの作製方法は、
平板上に、前記パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状を作製して原盤を作製する原盤作製工程と、
前記原盤を電鋳処理して、前記原盤の表面に電鋳処理によるメッキ膜を作製する電鋳処理工程と、
前記原盤より前記メッキ膜を取り外し、前記転写用金型に係る母材の表面に配置して前記転写用金型を作製するメッキ膜処理工程と、
前記転写用金型を用いて、前記透明シート材を処理して前記パターン位相差フィルムを作製する透明シート材の処理工程とを備える
ことを特徴とするパターン位相差フィルムの作製方法。
【請求項2】
表面に形成された凹凸形状の透明シート材への転写によりパターン位相差フィルムの配向膜を作製するパターン位相差フィルム作製用の金型であって、
電鋳処理により原盤に形成された凹凸形状を転写したメッキ膜が、母材の表面に配置されて、前記パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状が形成された
ことを特徴とするパターン位相差フィルム作製用の金型。
【請求項3】
表面に形成された凹凸形状の透明シート材への転写によりパターン位相差フィルムの配向膜を作製するパターン位相差フィルム作製用金型の作製方法であって、
前記パターン位相差フィルムは、
前記配向膜のパターニングにより、右目用の透過光に、対応する位相差を与える右目用の領域と、左目用の透過光に、対応する位相差を与える左目用の領域とが、それぞれ帯状に順次交互に形成され、
前記パターン位相差フィルム作製用金型の作製方法は、
平板上に、前記パターン位相差フィルムの凹凸形状に対応する凹凸形状を作製して原盤を作製する原盤作製工程と、
前記原盤を電鋳処理して、前記原盤の表面に電鋳処理によるメッキ膜を作製する電鋳処理工程と、
前記原盤より前記メッキ膜を取り外し、母材の表面に配置して前記パターン位相差フィルム作製用金型を作製するメッキ膜処理工程とを備える
ことを特徴とするパターン位相差フィルム作製用金型の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−242773(P2012−242773A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115577(P2011−115577)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】