説明

パターン位置検出方法

【課題】簡便な画像処理によって部品の位置検出時間を短縮する。
【解決手段】モデル画像取得工程と、取得したモデル画像を特定のパターンを含む複数の基準画像に分割する基準画像生成工程と、検出対象物の画像を取得する検出画像取得工程と、検出画像の上の複数の所定位置に各基準画像の各原点を合わせる原点あわせ工程と、各基準画像の各原点を検出画像の上の複数の所定位置からXY方向にずらしながら検出画像の中の各基準画像に対応する各領域にある各検出画像部分と各基準画像とを順次対比し、各相関値を順次取得する対比工程と、それぞれの対比位置における各相関値を統合XY面内で統合して統合相関値を生成する統合工程と、統合した統合相関値のピークの統合XY座標値を検出対象物の各所定位置からXY面内での各基準画像に含まれる各特定のパターンの位置のズレと認識する位置ズレ認識工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物のパターン位置を検出する位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
取得した画像に基づいて人物の顔の照合等をする方法が用いられている。例えば、蓄積した登録画像を正規化してその特徴部分抽出し、その特徴部分を判別性の高い判別空間に投射しておく。そして、照合しようとする画像を同様に正規化してその特徴を抽出し、その特徴を同様の判別空間に投射し、両者の特徴部分を比較して照合スコアを出力し、そのスコアによって照合判定を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、画像の画像特徴を判別するための方法として画像を分割する方法が提案されている。例えば、一つの原画像を一つの大きさが14×18画素(252次元)の大きさに9分割し、それぞれの大きさの局所画像を特徴ベクトルとし、それぞれの部分画像に対して学習サンプルを用いて判別分析を行うことが提案されている。この方法は、画像の特徴次元数が252次元と原画像より大幅に少なくなることから、画像の判別を行う学習サンプルが少なくとも精度を保って判別をすることができる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、産業機械等において、取り付け部品或いは加工部品の画像を処理してその位置決めを行うことが行われている。例えば、半導体チップの周辺位置に認識パターンと、位置基準としてのターゲットを形成しておき、半導体チップの上に形成されているターゲットの画像データをITVカメラにより取り込み、この画像と予め設定されてあるターゲットデータの画像とを比較し、両者を一致させることで半導体チップの位置合わせを行うことが行われている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−338092号公報
【特許文献2】特開2004−192603号公報
【特許文献3】特開平07−193093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3に記載された従来技術によって部品の位置合わせを行う場合には、部品の周辺等の予め決まった位置に位置基準としてのターゲットを設けておき、カメラで取り込んだターゲットの画像と予め設定されているターゲットデータの画像とを一致させることにより位置合わせを行うことから、まず、カメラで部品のターゲットの画像を取得することが必要となる。しかし、部品の周辺部分は照明の関係により鮮明な画像が取得できなかったり、何らかの理由で照明が不十分でターゲットの画像が取得できなかったりする場合がある。そして、ターゲットの画像が不鮮明な場合には、部品の位置決めの精度が低下し、ターゲットの画像が取得できなかった場合には、部品の位置が判断できず、組み立て装置を停止しなければならない場合があった。
【0007】
そこで、産業機械においても、特許文献1,2に記載したような部品画像の特徴的部分を比較して部品の判定を行い、その結果を用いて部品の位置を検出し、部品の位置合わせを行う方法が用いられる場合が多くなってきている。この方法は、部品に予めターゲットを設けておく必要がなく、予めターゲットが設けられていない部品であっても部品の認識、位置合わせを行うことが可能な上、部品の周辺部分の画像が不鮮明であっても全体の画像に基づいて部品を認識し、その位置合わせを行うことができるので、位置合わせの安定性が高く、より精度よく位置合わせを行うことができる。また、少ない学習サンプルで画像の判別を行うことができるように、画像を分割する方法が用いられることが多い。
【0008】
ところが、取得した画像に基づいて部品の判定を行うには、画像の処理時間が長くなってしまう。産業機械においては、部品の位置決めは短時間に行わなければならず、人間の顔の画像から個人を認識する様な場合以上の処理速度が要求される。例えば、画像を分割して処理した場合、その検出スコアを統合する際の処理時間が長くなったり、分割したどの画像によって部品の判定、位置決めを行ったら最適であるかを判断する時間が長くなったりすることから、産業機械における応用は制限されたものであった。
【0009】
本発明は、簡便な画像処理によって部品の位置検出時間の短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパターン位置検出方法は、検出対象物のモデル画像を取得するモデル画像取得工程と、取得したモデル画像をそれぞれが特定のパターンを含む複数の基準画像に分割する基準画像生成工程と、検出対象物の検出画像を取得する検出画像取得工程と、検出画像の上の複数の所定位置に各基準画像の各原点を合わせる原点あわせ工程と、各基準画像の各原点を検出画像の上の複数の所定位置からXY方向にずらしながら検出画像の中の各基準画像に対応する各領域にある各検出画像部分と各基準画像とを順次対比し、各検出画像部分と各基準画像との間の各相関値を順次取得する対比工程と、それぞれの対比位置における各検出画像部分と各基準画像との間の各相関値を統合XY面内で統合して統合相関値を生成する統合工程と、統合した統合相関値のピークの統合XY座標値を検出対象物の各所定位置からXY面内での各基準画像に含まれる各特定のパターンの位置のズレと認識する位置ズレ認識工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のパターン位置検出方法において、各基準画像の各特定のパターンに基づいて各相関値を統合する際の重みを計算する重み計算工程を含み、統合工程は、各相関値に重みを掛けあわせた各重みつき相関値を積算すること、としても好適である。
【0012】
本発明のパターン位置検出方法において、各基準画像の伸びている方向を計算する方向計算工程を含み、対比工程は、取得した各相関値を空間フィルタによりフィルタリングして各フィルタリング後相関値を生成し、統合工程は、各フィルタリング後相関値を統合し、空間フィルタは、各画像の伸びている方向の相関値を抽出するフィルタであること、としても好適であるし、方向計算工程は、各基準画像の空間モーメントを計算する空間モーメント計算工程を含むこと、としても好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、簡便な画像処理によって部品の位置検出時間の短縮を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法を実行するボンディング装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法のモデル画像を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法のモデル画像の分割を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の基準画像を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の検出画像を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の原点を合わせる工程を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の対比工程を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の相関値の分布を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の相関値の分布を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の空間フィルタの説明図である。
【図12】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の相関値の分布を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の相関値の分布を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態におけるパターン位置検出方法の統合相関値の分布を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、半導体のチップの位置検出を行うことを例として説明する。本発明の実施形態について説明する前に、図1を参照しながら本発明の方法を実施するワイヤボンディング装置について説明する。図1において、信号線は1点鎖線で示す。図1に示すように、本発明の方法を実施するワイヤボンディング装置50は、XYテーブル53の上にボンディングヘッド52が設置され、ボンディングヘッド52にはボンディングアーム55が取り付けられている。ボンディングアーム55はZ方向モータによって回転中心の回りに駆動され、その先端に超音波ホーン55bが取り付けられ、超音波ホーン55bの先端が半導体チップ62のパッド面に対して弧状に接離動作するように構成されている。超音波ホーン55bの先端には、キャピラリ58が取り付けられている。XYテーブル53とボンディングヘッド52は移動機構54を構成し、移動機構54はXYテーブル53によってボンディングヘッド52をボンディング面に沿った面内(XY面内)で自在な位置に移動することができ、これに取り付けられたボンディングアーム55をZ方向モータで駆動させることによって、ボンディングアーム55の先端に取り付けられた超音波ホーン55bの先端及びその先端に取り付けられたキャピラリ58をXYZの方向に自在に移動させることができる。XYテーブル53のボンディングアーム55の先端側には基板63を吸着固定するボンディングステージ56が設けられている。
【0016】
図1に示すように、ワイヤ61はボンディングヘッド52の上に取り付けられたスプール51から供給される。超音波ホーン55bは、超音波振動子57で発生した超音波エネルギをキャピラリ58に供給し、キャピラリ58に挿通されたワイヤ61を半導体チップ62のパッド面、及び基板63のリードの表面に押し付けて接合させる機能を有している。ボンディングへッド52にはキャピラリ58に挿通されるワイヤ61を把持、開放するクランパ59が設けられている。クランパ59はボンディングアーム55と連動してXYZ方向に移動する。
【0017】
図1に示すように、ワイヤボンディング装置50は内部にCPUを持つ制御部30によって各部の位置の検出及び動作制御が行われ、半導体チップ62と基板63との間をワイヤ61によって接続する。XYテーブル53には、ボンディングへッド52のXY方向位置を検出するXY位置検出手段が設けられている。ボンディングへッド52には、半導体チップ62、基板63などの画像を取得する撮像手段であるカメラ60が取り付けられ、カメラ60によって撮像した画像に基づいて半導体チップ62の位置を検出したりキャピラリ58のXY方向の位置決めを行ったりするよう構成されている。カメラ60は画像信号を取得することができるものであれば絞り機構やシャッタ等の無い撮像素子とレンズ等によって構成されるものでもよい。
【0018】
上記のXYテーブル53とボンディングヘッド52によって構成される移動機構54は移動機構インターフェース46を介してデータバス31から制御部30に接続され、カメラ60は、撮像装置インターフェース49を介してCPUを含む制御部30からの指令によって動作するように構成されている。また、ワイヤボンディング装置50の制御部30には、カメラ60によって取得した画像を映し出すモニタ65とボンディングヘッド52或いはカメラ60の位置を手動で変化させる手動入力装置64がそれぞれモニタインターフェース48、手動入力装置インターフェース47を介して接続されている。カメラ60によって取得した画像は撮像装置インターフェース49、データバス31、モニタインターフェース48を介してモニタ65に送られ、モニタ65によって表示される。また、手動入力装置64の信号は手動入力装置インターフェース47、データバス31、移動機構インターフェース46を介してXYテーブル53或いはボンディングヘッド52を動作させるように構成されている。
【0019】
データバス31には記憶部32が接続されている。記憶部32は、制御部30の行う位置検出処理や制御指令出力動作に必要な制御データ34を保持しており、制御部30からの指令によって制御データ34を制御部30に出力し、或いは入力された信号データなどを記憶、保持する。制御部30とデータバス31と記憶部32と各インターフェース46〜49とは、一体として構成されたコンピュータ80であり、記憶部32には制御データ34以外にボンディング制御全般をコントロールする制御プログラム33や、後で説明する、基準画像生成プログラム36、検出画像取得プログラム37、原点合わせプログラム38、対比プログラム39、統合プログラム40、位置ズレ認識プログラム41、重み計算プログラム42、方向計算プログラム43、フィルタリングプログラム45が格納されている。また、カメラ60によって取得した画像は撮像装置インターフェース49、データバス31を介して記憶部32の画像データ44の中に格納され、各プログラム35〜43,45によって処理された画像も画像データ44の中に格納される。
【0020】
以上のように構成されたワイヤボンディング装置50によってパターン位置を検出する方法の実施形態について説明する。図2のステップS101に示すように、制御部30は検出対象である半導体チップ62のモデル画像を取得するために図1に示すモデル画像取得プログラム35を実行する。このモデル画像取得プログラム35の実行によって図示しない半導体チップ62の搬送装置が駆動され、半導体チップ62をモデル画像取得位置まで移動させる。モデル画像取得位置は、ボンディングステージ56の上の通常のボンディングを行う位置であってもよいし、別途設けたモデル画像取得ステーションであってもよい。制御部30は、半導体チップ62をモデル画像取得位置に移動させると、カメラ60を作動させて半導体チップ62の画像を取得し、取得した画像をモニタ65に表示させる。
【0021】
モニタ65には、図3に示す様な半導体チップ62の画像10が表示される。画像10は、上側に二段、中央に二段、下側に二段にX方向に並んだ横長の長方形パッド11と、左側に二列にY方向に並んだ正方形パッド12と、4つの十字型の位置マーク13とを含んでいる。画像10の左上の角の点は基準点17である。ここで、長方形パッド11、正方形パッド12、位置マーク13は画像10の特徴的な部分であり、特定のパターンである。画像10は半導体チップ62の半分程度の大きさの画像であるが、特徴的な部分となる長方形パッド11、正方形パッド12、位置マーク13が含まれていればよく、半導体チップ62全体の画像でなくともよい。本実施形態では、半導体チップ62の半分程度の部分の画像がモニタ65に表示されている。作業者は、このモニタ65に出力された画像10を確認し、画像10に欠損や汚れがなく、モデル画像として十分な画質を備えているか、必要な特徴的部分が十分に含まれているかどうかを確認する。そして、作業者が画像10は十分な画質と特徴的な部分とを有していると判断した場合、作業者はモニタ65に表示されている画像10をモデル画像として登録する指令を手動入力装置64から入力する。制御部30はこの指令によってモニタ65に表示されている画像10をモデル画像として登録し、画像データ44の中に格納する(モデル画像取得工程)。
【0022】
また、作業者が画像10は十分な画質と特徴的な部分とを有していないと判断した場合、作業者は、十分な画質と特徴的な部分とを有している画像10を取得できるまで、手動入力装置64から搬送装置を動作させる指令を入力して半導体チップ62の位置を修正し、制御部30に図1に示すモデル画像取得プログラム35を実行させる。そして画像10が十分な画質と特徴的な部分とを有していると判断した場合、作業者はモニタ65に表示されている画像10をモデル画像として登録する指令を手動入力装置64から入力する。制御部30はこの指令によってモニタ65に表示されている画像10をモデル画像として登録し、画像データ44の中に格納する。なお、本実施形態では、作業者が画像10の画質と特徴的な部分の有無を判断することとして説明したが、制御部30の中に画像10の画質と特徴的な部分の有無を判断させ、自動的にモデル画像の登録を行うようにしてもよい。
【0023】
図2のステップS102に示すように、制御部30は、基準画像の生成を行うために図1に示す基準画像生成プログラム36を実行する。この基準画像生成プログラム36を実行すると、制御部30は、最初に格納したモデル画像を基準画像に分割する動作を実行する。制御部30は、図4に示すように、モデル画像に含まれるパッド11,12、位置マーク13等の配置に基づいて画像の分割数を決定し、その分割数にモデル画像を分割する。本実施形態では、モデル画像を4つに分割して4つの基本画像とする場合について説明する。分割数は、モデル画像によって変更してもよいし、半導体チップ62の種類によって予め決めておいてもよいし、作業者がモニタ65に表示された画像に基づいて手動入力装置64から手動入力するようにしてもよい。
【0024】
図4に示すように、制御部30は、モデル画像として登録された画像10のデータを画像データ44から読みだし、画像10の左側上の角の基準点17からX方向に距離ΔX1だけ画像10の中心に寄った一点鎖線と、基準点17からそれぞれY方向に距離ΔY1だけ画像10の中心に寄った一点鎖線との範囲を同一の形状の4つのブロックに分割する。従って、各ブロックのY方向の長さは、画像10のY方向に長さから距離ΔY1を引いた長さを二等分した長さよりも短ければよく、各ブロックのX方向の長さは、画像10のX方向の長さから距離ΔX1を引いた長さを二等分した長さよりも短ければよく、各長さは、その中に含まれる特徴的な部分の個数等によって決めてよい。なお、本実施形態では、半導体チップ62の各パッド11,12、位置マーク13は上下方向(Y方向)に対象で、横方向(X方向)の長さがY方向の長さよりも長いので、各ブロックは画像10の上側、下側の各輪郭線からそれぞれ距離ΔY1だけ画像10の中心に寄った一点鎖線の間を上下に二等分している。このため、各ブロックのY方向の長さは、[(画像10のY方向に長さ)−2×(距離ΔY1)]/2、となっている。
【0025】
このように、画像10を4つのブロックに分割すると、図4に示すように、画像10は第1基準画像100,第2基準画像200,第3基準画像300,第4基準画像400の4つの画像に分割される。図4に示すように、各基準画像100〜400の間には隙間がなく、第1の基準画像100の左側の輪郭線と第2画像200の右側の輪郭線、及び第3の基準画像300の左側の輪郭線と第4画像400の右側の輪郭線とはそれぞれ重なっており、上側の第1、第2基準画像100,200の各下側の輪郭線と下側の第3、第4基準画像300,400の各上側の輪郭線とはそれぞれ重なっている。そして、第1基準画像100の左上の角の原点101は、画像10の左上の基準点17からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1 だけ離れた位置となっている。
【0026】
そして、制御部30は生成した各基準画像100〜400を画像データ44に格納する。図5に示すように、各基準画像100〜400は同一の形状、大きさとなっており、各基準画像100〜400の各左上の角が各基準画像100〜400の各原点101,201,301,401となっている。第1基準画像100は、特定のパターンである複数の長方形パッド11と複数の正方形パッド12と2つの位置マーク13とを含んでいる。第3基準画像は、第1基準画像100と上下対称の画像である。また、第2基準画像200は、画像10の上側に配置された長方形パッド11と画像10の上下方向の中央部分に配置された長方形パッド11の上側の段とを特定のパターンとして含んでおり、第4基準画像400は、第2基準画像200と上下対称の画像である(基準画像生成工程)。
【0027】
図2のステップS103に示すように、制御部30は、画像データ44の中に格納した各基準画像100〜400の各空間モーメントを計算し、図1に示す方向計算プログラムを実行して計算した各空間モーメントの値に基づいて各基準画像100〜400の画像の伸びる方向を計算し、画像データ44の中に格納する。各空間モーメントは画像の特徴を示す指標となる値であり、以下の式1〜式4によって示される。
座標(i,j)における基準画像100〜400のピクセル値をピクセル値f(i,j)とすると、次数(p,q)の空間モーメントmpqは次の式で計算される。
【0028】
【数1】

【0029】
基準画像100〜400は二値画像であり、0次モーメントm00は各基準画像100〜400の面積を表す。また、0次モーメントm00に対するX軸1次モーメントm10の割合(m10/m00)、及び0次モーメントm00に対するY軸1次モーメントm01の割合(m01/m00)は各基準画像100〜400の各重心のXY座標G(iG,jG)を表す。重心の周りのモーメントは,特に重心モーメントと呼ばれ、次の式2で与えられる。
【0030】
【数2】

【0031】
また、2次モーメントは慣性モーメントとも呼ばれ,各基準画像100〜400の各2次重心モーメントは式2でp=2,q=0ならびにp=0,q=2で次の式3のように与えられる。
【0032】
【数3】

【0033】
式3で各基準画像100〜400の各重心を原点としたときのX軸,Y軸についての各2次モーメントをそれぞれμ02、μ20とすると,各重心の周りの2次モーメントは次の式4にようになる。
【0034】
【数4】

【0035】
図2のステップS104に示すように、制御部30は、上記の式1〜式4によって計算した各基準画像100〜400の空間モーメントに基づいて各基準画像100〜400が伸びている方向を表す特徴量である慣性主軸の傾きθを図1に示す方向計算プログラムを実行して計算し、その結果を画像データ44の中に格納する。慣性主軸の傾きθは、1次モーメントをμ11、X軸、Y軸についての2次モーメントをそれぞれμ02、μ20として次の式5で表される(方向計算工程)。
【0036】
【数5】

【0037】
図2のステップS105に示すように、制御部30は、図1に示す重み計算プログラム42を実行し、上記の式1〜式5によって計算した各基準画像の面積(0次モーメント)、重心位置G(iG,jG)、各基準画像の伸びている方向(慣性主軸の傾きθ)等の特徴量に基づいて、各基準画像100〜400の重みづけを計算する。例えば、第1、第3基準画像100,300と第2、第4基準画像200,400とを比較すると、第1、第3基準画像100,300は第2、第4基準画像よりも各パッド11,12、位置マーク13の面積が多く、X方向に長方形パッド11が等間隔で2列に配置され、Y方向に正方形パッド12が等間隔で2列に配置され、2つの位置マーク13が略45°方向に沿って並んで配置されていることから、画像の伸びている方向が斜め方向となる。一方、第2,第4基準画像の特定パターンは、長方形パッド11がX方向に等間隔で連続して3列に配置されているものであり、画像の面積は第1、第3基準画像100,300よりも小さく、画像の伸びる方向は単純なX方向となる。このことから、各基準画像100〜400を他の画像と対比してその判別を行う際に、第1、第3基準画像100,300の方が第2、第4基準画像200,400よりも画像の判別を行う特徴量が大きく、より正確に判別を行うことができる。このことから、第1、第3基準画像100,300の重みは第2、第4基準画像よりも大きくする。この重みづけは、各基準画像100〜400に含まれている特定パターンによって自由に選ぶことができる。制御部30は、各基準画像100〜400の各重みを計算したら、画像データ44の中に格納する(重み計算工程)。
【0038】
以上説明したように、各基準画像100〜400の生成、各基準画像100〜400の方向、重みの計算が終了したら、制御部30は、実際にボンディングを行う半導体チップ62の位置検出を行う。
【0039】
図2のステップS106に示すように、制御部30は図1に示す検出画像取得プログラム37を実行し、検出対象である半導体チップ62の検出画像の取得を行う。この検出画像取得プログラム37を実行すると、まず、制御部30によって図示しない半導体チップ62の搬送装置が駆動され、ボンディングを行う半導体チップ62がボンディングステージ56の上のボンディング位置に搬送される。次に、制御部30は、カメラ60を作動させて半導体チップ62の画像を図6に示すような検出画像20として取得し、取得した検出画像20を画像データ44に格納する。検出画像20は、先に図3を参照して説明したモデル画像として登録した画像10と同様、長方形パッド21、正方形パッド22、位置マーク23が同様の位置に配置されたものとなっており、画像の左上の角の点が第1所定位置27aとなっている(検出画像取得工程)。
【0040】
半導体チップ62の表面の汚れや、照明の位置、方向等により検出画像20は、画像の特徴部分或いは特定パターンである長方形パッド21、正方形パッド22、位置マーク23が不鮮明の場合が多い。本実施形態では、検出画像20は、図6に示すように、左上と右下とにそれぞれ影25,26ができており、この部分の長方形パッド21、正方形パッド12、位置マーク13が不鮮明で識別できなくなっている。
【0041】
制御部30は、図2のステップS107に示すように、図1に示す原点あわせプログラム38を実行し、取得した検出画像20の上に各基準画像100〜400を重ね合わせる。原点あわせプログラム38を実行すると、制御部30は、図7に示すように、第1基準画像100の原点101を検出画像20の第1所定位置27aに合わせる。すると、図7に示すように、第1基準画像100の原点101は図4を参照して説明した第1基準画像100を生成する際の第1基準画像100の原点101の位置からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけずれた位置となっている。また、図7に示すように、各基準画像100〜400の各長方形パッド11、各正方形パッド12、各位置マーク13の位置は、検出画像20の各長方形パッド21、各正方形パッド22、各位置マーク23の位置からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけずれた位置となっている。また、第2〜第4基準画像200〜400は、図4を参照して説明したように、各基準画像100〜400が隙間なく並ぶような位置に位置合わせされる。すると、図7に示すように、第2〜第4基準画像200〜400の各原点201〜401も図4を参照して説明した各基準画像200〜400を生成する際の各基準画像200〜400の各原点201,301,401の位置からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけずれた位置となっている。この各原点201,310,401の位置は、それぞれ検出画像20の第2所定位置27b,第3所定位置27c、第4所定位置27dの位置となっている。つまり、各基準画像100〜400は、図7において一点鎖線500で示す各基準画像100〜400を生成する際の各基準画像100〜400の位置からXY方向にそれぞれ同一距離(X方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1)だけずれた位置となっている(原点合わせ工程)。
【0042】
制御部30は、図2のステップS108に示すように、図1に示す対比プログラム39を実行し、検出画像20に対して各基準画像100〜400を移動させながら検出画像20と各基準画像100〜400を対比し、その相関値を取得する。以下、図8を参照して検出画像20と第1基準画像100との対比と相関値の取得について説明する。なお、図8において一点鎖線500は各基準画像100〜400を生成する際の各基準画像100〜400の位置を示している。
【0043】
制御部30は、図8に示すように、第1基準画像100の左上の原点101を検出画像20の左上の角の第1所定位置27aに合わせる。この際の基準画像の原点101の位置を図8において点101aとして示す。点101aのXY座標は(0,0)である。先に説明したように、この位置では、第1基準画像100の各長方形パッド11、各正方形パッド12、各位置マーク13の位置は、検出画像20の各長方形パッド21、各正方形パッド22、各位置マーク23の位置からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけずれた位置となっている。そして、制御部30は、この位置で検出画像20と第1基準画像100とを対比し、その相関値を取得し、図1に示す画像データ44の中に格納する。そして、次に制御部30は、第1基準画像100の原点101を第1所定位置27aからX方向に1ピクセル分だけ移動させ、第1基準画像100の原点101をXY座標(1,0)とし、この位置で検出画像20と第1基準画像100との対比し、その相関値を取得して画像データ44の中に格納する。このように、制御部30は基準画像100の原点101をX方向に1ピクセル移動させる毎に、検出画像20と基準画像100とを対比し、相関値を取得し、画像データ44に格納する。
【0044】
そして、制御部30は、図8に示すように、第1基準画像100の原点101の位置をX方向に距離ΔX1の点101b(XY座標は(ΔX1,0))まで移動させたら、原点101のX方向位置を検出画像20の第1所定位置27aの位置まで戻すと共に、Y方向に1ピクセルだけ移動させ、原点101のXY座標を(0,1)とし、検出画像20と第1基準画像100と対比し、相関値を取得し、画像データ44に格納する。制御部30は、先に説明したと同様、X方向に向かって第1基準画像100を1ピクセル移動させる毎に検出画像20と基準画像100とを対比し、相関値を取得し、画像データ44に格納する。そして、制御部30は、先に説明したと同様、第1基準画像100の原点101の位置をX方向に距離ΔX1だけ移動動させたら(XY座標は(ΔX1,1))、原点101のX方向位置を検出画像20の第1所定位置27aの位置まで戻すと共に、Y方向に更に1ピクセルだけ移動させ、原点101のXY座標を(0,2)とし、検出画像20と第1基準画像100と対比し、相関値を取得し、画像データ44に格納する。このように、基準画像100の原点101をX方向に1ピクセルずつ距離ΔX1だけ移動させたら、原点101のX方向位置を0に戻し、Y方向に1ピクセル移動させてからX方向に1ピクセルずつ距離ΔX1だけ移動させ、原点101の位置をXY座標(ΔX1,ΔY1)まで移動させる。原点101の位置がXY座標(ΔX1,ΔY1)となったら、制御部30は、検出画像20と第1基準画像100との対比、相関値の取得を終了する。このように、制御部30は、検出画像20の中の第1基準画像100を生成する際の第1基準画像100よりもX方向、Y方向にそれぞれ距離ΔX1、距離ΔY1だけ広がった領域110(図8でハッチングで示した領域)と第1基準画像100とを対比し、その相関値を取得していく。領域110は、第1の基準画像100に対応する検出画像20の一部である。
【0045】
同様に、第2〜第4基準画像もそれぞれ図7に示すように、図4を参照して説明した各基準画像200〜400を生成する際の各基準画像200〜400の各原点201,301,401の位置からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけずれた各所定位置27b〜27dから各基準画像200〜400の各原点201〜401をX方向に1ピクセルずつ距離ΔX1だけ移動させたら、各原点201〜401のX方向位置を各所定位置27b〜27dのX方向位置、即ち、X方向座標を0に戻し、Y方向に1ピクセル移動させてからX方向に1ピクセルずつ距離ΔX1だけ移動させ、各原点201〜401の位置をXY座標(ΔX1,ΔY1)まで移動させたら、検出画像20と各基準画像200〜400との対比、相関値の取得を終了する。このように、制御部30は、検出画像20の中の各基準画像200〜400を生成する際の各基準画像200〜400よりもX方向、Y方向にそれぞれ距離ΔX1、距離ΔY1だけ広がった図8にハッチングで示す各領域210,310,410と各基準画像200〜400とを対比し、その相関値を取得していく(対比工程)。
【0046】
領域210,310,410は、それぞれ第2、第3、第4基準画像200〜400にそれぞれ対応する検出画像20の一部であり、図8に示すように、領域110,310の右側部分と領域210,410の左側部とはそれぞれ距離ΔX1だけ重なりあい、領域110,210の下側部分と領域310,410の上側部分は距離ΔY1だけ重なり合っている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態は、各基準画像100〜400の各原点101〜401を検出画像20の上にある各基準画像100〜400を生成する際の各基準画像100〜400の各原点101〜401の位置よりX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけずれた複数の所定位置からXY方向に1ピクセルずらす毎に検出画像20の中の各基準画像100〜400を生成する際の各基準画像100〜400よりもX方向、Y方向にそれぞれ距離ΔX1、距離ΔY1だけ広がった各領域110〜410と各基準画像100〜400とを対比し、その相関値を取得していく。従って、もし、検出画像20の位置とモデル画像として登録した図3に示す画像10の位置とが全く同一位置であるならば、検出画像20の各領域と各基準画像100〜400との各相関値は、いずれも各基準画像100〜400を生成する際の各基準画像100〜400の各原点101〜401の位置からX方向に距離ΔX1、Y方向に距離ΔY1だけ移動した位置において最大の相関値を示すことになる。
【0048】
このようにして取得した各基準画像100〜400の各XY位置における各相関値は図9、図10、図12、図13に示す様な分布として示される。図9、図10、図12、図13において、縦軸はそれぞれ検出画像20と各基準画像100〜400との各相関値の大きさを示し、先端に丸印のある直線601は、その座標位置における各相関値の大きさを示している。図9に示すように、第1基準画像100と検出画像20の領域110とを対比した結果、X方向に5ピクセル、Y方向に5ピクセルのXY座標(5,5)の位置で検出画像20の領域110と第1基準画像100との相関値は第1最大相関値P1となっているが、後で説明する他の基準画像と検出画像20との相関値の分布の様な特徴のあるピークがなく、全体的に平坦な分布となっている。これは、検出画像20の左上に存在する影25によって検出画像20の図8に示す領域110の中に鮮明な長方形パッド21、正方形パッド22、位置マーク23の画像が少なく、各位置において相関値が低くなってしまったためである。
【0049】
一方、図10に示すように、第2基準画像200と検出画像20の領域210とを対比した結果の相関値の分布は、Y方向に3ピクセルの位置でX方向に向かって波打つ様なピークを持つものとなっている。ピークの点のつながりを線621として示す。これは、第2基準画像200は、図5に示すように、長方形パッド11がX方向に等間隔で連続して配置されていることから、長方形パッド11のX方向のピッチ毎に大きな相関値が出現するためである。なお、実際の長方形パッド11のピッチは2ピクセルよりもずっと大きいが、図10では、模式的にピッチが2ピクセルとして相関値の変化を示している。また、Y方向には3ピクセル以外の位置にピークはない。これは、Y方向には長方形パッド11の各行の間隔が大きいことから、第2基準画像200と領域210との対比では、Y方向には1つの位置でのみ相関値のピークができるためである。そして、線621に沿った各ピークには大小があり、本実施形態では、図10に示すようにX方向に4ピクセル、Y方向に3ピクセルのXY座標(4,3)の位置で第2最大相関値P2となる。
【0050】
また、基準画像200と特定パターンが対称である第4基準画像400も図13に示す様に、第2基準画像200と同様の相関値の分布を示している。異なる点は、Y方向の2ピクセルの位置にX方向に向かって波打つ様なピークがみられる点である。ピークの点のつながりを線641として示す。そして、線641に沿った各ピークには大小があり、本実施形態では、図13に示すようにX方向に5ピクセル、Y方向に2ピクセルのXY座標(5,2)で第4最大相関値P4となる。
【0051】
他方、図12に示すように、第3基準画像300と検出画像20の領域310とを対比した結果の相関値の分布は、X方向に4ピクセル、Y方向に3ピクセルのXY座標(4,3)に大きな相関値のピークである第3最大相関値P3があり、各相関値はこの点を頂点としてX方向、Y方向に向かって低下している。このX方向に向かう相関値の変化を線631で、Y方向に向かう相関値の変化を線633で示す。このように、一つのピークができるのは、第3基準画像300には、長方形パッド11、正方形パッド12、位置マーク13という特定パターンが多く含まれていること、及び検出画像20の領域310には領域110のような影25がないことから、各特定パターンを的確に対比することができ、1つの大きな相関値のピークが出現するためである。
【0052】
以上のように、各基準画像100〜400と検出画像20の各領域110〜410との対比の結果、第1基準画像100と領域110の対比による第1最大相関値P1のXY位置は(5,5)、第2基準画像200と領域210の対比による第2最大相関値P2のXY位置は(4,3)、第3基準画像300と領域310の対比による第3最大相関値P3のXY位置は(4,3)、第4基準画像400と領域410の対比による第4最大相関値P4のXY位置は(5,2)となっている。そして、図9、図10、図12、図13に示す各基準画像100〜400と検出画像20との各XY座標位置における各相関値に各基準画像100〜400の重みを掛けて足し合わせると、図14に示すように各XY座標位置における統合された相関値の分布を求めることができる。そして、この統合した相関値のピークとなるXY座標の位置が、各基準画像100〜400の各特定パターンの位置であるとしてもよい。しかし、図10、図13の線621,線641で示した波状の相関値の分布は、Y方向の特定パターンの位置をよく示す一方、X方向の特定パターンの位置を不明確にしてしまう。そこで、他の基準画像と相関値の統合を行う前に、図2のステップS109に示す様に相関値のフィルタリングを行う。
【0053】
ここでは、第2基準画像200、第4基準画像400と検出画像20の各領域210,410との相関値のフィルタリングについて説明する。先に説明したように、制御部30は図2のステップS104において各基準画像100〜400の伸びる方向を慣性主軸の傾きθとして計算し、その結果を画像データ44に格納している。第2基準画像200のように、単純にX方向に長方形パッド11が等間隔で並んでいる様な特定パターンの場合は、画像の伸びる方向は単純にX方向となる。そこで、制御部30は図1に示すフィルタリングプログラム45を実行し、図11に示す様なX方向の空間フィルタによって図10に示す相関値の分布をフィルタリングする。この場合、図11に示す空間フィルタはX方向に向かって波打つ相関値を平均化し、図10に示すように、先端に丸印のある直線601を繋げた線621のような分布から先端に矢印のある直線602を繋げた線622のように相関値の分布を平均化する。同様に図13に示す第4基準画像400と検出画像20との領域410との相関値の分布も先端に丸印のある直線601を繋げた線641のような分布から先端に矢印のある直線602を繋げた線642のような分布に平均化される。そして、制御部30はフィルタリングした後の各XY座標の各相関値を画像データ44に格納する。以上、第2基準画像200の相関値と第4基準画像400の相関値のフィルタリングについて説明したが、他の基準画像についても同様に画像の伸びる方向の空間フィルタを用いて各XY座標の相関値のフィルタリングを行い、その結果を画像データ44に格納する(フィルタリング工程)。
【0054】
制御部30は、図2のステップS110に示すように、図1に示す統合プログラム40を実行し、画像データ44からフィルタリングした後の各基準画像100〜400と検出画像20の各領域110〜410との各XY座標位置における各相関値に図2のステップS103で計算した重みを掛け、XY座標毎に足し合わせ、図14に示すように共通の統合XY座標位置における統合相関値とし、その分布を求める。この工程を空間的に説明すると、図9、図10、図12、図13の4つの相関値の分布図の各原点を図14に示す共通の統合XY座標の原点に合わせ、各XY座標位置における各相関値に図2のステップS103で計算した重みを掛け、XY座標毎に足し合わせることとなる(統合工程)。
【0055】
図14に示すように統合XY座標では、X方向に5ピクセル、Y方向に3ピクセルの統合XY座標(5,3)の位置に統合した相関値のピークである統合最大相関値Ptが表れている。統合XY座標位置の各統合相関値はこの点を頂点としてX方向、Y方向に向かって低下している。このX方向に向かう統合相関値の変化を線651で、Y方向に向かう相関値の変化を線653で示す。このように統合最大相関値Ptは空間的に鋭い一つのピークとして現れることから、容易にそのピークの統合XY座標の位置を求めることができる。
【0056】
そして、制御部30は、図2のステップS111に示すように、図1に示す位置ズレ認識プログラム41を実行し、統合最大相関値Ptの統合XY座標位置を取得し、図2のステップS112に示すように、この統合XY座標の位置を、各基準画像100〜400の各特定パターンのズレ位置であると認識する。つまり、第1基準画像100の場合、制御部30は、各特定パターンの位置は、第1基準画像100の原点101を検出画像20の第1所定位置27aに合わせた位置からそれぞれX方向に5ピクセル、Y方向に3ピクセルのずれた位置にあると認識する。同様に、第2〜第4基準画像200〜400の各特定パターンの位置は、第2〜第4基準画像200〜400の各原点201〜401を検出画像20の第2〜第4所定位置27b〜27dに合わせた位置からそれぞれX方向に5ピクセル、Y方向に3ピクセルだけずれた位置にあると認識する(位置ズレ認識工程)。
【0057】
そして、この位置ズレ量に基づいて各特定パターンの絶対位置を算出し、その位置にキャピラリ58を移動させ、ワイヤボンディングを行う。また、この位置ズレ量に基づいて半導体チップ62の位置を算出し、その位置に基づいてワイヤボンディングを行うようにしてもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態では、モデル画像を分割した各基準画像100〜400と検出画像20の各領域110〜410との各相関値を足し合わせるという簡便な手段によって短時間に特定パターンの位置ズレを認識することができるので、ワイヤボンディング装置50において半導体チップ62の位置検出時間の短縮を図ることができるという効果を奏する。また、モデル画像を分割した各基準画像100〜400と検出画像20とを対比するので、検出画像20の一部に不鮮明な部分があっても精度よく特定パターンの位置ズレを認識することができ、半導体チップ62の位置検出の精度を向上させることができる。更に、各基準画像のフィルタリングした後、重みを掛けることによって足し合わせの際に発生する検出誤差を抑制し、精度よく特定パターンの位置ズレを認識することができ、半導体チップ62の位置検出の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 画像、11,21 長方形パッド、12,22 正方形パッド、13,23 位置マーク、17 基準点、20 検出画像、25,26 影、27a〜27d 所定位置、30 制御部、31 データバス、32 記憶部、33 制御プログラム、34 制御データ、35 モデル画像取得プログラム、36 基準画像生成プログラム、37 検出画像取得プログラム、38 原点合わせプログラム、39 対比プログラム、40 統合プログラム、41 位置ズレ認識プログラム、42 重み計算プログラム、43 方向計算プログラム、44 画像データ、45 フィルタリングプログラム、46 移動機構インターフェース、47 手動入力装置インターフェース、48 モニタインターフェース、49 撮像装置インターフェース、50 ワイヤボンディング装置、51 スプール、52 ボンディングヘッド、53 XYテーブル、54 移動機構、55 ボンディングアーム、55b 超音波ホーン、56 ボンディングステージ、57 超音波振動子、58 キャピラリ、59 クランパ、60 カメラ、61 ワイヤ、62 半導体チップ、63 基板、64 手動入力装置、65 モニタ、80 コンピュータ、100,200,300,400 基準画像、101,201,301,401 原点、110,210,310,410 領域、P1〜P4,Pt 最大相関値、mpq 空間モーメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物のモデル画像を取得するモデル画像取得工程と、
取得したモデル画像をそれぞれが特定のパターンを含む複数の基準画像に分割する基準画像生成工程と、
検出対象物の検出画像を取得する検出画像取得工程と、
前記検出画像の上の複数の所定位置に前記各基準画像の各原点を合わせる原点合わせ工程と、
前記各基準画像の前記各原点を前記検出画像の上の前記複数の所定位置からXY方向にずらしながら前記検出画像の中の前記各基準画像に対応する各領域にある各検出画像部分と前記各基準画像とを順次対比し、各検出画像部分と前記各基準画像との間の各相関値を順次取得する対比工程と、
前記それぞれの対比位置における前記各検出画像部分と前記各基準画像との間の前記各相関値を統合XY面内で統合して統合相関値を生成する統合工程と、
統合した統合相関値のピークの統合XY座標値を前記検出対象物の各所定位置からXY面内での各基準画像に含まれる前記各特定のパターンの位置のズレと認識する位置ズレ認識工程と、
を含むパターン位置検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出方法であって、
前記各基準画像の前記各特定のパターンに基づいて前記各相関値を統合する際の重みを計算する重み計算工程を含み、
前記統合工程は、前記各相関値に前記重みを掛けあわせた各重みつき相関値を積算すること、
を特徴とするパターン位置検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターン位置検出方法であって、
前記各基準画像の伸びている方向を計算する方向計算工程を含み、
前記対比工程は、取得した前記各相関値を空間フィルタによりフィルタリングして各フィルタリング後相関値を生成し、
前記統合工程は、前記各フィルタリング後相関値を統合し、
前記空間フィルタは、前記各画像の伸びている方向の前記相関値を抽出するフィルタであること、
を特徴とするパターン位置検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の位置検出方法であって、
前記方向計算工程は、前記各基準画像の空間モーメントを計算する空間モーメント計算工程を含むこと、
を特徴とするパターン位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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