説明

パターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法及びパターン形成装置

【課題】液滴吐出ヘッドから吐出される吐出重量を均一にするとともに、生産効率の高いパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法及びパターン形成装置を提供する。
【解決手段】制御装置100は、吐出検査用のビットマップデータBDに基づいて吐出された被検査紙上の液滴の検査パターンを、描画検査装置80を用いて撮影し、その画像データを画像処理する。そして、被検査紙上の液滴の着弾径から、吐出重量を算出して、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴の平均吐出重量を算出する。制御装置100は、液滴の平均吐出重量を予め定めた基準吐出重量と等しくする圧電素子PZの駆動電圧値Vhを求め、その駆動電圧値Vhに基づいた駆動波形信号COMを駆動波形生成回路107に生成させて、ヘッド駆動回路108に出力する。ヘッド駆動回路108は、制御装置100からの駆動波形信号COMに基づいて各圧電素子PZを駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法及びパターン形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機能液を使って基板上に所望のパターンを形成する装置として、機能液を液滴にして吐出するインクジェット装置、すなわち液滴吐出装置が知られている。液滴吐出装置は、ステージに載置される基板と機能液を液滴にして吐出する液滴吐出ヘッドとを2次元的に相対移動させながら、液滴吐出ヘッドから吐出される機能液の液滴を基板上の任意の箇所に配置することによりパターンを形成する。
【0003】
液滴吐出ヘッドは、別設のタンクなどから機能液が供給されるとともに、供給された機能液をその内部に設けたインク室(キャビティ)に一時的に貯留する。そして、ステージと相対向するように設けたノズルプレートに多数形成されたノズル孔からインク室に貯留した機能液を液滴にして吐出する。
【0004】
近年では、複数の液滴吐出ヘッドを1つのキャリッジに搭載し、さらに、このキャリッジを複数搭載した多キャリッジタイプの液滴吐出装置が知られている。このような液滴吐出装置は、大画面カラーフィルタの製造などに用いられ、複数のキャリッジから同時に液滴を吐出することで、その描画速度を向上させている。
【0005】
ところで、例えば、ガラス基板にカラーフィルタを製造する際に、ガラス基板に吐出(配置)される機能液(フィルタ用インク)の吐出重量にばらつきがあると、そのばらつきがカラーフィルタの輝度ムラの原因となることが知られている。従って、ガラス基板に吐出されるフィルタ用インクの吐出重量は、均一であることが望まれる。そこで、機能液の吐出重量を均一にするために特許文献1〜6のような提案がなされている。
【0006】
特許文献1〜3の方法では、重量測定天秤に液滴を吐出して各液滴吐出ヘッドの吐出重量を測定し、その測定結果に基づいて、各液滴吐出ヘッドの吐出重量が均一になるようにしている。
【0007】
また、特許文献4の方法では、基板処理ごとに所定の場所に液滴を吐出してドットを形成し、該ドットを画像認識することでノズル抜け検査を行っている。ノズル抜けとは、例えば、液滴吐出ヘッドを液滴が吐出されるように制御したにもかかわらず、ノズル孔の目詰まりなどによって液滴が吐出されないことをいう。そして、ノズル抜けが検出された液滴吐出ヘッドに対してメンテナンスを行い、ノズル抜けによる吐出重量のばらつきを防止している。特許文献5の方法では、吐出された液滴の膜厚を測定して、その測定された膜厚に基づいて、吐出パターンを変更することによって、吐出重量を調整している。特許文献6の方法では、吐出された液滴を画像処理し、ノズル抜けやインク径の異常及び液滴の飛行曲がりなどを検査することで吐出重量のばらつきを抑制している。
【特許文献1】特開2004−209429号公報
【特許文献2】特開平11−248927号公報
【特許文献3】特開2004−4915号公報
【特許文献4】特開2006−76067号公報
【特許文献5】特開2006−341231号公報
【特許文献6】特開2006−58772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3の方法では、各液滴吐出ヘッドの吐出量の測定誤差を小さくするために、重量測定天秤に多数の液滴を吐出して測定している。従って、多キャリッジタイプの液滴吐出装置に搭載した全液滴吐出ヘッドの吐出重量を測定するには、多量の機能液が必要であるとともに、その測定には多大な時間を要するため、液滴吐出装置の稼働率の大幅な低下を招いていた。また、特許文献4〜6の方法では、液滴の画像を画像処理して、各液滴吐出ヘッドのノズル抜けやインク滴の膜厚の測定などを行い、その結果に基づいて吐出重量の調整を行っている。しかし、吐出された液滴の吐出重量を算出する手段を備えていないため、各液滴吐出ヘッドの吐出重量が均一でない虞があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、液滴吐出ヘッドから吐出される吐出重量を均一にするとともに、生産効率の高いパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法及びパターン形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、搬送テーブルに載置された基板を主走査方向に搬送させ、前記主走査方向に直交する副走査方向に並設されたキャリッジに設けた液滴吐出ヘッドの各ノズルから機能液を液滴にして吐出し、前記基板に予め定めた描画データに基づきパターンを形成するパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、前記搬送テーブルと並設され、前記搬送テーブルとは独立して主走査方向に移動する検査ユニットを設け、前記検査ユニットを前記液滴吐出ヘッドの直下を通過させながら、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから液滴を吐出して、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に前記各ノズルからの液滴を着弾させ、
前記被吐出媒体に着弾した前記各ノズルの液滴を撮像装置にて撮像し、前記撮像装置が撮像した前記各ノズルの液滴の画像データに基づいて、前記各ノズルの液滴の着弾径を測定し、測定した各ノズルの液滴の着弾径に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量を求め、その求めた各ノズルの液滴の吐出重量に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量が予め定めた値になるように、前記各ノズルの駆動素子の駆動力をそれぞれ調整して、その調整した駆動力で前記各ノズルの駆動素子を駆動させる。
【0011】
本発明のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、各ノズルから検査ユニットの被吐出媒体に吐出された液滴の画像データに基づいて、同液滴の吐出重量を求めることによって、液滴の吐出重量をより短時間で求めることができる。従って、液滴の吐出重量の測定によるパターン形成装置の生産効率の低下を抑制することができる。しかも、各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の重量測定に必要とされる機能液も少量で済むため、機能液を効率よく利用することができる。
【0012】
また、求めた液滴の吐出重量が予め定めた値になるように、各ノズルの駆動素子の駆動力を調整することによって、各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を均一にすることができる。その結果、一様で高精細なパターンを形成するとともに、吐出重量のばらつきに起因するカラーフィルタの品質不良を低減することができる。
【0013】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記画像データに基づいて、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルの吐出不良検査を行ってもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、画像データから吐出不良検査を行うことによって、例えば、液滴のノズル抜けや飛行曲がりなど、ノズルの吐出不良を検出することができる。従って、例えば、吐出不良のノズルを有す
る液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行うことによって、同ノズルの吐出不良を解消することができる。その結果、ノズルの吐出不良による基板の品質不良を低減することができる。
【0014】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記吐出不良検査に基づいて、前記液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行ってもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、吐出不良検査に基づいて、ノズルの吐出不良を検出し、同ノズルを有する液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行うことによって、同ノズルの吐出不良を解消することができる。
【0015】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記吐出不良検査に基づいて、前記描画データをデータ補正してもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、吐出不良検査に基づいて吐出不良のノズルが検出されたとき、描画データをデータ補正することによって、例えば、同ノズルを使用しないようにすることができる。
【0016】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記画像データに基づいて測定した液滴の着弾径から求めた吐出重量が予め定めた範囲外にあるときに、前記駆動素子の駆動力を調整してもよい。
【0017】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、画像データに基づいて測定した液滴の着弾径から求めた吐出重量が予め定めた範囲外にあるときに、駆動素子の駆動力を調整する。すなわち、例えば、各液滴吐出ヘッドに供給される機能液のロットが変わり、それにともなう機能液の粘度変化によって液滴の着弾径に変化があったときに、駆動素子の駆動力を調整する。従って、液滴の吐出重量の誤差が小さいときには、駆動素子の駆動力を調整しないことから処理時間を短縮することができる。その結果、パターン形成装置の稼働率を向上させることができる。
【0018】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記各ノズルは、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に、一滴の液滴を吐出させてもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、例えば、吐出された液滴の着弾径の積算値から液滴吐出ヘッド毎に吐出された液滴の総吐出重量を求めることができる。従って、その求めた総吐出重量に基づいて駆動素子の駆動力を調整することによって、各液滴吐出ヘッドの液滴の総吐出重量を均一にすることができる。
【0019】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記各ノズルは、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に複数の液滴を吐出させてもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を、複数の液滴に基づいて算出する。従って、各ノズルから吐出された液滴の吐出重量をより正確に求めることができる。その結果、各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を予め定めた値に対して、より高精度に調整することができる。
【0020】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから吐出された液滴の吐出重量をノズル毎に求め、その求めた吐出重量に基づいて同液滴吐出ヘッドのノズル毎に、駆動素子の駆動力をそれぞれ調整してもよい。
【0021】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、各液滴吐出ヘッドのノズル毎に求めた液滴の吐出重量に基づいて、各ノズルの駆動素子の駆動力
をノズル毎に調整することによって、各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を均一にすることができる。従って、吐出重量のばらつきを低減することができる。
【0022】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記各液滴吐出ヘッドの全ノズルから吐出された液滴の吐出重量の平均値を液滴吐出ヘッド毎に求め、その求めた吐出重量の平均値に基づいて、前記液滴吐出ヘッド毎に各ノズルの駆動素子の駆動力を調整してもよい。
【0023】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、液滴吐出ヘッド毎に求めた液滴の吐出重量の平均値に基づいて駆動素子の駆動力を調整することによって、各液滴吐出ヘッドの液滴の総吐出重量を均一にすることができる。従って、吐出重量のばらつきを低減することができる。
【0024】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記駆動素子の駆動力は、前記基板に前記パターンを形成する直前に調整してもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、駆動素子の駆動力を基板にパターンを形成する直前に調整されることによって、パターンを形成する全ての基板に対して、各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を一定にすることができる。
【0025】
しかも、例えば、パターンが形成された基板と新たな基板との入れ替えを行っている間に、駆動素子の駆動力を調整することによって、パターン形成装置の生産効率を低下させることなく、各ノズルの吐出重量を均一することができる。
【0026】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記被吐出媒体は、フィルムコーティングされた紙であってもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、被吐出媒体に吐出された液滴の紙への浸透を抑制することができる。従って、被吐出媒体に吐出された液滴の着弾径から吐出重量を正確に算出することができる。
【0027】
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、前記被吐出媒体は、粘着材が塗布されていてもよい。
このパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、被吐出媒体に吐出された液滴の被吐出媒体への浸透をより抑制するとともに、着弾した液滴が濡れ広がることを抑制することができる。従って、被吐出媒体に吐出された液滴の着弾径から、より正確な吐出重量を算出することができる。
【0028】
本発明のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法は、搬送テーブルに載置された基板を主走査方向に搬送させ、前記主走査方向に直交する副走査方向に並設されたキャリッジの液滴吐出ヘッドの各ノズルから機能液を液滴にして吐出し、前記基板に予め定めた描画データに基づきパターンを形成するパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、前記搬送テーブルと並設され、前記搬送テーブルとは独立して主走査方向に移動する検査ユニットを設け、前記検査ユニットを前記液滴吐出ヘッドの直下を通過させながら、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから液滴を吐出して、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に前記各ノズルからの液滴を着弾させ、前記被吐出媒体に着弾した前記各ノズルの液滴を撮像装置にて撮像し、前記撮像装置が撮像した前記各ノズルの液滴の画像データに基づいて、前記各ノズルの液滴の着弾径を測定し、測定した各ノズルの液滴の着弾径に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量を求め、求めた各ノズルの液滴の吐出重量から、前記各ノズルの液滴の吐出重量の変化傾向を重量傾向検出手段にて検出し、前記変化傾向に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量が予め
定めた閾値を超えたとき、前記検査ユニットに設けた重量測定ユニットの受液容器を前記液滴吐出ヘッドの直下に配置して、同液滴吐出ヘッドの各ノズルから前記受液容器に液滴を吐出して同液滴の実際の吐出重量を測定し、前記重量測定ユニットで測定した液滴の実際の吐出重量に基づいて、駆動素子の駆動力をそれぞれ調整して、その調整した駆動力で前記各ノズルの駆動素子を駆動させる。
【0029】
本発明のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法によれば、例えば、基板処理毎に液滴の着弾径に基づいた吐出重量を求めて、その吐出重量の変化傾向を重量傾向検出手段にて検出する。そして、検出した変化傾向に基づいて液滴の吐出重量に予め定めた閾値を超えたとき、検査ユニットに設けた重量測定ユニットで液滴の実際の吐出重量を測定して、駆動素子の駆動力を調整する。従って、例えば、被吐出媒体の表面の状態によって液滴の着弾径から吐出重量を高精度で求めることができないときでも、重量測定ユニットによって液滴の重量測定を行うことができる。
【0030】
また、液滴の着弾径から吐出重量の変化傾向を繰り返し検出することによって、例えば、液滴吐出ヘッドに供給される機能液のロットを変更してから、液滴の吐出重量が予め定めた閾値を超えるまでの時間を予測することができる。従って、その予測した時間よりも前に重量測定ユニットによる実際の吐出重量の測定を行い、その測定した吐出重量に基づいて駆動素子の駆動力を調整することができる。
【0031】
本発明のパターン形成装置は、主走査方向に往復移動して載置した基板を搬送する搬送テーブルと、前記搬送テーブルの移動経路の上方であって、前記主走査方向と直交する副走査方向に延出形成された一対の案内レールと、前記一対の案内レール間に支持され、その一対の案内レールに沿って副走査方向に往復移動可能なキャリッジと、前記キャリッジのユニットプレートに並設した複数の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドの各駆動素子を駆動制御してノズルから液滴を吐出し、パターンを描画させる制御手段と、前記基板に描画されるパターンの描画データを記憶する描画データ記憶手段と、を備え、前記基板を載置した搬送テーブルを主走査方向に移動させながら、前記基板に、前記描画データに基づいて予め定められたパターンを描画するパターン形成装置において、前記搬送テーブルと並設され、前記搬送テーブルに対して独立して前記主走査方向に移動する検査ユニットと、前記検査ユニットに配置された被吐出媒体に描画される吐出重量検査用のパターンの検査描画データを記憶した検査描画データ記憶手段と、前記被吐出媒体に吐出された液滴を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を画像処理して、前記液滴の吐出重量を算出する重量算出手段と、前記重量算出手段の算出した液滴の吐出重量に基づいて、前記各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を、予め定めた値になるように、前記各駆動素子の駆動力を算出し、該算出した駆動力を前記制御手段に出力する駆動力算出手段と、を備えた。
【0032】
本発明のパターン形成装置によれば、検査ユニットに配置された被吐出媒体に検査描画データに基づいたパターンを形成し、そのパターンを撮像装置にて撮像し、その画像データから液滴の吐出重量を算出することができる。そして、算出した液滴の吐出重量に基づいて、吐出重量が予め定めた値になるように駆動素子の駆動力を算出し、その算出した駆動力に基づいて液滴の吐出重量を調整することができる。その結果、液滴の吐出重量のばらつきに起因する基板の品質不良を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施したパターン形成装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、ブラックマトリクスが形成されたガラス基板に赤、緑、青のカラーフィルタを形成するためのパターン形成装置としての液滴吐出装置1の概略構成を示している。液滴吐出装置1は、図1に示すように、床面に主走査方向(X軸方向)に延在した基台2が設
置され、その上面に2aに一対のX軸ガイドレール11が主走査方向(X軸方向)に敷設され、その一対のX軸ガイドレール11にはX軸移動プレート12が載置されている。X軸移動プレート12は、X軸ガイドレール11に沿って主走査方向に移動可能に搭載されている。一対のX軸ガイドレール11には、X軸リニアモータM1が備えられ、X軸リニアモータM1は、一対のX軸ガイドレール11に載置されたX軸移動プレート12を、エアスライダ(図示省略)を介してX軸方向に往復移動させる。
【0034】
尚、図1において、主走査方向をX軸方向、主走査方向(X軸方向)に直交する副走査方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(上下方向)をZ軸方向、Z軸方向回りの回動方向をθ方向と表記する。
【0035】
X軸移動プレート12の上面には、搬送テーブルとしての基板ステージ14が設けられている。基板ステージ14は、真空吸着テーブルであって、その上面にガラス基板よりなるカラーフィルタ基板(CF基板という)Wを吸着固定し、同CF基板Wを搬送する。基板ステージ14は、X軸移動プレート12と基板ステージ14との間に設けた破線で示すステージ回動機構16によって、X軸移動プレート12に対してθ方向に回動可能に支持固定されている。
【0036】
従って、基板ステージ14(CF基板W)は、X軸移動プレート12とともにX軸方向(主走査方向)に移動する。また、基板ステージ14(CF基板W)は、X軸移動プレート12の平面(XY平面(水平面))に対して平行にθ方向に回動する。
【0037】
前記X軸ガイドレール11の上方向をY軸方向に跨ぐように、案内レールとしての一対のY軸ガイドレール18が配設されている。一対のY軸ガイドレール18の一端の支柱19aは、基台2の上面2a一側に立設され、他端の支柱19bは基台2から離間した床に立設されている。一対のY軸ガイドレール18は、X軸方向に予め定めた間隔をおいて平行に配設されている。尚、本実施形態では、Y軸方向に平行に延びた一対のY軸ガイドレール18において、基台2の上方位置を作業領域、基台2から離間した位置を待機領域としている。
【0038】
一対のY軸ガイドレール18の間に、複数(本実施形態では、6個)のキャリッジプレート21が差し渡されるように配置されている。そして、各キャリッジプレート21は、Y軸ガイドレール18に沿って副走査方向(Y軸方向)に移動可能に載置されている。一対のY軸ガイドレール18には、Y軸リニアモータM2を備え、Y軸リニアモータM2は、一対のY軸ガイドレール18に載置された各キャリッジプレート21をそれぞれエアスライダ(図示省略)を介してY軸方向に往復移動させる。つまり、各キャリッジプレート21は、Y軸ガイドレール18上の作業領域と待機領域との間を往復移動するようになっている。
【0039】
各キャリッジプレート21の上面には、機能液供給ユニット22とヘッド用電装ユニット23とが載置されている。機能液供給ユニット22は、機能液F(図3(b)参照)を所定量貯蔵して、各液滴吐出ヘッド40(図3(a),(b)参照)に機能液Fを供給するための供給回路装置である。ヘッド用電装ユニット23は、各液滴吐出ヘッド40を駆動するための電気信号を供給するための電気回路装置である。
【0040】
また、ここでいう機能液Fとは、CF基板Wに形成されたブラックマトリクスの枠内に配置される赤、緑、青のフィルタ用インクである。機能液Fは、CF基板Wに形成されたブラックマトリクスの枠内に配置された後に乾燥されると、赤、緑、青のフィルタとなる。
【0041】
図2に示すように、各キャリッジプレート21の下面の中央位置には、吊下機構25が設けられ、その吊下機構25の下端部にキャリッジ30が取着されている。
吊下機構25は、吊下基板26と、吊下回動枠27と、吊下支持枠28とを有している。吊下基板26は、キャリッジプレート21の下面中央位置に連結固定され、その下端部に吊下回動枠27を連結している。吊下回動枠27は、その下端部に吊下支持枠28をθ方向に回動可能に連結支持している。吊下回動枠27には、θ軸回動モータ(図示省略)を有し、θ軸回動モータは吊下支持枠28を吊下基板26(キャリッジプレート21)に対してθ方向に回動させるようになっている。吊下支持枠28には、キャリッジ30が支持固定され、吊下機構25に垂設されたキャリッジ30をθ方向に回動させる。
【0042】
キャリッジ30は、略直方体形状のキャリッジ枠31を有している。キャリッジ枠31には、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの両側面に開口部が設けられており(X軸方向の各開口部は図示省略)、キャリッジ枠31の内側に対して、周囲の空気が流出入できるようになっている。また、キャリッジ30の略直方体形状のキャリッジ枠31の下端部には、ユニットプレート34が図示しないネジ等により固設されている。ユニットプレート34には、液滴吐出ヘッド40が着脱可能に、かつ、精度よく位置決め固定されて取り付けられている。本実施形態では、X軸方向に沿って並設された3個の液滴吐出ヘッド40が、Y軸方向と平行に2列、すなわち合計6個の液滴吐出ヘッド40が取り付けられている。尚、キャリッジ枠31の内側は、配管や配線などが配設されているが、表示すると煩雑になるため図示を省略している。
(液滴吐出ヘッド40)
次に、ユニットプレート34に取着した液滴吐出ヘッド40について図3を参照して説明する。図3(a)は、液滴吐出ヘッドを基板ステージ14側から見た外観斜視図である。この液滴吐出ヘッド40は、2つの接続針42を有する液体導入部41と、液体導入部41の側方に連なるヘッド基板43と、液体導入部41に連なるポンプ部44と、ポンプ部44に連なるノズルプレート45とを備えている。
【0043】
液体導入部41の接続針42には、機能液供給ユニット22に接続した図示しない配管接続部材が接続されている。ヘッド基板43には、一対のヘッドコネクタ43Aが実装されており、当該ヘッドコネクタ43Aを介して、ヘッド用電装ユニット23に接続された図示しないフレキシブルフラットケーブルが接続される。
【0044】
一方、ポンプ部44とノズルプレート45とにより、方形のヘッド本体40Aが構成されている。
ノズルプレート45のノズル形成面45aには、液滴Fbを吐出する吐出ノズル46からなる2本のノズル列47が形成されている。2本のノズル列47は相互に平行に列設されており、各ノズル列47は、等ピッチで並設された180個(図示では模式的に表している)の吐出ノズル46で構成されている。すなわち、ヘッド本体40Aのノズル形成面45aには、その中心線を挟んで2本のノズル列47が対称に配設されている。
【0045】
図3(b)は、液滴吐出ヘッド40のポンプ部44の内部を示し、各吐出ノズル46の上側にそれぞれキャビティ52、振動板53及び駆動素子としての圧電素子PZを有している。各キャビティ52は、それぞれ配管接続部材を介して機能液供給ユニット22に接続され、同機能液供給ユニット22からの機能液F(フィルタ用インク)を収容し、そのフィルタ用インクを吐出ノズル46に供給する。振動板53は、各キャビティ52に対向する領域をZ方向に振動することによって、該キャビティ52の容積を拡大及び縮小させて、これに伴って吐出ノズル46のメニスカスを振動させる。各圧電素子PZは、それぞれ所定の駆動波形信号を受けるとき、Z方向に収縮して伸張することによって、振動板53の各領域をZ方向に振動させる。各キャビティ52は、それぞれの振動板53がZ方向に振動するとき、収容するフィルタ用インクの一部を所定重量の液滴Fbにして吐出ノズ
ル46から吐出させる。
【0046】
ポンプ部44の基部側、すなわちヘッド本体40Aの基部側は、液体導入部41を受けるべく方形フランジ状にフランジ部48が形成されている。このフランジ部48は、抜け止めの役目を果たすとともに、ヘッド止めネジ(図示せず)でユニットプレート34と連結固定される連結部の役目を果たす。フランジ部48には、液滴吐出ヘッド40をユニットプレート34に固定する小ネジ用のネジ孔(雌ネジ)49が一対形成されている。つまり、液滴吐出ヘッド40は、ユニットプレート34の所定の位置に形成された貫通穴(図示せず)に、ヘッド本体40Aを貫挿させて、ユニットプレート34を貫挿してネジ孔49と螺合するヘッド止めネジ(図示せず)によってユニットプレート34に固定される。
【0047】
図2及び図3に示したX軸、Y軸、Z軸は、図1に示したX軸、Y軸、Z軸と同一である。すなわち、ユニットプレート34が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では、液滴吐出ヘッド40に形成されたノズル列47(図3(a)参照)は、Y軸方向に延在する構成になっている。
(メンテナンスユニット55)
次に、液滴吐出ヘッド40のメンテナンスを行い、吐出ノズル46の吐出不良を解消するメンテナンスユニット55について説明する。図1に示すように、メンテナンスユニット55は、一対のY軸ガイドレール18の待機領域の下側に設けられている。メンテナンスユニット55は、Y軸方向に沿って延在したメンテナンスベース56の上面56aに、1つのワイピングユニット60と複数キャッピングユニット61とがそれぞれ設けられている。
【0048】
ワイピングユニット60は、各キャリッジ30がそれぞれ上方に位置したときに、ユニットプレート34に取着した各液滴吐出ヘッド40のノズル形成面45aと接触して、該ノズル形成面45aをクリーニングする装置である。
【0049】
ワイピングユニット60は、メンテナンスベース56の最も基台2側に設けられ、図示しない払拭ローラが、キャリッジ30(ユニットプレート34)を下側から臨んで、各液滴吐出ヘッド40のノズル形成面45aと接触し、該ノズル形成面45aをそれぞれクリーニングするようになっている。
【0050】
ワイピングユニット60に隣接して設けられたキャッピングユニット61は、キャリッジプレート21(キャリッジ30)の数(6個)だけY軸方向に並設されている。各キャッピングユニット61は、対応するキャリッジ30のユニットプレート34に設けた各液滴吐出ヘッド40のノズル形成面45aに固着した機能液F(フィルタ用インク)をそれぞれ除去する。また、液滴吐出装置1が休止状態であるとき、各液滴吐出ヘッド40のノズルプレート45とそれぞれ密着してポンプ部44内の機能液F(フィルタ用インク)の乾燥を抑制する装置である。
(検査ユニット70)
次に、液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴を事前に検査する検査ユニット70について説明する。
【0051】
図1に示すように、前記基台2に敷設された一対のX軸ガイドレール11には、検査ユニット70がX軸ガイドレール11に沿って主走査方向に移動可能に配置されている。
詳述すると、検査ユニット70は、移動ブロック71を有し、移動ブロック71は、X軸ガイドレール11に沿って主走査方向に移動可能に搭載されている。そして、移動ブロック71は、一対のX軸ガイドレール11に備えられたX軸リニアモータM1にてエアスライダ(図示省略)を介してX軸方向に往復移動する。
【0052】
移動ブロック71の上面の基板ステージ14側には、検査台72が設置固定されている。検査台72は、Y軸方向に沿って長く延び、その上面には、被吐出媒体として、表面にフィルムコーティングが施された、被検出紙Pが配置されている。検査台72に配置した被検出紙Pは、検査台72が液滴吐出ヘッド40の直下に案内された時に、各キャリッジ30の液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から吐出された液滴Fbが着弾されるようになっている。
【0053】
移動ブロック71の上面であって検査台72に隣接した位置には、フラッシング回収台73が前記キャリッジ30の数(6個)だけ設けられ、その各フラッシング回収台73がY軸方向に沿って並設されている。
【0054】
各フラッシング回収台73の受け口73aは、各フラッシング回収台73が対応するキャリッジ30の直下に案内された時に、各キャリッジ30の液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から液滴が吐出され(フラッシングされ)、その液滴Fbを受け止めて収容するようになっている。つまり、CF基板Wに液滴Fbでカラーフィルタを描画する前にフラッシング動作され、そのフラッシングに基づく液滴Fbをフラッシング回収台73で回収する。
【0055】
移動ブロック71の上面であって並設されたフラッシング回収台73に隣接した位置には、重量測定ユニット74が前記キャリッジ30の数(6個)だけ設けられ、その各重量測定ユニット74がY軸方向に沿って並設されている。
【0056】
重量測定ユニット74は、その上面の中央付近に重量測定天秤77(図5参照)の受液容器78が設けられている。受液容器78は、各キャリッジ30(キャリッジプレート21)及び重量測定ユニット74(移動プレート71)を適宜移動させることによって、対応するキャリッジ30の各液滴吐出ヘッド40の直下に配置される。重量測定ユニット74は、対応するキャリッジ30の直下に案内された時に、各キャリッジ30の任意の1つの液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から吐出された液滴Fbが受液容器78に着弾し、その重量を計測するようになっている。
【0057】
また、重量測定ユニット74には、フラッシングエリア79が設けられている。フラッシングエリア79は、各キャリッジ30の任意の1つの液滴吐出ヘッド40が受液容器78に臨んだとき、他の全ての液滴吐出ヘッド40(本実施形態では、5個)が、フラッシングエリア79に向かってフラッシング動作が行える大きさに形成され、そのフラッシング動作による液滴を収容する。従って、重量測定の前後において、他の全ての液滴吐出ヘッド40(本実施形態では、5個)をフラッシング動作させることができるので、キャビティ52に収容された機能液Fの乾燥を抑制することができる。
(描画検査カメラ装置80)
次に、前記検査台72に配置した被検出紙Pに着弾された液滴Fbを撮影し、各キャリッジ30の液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から液滴Fbの吐出重量の計測、及び、ノズル抜けや飛行曲がりなどの吐出ノズル46の吐出不良検査を行う撮像装置としての描画検査カメラ装置80について説明する。
【0058】
描画検査カメラ装置80は、図1及び図2に示すように、一対のY軸ガイドレール18の内、検査ユニット70側のY軸ガイドレール18に沿って設けられている。
図4は、Y軸ガイドレール18に沿って設けられた描画検査カメラ装置80の全体斜視図である。
【0059】
図4において、描画検査カメラ装置80は、ベース筐体81を有している。ベース筐体81はY軸ガイドレール18に沿って延び、その下側半分をカメラ移動テーブル部81A
、上側半分をケーブルベアダクト部81Bに区画形成されている。
【0060】
ベース筐体81の下側半分のカメラ移動テーブル部81Aは、ガイド孔82がY軸方向に沿って形成されていて、ガイド孔82から突出したアーム(図示せず)が検査カメラCAを固設したベース板84と連結されている。ガイド孔82から突出したアームは、カメラ移動テーブル部81A内に設けられたカメラスキャン用のリニアモータ(図示せず)によって、ガイド孔82に沿ってY軸方向に移動可能になっている。従って、ベース板84に固設した検査カメラCAもカメラスキャン用のリニアモータによって、ガイド孔82に沿ってY軸方向に移動可能になる。
【0061】
その結果、検査カメラCAのY軸方向に移動する軌跡の直下に、検査台72が案内された時に、検査カメラCAは、Y軸方向に移動することにより、検査台72に配置した被検出紙Pに着弾された液滴Fbを撮影することができる。
【0062】
ベース筐体81の上側半分のケーブルベアダクト部81Bは、引き出し孔85がY軸方向に沿って略長方形状に形成されていて、検査カメラCAを固設したベース板84から延びる引き回しアーム86が、引き出し孔85内に貫挿され、ベース板84(検査カメラCA)のY軸方向に移動とともに引き出し孔85に沿って移動する。
【0063】
ケーブルベアダクト部81B内は、検査カメラCAの駆動電力の授受、データ信号の授受を行うためにケーブル87が湾曲された状態で配設されている。ケーブル87は、その先端が引き回しアーム86に設けたコネクタと連結されて検査カメラCAと電気的に接続されている。そして、ケーブル87は、検査カメラCAがY軸方向に移動することに伴い、ケーブルベアダクト部81B内で湾曲部分を変化させて、検査カメラCAの移動に追従させるようになっている。
(描画観測カメラ装置90)
図2に示すように、描画検査カメラ装置80が設けられたY軸ガイドレール18と相対向するもう一方のY軸ガイドレール18には、描画観測カメラ装置90が設けられている。描画観測カメラ装置90は、基板ステージ14に載置されたCF基板Wのアライメントマークを撮影してCF基板Wの位置を計測したり、CF基板Wに形成された配置パターン等を撮影して描画状態を検査する。
【0064】
尚、描画観測カメラ装置90は、本実施形態では、描画検査カメラ装置80とその取り付けられている位置が異なる(反対側のY軸ガイドレール18に設けられている)だけで、その構成は描画検査カメラ装置80と同じなので、符号を同じにしてその詳細な説明は省略する。
【0065】
次に、液滴吐出装置1の電気的構成を図5に従って説明する。図5は、液滴吐出装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図5において、制御装置100は、CPU101、ROM102、RAM103等を有している。制御装置100は、格納された各種データ及び各種制御プログラムに従って、X軸移動プレート12の搬送処理、各キャリッジプレート21の搬送処理、及び、液滴吐出ヘッド40を駆動してCF基板Wにパターンを形成する描画処理などを実行する。また、制御装置100は、各キャリッジ30に設けた各液滴吐出ヘッド40が吐出する液滴Fbの吐出重量や吐出ノズル46の吐出不良などを検査する検査処理を実行するとともに、検査に基づく各液滴吐出ヘッド40の液滴Fbの吐出重量調整処理などを実行する。
【0066】
制御装置100には、各種操作スイッチとディスプレイを有した入出力装置104が接続されている。入出力装置104は、液滴吐出装置1が実行する各種処理の処理状況を表示する。入出力装置104は、CF基板Wに液滴Fbでカラーフィルタのパターンを形成
するための描画データ(ビットマップデータBD)を生成し、そのビットマップデータBDを制御装置100に入力する。また、制御装置100は、入力されたビットマップデータBDを描画データ記憶手段としてのRAM103に記憶する。
【0067】
ビットマップデータBDは、各ビットの値(0あるいは1)に応じて各圧電素子PZのオンあるいはオフを規定したデータである。ビットマップデータBDは、液滴吐出ヘッド40(各吐出ノズル46)の直下をCF基板Wが通過する際、CF基板Wの予め特定された各位置に、液滴Fbを吐出するか否かを規定したデータである。
【0068】
すなわち、ビットマップデータBDは、CF基板Wに液滴Fbでカラーフィルタのパターンを描画するために、液滴吐出ヘッド40(各吐出ノズル46)の直下を、何度もCF基板Wを往復動させ、その往動及び復動する毎に、カラーフィルタのパターンを描画するために用意された、配置位置に液滴Fbを吐出するか否かを規定したデータである。
【0069】
詳述すると、液滴吐出ヘッド40(各吐出ノズル46)の直下を、往動及び復動する毎に用意された、対応するビットマップデータBDをつかって、液滴Fbを吐出させれば、CF基板Wにカラーフィルタのパターンが描画されることになる。
【0070】
そして、本実施形態では、このCF基板Wに描画するカラーフィルタのパターンは、予め設計等で求め、その求めたパターンからビットマップデータBDが作成される。
また、検査描画データ記憶手段としてのROM102には、検査描画データとしての吐出重量検査用のビットマップデータBDが予め記憶されている。吐出重量検査用のビットマップデータBDは、前記全てのキャリッジ30に設けた全液滴吐出ヘッド40を駆動させて、前記検査ユニット70の検査台72の上面に配置した被検出紙Pに各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から液滴Fbを吐出して液滴Fbによる検査パターンを描画するためのデータである。
【0071】
図6は、本実施形態の被検出紙Pに描画された、液滴Fbによる検査パターンPAの一例を示す。本実施形態の検査パターンPAは、各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から、被検出紙Pにそれぞれ連続して複数個(図6では6個)X軸方向に配置されるパターンである。
【0072】
制御装置100には、X軸リニアモータ駆動回路105が接続されている。制御装置100は、駆動制御信号をX軸リニアモータ駆動回路105に出力する。X軸リニアモータ駆動回路105は、制御装置100からの駆動制御信号に応答して、X軸移動プレート12(CF基板W)を移動させるためのX軸リニアモータM1を駆動させる。また、制御装置100は、吐出重量検査用のビットマップデータBDを使って検査台72の被検出紙Pに液滴Fbによる検査パターンを描画する場合に、検査ユニット70を移動させるための駆動制御信号をX軸リニアモータ駆動回路105に出力する。X軸リニアモータ駆動回路105は、制御装置100からの検査ユニット70を移動させるための駆動制御信号に応答して、移動ブロック71を移動させるためのX軸リニアモータM1を駆動させる。
【0073】
制御装置100には、Y軸リニアモータ駆動回路106が接続されている。制御装置100は、駆動制御信号をY軸リニアモータ駆動回路106に出力する。Y軸リニアモータ駆動回路106は、制御装置100からの駆動制御信号に応答して、キャリッジプレート21を移動させるためのY軸リニアモータM2を駆動させる。
【0074】
制御装置100には、描画検査カメラ装置80が電気的に接続されている。制御装置100は、吐出重量検査用のビットマップデータBDを使って検査台72の被検出紙Pに描画された液滴Fbによる検査パターンPAを、検査カメラCAにて撮影し、そのパターン
を撮影した画像データを取得するために描画検査カメラ装置80を駆動制御する。
【0075】
詳述すると、検査ユニット70の移動ブロック71を移動させながら、吐出重量検査用のビットマップデータBDを使って液滴吐出ヘッド40を駆動させて検査台72の被検出紙Pに液滴Fbによる検査パターンPAを描画した後、検査カメラCAがY軸方向に移動する軌跡の直下に位置するように検査台72を配置する。続いて、制御装置100は、検査カメラCAをY軸方向の端から端まで移動させて、検査台72の被検出紙Pに描画された検査パターンPAを撮影させ、検査カメラCAが撮影した検査パターンPAの画像データを取得する。
【0076】
制御装置100は、検査カメラCAが撮影した検査パターンPAの画像データを使って、各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から吐出された液滴Fbのノズル抜けや飛行曲がりの吐出ノズル46の吐出不良検査を行う。制御装置100は、ノズル抜けや飛行曲がりを検出したとき、該当する吐出ノズル46を有する液滴吐出ヘッド40(キャリッジ30)のメンテナンスを行う。
【0077】
制御装置100には、メンテナンスユニット55が電気的に接続されている。制御装置100は、吐出不良検査によって検出された吐出ノズル46を有する液滴吐出ヘッド40のメンテナンスを行うためにメンテナンスユニット55を駆動制御する。
【0078】
制御装置100には重量測定天秤77が電気的に接続されている。制御装置100は、重量測定ユニット74の受液容器78に吐出された液滴Fbの実際の総吐出重量を、重量測定天秤77を用いて測定する。
【0079】
重量算出手段としての制御装置100は、前記画像データに基づいて、液滴Fbの吐出重量を演算する。
液滴Fbの吐出重量は、まず、図6に示す、1つの吐出ノズル46毎に、すなわち、X軸方向に連続して被検出紙Pに吐出された6個の液滴Fbの着弾径を、取得した検査パターンPAの画像データを画像処理してそれぞれ求め、それぞれ求めた6個の液滴Fbの着弾径の合計(積算値)を求める。
【0080】
制御装置100は、各1つの吐出ノズル46毎の着弾径の積算値が求まると、この積算値から各吐出ノズル46から吐出される液滴Fbの吐出重量を求める。尚、積算値に対する液滴Fbの吐出重量は、予めROM102にデータとして記憶されていて、制御装置100は、ROM102に記憶したデータから各積算値に対する各吐出ノズル46の吐出重量を求めるようにしている。
【0081】
各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から吐出された液滴Fbの前記積算値に対する吐出重量が求まると、制御装置100は、各液滴吐出ヘッド40から吐出された液滴Fbの吐出重量の平均値(平均吐出重量Wav)を求める。
【0082】
駆動力算出手段としての制御装置100は、各液滴吐出ヘッド40の液滴Fbの平均吐出重量Wavが求まると、その平均吐出重量Wavが予め定めた値としての基準吐出重量Wkと同じなるための、各圧電素子PZを駆動させるための駆動電圧値Vhを液滴吐出ヘッド40毎に求める。
【0083】
尚、平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkと同じなるための、圧電素子PZを駆動させるための駆動電圧値Vhは、予めROM102にデータとして記憶されていて、制御装置100は、ROM102に記憶したデータから各平均吐出重量Wavに対する駆動電圧値Vhを求めるようにしている。
【0084】
制御装置100には、駆動波形生成回路107が接続されている。制御装置100は、求めた圧電素子PZを駆動させるための駆動電圧値Vhを駆動波形生成回路107に出力する。駆動波形生成回路107は、制御装置100からの駆動電圧値Vhに基づき圧電素子PZに印加する駆動波形信号COMを生成する。図7は、駆動波形信号COMの一例を示しており、圧電素子PZに印加する駆動電圧の波高値が大きいほど、吐出量が大きくなる。すなわち、図7において、駆動波形信号COM0(波高値h0)は、駆動波形信号COM1(波高値h1)よりも波高値が大きいので吐出重量が大きくなっている。
【0085】
従って、駆動波形生成回路107は、制御装置100からの駆動電圧値Vhに基づき、液滴Fbの平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkと等しくなる駆動波形信号COMを液滴吐出ヘッド40毎に生成し、制御装置100に出力する。
【0086】
制御手段としての制御装置100には、液滴吐出ヘッド40毎に設けられたヘッド駆動回路108が接続されている。制御装置100は、所定の吐出周波数に同期させた吐出タイミング信号LTをヘッド駆動回路108に出力する。制御装置100は、駆動波形生成回路107にて生成された液滴吐出ヘッド40毎の駆動波形信号COMを所定の吐出周波数に同期させて、それぞれ対応するヘッド駆動回路108に出力する。
【0087】
詳述すると、制御装置100は、ビットマップデータBDを利用して所定の周波数に同期したパターン形成用制御信号SIを生成し、パターン形成用制御信号SIをヘッド駆動回路108にシリアル転送する。ヘッド駆動回路108は、制御装置100からのパターン形成用制御信号SIを各圧電素子PZに対応させて順次シリアル/パラレル変換する。ヘッド駆動回路108は、制御装置100からの吐出タイミング信号LTを受けるたびに、シリアル/パラレル変換したパターン形成用制御信号SIをラッチし、パターン形成用制御信号SIによって選択される圧電素子PZにそれぞれ駆動波形信号COMを供給する。
【0088】
従って、各液滴吐出ヘッド40は、液滴Fbの平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkと等しくなる駆動波形信号COMを圧電素子PZに印加させるように制御されるため、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴Fbの平均吐出重量Wavを均一にすることができる。
【0089】
次に、このように構成した検査ユニット70と描画検査カメラ装置80の作用について説明する。
検査ユニット70及び描画検査カメラ装置80を使って各キャリッジ30に設けた各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から吐出される液滴Fbの吐出重量を算出し、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴Fbの平均吐出重量Wavを基準吐出重量Wkに調整する処理動作について説明する。
【0090】
この処理動作は、各キャリッジプレート21に設けたキャリッジ30が交換される毎に行われる。また、新たなCF基板Wに描画データ(ビットマップデータBD)に基づいてカラーフィルタのパターンを形成する直前に行われる。
【0091】
今、制御装置100は、Y軸リニアモータM2を駆動制御して各キャリッジプレート21をY軸ガイドレール18上の作業領域に配置する。これによって、各キャリッジプレート21のキャリッジ30に設けた各液滴吐出ヘッド40は、検査ユニット70の検査台72がその直下を通過する位置に配置される。
【0092】
この状態から、制御装置100は、X軸リニアモータM1を駆動制御して、検査ユニッ
ト70の移動ブロック71を移動させる。そして、各液滴吐出ヘッド40の直下を検査台72が通過するとき、制御装置100は、吐出重量検査用のビットマップデータBDを使って、各液滴吐出ヘッド40(圧電素子PZ)を駆動して検査台72の被検出紙Pに液滴Fbによる検査パターンPAを描画させる。
【0093】
検査パターンPAが描画されると、検査台72が検査カメラCAの移動軌跡の直下に位置するように、制御装置100は、X軸リニアモータM1を駆動制御して、検査ユニット70の移動ブロック71を移動させる。検査台72が検査カメラCAの移動軌跡の直下に位置すると、制御装置100は、描画検査カメラ装置80のリニアモータを駆動制御させて検査カメラCAを移動させ、同検査カメラCAにて被検出紙Pに描画された検査パターンPAを撮影させその画像データを取得する。
【0094】
制御装置100は、被検出紙Pに描画された検査パターンPAの画像データを取得すると、検査パターンPAの画像データを画像処理し、吐出ノズル46の吐出不良検査を行う。液滴Fbのノズル抜けや飛行曲がりを検出したとき、該当する吐出ノズル46を有する液滴吐出ヘッド40(キャリッジ30)を待機領域に移動させ、メンテナンスユニット55を用いて液滴吐出ヘッド40のメンテナンスを行い、吐出ノズル46の吐出不良を解消する。尚、制御装置100は、メンテナンスを行ったとき、再度、被検出紙Pに検査パターンPAを描画して画像データを改めて取得する。
【0095】
制御装置100は、画像データから液滴Fbの着弾径を求め、液滴吐出ヘッド40毎に液滴Fbの平均吐出重量Wavを求める。
制御装置100は、各液滴吐出ヘッド40の液滴Fbの平均吐出重量Wavに基づいて、その平均吐出重量Wavが予め定めた基準吐出重量Wkと等しくなるための、各圧電素子PZを駆動させるための駆動電圧値Vhを液滴吐出ヘッド40毎に求める。
【0096】
そして、制御装置100は、駆動波形生成回路107に対して、駆動電圧値Vhに基づき、常に、各液滴吐出ヘッド40の液滴Fbの平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkと等しくなる駆動波形信号COMを液滴吐出ヘッド40毎に生成させ、その駆動波形信号COMにて各液滴吐出ヘッド40(圧電素子PZ)を駆動させるようにした。
【0097】
従って、各液滴吐出ヘッド40の各圧電素子PZに印加される駆動波形信号COMは、液滴Fbの平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkとなる駆動波形信号COMに制御されるため、各液滴吐出ヘッド40から吐出される機能液Fの吐出重量を均一にすることができる。
【0098】
しかも、ひとつのCF基板Wにカラーフィルタを描画する直前に、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴Fbの平均吐出重量Wavを基準吐出重量Wkに調整する処理動作を行うため、全てのCF基板Wに形成されるカラーフィルタは、一様で高精細なパターンとなる。
【0099】
上記実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態によれば、制御装置100は、描画検査カメラ装置80を用いて、被検出紙Pに吐出された液滴Fbの画像データを取得し、その画像データから液滴Fbの着弾径を求めた。そして、液滴Fbの着弾径から吐出重量を算出し、液滴吐出ヘッド40毎に液滴Fbの平均吐出重量Wavを算出した。そして、平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkと等しくなる駆動電圧値Vhを求め、その駆動電圧値Vhに基づいて、圧電素子PZを駆動させる駆動波形信号COMを変更した。
【0100】
従って、被検出紙Pに吐出された液滴Fbの画像処理に基づいて、吐出重量を算出する
ことによって、重量測定ユニット74の受液容器78に多数の液滴を吐出することなく液滴Fbの吐出重量を計測することができる。すなわち、多大な時間を要することなく、液滴Fbの吐出重量を計測することができる。その結果、液滴吐出装置1の生産効率を向上させることができる。また、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴Fbの重量測定に必要とされる機能液Fも少量で済むため、機能液Fを効率よく利用することができる。
【0101】
さらに、液滴吐出ヘッド40毎の平均吐出重量Wavと基準吐出重量Wkとが等しくなるように、駆動電圧値Vhを変更することによって、各液滴吐出ヘッド40の吐出重量を均一にすることができる。その結果、一様で高精細なパターンを形成するとともに、吐出重量のばらつきに起因するカラーフィルタの品質不良を低減することができる。
【0102】
(2)上記実施形態によれば、各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から複数の液滴Fbを被検出紙Pに吐出し、その複数の液滴Fbに基づいて各液滴吐出ヘッド40の平均吐出重量Wavを算出した。
【0103】
従って、各液滴吐出ヘッド40の各吐出ノズル46から吐出した複数の液滴Fbに基づいて吐出重量を算出することによって、各液滴吐出ヘッド40の平均吐出重量Wavをより高精度に算出することができる。その結果、各液滴吐出ヘッド40の吐出重量をより均一にすることができる。
【0104】
(3)上記実施形態によれば、キャリッジ30交換時及び新たなCF基板Wにパターンを描画する直前に、液滴Fbの検査を行い、その検査に基づいて各液滴吐出ヘッド40の圧電素子PZを駆動させる駆動電圧値Vhを変更した。
【0105】
従って、キャリッジ30交換時及び新たなCF基板Wにパターンを形成する直前に、駆動電圧値Vhを調整することによって、各液滴吐出ヘッド40から吐出される液滴Fbの平均吐出重量Wavを、常に、基準吐出重量Wkと等しくすることができる。その結果、全てのCF基板Wにおいて、各液滴吐出ヘッド40の吐出重量を均一にするとともに、一様で高精細なパターンを形成することができる。
【0106】
また、新たなCF基板Wにパターンを形成する直前、すなわち、基板の入れ替えを行っている時に駆動電圧値Vhの調整を行うことができる。その結果、液滴吐出装置1の稼働率を低下させることなく、液滴Fbの重量測定及び駆動電圧値Vhの調整を行うことができる。
【0107】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、吐出ノズル46の吐出不良検査として、液滴Fbのノズル抜けと飛行曲がりの検査を行った。これに限らず、例えば、吐出不良検査として液滴Fbの着弾径の検査を行ってもよい。これによれば、ROM102に着弾径の基準値を予め記憶させ、その基準値と液滴Fbの着弾径とを比較し、その比較した結果に基づいて吐出不良とすることで吐出ノズル46の吐出不良による品質不良を低減することができる。
【0108】
・上記実施形態では、吐出不良の吐出ノズル46が検出されると、メンテナンスユニット55を用いて、該吐出ノズル46を有する液滴吐出ヘッド40のメンテナンスを行った。これに限らず、描画データ補正手段を設けて、描画データとしてのビットマップデータBDをデータ補正して、該吐出ノズル46の圧電素子PZを常にオフ状態にするようにしてもよい。これによれば、該吐出ノズル46から液滴Fbが吐出されることを防止することができる。
【0109】
・上記実施形態では、制御装置100は、画像データから液滴Fbの吐出重量を計測す
る毎に、液滴Fbの吐出重量が基準吐出重量Wkとなるように駆動電圧値Vhを変更した。これに限らず、画像データに基づいて、着弾した液滴Fbの着弾径から求めた吐出重量が予め定めた範囲外にあるときに駆動波形信号COMを調整するようにしてもよい。これによれば、例えば、各液滴吐出ヘッドに供給される機能液Fのロットが変わり、それにともなう機能液Fの粘度変化があったときに、圧電素子PZの駆動波形信号COMを調整して液滴Fbの吐出重量を均一にすることができる。また、液滴Fbの吐出重量の誤差が小さいときには、駆動波形信号COMを調整しないので、処理時間を短縮し、液滴吐出装置1の稼働率を向上させることができる。
【0110】
・上記実施形態では、各吐出ノズル46から複数(6個)の液滴Fbを被検出紙Pに吐出して、その着弾径の積算値から吐出重量を算出した。これに限らず、各吐出ノズル46から被検出紙Pに吐出される液滴Fbの数は何個でもよい。例えば、各吐出ノズル46から被検出紙Pに吐出される液滴Fbの数は1滴であってもよい。
【0111】
・上記実施形態では、液滴吐出ヘッド40毎に液滴Fbの平均吐出重量Wavを求めて、求めた平均吐出重量Wavが基準吐出重量Wkと等しくなるように各液滴吐出ヘッド40の駆動波形信号COMを変更した。これに限らず、例えば、吐出ノズル46毎に平均吐出重量を算出し、その平均吐出重量が基準吐出重量Wkと等しくなるように、吐出ノズル46毎に駆動波形信号COMを変更するようにしてもよい。これによれば、より高精度に液滴Fbの吐出重量を調整することができる。
【0112】
・上記実施形態では、被吐出媒体はフィルムコーティングを施した被検出紙Pとした。これに限らず、例えば、所定の粘着材を塗布した被吐出媒体を用いてもよい。これによれば、被吐出媒体に吐出された液滴の被吐出媒体への浸透をより抑制することができる。従って、被吐出媒体に吐出された液滴Fbの着弾径から、より正確な吐出重量を算出することができる。
【0113】
・上記実施形態では、被検出紙Pに吐出された液滴Fbを撮影して、その画像データを画像処理し、液滴Fbの着弾径から吐出重量を算出して、圧電素子PZの駆動波形信号COMを変更した。これに限らず、例えば、基板処理毎に、液滴Fbの着弾径から液滴Fbの吐出重量を求めるとともに、その求めた吐出重量の変化傾向を検出する重量傾向検出手段を設ける。そして、検出した変化傾向に基づいて液滴Fbの着弾径から求めた吐出重量が予め定めた閾値を超えたときには、重量測定ユニット74で液滴Fbの実際の吐出重量を測定し、圧電素子PZを駆動させる駆動波形信号COMを変更してもよい。このとき、重量算出手段としての制御装置100は、重量測定ユニット74で各液滴吐出ヘッド40から吐出された液滴Fbの実際の総吐出重量を求めて、各吐出ノズル46から吐出する液滴Fbの平均吐出重量Wavを演算する。これによれば、例えば、被検出紙Pの表面の状態によって液滴Fbの着弾径から吐出重量を高精度で求めることができないときでも、重量測定ユニット74によって液滴Fbの重量測定を行うことができる。
【0114】
また、液滴Fbの着弾径から求めた吐出重量の変化傾向を繰り返し検出することによって、例えば、液滴吐出ヘッド40のキャビティ52に供給される機能液Fのロットを変更してから、液滴Fbの吐出量が予め定めた閾値を超えるまでの時間を予測することができる。従って、その予測した時間よりも前に重量測定ユニット74による実際の吐出重量の測定を行い、その吐出重量に基づいて圧電素子PZを駆動させる駆動波形信号COMを調整し、液滴Fbの吐出重量を均一にすることができる。
【0115】
・上記実施形態では、キャリッジ30の交換時と新たなCF基板Wにカラーフィルタのパターンを形成する直前に液滴Fbの検査を行った。これに限らず、例えば、基板ステージ14(CF基板W)を往動又は復動させる度毎や予め定めた時間毎など、予め定めた条
件毎に定期的に行ってもよい。
【0116】
・上記実施形態では、フィルタ用インクを液滴にして吐出させてCF基板にカラーフィルタを形成する液滴吐出装置に具体化した。これに限らず、金属配線を形成する液滴吐出装置、絶縁層を形成する液滴吐出装置、液晶層や配向膜を形成する液滴吐出装置、有機EL表示装置の発光層や輸送層等の各層を形成する液滴吐出装置等に応用してもよい。
【0117】
・上記実施形態では、液滴吐出ヘッド40を6個搭載したキャリッジを6個搭載した液滴吐出装置1に具体化した。これに限らず、キャリッジに搭載される液滴吐出ヘッドの配置や数、及び、液滴吐出装置に搭載されるキャリッジの数は、適宜変更してもよい。
【0118】
・上記実施形態では、メンテナンスとしてノズル形成面45aに固着した機能液Fを除去するとともに、ノズル形成面45aを図示しない払拭ローラにてクリーニングした。これに限らず、例えば、液滴吐出ヘッド40のキャビティ52に収容された機能液Fの吸引などを行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】キャリッジプレートとキャリッジの関係を表す平面図。
【図3】(a)液滴吐出ヘッドをノズルプレート側から見た斜視図、(b)液滴吐出ヘッドの要部断面図。
【図4】描画検査カメラ装置の全体斜視図。
【図5】液滴吐出装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路図。
【図6】検査紙に吐出された液滴の検査パターンの一例を示す平面図。
【図7】駆動波形信号の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
【0120】
BD…ビットマップデータ、CA…検査カメラ、COM…駆動波形信号、COM0…駆動波形信号、COM1…駆動波形信号、h0…波高値、h1…波高値、LT…吐出タイミング信号、SI…パターン形成用制御信号、F…機能液、Fb…液滴、M1…X軸リニアモータ、M2…Y軸リニアモータ、P…被検出紙、PA…検査パターン、PZ…圧電素子、Vh…駆動電圧値、W…CF基板、Wk…基準吐出重量、Wn…平均吐出重量、1…液滴吐出装置、2…基台、2a…上面、11…X軸ガイドレール、12…X軸移動プレート、14…基板ステージ、16…ステージ回動機構、18…Y軸ガイドレール、19a…支柱、19b…支柱、21…キャリッジプレート、22…機能液供給ユニット、23…ヘッド用電装ユニット、25…吊下機構、26…吊下基板、27…吊下回動枠、28…吊下支持枠、30…キャリッジ、31…キャリッジ枠、34…ユニットプレート、40…液滴吐出ヘッド、40A…ヘッド本体、41…液体導入部、42…接続針、43…ヘッド基板、43A…ヘッドコネクタ、44…ポンプ部、45…ノズルプレート、45a…ノズル形成面、46…吐出ノズル、47…ノズル列、48…フランジ部、49…ネジ孔、52…キャビティ、53…振動板、55…メンテナンスユニット、56…メンテナンスベース、56a…上面、60…ワイピングユニット、61…キャッピングユニット、70…検査ユニット、71…移動ブロック、72…検査台、73…フラッシング回収台、73a…受け口、74…重量測定ユニット、77…重量測定天秤、78…受液容器、79…フラッシングエリア、80…描画検査カメラ装置、81…ベース筐体、81A…カメラ移動テーブル部、81B…ケーブルベアダクト部、82…ガイド孔、84…ベース板、85…引き出し孔、86…引き回しアーム、87…ケーブル、90…描画観測カメラ装置、100…制御装置、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…入出力装置、105…X軸リニアモータ駆動回路、106…Y軸リニアモータ駆動回路、107…駆動波形生成回路、108…ヘッド駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送テーブルに載置された基板を主走査方向に搬送させ、前記主走査方向に直交する副走査方向に並設されたキャリッジに設けた液滴吐出ヘッドの各ノズルから機能液を液滴にして吐出し、前記基板に予め定めた描画データに基づきパターンを形成するパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記搬送テーブルと並設され、前記搬送テーブルとは独立して主走査方向に移動する検査ユニットを設け、
前記検査ユニットを前記液滴吐出ヘッドの直下を通過させながら、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから液滴を吐出して、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に前記各ノズルからの液滴を着弾させ、
前記被吐出媒体に着弾した前記各ノズルの液滴を撮像装置にて撮像し、
前記撮像装置が撮像した前記各ノズルの液滴の画像データに基づいて、前記各ノズルの液滴の着弾径を測定し、
測定した各ノズルの液滴の着弾径に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量を求め、
その求めた各ノズルの液滴の吐出重量に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量が予め定めた値になるように、前記各ノズルの駆動素子の駆動力をそれぞれ調整して、その調整した駆動力で前記各ノズルの駆動素子を駆動させることを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記画像データに基づいて、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルの吐出不良検査を行うことを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項3】
請求項2に記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記吐出不良検査に基づいて、前記液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行うことを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項4】
請求項2に記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記吐出不良検査に基づいて、前記描画データをデータ補正することを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記画像データに基づいて測定した液滴の着弾径から求めた吐出重量が予め定めた範囲外にあるときに、前記駆動素子の駆動力を調整することを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記各ノズルは、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に、一滴の液滴を吐出することを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記各ノズルは、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に、複数の液滴を吐出することを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから吐出された液滴の吐出重量をノズル毎に求め、その求めた吐出重量に基づいて同液滴吐出ヘッドのノズル毎に、駆動素子の駆動力をそれぞれ調整したことを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項9】
請求項6または7に記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記各液滴吐出ヘッドの全ノズルから吐出された液滴の吐出重量の平均値を液滴吐出ヘッド毎に求め、その求めた吐出重量の平均値に基づいて、前記液滴吐出ヘッド毎に各ノズルの駆動素子の駆動力を調整したことを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記駆動素子の駆動力は、前記基板に前記パターンを形成する直前に調整されることを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記被吐出媒体は、フィルムコーティングされた紙であることを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記被吐出媒体は、粘着材が塗布されていることを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項13】
搬送テーブルに載置された基板を主走査方向に搬送させ、前記主走査方向に直交する副走査方向に並設されたキャリッジの液滴吐出ヘッドの各ノズルから機能液を液滴にして吐出し、前記基板に予め定めた描画データに基づきパターンを形成するパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法において、
前記搬送テーブルと並設され、前記搬送テーブルとは独立して主走査方向に移動する検査ユニットを設け、
前記検査ユニットを前記液滴吐出ヘッドの直下を通過させながら、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから液滴を吐出して、前記検査ユニットに配置した被吐出媒体に前記各ノズルからの液滴を着弾させ、
前記被吐出媒体に着弾した前記各ノズルの液滴を撮像装置にて撮像し、
前記撮像装置が撮像した前記各ノズルの液滴の画像データに基づいて、前記各ノズルの液滴の着弾径を測定し、
測定した各ノズルの液滴の着弾径に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量を求め、
求めた各ノズルの液滴の吐出重量から、前記各ノズルの液滴の吐出重量の変化傾向を重量傾向検出手段にて検出し、
前記変化傾向に基づいて、前記各ノズルの液滴の吐出重量が予め定めた閾値を超えたとき、前記検査ユニットに設けた重量測定ユニットの受液容器を前記液滴吐出ヘッドの直下に配置して、同液滴吐出ヘッドの各ノズルから前記受液容器に液滴を吐出して同液滴の実際の吐出重量を測定し、
前記重量測定ユニットで測定した液滴の実際の吐出重量に基づいて、駆動素子の駆動力
をそれぞれ調整して、その調整した駆動力で前記各ノズルの駆動素子を駆動させることを特徴とするパターン形成装置に備えた液滴吐出ヘッドの液滴吐出量調整方法。
【請求項14】
主走査方向に往復移動して載置した基板を搬送する搬送テーブルと、
前記搬送テーブルの移動経路の上方であって、前記主走査方向と直交する副走査方向に延出形成された一対の案内レールと、
前記一対の案内レール間に支持され、その一対の案内レールに沿って副走査方向に往復移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジのユニットプレートに並設した複数の液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドの各駆動素子を駆動制御してノズルから液滴を吐出し、パターンを描画させる制御手段と、
前記基板に描画されるパターンの描画データを記憶する描画データ記憶手段と、
を備え、
前記基板を載置した搬送テーブルを主走査方向に移動させながら、前記基板に、前記描画データに基づいて予め定められたパターンを描画するパターン形成装置において、
前記搬送テーブルと並設され、前記搬送テーブルに対して独立して前記主走査方向に移動する検査ユニットと、
前記検査ユニットに配置された被吐出媒体に描画される吐出重量検査用のパターンの検査描画データを記憶した検査描画データ記憶手段と、
前記被吐出媒体に吐出された液滴を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像を画像処理して、前記液滴の吐出重量を算出する重量算出手段と、
前記重量算出手段の算出した液滴の吐出重量に基づいて、前記各ノズルから吐出される液滴の吐出重量を、予め定めた値になるように、前記各駆動素子の駆動力を算出し、該算出した駆動力を前記制御手段に出力する駆動力算出手段と、
を備えたことを特徴とするパターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−95725(P2009−95725A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268141(P2007−268141)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】