説明

パチンコ遊技機

【課題】発射ハンドルの操作レバーが基準位置に復帰してしまった場合に、操作レバーを元の角度に簡単に復帰させることのできるパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】発射ハンドル9aに、回動可能に軸支される角度記憶部材23aと、該角度記憶部材23aを操作レバー16と同方向へ回動付勢する付勢部材と、角度記憶部材23aを回動不能とする回動規制状態と、角度記憶部材23aを回動可能とする規制解除状態とに変換する回動規制機構とを配設する。さらに、操作レバー16の回動操作に角度記憶部材23aが従動するよう構成するとともに、回動規制機構の回動規制状態で操作レバー16を回動操作して、角度記憶部材23aを任意の角度まで従動させてから回動規制機構を回動規制状態とすると、基準位置Pから当該角度まで、操作レバー16を操作可能となるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射ハンドルに軸支された操作レバーの操作角度によって遊技球の発射強度を調節するパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機の前面下部には発射ハンドルが配設されている。発射ハンドルは、遊技機本体前面に突設されたハンドルベースに、操作レバーを回動操作可能に軸支してなるものであり、この操作レバーを遊技者が回動操作すると発射装置が遊技球を1球ずつ打圧して、遊技盤面上へ遊技球を発射する。遊技球の発射強度は操作レバーの操作角度によって決定される。すなわち、操作レバーを大きく回動した場合には遊技球が強く発射され、操作レバーを小さく回動した場合には遊技球が弱く発射される。操作レバーの操作角度を発射強度に反映する手段としては、操作角度を発射装置に機械的に伝達するもの(例えば、特許文献1)と、操作角度をセンサで検知して電気的に発射強度の調整を行うもの(例えば、特許文献2)とがある。
【0003】
かかる発射ハンドルでは、遊技者は、遊技盤面上に打ち出される遊技球を確認しながら操作レバーの回動角度を調整し、所望の位置に遊技球が打ち出されたら当該操作角度で操作レバーを保持し、一定の発射強度で遊技球を発射し続けることとなる。ところで、操作レバーは、発射装置を作動させない基準位置に回動付勢されており、操作レバーから手が離れると、操作レバーが基準位置に自動復帰するよう構成されている。このため、従来の発射ハンドルでは、少しでも操作レバーから手を離すと、遊技者は、所望の発射強度を再現するために操作レバーを再調整しなくてはならない。そして、こうした手間を省くために、操作レバーから手を離しても操作レバーが基準位置に復帰せず、そのままの角度で保持されたままとなる構成が種々提案されている(例えば、特許文献3)。また、操作レバーに回動角度を示す目盛りを設けて、操作レバーから手を離してしまった場合には、手を離す前の目盛りに操作レバーを合わせることで、元の操作角度を再現可能とする構成も提案されている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−236097号公報
【特許文献2】特開2007−330547号公報
【特許文献3】特開2004−65308号公報
【特許文献4】特開平10−127868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パチンコ遊技機の発射ハンドルは、手での操作が原則であり、上記特許文献3のように、手を離したときに操作レバーの角度が保持されたままとなる構成は好ましくないとされ、認可されないことが多い。また、上記特許文献4のように、操作レバーに回動角度を示す目盛りを配設する構成では、操作レバーを元の操作角度に復帰させるためには目盛りの値を記憶しておかねばならず、不便である。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、操作レバーが基準位置に復帰してしまった場合に、操作レバーを元の操作角度に簡単に復帰させることのできるパチンコ遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技機本体の前面に突設されたハンドルベースに、遊技球の発射強度を所定基準位置からの操作角度により調整するための操作レバーが軸支されてなる発射ハンドルを備えるパチンコ遊技機において、発射ハンドルは、操作レバーを基準位置方向に回動付勢する第一付勢部材と、操作レバーの回動軸と同一軸線上に回動可能に軸支される角度記憶部材と、角度記憶部材を、第一付勢部材と同じ方向に回動付勢する第二付勢部材と、角度記憶部材を回動不能とする回動規制状態と、角度記憶部材を回動可能とする規制解除状態とに変換する回動規制機構と、該回動規制機構を回動規制状態と規制解除状態に変換操作するための規制操作部とを備えており、回動規制機構の規制解除状態では、操作レバーを基準位置から回動操作して、操作レバーに形成された押圧部で角度記憶部材に形成された受圧部を押圧することによって、角度記憶部材が操作レバーに従動するよう構成されており、回動規制機構の規制解除状態で操作レバーを回動操作して、任意の角度で回動規制機構を回動規制状態とすると、基準位置から当該角度の範囲内でのみ操作レバーが操作可能となることを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0008】
かかる構成にあっては、回動規制機構を回動規制状態として角度記憶部材を回動不能に保持すると、操作レバーは基準位置から角度記憶部材の保持角度の範囲内でのみ回動操作可能となり、回動規制機構を規制解除状態に変換しない限りは、角度記憶部材の保持角度を超えて操作レバーを操作できなくなる。このため、遊技者は、操作レバーの好ましい操作角度に位置保持部材を保持しておけば、操作レバーを基準位置に復帰させても、操作レバーを回動不能になるまで操作することで、操作レバーの好ましい操作角度を簡単に再現できる。
【発明の効果】
【0009】
以上に述べたように、本発明によれば、発射ハンドルの操作レバーが基準位置に復帰してしまった場合でも、操作レバーを回動不能になるまで回動操作することで、元の操作角度を簡単に再現できる。このように、本発明によれば、遊技者は、操作レバーの操作角度や目盛りの値を憶えておかなくても、好ましい操作角度を簡単に再現可能となり、操作レバーの操作に煩わされることなく遊技に集中できる。また、操作レバーを回動不能に固定するものでないため、操作レバーを手で操作するという原則にも反しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パチンコ遊技機1の斜視図である。
【図2】パチンコ遊技機1の正面図である。
【図3】発射ハンドル9の分解斜視図である。
【図4】別の角度から見た発射ハンドル9の分解斜視図である。
【図5】発射ハンドル9の正面中央縦断面図である。
【図6】発射ハンドル9の作動を示す説明図である。
【図7】操作レバー16に加わる負荷を示す説明図である。
【図8】発射ハンドル9の作動を示す説明図である。
【図9】変形例の発射ハンドル9aの作動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
パチンコ遊技機1は、図1,2に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4,4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。
【0012】
図2に示すように、遊技機本体3の内部には、発射装置12が配設される。この発射装置12は、上受皿7から供給された遊技球を打圧する発射鎚13、該発射鎚13を駆動するロータリーソレノイド14、発射レール15等を備えてなる。ここで、ロータリーソレノイド14は、図示しない発射制御基板に接続されており、発射制御基板の出力電圧に応じた強度で駆動する。そして、発射制御基盤の出力電圧は発射ハンドル9の操作レバー16によって調節可能となっており、操作レバー16の基準位置Pからの操作角度が増えるにつれて、発射制御基盤の出力が増加して遊技球が強く発射されるよう構成されている。
【0013】
図1に示すように、発射ハンドル9は、前枠5の右下部に突設されるハンドルベース17に、操作レバー16を回動可能に軸支してなるものである。図3〜5は参考実施形態を示すものであり、ハンドルベース17は、操作レバー16を後方から保持する略円筒状のベース部材20と、操作レバー16を前方から保持する円板状の前側保持部材21とを備えてなる。また、前側保持部材21の前面には、略半球状のカバー体22が配設される。また、操作レバー16の背面側には、角度記憶部材23が配設される。さらに、前側保持部材21と操作レバー16の間には、ねじりコイルバネからなる第一付勢部材25が配設され、操作レバー16を基準位置P方向へ回動付勢している。また、角度記憶部材23とベース部材20の間には、ねじりコイルバネからなる第二付勢部材27が配設され、角度記憶部材23を初期位置Kに付勢している。
【0014】
図3〜5に示すように、ベース部材20は略円筒状の樹脂部材である。発射ハンドル9は、ベース部材20の後端部を前枠5に嵌着することにより遊技機本体3に固定される。ベース部材20の前端部には、円筒状の固定支持杆部30が前方に三本突成されている。この固定支持杆部30は、操作レバー16を貫通して操作レバー16の前方に突出しており、この固定支持杆部30の先端に前側保持部材21をネジで固定するようになっている。また、図5に示すように、ベース部材20の内部中央には、操作レバー16を回動可能に軸支する軸保持孔31が形成される。この軸保持孔31の周囲には、角度記憶部材23を付勢する第二付勢部材27が外嵌する。また、ベース部材20の外壁前端部には、角度記憶部材23の回動を規制する規制爪部材28が傾動可能に軸支される。
【0015】
図3〜5に示すように、前側保持部材21は、円板状の樹脂部材であって、その背面側に突設される突部40をベース部材20の固定支持杆部30にネジ止めすることによって、ベース部材20に一体的に固定され、操作レバー16が脱落しないよう前方から保持する。前側保持部材21の中央部には操作レバー16の現在角度(現在の操作角度)を検知して出力する回動角度検知センサ26が配設される。この回動角度検知センサ26は、略円筒状のセンサ本体35と、該センサ本体35に回動可能に支持されて後方へ突出する検出軸36とを備えてなる。検出軸36は、操作レバー16の中央部に嵌合して、操作レバー16とともに回動するよう構成されており、センサ本体35が検出軸36の回動角度によって操作レバー16の現在角度を検知し、現在角度に応じた強さの電圧を出力する。そして、かかるセンサ本体35の出力は、図示しないリード線を介して前記発射制御基板へ入力され、遊技球の発射強度に反映される。この回動角度検知センサ26は、既存の可変抵抗器や電子ボリューム等によって構成されるものであり、詳細な説明は省略する。また、前側保持部材21の背面側中央部には円形の浅い凹部41が形成されており、操作レバー16を基準位置Pに付勢する第一付勢部材25の前端部が該凹部41に取り付けられる。
【0016】
図3〜5に示すように、操作レバー16は、外周部に指掛用の突起部54が配設された円板状の樹脂部材であり、背面側中央部に突設された軸杆50を、ベース部材20の軸保持孔31に内嵌させることによってハンドルベース17に回動可能に軸支される。この軸杆50は、ベース部材20の軸保持孔31に内嵌する先端側の細径部50aと、角度記憶部材23が外嵌する基端側の太径部50bとで構成される。また、太径部50bの周囲には、角度記憶部材23を従動させるための扇形状の押圧部55が形成される。操作レバー16の正面中央部には、第一付勢部材25の後端を取り付ける円形状の凹部51が形成されており、該凹部51の中央には、回動角度検知センサ26の検出軸36が嵌合する嵌合穴52が形成される。また、凹部51の周囲には、ベース部材20の固定支持杆部30が挿通する円弧状の挿通口53,53が形成されており、操作レバー16は、挿通口53の縁に固定支持杆部30が衝突しない範囲で回動可能となっている。操作レバー16は、第一付勢部材25によって背面視時計回り方向に回動付勢されており、外力が加わらない状態では、固定支持杆部30によって背面視時計回り方向の回動を阻止された基準位置P(図6(a)参照)に保持され、遊技者は、基準位置Pから背面視反時計回り方向に操作レバー16を回動操作可能となる。
【0017】
図3〜5に示すように、角度記憶部材23は、外周部に歯部60を備える歯車状部材である。この角度記憶部材23は、中央部に形成された貫通孔61を操作レバー16の太径部50bに外嵌させることによって、操作レバー16と同一回動軸上に回動可能に保持される。また、角度記憶部材23の背面側には、第二付勢部材27の前端部を組み付ける固定用突部64が形成されており、角度記憶部材23は、第二付勢部材27により、操作レバー16と同じ背面視時計回り方向に回動付勢される。また、角度記憶部材23の正面には、貫通孔61の周囲に扇形状の摺動溝穴62が形成される。摺動溝穴62には操作レバー16の押圧部55が摺動可能に内嵌しており、摺動溝穴62の端部は、押圧部55と圧接することとなる受圧部63を構成する。かかる構成にあっては、押圧部55が受圧部63に当接しない範囲内で、角度記憶部材23を従動させずに操作レバー16を回動操作することができ、当該範囲を超えて操作レバー16を回動操作する場合には、押圧部55で受圧部63を押圧して、操作レバー16に角度記憶部材23を従動させなくてはならない。ここで、角度記憶部材23は、第二付勢部材27により操作レバー16と同じ方向に回動付勢されているため、遊技者は、操作レバー16を単独で回動操作する場合には、第一付勢部材25に抗して操作レバー16を回動操作するだけでよいが、角度記憶部材23を従動させる場合には、第一付勢部材25に加えて第二付勢部材27にも抗しなくてはならないため、遊技者は操作レバー16を強く回動操作しなくてはならない。
【0018】
図3〜5に示すように、規制爪部材28は、角度記憶部材23の回動を規制する鈎爪状の規制爪70と、該規制爪70を操作するための規制操作部71を一体的に形成してなるものである。本実施例に係る回動規制機構は、規制爪部材28の規制爪70と角度記憶部材23の歯部60とからなるラチェット機構である。具体的には、規制爪部材28は、ベース部材20の外壁に傾動可能に軸支されて、規制爪70を内部に、規制操作部71を外部に位置させている。規制爪70は、その先端を角度記憶部材23の歯部60に係合させる回動規制状態(図6(b)参照)と、その先端を歯部60から退避させる規制解除状態(図8(a)参照)とに変換可能となっている。規制爪70は、図示しないバネによって通常は回動規制状態に保持されており、回動規制状態では、角度記憶部材23は規制爪70によって背面視時計回り方向への回動を規制され、背面視反時計回り方向へのみ回動可能となる。そして、規制爪70は規制操作部71を押圧操作すると規制解除状態に変換するよう構成されており、規制操作部71を押圧操作している間は角度記憶部材23が両方向に回動可能となる。
【0019】
以下に、角度記憶部材23の作動を、操作レバー16の操作例に従って説明する。図6(a)は、図5中のA−A線での断面図である。図6(a)は、発射ハンドル9の初期状態であり、操作レバー16は第一付勢部材25の付勢力によって基準位置Pに保持される。また、角度記憶部材23は初期位置Kに保持されて、その受圧部63を操作レバー16の押圧部55に当接させる。また、規制爪70は回動規制状態に保持されている。
【0020】
図6(b)は、図6(a)の初期状態から操作レバー16を60°回動操作した状態である。かかる回動操作にあっては、角度記憶部材23が、受圧部63を押圧部55に押圧されて操作レバー16に従動することとなるため、遊技者は、第一付勢部材25と第二付勢部材27の二つの付勢力に抗して操作レバー16を強く回動しなければならない。そして、角度記憶部材23は、操作レバー16に従動して60°回動して当該角度に保持される。
【0021】
図6(b)の状態で操作レバー16から手を離すと、図6(c)に示すように、操作レバー16は第一付勢部材25の付勢力によって基準位置Pに復帰する。このとき、角度記憶部材23は、規制爪70によって初期位置K方向へ回動不能とされているため、初期位置Kから60°回動した位置に留まることとなり、これにより、当接していた受圧部63と押圧部55が離間することとなる。このため、かかる状態では、図7に示すように、遊技者は、基準位置Pから60°の回動範囲内で、角度記憶部材23を従動させることなく、第一付勢部材25だけの弱い負荷に抗するだけで操作レバー16を操作可能となる。一方、操作レバー16を60°回動操作した時点で押圧部55が受圧部63に突き当たるため、操作レバー16を60°以上に回動操作する場合には、遊技者は、二つの付勢部材25,27による強い負荷に抗して、角度記憶部材23を従動させなくてはならない。すなわち、かかる状態では、角度記憶部材23の保持角度(60°)以上に操作レバー16を回動操作しようとすると、操作レバー16には強い負荷が加わることとなる。したがって遊技者は、操作レバー16を強い負荷が加わるまで回動操作して、強い負荷が加わった時点で回動停止すれば、基準位置Pに復帰する前の操作角度(60°)を再現できる。
【0022】
このように、発射ハンドル9では、角度記憶部材23の保持角度以上に操作レバー16を操作しようとすると操作レバー16に強い負荷が加わるため、所望の操作角度に角度記憶部材23を保持しておけば、操作レバー16が基準位置Pに復帰した場合でも、遊技者は、強い負荷が加わるまで操作レバー16を回動操作するだけで、所望の操作角度(角度記憶部材23の保持角度)を簡単に再現できる。
【0023】
図8(a)は、図6(c)の状態から、規制操作部71を押圧操作した状態である。かかる状態では、規制爪70が規制解除状態に変換されて、角度記憶部材23が初期位置K方向に回動可能となり、第二付勢部材27の付勢力によって初期位置Kに復帰することとなる。このように、操作レバー16の基準位置Pで規制操作部71を押圧操作すれば、回動状態で保持された角度記憶部材23を初期位置Kに復帰させ、発射ハンドル9を初期状態(図6(a)参照)とすることができる。
【0024】
図8(b)は、図6(c)の状態から、操作レバー16を90°回動操作した状態である。かかる状態では、60°の回動角度に保持されていた角度記憶部材23が、操作レバー16に押圧されて90°の回動角度へ従動し、規制爪70によって当該角度に保持されることとなる。このように、角度記憶部材23の保持角度をより大きな角度に変更する場合には、第一付勢部材25及び第二付勢部材27に抗して操作レバー16を所要の回動角度に操作すればよい。
【0025】
図8(c)は、図6(c)の状態から、操作レバー16を30°回動操作し、さらに、規制操作部71を押圧操作した状態である。かかる状態では、規制爪70が規制解除状態に変換され、角度記憶部材23が第二付勢部材27の付勢力によって初期位置K方向に回動する。ただし、操作レバー16が基準位置Pから30°回動操作されているため、角度記憶部材23は、初期位置Kまでは復帰せず、初期位置Kから30°の回動角度で操作レバー16の押圧部55に衝突して停止する。したがって、遊技者は、かかる状態で規制爪70を回動規制状態に復帰させれば、角度記憶部材23を初期位置Kから30°の回動角度で保持できる。このように、角度記憶部材23の保持角度をより小さな回動角度に変更する場合には、操作レバー16を所要角度に保持した状態で規制操作部71を操作すればよい。
【0026】
図9は、本発明の実施例に係り、上記実施例から回動規制機構を変更し、回動規制機構の回動規制状態にあって、角度記憶部材の両方向への回動を規制するようにした発射ハンドル9aを備えるものである。具体的には、本変形例に係る回動規制機構は、歯部の形成されていない角度記憶部材23aの外周部65と、ベース部材20の外壁前端部に固定されたノック部材29とを備えてなる。ノック部材29は、ベース部材20の内側に突出する弾性材75と、ベース部材20の外側に突出する規制操作部76とを備えており、規制操作部76を押圧操作するたびに、弾性材75が角度記憶部材23aの外周部65に密接して、角度記憶部材23aを回動不能に保持する回動規制状態(図9(a)参照)と、弾性材75を外周部65から離間させて角度記憶部材23aを回動可能とする規制解除状態(図9(b)参照)とに変換されるよう構成されている。なお、ノック部材29は、既存のノック機構を備えてなるものであり、内部構造の詳細は省略する。また、本変形例は、回動規制機構以外の構成は、上記実施例と同じであるため、図中で符号を共通させて説明を省略する。
【0027】
かかる変形例にあっては、遊技者は、ノック部材29を規制解除状態とすることで、角度記憶部材23aを従動させながら操作レバー16の操作角度を調整することができる。そして、操作レバー16を所望の角度に保持した段階で、規制操作部76を押圧操作してノック部材29を回動規制状態に変換すれば、当該角度で角度記憶部材23aを回動不能に保持することができる。図9(c)は角度記憶部材23aを60°の回動角度で保持した状態であるが、このように角度記憶部材23aを所望の角度(60°)に保持すれば、角度記憶部材23aがストッパーとして機能して、操作レバー16を角度記憶部材23aの保持角度(60°)以上には回動できなくなる。このため、操作レバー16を基準位置Pに復帰させても、遊技者は、回動不能となるまで操作レバー16を再操作することで、角度記憶部材23aを保持した角度(60°)を簡単に再現できる。
【0028】
なお、本発明におけるパチンコ遊技機は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例は、本発明を理解容易とするために発射ハンドルを比較的単純な構成としているが、本発明に係る発射ハンドルには、既存の発射ハンドル同様にして、タッチセンサや発射停止ボタン、LEDなどを配設できる。また、実施例の発射ハンドルは、操作レバーの操作角度を回動角度検知センサで検知するものであるが、本発明に係る発射ハンドルは、操作レバーの操作角度を発射装置に機械的に伝達するものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 パチンコ遊技機
3 遊技機本体
9,9a 発射ハンドル
10 遊技盤
12 発射装置
16 操作レバー
17 ハンドルベース
23,23a 角度記憶部材
25 第一付勢部材
26 回動角度検知センサ
27 第二付勢部材
28 規制爪部材
29 ノック部材
55 押圧部
60 歯部
62 摺動溝穴
63 受圧部
70 規制爪
71,76 規制操作部
75 弾性材
K 初期位置
P 基準位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機本体の前面に突設されたハンドルベースに、遊技球の発射強度を所定基準位置からの操作角度により調整するための操作レバーが軸支されてなる発射ハンドルを備えるパチンコ遊技機において、
発射ハンドルは、
操作レバーを基準位置方向に回動付勢する第一付勢部材と、
操作レバーの回動軸と同一軸線上に回動可能に軸支される角度記憶部材と、
角度記憶部材を、第一付勢部材と同じ方向に回動付勢する第二付勢部材と、
角度記憶部材を回動不能とする回動規制状態と、角度記憶部材を回動可能とする規制解除状態とに変換する回動規制機構と、
該回動規制機構を回動規制状態と規制解除状態に変換操作するための規制操作部とを備えており、
回動規制機構の規制解除状態では、操作レバーを基準位置から回動操作して、操作レバーに形成された押圧部で角度記憶部材に形成された受圧部を押圧することによって、角度記憶部材が操作レバーに従動するよう構成されており、
回動規制機構の規制解除状態で操作レバーを回動操作して、任意の角度で回動規制機構を回動規制状態とすると、基準位置から当該角度の範囲内でのみ操作レバーが操作可能となることを特徴とするパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56281(P2013−56281A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−287607(P2012−287607)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2009−188997(P2009−188997)の分割
【原出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(591142909)マルホン工業株式会社 (524)
【Fターム(参考)】