説明

パッキン構造体

【課題】サッシ窓のみならず、開閉式ドア、引き違い式ドア、自動ドアなどの種々の窓のドアの隙間に幅広く適用できる構造が簡単なパッキン構造体を提供することにある。
【解決手段】基板およびヒダよりなり、下記(a)〜(h)の要件を満足するパッキン構造体。(a)基板は厚みが0.5〜3mmかつ幅が8〜50mmの一定形状を有する直線形状であり、(b)その基板は、その直角断面において一方の端部側面にはその長さ方向に沿ってヒダを有し、(c)ヒダは厚みが0.1〜0.3mmかつ幅が3〜10mmの一定形状を有する直線形状であり、(d)ヒダは基板の端部側面において一体化され、(e)ヒダは、基板の直角断面における厚み方向の表面の延長線に対して、角度を有するように一体化され、(f)ヒダは、曲げに対して屈曲性および復元性を有し、(g)基板の一方の表面には接着剤層が貼着され、かつ(h)その接着剤層の表面には離形フィルムが貼付されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓やドアの隙間からの空気の出入を防止するためのパッキン構造体に関する。さらに詳しくは、サッシ窓やドアの上下端部或いは左右端部の隙間から外気の内気の出入を抑制するための、装着が容易でかつ構造が簡単なパッキン構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅やオフィスなどの生活空間では、サッシ窓やドアが多く使用されている。サッシ窓はその多くがアルミサッシであり、その審美性、開閉の容易性、耐久性に優れ、気密性も比較的良好である。そのサッシ窓の多くは、引き違い構造であり、その構造からみて窓の上下端部には隙間を有している。
【0003】
また多くの人が出入する商店や公共機関の入口には自動ドアが設置されている。自動ドアはそれ自体の構造および安全上の問題からドア外枠とドアの左右の側端部との間に隙間が存在する。
【0004】
サッシ窓や自動ドアなどの隙間により、外気と内気の空気の流通が起り、そのため夏の冷房および冬の暖房の効果が低下する要因となっている。さらに隙間からの外気の侵入は、埃や花粉のような微粉末が室内に持ち込まれ、室内の環境低下をもたらすのみならず、悪臭や雑音の流入の原因にもなる。
【0005】
従って隙間からの空気の出入を抑止することは、快適な生活環境の保持および冷暖房費の削減の点から極めて意味がある。
【0006】
従来サッシ窓やドアの隙間を封止するためにテープやスポンジ部材が提案され、一部市販されている。これらはいずれも部分的には効果があるが、サッシ窓やドアの開閉に支障があったり、サッシ窓の上下端部や自動ドアの側端部には適しないものが多い。
【0007】
特許文献1には、サッシ窓の上下端部の隙間を封止するためのパッキン構造体が提案されている。この提案のパッキン構造体は、引き違い窓に使用され、断面が複雑な構造を有する立体複合成形品である。このパッキン構造体は、サッシ窓の上下端部に設置するための固有の構造を有するものであり、他のドアや自動ドアには適用できるものではない。
【特許文献1】特開2000−240366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の第1の目的は、サッシ窓のみならず、開閉式ドア、引き違い式ドア、自動ドアなどの種々の窓のドアの隙間に幅広く適用できる構造が簡単なパッキン構造体を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、設置した後でも窓やドアの開閉に支障なく、かつスムーズな開閉を行うことが可能なパッキン構造体を提供することにある。
【0010】
本発明の第3の目的は、設置より隙間からの空気の流入が可及的に抑制でき、かつ設置後も長期間その効果を持続できるパッキン構造体を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、特殊な技術や経験を有する職人でなくても、一般の人が簡単にかつ容易に設置することができるパッキン構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者の研究によれば、前記した本発明の目的は、下記パッキン構造体により達成できることが判った。
(1) 基板およびヒダよりなり、下記(a)〜(h)の要件を満足するパッキン構造体。
(a)基板は厚みが0.5〜3mm、かつ幅が8〜50mmの一定断面形状を有する直
線形状であり、
(b)その基板は、その直角断面において一方の端部側面にはその長さ方向に沿ってヒ
ダを有し、
(c)ヒダは厚みが0.1〜0.3mmかつ幅が3〜10mmの一定断面形状を有する
直線形状であり、
(d)ヒダは基板の端部側面において一体化され、
(e)ヒダは、基板の直角断面における厚み方向の表面の延長線に対して、角度を有す
るように一体化され、
(f)ヒダは、曲げに対して屈曲性および復元性を有し、
(g)基板の一方の表面には接着剤層が貼着され、かつ
(h)その接着剤層の表面には離形フィルムが貼付されている。
(2) 基板は、硬質塩化ビニル樹脂より形成されている前記(1)記載のパッキン構造体。
(3) ヒダは、軟質塩化ビニル樹脂より形成されている前記(1)記載のパッキン構造体。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパッキン構造体は、剛性のある基板部分と屈曲性のあるヒダ部分が一体化された構造を有し、その構造がシンプルで、製造コストも安い。またサッシ窓の上下の端部、開閉式ドアや引き違いドアの上下または左右の端部、自動ドアの左右の端部などさまざまなガラスやドアの隙間に取り付けることができるので、その適用範囲が広い。しかも特殊な工具や技術を必要とせず、適当な長さに切って、離形フィルムを剥がすのみで、容易に取り付けることができる。
【0014】
しかも取り付けた後、窓やドアの開閉に支障がなく、隙間からの空気の流入を効果的に防止することができる。従って本発明のパッキン構造体はその適用範囲の広さ、取り付け操作の容易性および経済性から見て利便性に極めて優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明のパッキン構造体およびその使用形態を図面により説明する。図1は本発明のパッキン構造体の代表的な例を示すものであり、Aはその本体の正面図であり、BはAのX−X’の直角断面図を示すものである。図1において、パッキン構造体1は基板2およびヒダ3により構成されている。図1のAは図面上において上下方向に直線状の長い板状構造体である。図1のBに示すように、断面構造は基板部分2とヒダ部分3とに分かれている。このBの断面構造は、基板の片面の表面に貼着されている接着剤層および離形フィルムは省略されている。
本発明のパッキン構造体1は直線状の長い板状体であり、その長さ(図1のAでは上下方向の長さ)は、特に制限はないが、通常500〜4000mm、好ましくは600〜3000mmである。
【0016】
図1のBに示すように、パッキン構造体1は、基板2の一方の側面端部にヒダ3の端部が接合されている。基板2とヒダ3とは両者が一体化されて結合している。
【0017】
基板2とヒダ3の形状および一体化の状態を図2より説明する。図2は、図1のBと同様の直角断面構造を示す拡大図である。図2の断面図には、基板2の片面(図面上では下面)に接着剤層4およびその表面に離形フィルム5が貼着されていることを示している。
【0018】
図2において、基板2は断面が長方形の形状であるのが好ましく、幅Wは8〜50mm、好ましくは10〜45mmであり、厚みWは、0.5〜3mm、好ましくは0.7〜2.5mmであるのが望ましい。基板2の一方の端部側面にはヒダ3の端部が一体化して結合している。ヒダ3の長さℓは3〜10mm、好ましくは5〜8mmであり、ヒダ3の厚みℓは0.1〜0.3mm、好ましくは0.15〜0.25mmであるのが有利である。
【0019】
前述したように基板2とヒダ3とは、基板2の一方の端部側面において一体化して結合している。ここで一体化とは基板2とヒダ3とは、それぞれの樹脂を溶融して同時に押出して成形し、接合部分で融着して結合していることを意味する。
【0020】
図2に示すように、ヒダ3は基板2の端部側面に角度を有するように結合している。ここで角度を有するとは基板2の表面の延長線(図面上は点線)に対してヒダ3の断面が角度(R)を有していることを意味する。この角度(R)は10〜55°、好ましくは15〜50°であるのが有利である。またヒダ3は基板2の一方の端部側面であって、かつ基板2の表面とヒダ3の表面が共通した表面を有するように(図2に示すように段差がないように)、上側に位置するのが望ましい。
【0021】
パッキン構造体1の基板2の一方の表面(図2では下部の面)には接着剤層4およびその表面に離形フィルム5が貼着されている。この接着剤層4および離形フィルム5は基板2の反対面(図2では上部の面)に貼着されていてもよい。
【0022】
次に基板2およびヒダ3を形成する樹脂について説明する。
基板2は、剛性のある樹脂で形成されているのが好ましく、そのため樹脂としてはショアー硬度が75以上、好ましくは75〜100、特に好ましくは77〜95の樹脂が適当である。
【0023】
具体的には、硬質塩化ビニル樹脂、硬質ゴム、硬質ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびABS樹脂などが挙げられるが、硬質塩化ビニル樹脂がコストおよび加工性の点から特に好ましい。
【0024】
一方ヒダ3は、屈曲性および回復性を有する柔軟性のある樹脂から形成されているのが好ましい。これらの点からヒダ3はショアー硬度が75未満、好ましくは55〜70、特に好ましくは60〜70の樹脂から形成されているのが有利である。ヒダ2を形成する樹脂としては、例えば軟質塩化ビニル樹脂、軟質ゴム、軟質ポリウレタン樹脂などが示されるが、軟質塩化ビニル樹脂であるのが好ましい。
【0025】
基板2の一方の表面に貼着されている接着剤層4および離形フィルム5は、パッキン構造体1を窓やドアの隙間部に設置する際、離形フィルムを剥がして窓枠、ドア、ドア枠に接着剤層を介して貼付けるためのものである。
【0026】
従って、接着剤層4はパッキン構造体1が窓枠などに固着しうる接着力を有すればよい。基板2の表面に接着剤を塗布して接着剤層4を形成させ、その表面に離形フィルムを貼ったものでもよいが、簡単には市販の両面テープをそのまま(離形フィルムを付けたまま)基板2の表面に貼り付けてもよい。
【0027】
図3は、2種の大きさの異なるパッキン構造体の直角断面図を示す。図3の形状のパッキン構造体は同じ金型の成形機で2種のパッキン構造体を同時に成形した場合の断面図である。図3の2つの基板2の交わる6には凹部が形成されている。成形後、この凹部6に沿って長さ方向に切るか折り曲げて左右を分断すれば2種のパッキン構造体となる。図3の場合、左右のパッキン構造体は基板2の幅が異なっている。
【0028】
図3の構造体は、成形後に2つに分断してもよいが、そのまま製品(接着剤層および離形フィルムを貼着して)として、設置時に分断してもよい。図3における凹部6は、その部分で簡単に折れるようにV字型(くさび形)であることが好ましい。
【0029】
図4〜図7には、本発明のパッキン構造体をドアや窓に取り付けた状態が示されている。例えば図2に示したパッキン構造体1を実際にサッシ窓やドアに装着するには、予め装着する場所の長さを計測しておき、その長さに合わせてパッキン構造体を切り、離形フィルム5を剥がして接着剤層4を介してサッシ窓やドアの所定の位置に貼り付ければよい。
【0030】
図4〜図7において点線の矢印の方向は窓やドアが動く方向を示している。図4は開閉式のドア7の横断面を示した図であり、図4の場合ドア7の上部および下部にパッキン構造体1が装着されている。図5はヒンジ8を介してドア9が開閉する横断面図(上から見た横断面)を示すものである。
【0031】
図5の場合、ドア9の開く側の端部とドア外枠10との隙間を塞ぐようにパッキン構造体1aともう一方のドアの端部とドア外枠の隙間を塞ぐようにもう1つのパッキン構造体1bが装着されている。
【0032】
図6にはレール付引きドア式のドア7の縦断面図が示されている。このドア7の下部端部にヒダが床面に接触するようにパッキン構造体が装着されている。この図6のドアは図面上前後に移動するものである。
【0033】
図7は、通常のガラス窓(サッシ窓)を上から見た横断面図を示したものである。2つのガラス窓13と14は図面上閉めた状態(クレセント15がかかった状態)を示している。この図7は3つのパッキン構造体が装置されている。1つは、サッシ外枠12とガラス窓13の端部との隙間、2つ目は他のサッシ外枠12とガラス窓14の端部との隙間、、3つ目は2つのガラス窓13と14との間の隙間を塞ぐように窓ガラス13と14の端部に装着されている。
【0034】
図4〜図7に装着したパッキン構造体は、ドアや窓が開閉してもそのまま移動し、開閉に支障を起こらない。パッキン構造体のヒダは屈曲性と回復性を有し、かつ柔軟性を有しているので、ドアや窓の開閉に問題を生じない。またヒダはドアや窓の内外に隙間からの空気の流通に対して充分抵抗する応力を有している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のパッキン構造体の部分正面図(A)を示し、X−X’直角断面図をBに示す。
【図2】図1のBの断面図の拡大図を示す。
【図3】本発明のパッキン構造体の他の例の直角断面図を示す。
【図4】開閉式ドア(直角横断面図)にパッキン構造体を装着した状態を示す模式図。
【図5】他の開閉式ドア(直角横断面図)にパッキン構造体を装着した状態を示す模式図。
【図6】レール付ドア(縦断面図)にパッキン構造体を装着した状態を示す模式図。
【図7】ガラス窓(横断面図)にパッキン構造体を装着した状態を示す模式図。
【符号の説明】
【0036】
1 パッキン構造体
2 基板
3 ヒダ
4 接着剤層
5 離形フィルム
6 凹部
7 ドア
8 ヒンジ
9 ドア
10 ドア枠
11 ドア枠
12 ドア枠
13 ガラス窓
14 ガラス窓
15 クレセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板およびヒダよりなり、下記(a)〜(h)の要件を満足するパッキン構造体。
(a)基板は厚みが0.5〜3mm、かつ幅が8〜50mmの一定断面形状を有する直
線形状であり、
(b)その基板は、その直角断面において一方の端部側面にはその長さ方向に沿ってヒ
ダを有し、
(c)ヒダは厚みが0.1〜0.3mm、かつ幅が3〜10mmの一定断面形状を有す
る直線形状であり、
(d)ヒダは基板の端部側面において一体化され、
(e)ヒダは、基板の直角断面における厚み方向の表面の延長線に対して、角度を有す
るように一体化され、
(f)ヒダは、曲げに対して屈曲性および復元性を有し、
(g)基板の一方の表面には接着剤層が貼着され、かつ
(h)その接着剤層の表面には離形フィルムが貼付されている。
【請求項2】
基板は、硬質塩化ビニル樹脂より形成されている請求項1記載のパッキン構造体。
【請求項3】
ヒダは、軟質塩化ビニル樹脂より形成されている請求項1記載のパッキン構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−144364(P2010−144364A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320668(P2008−320668)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(594203944)有限会社アイ・ディ (9)
【出願人】(592247665)モマサレ−ス工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】