パターン転写装置及びパターン転写方法
【課題】記憶媒体へのサーボパターン転写不良を回避又は低減する。
【解決手段】サーボパターン転写前の記憶媒体の表面に、異物(ゴミ等)又は欠陥(キズ等)があるか否かを検査する(ステップS1)。続いて、記憶媒体表面の異物又は欠陥と、転写マスタのサーボパターンとの相対位置を計算する(ステップS2)。相対位置は、例えば、角度で表現され、相対角度と呼ぶこととする。続いて、記憶媒体及び/又は転写マスタを回転若しくは異動させて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写パターンとの重畳による転写パターンの転写不良を回避又は低減する様に、相対位置を調整する(ステップS3)。続いて、記憶媒体にサーボパターンが、磁気的又は物理的に転写される(ステップS4)。このようにしてサーボパターンを転写すると、サーボパターンの転写不良を回避又は低減し、記憶媒体の廃棄率を低減し、記憶装置の製造コストを低減することが可能になる。
【解決手段】サーボパターン転写前の記憶媒体の表面に、異物(ゴミ等)又は欠陥(キズ等)があるか否かを検査する(ステップS1)。続いて、記憶媒体表面の異物又は欠陥と、転写マスタのサーボパターンとの相対位置を計算する(ステップS2)。相対位置は、例えば、角度で表現され、相対角度と呼ぶこととする。続いて、記憶媒体及び/又は転写マスタを回転若しくは異動させて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写パターンとの重畳による転写パターンの転写不良を回避又は低減する様に、相対位置を調整する(ステップS3)。続いて、記憶媒体にサーボパターンが、磁気的又は物理的に転写される(ステップS4)。このようにしてサーボパターンを転写すると、サーボパターンの転写不良を回避又は低減し、記憶媒体の廃棄率を低減し、記憶装置の製造コストを低減することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写マスタのパターン、例えば、サーボパターンを、ディスク装置等の記憶装置の記憶媒体の表面上へ転写するパターン転写装置及びパターン転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置、光磁気ディスク装置、光ディスク装置などの記憶装置の記憶媒体の記録密度が格段に向上している。これによって、記憶装置の小型化や記録容量の拡大を図ることが可能となり、記憶装置の利便性が高まってきている。
【0003】
かかる高密度化された記憶媒体において、目標とするトラックにヘッドを正確に位置付けるために、サーボ制御と呼ばれる自動制御が利用されている。記憶媒体には、サーボ制御に使用するサーボパターンと呼ばれる信号パターンが書き込まれている。
【0004】
サーボパターンには、少なくとも、トラック番号、セクタ番号、ヘッドのトラック中心に対する相対的位置を復調するためのサーボパターン等が含まれている。そして、記憶装置、例えば、磁気ディスク装置においては、磁気転写やナノインプリントによって、転写マスタが有するサーボパターンを、記憶媒体上に転写するサーボパターン転写プロセスが採用されている。
【0005】
ところで、記憶媒体の表面上には、ゴミなどの異物や、キズなどの欠陥が存在することがある。サーボパターン転写プロセスにおいて、異物や欠陥が存在する部分にサーボパターンを転写すると、サーボパターンの転写不良となる。正確に転写されなかったサーボパターンを有する記憶媒体は、目標とするトラックにヘッドを正確に位置付けることができないため、対応するユーザデータ格納領域が使用不可能になる。
【0006】
さらには、サーボパターン転写プロセスにおいて、転写マスタを傷つけないことが必要である。このため、光学試験などを用いて、サーボパターンが転写される記憶媒体上の異物や欠陥を検出し、異物を除去する、又は、サーボパターンの転写を行わずに、記憶媒体自体を廃棄することが必要となる。
【0007】
記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検査する方法としては、レーザー光を照射して、反射光及び散乱光をもとに、異物又は欠陥を検出する方法がある。なお、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検査する方法と同様に、転写マスタ上の異物又は欠陥を検査する方法がある。
【0008】
このようにして検出された記憶媒体上の異物や欠陥の位置と、転写マスタのサーボパターンとを、パターンマッチングにより重ね合わせて、転写マスタのパターンと重なるか否かを判定している。
【0009】
さらに、異物又は欠陥は必ず存在することを前提として、転写マスタ上にサーボパターンを複数組用意して、記憶媒体へ転写を行い、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥との重なり度合いが少ないサーボパターンを選択して使用するという方法も提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開2001−351231号公報
【特許文献2】特開2003−4428号公報
【特許文献3】特開2002−372501号公報
【特許文献4】国際公開第2005/001817号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来技術では、次の問題点があった。すなわち、記憶媒体の記録密度の高密度化に伴って、記憶媒体上に、より微細なサーボパターンを形成する必要が高まってきている。サーボパターンが微細であればあるほど、例えば、大きさが数μm以下の微少な異物や欠陥も、問題となってくる。
【0012】
よって、記憶媒体の表面上から、異物や欠陥を完全に除去することは不可能となってくる。また、光学検査装置の測定可能な異物等の大きさにも限界があり、ナノメートルレベルの位置決め精度の要求に耐え得るナノメートルの分解能で異物や欠陥の検出を行うことは現実的には難しい。
【0013】
また、記憶媒体の表面上から、異物や欠陥が検出されたとして、異物又は欠陥が検出された記憶媒体を廃棄する様にすると、大量の記憶媒体を、サーボパターン転写以前に廃棄しなければならなくなり、記憶装置の製造コストを増加させる要因となってしまう。
【0014】
なお、転写マスタ上にサーボパターンを複数組用意して、記憶媒体へ転写を行い、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥との重なり度合いが少ないサーボパターンを選択して使用する方法では、次の問題がある。
【0015】
すなわち、ディスクリートトラックやビットパターンドメディアのような、サーボパターン同士の間のデータ域にも、なんらかのパターンを形成する、微細なパターンを転写する必要がある記憶媒体の場合には、適用が不可能になる。
【0016】
本発明は、上記問題点(課題)を解消するためになされたものであって、表面上に存在する微細な異物や欠陥によって、大量の記憶媒体を、サーボパターン転写以前に廃棄することを回避し、記憶媒体へのサーボパターン転写不良を回避又は低減するとともに、記憶装置の製造コストを低減し、かつ、微細なパターンを転写する必要がある記憶媒体に対してもサーボパターン等のパターンを転写可能なパターン転写装置及びパターン転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、パターン転写装置及びパターン転写方法の一観点において、記憶装置の記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体検査を行い、この検査結果に応じて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの特定パターンとの相対位置の調整値を算出し、算出された調整値に基づいて記憶媒体又は転写マスタの位置若しくは回転角度を調整して、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を回避する様に、特定パターンを記憶媒体に転写することを要件とする。
【発明の効果】
【0018】
開示のパターン転写装置及びパターン転写方法によれば、転写マスタの特定パターンを、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を回避して記憶媒体に転写するので、特定パターンの転写不良を回避できる。また、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写パターンとの重畳による転写パターンの転写不良を回避又は低減でき、記憶媒体の廃棄を低減できるため、高品質な特定パターンの転写を可能にするとともに、記憶装置の製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照し、本発明のパターン転写装置及びパターン転写方法にかかる実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下に示す第一〜第四実施形態の一例では、記憶装置は、磁気ディスク装置であり、記憶媒体は、磁気ディスクであるとする。しかし、これに限定されるものではなく、他の記憶装置、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)などの光ディスク装置、MO(Magneto-Optical disk)やMD(Mini Disc)などの光磁気ディスク装置などの各種記憶媒体に、特定パターンを転写する場合にも適用できる。
【0020】
また、以下に示す第一〜第四実施形態の一例では、記憶媒体に転写する特定パターンは、サーボパターンであるとする。しかし、これに限定されず、磁気パターン又は物理的な凹凸パターンなど各種の特定パターンを転写することができる。
【0021】
[実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略]
第一〜第四実施形態の一例の説明に先立ち、実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略について説明する。図1は、実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略を示す図である。
【0022】
図1に示す様に、先ず、サーボパターン転写前の記憶媒体の表面に、異物(ゴミ等)又は欠陥(キズ等)があるか否かを検査する(ステップS1)。続いて、記憶媒体表面の異物又は欠陥と、転写マスタのサーボパターンとの相対位置を計算する(ステップS2)。
【0023】
ここで、相対位置とは、記憶媒体の表面と、転写マスタの転写パターン面とを接触させたときの、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンとの相対的な位置関係を言う。
【0024】
相対位置は、例えば、角度で表現され、相対角度と呼ぶこととする。相対角度は、記憶媒体の表面及び転写マスタの転写パターン面の中心を合わせた場合に、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と中心とを結ぶ線分と、転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンと中心とを結ぶ線分とがなす角度である。
【0025】
なお、相対位置は、相対角度に限定されるものではない。例えば、相対位置は、座標で表現されてもよい。相対座標では、記憶媒体の表面及び転写マスタの転写パターン面の中心を合わせた場合に、記憶媒体又は転写マスタのいずれか一方に基準となる座標平面を取る。この座標平面上において、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥及び転写マスタの転写パターン面の特定パターンの各位置を座標表示することとしてもよい。
【0026】
続いて、記憶媒体及び/又は転写マスタを回転若しくは異動させて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写パターンとの重畳による転写パターンの転写不良を回避又は低減する様に、相対位置を調整する(ステップS3)。
【0027】
続いて、記憶媒体にサーボパターンが、磁気的又は物理的に転写される(ステップS4)。そして、サーボパターンが転写された記憶媒体を、記憶装置へ実装する(ステップS5)。
【0028】
[サーボパターンの形成例]
次に、記憶媒体上に形成されるサーボパターンの形成例について説明する。図2は、記憶媒体上のサーボパターンの形成例を示す図である。同図に示す様に、サーボパターンとは、記憶装置が有する、記憶媒体との間で情報を読み書きするためのヘッドを位置決めするために使用される情報である。同図に示すように、記憶媒体には、回転中心から半径方向に円弧状に延びる複数のサーボパターンが記録されている。
【0029】
図2に示すように、記憶媒体の表面において、サーボパターンは、記憶媒体の中心から外周へ、略半径方向に沿った円弧として等間隔に配置されている。サーボパターンが円弧状となるのは、次の理由による。
【0030】
すなわち、記憶装置内において、先端にヘッドを有する浮上ヘッドスライダが取り付けられたヘッドアクチュエータは、支軸の中心軸を回転軸として扇状に揺動するが、ヘッドが内周及び外周の両端間のサーボパターンをなぞる場合に、中心軸からヘッドまでの距離が一定となるようにするためである。
【0031】
[サーボパターンの転写の概要]
次に、記憶媒体へのサーボパターンの転写の概要について説明する。図3は、記憶媒体へのサーボパターンの転写の概要を示す図である。同図に示す様に、転写マスタを使用して、記憶媒体にサーボパターンを転写する場合は、記憶媒体の両面にサーボパターンを転写することが一般的である。これは、記憶媒体が、表裏両面に、記憶領域を有するためである。
【0032】
図3に示す様に、記憶媒体へ転写するためのサーボパターンを含む転写パターン面を有する二つの転写マスタを、記憶媒体を両面から挟む様に、記憶媒体に押しつける。このように、二つの転写マスタを、記憶媒体に押しつけた状態で、磁界を発生させる、若しくは、二つの転写マスタの記憶媒体を挟む圧力を加圧することによって、記憶媒体の表裏両面上に、サーボパターンを転写する。
【0033】
なお、記憶媒体が、片面のみを記憶領域として利用する場合は、サーボパターンを転写する面側にのみ転写マスタを配し、もう一方は、転写マスタの代わりに、転写マスタとともに記憶媒体を挟むことが可能な部材であればよい。
【0034】
[サーボパターンの詳細]
次に、サーボパターンの詳細について説明する。図4は、図2に示したサーボパターンの拡大図である。同図は、1セクタ内のサーボパターンの半径方向の一部を抽出して拡大表示した図である。サーボパターンは、磁気パターン又は物理的に形成された凹凸パターンである。
【0035】
1セクタ内のサーボパターンには、ヘッドが読み進む順序で、サーボマーク(Servo Mark)、グレイコード(Gray Code)、インデックス及びセクタ番号(Index+Sector No.)、バースト信号A〜D(PosA〜D)が配されている。これらのサーボパターンが示す情報が、各トラック中心に沿って読み出されることによって、サーボ信号が再生されることとなる。
【0036】
サーボマークは、サーボパターンの開始を示す情報である。グレイコードと、インデックス及びセクタは、2進化された10進数が格納される領域である。グレイコードは、記憶媒体のトラック番号が格納される領域である。インデックス及びセクタは、記憶媒体の該当トラック番号のセクタのインデックス及びセクタ番号が格納される領域である。また、バースト信号A〜D(PosA〜D)は、トラックに対するヘッドの相対位置情報を持つ。
【0037】
[サーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形]
次に、記憶媒体のサーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形について説明する。図5は、記憶媒体のサーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形の一例を示す図である。
【0038】
図5では、図4に示したサーボマーク(Servo Mark)、グレイコード(Gray Code)、インデックス及びセクタ番号(Index+Sector No.)、バースト信号A〜D(PosA〜D)に対応する再生波形が現れている。これらの再生波形が正常に得られないと、ヘッドの位置決めが不可能になるため、対応するユーザデータ格納領域を使用することができなくなり、記憶媒体容量の欠損が生じることになる。
【0039】
なお、記憶媒体の外周であればあるほど、1トラックの1セクタのサーボパターンに対応するユーザデータ格納領域の容量が大きくなる。従って、記憶媒体の外周ほど、サーボパターンの転写不良が問題となる。
【0040】
[第一実施形態の一例]
次に、図6〜図8を参照して、第一実施形態の一例を説明する。先ず、第一実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥が問題になる場合について説明する。図6は、第一実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥が問題になる場合の一例を示す図である。
【0041】
図6に示す様に、記憶媒体の表面上において、異物又は欠陥DPが、サーボパターンと重畳して書き込まれると、該当サーボパターンは、転写不良によって、サーボ信号を正確に再生できなくなる。このため、該当サーボパターンのトラックの対応するユーザデータ格納領域が使用不可になる。
【0042】
なお、場合によっては、異物又は欠陥DPが、サーボパターンと重畳して書き込まれたために、対応するトラックの全ユーザデータ格納領域が使用不可になる。第一実施形態の一例は、上記の問題を解決するための実施形態である。
【0043】
次に、第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図7は、第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す様に、第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100aは、表面検査部101aと、記憶媒体回転角度計算部102aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、記憶媒体回転角度調整部105aと、サーボパターン転写処理部106aとを有する。
【0044】
表面検査部101aは、記憶媒体の表面の異物又は欠陥を検査する検査装置であり、周知技術を利用可能である。記憶媒体回転角度計算部102aは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。
【0045】
ここで、相対角度が第一の閾値未満であるとは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとが重畳している部分がある状態である。また、相対角度が第二の閾値以上であるとは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとが重畳している部分がなく、重畳が回避されている状態である。
【0046】
なお、相対角度が第一の閾値未満であるときに、相対角度を第二の閾値以上とするために、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を、相対角度の調整値という。
【0047】
転写マスタ情報記憶部103aは、転写マスタの転写パターン面のサーボパターンの形成状態を示す情報を記憶する記憶部である。転写パターン面のサーボパターンの形成状態を示す情報には、例えば、記憶媒体の表面上に転写されるサーボパターンの数N、トラックごとのサーボパターンの幅Wなどを含む。
【0048】
例えば、角度360度を、前述のNで割ると、隣り合うサーボパターンの半径方向の中心線同士がなす角度が求まる。また、あるトラック一周分の長さをL1とすると、(L1−N×W)÷Nによって、該当トラックにおいて隣り合うサーボパターンの間のユーザデータ格納領域の長さL2が求まる。
【0049】
記憶媒体回転角度計算部102aは、例えば、上記した各種数値を用いて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとが重畳している部分がなく、重畳が回避されるように、相対角度の調整値を算出する。
【0050】
また、記憶媒体回転角度計算部102aは、記憶媒体の表面上に、複数の異物又は欠陥が存在する場合には、例えば、次の様にして、記憶媒体の表面上の複数の異物又は欠陥と、これら複数の異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンとの重畳の程度が最小となる様に、相対角度の調整値を算出する。先ず、次式で定義される関数δi(θ)を導入する。
【0051】
【数1】
【0052】
また、記憶媒体の表面上の複数の異物又は欠陥をインデックスiで識別する様にする。このとき、例えば、次式に基づいて、相対角度の調整値“θadj”を算出する。
【0053】
【数2】
【0054】
なお、上記(2)式の右辺の“Σ”は、すべての異物又は欠陥iにわたる和を表わし、“min”は、すべての“θ”について走査したときの最小値“Adj”を表わす。最小値Adjとなるときの“θ”が、相対角度の調整値“θadj”である。
【0055】
良品判定部104aは、例えば、上記(2)式で算出した最小値“Adj”が、所定閾値以下であるか否かを判定する。すなわち、記憶媒体の回転角度をどのように調整しても、記憶媒体の異物又は欠陥と、転写マスタのサーボパターンとの重畳量が大きいと、記憶媒体の記憶容量の欠損量が大きくなり、使用に耐えないためである。
【0056】
良品判定部104aによって、最小値“Adj”が、所定閾値以下であると判定されたならば、調整値“θadj”分だけ記憶媒体を回転させる様に、記憶媒体回転角度調整部105aに指示する。良品判定部104aによって、最小値“Adj”が、所定閾値を超えると判定されたならば、該当記憶媒体は、廃棄対象となる。
【0057】
なお、良品判定部104aは、必ずしも上記条件によって良品判定を行う必要はない。例えば、表面検査部101aによって検出された記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の数、若しくは大きさ、又はこれらの組み合わせなど、あらゆる条件によって良品判定を行ってもよい。
【0058】
また、良品判定部104aは、必須の構成ではない。この場合、良品判定は行なわれず、記憶媒体回転角度計算部102aによって計算された相対角度の調整値に従って、記憶媒体回転角度調整部105aが、記憶媒体を回転させる様にしてもよい。
【0059】
記憶媒体回転角度調整部105aは、記憶媒体回転角度計算部102aによって計算された相対角度の調整値分だけ記憶媒体を回転させ、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避する様に制御する。
【0060】
サーボパターン転写処理部106aは、記憶媒体回転角度調整部105aによる回転によって調整された相対角度で、転写マスタのサーボパターンを、記憶媒体の表面に転写処理する。
【0061】
次に、第一実施例の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図8は、第一実施例の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図に示す様に、先ず、表面検査部101aは、サーボパターン転写対象の記憶媒体の表面上に異物又は欠陥が存在するか否かを検査する(ステップS101)。
【0062】
続いて、記憶媒体回転角度計算部102aは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な記憶媒体の回転角度を計算する(ステップS102)。
【0063】
続いて、良品判定部104aは、記憶媒体は良品であるか否かを判定する(ステップS103)。記憶媒体は良品であると判定された場合に(ステップS103肯定)、ステップS104へ移り、記憶媒体は良品であると判定されなかった場合に(ステップS103否定)、ステップS107へ移る。
【0064】
ステップS104では、記憶媒体回転角度調整部105aは、ステップS102で計算された、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な記憶媒体の回転角度分だけ記憶媒体を回転させる。
【0065】
続いて、サーボパターン転写処理部106aは、転写マスタから記憶媒体へ、サーボパターンの転写を行う(ステップS105)。続いて、サーボパターン転写装置100aは、サーボパターンが転写された記憶媒体を、記憶装置へ実装する(ステップS106)。一方、ステップS107では、サーボパターン転写処理部106aは、記憶媒体の廃棄処理を行う。
【0066】
以上の第一実施形態の一例によれば、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、記憶媒体を回転させるので、軽量の記憶媒体を回転させることになることから、回転機構が簡易な構成となるので、サーボパターン転写装置を安価に製造することができる。
【0067】
[第二実施形態の一例]
次に、図9及び図10を参照して、第二実施形態の一例について説明する。先ず、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図9は、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、第二実施形態の一例の説明では、第一実施形態の一例との差分のみについて説明を行う。
【0068】
図9に示す様に、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100bは、表面検査部101bと、転写マスタ回転角度計算部102bと、転写マスタ情報記憶部103bと、良品判定部104bと、転写マスタ回転角度調整部105bと、サーボパターン転写処理部106bとを有する。
【0069】
表面検査部101bと、転写マスタ情報記憶部103bと、良品判定部104bと、サーボパターン転写処理部106bとは、サーボパターン転写装置100aの表面検査部101aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、サーボパターン転写処理部106aとそれぞれ同一の機能構成であるので、説明を省略する。
【0070】
転写マスタ回転角度計算部102bは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、転写マスタを、転写マスタの断面の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。その他については、転写マスタ回転角度計算部102aと同一である。
【0071】
転写マスタ回転角度調整部105bは、転写マスタ回転角度計算部102bによって計算された相対角度の調整値分だけ転写マスタを回転させ、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避する様に制御する。
【0072】
次に、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図10は、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS201と、ステップS203〜ステップS207とは、図8に示したステップS101と、ステップS103〜ステップS107とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
【0073】
図10において、ステップS202では、転写マスタ回転角度計算部102bは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な転写マスタの回転角度を計算する。
【0074】
また、ステップS204では、転写マスタ回転角度調整部105bは、ステップS202で計算された、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な転写マスタの回転角度分だけ転写マスタを回転させる。
【0075】
以上の第一実施形態の一例及び第二実施形態の一例によれば、記憶媒体又は転写マスタを回転させて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避する(例えば、図11参照)ので、サーボパターンの転写不良を防止又は低減し、記憶媒体の廃棄量を減らして、記憶装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0076】
なお、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、第一実施形態の一例では記憶媒体を回転させ、第二実施形態の一例では転写マスタを回転させることとした。しかし、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、記憶媒体及び転写マスタの両方を回転させることとしてもよい。このようにすると、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するための相対角度の調整時間の短縮を図ることができる。
【0077】
[第三実施形態の一例]
次に、図12〜図14を参照して、第三実施形態の一例について説明する。先ず、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図12は、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、第三実施形態の一例の説明では、第一実施形態の一例との差分のみについて説明を行う。
【0078】
図12に示す様に、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100cは、表面検査部101cと、記憶媒体回転角度計算部102cと、転写マスタ情報記憶部103cと、良品判定部104cと、記憶媒体回転角度調整部105cと、サーボパターン転写処理部106cと、転写マスタ表面検査部107cと、転写マスタ欠陥情報記憶部108cとを有する。
【0079】
表面検査部101cと、転写マスタ情報記憶部103cと、良品判定部104cと、記憶媒体回転角度調整部105cと、サーボパターン転写処理部106cとは、サーボパターン転写装置100aの表面検査部101aと、記憶媒体回転角度計算部102aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、サーボパターン転写処理部106aとそれぞれ同一の機能構成であるので、説明を省略する。
【0080】
転写マスタ表面検査部107cは、転写マスタの表面の異物又は欠陥を検査する検査装置であり、周知技術を利用可能である。転写マスタ表面検査部107cによる検査結果は、転写マスタ欠陥情報記憶部108cに記憶される。例えば、図15に示す様に、転写マスタの転写パターン面のサーボパターン上に、異物又は欠陥MPが存在したとする。
【0081】
転写マスタ欠陥情報記憶部108cに記憶される検査結果は、例えば、図13の転写マスタ欠陥情報テーブルの一例に示す様なものである。転写マスタの表面上の異物又は欠陥MPを特定する転写マスタ欠陥情報は、例えば、基準半径からの角度、半径位置、サイズで特定される。
【0082】
記憶媒体回転角度計算部102cは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタ欠陥情報の相対角度とを計算する。そして、相対角度が所定範囲内である場合には、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターン面の表面上の異物又は欠陥とが重畳するとして、該当する記憶媒体の表面上の異物又は欠陥は、サーボパターンとの重畳回避の対象外とする。すなわち、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターン面の表面上の異物又は欠陥とが重なる場合には、これを許容する(例えば、図16参照)。
【0083】
そして、記憶媒体回転角度計算部102cは、重畳回避の対象外とした記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を除き、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。
【0084】
次に、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図14は、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS301と、ステップS302〜ステップS307とは、図8に示したステップS101と、ステップS102〜ステップS107とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
【0085】
ステップS301aでは、転写マスタ表面検査部107cは、転写マスタの表面の異物又は欠陥を検査し、検査結果を、転写マスタ欠陥情報記憶部108cに記憶する。続いて、ステップS302では、記憶媒体回転角度計算部102cは、転写マスタ欠陥情報を考慮しつつ、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。
【0086】
なお、第三実施形態の一例では、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、記憶媒体を回転させることとした。しかし、これに限定されず、転写マスタを回転させることとしてもよいし、記憶媒体及び転写マスタの両方を回転させることとしてもよい。
【0087】
[第四実施形態の一例]
次に、図17〜図19を参照して、第四実施形態の一例について説明する。先ず、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図17は、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、第四実施形態の一例の説明では、第一実施形態の一例との差分のみについて説明を行う。
【0088】
図17に示す様に、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100dは、表面検査部101dと、記憶媒体回転角度計算部102dと、転写マスタ情報記憶部103dと、良品判定部104dと、記憶媒体回転角度調整部105dと、サーボパターン転写処理部106dと、半径位置記憶容量記憶部109dとを有する。
【0089】
表面検査部101dと、転写マスタ情報記憶部103dと、良品判定部104dと、記憶媒体回転角度調整部105dと、サーボパターン転写処理部106dとは、サーボパターン転写装置100aの表面検査部101aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、記憶媒体回転角度調整部105aと、サーボパターン転写処理部106aとそれぞれ同一の機能構成であるので、説明を省略する。
【0090】
半径位置記憶容量記憶部109dは、例えば、図18に示す様な、半径位置記憶容量記憶テーブルを格納する。半径位置記憶容量記憶テーブルは、記憶媒体の半径位置と、対応するトラック又はセクタの記憶容量との情報を含む。同図では、R1<R2<R3であれば、C1<C2<C3の大小関係が成り立っている。これは、記憶媒体は、外周であるほど、一つのサーボパターンによってヘッドの位置決め制御の対象となる記憶容量が大きくなるためである。
【0091】
記憶媒体回転角度計算部102dは、上記(2)式に代えて、例えば、次式に基づいて、相対角度の調整値“θadj”を算出する。すなわち、次式によれば、転写パターンと、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥との重畳に、内外周に重みをつけ、外周になるに従い、より厳しい条件を課すことによって、記憶媒体の全記憶容量に対する影響度を最小とすることができる。
【0092】
【数3】
【0093】
記憶媒体回転角度調整部105dは、上記(3)式に基づいて算出された相対角度の調整値“θadj”を以て、記憶媒体を回転調整する。
【0094】
次に、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図19は、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS401と、ステップS403〜ステップS407とは、図8に示したステップS101と、ステップS103〜ステップS107とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
【0095】
ステップS402では、記憶媒体回転角度計算部102dは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な記憶媒体の回転角度を、例えば、上記(3)式に基づいて計算する。
【0096】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施形態の一例で実施されてもよいものである。また、実施形態の一例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0097】
また、上記実施形態の一例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施形態の一例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0098】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0099】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0100】
以上の実施形態の一例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0101】
(付記1)記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査部と、
前記記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体表面検査部による検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【0102】
(付記2)前記特定パターンは、磁気パターン又は物理的な凹凸パターンであることを特徴とする付記1記載のパターン転写装置。
【0103】
(付記3)前記相対位置は、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面とを、それぞれの中心を合わせて接触させた場合に、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置、合わされた前記中心、及び、前記転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンの位置がなす相対角度であることを特徴とする付記1又は2記載のパターン転写装置。
【0104】
(付記4)前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記1、2又は3記載のパターン転写装置。
【0105】
(付記5)前記重畳量は、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径位置と、前記異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径方向の長さとの積であることを特徴とする付記4記載のパターン転写装置。
【0106】
(付記6)前記記憶媒体の外周方向の半径位置に応じて加重する加重係数を記憶する加重係数記憶部をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、各前記重畳量に、それぞれ前記外周方向の半径位置に応じた前記加重係数を乗じた総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記4又は5記載のパターン転写装置。
【0107】
(付記7)前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する転写マスタ表面検査部と、
前記転写マスタ表面検査部によって検出され大きさが特定された前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに関する欠陥情報を記憶する転写マスタ欠陥情報記憶部と、
前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥とが重畳するか否かを判定する重畳判定部と
をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥との重畳部分を除いて、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記1、2又は3記載のパターン転写装置。
【0108】
(付記8)前記転写マスタは、前記記憶媒体の表裏二面それぞれに、同時に、前記特定パターンを転写することをと特徴とする付記1〜7のいずれか一項記載のパターン転写装置。
【0109】
(付記9)前記相対位置調整部は、前記記憶媒体の位置又は回転角度を調整することによって、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整することを特徴とする付記1〜8のいずれか一項記載のパターン転写装置。
【0110】
(付記10)前記相対位置調整部は、前記転写マスタの位置又は回転角度を調整することによって、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整することを特徴とする付記1〜9のいずれか一項記載のパターン転写装置。
【0111】
(付記11)記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【0112】
(付記12)前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記11記載のパターン転写装置。
【0113】
(付記13)記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査ステップと、
前記記憶媒体の表面と、記憶装置の記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整ステップと、
前記記憶媒体表面検査ステップによる検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整ステップに対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示ステップと
を含むことを特徴とするパターン転写方法。
【0114】
(付記14)前記特定パターンは、磁気パターン又は物理的な凹凸パターンであることを特徴とする付記13記載のパターン転写方法。
【0115】
(付記15)前記相対位置は、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面とを、それぞれの中心を合わせて接触させた場合に、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置、合わされた前記中心、及び、前記転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンの位置がなす相対角度であることを特徴とする付記13又は14記載のパターン転写方法。
【0116】
(付記16)前記相対位置調整指示ステップは、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記13、14又は15記載のパターン転写方法。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略を示す図である。
【図2】記憶媒体上のサーボパターンの形成例を示す図である。
【図3】記憶媒体へのサーボパターンの転写の概要を示す図である。
【図4】サーボパターンの拡大図である。
【図5】記憶媒体のサーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形の一例を示す図である。
【図6】第一実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥が問題になる場合の一例を示す図である。
【図7】第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】第一実施例の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第一及び第二実施形態の一例サーボパターン転写処理によって、記憶媒体上の異物又は欠陥を回避してサーボパターンを書き込んだ一例を示す図である。
【図12】第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図13】転写マスタ欠陥情報テーブルの一例を示す図である。
【図14】第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第三実施形態の一例において、転写マスタ上の欠陥が問題になる場合の一例を示す図である。
【図16】第三実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥と、転写マスタ上の異物又は欠陥とを重畳することによって、記憶媒体上の異物又は欠陥を回避してサーボパターンを書き込んだ一例を示す図である。
【図17】第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図18】半径位置記憶容量記憶テーブルの一例を示す図である。
【図19】第四実施例の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
100a、100b、100c、100d サーボパターン転写装置
101a、101b、101c、101d 表面検査部
102a、102c、102d 記憶媒体回転角度計算部
102b 転写マスタ回転角度計算部
103a、103b、103c、103d 転写マスタ情報記憶部
104a、104b、104c、104d 良品判定部
105a、105c、105d 記憶媒体回転角度調整部
105b 転写マスタ回転角度調整部
106a、106b、106c、106d サーボパターン転写処理部
107c 転写マスタ表面検査部
108c 転写マスタ欠陥情報記憶部
109d 半径位置記憶容量記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写マスタのパターン、例えば、サーボパターンを、ディスク装置等の記憶装置の記憶媒体の表面上へ転写するパターン転写装置及びパターン転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置、光磁気ディスク装置、光ディスク装置などの記憶装置の記憶媒体の記録密度が格段に向上している。これによって、記憶装置の小型化や記録容量の拡大を図ることが可能となり、記憶装置の利便性が高まってきている。
【0003】
かかる高密度化された記憶媒体において、目標とするトラックにヘッドを正確に位置付けるために、サーボ制御と呼ばれる自動制御が利用されている。記憶媒体には、サーボ制御に使用するサーボパターンと呼ばれる信号パターンが書き込まれている。
【0004】
サーボパターンには、少なくとも、トラック番号、セクタ番号、ヘッドのトラック中心に対する相対的位置を復調するためのサーボパターン等が含まれている。そして、記憶装置、例えば、磁気ディスク装置においては、磁気転写やナノインプリントによって、転写マスタが有するサーボパターンを、記憶媒体上に転写するサーボパターン転写プロセスが採用されている。
【0005】
ところで、記憶媒体の表面上には、ゴミなどの異物や、キズなどの欠陥が存在することがある。サーボパターン転写プロセスにおいて、異物や欠陥が存在する部分にサーボパターンを転写すると、サーボパターンの転写不良となる。正確に転写されなかったサーボパターンを有する記憶媒体は、目標とするトラックにヘッドを正確に位置付けることができないため、対応するユーザデータ格納領域が使用不可能になる。
【0006】
さらには、サーボパターン転写プロセスにおいて、転写マスタを傷つけないことが必要である。このため、光学試験などを用いて、サーボパターンが転写される記憶媒体上の異物や欠陥を検出し、異物を除去する、又は、サーボパターンの転写を行わずに、記憶媒体自体を廃棄することが必要となる。
【0007】
記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検査する方法としては、レーザー光を照射して、反射光及び散乱光をもとに、異物又は欠陥を検出する方法がある。なお、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検査する方法と同様に、転写マスタ上の異物又は欠陥を検査する方法がある。
【0008】
このようにして検出された記憶媒体上の異物や欠陥の位置と、転写マスタのサーボパターンとを、パターンマッチングにより重ね合わせて、転写マスタのパターンと重なるか否かを判定している。
【0009】
さらに、異物又は欠陥は必ず存在することを前提として、転写マスタ上にサーボパターンを複数組用意して、記憶媒体へ転写を行い、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥との重なり度合いが少ないサーボパターンを選択して使用するという方法も提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開2001−351231号公報
【特許文献2】特開2003−4428号公報
【特許文献3】特開2002−372501号公報
【特許文献4】国際公開第2005/001817号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来技術では、次の問題点があった。すなわち、記憶媒体の記録密度の高密度化に伴って、記憶媒体上に、より微細なサーボパターンを形成する必要が高まってきている。サーボパターンが微細であればあるほど、例えば、大きさが数μm以下の微少な異物や欠陥も、問題となってくる。
【0012】
よって、記憶媒体の表面上から、異物や欠陥を完全に除去することは不可能となってくる。また、光学検査装置の測定可能な異物等の大きさにも限界があり、ナノメートルレベルの位置決め精度の要求に耐え得るナノメートルの分解能で異物や欠陥の検出を行うことは現実的には難しい。
【0013】
また、記憶媒体の表面上から、異物や欠陥が検出されたとして、異物又は欠陥が検出された記憶媒体を廃棄する様にすると、大量の記憶媒体を、サーボパターン転写以前に廃棄しなければならなくなり、記憶装置の製造コストを増加させる要因となってしまう。
【0014】
なお、転写マスタ上にサーボパターンを複数組用意して、記憶媒体へ転写を行い、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥との重なり度合いが少ないサーボパターンを選択して使用する方法では、次の問題がある。
【0015】
すなわち、ディスクリートトラックやビットパターンドメディアのような、サーボパターン同士の間のデータ域にも、なんらかのパターンを形成する、微細なパターンを転写する必要がある記憶媒体の場合には、適用が不可能になる。
【0016】
本発明は、上記問題点(課題)を解消するためになされたものであって、表面上に存在する微細な異物や欠陥によって、大量の記憶媒体を、サーボパターン転写以前に廃棄することを回避し、記憶媒体へのサーボパターン転写不良を回避又は低減するとともに、記憶装置の製造コストを低減し、かつ、微細なパターンを転写する必要がある記憶媒体に対してもサーボパターン等のパターンを転写可能なパターン転写装置及びパターン転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、パターン転写装置及びパターン転写方法の一観点において、記憶装置の記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体検査を行い、この検査結果に応じて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの特定パターンとの相対位置の調整値を算出し、算出された調整値に基づいて記憶媒体又は転写マスタの位置若しくは回転角度を調整して、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を回避する様に、特定パターンを記憶媒体に転写することを要件とする。
【発明の効果】
【0018】
開示のパターン転写装置及びパターン転写方法によれば、転写マスタの特定パターンを、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を回避して記憶媒体に転写するので、特定パターンの転写不良を回避できる。また、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写パターンとの重畳による転写パターンの転写不良を回避又は低減でき、記憶媒体の廃棄を低減できるため、高品質な特定パターンの転写を可能にするとともに、記憶装置の製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照し、本発明のパターン転写装置及びパターン転写方法にかかる実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下に示す第一〜第四実施形態の一例では、記憶装置は、磁気ディスク装置であり、記憶媒体は、磁気ディスクであるとする。しかし、これに限定されるものではなく、他の記憶装置、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)などの光ディスク装置、MO(Magneto-Optical disk)やMD(Mini Disc)などの光磁気ディスク装置などの各種記憶媒体に、特定パターンを転写する場合にも適用できる。
【0020】
また、以下に示す第一〜第四実施形態の一例では、記憶媒体に転写する特定パターンは、サーボパターンであるとする。しかし、これに限定されず、磁気パターン又は物理的な凹凸パターンなど各種の特定パターンを転写することができる。
【0021】
[実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略]
第一〜第四実施形態の一例の説明に先立ち、実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略について説明する。図1は、実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略を示す図である。
【0022】
図1に示す様に、先ず、サーボパターン転写前の記憶媒体の表面に、異物(ゴミ等)又は欠陥(キズ等)があるか否かを検査する(ステップS1)。続いて、記憶媒体表面の異物又は欠陥と、転写マスタのサーボパターンとの相対位置を計算する(ステップS2)。
【0023】
ここで、相対位置とは、記憶媒体の表面と、転写マスタの転写パターン面とを接触させたときの、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンとの相対的な位置関係を言う。
【0024】
相対位置は、例えば、角度で表現され、相対角度と呼ぶこととする。相対角度は、記憶媒体の表面及び転写マスタの転写パターン面の中心を合わせた場合に、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と中心とを結ぶ線分と、転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンと中心とを結ぶ線分とがなす角度である。
【0025】
なお、相対位置は、相対角度に限定されるものではない。例えば、相対位置は、座標で表現されてもよい。相対座標では、記憶媒体の表面及び転写マスタの転写パターン面の中心を合わせた場合に、記憶媒体又は転写マスタのいずれか一方に基準となる座標平面を取る。この座標平面上において、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥及び転写マスタの転写パターン面の特定パターンの各位置を座標表示することとしてもよい。
【0026】
続いて、記憶媒体及び/又は転写マスタを回転若しくは異動させて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写パターンとの重畳による転写パターンの転写不良を回避又は低減する様に、相対位置を調整する(ステップS3)。
【0027】
続いて、記憶媒体にサーボパターンが、磁気的又は物理的に転写される(ステップS4)。そして、サーボパターンが転写された記憶媒体を、記憶装置へ実装する(ステップS5)。
【0028】
[サーボパターンの形成例]
次に、記憶媒体上に形成されるサーボパターンの形成例について説明する。図2は、記憶媒体上のサーボパターンの形成例を示す図である。同図に示す様に、サーボパターンとは、記憶装置が有する、記憶媒体との間で情報を読み書きするためのヘッドを位置決めするために使用される情報である。同図に示すように、記憶媒体には、回転中心から半径方向に円弧状に延びる複数のサーボパターンが記録されている。
【0029】
図2に示すように、記憶媒体の表面において、サーボパターンは、記憶媒体の中心から外周へ、略半径方向に沿った円弧として等間隔に配置されている。サーボパターンが円弧状となるのは、次の理由による。
【0030】
すなわち、記憶装置内において、先端にヘッドを有する浮上ヘッドスライダが取り付けられたヘッドアクチュエータは、支軸の中心軸を回転軸として扇状に揺動するが、ヘッドが内周及び外周の両端間のサーボパターンをなぞる場合に、中心軸からヘッドまでの距離が一定となるようにするためである。
【0031】
[サーボパターンの転写の概要]
次に、記憶媒体へのサーボパターンの転写の概要について説明する。図3は、記憶媒体へのサーボパターンの転写の概要を示す図である。同図に示す様に、転写マスタを使用して、記憶媒体にサーボパターンを転写する場合は、記憶媒体の両面にサーボパターンを転写することが一般的である。これは、記憶媒体が、表裏両面に、記憶領域を有するためである。
【0032】
図3に示す様に、記憶媒体へ転写するためのサーボパターンを含む転写パターン面を有する二つの転写マスタを、記憶媒体を両面から挟む様に、記憶媒体に押しつける。このように、二つの転写マスタを、記憶媒体に押しつけた状態で、磁界を発生させる、若しくは、二つの転写マスタの記憶媒体を挟む圧力を加圧することによって、記憶媒体の表裏両面上に、サーボパターンを転写する。
【0033】
なお、記憶媒体が、片面のみを記憶領域として利用する場合は、サーボパターンを転写する面側にのみ転写マスタを配し、もう一方は、転写マスタの代わりに、転写マスタとともに記憶媒体を挟むことが可能な部材であればよい。
【0034】
[サーボパターンの詳細]
次に、サーボパターンの詳細について説明する。図4は、図2に示したサーボパターンの拡大図である。同図は、1セクタ内のサーボパターンの半径方向の一部を抽出して拡大表示した図である。サーボパターンは、磁気パターン又は物理的に形成された凹凸パターンである。
【0035】
1セクタ内のサーボパターンには、ヘッドが読み進む順序で、サーボマーク(Servo Mark)、グレイコード(Gray Code)、インデックス及びセクタ番号(Index+Sector No.)、バースト信号A〜D(PosA〜D)が配されている。これらのサーボパターンが示す情報が、各トラック中心に沿って読み出されることによって、サーボ信号が再生されることとなる。
【0036】
サーボマークは、サーボパターンの開始を示す情報である。グレイコードと、インデックス及びセクタは、2進化された10進数が格納される領域である。グレイコードは、記憶媒体のトラック番号が格納される領域である。インデックス及びセクタは、記憶媒体の該当トラック番号のセクタのインデックス及びセクタ番号が格納される領域である。また、バースト信号A〜D(PosA〜D)は、トラックに対するヘッドの相対位置情報を持つ。
【0037】
[サーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形]
次に、記憶媒体のサーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形について説明する。図5は、記憶媒体のサーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形の一例を示す図である。
【0038】
図5では、図4に示したサーボマーク(Servo Mark)、グレイコード(Gray Code)、インデックス及びセクタ番号(Index+Sector No.)、バースト信号A〜D(PosA〜D)に対応する再生波形が現れている。これらの再生波形が正常に得られないと、ヘッドの位置決めが不可能になるため、対応するユーザデータ格納領域を使用することができなくなり、記憶媒体容量の欠損が生じることになる。
【0039】
なお、記憶媒体の外周であればあるほど、1トラックの1セクタのサーボパターンに対応するユーザデータ格納領域の容量が大きくなる。従って、記憶媒体の外周ほど、サーボパターンの転写不良が問題となる。
【0040】
[第一実施形態の一例]
次に、図6〜図8を参照して、第一実施形態の一例を説明する。先ず、第一実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥が問題になる場合について説明する。図6は、第一実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥が問題になる場合の一例を示す図である。
【0041】
図6に示す様に、記憶媒体の表面上において、異物又は欠陥DPが、サーボパターンと重畳して書き込まれると、該当サーボパターンは、転写不良によって、サーボ信号を正確に再生できなくなる。このため、該当サーボパターンのトラックの対応するユーザデータ格納領域が使用不可になる。
【0042】
なお、場合によっては、異物又は欠陥DPが、サーボパターンと重畳して書き込まれたために、対応するトラックの全ユーザデータ格納領域が使用不可になる。第一実施形態の一例は、上記の問題を解決するための実施形態である。
【0043】
次に、第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図7は、第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す様に、第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100aは、表面検査部101aと、記憶媒体回転角度計算部102aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、記憶媒体回転角度調整部105aと、サーボパターン転写処理部106aとを有する。
【0044】
表面検査部101aは、記憶媒体の表面の異物又は欠陥を検査する検査装置であり、周知技術を利用可能である。記憶媒体回転角度計算部102aは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。
【0045】
ここで、相対角度が第一の閾値未満であるとは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとが重畳している部分がある状態である。また、相対角度が第二の閾値以上であるとは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとが重畳している部分がなく、重畳が回避されている状態である。
【0046】
なお、相対角度が第一の閾値未満であるときに、相対角度を第二の閾値以上とするために、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を、相対角度の調整値という。
【0047】
転写マスタ情報記憶部103aは、転写マスタの転写パターン面のサーボパターンの形成状態を示す情報を記憶する記憶部である。転写パターン面のサーボパターンの形成状態を示す情報には、例えば、記憶媒体の表面上に転写されるサーボパターンの数N、トラックごとのサーボパターンの幅Wなどを含む。
【0048】
例えば、角度360度を、前述のNで割ると、隣り合うサーボパターンの半径方向の中心線同士がなす角度が求まる。また、あるトラック一周分の長さをL1とすると、(L1−N×W)÷Nによって、該当トラックにおいて隣り合うサーボパターンの間のユーザデータ格納領域の長さL2が求まる。
【0049】
記憶媒体回転角度計算部102aは、例えば、上記した各種数値を用いて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとが重畳している部分がなく、重畳が回避されるように、相対角度の調整値を算出する。
【0050】
また、記憶媒体回転角度計算部102aは、記憶媒体の表面上に、複数の異物又は欠陥が存在する場合には、例えば、次の様にして、記憶媒体の表面上の複数の異物又は欠陥と、これら複数の異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンとの重畳の程度が最小となる様に、相対角度の調整値を算出する。先ず、次式で定義される関数δi(θ)を導入する。
【0051】
【数1】
【0052】
また、記憶媒体の表面上の複数の異物又は欠陥をインデックスiで識別する様にする。このとき、例えば、次式に基づいて、相対角度の調整値“θadj”を算出する。
【0053】
【数2】
【0054】
なお、上記(2)式の右辺の“Σ”は、すべての異物又は欠陥iにわたる和を表わし、“min”は、すべての“θ”について走査したときの最小値“Adj”を表わす。最小値Adjとなるときの“θ”が、相対角度の調整値“θadj”である。
【0055】
良品判定部104aは、例えば、上記(2)式で算出した最小値“Adj”が、所定閾値以下であるか否かを判定する。すなわち、記憶媒体の回転角度をどのように調整しても、記憶媒体の異物又は欠陥と、転写マスタのサーボパターンとの重畳量が大きいと、記憶媒体の記憶容量の欠損量が大きくなり、使用に耐えないためである。
【0056】
良品判定部104aによって、最小値“Adj”が、所定閾値以下であると判定されたならば、調整値“θadj”分だけ記憶媒体を回転させる様に、記憶媒体回転角度調整部105aに指示する。良品判定部104aによって、最小値“Adj”が、所定閾値を超えると判定されたならば、該当記憶媒体は、廃棄対象となる。
【0057】
なお、良品判定部104aは、必ずしも上記条件によって良品判定を行う必要はない。例えば、表面検査部101aによって検出された記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の数、若しくは大きさ、又はこれらの組み合わせなど、あらゆる条件によって良品判定を行ってもよい。
【0058】
また、良品判定部104aは、必須の構成ではない。この場合、良品判定は行なわれず、記憶媒体回転角度計算部102aによって計算された相対角度の調整値に従って、記憶媒体回転角度調整部105aが、記憶媒体を回転させる様にしてもよい。
【0059】
記憶媒体回転角度調整部105aは、記憶媒体回転角度計算部102aによって計算された相対角度の調整値分だけ記憶媒体を回転させ、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避する様に制御する。
【0060】
サーボパターン転写処理部106aは、記憶媒体回転角度調整部105aによる回転によって調整された相対角度で、転写マスタのサーボパターンを、記憶媒体の表面に転写処理する。
【0061】
次に、第一実施例の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図8は、第一実施例の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図に示す様に、先ず、表面検査部101aは、サーボパターン転写対象の記憶媒体の表面上に異物又は欠陥が存在するか否かを検査する(ステップS101)。
【0062】
続いて、記憶媒体回転角度計算部102aは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な記憶媒体の回転角度を計算する(ステップS102)。
【0063】
続いて、良品判定部104aは、記憶媒体は良品であるか否かを判定する(ステップS103)。記憶媒体は良品であると判定された場合に(ステップS103肯定)、ステップS104へ移り、記憶媒体は良品であると判定されなかった場合に(ステップS103否定)、ステップS107へ移る。
【0064】
ステップS104では、記憶媒体回転角度調整部105aは、ステップS102で計算された、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な記憶媒体の回転角度分だけ記憶媒体を回転させる。
【0065】
続いて、サーボパターン転写処理部106aは、転写マスタから記憶媒体へ、サーボパターンの転写を行う(ステップS105)。続いて、サーボパターン転写装置100aは、サーボパターンが転写された記憶媒体を、記憶装置へ実装する(ステップS106)。一方、ステップS107では、サーボパターン転写処理部106aは、記憶媒体の廃棄処理を行う。
【0066】
以上の第一実施形態の一例によれば、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、記憶媒体を回転させるので、軽量の記憶媒体を回転させることになることから、回転機構が簡易な構成となるので、サーボパターン転写装置を安価に製造することができる。
【0067】
[第二実施形態の一例]
次に、図9及び図10を参照して、第二実施形態の一例について説明する。先ず、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図9は、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、第二実施形態の一例の説明では、第一実施形態の一例との差分のみについて説明を行う。
【0068】
図9に示す様に、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100bは、表面検査部101bと、転写マスタ回転角度計算部102bと、転写マスタ情報記憶部103bと、良品判定部104bと、転写マスタ回転角度調整部105bと、サーボパターン転写処理部106bとを有する。
【0069】
表面検査部101bと、転写マスタ情報記憶部103bと、良品判定部104bと、サーボパターン転写処理部106bとは、サーボパターン転写装置100aの表面検査部101aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、サーボパターン転写処理部106aとそれぞれ同一の機能構成であるので、説明を省略する。
【0070】
転写マスタ回転角度計算部102bは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、転写マスタを、転写マスタの断面の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。その他については、転写マスタ回転角度計算部102aと同一である。
【0071】
転写マスタ回転角度調整部105bは、転写マスタ回転角度計算部102bによって計算された相対角度の調整値分だけ転写マスタを回転させ、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避する様に制御する。
【0072】
次に、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図10は、第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS201と、ステップS203〜ステップS207とは、図8に示したステップS101と、ステップS103〜ステップS107とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
【0073】
図10において、ステップS202では、転写マスタ回転角度計算部102bは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な転写マスタの回転角度を計算する。
【0074】
また、ステップS204では、転写マスタ回転角度調整部105bは、ステップS202で計算された、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な転写マスタの回転角度分だけ転写マスタを回転させる。
【0075】
以上の第一実施形態の一例及び第二実施形態の一例によれば、記憶媒体又は転写マスタを回転させて、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避する(例えば、図11参照)ので、サーボパターンの転写不良を防止又は低減し、記憶媒体の廃棄量を減らして、記憶装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0076】
なお、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、第一実施形態の一例では記憶媒体を回転させ、第二実施形態の一例では転写マスタを回転させることとした。しかし、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、記憶媒体及び転写マスタの両方を回転させることとしてもよい。このようにすると、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するための相対角度の調整時間の短縮を図ることができる。
【0077】
[第三実施形態の一例]
次に、図12〜図14を参照して、第三実施形態の一例について説明する。先ず、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図12は、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、第三実施形態の一例の説明では、第一実施形態の一例との差分のみについて説明を行う。
【0078】
図12に示す様に、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100cは、表面検査部101cと、記憶媒体回転角度計算部102cと、転写マスタ情報記憶部103cと、良品判定部104cと、記憶媒体回転角度調整部105cと、サーボパターン転写処理部106cと、転写マスタ表面検査部107cと、転写マスタ欠陥情報記憶部108cとを有する。
【0079】
表面検査部101cと、転写マスタ情報記憶部103cと、良品判定部104cと、記憶媒体回転角度調整部105cと、サーボパターン転写処理部106cとは、サーボパターン転写装置100aの表面検査部101aと、記憶媒体回転角度計算部102aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、サーボパターン転写処理部106aとそれぞれ同一の機能構成であるので、説明を省略する。
【0080】
転写マスタ表面検査部107cは、転写マスタの表面の異物又は欠陥を検査する検査装置であり、周知技術を利用可能である。転写マスタ表面検査部107cによる検査結果は、転写マスタ欠陥情報記憶部108cに記憶される。例えば、図15に示す様に、転写マスタの転写パターン面のサーボパターン上に、異物又は欠陥MPが存在したとする。
【0081】
転写マスタ欠陥情報記憶部108cに記憶される検査結果は、例えば、図13の転写マスタ欠陥情報テーブルの一例に示す様なものである。転写マスタの表面上の異物又は欠陥MPを特定する転写マスタ欠陥情報は、例えば、基準半径からの角度、半径位置、サイズで特定される。
【0082】
記憶媒体回転角度計算部102cは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタ欠陥情報の相対角度とを計算する。そして、相対角度が所定範囲内である場合には、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターン面の表面上の異物又は欠陥とが重畳するとして、該当する記憶媒体の表面上の異物又は欠陥は、サーボパターンとの重畳回避の対象外とする。すなわち、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターン面の表面上の異物又は欠陥とが重なる場合には、これを許容する(例えば、図16参照)。
【0083】
そして、記憶媒体回転角度計算部102cは、重畳回避の対象外とした記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を除き、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。
【0084】
次に、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図14は、第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS301と、ステップS302〜ステップS307とは、図8に示したステップS101と、ステップS102〜ステップS107とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
【0085】
ステップS301aでは、転写マスタ表面検査部107cは、転写マスタの表面の異物又は欠陥を検査し、検査結果を、転写マスタ欠陥情報記憶部108cに記憶する。続いて、ステップS302では、記憶媒体回転角度計算部102cは、転写マスタ欠陥情報を考慮しつつ、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンの相対角度とを計算する。そして、相対角度が第一の閾値未満である場合に、相対角度が第二の閾値以上となるように、記憶媒体を、記憶媒体の中心を軸として回転させる回転角度を計算する。
【0086】
なお、第三実施形態の一例では、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、異物又は欠陥と重畳する可能性がある転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために、記憶媒体を回転させることとした。しかし、これに限定されず、転写マスタを回転させることとしてもよいし、記憶媒体及び転写マスタの両方を回転させることとしてもよい。
【0087】
[第四実施形態の一例]
次に、図17〜図19を参照して、第四実施形態の一例について説明する。先ず、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を説明する。図17は、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、第四実施形態の一例の説明では、第一実施形態の一例との差分のみについて説明を行う。
【0088】
図17に示す様に、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置100dは、表面検査部101dと、記憶媒体回転角度計算部102dと、転写マスタ情報記憶部103dと、良品判定部104dと、記憶媒体回転角度調整部105dと、サーボパターン転写処理部106dと、半径位置記憶容量記憶部109dとを有する。
【0089】
表面検査部101dと、転写マスタ情報記憶部103dと、良品判定部104dと、記憶媒体回転角度調整部105dと、サーボパターン転写処理部106dとは、サーボパターン転写装置100aの表面検査部101aと、転写マスタ情報記憶部103aと、良品判定部104aと、記憶媒体回転角度調整部105aと、サーボパターン転写処理部106aとそれぞれ同一の機能構成であるので、説明を省略する。
【0090】
半径位置記憶容量記憶部109dは、例えば、図18に示す様な、半径位置記憶容量記憶テーブルを格納する。半径位置記憶容量記憶テーブルは、記憶媒体の半径位置と、対応するトラック又はセクタの記憶容量との情報を含む。同図では、R1<R2<R3であれば、C1<C2<C3の大小関係が成り立っている。これは、記憶媒体は、外周であるほど、一つのサーボパターンによってヘッドの位置決め制御の対象となる記憶容量が大きくなるためである。
【0091】
記憶媒体回転角度計算部102dは、上記(2)式に代えて、例えば、次式に基づいて、相対角度の調整値“θadj”を算出する。すなわち、次式によれば、転写パターンと、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥との重畳に、内外周に重みをつけ、外周になるに従い、より厳しい条件を課すことによって、記憶媒体の全記憶容量に対する影響度を最小とすることができる。
【0092】
【数3】
【0093】
記憶媒体回転角度調整部105dは、上記(3)式に基づいて算出された相対角度の調整値“θadj”を以て、記憶媒体を回転調整する。
【0094】
次に、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理について説明する。図19は、第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS401と、ステップS403〜ステップS407とは、図8に示したステップS101と、ステップS103〜ステップS107とそれぞれ同一の処理であるので、説明を省略する。
【0095】
ステップS402では、記憶媒体回転角度計算部102dは、記憶媒体の表面上の異物又は欠陥と、転写マスタの転写パターンとの重畳を回避するために必要な記憶媒体の回転角度を、例えば、上記(3)式に基づいて計算する。
【0096】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施形態の一例で実施されてもよいものである。また、実施形態の一例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0097】
また、上記実施形態の一例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施形態の一例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0098】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0099】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0100】
以上の実施形態の一例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0101】
(付記1)記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査部と、
前記記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体表面検査部による検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【0102】
(付記2)前記特定パターンは、磁気パターン又は物理的な凹凸パターンであることを特徴とする付記1記載のパターン転写装置。
【0103】
(付記3)前記相対位置は、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面とを、それぞれの中心を合わせて接触させた場合に、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置、合わされた前記中心、及び、前記転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンの位置がなす相対角度であることを特徴とする付記1又は2記載のパターン転写装置。
【0104】
(付記4)前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記1、2又は3記載のパターン転写装置。
【0105】
(付記5)前記重畳量は、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径位置と、前記異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径方向の長さとの積であることを特徴とする付記4記載のパターン転写装置。
【0106】
(付記6)前記記憶媒体の外周方向の半径位置に応じて加重する加重係数を記憶する加重係数記憶部をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、各前記重畳量に、それぞれ前記外周方向の半径位置に応じた前記加重係数を乗じた総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記4又は5記載のパターン転写装置。
【0107】
(付記7)前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する転写マスタ表面検査部と、
前記転写マスタ表面検査部によって検出され大きさが特定された前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに関する欠陥情報を記憶する転写マスタ欠陥情報記憶部と、
前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥とが重畳するか否かを判定する重畳判定部と
をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥との重畳部分を除いて、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記1、2又は3記載のパターン転写装置。
【0108】
(付記8)前記転写マスタは、前記記憶媒体の表裏二面それぞれに、同時に、前記特定パターンを転写することをと特徴とする付記1〜7のいずれか一項記載のパターン転写装置。
【0109】
(付記9)前記相対位置調整部は、前記記憶媒体の位置又は回転角度を調整することによって、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整することを特徴とする付記1〜8のいずれか一項記載のパターン転写装置。
【0110】
(付記10)前記相対位置調整部は、前記転写マスタの位置又は回転角度を調整することによって、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整することを特徴とする付記1〜9のいずれか一項記載のパターン転写装置。
【0111】
(付記11)記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【0112】
(付記12)前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記11記載のパターン転写装置。
【0113】
(付記13)記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査ステップと、
前記記憶媒体の表面と、記憶装置の記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整ステップと、
前記記憶媒体表面検査ステップによる検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整ステップに対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示ステップと
を含むことを特徴とするパターン転写方法。
【0114】
(付記14)前記特定パターンは、磁気パターン又は物理的な凹凸パターンであることを特徴とする付記13記載のパターン転写方法。
【0115】
(付記15)前記相対位置は、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面とを、それぞれの中心を合わせて接触させた場合に、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置、合わされた前記中心、及び、前記転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンの位置がなす相対角度であることを特徴とする付記13又は14記載のパターン転写方法。
【0116】
(付記16)前記相対位置調整指示ステップは、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする付記13、14又は15記載のパターン転写方法。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施形態に係るサーボパターン転写処理の概略を示す図である。
【図2】記憶媒体上のサーボパターンの形成例を示す図である。
【図3】記憶媒体へのサーボパターンの転写の概要を示す図である。
【図4】サーボパターンの拡大図である。
【図5】記憶媒体のサーボパターンをヘッドで再生したときの信号波形の一例を示す図である。
【図6】第一実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥が問題になる場合の一例を示す図である。
【図7】第一実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】第一実施例の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】第二実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第一及び第二実施形態の一例サーボパターン転写処理によって、記憶媒体上の異物又は欠陥を回避してサーボパターンを書き込んだ一例を示す図である。
【図12】第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図13】転写マスタ欠陥情報テーブルの一例を示す図である。
【図14】第三実施形態の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第三実施形態の一例において、転写マスタ上の欠陥が問題になる場合の一例を示す図である。
【図16】第三実施形態の一例において、記憶媒体上の異物又は欠陥と、転写マスタ上の異物又は欠陥とを重畳することによって、記憶媒体上の異物又は欠陥を回避してサーボパターンを書き込んだ一例を示す図である。
【図17】第四実施形態の一例に係るサーボパターン転写装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図18】半径位置記憶容量記憶テーブルの一例を示す図である。
【図19】第四実施例の一例に係るサーボパターン転写処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
100a、100b、100c、100d サーボパターン転写装置
101a、101b、101c、101d 表面検査部
102a、102c、102d 記憶媒体回転角度計算部
102b 転写マスタ回転角度計算部
103a、103b、103c、103d 転写マスタ情報記憶部
104a、104b、104c、104d 良品判定部
105a、105c、105d 記憶媒体回転角度調整部
105b 転写マスタ回転角度調整部
106a、106b、106c、106d サーボパターン転写処理部
107c 転写マスタ表面検査部
108c 転写マスタ欠陥情報記憶部
109d 半径位置記憶容量記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査部と、
前記記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体表面検査部による検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【請求項2】
前記相対位置は、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面とを、それぞれの中心を合わせて接触させた場合に、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置、合わされた前記中心、及び、前記転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンの位置がなす相対角度であることを特徴とする請求項1記載のパターン転写装置。
【請求項3】
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項1又は2記載のパターン転写装置。
【請求項4】
前記重畳量は、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径位置と、前記異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径方向の長さとの積であることを特徴とする請求項3記載のパターン転写装置。
【請求項5】
前記記憶媒体の外周方向の半径位置に応じて加重する加重係数を記憶する加重係数記憶部をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、各前記重畳量に、それぞれ前記外周方向の半径位置に応じた前記加重係数を乗じた総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項3又は4記載のパターン転写装置。
【請求項6】
前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する転写マスタ表面検査部と、
前記転写マスタ表面検査部によって検出され大きさが特定された前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに関する欠陥情報を記憶する転写マスタ欠陥情報記憶部と、
前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥とが重畳するか否かを判定する重畳判定部と
をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥との重畳部分を除いて、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項1、2又は3記載のパターン転写装置。
【請求項7】
記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【請求項8】
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項7記載のパターン転写装置。
【請求項9】
記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査ステップと、
前記記憶媒体の表面と、記憶装置の記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整ステップと、
前記記憶媒体表面検査ステップによる検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整ステップに対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示ステップと
を含むことを特徴とするパターン転写方法。
【請求項10】
前記相対位置調整指示ステップは、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項9記載のパターン転写方法。
【請求項1】
記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査部と、
前記記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体表面検査部による検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【請求項2】
前記相対位置は、前記記憶媒体の表面と、前記転写マスタの転写パターン面とを、それぞれの中心を合わせて接触させた場合に、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置、合わされた前記中心、及び、前記転写マスタの転写パターン面が有する特定パターンの位置がなす相対角度であることを特徴とする請求項1記載のパターン転写装置。
【請求項3】
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項1又は2記載のパターン転写装置。
【請求項4】
前記重畳量は、前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径位置と、前記異物又は欠陥の、前記記憶媒体の中心からの半径方向の長さとの積であることを特徴とする請求項3記載のパターン転写装置。
【請求項5】
前記記憶媒体の外周方向の半径位置に応じて加重する加重係数を記憶する加重係数記憶部をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、各前記重畳量に、それぞれ前記外周方向の半径位置に応じた前記加重係数を乗じた総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項3又は4記載のパターン転写装置。
【請求項6】
前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する転写マスタ表面検査部と、
前記転写マスタ表面検査部によって検出され大きさが特定された前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに関する欠陥情報を記憶する転写マスタ欠陥情報記憶部と、
前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥とが重畳するか否かを判定する重畳判定部と
をさらに有し、
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの表面上の異物又は欠陥との重畳部分を除いて、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項1、2又は3記載のパターン転写装置。
【請求項7】
記憶媒体の表面と、前記記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの前記転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整部と、
前記記憶媒体の表面上の異物又は欠陥の位置及び大きさに応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整部に対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示部と
を有することを特徴とするパターン転写装置。
【請求項8】
前記相対位置調整指示部は、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項7記載のパターン転写装置。
【請求項9】
記憶媒体の表面上の異物又は欠陥を検出するとともに、前記異物又は欠陥の位置及び大きさを特定する記憶媒体表面検査ステップと、
前記記憶媒体の表面と、記憶装置の記憶媒体の表面に接触して、磁気的又は物理的に特定パターンを転写するための転写パターン面を有する転写マスタの転写パターン面との接触面における相対位置を調整する相対位置調整ステップと、
前記記憶媒体表面検査ステップによる検査結果に応じて、前記相対位置の調整値を算出し、前記相対位置調整ステップに対して、前記調整値に基づいて前記相対位置を調整するよう指示する相対位置調整指示ステップと
を含むことを特徴とするパターン転写方法。
【請求項10】
前記相対位置調整指示ステップは、前記記憶媒体の表面上の各異物又は欠陥と、前記転写マスタの転写パターン面との各重畳量の総計が最小となるよう前記相対位置の調整値を算出することを特徴とする請求項9記載のパターン転写方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−277303(P2009−277303A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128720(P2008−128720)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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